(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-63656(P2017-63656A)
(43)【公開日】2017年4月6日
(54)【発明の名称】栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20170317BHJP
【FI】
A23L1/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-191102(P2015-191102)
(22)【出願日】2015年9月29日
(11)【特許番号】特許第6067080号(P6067080)
(45)【特許公報発行日】2017年1月25日
(71)【出願人】
【識別番号】515270758
【氏名又は名称】クォン,オ ビョン
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】クォン,オ ビョン
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC09
4B023LE01
4B023LK01
4B023LK20
4B023LP20
4B023LQ01
4B023LT60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】主食で使われる米に、さらに多いカルシウム、ベータグルカン、サポニンなどの栄養成分を安定的に含浸させた、機能性米の製造方法を提供する。
【解決手段】天然来由の栄養成分と水を混合して天然由来の栄養液を製造する天然由来の栄養液の製造段階S100と、有機農発芽玄米100重量比に対して、前記の天然由来の栄養液20〜40重量比を混合して、昇降回転が可能な円筒状の撹拌設備に投入する撹拌設備の投入段階S300と、前記の撹拌設備を利用して、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を、一定の温度と圧力及び電気条件の下で、昇降回転撹拌させて米粒の中まで自家吸収させた栄養米を製造する昇降回転の撹拌段階S400と、前記の昇降回転の撹拌段階を経た米粒の中まで自家吸収させた栄養米を前記の撹拌設備から排出させ、温風乾燥する乾燥段階S500と、を含む、栄養成分を自家吸収された機能性米の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法であって、
天然来由の栄養成分と水を混合して天然由来の栄養液を製造する天然由来の栄養液の製造段階と、
有機農発芽玄米100重量比に対して、前記の天然由来の栄養液20乃至40重量比を混合して、昇降回転が可能な円筒状の撹拌設備に投入する撹拌設備の投入段階と、
前記の撹拌設備を利用して、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を、一定の温度と圧力及び電気条件の下で、昇降回転撹拌させて米粒の中まで自家吸収させた栄養米を製造する昇降回転の撹拌段階と、
前記の昇降回転の撹拌段階を経た米粒の中まで自家吸収させた栄養米を前記の撹拌設備から排出させ、温風乾燥する乾燥段階と、
を含むことを特徴とする、栄養成分を自家吸収された機能性米の製造方法。
【請求項2】
前記の昇降回転の撹拌段階は、
36乃至40度の温度条件と低圧条件の下で、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を、30乃至90分の間、昇降回転撹拌させる第1撹拌段階と、
前記の撹拌設備の内部に微細電流が流れるように電力を提供する電気条件と高圧条件の下で、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を90分乃至180分の間、昇降回転撹拌させる第2撹拌段階と、
からなることを特徴にする請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項3】
前記の電力は、1乃至3ワット(W)であることを特徴とする、請求項2に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項4】
前記の天然由来の栄養液の製造段階は、
天然カルシウム粉末と水を混合した後、30乃至40℃の温度において100乃至300 rpmで、15乃至20時間の間、溶解させるカルシウム溶解段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項5】
前記の天然カルシウム粉末は、
海藻カルシウム粉末、卵殻カルシウム粉末、貝殻粉末、かき皮粉末、ヒトデ粉末のいずれかの一つであること特徴とする、請求項4に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項6】
前記の製造方法は、
有機農発芽玄米の表面を酸化処理する有機農発芽玄米の前処理段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項7】
前記の製造方法は、
前記の乾燥段階を経った栄養米の周辺に静電気を発生させて、前記の栄養米の表面の微細粉じんを捕集して除去する不純物の除去段階を、さらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主食で使われる米にさらに多いカルシウム、ベータグルカン、サポニンなどの栄養成分を安定的に含浸させることで、現代人に不足しがちな様々な必須栄養分を、普段のような食事過程中に簡単で効率的に摂取できるようにすることを特徴とする、栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能性米の市場は、米消費量の持続的な減少動向の中でも最近になって急速に成長して来て、現在機能性米市場の規模は5,000億ウォン以上と推定されている。これはライフクォリティーが向上するによって米に対する認識が変化されて来たことを示唆するところ、現代に入り人々は安い価格や単純に味覚のみを満足させる味よりは栄養成分の含有や有害成分の排除にもっと大きい価値を与える方に、食料の選定基準を変えて来た。これによって、米の市場では様々な機能性米を発売しているが、特に長崎と広島の原爆による放射能被害を経験している日本では、体内からの放射能排出に効果があると知られている玄米とカルシウムに対する関心が持続的に増加しつつあり、これに関する機能性米の開発が活発に進行されている。
【0003】
カルシウムは体内の無機質の中で一番多い量で存在して、骨格と歯牙の形成、血液凝固、筋肉の収縮弛緩、神経伝達作用、神経興奮の調節、細胞膜の透過性調節、細胞膜の融合及び分裂などに広範囲に作用しているなど主な役割を果たしている一方、米を主食にする食生活で一番欠乏しやすい栄養素の一つになる。これによって、カルシウム成分を強化させた米に対する研究が多様に進行され、韓国公開特許第2014-0087359号「カルシウム成分の強化された米の製造方法及びこれによって製造されたカルシウム強化米」と日本公開特許第2012-044934号「カルシウム強化米及びその製造方法」など多様な先行技術が掲示されて来た。
【0004】
しかし、従来の先行技術によって製作されたカルシウム強化米は、カルシウムの含有量が非常に低いだけでなく、流通及び料理過程において多量のカルシウムが損失される致命的な短所を持っていて、実質的な効用を得にくかったし、また一般的に炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、及びクエン酸カルシウムなどの化学的合成剤が利用されて来たが、最近、ウェルビーイングブームから化学的合成剤の忌避現象が深まり、実質的な需要がますます減っている動向である。
【0005】
従って、栄養成分強化米を製造するにおいて、米表面にさらに効率的にカルシウムを吸収させることでカルシウム含有量を極大化させるが、天然カルシウム剤である海藻カルシウムを土台に製造して消費者のニーズを満足させる、さらに新規で進歩したカルシウムを自家吸収させた機能性米の製造方法に関する開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2014-0087359号
【特許文献2】日本公開特許第2012-044934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の技術の問題点を乗り越えるために案出されたもので、米粒の中までに効率的に栄養成分を自家吸収させるための温度、圧力、電気の条件を提供するのである。
【0008】
本発明の更なる目的は、それぞれ条件を異にして撹拌させる第1撹拌段階と第2撹拌段階を遂行することで、米粒の中までに栄養成分を容易く吸収された後、2次的に栄養成分が含浸された状態を維持するように米を堅くすることである。
【0009】
本発明の更なる目的は、利用される栄養液の造成と吸収のために設定される条件を異にすることで、容易に米粒の中の栄養成分の含有量を調節できるようにすることにより、多様な人々にそれぞれ適用される機能性米を製造することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、海藻カルシウム粉末、卵殻カルシウム粉末だけではなく、貝殻粉末、かき皮粉末、ヒトデ粉末などを利用することで、廃棄しやすい自然来由のカルシウムを活用することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、米の表面をあらかじめ酸化処理して、カルシウムのイオン化を助けることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明による栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法は、天然来由の栄養成分と水を混合して天然由来の栄養液を製造する天然由来の栄養液の製造段階と、有機農発芽玄米100重量比に対して、上記の天然由来の栄養液20乃至40重量比を混合し、昇降回転の可能な円筒状の撹拌設備に投入する撹拌設備の投入段階と、上記の撹拌設備を利用して上記の有機農発芽玄米と上記の天然由来の栄養液を一定温度と圧力、及び電気条件の下で昇降回転撹拌させて米粒の中まで自家吸収させた栄養米を製造する昇降回転の撹拌段階と、上記の昇降回転の撹拌段階を経った米粒の中まで自家吸収させた栄養米を上記の撹拌設備から排出させて温風で乾燥する乾燥段階を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上記の昇降回転の撹拌段階は、36乃至40度の温度条件と低圧条件の下で、上記の有機農発芽玄米と上記の天然由来の栄養液を30乃至90分に間、昇降回転撹拌させる第1撹拌段階と、上記の撹拌設備の内部に微細電流が流れるように電力を提供する電気条件と高圧条件の下で、上記の有機農発芽玄米と上記の天然由来の栄養液を90分乃至180分の間、昇降回転撹拌させる第2撹拌段階からなることを特徴とする。
【0014】
ちなみに、上記の電力は1乃至3ワットWであるのを特徴とする。
【0015】
さらに、上記の天然由来の栄養液の製造段階は、天然カルシウム粉末と水を混合した後、30乃至40度の温度において100乃至300rpmで、15乃至20時間の間、溶解させるカルシウム溶解段階をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
さらに、上記の天然カルシウム粉末は、海藻カルシウム粉末、卵殻カルシウム粉末、貝殻粉末、かき皮粉末、ヒトデ粉末のいずれかの一つであることを特徴とする。
【0017】
さらに、上記の製造方法は、有機農発芽玄米の表面を酸化処理する有機農発芽玄米の前処理段階をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
さらに、上記の製造方法は、上記の乾燥段階を経った栄養米の周辺に静電気を発生させ、上記の栄養米表面の微細粉じんを捕集除去する不純物除去段階がさらに含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるカルシウムを自家吸収させた機能性米の製造方法は、
1.米と栄養液を撹拌する時、温度、圧力、電気の条件を提供して、米粒の中の組職が栄養成分を効率的に自家含浸させられるようにして、
2.それぞれ条件を異にして撹拌させる第1撹拌段階と第2撹拌段階を遂行することで、米粒の中までに栄養成分を容易に吸収された後、2次的に栄養成分が含浸された状態を維持するように米を堅くし、流通及び料理過程から栄養成分の損失がほとんどないようにして、
3.栄養液の造成と撹拌時の設定条件を異にすることで、容易に米粒の中の栄養成分含有量を調節するようにすると同時に、
4.海藻カルシウム粉末、卵殻カルシウム粉末だけでなく、貝殻粉末、かき皮粉末、ヒトデ粉末などを利用することで、廃棄されやすい自然来由のカルシウムを活用することだけではなく、
5.米の表面をあらかじめ酸化処理してカルシウムのイオン化を助けることで、体内への吸収率を極大化させることである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法を示流れ図である。
【
図2a】本発明の工程に利用される装置を図示した概念図である。
【
図2b】本発明の工程に利用される装置を図示した概念図である。
【
図3】本発明の製造方法で製造した機能性米の顕微鏡拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳細に説明するようにする。添付された図面は縮尺によって図示されてないが、各図面の同じ参照番号は同じ構成要素を指す。
図1は本発明の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法を示した手順図である。
図1から図示したように、本発明の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法は、基本的に天然由来の栄養液の製造段階S100、撹拌設備の投入段階S300、昇降回転の撹拌段階S400、及び乾燥段階S500を基本的に含んで、有機農法で栽培された玄米と自然材料から抽出した多様な栄養成分、例えば、カルシウム、ベータグルカン、サポニンなどを利用して、米粒の中までに栄養成分の吸収された機能性米を製造するためのことである。例えば、上記の成分以外にも多様な栄養成分が利用されることもあるが、本発明の詳細説明では特にカルシウムを一例として各段階をより詳しく説明するものとする。
【0022】
天然由来の栄養液の製造段階S100は、天然来由の栄養成分、特に、天然カルシウム粉末と水を混合して本発明の製造方法に適用される天然由来の栄養液を作る段階であり、上記の天然カルシウム粉末は、直径が10マイクロメートル未満、望ましくはナノメートル単位である微細粉末ではなければならない。上記の天然カルシウム粉末と上記の水は、それぞれ1乃至3:8乃至12の重量比、望ましくは2:10の重量比で混合される。このような重量比で混合された上記の天然由来の栄養液は、混合直後に下記の撹拌設備の投入段階S300で工程に利用もできるが、上記の天然カルシウム粉末が水でさらに多い量が溶解され、イオン化カルシウムを生成するように、30乃至40℃の温度において100乃至300rpmで、15乃至20時間の間、溶解させるカルシウム溶解段階S100-1を経った後、上記の有機農発芽玄米と混合撹拌されるように出来て、工程過程をさらに単純化するために撹拌設備1に上記の天然カルシウム粉末と水を投入した後、上記のカルシウム溶解段階S100-1を進行するようにすることが一番望ましい。
【0023】
この時、上記の天然カルシウム粉末は市販中の卵殻カルシウム、海藻カルシウムが可能であり、ひいては、貝殻粉末、かき皮粉末、ヒトデ粉末などの市販される天然カルシウム剤を代替して国内で廃棄される天然カルシウム素材を材料として、乾燥、粉砕、塑性などの過程を経って製造された粉末にすることも可能である。
【0024】
図2は本発明の工程に利用される撹拌設備を図示した概念図である。
図2を参照して次の段階を後述する。
【0025】
撹拌設備の投入段階S300は、用意された有機農発芽玄米と上記の天然由来の栄養液の製造段階S100で製造された天然由来の栄養液を撹拌設備1に投入する過程であり、撹拌設備1は
図2に図示されているように、横に配置された円筒状の撹拌ハウジング1aが横軸を基準に回転して、同時に撹拌ハウジング1aの下部に具備された回動シリンダー1bを利用して、横軸の中心点を基準に上下左右に回動できるように設計されたものであり、上下左右に流動しながら回転するように構成されて、内部の物質を非常に安定的に混合することができる。このような撹拌設備1は、別途の制御手段を介して上記の撹拌ハウジング1aの内側の温度、圧力、及び電気の条件をコントロールすることができる。
【0026】
このような撹拌設備1に投入される有機農発芽玄米を重量基準で100と設定した時、上記の天然由来の栄養液は20乃至40、望ましくは30の重量比を占めるようにするところ、特に、上記の有機農発芽玄米と天然由来の栄養液が全体100を基準として、100:30の重量比で適用され、有機農発芽玄米と天然カルシウム粉末及び水がそれぞれ100:5:25の重量比の構成が、後述する撹拌条件が安定的に米粒の中までに適用されてカルシウムを吸収するに効率的である。
【0027】
昇降回転の撹拌段階S400は、上記の撹拌設備の投入段階S300を通じ、撹拌設備1の内部、即ち、上記の撹拌ハウジング1aの内側に投入された有機農発芽玄米と天然由来の栄養液を上記の撹拌設備1を制御して一定温度と圧力及び電気の条件の下で、昇降回転撹拌されることにより米粒の中まで自家吸収させた栄養米を製造する段階であり、さらに効率的で安定的にカルシウムが吸収されるようにするために提供される条件を基準として、第1撹拌段階S400-1と第2撹拌段階S400-2の2段階に分けられて行われる。
【0028】
即ち、上記の昇降回転の撹拌段階S400は、36乃至40度の温度条件と真空に近い低圧条件、望ましくは0.05kgf/cm
2以下で上記の有機農発芽玄米と上記の天然由来の栄養液を30乃至90分間昇降回転撹拌させることにより、有機農発芽玄米の表層組職がカルシウムを容易く吸収できる環境を提供する第1撹拌段階S400-1と、第1撹拌段階S400-1を経ってカルシウムが吸収された状態を強化させるために、上記の撹拌ハウジング1aの内部に微細電流が流れるように3乃至8Vと、300乃至500mA、即ち0.9乃至4ワット(W)の電力、一番望ましくは 5v 400ma、2Wの電力を提供する電気条件と、高圧条件、即ち、約3乃至5kgf/cm
2の圧力条件の下で、上記の有機農発芽玄米と上記の天然由来の栄養液を90分乃至180分間、昇降回転撹拌させる第2撹拌段階S400-2からなるものである。
【0029】
乾燥段階S500は、上記の昇降回転の撹拌段階S400を経った米粒の中まで自家吸収させた栄養米を上記の撹拌設備1から排出させて温風で乾燥させる段階として、35乃至40度の温度で100乃至150分間温風で乾燥させるのが望ましい。
図3は、本発明の製造方法で製造した機能性米の顕微鏡の拡大写真である。
図3に示したように、上述した過程を通じ製造完了された米粒の中まで自家吸収させたカルシウム米は、カルシウム成分が米の表面にコーティングされるのではなく米内にカルシウムが含浸された状態で形成され、流通及び料理時に損失がほとんどなくカルシウム攝取量の調節が可能であり、また天然由来の栄養液の造成、撹拌条件などの単純変更により、米粒のカルシウム含有量の調節が容易となる。また、化学的な方法で製造されたカルシウム塩ではない天然カルシウムを利用することで、体内吸収率が容易となり、実質的に健康に役立つ。
上述した工程だけでも、本発明の目的達成には無理はないが、もっと優れた米粒の中まで自家吸収させた栄養米を製造するために、本発明の製造方法は有機農発芽玄米の前処理段階S200と不純物の除去段階S600とをそれぞれ含むことができる。
【0030】
有機農発芽玄米の前処理段階S200は、有機農発芽玄米の表面を酸化処理し、表面に酸素含有作用基を増加させることにより、上記の天然カルシウム粉末が有機農発芽玄米の表面でもっと高い確率に溶解されて、イオン化カルシウムとして米粒の中までに吸収されるようにするためのものであり、酸化剤を利用した湿式酸化、即ち有機農発芽玄米を酸化剤に室温で30分乃至2時間含浸させる過程からなる。上記の酸化剤は、上記の有機農発芽玄米が主食として利用される食品であるだけに、人体に有害な食酢水、クエン酸水を利用するのが望ましくて、特に、本発明では食酢と水がそれぞれ 1:10の重量比で混合された食酢水を利用した。
【0031】
このような有機農発芽玄米の前処理段階S200を通じ、表面に酸素含有作用基の増加された有機農発芽玄米は、上述した撹拌設備の投入段階S300で撹拌設備1へ投入されて次の段階に適用されて、撹拌ハウジング1aの内部に一緒に投入される天然由来の栄養液と有機農発芽玄米の表面が接触すれば、玄米表面部位でさらに効率的に天然カルシウムが溶解され、玄米表面にもっと多いイオン化カルシウムが浸透されることになる。不純物の除去段階S600は、上記の乾燥段階をすべて経って製造された米粒の中まで自家吸収させたカルシウム米を市販の包装紙の内部に挿入する直前に適用されるものであり、上記のカルシウム米の周辺に静電気を発生させて微細粉じんを捕集して除去する段階である。
【0032】
上記の不純物の除去段階S600のために、摩擦電気の発生装置、集塵シートなどが具備されなければならず、本段階を通じ微細粉じんの除去された米粒の中まで自家吸収させたカルシウム米は、より衛生的な状態で包装されることにより、消費者が米を洗わずにご飯を作っても安心できるように利便性を提供することができる。
【0033】
上記の不純物除去段階S600は、上記の乾燥段階S500の以降に遂行されることが望ましいが、上記の撹拌設備の投入段階S300の前に前処理過程として遂行されても構わないことは勿論である。
これまで説明したことのように、本発明による米粒の中まで自家吸収させた技術を利用した機能性米の製造方法を上記の説明及び図面で説明したが、これは例を挙げて説明したことに過ぎず、本発明の思想が上記の説明及び図面に限定されず、本発明の技術的思想より脱しない範囲内で多様な変化及び変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1:撹拌設備
1a:撹拌ハウジング
1b:回動シリンダー
S100:天然由来の栄養液の製造段階
S100-1:カルシウムの溶解段階
S200:有機農発芽玄米の前処理段階
S300:撹拌設備の投入段階
S400:昇降回転の撹拌段階
S400-1:第1撹拌段階
S400-2:第2撹拌段階
S500:乾燥段階
S600:不純物の除去段階
【手続補正書】
【提出日】2016年10月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法であって、
天然由来の栄養成分と水を混合して天然由来の栄養液を製造する天然由来の栄養液の製造段階と、
有機農発芽玄米100重量比に対して、前記の天然由来の栄養液20乃至40重量比を混合して、昇降回転が可能な円筒状の撹拌設備に投入する撹拌設備の投入段階と、
前記の撹拌設備を利用して、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を、一定の温度と圧力及び電気条件の下で、昇降回転撹拌させて米粒の中まで自家吸収させた栄養米を製造する昇降回転の撹拌段階と、
前記の昇降回転の撹拌段階を経た米粒の中まで自家吸収させた栄養米を前記の撹拌設備から排出させ、温風乾燥する乾燥段階と、
を含み、
前記の昇降回転の撹拌段階は、
36乃至40度の温度条件と0.05kgf/cm2以下の低圧条件の下で、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を、30乃至90分の間、昇降回転撹拌させる第1撹拌段階と、
前記の撹拌設備の内部に微細電流が流れるように電力を提供する電気条件と3乃至5kgf/cm2の高圧条件の下で、前記の有機農発芽玄米と前記の天然由来の栄養液を90分乃至180分の間、昇降回転撹拌させる第2撹拌段階と、
からなることを特徴とする、栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項2】
前記の電力は、1乃至3ワット(W)であることを特徴とする、請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項3】
前記の天然由来の栄養液の製造段階は、
天然カルシウム粉末と水を混合した後、30乃至40℃の温度において100乃至300 rpmで、15乃至20時間の間、溶解させるカルシウム溶解段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項4】
前記の天然カルシウム粉末は、
海藻カルシウム粉末、卵殻カルシウム粉末、貝殻粉末、かき皮粉末、ヒトデ粉末のいずれかの一つであること特徴とする、請求項3に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項5】
前記の製造方法は、
有機農発芽玄米の表面を酸化処理する有機農発芽玄米の前処理段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。
【請求項6】
前記の製造方法は、
前記の乾燥段階を経った栄養米の周辺に静電気を発生させて、前記の栄養米の表面の微細粉じんを捕集して除去する不純物の除去段階を、さらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の栄養成分を自家吸収させた機能性米の製造方法。