【解決手段】起床装置10は、利用者の体の下に配置される帯状部材BLTと、帯状部材BLTが上方に移動するように帯状部材BLTを巻き取る巻き取り部と、を備える。また、起床装置10は、帯状部材BLTの一端部を設置面から離れた高さ位置haにて支持する第1の支持部材126aと、巻き取り部を設置面から離れた高さ位置hbにて支持する第2の支持部材126bと、を更に備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、他人の睡眠を妨げることを抑制しつつ、利用者の起床を促すことができる起床装置及びカプセルベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る起床装置は、利用者の体の下に配置される帯状部材と、
前記帯状部材が上方に移動するように該帯状部材を巻き取る巻き取り部と、を備える。
【0006】
第1の発明に係る起床装置において、
前記帯状部材の一端部を設置面から離れた高さ位置にて支持する第1の支持部材と、
前記巻き取り部を前記設置面から離れた高さ位置にて支持する第2の支持部材と、を更に備え、
前記巻き取り部が、前記帯状部材の他端部側を巻き取ることが好ましい。
【0007】
第1の発明に係る起床装置において、
前記帯状部材を覆うカバーを更に備えることが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る起床装置において、
前記帯状部材に取り付けられた被検出部材と、
前記被検出部材を検出し、検出信号を出力する検出器と、
前記検出信号に基づいて、前記巻き取り部の動作を制御する制御部と、を更に備えることが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る起床装置において、
前記被検出部材が、金属体であり、
前記検出器が、近接センサであってもよい。
【0010】
第1の発明に係る起床装置において、
前記金属体が、前記帯状部材が前記設置面に近づく方向に力を加える負荷となっていてもよい。
【0011】
第1の発明に係る起床装置において、
前記帯状部材が前記設置面に近づく方向に力を加える負荷手段を更に備えた起床装置。
【0012】
第1の発明に係る起床装置において、
前記負荷手段が、ゴム紐であってもよい。
【0013】
前記目的に沿う第2の発明に係るカプセルベッドは、利用者の体の下に配置される帯状部材と、
前記帯状部材が上方に移動するように該帯状部材を巻き取る巻き取り部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、他人の睡眠を妨げることを抑制しつつ、利用者の起床を促すことができる起床装置及びカプセルベッドを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0017】
本発明の一実施の形態に係る起床装置10は、
図1に示すように、フレーム12、帯状部材BLT、及び駆動制御装置14を備えている。
フレーム12は、第1〜第3のフレーム部材121、122、123並びに第1及び第2の支持部材126a、126bを有し、第1〜第3のフレーム部材121、122、123の内側に寝具が敷かれる。
【0018】
第1のフレーム部材121は、一方向に延びる棒状の部材であり、利用者の頭部側に配置される。
第2のフレーム部材122は、第1のフレーム部材121の一端部から第1のフレーム部材121が延びる方向と交差する方向に延びる棒状の部材である。
第3のフレーム部材123は、第1のフレーム部材121の他端部から第2のフレーム部材122が延びる方向に延びる棒状の部材である。
【0019】
第1の支持部材126aは、第2のフレーム部材122の先端部に設けられ、起床装置10の設置面から離れた高さ位置haにて、帯状部材BLTの一端部を支持できる。
第2の支持部材126bは、第3のフレーム部材123の先端部に設けられ、起床装置10の設置面から離れた高さ位置hbにて、駆動制御装置14を支持できる。
【0020】
帯状部材BLTは、柔軟な帯状の部材である。帯状部材BLTは、平面視して、第1の支持部材126aから駆動制御装置14の筐体152の下側の面に形成された孔H1(
図2参照)に向かって、第1のフレーム部材121と平行となるように延びている。なお、ここに言う「平行」とは、厳密な意味での平行ではない。即ち、「平行」とは、設計上、製造上の誤差が許容され、「実質的に平行」という意味である。具体的には、例えば、−10度〜+10度の範囲内で帯状部材BLTが延びる方向と第1のフレーム部材121が延びる方向とが交差していてもよい。
帯状部材BLTは、利用者の体(例えば腰、大腿部、及び背中等)の下であって、敷かれる寝具の下側に配置されることが好ましい。
【0021】
帯状部材BLTの表面は、保護カバー22で覆われている。保護カバー22は、内部を帯状部材BLTが通る中空構造となっている。保護カバー22の一方の側の端部は、平面視して、第2のフレーム部材122に近接した位置(第2のフレーム部材122から例えば30〜100mmの位置)にある。保護カバー22の他方の側の端部は、帯状部材BLTが通る駆動制御装置14の孔H1を覆っている。
従って、保護カバー22により、帯状部材BLTの上面が直接寝具に接触することが抑制される。また、保護カバー22により、利用者の髪の毛等が帯状部材BLTに巻き込まれる可能性が低減される。
【0022】
保護カバー22の一方の側の端部には、第2のフレーム部材122に一端部が固定されたゴム紐(負荷手段の一例)24aが取り付けられている。また、保護カバー22の他方の側の端部より低い位置にある部分にも、第3のフレーム部材123に一端部が固定されたゴム紐24bが取り付けられている。
各ゴム紐24a、24bは、保護カバー22を介して帯状部材BLTが起床装置10の設置面に近づく方向に力を加えることができる。
帯状部材BLTの中央部よりも駆動制御装置14の側の表面又は裏面には、円形状の薄い第1の金属板(被検出部材又は金属体の一例)20a及び第2の金属板(被検出部材又は金属体の一例)20b(
図2参照)が設けられている。
【0023】
駆動制御装置14は、
図2及び
図3に示すように、巻き取り部142、モータ144、モータ制御部(制御部の一例)146、設定部148、及び近接センサ150を有している。なお、これら巻き取り部142、モータ144、モータ制御部146、設定部148、及び近接センサ150は、前述の孔H1が形成された筐体152に収納されている。
【0024】
巻き取り部142は、設置面から離れた高さ位置であって、孔H1の上方に配置されている。巻き取り部142は、第3のフレーム部材123(
図1参照)が延びる方向に延びる軸部AX(
図3参照)を有している。軸部AXには、帯状部材BLTの他端部が取り付けられており、軸部AXが回転することによって帯状部材BLTが巻き取られる。
【0025】
モータ144は、カップリング145を介して巻き取り部142の軸部AXを回転させることができる。モータ144には、減速機が内蔵されている。
【0026】
モータ制御部146は、モータ144に電気的に接続されている。モータ制御部146は、モータ144を駆動するための駆動指令を生成するとともに、この駆動指令に基づいてモータ144に駆動電流を出力し、モータ144を制御できる。従って、モータ制御部146は、モータ144を介して巻き取り部142の動作を制御できる。
【0027】
設定部148(
図2参照)は、モータ制御部146に電気的に接続され、予め設定された時刻にモータ144を動作させる指令を出力できる。設定部148は、時刻表示部148a及び時刻を設定するための設定ボタン148bを有している。
【0028】
近接センサ(検出器の一例)150は、モータ制御部146に電気的に接続され、帯状部材BLTに設けられた第1の金属板20a及び第2の金属板20bを検出できる。近接センサ150は、第1の金属板20a又は第2の金属板20bを検出すると、検出信号を出力する。
ここで、第1の金属板20aは、帯状部材BLTを巻き取る量を制限する位置にて近接センサ150によって検出されるように配置されている。また、第2の金属板20bは、帯状部材BLTが緩み、設置面に接触した初期位置にある状態で近接センサ150によって検出されるように配置されている。
従って、近接センサ150は、第1の金属板20aを検出することにより、帯状部材BLTが巻き取られる量を制限するリミッタとして機能する。また、近接センサ150は、第2の金属板20bを検出することにより、帯状部材BLTの初期位置に設定されたモータ144の原点位置を検出するための原点検出センサとしても機能する。
【0029】
次に、起床装置10の動作方法について説明する。起床装置10は、以下に示すステップS1〜ステップS5に従って動作する。
(ステップS1)
帯状部材BLTが緩み、設置面に接触した初期位置にある状態(モータ144の回転位置が原点位置となっている状態)において、利用者が、起床したい時刻を設定ボタン148b(
図2参照)を用いて設定する。
設定後、利用者が、帯状部材BLTの上に敷かれた寝具の上で就寝する。帯状部材BLTは、例えば利用者の腰の下であって、利用者が寝る寝具の下側に配置される。
【0030】
(ステップS2)
設定された時刻になると、設定部148が指令(信号)を出力する。この指令は、モータ制御部146(
図3参照)に入力される。モータ制御部146は、駆動指令を生成するとともに、この駆動指令に基づいてモータ144に駆動電流を出力し、モータ144を駆動する(正転させる)。モータ144が駆動されると巻き取り部142が回転し、矩形状の孔H1を通る帯状部材BLTが巻き取られる。
その結果、帯状部材BLTが全体として上方に移動し、帯状部材BLTによって、就寝中の利用者の体が寝具とともに持ち上げられる。
【0031】
(ステップS3)
帯状部材BLTが更に巻き取られると、近接センサ150が帯状部材BLTとともに移動した第1の金属板20aを検出し、検出信号を出力する。検出信号は、モータ制御部146に入力され、モータ制御部146は、モータ144を逆転させる。モータ144が逆転すると巻取り部142は巻き取った帯状部材BLTを送り出す。
その結果、帯状部材BLTが全体として下方(起床装置10の設置面に近づく方向)に移動し、持ち上げられた利用者の体が降ろされる。
【0032】
(ステップS4)
帯状部材BLTが更に送り出されると、近接センサ150が帯状部材BLTとともに移動した第2の金属板20bを検出し、検出信号を出力する。検出信号は、モータ制御部146に入力され、モータ制御部146は、モータ144の回転方向を変え、正転させる。モータ144が正転すると巻き取り部142が回転し、矩形状の孔H1を通る帯状部材BLTが巻き取られる。
その結果、再び帯状部材BLTが全体として上方に移動し、帯状部材BLTによって、就寝中の利用者の体が寝具とともに持ち上げられる。
【0033】
以降、起床装置10は、ステップS3及びステップS4(帯状部材BLTの巻き取り及び送り出し)を繰り返す動作(以下、「起床動作」という。)を実行することにより、利用者は体が上下に振られ、起床が促される。
【0034】
起床動作は、利用者を揺さぶるように小刻みに上下させる動作であってもよい。また、起床動作は、モータ制御部146が、モータ144の回転量(巻き取り部142が帯状部材BLTを巻き取る量及び送り出す量)を徐々に増加させ、時間経過とともに、利用者の体を上下させる量を増大させる動作であってもよい。
このような小刻みに上下させる起床動作や、上下させる量を徐々に増大させる起床動作によれば、利用者をより快適に目覚めさせることができる。
【0035】
なお、帯状部材BLTには保護カバー22が設けられているので、帯状部材BLTが上下に移動することを繰り返しても、帯状部材BLTとの摩擦により寝具が傷むことが抑えられる。また、保護カバー22により、利用者の髪の毛等が帯状部材BLTに巻き込まれる可能性が低減される。
【0036】
(ステップS5)
利用者がボタン30を押すと、帯状部材BLTは初期位置に移動し、帯状部材BLTの巻き取り及び送り出しが停止する。ボタン30が押されなかった場合には、予め決められた時間(例えば1分)が経過すると帯状部材BLTは初期位置に移動し、帯状部材BLTの巻き取り及び送り出しが停止する。
なお、ゴム紐24a、24bが、保護カバー22を介して帯状部材BLTが設置面に近づく方向に力を加えているので、利用者が寝ておらず、利用者の体重による負荷が帯状部材BLTに加わっていない状態であっても帯状部材BLTは初期位置に戻される。
【0037】
このように、起床装置10によれば、目覚まし時計のようにアラーム音を発することがないので、他人の睡眠を妨げることを抑制しつつ、利用者の起床を促すことができる。
また、起床装置10は、例えば、カプセルホテルの既存のカプセルベッドのような狭い空間に収まるように設置することも可能である。
【0038】
なお、カプセルベッド自体が、起床装置10の機能を有していてもよい。具体的には、カプセルベッドが、利用者の体の下に配置される帯状部材と、帯状部材が上方に移動するように帯状部材を巻き取る巻き取り部と、を備えていてもよい。この場合、カプセルベッドは、帯状部材の一端部を利用者が寝るベッド表面から離れた高さ位置にて支持する第1の支持部材と、巻き取り部をベッド表面から離れた高さ位置にて支持する第2の支持部材と、を更に備え、これら第1の支持部材及び第2の支持部材が、それぞれカプセルベッドの内壁面の外側(壁面の内部)に設けられていることが好ましい。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
前述の実施の形態のステップS3及びステップS4においては、第1の金属板20a及び第2の金属板20bが検出されることによって、モータ144の正転及び逆転の動作が繰り返されていたが、予め決められた時間が経過したことが判断されることによって、モータ144の正転及び逆転の動作が繰り返されてもよい。
【0040】
前述の実施の形態にて示した起床装置10のフレーム12に、床面へと延びる脚部を設けることにより、例えば一般家庭やビジネスホテル等にて使用される既存のベッドに設置することも可能である。
【0041】
負荷手段は、ゴム紐に限定されるものではない。すなわち、帯状部材が設置面に近づく方向に力を加える負荷手段であれば任意でよく、他の負荷手段として、例えばコイルばねや、帯状部材に取り付けられた重りが挙げられる。
また、第1の金属板が予め決められた値以上の重量を有し、帯状部材が設置面に近づく方向に力を加える負荷となっていてもよい。