(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-63761(P2017-63761A)
(43)【公開日】2017年4月6日
(54)【発明の名称】海藻を防御する人工藻場
(51)【国際特許分類】
A01K 61/73 20170101AFI20170317BHJP
A01K 61/75 20170101ALI20170317BHJP
【FI】
A01K61/00 315
A01K61/00 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-196797(P2015-196797)
(22)【出願日】2015年10月2日
(71)【出願人】
【識別番号】715009260
【氏名又は名称】佐藤 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】和田 恵
【テーマコード(参考)】
2B003
【Fターム(参考)】
2B003AA01
2B003AA03
2B003BB03
2B003BB06
2B003BB08
2B003EE04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】耐久性と安定性に優れ施工が容易で、海藻が磯焼けを起こさず繁茂し続けるよう、ウニや植食性魚類の摂餌行動から、海藻を防御する人工藻場を提供する。
【解決手段】基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板を海中に没し海底から乖離させ海中に保持し、自らも海中に没している基板保持手段と海底に設置した固定手段9を有する人工藻場、また、別途、上記人工藻場の海藻育成基板とその上部空間を覆い囲むように魚網を取り付ける。基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板と固定手段9をウニが登上しにくい直径範囲のロープ11で接続し海藻育成基板が海中に没し海底から乖離させ海中に保持されることから、波の影響を受けずに安定性が高く劣化しない人工藻場としている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻の付着、育成することを目的に設置する人工藻場において、
藻類の胞子が付着、生育が可能で、藻類の地下茎や根を安定して張ることが可能な海藻育成基板
と、
前記海藻育成基板を海底から乖離させ海中に保持し、自らも海中に没している基板保持手段と、
前記基板保持手段を保持するために海底に設置した固定手段を有し、
前記基板保持手段として非剛性材質からなる基板保持手段を含み、
前記海藻育成基板と前記固定手段を接続して成ることを特徴とする海藻を防御する人工藻場。
【請求項2】
請求項1記載の海藻を防御する人工藻場において、
前記基板保持手段が、海水より比重の軽い基板浮上手段と、
ロープから成り、
前記海藻育成基板を海底から乖離させ海中に保持する為に、
前記海藻育成基板に前記基板浮上手段を取り付け、
前記海藻育成基板と前記固定手段をロープで接続して成ることを特徴とする海藻を防御する人工藻場。
【請求項3】
請求項1記載の海藻を防御する人工藻場において、
前記基板保持手段が前記固定手段に1つ以上設置した支柱と、
ロープから成り、
前記海藻育成基板を海底から乖離させ海中に保持する為に、
前記海藻育成基板と前記支柱の前記固定手段と反対側の部位をロープで接続すると共に、
前記海藻育成基板と前記固定手段をロープで接続して成ることを特徴とする海藻を防御する人工藻場。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載の海藻を防御する人工藻場において、
前記ロープは直径1mm〜14mmであることを特徴とする海藻を防御する人工藻場。
【請求項5】
請求項2に記載する海藻を防御する人工藻場において、
前記海藻育成基板より大きいフェンス枠と、
海水より比重の軽いフェンス浮上手段と、
漁網と、
を有し、
前記海藻育成基板の位置より海底から所定の距離範囲内の上部に前記フェンス浮上手段で浮上させたフェンス枠を設置し、
前記漁網を前記フェンス枠及び前記海藻育成基板を含む空間を覆い囲むようにして成ることを特徴とする海藻を防御する人工藻場。
【請求項6】
請求項3に記載する海藻を防御する人工藻場において、
前記海藻育成基板より大きいフェンス枠と、
漁網と、
を有し、
前記海藻育成海藻基板の位置より海底から所定の距離範囲内の上部に前記フェンス枠を設置し、
前記漁網をフェンス枠および海藻育成基板を含む空間を覆い囲むようにして成ることを特徴とする海藻を防御する人工藻場。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の海藻を防御する人工藻場において、
前記漁網は網目□5cm〜□7cmであることを特徴とする海藻を防御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類の胞子が付着、育成が可能な海藻育成基盤に係わり、より詳しくは、耐久性と安定性に優れ施工が容易で、人工藻場の海藻が磯焼けを起こさず繁茂し続けるよう、ウニや植食性魚類の摂餌行動から、海藻を防御する人工藻場の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水産資源でもある全国各地の天然藻場は、沿岸整備や埋め立て、また、水質汚染、さらに、植食性動物の海藻摂餌量の変化に伴う磯焼け等により減少して来ている。天然藻場の減少は、沿岸漁業低迷の一因ともなっている。
【0003】
このため、藻場復元を目的として人工藻場造成が実施されてきている。従来の人工藻場造成方法は、ブロック製の人工藻場を海底に設置する岩礁性の人工藻場造成法(例えば、特許文献1〜4参照)が見られる。
【0004】
しかしながら、これら従来方法では、ウニやアイゴを始めとする植食性魚類の人工藻場内への侵入が容易で、海藻が繁茂し始めるとウニや植食性魚類の摂餌行動により磯焼けを起こし天然藻場同様の機能が発揮出来ていない事例が多々報告されている。
【0005】
また、従来のウニによる磯焼け対策は、造成した人工藻場全体、若しくはブロック製の人工藻場をフェンスで覆う方法(例えば、特許文献5参照)やブロック製の人工藻場に硬い棒による侵入防止柵を取り付ける方法(例えば、特許文献6参照)また、ブロックに円柱形状の構造物を取付け、これを人工藻場とする方法(例えば、特許文献7〜8参照)が取られている。
【0006】
しかしながら、ウニは、棘と棘の間の殻の表面から伸びた無数の管足と棘で移動するため、ガラスの垂直面や漁網フェンスをよじ登る事が知られている。また、ウニの棘の根元は、殻に固定されておらず、根元から折り曲げられることから狭い隙間に入り込むことができ、漁網フェンス内に侵入することも確認されている。
【0007】
したがって、従来のウニ対策として人工藻場をフェンスで覆う方法や人工藻場への侵入防止柵及び円柱形状の構造物を設けた人工藻場は、ウニの食害を完全に防ぐことが出来ない。また、人工藻場への侵入防止柵及び円柱形状の構造物を設けた人工藻場は、植食性魚類に対する防御が講じられていない。
【0008】
また、海面上に浮かせたブイ(本願明細書では、人工藻場を浮かせるブイやフロート、浮き球等を総称してブイと云う)で人工藻場を海中に浮遊させる人工藻場造成方法(例えば、特許文献9〜11参照)がある。
【0009】
しかしながら、人工藻場造成海域は、悪天候時には、波高3m〜4mの波が沿岸に打ち寄せる。
また、台風や冬季風浪時には、波高が5m〜7mの波、まれに10mの波が沿岸に打ち寄せる。さらに、沿岸に打ち寄せる波にくらべその沖合の波は、沿岸の2倍以上の波高になる。このため、海面上に浮かせたブイは激しく動き、ブイに接続されて海中に浮遊している人工藻場も、波の影響を受け大きく動揺、ねじれるために、ブイと人工藻場を接続するロープの劣化が早まるという欠点がある。
一方、海面下1m以浅の構造物は、紫外線の影響で劣化が進行することも判明しており
海面下1m以浅の構造物であるブイやロープの紫外線による劣化が早まるという欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−000089号公報
【特許文献2】特開2010−110243号公報
【特許文献3】特開2007−116908号公報
【特許文献4】特開2005−871119号公報
【特許文献5】特開2008−054635号公報
【特許文献6】特開2008−173059号公報
【特許文献7】特開2011−045341号公報
【特許文献8】特開2009−072164号公報
【特許文献9】特開2011−000010号公報
【特許文献10】特開2008−061509号公報
【特許文献11】特開2002−000113号公報
【発明の概要】
【0011】
従来の人工藻場造成ではブロック製の人工藻場を海底に設置することで岩礁性の人工藻場造成するようになっていたので、ウニやアイゴを始めとする植食性魚類の人工藻場内への侵入を防ぐことが出来ず、磯焼けを起こすという課題がある。
【0012】
また、造成した人工藻場全体、若しくはブロック製の人工藻場をフェンスで覆う方法やブロック製の人工藻場に硬い棒による侵入防止柵を取り付ける方法、また、ブロックに円柱形状の構造物を取付け、これを人工藻場とする方法では、ウニの侵入を防ぐことができず、海藻のウニによる食害が発生するという課題がある。
【0013】
更に、人工藻場をブイで海中に浮遊させる人工藻場造成方法では、波の影響を受けやすく、また、海面下の浅い位置では太陽光の紫外線による人工藻場の劣化が促進されるという課題がある。
【0014】
そこで、本発明は上述した問題点を解決するために、海藻基板及び基板保持手段を水面下の所定の深さの海中に設置し、耐久性と安定性に優れ施工が容易で、人工藻場の海藻が磯焼けを起こさず繁茂し続けるよう、ウニや植食性魚類の摂餌行動から、海藻を防御する人工藻場の構造に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は、請求項1に記載するように、海藻の付着、育成することを目的に設置する人工藻場において、藻類の胞子が付着、生育が可能で、藻類の地下茎や根を安定して張ることが可能な海藻育成基板と、前記海藻育成基板を海底から乖離させ海中に保持し、自らも海中に没している基板保持手段と、前記基板保持手段を保持するために海底に設置した固定手段を有し、前記基板保持手段として非剛性材質からなる基板保持手段を含み、前記海藻育成基板と前記固定手段を接続して成るようにしている。
【0016】
また、請求項2に記載するように、請求項1記載の海藻を防御する人工藻場において、前記基板保持手段が、海水より比重の軽い基板浮上手段と、ロープから成り、前記海藻育成基板を海底から乖離させ海中に保持する為に、前記海藻育成基板に前記基板浮上手段を取り付け、前記基板浮上手段を取り付けた海藻育成基板と前記固定手段をロープで接続して成るようにしている。
【0017】
更に請求項3に記載するように、請求項1記載の海藻を防御する人工藻場において、前記基板保持手段が前記固定手段に1つ以上設置した支柱と、ロープから成り、前記海藻育成基板を海底から乖離させ海中に保持する為に、前記海藻育成基板と前記支柱の前記固定手段の反対側の部位をロープで接続すると共に、前記海藻育成基板と前記固定手段をロープで接続して成るようにしている。
【0018】
また、請求項4に記載するように、ロープは、直径1mm〜14mmで、ウニの登上を防ぎ海藻を防御するようにしている。
【0019】
次に請求項5に記載するように、請求項2の海藻を防御する人工藻場において、前記海藻育成基板より大きいフェンス枠と、海水より比重の軽いフェンス浮上手段と、漁網とを有し、前記基板浮上手段を取り付けた海藻育成基板の位置より、海底から所定の距離範囲内の上部に、前記フェンス浮上手段で浮上させたフェンス枠を設置し、前記漁網を前記フェンス枠及び前記基板浮上手段を取り付けた海藻育成基板を含む空間を覆い囲むようにして成るようにしている。
【0020】
また、請求項6に記載するように、請求項3に記載する海藻を防御する人工藻場において、前記海藻育成基板より大きいフェンス枠と、漁網とを有し、前記海藻育成海藻基板の位置より、海底から所定の距離範囲内の上部に前記フェンス枠を設置し、前記漁網をフェンス枠および海藻育成基板を含む空間を覆い囲むようにして成るようにしている。
【0021】
最後に請求項7に記載するように、漁網は、網目□5cm〜□7cmで、植食性魚類の成魚から海藻を防御するようにしている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載するように、海藻育成基板は、海中に没し海底から乖離され海中に保持されるように設置する。
一方、沿岸に打ち寄せる波浪は、例えば台風時で波高5mの場合、海面上2・5m、海面下2・5mで海面と平行な楕円運動をしており、海面上が最も大きな楕円運動で、水深が深くなるにつれて楕円運動が急激に小さくなる為、海中に没した構造物への影響力も非常に小さくなる。
また、海面下1m以上の水深の構造物は、紫外線の影響を受けず劣化が進行しないことが判明している。
これらのことから、人工藻場は、波浪の影響が小さく安定性に優れ、紫外線の影響による劣化を起さず、人工藻場の耐久性が向上する。
【0023】
請求項2に記載するように、海藻育成基板が、基板浮上手段を取付、固定手段と基板保持手段のロープで海藻育成基板が海底から乖離させ海中に保持し設置される為、簡単な構造で施工が容易であり人工藻場の受ける波の影響が小さく安定性に優れ、紫外線の影響による劣化を起さず、人工藻場の耐久性が向上する。
【0024】
請求項3に記載するように、海藻育成基板と固定手段に設置した支柱、また、固定手段、並びに、支柱の固定手段反対側の部位の各々を基板保持手段のロープで海藻育成基板が海底から乖離させ海中に保持し設置する為、簡単な構造で施工が容易であり、藻場造成海域に波が強く作用する場合においても、波に対して安定性に優れ、紫外線の影響による劣化を起さず、人工藻場の耐久性が向上する。
【0025】
請求項4に記載するように海藻を防御する人工藻場は、直径1mm〜14mmのロープを使用することから、人工藻場へのウニの侵入を防止しウニから海藻を防御する。
【0026】
請求項5に記載するよう請求項2の人工藻場において、基板浮上手段を取り付けた海藻育成基板と浮上手段を有したフェンス枠との空間を漁網が覆い囲むように取り付けている為、海藻育成基板内の海藻をウニや植食性魚類の食害から防御する、と共に、施工が容易で、波に対する安定性に優れ、紫外線の影響による劣化を起さず、人工藻場の耐久性が向上する。
【0027】
請求項6に記載するよう請求項3の人工藻場において、海藻育成基板とフェンス枠との空間を覆い囲むようにとりつけている為、海藻育成基板内の海藻をウニや植食性魚類の食害から防御すると共に、施工が容易で、波に対する安定性に優れ、紫外線の影響による劣化を起さず、人工藻場の耐久性が向上する。
【0028】
請求項7に記載するように海藻を防御する人工藻場は、網目□5cm〜□7cmの漁網を使用する為、稚魚の生育環境機能を保持して人工藻場への植食性魚類の成魚の侵入を防止し植食性魚類の成魚から海藻を防御する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1の人工藻場の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例2の人工藻場の斜視図である。
【
図3】
図3は、ロープの直径の違いによるウニの登上率を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例3の人工藻場の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例4の人工藻場の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0031】
図1は、本発明の実施例1の海藻を防御する人工藻場の斜視図である。
海藻の付着・生育が可能な基板1を1枚又は複数枚間隔開けて並べ、固定具2で固定し海藻育成基板3とし、海藻育成基板3に基板浮上手段4を取り付ける。
基板浮上手段4としては、水より比重の軽いブイを用いることが出来る。
基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3より大きい固定手段9は、
図1に示すように長方形空洞枠のアンカーブロックを用いることが出来、これを海底に設置する。
固定手段9に取り付けた取付具8と海藻育成基板3に取り付けた取付具13を基板保持手段として非剛性体のロープ11で接続し海藻育成基板3が海底から乖離させ海中に保持されるように設置する。
この場合、基板保持手段のロープ11を
図3に示すように直径14mm以下にすることで、海藻育成基板内へのウニの侵入を妨げ、海藻育成基板内の海藻をウニの食害から防御する。
基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3は、海中に没し、海底から乖離させ海中に保持されるように設置する為、波浪の影響が小さく安定性が高い。
また、基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3は、基板1を間隔開けて並べ隙間を有している為、波浪の楕円運動の上下方向の波力が隙間を抜けるようになり、より一層、波浪の影響が小さく安定性が高まる。
さらに、海中の所定の深さに没するように設置しているので紫外線の影響による劣化が起こらず、耐久性が高い。
海藻を防御する人工藻場は、隙間を有した海藻育成基板3と固定手段9の長方形の空洞枠のアンカーブロックと基板保持手段のロープ11から成るので海中設置において海水の抵抗を受けない、さらに、海藻を防御する人工藻場は、水上で取り扱う時、固定手段9を保持してハンドリングするだけで良く施工が容易である。
【0032】
図2は、本発明の実施例2の海藻を防御する人工藻場の斜視図である。
海藻の付着・生育が可能な基板1を1枚又は複数枚間隔開けて並べ、固定具2で固定し海藻育成基板3とし、海藻育成基板3より大きい固定手段9に1つ以上の基板保持手段の1つとして支柱12を立てて海底に設置する。
固定手段9に取り付けた取付具8と海藻育成基板3に取り付けた取付具13、並びに、固定手段9の支柱12の固定手段9の反対側の部位に取り付けた取付具16とを基板保持手段の一つであるロープ11で各々接続し、海藻育成基板3が海底から乖離させ海中に保持するように設置する。
この場合、ロープ11を
図3に示すように直径14mm以下にすることで、海藻育成基板内へのウニの侵入を妨げ、海藻育成基板内の海藻をウニの食害から防御する。
海藻育成基板3は、海中に没し、海底から乖離させ海中に保持されるように設置することから波浪の影響が小さく安定性が高い。
また、海藻育成基板3は、基板1を間隔開けて並べ隙間を有していることから、波浪の楕円運動の上下方向の波力が隙間を抜けるようになり、より一層、波浪の影響が小さく安定性が高まる。
さらに、海中の所定の深さに没するように設置しているので紫外線の影響による劣化が起こらず、耐久性が高い。
海藻を防御する人工藻場は、隙間を有した海藻育成基板3と固定手段7の長方形の空洞枠のアンカーブロックと基板保持手段10の一つであるロープ11から成っている為、設置において海水の抵抗を受けない、さらに、海藻を防御する人工藻場は、水上で取り扱う時、固定手段9を保持してハンドリングするだけで良く施工が容易である。
【0033】
図3はロープの直径の違いによるウニの登上率を示す図である。図からロープの直径を14mm以下にすることでウニの登上を著しく低下させことが出来、このようなロープを使用することで海藻育成基板内の海藻をウニによる食害から防御出来るようになる。
【0034】
図4は本発明の実施例3の海藻を防御する人工藻場の斜視図である。
図4では図示していないが漁網フェンス内に基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3が存在している。
基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3より大きい外枠であるフェンス枠14に浮力を有するブイ15を1つ以上取りつけ、ブイ付フェンス枠16と実施例1の海藻を防御する人工藻場の基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3との距離が所定距離以上となるように、漁網17をブイ付フェンス枠16及び実施例1の海藻を防御する人工藻場の基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3を含む空間を覆い囲むように取り付けて、海藻を防御する人工藻場としている。
この様にすることで、海藻育成基板内へ植食性魚類の侵入を妨げ、また基板保持手段10のロープ11を
図3に示すように直径14mm以下にすることで、海藻育成基板内へのウニの侵入を防ぐ為、海藻育成基板内の海藻をウニや植食性魚類の食害から防御する。
基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3は、海中に没し、海底から乖離させ海中に保持されるよう設置することから波浪の影響が小さく安定性が高い。
また、基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板3は、基板1を間隔開けて並べ隙間を有していることから、波浪の楕円運動の上下方向の波力が隙間を抜けるようになり、より一層、波浪の影響が小さく安定性が高まる。
さらに、海中の所定の深さに没するように設置しているので紫外線の影響による劣化が起こらず、耐久性が高い。
海藻を防御する人工藻場は、隙間を有した基板浮上手段4を取り付けた海藻育成基板5と固定手段9の長方形の空洞枠のアンカーブロックとロープ11から成っている為、海中設置において海水の抵抗を受けない、さらに、海藻を防御する人工藻場は、水上で取り扱う時、固定手段9を保持してハンドリングするだけで良く施工が容易である。
【0035】
図5は本発明の実施例4の海藻を防御する人工藻場の斜視図である。
図5では図示していないが漁網フェンス内に海藻育成基板3が存在している。
海藻育成基板3より大きい外枠であるフェンス枠14と実施例2の海藻を防御する人工藻場の海藻育成基板3との距離が所定の距離以上となるように漁網17をフェンス枠14及び実施例2の海藻を防御する人工藻場の海藻育成基板3を含む空間を覆い囲むように実施例2の海藻を防御する人工藻場の海藻育成基板3に取り付けて、フェンス枠14に設置した取付具18と実施例2の海藻を防御する人工藻場の基板保持手段の1つとしての支柱12の固定手段9のアンカーブロックの反対側の端部に設置した取付具16を基板保持手段10のロープ11で接続し、海藻を防御する人工藻場としている。
この様にすることで、海藻育成基板内へ植食性魚類の侵入を妨げ、また、ロープ11を
図3に示すように直径14mm以下にすることで、海藻育成基板内へのウニの侵入を防ぐ為、海藻育成基板内の海藻をウニや植食性魚類の食害から防御する。
海藻育成基板3は、海中に没し、海底から乖離させ海中保持される様に設置する為、波浪の影響が小さく安定性が高い。
また、海藻育成基板3は、基板1を間隔開けて並べ隙間を有している為、波浪の楕円運動の上下方向の波力が隙間を抜けるようになり、より一層、波浪の影響が小さく安定性が高まる。
さらに、海中の所定の深さに没するように設置しているので紫外線の影響による劣化が起こらず、耐久性が高い。
海藻を防御する人工藻場は、隙間を有した海藻育成基板3と固定手段9の長方形の空洞枠のアンカーブロックとロープ11から成っている為、海中設置において海水の抵抗を受けない、さらに、海藻を防御する人工藻場は、水上で取り扱う時、固定手段9を保持してハンドリングするだけで良く施工が容易である。
【0036】
本発明の実施例4及び実施例5で使用する漁網17を網目□5cm〜□7cmとすることで、海藻育成基板内に魚類の成魚の侵入を防ぐが、稚魚の進入を許すため、天然藻場と同様に稚魚の生育環境の保持ができ、海藻育成基板内の海藻を植食性魚類成魚からの食害を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
人工藻場造成事業で人工藻場造成の核となる海藻の付着・生育・繁茂する基盤として活用できる。
【符号の説明】
【0038】
1、基板
2、固定具
3、海藻育成基板
4、基板浮上手段
8、取付具
9、固定手段
11、ロープ
12、支柱
13、取付具
14、フェンス枠
15、ブイ
16、取付具
17 漁網
18、取付具