【解決手段】組立時に上下に対向するカバー2、3及びそれらカバー間に配置されるスリーブ1を具備してなり、物品を収容しない非使用時にスリーブ1を略板状体の形状に折り畳み可能であり、折り畳んだスリーブ1をカバー2、3に重ねたときにそのスリーブ1の上下寸法及び左右寸法がカバー2、3の内に収まるようなスリーブコンテナCであって、上下のカバー2、3の周縁部に、スリーブ1の上端部または下端部と係合してスリーブを保定するスリーブ保定溝を形成しており、スリーブ1に、組立時において上下のカバー2、3を取り付けた状態で開閉自在でありその上端部が上方のカバー3のスリーブ保定溝に係合する扉部12を設けているスリーブコンテナCを構成した。
スリーブ、扉部またはカバーに、組立時において扉部が当該スリーブコンテナの内側に向かって倒れ込まないよう扉部を支持するストッパを設けている請求項4記載のスリーブコンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図12に示すように、本実施形態のスリーブコンテナCは、全体として物品収容空間を囲繞する角筒状をなすスリーブ1と、スリーブ1の下方の開口端を閉塞して物品収容空間の底(または、床)を構築する下方のカバーたるレッグパレット2と、スリーブ1の上方の開口端を閉塞して物品収容空間の天井を構築する上方のカバーたるトップカバー3とを構成要素とする。
【0016】
スリーブ1(の周壁部11及び扉部12)は、合成樹脂製のプラスチック中空板を主たる材料として作製する。
図6ないし
図9に示すように、このプラスチック中空板は、例えば有底円筒状の多数の中空の突起を成形したキャップシート1aと、キャップシート1aの内面側に接合した平板なバックシート1bと、キャップシート1aの外面側に接合した平板なライナーシート1cとが三層構造をなす、つまりはバックシート1bとライナーシート1cとでキャップシート1aを挟んだ構造の、軽量かつ必要十分な剛性を有したプラスチック気泡ボードである。
【0017】
スリーブ1は、物品収容空間の後壁111、左右の側壁112及び前壁の左右両側部113を構築する周壁部11と、物品収容空間の前壁の(左右両側部113を除く)大部分を構築するとともに物品収容空間の前方に開口する物品出入口を開閉する扉部12とを有している。本実施形態では、スリーブ1の周壁部11と扉部12とが互いに独立した別体の部材となっている。
【0018】
周壁部11の後壁111と左右の側壁112との間、及び側壁112と前壁の側部113との間は、それぞれコーナーヒンジ114を介して接続している。加えて、左右の側壁112の前後方向の中間部位には、センターヒンジ115を設けている。コーナーヒンジ114及びセンターヒンジ115は、略垂直方向に沿って伸びており、スリーブ1の周壁部11を折り曲げて畳むときの折曲稜線となり得る。即ち、
図11に示すように、周壁部11をコーナーヒンジ114に沿って山折りし、かつセンターヒンジ115に沿って谷折りすることにより、当該周壁部11を平面視方形状をなす略板状体の形に折り畳んでコンパクト化することが可能である。
図12に示すように、折り畳んだ周壁部11及び扉部12はそれぞれ、レッグパレット2やトップカバー3に重ねたときにその上下寸法及び左右寸法がこれらの内に収まるようになっている。従って、本スリーブコンテナCの非使用時には、スリーブ1をレッグパレット2とトップカバー3との間に収納することができる。
【0019】
レッグパレット2及びトップカバー3は、二枚の熱可塑性の合成樹脂シート素材を第一の型及び第二の型によりそれぞれ真空成形した上で相互に溶着させて接合するツインシート成形により作製する。レッグパレット2は、平面視方形状の外形をなすとともに、その四方の隅角部及び隣り合う隅角部の中間部位21が下方に大きく凹み、他の部位の下縁と比較して下方に突出している。これら突出部分が、本スリーブコンテナCの脚部21となる。また、レッグパレット2における脚部21以外の部位の下縁が、脚部21の下面よりも浮上することとなり、当該下縁の直下にフォークリフトのフォークを差し入れるための空隙が形成される。
【0020】
さらに、
図2、
図3及び
図9に示すように、レッグパレット2の外周壁のすぐ内側に、レッグパレット2の外周縁に沿って前後または左右に延伸しつつ下方に凹むスリーブ保定溝22を成形してある。スリーブ保定溝22は、スリーブ1の周壁部11及び扉部12の下端部を受け容れて保定するためのものである。スリーブ保定溝22は、当該レッグパレット2の四方の隅角部及び隣り合う隅角部の中間部位においては、脚部21の内部空間と一体化している。そして、
図3に示すように、スリーブ保定溝22の底は、レッグパレット2の四方の隅角部及び隣り合う隅角部の中間部位221においてより深く(下方に)、それ以外の部位222においてはより浅く(上記の部位221よりも上方に)なっている。
【0021】
トップカバー3は、平面視レッグパレット2の外形に略等しい方形状の外形をなす。トップカバー3の四方の隅角部及び隣り合う隅角部の中間部位には、上方に突出する比較的小形の係合突起31を成形している。各係合突起31は、複数個のパレットコンテナCを段積みする場合に、上に積まれるパレットコンテナCの各脚部21の下面に予め形成した凹穴(図示せず)と係合して、パレットコンテナC同士を相対的に位置決めする。また、トップカバー3における係合突起31の周囲の平坦面32が、上に積まれるパレットコンテナCの脚部21を直接載せ置くための載置面部となる。
【0022】
図5ないし
図7及び
図9に示すように、トップカバー3の下面側にあって、当該トップカバー3の外周壁のすぐ内側には、トップカバー3の外周縁に沿って前後または左右に延伸しつつ上方に凹むスリーブ保定溝33を成形してある。スリーブ保定溝33は、スリーブ1の周壁部11及び扉部12の上端部を受け容れて保定するためのものである。
【0023】
本スリーブコンテナCを組み立てるに際しては、折り畳まれていたスリーブ1の周壁部11を平面視略冂字形をなすように展開し、その周壁部11の下端部及び扉部12の下端部をレッグパレット2のスリーブ保定溝22に挿入して保持させることで、スリーブ1の下方にレッグパレット2を組み付ける。スリーブ1の周壁部11の下端縁は全体的に平坦ではなく、四方の隅角部及び隣り合う隅角部の中間部位が、その他の部位よりも下方に突出した突片116となっている。
図3に示しているように、これらの突片116は、スリーブ保定溝22におけるより底の深い部位221、即ちレッグパレット2の脚部21の内部空間に差し入る。周壁部11の下端部における突片116以外の部位は、スリーブ保定溝22のより底の浅い部位222、即ち隣り合う脚部21の間に形成されている凹溝に差し入る。前壁の側部113を構築する部位の下端部もまた突片116となっており、脚部21の内部空間に差し入ることとなって、スリーブ保定溝22における底の浅い部位222には侵入しない。このような構造により、後壁111、左右の側壁112及び前壁の左右の側部113を、レッグパレット2に対して正しく位置づけることができ、前壁の側部113が本来あるべき位置よりも内側方にずれてしまうようなことが回避される。
【0024】
これに対し、扉部12の下端縁は平坦であり、周壁部11における突片116以外の部位の下端縁と略同等の高さ位置にあって、スリーブ保定溝22におけるより底の浅い部位222に差し入る一方、脚部21の内部空間に入り込むことはない。
【0025】
しかる後、スリーブ1の周壁部11の上端部及び扉部12の上端部をトップカバー3のスリーブ保定溝33に挿入して保持させることで、スリーブ1の上方にトップカバー3を組み付ける。スリーブ1の周壁部11の上端縁は全体的に略平坦であって、周壁部11の上端縁と扉部12の上端縁とは略同等の高さ位置にある。
【0026】
本実施形態のスリーブコンテナCには、スリーブ1とトップカバー3及びレッグパレット2とを脱離不能に結合するためのロック機構を実装している。トップカバー3側のロック機構の仕組みとレッグパレット2側のロック機構のそれとは基本的に同じであり、また公知でもあるので、トップカバー3側のロック機構については図示するとともに、レッグパレット2側のロック機構については図示を省いている。
【0027】
図2、
図3、
図6及び
図7に示すように、スリーブ1の周壁部11及び扉部12の上端部及び下端部には、スリーブ1を貫通する係合孔117、121を形成してある。図示例では、後壁111の上下端部に左右二箇所ずつ係合孔117を穿ち、さらには扉部12の上下端部にも左右二箇所ずつ係合孔121を穿っている。後壁111の係合孔117と扉部12の係合孔121とは、前後方向に沿って対向する。なお、周壁部11及び扉部12の下端部における係合孔117、121の形成箇所は、下方に突出する突片116以外の部位である。
【0028】
他方、
図3及び
図5ないし
図7に示すように、トップカバー3及びレッグパレット2にはそれぞれ、それらの係合孔117、121と係合するためのロック部材4を設けている。ロック部材4はその大部分がトップカバー3またはレッグパレット2に内蔵されており、前後方向に沿って略水平にスライドすることが可能となっている。ロック部材4は、トップカバー3及びレッグパレット2のそれぞれについて、前後に対をなし、かつその対が左右に一組ずつ存在している。
図6及び
図7に示しているように、トップカバー3側のロック部材4は後壁111及び扉部12の上端部に形成した係合孔117、121に係合する。並びに、
図3に示しているように、レッグパレット2側のロック部材4は後壁111及び扉部12の下端部に形成した係合孔117、121に係合する。そして、後方のロック部材4は後壁111の係合孔117に係合し、前方のロック部材4は扉部12の係合孔121に係合する。
【0029】
ロック部材4には、当該ロック部材4をスライド移動させようとする者が手を掛けるための摘みとなる操作用突起41を成形している。操作用突起41は、トップカバー3側のロック部材4においてはその上面側から上向きに突出し、レッグパレット2側のロック部材4においてはその下面側から下向きに突出する。トップカバー3の上面には、この操作用突起41を露出させるための貫通した長孔34を形成している。同様に、レッグパレット2の下面にも、操作用突起を露出させるための貫通した長孔を形成してある。それらの長孔34は、ロック部材4のスライド移動方向である前後方向に沿って拡張している。
【0030】
加えて、トップカバー3及びレッグパレット2におけるスリーブ保定溝33、22の対向壁には、ロック部材4の先端部を通過させるための窓331を開通させている。
【0031】
スリーブ1とトップカバー3及びレッグパレット2とを結合するためには、まず、
図6に示すように、各ロック部材4をスリーブコンテナCの外側から内側に向かってスライドさせる、即ち後方のロック部材4を前方に移動させ、かつ前方のロック部材4を後方に移動させることで、各ロック部材4の先端部をスリーブ保定溝33、22から退避させる。そして、既に述べた通り、スリーブ1の周壁部11及び扉部12の上端部及び下端部を、それぞれスリーブ保定溝33、22に挿入して係合させる。このとき、スリーブ1の周壁部11及び扉部12に形成した係合孔117、121が、スリーブ保定溝33、22の対向壁に形成した窓331と正面視または背面視重なり合う状態となる。その状態で、各ロック部材4をスリーブコンテナCの内側から外側に向かってスライドさせる、即ち後方のロック部材4を後方に移動させ、かつ前方のロック部材4を前方に移動させれば、
図7に示すように、各ロック部材4の先端部が窓331を介してスリーブ保定溝33、22内に侵入し、コンテナCの内側から外側に向かってスリーブ1の係合孔117、121を貫通する。結果、トップカバー3やレッグパレット2からスリーブ1が脱離することが阻止される。
【0032】
トップカバー3をスリーブ1から取り外し、またはスリーブ1をレッグパレット2から取り外すためには、後方のロック部材4を前方に移動させ、かつ前方のロック部材4を後方に移動させて、各ロック部材4の先端部をスリーブ1の係合孔117、121から抜出すればよいことは言うまでもない。
【0033】
本実施形態のスリーブコンテナCは、スリーブ1の周壁部11が構築する前壁の左右の側部113の間に、物品を出し入れするための物品出入口を開設しているものである。この物品出入口は、扉部12により開閉される。物品出入口を閉塞するときの扉部12は、その下端部をレッグパレット2側のスリーブ保定溝22に挿入し、その上端部をトップカバー3側のスリーブ保定溝33に挿入する。
【0034】
扉部12の左右両側縁には、物品出入口を閉塞している扉部12がスリーブコンテナCの内側即ち後方に倒れ込むことを抑止するためのストッパとなるフレーム122を装着している。
図8に示すように、フレーム122は、扉部12の外側端縁部をくわえ込んで被覆する平断面視略コ字形のチャネル状をなした基部1221の前縁近傍から、係止片1222を外側方に向けて延出させた形状をなす。係止片1222は、前壁の左右の側部113の内側端縁部(に被せているフレーム118)に、前方から当接する。
【0035】
また、周壁部11が構築する前壁の左右の側部113の内側縁にも、扉部12がスリーブコンテナCの内側に倒れ込むことを抑止するためのストッパとなるフレーム118を装着している。
図8に示しているように、フレーム118は、前壁の側部113の内側端縁部をくわえ込んで被覆する平断面視略コ字形のチャネル状をなした基部1181の前縁近傍から、係止片1182を内側方に向けて延出させた形状をなす。係止片1181は、扉部12の外側端縁部(に被せているフレーム122)に、後方から当接する。
【0036】
さらに、扉部12には、物品出入口の開放を抑止する閂として機能する扉ラッチ124を設けている。具体的には、
図8に示しているように、扉部12の左右両側縁の近傍における前面側に、扉部12に対して略直交する軸回りに回転操作可能なノブ123を取り付けるとともに、ノブ123の軸を扉部12の後面側に突出させて、その突出端に扉ラッチ124の基端部を取り付けてある。扉ラッチ124は、扉部12に対して略平行に伸びる棒状体または板状体であり、略水平姿勢をとるときにその先端部が扉部12の側縁よりも外側方に飛び出す。扉部12が物品出入口を閉塞する状態を維持するためには、ノブ123とともに扉ラッチ124を回転させて扉ラッチ124を略水平姿勢とし、その先端部を前壁の側部113に後方から当接させればよい。さすれば、扉部12が前壁の側部113に掛け止められる、つまり扉部12が前壁の側部113から離反するように前方に変位することが抑止され、扉部12が前壁の一部をなすものとなる。
【0037】
扉部12には、略水平方向に沿って伸びる開閉用ヒンジ125を形成している。図示例では、開閉用ヒンジ125の数が一本であるが、開閉用ヒンジ125を上下に複数本設けても構わない。開閉用ヒンジ125は、扉部12をスリーブコンテナCの外側即ち前方に折り曲げるときの折曲稜線となり得る。扉部12における開閉用ヒンジ125の下方の部位には、把手126を設けている。
【0038】
物品出入口を閉塞している扉部12を変位させて物品出入口を開放する際には、ロック機構による扉部12に対するロックを解除する。即ち、トップカバー3側の前方のロック部材4を操作し、当該ロック部材4の先端部を扉部12の上端部の係合孔121から抜出するとともに、レッグパレット4側の前方のロック部材4を操作して、当該ロック部材4の先端部を扉部12の下端部の係合孔121から抜出する。加えて、ノブ123を回転操作して扉ラッチ124を略垂直姿勢とし、扉ラッチ124の先端部を扉部12の側縁よりも内側方に、即ち扉ラッチ124を前壁の側部113及びフレーム118と干渉し合わない位置に退避させる。
【0039】
その上で、把手126に手を掛け、扉部12における開閉用ヒンジ125の下方の部位を前下方に傾倒させるように操作すると、
図9に示すように、扉部12を開閉用ヒンジ125に沿って山折りするように、扉部12を側面視前方に向かって突き出すくの字の形に屈曲ないし湾曲させることができる。扉部12の上端部とトップカバー3側のスリーブ保定溝33との間、及び扉部12の下端部とレッグパレット2側のスリーブ保定溝22との間には、予めある程度のクリアランスを設けている。そのクリアランスにより、扉部12を手前側に引き出して屈曲ないし湾曲させ、扉部12の上端部及び下端部をスリーブ保定溝33、22から脱出させる操作が許容される。従って、本スリーブコンテナCにおいては、トップカバー3を撤去することなしに、つまりはトップカバー3をスリーブ1の周壁部11から脱離させずとも、スリーブ1の前壁における扉部12のみを取り外して物品出入口を開放し、物品収容空間に対して必要な物品の出し入れを行うことが可能となっている。
【0040】
逆に、開放していた物品出入口を扉部12により閉塞する際には、扉部12をくの字の形に屈曲ないし湾曲した状態から直立した状態に変形させるように、開閉用ヒンジ125の下方の部位を後上方に持ち上げて押し込む操作を行えばよい。その操作の過程で、扉部12の下端部がレッグパレット2側のスリーブ保定溝22に挿入され、併せて扉部12の上端部がトップカバー3側のスリーブ保定溝33に挿入されて、扉部12が物品出入口を閉塞する姿勢をとるようになる。扉部12の上端部とスリーブ保定溝33との間、扉部12の下端部とスリーブ保定溝22との間にそれぞれ設けているクリアランスにより、トップカバー3をスリーブ1の周壁部11から脱離させずとも、扉部12を物品出入口を閉塞する位置に取り付けることが可能である。
【0041】
その後、ノブ123を回転操作して扉ラッチ124を略水平姿勢とし、扉ラッチ124により扉部12を前壁の側部113に掛け止めるようにしてもよいし、トップカバー3及び/またはレッグパレット2に内蔵の前方のロック部材4をスライド操作し、その先端部を係合孔121に挿通して扉部12の上端部及び/または下端部をトップカバー3及び/またはレッグパレット2に繋留してもよい。
【0042】
本実施形態では、組立時に上下に対向するカバー2、3及びそれらカバー2、3間に配置されるスリーブ1を具備してなり、物品を収容しない非使用時にスリーブ1を略板状体の形状に折り畳み可能であり、折り畳んだスリーブ1をカバー2、3に重ねたときにそのスリーブ1の上下寸法及び左右寸法がカバー2、3の外周壁の内(カバー2、3の内寸)に収まるようなスリーブコンテナCであって、上下のカバー2、3の周縁部に、スリーブ1の上端部または下端部と係合してスリーブ1を保定するスリーブ保定溝22、33を形成しており、スリーブ1に、組立時において上下のカバー2、3を取り付けた状態で開閉自在となる扉部12を設けているスリーブコンテナCを構成した。
【0043】
本実施形態によれば、複数個を段積みして棚、ロッカーまたは倉庫のように利用可能なスリーブコンテナCが具現される。本スリーブコンテナCでは、トップカバー3をスリーブ1の周壁部11に組み付けたままで扉部12の付け外しができることから、
図10に示すように、複数個のスリーブコンテナCを上下に積み上げたときに、最上段のコンテナCは勿論のこと、トップカバー3上に他のコンテナCが積載されている最上段以外のコンテナCにおいても、必要に応じて扉部12を操作して物品出入口を開閉することが可能となる。
【0044】
スリーブ1の一部をなす扉部12は、組立時において、その下端部がカバー2のスリーブ保定溝22に挿入されてこれと係合するとともに、その上端部がカバー3のスリーブ保定溝33に挿入されてこれと係合する。従って、扉部12を閉じて物品出入口を閉塞している状態では、扉部12が(カバー3のそれを含む)上方からの荷重を支えることに寄与し、段積み可能なスリーブコンテナCの耐荷重を一層向上させる。また、扉部12を閉じている状態で、下方または上方のカバー2、3と扉部12との間に隙間を生じず、隙間からの異物の物品収容空間への侵入を抑止できる。しかも、扉部12の下端部及び上端部をカバー2、3に繋留するロック機構の存在により、これらの効用がより増進される。
【0045】
扉部12の上下寸法及び物品出入口の上下寸法は、それぞれ上下のカバー2、3の離間距離に匹敵している。扉部12を開いたとき、上下のカバー2、3間にある物品出入口をその上下幅の半分を超えて大きく開放することができ、さらには、扉部12の上下両端部をカバー2、3から脱離させて物品出入口の全体を開放することもできる。扉部12をコンテナCから撤去したとしても、スリーブ1の周壁部11が物品収容空間を包囲しつつ(カバー3のそれを含む)上方からの荷重を支持してコンテナCとしての構造を維持する。
【0046】
扉部12は、当該スリーブコンテナC内の収容容積を損なうことなく開閉が可能である。特に、本実施形態にあっては、組立時に扉部12が当該スリーブコンテナCの外側に向かって山折り可能となるように、扉部12に略水平方向に伸びるヒンジ125を形成している。
図10に示しているように、扉部12は、物品出入口を開閉する過程において、前壁の側部113よりも後方に倒れ込むことがない、即ち物品収容空間内に侵入することがない。換言すれば、物品出入口を開閉する際の扉部12の軌跡が、物品収容空間と交差することがない。従って、扉部12が物品収容空間内に収容している物品と干渉することはなく、物品収容空間の容積の全体を収納のために活用することが可能となる。
【0047】
加えて、本実施形態では、スリーブ1の周壁部11により構築される前壁の側部113、及び扉部12の各々に、組立時において扉部12が当該スリーブコンテナCの内側に向かって倒れ込まないよう扉部12を支持するストッパ118、122を設けている。さらには、上下のカバー2、3に設けているロック機構のロック部材4(の先端部)もまた、扉部12が当該スリーブコンテナCの内側に向かって倒れ込まないよう扉部12を支持するストッパとして機能する。このため、不意に扉部12が倒れて収容した物品と干渉したり、スリーブ1の前壁における側部113と扉部12との間に隙間が形成されて物品の汚損や劣化等を招いたりすることを効果的に抑止できる。
【0048】
スリーブ1の下方に配置されるカバー2に、当該カバー2の他の部位の下縁よりも下方に突出する脚部21を設け、スリーブ1の上方に配置されるカバー3に、前記脚部21を直接に載置可能な載置面部32を設けているため、物品を収容した状態で複数個を段積みするのに適したスリーブコンテナCとなるだけでなく、カバー2下にフォークを差し入れるための空隙を形成することができ、フォークリフトによるスリーブコンテナCの運搬にも有利となる。
【0049】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、スリーブ1における周壁部11の前壁の側部113の下端縁と扉部12の下端縁との間に段差を設け、かつこれらを受け容れるスリーブ保定溝22に底の深い部位221と底の浅い部位222とを成形していたが、前壁の側部113の下端縁と扉部12の下端縁との間の段差をなくし(前壁の側部113の下方の突片116を削除して両者を同等の高さ位置とし)、これらを受け容れるスリーブ保定溝22の底(の上向面)を平坦にしてもよい。
【0050】
上記実施形態では、複数個のスリーブコンテナCを段積みするに際して、下段のコンテナCのカバー3の載置面部32の上に上段のコンテナCのカバー2の脚部21を直接載置していたが、上段のコンテナCの下に既存のパレットその他の部材を敷き、そのパレット等とともに上段のコンテナCを下段のコンテナCの上に積むようにしても構わない。この場合には、上段のコンテナCのカバー2と、下段のコンテナCのカバー3との間に、パレット等の他の部材が介在することになる。また、この場合、スリーブコンテナCにおける下方のカバー2に突出した脚部21を設けず、かつスリーブ1に突片116を設けないようにしてもよい。上方のカバー31の係合突起31を削除することも考えられる。
【0051】
スリーブ1に突片116を設けず、スリーブ1の下端縁が全周に亘って平坦となる場合には、スリーブ保定溝22の底も全周に亘って平坦となることが好ましい。
【0052】
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。