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特開2017-66206ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-66206(P2017-66206A)
(43)【公開日】2017年4月6日
(54)【発明の名称】ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20170317BHJP
   C08L 71/12 20060101ALI20170317BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20170317BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20170317BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20170317BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20170317BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20170317BHJP
【FI】
   C08J3/20 BCEZ
   C08L71/12
   C08L25/04
   C08K7/02
   C08K7/14
   C08K7/06
   C08K5/521
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-190420(P2015-190420)
(22)【出願日】2015年9月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594023984
【氏名又は名称】旭化成カラーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
(72)【発明者】
【氏名】串田 朗
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA18
4F070AA52
4F070AC04
4F070AC28
4F070AC55
4F070AD02
4F070AE01
4F070AE07
4F070BA02
4F070BA03
4F070FA03
4F070FA07
4F070FA17
4F070FB07
4F070FC06
4J002BC03X
4J002CH07W
4J002DA036
4J002DL006
4J002EW047
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD137
(57)【要約】
【課題】本発明は、高い安定性及び高い生産性で、均一な物性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造することを目的とする。
【解決手段】押出機を用いてポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する方法であり、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、繊維状充填剤(C)、及びトリフェニルホスフェート(D)の合計質量が90質量%以上であり、合計質量を100質量%として、成分(A)25〜85質量%、成分(B)0〜30質量%、成分(C)10〜50質量%、成分(D)5〜20質量%を含有する原料を原料供給ラインに供給する、原料供給工程と、原料供給ラインに押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給する、冷却ガス供給工程と、原料を溶融混練する、混練工程とを含むことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機を用いてポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する方法であり、
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、繊維状充填剤(C)、及びトリフェニルホスフェート(D)の合計質量が90質量%以上であり、前記合計質量を100質量%として、ポリフェニレンエーテル(A)25〜85質量%、スチレン系樹脂(B)0〜30質量%、繊維状充填剤(C)10〜50質量%、トリフェニルホスフェート(D)5〜20質量%を含有する原料を原料供給ラインに供給する、原料供給工程と、
前記原料供給ラインに押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給する、冷却ガス供給工程と、
前記原料を溶融混練する、混練工程と
を含む
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記押出機が、その少なくとも一部に連通する冷却ガス供給ラインを備える原料供給ラインが接続されている原料供給口を備え、
前記冷却ガス供給工程では、前記冷却ガス供給ラインを通じて、前記原料供給ラインに前記押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給する、
請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記冷却ガス供給ラインが冷却機を備える、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記冷却機が渦流式冷却機である、請求項3に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記ガスが窒素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記押出機が二軸押出機である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
前記繊維状充填剤(C)がガラス繊維を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
前記繊維状充填剤(C)が炭素繊維を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維状無機充填剤を配合した高耐熱難燃樹脂組成物を製造するに際して、十分な難燃性を付与するためにトリフェニルホスフェート(TPP)(融点:約50℃)のような、常温では固体であるが融点が比較的低い難燃剤を原料として用いて、押出を行う場合がある。
【0003】
この場合、通常、原料を、原料供給ラインを通じて、押出機本体の第一供給口(トップフィード)に供給して、他の原料と共に押出機シリンダー内部で溶融混練する。
【0004】
このとき、TPPの温度がその融点超の温度にまで達することがあり、このため、TPPが原料供給ホッパー壁面を含む原料供給ライン内部で溶融し、TPPが他の原料を接着する接着剤として働く場合がある。この場合、原料が大きな塊になって、フィーダースクリュー、供給配管、ホッパー内壁において閉塞を生じさせることがある。
【0005】
そのため、原料供給口における原料供給量が不安定になり、樹脂組成物の難燃性のバラツキ、押出機の途中からサイドフィードされるガラス繊維や炭素繊維等の繊維状無機充填剤の供給過多による樹脂組成物中での未開繊の発生、押出機のダイノズル詰まり、押出トルクの上昇等による押出機の停止等のトラブルが起こり、かかるトラブルが重篤な場合には、押出運転の継続が困難になる等、安定した連続的な押出運転が阻害されて、樹脂組成物の生産性に著しい支障を来たすことがある。
【0006】
例えば、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂及び複数種の添加剤の混合物を、塩化ビニル系樹脂の軟化点温度を超えるまで昇温させて、各種添加剤を樹脂表面に融着させ、そして、該混合物を無機充填剤が樹脂表面に固着するのを防止するために、低融点添加剤の軟化点以下に冷却し、次いで、該冷却した混合物に無機化合物充填剤を添加して、混合物が押出機のホッパーでブリッジ(大きな塊)を形成するのを防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、サイドフィーダーのシリンダーの温度を15〜100℃にまで下げて、サイドフィーダーを通して押出機に添加剤を供給する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、融点が40〜200℃のリン系難燃剤を、押出機の供給口に供給する際、供給口又はその近傍にガスを間欠的に吹き付けて、塊を除去する技術が開示されている。
【0007】
上記の技術以外にも、低融点添加剤を原料供給ホッパー壁面を含む原料供給ライン内部で溶融させず、原料をスムーズに押出機本体に供給させるため、冷風機により冷却を行ったり、原料供給ラインに冷却水を通水することを可能にするジャケットの設置により冷却を行ったりする試みがなされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−302026号公報
【特許文献2】特開2003−285317号公報
【特許文献3】特開2014−074094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、低融点添加剤と熱可塑性樹脂との混合物を50℃以下に冷却しても、低融点添加剤含有混合物の原料供給ラインの内部が十分に冷却されていないため、原料供給ラインの内部はやはり高温になり、原料供給ラインの内部でブロッキングが生じてしまうという課題があった。
また、特許文献2の技術でも、サイドフィーダーのシリンダーを水で冷却しているが、冷却が十分とは言えず、原料供給ラインはやはり高温になり、原料供給ラインの内部でブロッキングが生じてしまうという課題があった。
さらに、特許文献3の技術では、ガスを間欠的に吹き付けてはいるものの、原料供給ラインの内部が十分に冷却されていないため、低融点添加剤が溶融して壁に付着し、かかる付着物はさらに固化していき、徐々に除去が困難になっていくという課題があった。
そして、前述の冷却設備を用いる手法により、原料塊をある程度改善することは可能ではあったが、必ずしも十分な効果は得られていない。また、これらの冷却設備が、大幅な押出作業スペースを占有すること、押出設備周辺への冷却により生じる水滴の付着等により、従来の作業環境を悪化させること、更には冷却設備の保管やメンテナンスに手間やコストがかかること等を勘案すると、上記冷却設備を実施することは現実的に困難であった。
【0010】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂等の樹脂とトリフェニルホスフェート等の低融点添加剤とを溶融混練する際の上記課題を解決して、高い安定性及び高い生産性で、均一な物性(例えば、高耐性や難燃性等)を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造することを可能にするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造時に、原料供給ラインを内部から冷却することによって、トリフェニルホスフェート等の低融点添加物の溶融・付着という上記課題を有利に解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]押出機を用いてポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造する方法であり、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、繊維状充填剤(C)、及びトリフェニルホスフェート(D)の合計質量が90質量%以上であり、前記合計質量を100質量%として、ポリフェニレンエーテル(A)25〜85質量%、スチレン系樹脂(B)0〜30質量%、繊維状充填剤(C)10〜50質量%、トリフェニルホスフェート(D)5〜20質量%を含有する原料を原料供給ラインに供給する、原料供給工程と、前記原料供給ラインに押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給する、冷却ガス供給工程と、
前記原料を溶融混練する、混練工程とを含むことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[2]前記押出機が、その少なくとも一部に連通する冷却ガス供給ラインを備える原料供給ラインが接続されている原料供給口を備え、前記冷却ガス供給工程では、前記冷却ガス供給ラインを通じて、前記原料供給ラインに前記押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給する、[1]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[3]前記冷却ガス供給ラインが冷却機を備える、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[4]前記冷却機が渦流式冷却機である、[3]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[5]前記ガスが窒素である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[6]前記押出機が二軸押出機である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[7]前記繊維状充填剤(C)がガラス繊維を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
[8]前記繊維状充填剤(C)が炭素繊維を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い安定性及び高い生産性で、均一な物性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法において好適に用いられる押出機の概要を示す側面図である。
図2図1に示す押出機が備える冷却ガス供給ライン及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断りのない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0016】
初めに、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法により製造されるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(以下、「PPE系樹脂組成物」ともいう。)は、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、繊維状充填剤(C)、トリフェニルホスフェート(D)を含み、必要に応じて、その他材料も含んでよい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物では、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、繊維状充填剤(C)、及びトリフェニルホスフェート(D)の合計質量が90質量%以上であり、そして、成分(A)〜成分(D)の合計質量を100質量%として、ポリフェニレンエーテル(A)25〜85質量%、スチレン系樹脂(B)0〜30質量%、繊維状充填剤(C)10〜50質量%、トリフェニルホスフェート(D)5〜20質量%を含有する。
【0017】
以下、各成分の詳細について記載する。
【0018】
−ポリフェニレンエーテル(A)−
ポリフェニレンエーテル(A)は、下記一般式(1)及び/又は(2)の繰り返し単位を有し、構成単位が一般式(1)又は(2)からなる単独重合体(ホモポリマー)、あるいは一般式(1)又は(2)の構成単位を含む共重合体(コポリマー)であることが好ましい。
【化1】
【化2】
(上記一般式(1)、(2)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、その他の一価の基、例えば、ハロゲン及び水素等からなる群から選択される基である。但し、R5及びR6が共に水素である場合を除く。)
【0019】
なお、前記その他の一価の基としては、水素が好ましい。また、前記アルキル基及び前記アリール基の水素原子は、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基で置換されていてもよい。更に、前記アルキル基の好ましい炭素数は1〜3であり、前記アリール基の好ましい炭素数は6〜8である。
【0020】
なお、上記一般式(1)、(2)における繰り返し単位数については、ポリフェニレンエーテル(A)の分子量分布により様々としてよく、特に制限されることはない。
【0021】
ポリフェニレンエーテル(A)のうち、単独重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル及び、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられ、特に、原料入手の容易性及び加工性の観点から、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
【0022】
ポリフェニレンエーテル(A)のうち、共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、及び2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体といった、ポリフェニレンエーテル構造を主体とするものが挙げられ、特に、原料入手の容易性及び加工性の観点から、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、物性改良の観点から、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体(特に2,6−ジメチルフェノール部分90〜70質量%及び2,3,6−トリメチルフェノール部分10〜30質量%を含むもの)がより好ましい。
【0023】
上述した各種ポリフェニレンエーテル(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0024】
ポリフェニレンエーテル(A)は、樹脂組成物の耐熱性が低下しすぎない程度であれば、上記一般式(1)、(2)以外の他の種々のフェニレンエーテル単位を部分構造として含むポリフェニレンエーテルを含んでいてもよい。
かかるフェニレンエーテル単位としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特開平01−297428号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単位や、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単位等が挙げられる。
【0025】
ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等が結合していてもよい。
【0026】
更に、ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルの一部または全部をアシル官能基と、カルボン酸、酸無水物、酸アミド、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の官能基とを含む官能化剤と、反応(変性)させることによって、官能化ポリフェニレンエーテルに置き換えた構成を有していてもよい。
【0027】
ポリフェニレンエーテル(A)の、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、樹脂組成物の成形加工性の観点から、2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましく、3.0以上であることが更により好ましく、また、樹脂組成物の機械的物性の観点から、5.5以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましい。なお、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られる。
【0028】
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、十分な機械的物性の観点から、0.25dl/g以上であることが好ましく、0.30dl/g以上であることがより好ましく、0.33dl/g以上であることが更により好ましく、また、成形加工性の観点から、0.65dl/g以下であることが好ましく、0.55dl/g以下であることがより好ましく、0.42dl/g以下であることが更により好ましい。なお、還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、クロロホルム溶媒、30℃、0.5g/dl溶液で測定することができる。
【0029】
本実施形態のPPE系樹脂組成物では、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、繊維状充填剤(C)と、トリフェニルホスフェート(D)との合計質量100質量%中における、ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、十分な耐熱性、難燃性を付与する観点から、25質量%以上であり、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、また、成形加工性の観点から、85質量%以下であり、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
−スチレン系樹脂(B)−
スチレン系樹脂(B)は、本実施形態の樹脂組成物において、成形流動性を改良する観点から、加えられる。
【0031】
本実施形態の樹脂組成物において、スチレン系樹脂(B)は、スチレン系化合物をゴム質重合体存在下または非存在下で重合して得られる重合体、またはスチレン系化合物と該スチレン系化合物と共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下または非存在下で共重合して得られる共重合体である。
【0032】
前記スチレン系化合物とは、スチレンの1つまたは複数の水素原子が1価の基で置換された化合物をいう。
前記スチレン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられ、特に安定した品質の原材料の入手容易性と組成物の特性とのバランスの観点から、スチレンが好ましい。
【0033】
前記スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の不飽和酸無水物等が挙げられる。
【0034】
なお、上述のスチレン系樹脂のうち、ゴム質重合体存在下で重合又は共重合して得られる重合体又は共重合体をゴム強化されたスチレン系樹脂といい、ゴム質重合体非存在下で重合又は共重合して得られる重合体又は共重合体をゴム強化されていないスチレン系樹脂という。
本発明におけるスチレン系樹脂(B)としては、成形体の機械的物性の観点から、ゴム強化されていないスチレン系樹脂が好ましい。
【0035】
本実施形態のPPE系樹脂組成物では、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、繊維状充填剤(C)と、トリフェニルホスフェート(D)との合計質量100質量%中における、スチレン系樹脂(B)の含有量は、十分な耐熱性、難燃性を付与する観点から、30質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましい。
【0036】
−繊維状充填剤(C)−
繊維状充填剤(C)は、本実施形態の樹脂組成物において、機械的強度を向上させる目的で、配合される。
【0037】
本実施形態における繊維状充填剤(C)としては、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。
【0038】
ガラス繊維のガラスの種類としては、公知のものが使用でき、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラス等が挙げられる。ガラス繊維は、繊維形状のガラスをいい、塊状のガラスフレークやガラス粉末とは区別される。
【0039】
ガラス繊維の平均繊維径は、押出、成形時の繊維破損による成形体の剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐久性等の低下や生産安定性の観点から、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、また、十分な機械的物性付与や成形体表面外観保持の観点から、15μm以下であることが好ましく、13μm以下であることがより好ましい。
【0040】
ガラス繊維の平均長さは、取扱性の観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、また、10mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましい。
【0041】
また、ガラス繊維の平均L/D比(長さと繊維径の比)は、剛性、耐久性と成形加工性、成形外観とのバランスの観点から、70以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、200以上であることが最も好ましく、また、1200以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、800以下であることが最も好ましい。
【0042】
本実施の形態に用いられるガラス繊維は、表面処理剤、例えばシラン化合物で表面処理されたものであってもよい。表面処理に用いられるシラン化合物は、通常、ガラスフィラーやミネラルフィラー等を表面処理する場合に用いられるものである。シラン化合物の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド等の硫黄系シラン化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物等が挙げられ、本発明の目的を達成する観点から、アミノシラン化合物が特に好ましい。
これらのシラン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、これらシラン化合物は、エポキシ系あるいはウレタン系等の収束剤と予め混合して、該混合物で表面処理してもよい。
【0043】
本実施の形態に用いられる炭素繊維は、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、気相成長炭素繊維等から選ばれてよい。また、原糸をウレタン系あるいはエポキシ系等の収束剤で10k〜20kの本数の範囲で収束させた、カット長3〜6mm程度のチョップドストランドが、取扱性の面から、好適に用いられる。繊維径は、0.5〜15μmが好ましく、特に好ましくは5〜10μmである。
【0044】
本実施の形態に用いられる繊維状充填剤(C)の、樹脂組成物中での好ましい数平均繊維長は100〜700μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは200〜500μmの範囲内である。十分な機械的強度付与の観点から100μm以上であることが好ましく、成形品の表面外観保持と成形加工性、難燃性の観点から700μm以下であるこが好ましい。
【0045】
本実施形態のPPE系樹脂組成物では、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、繊維状充填剤(C)と、トリフェニルホスフェート(D)との合計質量100質量%中における、繊維状充填剤(C)の含有量は、樹脂組成物の機械的物性を改良する観点から、10質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、また、樹脂組成物の難燃性、成形外観を損なわせない観点から、50質量%以下であり、45質量%以下であることが好ましい。
【0046】
−トリフェニルホスフェート(D)−
トリフェニルホスフェート(D)は、本実施形態の樹脂組成物において、難燃性を付与させる目的で、配合される。
【0047】
ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、繊維状充填剤(C)と、トリフェニルホスフェート(D)との合計質量100質量%中における、トリフェニルホスフェート(D)の含有量は、本願の樹脂組成物に十分な難燃性を付与する観点から、5質量%以上であり、7質量%以上であることが好ましく、また、樹脂組成物が十分な耐熱性を保持する観点から、20質量%以下であり、15質量%以下であることが好ましい。
【0048】
−その他材料−
本実施形態の樹脂組成物は、機械的物性、難燃性、成形体の表面外観等を著しく低下させない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類、着色剤、離型剤等を含んでよい。
【0049】
前記酸化防止剤等の含有量は、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、繊維状充填剤(C)と、トリフェニルホスフェート(D)との合計質量を100質量とした場合、各々、十分な添加効果を発現させる観点から、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることが更により好ましく、また、本実施形態の樹脂組成物の物性を保持する観点から、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更により好ましい。
【0050】
特に、本実施形態の樹脂組成物は、機械的物性、耐衝撃性、難燃性を著しく低下させない範囲において、前記繊維状充填剤(C)以外の無機質充填剤を含んでよい。
前記繊維状充填剤(C)以外の無機質充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マイカ、タルク、ガラスフレーク、ガラスミルドファイバー(ガラス繊維を砕いて粉末状にしたもの)、クロライト等が挙げられる。
前記繊維状充填剤(C)以外の無機質充填剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、繊維状充填剤(C)と、トリフェニルホスフェート(D)との合計質量を100質量%とした場合、剛性、耐久性付与の観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。
【0051】
(ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法)
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法は、押出機を用いるものであり、
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、繊維状充填剤(C)、及びトリフェニルホスフェート(D)の合計質量が90質量%以上であり、前記合計質量を100質量%として、ポリフェニレンエーテル(A)25〜85質量%、スチレン系樹脂(B)0〜30質量%、繊維状充填剤(C)10〜50質量%、トリフェニルホスフェート(D)5〜20質量%を含有する原料を原料供給ラインに供給する、原料供給工程と、
原料供給ラインに押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給する、冷却ガス供給工程と、
原料を溶融混練する、混練工程と
を含む。
なお、上記冷却ガス供給工程では、後述の押出機1が備える冷却機31において冷却ガスGcを得て、このガスを原料供給ライン2に供給してもよいが、これに限定されることなく、予め冷却されたガス(例えば、液体窒素から気化させた低温のガス)を原料供給ライン2に供給してもよい。
【0052】
好適には、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法は、後述の押出機1を用いることが好ましい。
【0053】
(押出機)
図1に、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法において好適に用いられる押出機の概要を側面図にて示す。
押出機1は、特に限定されることなく、単軸押出機、コニーダータイプの押出機、二軸押出機等の多軸押出機等であってよく、例えば、図1に示すように、原料供給口(図1では、第1原料供給口11−1及び第2原料供給口11−2)、バレル10(図1では、第1〜第12の12個)、ダイ部13等を備える。
【0054】
ここで、押出機1では、原料供給口11(図1では、第1原料供給口11−1及び第2原料供給口11−2)には原料供給ライン2(図1では、第1原料供給ライン2−1、第2原料供給ライン2−2)が接続されており、そして、原料供給ライン2の少なくとも一部(図1では、原料供給ホッパー20及び原料供給配管24)に冷却ガス供給ライン3が連通している。
【0055】
発明者らが鋭意検討した結果、押出機1においてトリフェニルホスフェート等の低融点添加物の溶融・付着が生じるのは、押出機1のバレル10から原料供給ライン2に逆流してくる高温のガスGrによる原料供給ライン2の高温化が要因であることがわかった。
【0056】
押出機1によれば、押出機1のバレル10から原料供給ライン2に逆流してくる高温のガスGrと、冷却ガスGcとが、混ざり合い、原料供給ライン2を効率的に冷却することが可能となる。これにより、逆流してくる高温のガスGrによる原料供給ライン2の高温化を大幅に抑制することが可能となり、原料供給ホッパー20等の原料供給ライン2の構成部材の内部における低融点添加物の溶融・付着を低減することが可能となる。
この点、特に、原料供給ライン2の構成部材の外壁に冷媒を流す等することによって、原料供給ライン2を外部から冷却する手法と比較して、押出機1では、原料供給ライン2の構成部材を内部から冷却する。これにより、前述のトリフェニルホスフェート等の低融点添加物の溶融・付着を低減する効果が極めて高い。
【0057】
以下、図1に示す例の押出機1の作用効果を記載する。
第1A原料ストックタンク211にトリフェニルホスフェート(D)が投入される。トリフェニルホスフェート(D)は、第1A原料切出装置221A、第1A原料供給装置231A、第1A原料供給配管241Aを経て、第1原料供給ホッパー201に供給される。
一方、第1B原料ストックタンク211B及び第1C原料ストックタンク211Cには、それぞれ、ポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)が投入される。ポリフェニレンエーテル(A)は、第1B原料切出装置221B、第1B原料供給装置231B、第1B原料供給配管を経て、また、スチレン系樹脂(B)は、第1C原料切出装置221C、第1C原料供給装置231C、第1C原料供給配管を経て、第1原料供給ホッパー201に供給される。
このとき、第1A原料供給配管241Aに設けられた第1A冷却ガス供給ライン3−1Bが、−40〜25℃の冷却ガスGcを供給し、冷却ガスGcが配管241Aを通過するトリフェニルホスフェート(D)を冷却する。
また、第1原料供給ホッパー201に設けられた第1B冷却ガス供給ライン3−1Aが、−40〜25℃の冷却ガスGcを供給し、冷却ガスGcが、押出機1から逆流してくる55〜100℃の高温のガスGrを冷却すると共に、ホッパー201に供給されるトリフェニルホスフェート(D)並びにポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)を冷却する。
上記冷却の効果により、第1原料供給ホッパー201において、トリフェニルホスフェート(D)の溶融・付着が低減される。
【0058】
このとき、特に、原料供給口11を有するバレル10の温度、固体搬送ゾーンを形成するバレル10の温度、混練ゾーンを形成するバレル10の温度を、この順に従って高くなるように設定することによって、成分(D)が成分(A)及び成分(B)とよく混合され、その後、溶融されるため、PPE系樹脂組成物の物性がより均一となる(後述)。
【0059】
第2原料供給ライン2−2においても、前述の第1原料供給ライン2−1における作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0060】
−原料供給ライン−
本実施形態で用いられる原料供給ライン2は、ポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)とトリフェニルホスフェート(D)とを供給することができる限り特に限定されない。なお、原料供給ライン2の詳細については後述する。
【0061】
図1に示す押出機1では、原料供給ライン2は、原料ストックタンク21、原料切出装置22、原料供給装置23、原料供給配管24、原料供給ホッパー20を、原料供給口11に向かってこの順に備えている。
【0062】
詳細には、図1に示す第1原料供給ライン2−1は、第1原料供給ホッパー201、3つの原料供給配管24(第1A原料供給配管241A、第1B原料供給配管241B、第1C原料供給配管241C)、3つの原料供給装置23(第1A原料供給装置231A、第1B原料供給装置231B、第1C原料供給装置231C)、3つの原料切出装置22(第1A原料切出装置221A、第1B原料切出装置221B、第1C原料切出装置221C)、3つの原料ストックタンク21(第1A原料ストックタンク211A、第1B原料ストックタンク211B、第1C原料ストックタンク211C)を備えている。
また、図1に示す第2原料供給ライン2−2は、第2原料供給ホッパー202、1つの原料供給配管24(第2原料供給配管242)、1つの原料供給装置(第2原料供給装置232)、1つの原料切出装置22(第2原料切出装置222)、1つの原料ストックタンク21(第2原料ストックタンク212)を備えている。
【0063】
−冷却ガス供給ライン−
本実施形態で用いられる冷却ガス供給ライン3は、原料供給ライン2が接続されている原料供給口11が設けられたバレル10の内部温度と比較して低い温度のガスを供給することができる限り特に限定されない。なお、冷却ガス供給ライン3の詳細については後述する。
【0064】
図1に示す例の押出機1では、原料供給ライン2及びこれに繋がるバレル10を冷却するため、冷却ガス供給ライン3は、冷却機31、より具体的には、渦流式冷却機を備えている。
【0065】
以下、押出機1における冷却ガス供給ライン3の配置について詳述する。
【0066】
押出機1では、図1に示す例のように、1つの原料供給ライン2について、複数の冷却ガス供給ライン3を備えることが好ましい。かかる構成によれば、原料供給ライン2の冷却効率を高めることができる。
図1に示す例の押出機1は、第1原料供給ライン2−1について、第1A冷却ガス供給ライン3−1A、第1B冷却ガス供給ライン3−1Bの2つ、第2原料供給ライン2−2について、第2A冷却ガス供給ライン3−2A、第2B冷却ガス供給ライン3−2Bの2つを備えている。
【0067】
押出機1では、図1に示す例のように、冷却ガス供給ライン3を備える原料供給ライン2が接続されている原料供給口11を複数備えることが好ましい。かかる構成によれば、トリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物を複数回に分けて供給することが可能となり、PPE系樹脂組成物の物性を高めることができる。
【0068】
そして、押出機1では、冷却ガス供給ライン3は、原料供給ライン2の少なくとも一部に連通していればよいが、冷却ガス供給ライン3は、原料供給ホッパー20に連通することが好ましく(図1参照)、次いで、逆流してくるガスGrが流れてくる原料供給配管に連通することが好ましく、さらに次いで、発熱しやすくなることがある原料供給装置23の搬送部に連通することが好ましい。かかる構成によれば、トリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加剤を効率的に冷却することが可能となる。
図1に示す例では、第1原料供給ライン2−1では、第1A冷却ガス供給ライン3−1Aが、第1原料供給ホッパー201に、その蓋において、連通し、また、第1B冷却ガス供給ライン3−1Bが、第1A原料供給配管241Aに、連通している。また、第2原料供給ライン2−2では、第2A冷却ガス供給ライン3−2Aが、第2原料供給ホッパー202に、その蓋において、連通し、また、第2B冷却ガス供給ライン3−2Bが、第2原料供給配管242に、連通している。
【0069】
押出機1では、冷却ガス供給ライン3の延在方向は特に限定されないが、図1に示す例のように、冷却ガス供給ライン3は、押出機の軸X方向に直交する方向に延在することが好ましい。かかる構成によれば、トップフィードの場合もサイドフィードの場合も、バレル10から原料供給ライン2に逆流してくる高温のガスGrと、冷却ガスGcとが、効率的に混ざり合い、原料供給ライン2を効率的に冷却することが可能となる。
図1に示す例では、第1原料供給ライン2−1の第1A冷却ガス供給ライン3−1Aが、押出機の軸X方向に直交する方向に(第1原料供給ホッパー201の蓋に対して垂直に)、重力方向下方に、延在しており、また、第2原料供給ライン2−2の第2A冷却ガス供給ライン3−2Aが、押出機の軸X方向に直交する方向に(第2原料供給ホッパー202の蓋に対して垂直に)、重力方向下方に、延在している。
【0070】
押出機1では、冷却ガス供給ライン3が、押出機の軸X(バレル10断面の中心を繋ぐ線)からバレル内径Dの2〜300倍の距離の位置に至るまでの領域に、設けられることが好ましい。
かかる構成によれば、トリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物が、バレル10から原料供給ライン2に逆流してくる高温のガスGrに長時間曝されることを防ぐことができるため、トリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物の溶融・付着を低減することができる。2倍を下回ると、原料の押出機1への供給が困難になり、300倍を上回ると、原料供給ライン2、及び原料供給ホッパー20内の十分な冷却が困難になる。
上記効果を高める意味で、冷却ガス供給ライン3は、押出機の軸Xからバレル内径Dの5〜250倍の距離の位置に至るまでの領域であることがさらに好ましい。
【0071】
さらに言えば、本実施形態における更なる特徴として、押出機1は、押出機1の少なくとも一部の外表面を覆う断熱材4をさらに備える。
【0072】
発明者らの検討により、押出機1におけるトリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物の溶融・付着は、押出機1のバレル10のうち特に混練ゾーンを形成するバレル10において押出機1外部に放出される輻射熱RHによる原料供給ライン2の高温化も要因となっていることもわかった。
押出機1に断熱材を設けることによって、上記輻射熱RHを遮断することができ、トリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加剤の溶融・付着を低減することができ、PPE系樹脂組成物の物性を均一にすることが可能となる。
【0073】
なお、バレル10にバレルカバーが設けられている場合には、バレルカバーの外側及び/又は内側に断熱材4を設けてよい。
【0074】
そして、上記効果を高める意味で、押出機1では、断熱材4は混練ゾーンを形成するバレル10の外表面を覆うことが好ましい。
図1に示す例の押出機1は、原料供給口11が設けられた第1バレル10aに隣接するバレル10である第2バレル10bから、混練ゾーンを形成する第5バレル10eまでの外表面を覆う断熱材4をさらに備えている。
かかる構成によれば、押出機1のバレル10のうち特に混練ゾーンを形成するバレル10において押出機1外部に放出される輻射熱RHによる原料供給ライン2の高温化を大幅に抑制することが可能となり、原料供給ホッパー20等の原料供給ライン2の構成部材の内部におけるトリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物の溶融・付着を低減することが可能となる。
【0075】
また、押出機1は、さらに、原料供給ホッパー20の壁の少なくとも一部の外表面を断熱材4で覆ってもよい。
【0076】
以下、原料供給ライン2の各要素の詳細を記載する。
【0077】
原料供給ホッパー20は、原料供給ライン2の末端に位置し、押出機1に、原料供給口11において接続される。
原料供給ホッパー20のホッパー壁の角度は、原料がブリッジし難いように、鉛直(90°)〜60°であることが好ましい。
原料供給ホッパー20は、原料の酸化劣化するのを防止するために、不活性ガスで置換しても良い。さらに、微細な原料が内壁に付着するのを防止するために、ホッパー20にはノッカーやバイブレーターを適宜取り付けても構わない。
【0078】
原料ストックタンク21は、原料を一時的に貯めておくタンクである。原料が粉体の可燃性樹脂である場合、ストックタンク21の内部を不活性ガスで置換をしたり、原料がブリッジしやすい場合、ブリッジブレーカー等を必要に応じて付けたりしても構わない。
【0079】
原料切出装置22は、原料供給装置23の原料を留めておき、原料供給ホッパー20が空になったときに原料を供給する装置である。ホッパー20が空になったとき、前記切出装置22には信号が送られ、(切出装置22が仕切弁の場合には)仕切弁が開いて、原料が原料ストックタンク21から原料供給装置23に短時間(10〜120秒)で供給される。ホッパー20が満杯になると、上記信号が送られなくなり、切出弁が閉まる。なお、この切出装置22は、仕切弁形式でもスクリュー形式でも構わない。
【0080】
原料供給装置23は、通常、重量式フィーダーが好適に用いられ、原料を貯めておくホッパー部と、定量的に原料を搬送する搬送部とからなる。前記搬送部は、スクリュー式、ベルト式、振動式等があるが、どの方式でも構わない。
特に、スクリュー式を用いる場合、搬送部が発熱して、トリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物が溶融するのを防止するため、スクリューピッチが大きいスクリュー、発熱が起こりにくいコイル式等のスクリューを用いることが好ましい。ベルト式及び振動式は、発熱が起こりにくいため、好ましい。
この供給装置23には、供給精度を上げるためにロードセルを付けて、原料の減少重量を基に供給量を制御することが好ましい。
【0081】
原料供給配管24は、原料供給装置23の搬送部から供給された原料を、原料供給ホッパー20に供給する配管である。原料供給配管24の取り付け角度は、原料がブリッジし難いように、鉛直(90度)〜45度であることが好ましい。
【0082】
本実施形態で用いられる原料供給ライン2は、前述した要素の全てを必要とするものではない。例えば、単軸押出機の場合、原料供給ライン2は、原料供給ホッパー20だけを備える場合があり、また、この原料供給ホッパー20に押し込み用のスクリューが付けられている場合もある。
【0083】
以下、冷却ガス供給ライン3の詳細を記載する。
図2に、押出機が備える冷却ガス供給ライン及びその周辺を拡大して側面図にて示す。
【0084】
冷却機31(図1参照)は、常温のガスの温度よりも15〜75℃低い温度の冷却ガスを発生させることが可能な装置であれば、特に限定されない。
【0085】
図1に示す例の押出機1が備える渦流式冷却機は、ブッシングとゼネレーターと、常温ガス供給口311aと低温ガス排出口311bと高温ガス排出口311cとを備えるものである。
かかる冷却機31では、まず、常温ガス供給口311aから、所定圧力・所定温度のガスを供給し、次いで、冷却機31の機内で、圧力を利用して高速の渦流を発生させ、低温ガスと高温ガスとに分離し、そして、低温ガスを冷却ガスとして低温ガス排出口311bから排出しつつ(すなわち、原料供給ライン2内部に供給しつつ)、高温ガスを高温ガス排出口311cから原料供給ライン2外部に排出する。
【0086】
渦流式冷却機としては、具体的には、虹技社製のボルテックスチューブ、マンクリーニングシステム、コールドエアーガン、パネルガードクーラー等;株式会社ニューラー製のジェットクーラ等;ニッシン産業株式会社製のエアークラー等が挙げられる。
【0087】
以下、押出機1の詳細を記載する。
【0088】
押出機1としては、特に限定されることなく、例えば、単軸押出機、コニーダータイプの押出機、二軸押出機等の多軸押出機等が挙げられ、特に、繊維状充填剤(C)の十分な溶融混練の観点から、二軸押出機が好ましい。
単軸押出機としては、例えば、混練型スクリューを設けた単軸押出機等が挙げられる。
コニーダータイプの押出機としては、例えば、ブッス社製のコニーダー等が挙げられる。
二軸押出機としては、例えば、非噛み合い型異方向回転二軸押出機、噛み合い型異方向回転二軸押出機、同方向回転二軸押出機(例えば、コペリオン社製のZSK メガコンシリーズ、メガプラスシリーズ、MC18シリーズ;東芝機械社製のTEM BSシリーズ、SSシリーズ、SXシリーズ;日本製鋼所社製のTEX αシリーズ、α2シリーズ、α3シリーズ等)等が挙げられる。より詳細には、ZSK40MC二軸押出機(コペリオン社製、バレル数13、スクリュー径40mm、L/D=50;ニーディングディスクL(Left−handed):2個、ニーディングディスクR(Right−handed):6個、及びニーディングディスクN(Neutral):4個を有するスクリューパターン)が挙げられ、これを用いて、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜450rpm、押出レート40〜220kg/hの条件で、溶融混練することができる。また、二軸押出機としては、例えば、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)が挙げられ、これを用いて、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜500rpm、押出レート200〜600kg/hの条件で、溶融混練することもできる。
【0089】
押出機1の規格や大きさは、特に限定されないが、バレル内径(直径)Dは、40〜200mmであることが好ましい。バレル内径Dが40mm未満では、生産性が低い。バレル内径Dが200mm超では、溶融混練時の発熱を抑制するのが難しい。バレル有効長Lは、特に限定されないが、バレル内径Dの12〜60倍であることが好ましい。バレル有効長Lがバレル内径Dの12倍未満では、原料を十分に混練することが難しく、バレル有効長Lがバレル内径Dの60倍超では、スクリュー軸の振れが大きくなり、原料の混練が不良になるおそれがある。
【0090】
押出機1のモーターは、特に限定されず、インバーターモーターでもよいし、直流モーターでもよい。モーターには、必要に応じて冷却装置を設けてもよい。モーターの冷却装置としては、例えば、空気冷却タイプや循環水冷却タイプ等が挙げられるが、空気中に異物をまき散らさない観点から、循環水冷却タイプが好ましい。
【0091】
押出機1のバレル構成としては、少なくとも1つの原料供給口を有するバレル10、(溶融前の)固体搬送ゾーン及び/又は溶融体搬送ゾーンを形成する少なくとも1つのバレル10、混練ゾーンを形成する少なくとも1つのバレル10、少なくとも1つのベント12を有するバレル10を含むバレル構成が挙げられる。ここで、ベント12は、大気ベントでもよいし、真空ベントでもよい。また、原料の供給は、トップフィードとしてもよく、サイドフィードとしてもよい。
図1に示す例では、第1〜第12バレルの12個のバレル10(10a〜10l(エル))を有しており、第1バレル(10a)、第7バレル(10g)が原料供給口を有するバレル10であり、第2〜第4バレル(10b〜10d)が固体搬送ゾーンを形成するバレル10であり、第9、第10、第12バレル(10i、10j、10l(エル))が溶融体搬送ゾーンを形成するバレル10であり、第5、第8バレル(10e、10h)が混練ゾーンを形成するバレル10であり、第6バレル(10f)が大気ベントを有するバレル10であり、第11バレル(10k)が真空ベントを有するバレル10である。
【0092】
特に、押出機1では、固体搬送ゾーンを形成するバレル10の数が、それに対応する原料供給口11を有するバレル10の数の1〜8倍であることが好ましく、
2〜5倍であることがより好ましい。
図1に示す例では、固体搬送ゾーンを形成するバレル10(10〜10d)の数が、第1原料供給口11−1を有するバレル10(10a)の数の3倍となっている。
【0093】
バレル10に使用するスクリューエレメントとしては、例えば、2条又は3条のニーディングブロック(右廻り、左廻り、ニュートラル、逆送り)、2条又は3条のフライトスクリュー(右廻り、左廻り)、1条、2条又は3条の切り欠きスクリューやカットスクリュー、バリスターリング等が挙げられ、必要に応じてこれらを組み合わせて用いることができる。
スクリュー径は、25〜90mmとすることが好ましく、40〜70mmとすることがより好ましい。
【0094】
押出機1のダイ部13には、溶融した樹脂に含まれる異物を除去するための金属メッシュ(目開きが#10〜#300のメッシュ)を付けることが可能なプレーカープレートを装着させてもよい。
また、ダイ部13には、複数のオリフィスを備えるダイプレートを装着させてもよく、この場合、オリフィスの内径は2〜6mmとしてよく、オリフィスの長さは6〜20mmとしてよく、オリフィス1穴当たりの押出量は10〜40kg/hrとしてよい。さらに、ダイプレートのオリフィスの開口部には、ガスを吹き付ける又は微振動を与えることによって、開口部に発生するメヤニを除去することが可能な、メヤニ除去装置を設置してもよい。
なお、繊維状充填剤(C)を含む本実施形態のPPE系樹脂組成物を製造する場合には、目詰まりを避ける観点から、ダイ部13に上記金属メッシュは用いないことが好ましい。
【0095】
なお、製造された樹脂組成物は、ダイ部13に付いているダイプレートから紐状の直径3mm前後のストランドで排出されて、その後、適宜温度調節された水を湛えたストランドバスで適度に冷却してよい。適度に冷却されたストランドをペレタイザーで長さ3mm前後にカッティングすることによって、適当な長さの円柱形状のペレットとする場合、ストランドのカット温度は、100〜200℃であることが好ましく、より好ましくは120〜170℃であり、更により好ましくは140〜160℃である。カット時の切粉発生抑制の観点から、100℃以上が好ましく、ペレットの熱劣化防止の観点から、200℃以下であることが好ましい。更には、ペレタイザーでカッティングした後のペレットを、ペレットクーラーを通して冷却してもよい。また、ペレットを振動篩にかけることによって細長や連粒ペレット、及び切断により生じた粉末を除去してもよい。
【0096】
以下、前述の押出機1を用いた、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法について詳述する。
【0097】
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法は、その少なくとも一部に連通する冷却ガス供給ラインを備える原料供給ラインが接続されている原料供給口を備える、前述の押出機1を用いることを必要とし、特に、冷却ガス供給工程において、冷却ガス供給ラインを通じて、前記原料供給ラインに前記押出機の内部温度と比較して低い温度のガスを供給するものである。
【0098】
前述の通り、発明者らが鋭意検討した結果、押出機1を用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法において、押出機1においてトリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物の溶融・付着が生じるのは、押出機1のバレル10から原料供給ライン2に逆流してくる高温のガスGrによる原料供給ライン2の高温化が要因であることがわかった。
【0099】
前述の押出機1を用いる、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法によれば、押出機1のバレル10から原料供給ライン2に逆流してくる高温のガスGrと、冷却ガスGcとが、混ざり合い、原料供給ライン2を効率的に冷却することが可能となる。これにより、逆流してくる高温のガスGrによる原料供給ライン2の高温化を大幅に抑制することが可能となり、原料供給ホッパー20等の原料供給ライン2の構成部材の内部におけるトリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物の溶融・付着を低減することが可能となる。
この点、特に、原料供給ライン2の構成部材の外壁に冷媒を流す等することによって、原料供給ライン2を外部から冷却する手法と比較して、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法では、原料供給ライン2の構成部材を内部から冷却する。これにより、前述のトリフェニルホスフェート(D)等の低融点添加物の溶融・付着を低減する効果が極めて高い。
【0100】
以下、図1に示す例の押出機1を用いる、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法の作用効果を記載する。
第1原料ストックタンク211にトリフェニルホスフェート(D)を投入する。トリフェニルホスフェート(D)は、第1A原料切出装置221A、第1A原料供給装置231A、第1A原料供給配管241Aを経て、第1原料供給ホッパー201に供給される。
一方、第1B原料ストックタンク211B及び第1C原料ストックタンク211Cには、それぞれ、ポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)を投入する。ポリフェニレンエーテル(A)は、第1B原料切出装置221B、第1B原料供給装置231B、第1B原料供給配管241Bを経て、また、スチレン系樹脂(B)は、第1C原料切出装置221C、第1C原料供給装置231C、第1C原料供給配管を経て、第1原料供給ホッパー201に供給される。
このとき、第1A原料供給配管241Aに設けられた第1A冷却ガス供給ライン3−1Aが、−40〜25℃の冷却ガスGcを供給し、冷却ガスGcが配管241Aを通過するトリフェニルホスフェート(D)を冷却する。
また、第1原料供給ホッパー201に設けられた第1B冷却ガス供給ライン3−1Bが、−40〜25℃の冷却ガスGcを供給し、
冷却ガスGcが、押出機1から逆流してくる55〜100℃の高温のガスGrを冷却すると共に、ホッパー201に供給されるトリフェニルホスフェート(D)並びにポリフェニレンエーテル(A)及びスチレン系樹脂(B)を冷却する。
上記冷却の効果により、第1原料供給ホッパー201において、トリフェニルホスフェート(D)の溶融・付着が低減される。
【0101】
第2原料供給ライン2−2においても、前述の第1原料供給ライン2−1における作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0102】
特に、原料供給口を有するバレル10の温度、固体搬送ゾーンを形成するバレル10の温度、混練ゾーンを形成するバレル10の温度を、この順に従って高くなるように設定することによって、成分(D)が成分(A)及び成分(B)とよく混合され、その後、溶融されるため、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の物性がより均一となる(後述)。
【0103】
ここで、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法における原料供給工程において、原料に耐熱性及び機械的物性を付与する観点から、成分(A)、成分(B)、及び成分(D)は、押出機の最上流部の原料供給口(トップフィード)から供給して、成分(C)は、押出機途中の原料供給口(サイドフィード)から供給することが好ましい。
【0104】
またここで、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法における冷却ガス供給工程において、
冷却ガスGcの温度は、トリフェニルホスフェート(D)の融点と比較して、90〜25℃低い温度とすることが好ましく、より好ましくは70〜35℃低い温度であり、さらに好ましくは70〜40℃低い温度である。
冷却ガスGcの温度は、具体的には、−40〜25℃であることが好ましく、より好ましくは−20〜15℃であり、さらに好ましくは−20〜10℃である。
【0105】
冷却ガス供給工程における冷却ガスGcの流量は、特に限定されない。
【0106】
冷却ガス供給工程における冷却ガスGcとしては、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)、空気、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
【0107】
図1に示すような渦流式冷却機を備えた押出機1を用いる場合、
常温ガスの温度は、10〜50℃であることが好ましく、より好ましくは10〜30℃であり、さらに好ましくは10〜20℃である。
常温ガスの圧力は、0.1〜1.0MPaとしてよく、好ましくは0.15〜0.8MPaであり、さらに好ましくは0.3〜0.8MPaである。圧力が0.1MPa未満である場合、強い渦流が出来ないために、冷却ガスGcの温度が低くならない。圧力が1.0超である場合、冷却機31本体が耐えられる範囲を超える。
常温ガスの湿度は、0.1%未満であることが好ましく、かかる湿度の常温ガスは、さらに、異物除去のフィルターに通し、サイズ5μm以下の異物が0.1質量%未満になるように調整されたものであることが好ましい。
【0108】
渦流式冷却機を用いる場合、
冷却ガスGcの温度は、供給する常温ガスの温度よりも15〜75℃低い温度であることが好ましく、より好ましくは20〜55℃低い温度である。
高温ガスの温度は、供給する常温ガスの温度よりも5〜110℃高い温度であることが好ましく、より好ましくは25〜45℃低い温度である。
【0109】
常温ガスからの冷却ガスGcの発生率は、供給した常温ガスに対する排出した冷却ガスGcの割合で示され、20〜80%としてよく、好ましくは30〜70%であり、さらに好ましくは40〜70%である。20%未満であると、経済的なロスが大きく、80%超であると、発生した冷却ガスGcの温度が十分に低くならない。
【0110】
溶融混練工程において、
図1に示すような、原料供給口11を有するバレル10、固体搬送ゾーンを形成するバレル10、混練ゾーンを形成するバレル10を備えた押出機1を用いる場合、
原料供給口11を有するバレル10(図1では、第1バレル10a)の設定温度は、トリフェニルホスフェート(D)の融点と比較して、0〜50℃低い温度とすることが好ましく、より好ましくは10〜40℃低い温度であり、さらに好ましくは5〜30℃低い温度である。より具体的には、50℃以下とすることが好ましく、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。バレル温度が50℃を超えると、逆流する高温ガスGrの温度が上昇するため、好ましくない。
固体搬送ゾーンを形成するバレル10(図1では、第2〜第4バレル(10b〜10d))の設定温度は、トリフェニルホスフェート(D)の融点と比較して、−250〜0℃低い温度とすることが好ましく、より好ましくは−150〜−20℃低い温度であり、さらに好ましくは−50〜−20℃低い温度である。より具体的には、300℃以下とすることが好ましく、より好ましくは200℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。固体搬送ゾーンを形成するバレル10の温度が300℃を超えると、この固体搬送ゾーンを形成するバレル10と、ガスケットだけを挟んで隣接している、原料供給口を有するバレル10が十分に冷却されず、逆流する高温ガスGrの温度が実質的に高くなってしまい、好ましくない。
混練ゾーンを形成するバレル10(図1では、第5バレル10e)の設定温度は、ポリフェニレンエーテル(A)の融点と比較して、30〜130℃高い温度とすることが好ましく、50〜110℃高い温度とすることがより好ましい。より具体的には、245〜345℃とすることが好ましく、より好ましくは265〜325℃であり、さらに好ましくは270〜320℃である。
【0111】
溶融混練工程において、
押出機1のギアボックスのトルク密度Tdは、6〜25N・m/cm3であり、好ましくは8〜24N・m/cm3、さらに好ましくは14〜23N・m/cm3である。トルク密度Tdを6以上25以下の範囲とすれば、樹脂組成物の生産性及び品質の安定性を優れたものとすることができる。
なお、ギアボックスのトルク密度Td(N・m/cm3)は、下記式(1)から求められる。
トルク密度Td(N・m/cm3)=最高モーターパワー(kw)×1000/(2×3.14×最高回転数)/((スクリュー径d(cm)/10)3)・・・(1)
例えば、東芝機械社製のTEM58SSを、トルク一定の最高回転数10rps、181kwのモーターで、使用した場合、トルク密度Tdは、14.8N・m/cm3となる。
【0112】
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法により製造されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、OA材料(プリンター、複写機等)、電子材料、光学材料、バッテリーケース材料、バッテリーセル材料、フィルム、シート、家電やコンピュータ等のサーバーファン等に好適に用いられる。
【0113】
以上、図面を参照して、本発明の押出機及びそれを用いた本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法の実施形態について例示説明したが、上記実施形態には適宜変更を加えることができ、本発明は上記例示の実施形態に限定されることはない。
【実施例】
【0114】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0115】
実施例及び比較例のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法について以下に記載する。
【0116】
−原料供給ライン−
−−第1原料供給ライン−−
第1原料供給ホッパー(円錐型、ホッパー壁角度60度)
−−−第1A系(トリフェニルホスフェート(D)用)−−−
第1A原料ストックタンク(200L)
第1A原料切出装置(スライドゲート弁)
第1A原料供給装置(重量式フィーダーA:クボタ社製 CE−W−2)
第1A原料供給配管(4インチ配管、傾斜45度配管)
−−−第1B系(ポリフェニレンエーテル(A)用)−−−
第1B原料ストックタンク(500L)
第1B原料切出装置(スライドゲート弁)
第1B原料供給装置(重量式フィーダーB:クボタ社製 CE−W−4)
第1B原料供給配管(4インチ配管、傾斜45度配管)
−−−第1C系(スチレン系樹脂(B)用)−−−
第1C原料供給装置(重量式フィーダーB:クボタ社製 CE−W−4)
第1C原料供給配管(4インチ配管、傾斜45度配管)
【0117】
−−第2原料供給ライン(繊維状充填剤(C)用)−−
第2原料ストックタンク(200L)
第2原料切出装置(スライドゲート弁)
第2原料供給装置(重量式フィーダーC:クボタ社製 CE−W−2)
第2原料供給配管(4インチ配管、傾斜90度配管)
第2原料供給ホッパー(円錐型、ホッパー壁角度60度)
【0118】
−冷却ガス供給ライン−
冷却機としてパネルガイドクーラー(760J、虹技社製)を2つ使用した。これらは表1に記載の通り配置した。
【0119】
−押出機−
押出機として、二軸同方向回転押出機(東芝機械社製のTEM58SS(12バレル 押出機長さ48D))を使用した。
バレル構成は、下記の通りとした。
第1バレル :第一供給口(トップフィードバレル、重量式フィーダーA、B、C)
第2バレル :固体搬送ゾーン
第3バレル :固体搬送ゾーン
第4バレル :固体搬送ゾーン
第5バレル :第一混練ゾーン
第6バレル :大気ベント
第7バレル :第二供給口(サイドフィードバレル、重量式フィーダーD)
第8バレル :第二混練ゾーン
第9バレル :溶融体搬送ゾーン
第10バレル:溶融体搬送ゾーン
第11バレル:真空ベント
第12バレル:溶融体搬送ゾーン
ダイ部 :ダイプレート(オリフィス径4mmφ、オリフィス数20穴)
【0120】
−その他設備−
ストランドバス:水温40±3℃
ペレタイザー:ペレット長さ2.5±0.3mm、ペレット形状:円柱形状
【0121】
(ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造方法)
−ポリフェニレンエーテル(A)−
PPE:還元粘度(クロロホルム溶媒を用いて30℃で測定)0.40dl/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
【0122】
−スチレン系樹脂(B)−
GPPS:ゼネラルパーパスポリスチレン(商品名:スタイロン660(登録商標)、ダウケミカル社製)
【0123】
−繊維状充填剤(C)−
GF:アミノシラン化合物で表面処理された繊維径10μm、繊維カット長3mmのガラス繊維(商品名:EC10 3MM 910(登録商標)、NSGヴェトロテックス社製)
【0124】
−トリフェニルホスフェート(D)−
TPP:融点約50℃のトリフェニルホスフェート(商品名:TPP(登録商標)、大八化学社製)
【0125】
(測定方法)
(1)原料供給ホッパーの内部温度
原料供給ホッパーの蓋から下方に20cmの位置(ホッパー中間高さ)、且つ原料供給ホッパーの水平方向中心の位置に、ハンディタイプ温度計(安立計器株式会社製、HD−1100、センサーは空気用のAT−40型)を配置して、温度(℃)を測定した。結果を表1に示す。
【0126】
(2)原料供給配管の内部温度
原料供給配管は、その長さが120cmであり、その延在方向が鉛直方向に沿う形で配置されている。
原料供給配管はバレル側の端から110cmの位置に、ハンディタイプ温度計(安立計器株式会社製、HD−1100、センサーは表面用のA−2型)を配置して、温度(℃)を測定した。結果を表1に示す。
【0127】
(3)原料供給装置の重量式フィーダーのスクリュシリンダー外壁面の温度
原料供給装置の重量式フィーダーにおけるスクリュー出口側のシリンダー上側に、ハンディタイプ温度計(安立計器株式会社製、HD−1100、センサーは表面用のA−2型)を配置して、温度(℃)を測定した。結果を表1に示す。
【0128】
(評価方法)
【0129】
(4)原料供給ホッパー内部の原料塊の程度
押出後における原料供給ホッパー内部の原料塊の程度を、目視にて、原料供給ラインの流れを良好なままとする程度なのか、流れを閉塞させる程度なのかを評価した。
【0130】
(5)メルトフローレート(MFR)
MFRの測定は、ISO1133に準拠して実施し、ペレタイザー出口から10分毎にペレットをサンプリングし、それぞれのペレットについて6回実施した。測定は、シリンダー温度を250℃に設定し、荷重10kgをかけて測定した。
【0131】
(6)UL燃焼試験
ペレタイザー出口から10分毎にペレットをサンプリングし、ペレットを、金型を備え付けた射出成形機(IS80EPN、東芝機械社製)に供給し、シリンダー温度320℃、金型温度90℃、射出圧力120MPa(ゲージ圧)、射出速度90%(パネル表示)、射出時間/冷却時間=10sec/30secの条件で成形し、0.8mm厚みのタンザク成形片を、作製した。この0.8mm厚みのタンザク試験片を用いて、UL−94試験法に基づいてUL燃焼試験を実施した。
【0132】
(実施例1)
原料供給ラインの重量式フィーダーAの上流にある第1A原料ストックタンク(200L)に、TPPを投入し、重量式フィーダーBの上流にある第1B原料ストックタンク(500L)に、PPEを投入し、重量式フィーダーCに、GPPSを投入し、重量式フィーダーDに、GFを投入した。
重量式フィーダーA/重量式フィーダーB/重量式フィーダーC/重量式フィーダーDにおける供給量を、15質量部/52質量部/3質量部/30質量部に設定し、吐出量は400kg/hr、スクリュー回転数は400rpmに設定した。
冷却ガス供給ラインに装着した冷却機であるパネルガイドクーラー760Jは、1μmのフィルター通過、湿度0.001%未満、窒素濃度99.99%、圧力0.6MPa、温度40℃の窒素ガスを90N−L/分で供給;−4℃の冷却ガスを54N−L/分で、103℃の高温ガスを36N−L/分で排出;に設定した。
このパネルガイドクーラーを、1つは、第1原料供給ホッパーの蓋に重力方向下方に向けて、もう1つは、第1A原料ストックタンクに、詳細には表1に示す位置に、配置した。
断熱材は使用しなかった。
押出機の諸条件は下記の通りである。
バレル温度は、第1バレル:35℃、第2バレル:50℃、第3バレル:100℃、第4バレル:250℃、第5〜第12バレル:280℃とした。
ダイ部の設定温度は、280℃とした。
製造における他の条件は表1に示す通りとした。
生産開始後、10分毎にペレットをサンプリングして、MFR及びUL難燃レベルを測定した。1時間後、押出機を停止させ、原料供給ホッパー内部を点検した。1時間後、押出機を停止して、原料塊の確認をしたところ、全くなかった。運転も最後まで安定しており、10分毎にサンプリングしたペレットのMFR及びUL難燃レベルも安定しており、問題は見られなかった。
実施例1における測定結果・評価結果を、表1に示す。
【0133】
(比較例1)
冷却ガス供給ラインを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施した。
原料供給ラインの温度は全てトリフェニルホスフェートの融点を超える温度になった。押出運転開始時からストランド引取性は不安定であり、約37分間経過したところで、スクリュートルクの上昇により運転が停止した。押出機を停止させ、原料供給ホッパー内部を点検したところ、壁面に溶融したTPPによる原料塊が発生して、押出機の供給口が完全に閉塞しているのが確認できた。また、MFR及びUL難燃レベルも、30分後にサンプリングしたペレットについては、低下が見られた。押出を中止したため、30分後以降のサンプリング、及びMFR及びUL難燃レベルの測定は行わなかった。
比較例1における結果を、表1に示す。
【0134】
(比較例2)
冷却ガス供給ラインのパネルガイドクーラーを停止させて、直接、冷却されていない窒素をそれぞれ90N−L/分で供給したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
比較例2における結果は、比較例1とほぼ同様であった。原料供給ラインの温度は全てトリフェニルホスフェートの融点を超える温度になった。押出運転開始時から約53分間経過したところで、スクリュートルクの上昇により運転が停止した。押出機を停止させ、原料供給ホッパー内部を点検したところ、壁面に溶融したTPPによる原料塊が発生して、押出機の供給口が完全に閉塞しているのが確認できた。また、MFR及びUL難燃レベルも、30分後にサンプリングしたペレットからバラツキが認められた。
比較例2における結果を、表1に示す。
【0135】
(実施例2)
冷却ガス供給ラインを第1A原料供給ホッパーのみに配置したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
原料供給配管、スクリュシリンダーにおける温度は、実施例1における温度よりも高かったが、原料供給ホッパーにおける温度は実施例1における温度と同等であった。実施例1と同様に原料供給ホッパー内部に塊等は発生しなかった。MFR及びUL難燃レベルも安定していた。
実施例2における結果を、表1に示す。
【0136】
(実施例3)
冷却ガス供給ラインを第1A原料ストックタンクのみに配置したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
原料供給ホッパー、原料供給配管、スクリュシリンダーにおける温度は、実施例1における温度よりも若干高い傾向が見られたが、いずれもTPP融点以下の温度であった。実施例1と同様に原料供給ホッパー内部に塊等は発生しなかった。MFR及びUL難燃レベルも安定していた。
実施例3における結果を、表1に示す。
【0137】
(実施例4)
重量式フィーダーA/重量式フィーダーB/重量式フィーダーC/重量式フィーダーDにおける供給量を、15質量部/40質量部/0質量部/45質量部に設定したこと以外は、実施例1と同様に実施した。押出運転は最後まで安定していて、特に問題は見られなかった。1時間後に押出機を停止させ、原料供給ホッパー内部を点検したところ、原料塊は全くなかった。10分毎にサンプリングしたペレットのMFR及びUL難燃レベルも安定していて、特に問題は見られなかった。
実施例4における結果を、表1に示す。
【0138】
(比較例3)
冷却ガス供給ラインを使用せず、第1原料供給ホッパーの外壁に冷却水通水ジャケットを取り付け、このジャケットに冷却水を通すことによって、原料供給ホッパーを冷却したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
比較例3における結果は、比較例1とほぼ同様であった。
比較例3における結果を、表1に示す。
【0139】
(実施例5)
パネルガイドクーラーに供給するガスを、窒素ガスに代えて、気化した液体窒素ガスとし、このガスを、乾燥させ、そして、断熱材(グラスウール)で保冷した供給配管を通して、冷却ガス供給ライン1、2に、それぞれ、54N−L/分で供給した。
実施例5における結果は、実施例1とほぼ同様であった。
実施例5における結果を、表1に示す。
【0140】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明によれば、高い安定性及び高い生産性で、均一な物性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造することができる。
本発明の押出機及びそれを用いた製造法で得られたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、マスターバッチ、中間原料のコンセントレート、OA材料、電子材料、光学材料、バッテリーケース材料、バッテリーセル材料、フィルム、シート等に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0142】
1 :押出機
10 :バレル
11 :原料供給口
11−1 :第1原料供給口
11−2 :第2原料供給口
12 :ベント
12−1 :第1ベント
12−2 :第2ベント
13 :ダイ部
2 :原料供給ライン
2−1 :第1原料供給ライン
20 :原料供給ホッパー
201 :第1原料供給ホッパー
21 :原料ストックタンク
211 :第1原料ストックタンク
211A :第1A原料ストックタンク
211B :第1B原料ストックタンク
211C :第1C原料ストックタンク
22 :原料切出装置
221 :第1原料切出装置
221A :第1A原料切出装置
221B :第1B原料切出装置
221C :第1C原料切出装置
23 :原料供給装置
231 :第1原料供給装置
231A :第1A原料供給装置
231B :第1B原料供給装置
231C :第1C原料供給装置
24 :原料供給配管
241 :第1原料供給配管
241A :第1A原料供給配管
241B :第1B原料供給配管
241C :第1C原料供給配管
2−2 :第2原料供給ライン
20 :原料供給ホッパー
202 :第2原料供給ホッパー
21 :原料ストックタンク
212 :第2原料ストックタンク
22 :原料切出装置
222 :第2原料切出装置
23 :原料供給装置
232 :第2原料供給装置
24 :原料供給配管
242 :第2原料供給配管
3 :冷却ガス供給ライン
3−1 :第1冷却ガス供給ライン
3−1A :第1A冷却ガス供給ライン
3−1B :第1B冷却ガス供給ライン
31 :冷却機
311 :第1冷却機
311A :第1A冷却機
311B :第1B冷却機
311a :常温ガス供給口
311b :低温ガス排出口
311c :高温ガス排出口
3−2 :第2冷却ガス供給ライン
3−2A :第2A冷却ガス供給ライン
3−2B :第2B冷却ガス供給ライン
31 :冷却機
312 :第2冷却機
312A :第2A冷却機
312B :第2B冷却機
4 :断熱材
D :バレル径
L :バレル有効長
Gc :冷却ガス
Gr :押出機からの逆流高温ガス
RH :押出機バレルからの輻射熱
X :押出機の軸
図1
図2