【実施例】
【0047】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
<着色塗料の調製>
表1の配合を仕込み、公知の方法により、着色塗料1〜6を調製した。
【0049】
【表1】
【0050】
1) Ti−Pure R−960 (デュポン社製)
2) ボンコート YG651 (DIC社製、樹脂成分 47質量%、MFT 55〜60℃)
3) L100 (堺化学製、沈降性硫酸バリウム)
4) Zinc Omadine ZOE Dispersion(ロンザ社製、亜鉛ピリチオン含有量 50重量%)
5) Copper Omadine AQ35 Aqueous Dispersion (ロンザ社製、銅ピリチオン含有量 40重量%))
6) SNデフォーマー1316(サンノプコ社製)
7) ASE−60(ロームアンドハース社製)
【0051】
<クリアー塗料の調製>
表2〜4の配合を仕込み、十分に撹拌することにより、クリアー塗料1〜18を調製した。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
8) アクリセットEX−109SI(日本触媒製、樹脂成分 40質量%、MFT 50℃)
9) WU−412(セイコー化成社製、樹脂成分 33質量%、MFT 0℃以下)
10)FE−4300(旭硝子社製、樹脂成分 50質量%、MFT 30℃)
11)ダイヤ珪砂8号(オクムラセラム社製)
12)Proxel AM(アーチケミカルズ社製)
13)TINUVIN1130(BASF社製)
14)TINUVIN292(BASF社製)
【0056】
<オーバーコート塗料の調製>
表5の配合を仕込み、十分に撹拌することにより、オーバーコート塗料(OC材)1〜2を調製した。
【0057】
【表5】
【0058】
15)水分散コロイダルシリカA(日産化学工業(株)製、スノーテックス−C、固形分20%、pH9.0、平均粒子径10〜20nm、形状:球状)
16)ノニオン系界面活性剤A(TEGO社製、ポリフローKL−510、固形分100%、成分:ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル)
17)フッ素系界面活性剤A(株式会社ネオス製、フタージェント100、パーフルオロアルケニル基含有フッ素系界面活性剤、固形分100%)
【0059】
<塗装基材の調製>
基材として石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)を用い、その表面にポリイソシアネートプレポリマー溶液シーラー「Vセラン#100シーラー」(大日本塗料(株)製)を酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶剤により100%希釈した後、塗着量が90〜100g/m
2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを100℃にて5分間乾燥した後、一晩養生して下塗り塗膜層を形成した。これを塗装基材とした。
【0060】
<実施例1>
着色塗料2を水により10%希釈した後、塗着量が80〜90g/m
2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃にて15分間乾燥して着色塗膜層を形成した。
次いで、クリアー塗料1を水により10%希釈した後、乾燥膜厚が40μmになるよう、吹付塗装した後、100℃の乾燥炉内で5分乾燥し、クリアー塗膜層を形成した。
次いで、オーバーコート塗料1を、乾燥膜厚2μmとなるように吹付塗装した。これを80℃にて15分間乾燥した後、室温において3日間乾燥してオーバーコート塗膜層を形成し、防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0061】
<実施例2〜17、比較例1〜7>
実施例1と同様の方法で着色塗膜層を形成した。
次いで、表2〜4に記載のクリアー塗料を、表6〜9に記載の乾燥膜厚になるよう、吹付塗装した後、100℃の乾燥炉内で5分乾燥し、クリアー塗膜層を形成した。
次いで、オーバーコート塗料1を、表6〜9に記載の乾燥膜厚になるように吹付塗装した。これを80℃にて15分間乾燥した後、室温において3日間乾燥してオーバーコート塗膜層を形成し、防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0062】
<実施例18>
実施例1と同様の方法で着色塗膜層を形成した。
次いで、クリアー塗料2を、表9に記載の乾燥膜厚になるよう、吹付塗装した後、100℃の乾燥炉内で5分乾燥し、クリアー塗膜層を形成した。
次いで、オーバーコート塗料2を、乾燥膜厚2μmとなるように吹付塗装した。これを80℃にて15分間乾燥した後、室温において3日間乾燥してオーバーコート塗膜層を形成し、防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0063】
<実施例19、23、27、31>
着色塗料1を水により10%希釈した後、塗着量が80〜90g/m
2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃にて15分間乾燥して着色塗膜層を形成した。
次いで、表9〜11に従い、クリアー塗料を所定の乾燥膜厚になるよう、吹付塗装した後、100℃の乾燥炉内で5分乾燥し、クリアー塗膜層を形成した。
次いで、オーバーコート塗料1を、乾燥膜厚2μmとなるように吹付塗装した。これを80℃にて15分間乾燥した後、室温において3日間乾燥してオーバーコート塗膜層を形成し、防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0064】
<実施例20、24、28、32>
着色塗料1を着色塗料3に変更した以外は、<実施例19、23、27、31>と同様の方法で防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0065】
<実施例21、25、29、33>
着色塗料1を着色塗料4に変更した以外は、<実施例19、23、27、31>と同様の方法で防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0066】
<実施例22、26、30、34>
着色塗料1を着色塗料5に変更した以外は、<実施例19、23、27、31>と同様の方法で防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0067】
<比較例8>
防藻・防かび剤を含まない着色塗料6を水により10%希釈した後、塗着量が80〜90g/m
2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃にて15分間乾燥して着色塗膜層を形成した。
次いで、クリアー塗料2を水により10%希釈した後、乾燥膜厚が40μmになるよう、吹付塗装した後、100℃の乾燥炉内で5分乾燥し、クリアー塗膜層を形成した。
次いで、オーバーコート塗料1を、乾燥膜厚2μmとなるように吹付塗装した。これを80℃にて15分間乾燥した後、室温において3日間乾燥してオーバーコート塗膜層を形成し、防汚積層塗膜を有する試験用の塗装板を形成した。
【0068】
<比較例9>
着色塗料2を水により10%希釈した後、塗着量が80〜90g/m
2(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃にて15分間乾燥して着色塗膜層を形成した。
次いで、クリアー塗料2を水により10%希釈した後、乾燥膜厚が40μmになるよう、吹付塗装した後、100℃の乾燥炉内で5分乾燥し、クリアー塗膜層を形成した。
そして、オーバーコート塗料を塗装せず、試験用の塗装板を形成した。
【0069】
<水蒸気透過度測定用のクリアー塗膜の調製方法>
上述のクリアー塗料1〜18を、ポリプロピレン板の基材試験片にアプリケーターを用いて、下記の乾燥膜厚になるよう塗装し、100℃の乾燥炉内で5分乾燥させて、塗膜を形成しクリアー塗膜塗膜付きポリプロピレン板を得た。
・クリアー塗料1、7〜9、13〜14、16:乾燥膜厚 40μmの塗膜。
・クリアー塗料2〜3:乾燥膜厚 40μm、120μmの2種類の塗膜。
・クリアー塗料17:乾燥膜厚 40μm、80μmの2種類の塗膜。
・クリアー塗料4〜6、10〜12、15、18:乾燥膜厚 70μmの塗膜。
【0070】
<水蒸気透過度測定>
ポリプロピレン板上に形成されたクリアー塗膜を剥がし、単離膜を得た後、JIS K7129Aに規定の感湿センサー法に準拠して、水蒸気透過度測定装置LYSSY社製「PERMEABILITY TESTER L80−5000」を用い、40℃/90%RHの条件下での単離膜の水蒸気透過度を測定した。
【0071】
<初期の防藻・防カビ性>
試験用の塗装板について、寒天培地法で試験し、試験後の評価結果を下記の評価基準に従って、目視で評価した。
・防藻試験方法
1) 試験菌株
Protococcus viridis, Chlorococcum echinozygotum NES 2249, Hormidium flaccidium CCAP 335/2A, Nostoc commune NIES 24, Oscillatoria laetevirens NIES 31
2)試験板の調製
検体をイオン交換水に18 時間浸漬した後、室温で4 時間、更に80℃で2 時間乾燥した。
3)試験操作
ガラス容器に藻類培養用液体培地を入れ、試験板を設置し、藻懸濁液を散布して、温度25℃、照度1500lx(明期12時間:暗期12時間)で4週間培養した。
・防カビ試験方法
JIS Z 2911に準じて行った。
【0072】
評価基準
○: 塗装板上に全く藻類の繁殖が認められない。
△: 塗装板上の1/4以下に藻類の繁殖が認められる。
×: 塗装板上の1/4以上に藻類の繁殖が認められる。
【0073】
<曝露後の防藻性評価>
メタルウェザー試験機(KW−R5TP、ダイプラ・ウィンテス株式会社)を用いて、試験用の塗装板を暴露させた。具体的には、下記評価サイクルを30回繰り返した。曝露後、バミキュライトベット法に従い、防藻性試験を行った。試験後、下記評価基準に従って、防藻性を評価した。結果を表6〜11に示す。
【0074】
<評価サイクル:L→R→シャワー→D→シャワー>
・L:波長295〜780nm、光エネルギー63mW/cm2の光を6時間照射する(温度65℃、湿度70%)。
・R:照射無しで、温度65℃及び湿度70%の環境下、4時間静置させる。
・シャワー:純水を10秒間まく。
・D:照射無しで、温度30℃及び湿度98%以上の環境下、18時間静置させる。
【0075】
(試験方法;バミキュライトベット法)
透明プラスチックの保湿ボックスに滅菌処理したバミキュライトを敷き詰め、これに滅菌精製水をバミキュライトが充分に湿るまで加えた。このバミキュライトベッド上に試験用の塗装板を置き、藻類の混合分散液(3ml)を吸引濾過して試料上面に塗布した。
保湿ボックスを密閉し、温度19〜22℃、低強度の蛍光灯下(照度:700〜1200lux/照射サイクル:16時間照射−8時間消灯)で、8週間培養を行なった。接種24時間後に窒素、リン及びカリウムを同量ずつ含む2%無機塩類水溶液を試料表面に噴霧した。毎週評価する際に、試料片表面の乾燥を防ぐ為に滅菌精製水を噴霧した。各2検体を用いて試験を行った。
藻の試験菌株は以下の通りである。
Chlorella vulgaris , Nostoc muscorum , Oscillatoria tenuis , Pleurococcus sp.
Stichococcus bacillaris , Ulthorix zonata NIES-536
【0076】
評価基準
○: 塗装板上に全く藻類の繁殖が認められない。
△: 塗装板上の1/4以下に藻類の繁殖が認められる。
×: 塗装板上の1/4以上に藻類の繁殖が認められる。
【0077】
<耐候性>
試験用の塗装板に対して、サンシャインウェザー−オーメーターを用いた5000時間の耐候性試験を行い、その耐候性を下記評価基準に基づいて判定した。
○: 塗膜外観に変化は無く、光沢保持率95%以上
△: 塗膜外観の変化がわずかにあり、光沢保持率80%以上95%未満
×: 塗膜外観の変化が著しく、光沢保持率80%未満
【0078】
<耐雨筋汚染性>
水平面に対して10度傾斜し、かつ、長さ30cm、深さ3mmの溝が3mmピッチで刻まれた屋根を有する架台上に、試験用の塗装板を、降雨が塗膜表面に筋状に流れ落ちるように南向きに垂直に取り付け、その状態で6ヶ月間暴露(180日間)した。その後、塗膜外観を試験前の塗膜と比較し、塗膜表面の汚染状態を、以下のように目視判定した。
◎: 汚れは無く、雨筋も確認されない
○: わずかな汚れは有るが、雨筋は確認されない
△: 局所的な汚れが有り、雨筋が薄く確認される
×: 全面にかなりの汚れが有り、雨筋がはっきりと確認される
【0079】
<静的接触角の測定>
試験用の塗装板表面に0.1ccの蒸留水を滴下し、20℃の雰囲気下で滴下1分後の接触角(静的接触角)を協和界面化学株式会社CA−X接触角測定装置にて測定した。
【0080】
結果を表6〜11に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
【表10】
【0086】
【表11】