【解決手段】選別する果菜を下り傾斜の移送体2に供給して、その下り傾斜により、果菜を、移送体2の上を自動的に移動させ、移送体2の所定箇所に到来した果菜を、一個ずつ取り出して一個ずつ区画して搬送し、搬送中の個々の果菜の少なくとも形状、大ききを計測器5で自動的に計測し、その計測データに基づいて当該果菜の等階級を判別し、判別済み果菜を等階級別に、果菜搬送方向側方に送り出して仕分けるようにした。引継ぎ突起は無端走行体10に直接設けることも、無端走行体に取り付けられる果菜キャリア9に設けることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記ベルトコンベア式の果菜キャリアを搭載した果菜自動選別装置は、トマトや桃のように傷付きやすく、作業者が手作業で果菜キャリアに載せる必要があるような果菜を扱う場合に特に適した装置であるが、ミニトマトやキンカンのように、作業者が手作業で果菜キャリアに一個ずつ載せにくい小さな果菜を扱うには、あまり適さない。
【0009】
本発明は、ミニトマトやキンカンのようにサイズが小さい果菜、桃や大玉トマトのように転がり易い球形(丸形)の果菜を、駆動機構の少ない簡潔な構成の装置で選別、パック詰めできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[果菜自動選別方法]
本発明の果菜自動選別方法は、多数の果菜を不規則に搬送して、下り傾斜の移送体に送り出し、下り傾斜により移送体を移動中の果菜を一列に揃え、揃えた果菜を一個ずつ取り出して一個ずつ離して搬送し、搬送中の個々の果菜を自動的に計測して等階級を判別し、判別済み果菜を等階級別に果菜搬送方向側方に送り出して果菜を仕分け(選別)する方法である。
【0011】
前記果菜自動選別方法では、等階級判別された果菜を、果菜搬送方向側方に配置されたプールコンベアに直に又は中継体を介して送り出すこともできる。
【0012】
前記果菜自動選別方法では、搬送中の等階級判別済み果菜にエアを吹き付けて、果菜を搬送方向側方又は同側方のプールコンベアに送り出すこともできる。
【0013】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、下り傾斜の移送体と、当該移送体をその下り傾斜により移動する果菜を一個ずつ取り出して搬送する取出し搬送体を備えている。取出し搬送体は引継ぎ突起又は引継ぎ突起を備えた果菜キャリアを無端走行体に間隔をあけて取り付けたものである。引継ぎ突起は無端走行体の走行に伴って移動して移送体上の果菜を一個ずつ取り出して引き継ぐことができるものである。
【0014】
本発明の果菜自動選別装置では、取出し搬送体から等階級別に送り出される多数の果菜をプールできるプールコンベアを、果菜搬送方向側方に配置することもできる。
【0015】
取出し搬送体の側方に、取出し搬送体で搬送中の果菜にエアを吹き付けて当該果菜を搬送方向側方に送り出すエア噴出機を設けることができる。
【0016】
前記移送体は数本の細長材を、間隔をあけて配置して形成し、その間隔を前記引継ぎ突起が下方から上方に通過できる通過空間とすることができる。
【0017】
[パック詰め装置]
本発明のパック詰め装置は、果菜自動選別装置から送り出される果菜を引き継ぐパック用引継ぎ体と、果菜を一列に整列させる複数列のパック用整列体と、各列のパック用整列体で一列に整列されて移動中の果菜を一個ずつ取出して搬送する数列のパック用搬送体と、数列のパック用搬送体の先方に設けられたホッパーと、ホッパーの下に空パックを移送するパック移送体を備えたものである。パック用搬送体は列別に移動して夫々のパック用搬送体の果菜を搬送してホッパーに投入できるようにしてある。果菜を送り出すパック用搬送体の列数を制御することにより、ホッパーに送りされる果菜の個数又は重量(以下「数量」という。)を制御することができる。
【0018】
パック用搬送体は、無端走行体の走行方向に引継ぎ突起又は引継ぎ突起を備えた果菜キャリアを走行方向に間隔をあけて取り付けたものとすることができる。
【0019】
前記パック用整列体の各列は、パック用搬送体の引継ぎ突起が下方から上方へ通過して夫々のパック用整列体内の果菜を個別に取り上げる通過空間を備えたものとする。
【0020】
[果菜選別パック詰め装置]
本発明の果菜選別パック詰め装置は、前記果菜自動選別装置のプールコンベアの先方にパック詰め装置を備え、果菜自動選別装置は前記果菜自動選別装置であり、パック詰め装置は前記パック詰め装置であり、前記プールコンベアから送り出される選別済み果菜を前記パック詰め装置で数列に整列させ、各列の果菜をホッパーに送り出し、ホッパーの下にパック移送体を備え、パック移送体でホッパーの下に搬入された空パックに、ホッパー内の果菜を投入してパック詰めし、充填済みパックを前記パック移送体でホッパーの下から排出できるようにしたものである。
【0021】
[果菜キャリア]
本発明の果菜キャリアは一列に整列されて送り込まれる果菜を一個ずつ取り出すことができるものであり、コンベア式の無端走行体に取り付けることができるものであり、果菜を取り出す引継ぎ突起と、取り出した果菜を載せる果菜載せ部を備え、引継ぎ突起は果菜を一列に整列して搬送する移送体又はパック用整列体の通過空間を通過して、移送体又はパック用整列体から果菜を取り出すことができるものであり、果菜載せ部は引継ぎ突起で取出した果菜を支持できるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の果菜自動選別方法は、次の効果を奏する。
(1)移送体の上の果菜を一個ずつ取り出して引き継ぐため、個々の果菜の自動計測が確実にできる。
(2)移送体が下り傾斜であり、その下り傾斜で、果菜を自動的に移動させるため、果菜の移動にコンベアやそれを駆動する装置が不要であり、構成が簡潔で故障しにくく、メンテナンスも容易である。
(3)取出し搬送体で搬送中の果菜を、エアの吹付けによって送り出す場合、従前のベルトコンベア式の果菜キャリアよりも構造が簡潔で故障しにくく、メンテナンスも容易である。
【0023】
本発明の果菜自動選別装置は、次の効果を奏する。
(1)移送体を移動した果菜を、引継ぎ突起で一個ずつ取り出して引き継ぐため、果菜を確実に引き継ぐことができる。
(2)移送体を下り傾斜にして、果菜が自動的に移動できるようにしてあるため、果菜の移動にコンベアやそれを駆動する装置が不要であり、構成が簡潔で故障しにくく、メンテナンスも容易である。
【0024】
本発明のパック詰め装置は、次の効果を奏する。
(1)等階級判別された果菜を自動的にパック詰めできるので、パック詰め作業員が不要となり、大幅な省力化できる。
(2)果菜を複数列に区画された通路内を移動させてホッパーに所定数量ためてから、ホッパーから空パックに果菜を詰めるので、空パックに一定(略一定を含む)数量の果菜を詰めることができ、数量のばらつきがない。果菜の個数或いは重さを調整し易くなる。
【0025】
本発明の果菜選別パック詰め装置は、次の効果を奏する。
(1)果菜の等階級判別ごとの選別からパック詰めまでを、全自動化できるので、大幅な省力化ができる。
【0026】
本発明の果菜キャリアは、次の効果を奏する。
(1)簡潔な構造であるため、故障しにくく、メンテナンスも容易である。
(2)無端走行体に取付けやすい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(果菜自動選別方法の実施形態)
本発明の果菜自動選別方法は各種果菜の自動選別に利用することができるが、ミニトマトやキンカン、かぼす、栗、ミカン、茄子といった外形が球状或いは丸形(以下「丸形」という。)であり、傷付きにくい果菜の自動選別に適するものである。以下に、丸形果菜を自動選別する場合を一例として以下に説明する。
【0029】
本発明の果菜自動選別方法は次のようにして選別する方法である。
(1)コンテナC(
図1、
図2(a))から果菜Tを、果菜搬送体1(
図1)の上に不規則に供給する。果菜搬送体1にはベルトコンベアその他の各種コンベアが適する。
(2)果菜搬送体1によりその上の果菜Tを搬送して移送体2に送る。
(3)移送体2は果菜Tを一列に並べながら出口側O(
図1)に移動させる。移送体2は下り傾斜の通路であり、果菜Tが転がり落ちたり滑り落ちたりすることのできる角度の下り傾斜である。
(4)移送体2の出口側O(
図1)において、果菜Tを取出し搬送体4(
図1)により一個ずつ取り出して引き継いで搬送する。取出し搬送体4は例えば、ベルトコンベアに引継ぎ突起9aを取り付けたものが適する。
(5)取出し搬送体4で引き継いで搬送中の果菜Tの形状、大きさ、重さ、糖度、色、変形、傷等の必要事項を、取出し搬送体4の上方に配置した計測器5(
図1)で自動的に計測する。
(6)前記計測データに基づいて、果菜Tの等階級を判別手段で判別する。判別手段にはこの種の果菜の自動選別において汎用されている判別手段を使用することができる。
(7)等階級判別済み果菜Tを、送り体6(
図1)により、取出し搬送体体4の側方に配置されているプールコンベア7(
図1)に等階級別に送り出して仕分ける(選別する)。送り体6にはエア噴出機や押し出し機等を使用することができる。プールコンベア7にはベルトコンベアを使用することができる。この場合、プールコンベア7の上に直に又は取出し搬送体4とプールコンベア7の間に配置した中継体、例えばプールコンベア7とは回転速度の異なるベルトコンベア或いは、回転方向の向きが異なるベルトコンベア等(図示せず)を介してプールコンベア7に送り出すことができる。
【0030】
図1に示すプールコンベア7はベルトコンベア式であり、果菜Tが等階級別に送り出される箇所に配置する。
図1では一つの等階級の送り出し箇所に三本配置されている。
【0031】
(果菜自動選別装置の実施形態1)
本発明の果菜自動選別装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1に示した果菜自動選別装置15は、コンテナCから投入された果菜Tを搬送する果菜搬送体1と、果菜搬送体1から送り込まれる果菜Tを一列に整列させて移動する移送体2と、移送体2の出口側Oにおいて移送体2から果菜Tを一個ずつ取り出して引き継ぐ取出し搬送体4と、搬送中の果菜Tの形状、大きさ、重さ、糖度、色、変形、傷等の必要事項を計測する計測器5と、判別済み果菜Tを取出し搬送体4の側方に送り出す送り体6(
図1)と、送り体6により取出し搬送体4から送り出される果菜Tを多数プールするプールコンベア7を備えている。
【0032】
[果菜搬送体]
前記果菜搬送体1には
図1、
図2(a)に示すようにベルトコンベアを使用することができる。この場合、ベルトコンベアの上に二枚のガイド板8を対向配置し、両ガイド板8の間隔を出口側に向けて狭くして、両ガイド板8の間を通過する果菜Tが、移動するにつれて自動的に一列に整列するようにしてある。
【0033】
[移送体]
移送体2は
図2(c)、
図3(a)に示すように三本の細長棒或いは細長パイプ(以下「バー」という。)2a〜2cを三角形の頂点位置に前下がり傾斜に配置して、三本のバー2a〜2cの内側に移送通路Rを形成してあり、前記下り傾斜により前記移送通路R内を転がり落ちたり、滑り落ちたりして、移送体2の出口側O(
図1)に移動するようにしてある。
【0034】
図3(a)に示すように、バー2aと2c、バー2bと2cは間隔L1をあけて配置され、バー2aと2bは間隔L2をあけて配置されており、それら三本のバー2a〜2cの端面を仮想直線で繋いだときに、当該仮想直線が上向き開口の逆三角形となるようにしてある。前記間隔L1は果菜Tが通過しない(落下しない)広さとしてあり、上側に配置された二本の上側バー2a、2bの間隔L2は果菜Tの外径よりもやや大きくして果菜Tが一つ支持される広さの移送通路R(
図2(c)、
図6(a)(b))としてある。三本のバー2a〜2cは図示しないフレーム部材に取り付けられて前記位置関係が保持されている。前記間隔(空間)L1、L2の部分は通過空間Sである。バーは移送通路Rに果菜Tを支持でき、果菜Tを移送することができれば、本数、傾斜角度任意に設計することができる。
図6(b)に四本の場合を例示する。この場合もバーの間に通過空間S(
図3(b))がある。この通過空間Sは
図6(a)(b)に示すように、取出し搬送体4の無端搬送体10に取り付けられている引継ぎ突起9aが通過して果菜Tを掬い上げる空間である。
【0035】
前記移送体2は前記構造以外であってもよい。例えば、上向き開口の半割パイプを使用することができる。この場合は、半割パイプの横幅を少なくとも果菜Tが一つ収まる広さにして移送通路とする。半割パイプ場合はバーで移送体2を構成する場合と異なり空間がないため、半割パイプの終端側に引継ぎ突起9aが通過できる広さと数の切欠き部(孔、溝等)を開口して、当該切欠き部を引継ぎ突起9aが通過できる通過空間とすることができる。
【0036】
移送体2の傾斜角度(下り勾配)は果菜Tが、入口側Q(
図1の左側)から出口側O(
図1の右側)に自動的に転がり落ちたり(転落したり)、滑り落ちたり(滑落したり)して出口側Oへ移動する程度の角度が適する。果菜Tには転がりにくい形状のものも、転がり易い形状のものもある。移送体2の下り勾配が小さ過ぎるとスムースに転がらずに移送体2の途中で停止してしまうおそれがある。下り勾配が大き過ぎると後続の果菜(本願において「後続果菜」という。)Tが前の果菜Tに追突したりを乗り越えたりして、果菜Tが損傷したりすることがある。そのような事態が生じない程度の下り勾配に設定するのが望ましい。また、果菜Tは形状や大きさが同じものは二つとしてないため果菜Tの種類や大きさ、形状等に応じて、スムースに転落或いは滑落する下り勾配に設計するのが望ましい。
【0037】
[取出し搬送体]
取出し搬送体4は移送体2の出口側Oに到来した果菜Tを引き継いで先方に搬送するものである。取出し搬送体4としては例えば
図2(a)〜(c)に示すように、タイミングベルト等の無端搬送体10に果菜キャリア9を取り付けたものを使用することができる。果菜キャリア9には
図4(a)(b)に示す構造のものを使用することにより、移送体2の出口側Oにおいて、
図2(c)のように果菜Tを果菜キャリア9の二枚の引継ぎ突起9aで掬い上げて(取り出して)、
図2(b)のように、夫々の果菜キャリア9の果菜載せ部9bに一個ずつ載せて前記引継ぎ突起9aで区画することができるようにしてある。
【0038】
前記無端走行体10は間隔をあけて配置された五つのタイミングプーリー(
図2(a))の外周に周回されて、上り傾斜部10aと、その先方の上水平走行部10bと、その先の下り傾斜部10cと、その先の斜め下向きに折り返す戻り傾斜部10dと、その先の下水平走行部10eが一連(無端状)になって回転する水平折り返し回転式である。無端走行体10には平ベルト式のベルトコンベアを使用することもできる。
【0039】
前記果菜キャリア9は無端走行体10の表面に、その走行方向に一定間隔で多数設けられており、当該無端走行体10の走行に伴って移動するようにしてある。
【0040】
図1に示すように、多数の果菜キャリア9は一列(ほぼ一列を含む)に並べて無端走行体10に取り付けられている。一列に並べることで果菜Tが一列に一定間隔で搬送されるため、個々の果菜Tを計測器5で高精度に測定することができる。
【0041】
個々の果菜キャリア9は
図4(a)(b)に示すように、移送体2から果菜Tを引き継ぐ引継ぎ突起9aと、引継ぎ突起9aで取り出した果菜Tを載せる果菜載せ部9bを備えている。引継ぎ突起9aは果菜載せ部9bの後方側(無端走行体10に取り付けた場合の当該無端走行体10の走行方向後方)に設けられている。
図4(a)(b)では二枚の引継ぎ突起9aを備えている。二枚の引継ぎ突起9aの間隔は果菜Tが落下しない広さとしてある。
図4(a)の二枚の引継ぎ突起9aは搬送方向正面に向けて平行に配置されているが、
図4(b)の引継ぎ突起9aは二枚が搬送方向正面よりも多少内向きに配置されている。
【0042】
個々の引継ぎ突起9aの幅は移送体2の通過空間S(
図6(a)(b))内を通過できる寸法としてあり、無端走行体10の走行に伴って、引継ぎ突起9aが通過空間S内を下方から上方に回転走行(通過)して、移送体2の上の果菜Tを一個ずつ掬い上げて取り出し、引継ぎ突起9aの先方の果菜載せ部9bの上に引き継ぐことができるようにしてある。
【0043】
引継ぎ突起9aの長さは果菜Tの高さよりも短くして、通過空間S内を下方から上方に通過するときに、移送体2の上の二以上の果菜Tに跨らないようにして、一度に二以上の果菜Tを掬い上げることができないようにしてある。
【0044】
図4(a)(b)の果菜キャリア9は引継ぎ突起9aと果菜載せ部9bを樹脂で一体成形してあるが、別々に製作したものを組み合わせることもできる。材質は樹脂以外であってもよく、弾力性のあるシリコン、ゴム等であってもよい。引継ぎ突起9aは掬い上げた果菜が安定するように、長手方向(上下方向)中央部を多少外側に突出させて湾曲しておくとか、掬い上げるときに果菜Tの重さで多少屈曲可能なものであってもよい。
【0045】
[計測器]
計測器5(
図1)は、果菜Tの形状、大きさ、重さ、色、糖度、表面の凹凸、傷の有無等を計測するものであり、果菜自動選別に使用されている既存の光学式計測器、画像処理式計測器、糖度計、計量器といった各種方式の計測器を個別に又は二以上の計測器を組み合わせて使用することができる。計測器5は取出し搬送体4の上方に配置して、搬送中の果菜Tを上方から計測できるようにすることも、取出し搬送体4の側方に配置して側方から計測できるようにすることも、取出し搬送体4の真下に配置して下方から計測できるようにすることもできる。計測器5は果菜Tを正確に計測できる位置に配置する。
【0046】
[送り体]
前記送り体6(
図1)は、判別済み果菜Tを取出し搬送体4の側方に配置されているプールコンベア7(
図1)に等階級別に送り出すものである。一例として
図1に示す送り体6は、高圧エアを噴出して取出し搬送体4の上の果菜Tをプールコンベア7に送り出すものである。送り体6としてはエア噴出機や押し出し機等を使用することができる。送り体6は計測器5側から送信される判別信号に従って動作するようにしてあり、判別済み果菜Tが、所定の等階級の果菜Tを引き受けるプールコンベア7の近傍に到達したときに、エアを噴出するように制御される。送り体6がエア噴出式である場合、取出し搬送体4の果菜キャリア9の真横のほか、取出し搬送体4による搬送方向斜め前方或いは斜め後方からエアを噴出して、噴出方向先方に送り出すこともできる。この場合は、プールコンベア7を吹き出し方向に配置しておく。
【0047】
[プールコンベア]
プールコンベア7(
図1)は、送り体6により送り出される果菜Tを等階級別にプールするものであり、平ベルトを使用したベルトコンベア式とすることができる。プールコンベア7は取出し搬送体4の側方であって、等階級別にプールする箇所に数本ずつ配置されている。
図1ではプールコンベア7を三本設けた場合を一例としているが、プールコンベア7は一つの等階級用に三本未満とすることも四本以上とすることもできる。プールコンベア7を多数本設ける場合は、数本おきに或いは一本おきに間隔をあけて配置して、その間隔(スペース)を、作業者が作業をするための作業スペースとして利用することもできる。
【0048】
プールコンベア7の上面は取出し搬送体4の上面と同じ高さ(面一)に設けることも、取出し搬送体4の上面よりも一段低い位置に設けることもできる。プールコンベア7は送り出された果菜Tを先方に搬送するものである。プールコンベア7は低速で連続回転するものであっても、果菜Tが送り出されるたびに所定の移動長(例えば果菜一個のスペース分)間欠回転するものであっても、定時的に間欠回転するものであってもよい。プールコンベア7に無駄な空きスペースができないようにするためには、連続回転式の場合は遅い回転速度にするのが望ましい。回転速度が速いとプールコンベア7の上の空きスペースが多くなり、効率の良いプールができなくなる。果菜一個のスペース分だけ間欠回転する場合は、プールコンベア7の上に、後から送り出される果菜Tが載る分のスペースが確保されるため、後から送り出される果菜Tが、前に送り出された果菜Tに追突するのを防止でき、衝突による果菜Tの損傷を防止することができる。
【0049】
プールコンベア7の横幅、長さは必要量の果菜Tをプールできるように設計することができる。その材質は果菜Tが傷付きにくいものが適する。プールコンベア7は多数の果菜Tをプールすることができれば、本数、横幅、長さ等は任意に設計することができる。プールコンベア7は連続回転式であっても間欠回転式であってもよい。
【0050】
図1では取出し搬送体4から直にプールコンベア7に送り出すようにしてあるが、必要であれば、取出し搬送体4とプールコンベア7の間に中継体を配置し、取出し搬送体4から一旦、その中継体に送り出し、その中継体からプールコンベア7に送り出すようにすることもできる。中継体としては例えばプールコンベア7とは回転速度の異なるベルトコンベア或いは回転方向が異なるベルトコンベア(図示せず)とか、細い回転ローラを多数本配置したもの等とすることができる。
【0051】
(果菜自動選別装置の実施形態2)
本発明の果菜自動選別装置の他例について、
図5を参照して説明する。この実施形態の果菜自動選別装置の基本構造は前記実施形態1の場合と同様であり、異なるのは取出し搬送体4の構造であり、
図5、
図6(a)(b)に示すように無端搬送体10に直に二本の引継ぎ突起9aを設けて、果菜キャリア9を使用しないことである。以下の説明では、実施形態1と同様の部分については同一の符号を付し、その説明は省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0052】
図5、
図6(a)の実施形態では、無端走行体10として実施形態1と同様のタイミングベルトを使用し、その無端走行体10の上に二枚の引継ぎ突起9aを、無端搬送体10の幅方向に並べて突設し、同様に、引継ぎ突起9aを二枚一組として無端搬送体10の走行方向に一定間隔で、無端搬送体10の全周に取り付けてある。
【0053】
(果菜自動選別装置の実施形態3)
本発明の果菜自動選別装置の他例として
図6(b)に示すものは、果菜自動選別装置の基本構造は前記実施形態1の場合と同様であり、異なるのは無端搬送体10に直に三枚の引継ぎ突起9aを一組として突設してある。
【0054】
いずれの実施形態の引継ぎ突起9aも、引継ぎ突起9aの幅方向外側を内側に向け、縦方向中央部を外側に突出させて湾曲させて、丸形の果菜を引継ぎ突起9aで掬い上げ易くなり、掬い上げたき丸形の果菜が引継ぎ突起9aの外に落下しにくくなるようにすることができる。引継ぎ突起9aが三枚の場合は、
図6(b)のように移送体2を構成するバーを四本にし、それらバーを、間隔をあけて配置して、四枚のバーの間の三つの間隔を引継ぎ突起9aが通過できる通過空間Sとして、四本のバーの上に載っている果菜Tを掬い上げる(取り上げる)ことができるようにする。この場合の引継ぎ突起9aの形状、材質等も実施形態1、2の引継ぎ突起9aと同様にすることができる。
【0055】
(果菜自動選別装置の他の実施形態)
前記実施形態1〜3では、果菜搬送体1、移送体2、取出し搬送体4が一条(一列)の場合を一例としているが、果菜搬送体1、移送体2、取出し搬送体4は必要条数を並列に並べることもできる。この場合は、プールコンベア7を各条の取出し搬送体4の側方に配置して、夫々の条の取出し搬送体4から送り出される果菜Tを等階級別にプールできるようにする。
【0056】
前記実施形態では、無端走行体10としてタイミングベルトを用いた場合を一例としているが、無端走行体10には通常の平ベルトを使用することもできる。また、無端走行体10は、間隔をあけて平行に対向配置された二本の無端チェーン(図示しない)とか、他のコンベア形式で構成することもできる。
【0057】
(パック詰め装置及び果菜選別パック詰め装置の実施形態1)
本発明のパック詰め装置の一例を、図面を参照して説明する。一例として
図1に示すパック詰め装置20(
図1)は、前記果菜自動選別装置15(
図1)の先方に設けられており、果菜選別パック詰め装置30は前記果菜自動選別装置15とパック詰め装置20を組み合わせた複合機である。
【0058】
[パック詰め装置]
図1のパック詰め装置20は、前記果菜自動選別装置15のプールコンベア7の先方に配置されており、プールコンベア7から送り出される果菜を受けて次の工程に送り出すパック用引継ぎ体21と、パック用引継ぎ体21の先に配置されたパック用整列体22と、パック用整列体22の先に配置されたパック用搬送体23と、パック用搬送体23の先に配置されたホッパー24と、当該ホッパー24の排出口24bの下に配置されたパック移送体25を備えたものである。
【0059】
[果菜選別パック詰め装置]
前記果菜選別パック詰め装置30は、前記果菜自動選別装置15と前記パック詰め装置20を組み合わせた複合機である。
【0060】
本発明の果菜自動選別装置15については、前記果菜自動選別装置の実施形態1にて詳細に述べたため、ここではその説明を省略する。
【0061】
[パック用引継ぎ体]
図1の自動パック詰め装置20のパック用引継ぎ体21は、三列のプールコンベア7よりも幅の広いベルトコンベア、他のコンベア或いは下り傾斜の板材であり、プールコンベア7から送り出される果菜Tを引き継いで、パック用整列体22に送り出すものである。
【0062】
[パック用整列体]
図1のパック詰め装置20のパック用整列体22は、前記パック用引継ぎ体21から送り出される果菜Tを一列に整列するものであり、
図8(a)では並列に六列設けて果菜を六列に整列させることができるようにしてある。パック用整列体22の列数は任意数とすることができる。
【0063】
このパック用整列体22には果菜自動選別装置15(
図1)の移送体2(
図6(a)(b))を下り傾斜に配置して使用することができる。
図6(b)の実施形態では四本のバー2a〜2dを上側と下側に二本ずつ間隔をあけて配置し、下側二本のバー2c、2bの間隔L3(
図3(b))は果菜Tが通過しない(落下しない)広さ、上側二本のバー2a、2bの間隔L2は果菜Tが一つ収まる広さとしてある。
図6(a)に示すパック用移送体22は三本のバー2a〜2cを三角形に配置してある。バーは五本以上とすることもできる。いずれの場合も、バーの始端側から終端側に向けて下り傾斜にして、果菜Tがその上を転がり落ちるか滑り落ちるようにしてある。パック用整列体22は果菜Tがその上を転がり落ちるか滑り落ちるもの出れば他の構造であってもよく、例えば、上向き開口の半割パイプで構成できることや傾斜角度等については、前記果菜自動選別装置の実施形態1の移送体2と同様である。
【0064】
[満杯検知センサー]
パック用整列体22の始端側近傍には満杯検知センサー(図示しない)を設けて、パック用整列体22内の果菜Tが満杯になったことを検知できるようにしてある。満杯検知センサーによってパック用整列体22内の果菜Tが満杯になったことが検知されると、パック用引継ぎ体21による果菜Tの送りが停止し、前記センサーによりパック用整列体22内に空きが出たことが検知されると、パック用引継ぎ体21が供給再開するようにしてある。
【0065】
[パック用搬送体]
パック用搬送体23は、前記パック用整列体22で一列に整列されて送り込まれる果菜Tを、パック用整列体22から一個ずつ取り出してホッパー24に送り込むものであり、パック用整列体22の先方に配置されている。
【0066】
前記パック用搬送体23は果菜自動選別装置15(
図1)の取出し搬送体4と同じ構成であり、タイミングベルトや平ベルト等の無端搬送体10(
図2(c))に、
図4(a)(b)に示す果菜キャリア9を取り付けたものであってもよく、無端搬送体10に引継ぎ突起9aを直に取り付けたものであってもよい。いずれの場合も、パック用搬送体23の出口側において、無端搬送体10の回転により
図6(a)(b)のように果菜Tを引継ぎ突起9aで掬い上げて(取り出して)、その引継ぎ突起9aで果菜キャリア9の果菜載せ部9b(
図4(a)(b))又は無端搬送体10であって引継ぎ突起9aの先方の果菜載せ部9b(
図4(a)(b))の上に一個ずつ送り込んで果菜載せ部9bの上に載せ、送り込んだ引継ぎ突起9aで一個ずつ区画できるようにしてある。無端搬送体10はチェーンとか他の無端回転体であってもよい。
【0067】
図8(a)(b)のパック用搬送体23は、六本のパック用整列体22のそれぞれの先に一本ずつ(合計六本)設けられている。
【0068】
[定量センサー]
複数本のパック用搬送体23の出口或いはホッパー24の投入口24a付近には、パック用搬送体23からホッパー24に投入された果菜Tの数量を感知する定量センサー(例えば、秤量計:図示せず)が配置されている。
図1に示す六本のパック用搬送体23は個別回転可能であり、通常は六本全てが同時に回転して果菜Tをホッパー24にほぼ規定数量送り込んでから(一次投入してから)、その後の送り込み数量を調整する場合は、一本或いは二本といった少数列のパック用搬送体23のみを回転させて、少数の果菜Tを送り込むことができるようにしてある。具体的には、一次投入時には
図9(a)のようにすべての列のパック用搬送体23が回転して矢印方向に送り出し、ホッパー24に所定数量送り込まれたことが前記定量センサーで感知されると、
図9(b)のように一番外側の一列のパック用搬送体23のみが回転して少数個投入できるようにしてある。このようにすることで、一次投入時後に数個の果菜Tをホッパー24に送り込んで、ホッパー24内の数量を一定(ほぼ一定を含む)にすることができるようにしてある。前記定量センサーで所定数量が検知されると、ホッパー24への供給が停止される。前記少数送り込みのために回転させるパック用搬送体23の本数、回転させるパック用搬送体23の列は、任意の一列或いは二列といったように設計することができる。
【0069】
[ホッパー]
図1のホッパー24は、パック用搬送体23から移送されてきた果菜Tを、一パック分の数量(一つのパックに詰める数量)を貯留し、貯留した果菜Tをパック移送体25で移送されて定位置(ホッパーの排出口の下)に送られてくる空パックPに供給するためのものである。一例として
図7に示すホッパー24はパック用搬送体23から送られる果菜Tを投入する上方開口の投入口24aと、ホッパー24内に貯留された果菜Tを空パックPに排出する下細りの排出口24bを備える。
【0070】
[パック移送体]
前記パック移送体25はプラスチック製の空パックPをホッパー24の排出口24bの下に送り込むとともに、ホッパー24の排出口24bから果菜Tを落下させて詰めた充填済みパックPをその先方に送り出すための装置である。パック移送体25には既存のベルトコンベアやローラーコンベアなどを用いることができる。空パックPはパック移送体25の近傍に設置されたストッカー(図示しない)に収容しておくことができる。
【0071】
パック移送体25にはパック定位置センサー(図示しない)を設けてあり、先頭の空パックPがホッパー24の排出口24bの下に到達したことを検知すると、パック移送体(例えばベルトコンベア)25の回転による移送が停止し、ホッパー24の排出口24bを開閉可能な蓋24cが開いて、ホッパー24内の果菜Tが排出口24bから空パックP内に充填されるようにしてある。パック移送体25は空パックP内への果菜Tの充填が終了する(所定量詰める)とパック一個分だけ間欠回転して充填済みパックPをホッパー24の下から送り出すと共に、次の空パックPをホッパー24の排出口24bの下に引き込んで停止するようにしてある。この実施形態では、パック移送体25がパック一つ分間欠回転するたびにストッカーから空パックPが一つパック移送体25上に供給されるようにしてある。
【0072】
(果菜自動選別装置の動作)
本発明の果菜自動選別装置15(
図1)は、次の(1)〜(7)のように動作する。
(1)果菜搬送体1から移送体2に果菜Tを供給すると、当該果菜Tは当該移送体2の傾斜によって回転又は滑落しながら自重で下方に移動する。
(2)移送体2の出口側Oに到達した果菜Tは、当該移送体2の下方に配置された取出し搬送体4の上に落下する(
図2(b))。
(3)前記(2)の状態で取出し搬送体4が回転すると、当該取出し搬送体4の果菜キャリア9に設けられた引継ぎ突起9aが移送体2の通過空間Sを通過し、移送体2の上の果菜Tを当該引継ぎ突起9aによって掬い上げて(取り出して)引き継ぐ。
(4)前記(3)のように果菜Tが引き継がれると、後続の果菜Tが次の取出し搬送体4の上に落下し、引継ぎ突起9aが移送体2の通過空間Sを通過して果菜Tを引き継ぐ。この繰り返しにより、果菜Tは一個ずつ順次引き継がれて、無端搬送体10の回転により先方へ搬送される。
(5)先方に搬送された果菜Tは、搬送中に計測器5によって一個ずつ計測され、等階級が判別される。
(6)等階級が判別された判別済み果菜Tは、当該等階級用のプールコンベア7の側方に到達すると、送り体6(
図1)からエアが噴出され、当該エアによって判別済み果菜Tがプールコンベア7に送り出される。
(7)以降、前記(1)〜(6)の繰り返しにより、果菜Tが連続的に計測・判別され、プールコンベア7に送り出されて自動選別される。
【0073】
(パック詰め装置の動作)
本発明のパック詰め装置20(
図1)は、次の(1)〜(7)のように動作する。
(1)
図1のプールコンベア7からパック用引継ぎ体21に送り出された果菜Tは、複数列のパック用整列部22に送られて数列に整列し、当該パック用整列部22の下り傾斜によって回転又は滑落しながら自重で下方に移動する。
(2)パック用整列部22の出口側に到達した先頭の果菜Tは、当該パック用整列部22の下方に配置されたパック用搬送体23の無端搬送体10の上に落下する。
(3)前記(2)の状態で、回転中のパック用搬送体23の引継ぎ突起9aがパック用整列体22の通過空間Sを通過して、パック用整列体22の上の果菜Tを掬い上げて引き継ぐ。
(4)引継ぎ突起9aで引き継がれた果菜Tはその果菜載せ部9bの上に載せられて搬送されてホッパー24に投入される。ホッパー24への投入は全ての列のパック用搬送体23を回転させて投入する。ある程度の数量が投入される(一次投入される)と、一部のパック用搬送体23のみを回転させて、数個の果菜を投入(二次投入)して、ホッパー24内の果菜Tを所定数量にする。
(5)果菜Tがホッパー24に所定数量溜まると、パック用搬送体23の回転が停止して、ホッパー24への果菜Tの投入が停止する。
(6)ホッパー24の蓋24cが開いて排出口24bが開口し、排出口24bの下に送り込まれている空パックPにホッパー24内の果菜Tが充填される。充填後は排出口24bの蓋24cが閉じ、充填済みパックPはその先方に送られ、次の空パックPがホッパー24の排出口324bの下に送り込まれる。
(7)以降、前記(1)〜(6)の繰り返しにより、果菜Tのパック詰めが繰り返される。