【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年4月10日大塚倉庫株式会社千葉県浦安配送センター内において開催された全国パートナー会議で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年7月6日大塚倉庫株式会社千葉県浦安配送センター内において開催された共同物流開始に関する発表会で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 月刊ロジスティクス・ビジネス2015SEPTEMBER No.174(平成27年9月1日)第2〜3頁に発表
【解決手段】配車システムの配車サーバが、少なくとも第1の配送先へ荷物を配送する第1の出荷指示を含む出荷指示情報を出荷指示データとして出荷指示データベースに登録する出荷指示管理部と、配送を行う少なくとも第1の車両を含む車両情報を車両データとして車両データベースに登録する車両情報管理部と、少なくとも第1の車両が一つ以上の配送先へ配送を行ったことを示す配送実績情報を各車両と各配送先を関連付けて配送実績データとして配送実績データベースに登録する配送実績管理部と、第1の配送先を含む地点間の移動時間の情報を含む配送時間情報を配送時間データとして配送時間データベースに登録する配送時間管理部と、第1の配送先へ配送を行ったことがある少なくとも1台の車両を抽出して第1の出荷指示に対し配車を行うための配車計画部を含む。
前記第1の配送先へ配送を行ったことがある各車両の延べ配送回数の合計に対して前記第1の車両が前記第1の配送先へ配送を行った配送回数が最も多いとき、前記第1の出荷指示に対して前記第1の車両が配車されることを特徴とする請求項1に記載された配車システム。
前記抽出される少なくとも1台の車両の前記第1の配送先へ配送を行った配送回数が、前記第1の配送先へ配送を行ったことがある各車両の延べ配送回数の合計に対して所定割合以上であることを特徴とする請求項1に記載された配車システム。
【背景技術】
【0002】
商品の生産工場と流通倉庫(ストックポイント)との間、流通倉庫と商品の販売店舗との間では、トラックなどの多数の車両を用いた配送管理システムにより商品が配送されている。
【0003】
従来、ベテランの配車係がいなくても、効率の良い配車ができるように、配送を担当するディスパッチャーが、ホストマシンから送信された受注データを端末マシンを介して選択することにより自分で仕事(配送)を選択する配車システムが提案された(特開平11−283196号公報:特許文献1)。
【0004】
また、多品種の荷物群に関する品目データと、複数の物流拠点に関する物流拠点データと、複数の輸送拠点において所管する複数の車両およびこれらの車両が発着する車庫に関する車両および車庫データとを少なくとも管理するマスター管理手段と、該マスター管理手段内の少なくとも品目データと物流拠点データと車両および車庫データとに基づいて、複数の荷主からの輸送依頼に応じた、複数の車両に対する運行ルートの設定を行う運行ルート設定手段と、を備える該配車センターにより、配車すべき車両の総台数を最小にするような運行ルートの設定を行う配車システムが提案された(特開平11−328573号公報:特許文献2)。
【0005】
交通情報や気象情報や作業量毎の分析情報を取り込み配送依頼に基づく配車計画情報を作成し、該情報を配車の車両が車載端末により受信し、さらに車両の位置や通過ルートを記憶してフィードバックする配車計画システムが提案された(特開2000−20873公報:特許文献3)。
【0006】
求車のための荷物情報を発信する荷主側端末と、求荷のためのトラック情報を発信する運送事業者側端末と、これらの端末からの情報をインターネットを介して受信し、求荷求車データベースを構築するとともに、求車求荷データベースに基づいて自動的または人の判断を介して配車計画を作成して配車結果情報を荷主側端末と運送事業者側端末とに発信する物流情報センタ内のサーバーを含む物流情報システムが提案された(特開2001−23073公報:特許文献4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術では、配送担当者の個別の入力に基づくと、配車を十分に管理できないという問題があった。また、従来のノウハウを取り入れつつ十分に自動化された使い勝手の良い配車システム、配車方法は提案されてこなかった。
【0009】
本発明は、物流の配送管理システムにおいて、配車を容易且つ迅速に、自動的に行う配車方法及び配車システムを提供することを目的とする。特に、ベテランの配車係により日々数時間を要して行われてきた配車計画の作成を、数分から数十分程度の短時間で作成し、当該配車計画に従って配車・配送を行うことにより、配送効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明のひとつの態様に係る配車システムは、配車サーバを含む配車システムであって、配車サーバが、少なくとも第1の配送先へ荷物を配送する第1の出荷指示を含む出荷指示情報を、出荷指示データとして出荷指示データベースに登録するための出荷指示管理部と、配送を行うための少なくとも第1の車両を含む車両情報を、車両データとして車両データベースに登録するための車両情報管理部と、少なくとも第1の車両が一つ以上の配送先へ配送を行ったことを示す配送実績情報を、各車両と各配送先を関連付けて配送実績データとして配送実績データベースに登録するための配送実績管理部と、第1の配送先を含む地点間の移動時間の情報を含む配送時間情報を、配送時間データとして配送時間データベースに登録するための配送時間管理部と、第1の配送先へ配送を行ったことがある少なくとも1台の車両を抽出して第1の出荷指示に対し配車を行うための配車計画部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
このように所定の配送先への配送実績を有することに基づいて選択された車両は、所定の配送先における種々の要件をクリアし得る。例えば、配送実績を有する車両は、配送先へ至る道幅の制限をクリアし得る。当該車両は、配送先が店舗等であり取り扱う荷物が決まっていれば、荷物の種類、サイズ、重量、面積等の要件をクリアし得る。車両のドライバーが配送先の細かな注意事項に精通していることも期待できる。また、各運送業者の各配送実績と各車両を紐づけることにより、運送会社毎の配車手法に適合し得る。配送実績として人の判断を介して配車が行われた際のものも利用することができるので、必ずしもパラメータ化されない要件も配車計画に反映され得る。
【0012】
配車システムは、第1の配送先へ配送を行ったことがある各車両の延べ配送回数の合計に対して第1の車両が第1の配送先へ配送を行った配送回数が最も多いとき、第1の出荷指示に対して第1の車両を配車することを特徴とする。このようにすることで、個別の配送に最も適した配車を行うことができる。
【0013】
また、抽出される少なくとも1台の車両の第1の配送先へ配送を行った配送回数が、第1の配送先へ配送を行ったことがある各車両の延べ配送回数の合計に対して所定割合以上であることを特徴とする。所定割合は、5%、10%、15%、20%、25%等であってよい。このようにすることで、スポット的に配送を行った車両でなく、配送先の要件に十分に対応し得る配車を行うことができる。
【0014】
例えば、所定割合は15%であってよい。配送先が決まった曜日に商品を仕入れ、車両(及びドライバー)が決まった曜日に稼働する等の種々の要因によって、配送先と車両の組み合わせにはある程度一定のパターンが生じ得る。配送先と車両の組み合わせが一定のパターンになくイレギュラーである場合、その車両は「スポット的な配送を行った」と判定され得る。「スポット的な配送を行った」と判定するための所定割合が高過ぎると、例えば、期間毎の配送回数が多く比較的多くの車両が配送を担当する配送先等について、主に配送を行う車両が排除される恐れがあり好ましくない。所定割合が低すぎると、例えば、期間毎の配送回数が比較的少ない配送先等について、臨時で一度だけ配送を行ったような車両を排除できないため好ましくない。例えば、所定の配送先について毎週月〜金曜日は決まった2台の車両が日替わりで配送を行い、毎土曜日は毎回異なる車両が配送を行う場合、月〜土曜日の6日間のうち、決まった2台の車両がそれぞれ30〜50%の配送を行い、土曜日に配送を行った車両の全体の配送実績に占める割合は15%をやや上回る程度となる。所定割合は、想定されるパターンに基づいて、又は過去の配送先と車両の組み合わせのデータに基づいて、あるいは経験的に設定することができる。
【0015】
出荷指示データは、好適に、運送業者毎及び/又はストックポイント毎に抽出可能である。
【0016】
車両情報は各車両の許容積載量の情報を含み、荷物の積載量が第1の車両の許容積載量を超えないときに第1の出荷指示に対し第1の車両が配車される。
【0017】
第1の出荷指示がさらに指定時間の情報を含み、第1の配送先への配送に関する時間に基づいて指定時間の条件を満たすときに第1の出荷指示に対して第1の車両が配車される。
【0018】
本発明の他の態様は、配車サーバを含む配車システムにおいて実行され、所定の荷物を所定の配送先へ配送する指示を含む少なくとも一つの出荷指示に対して配車を行う方法であって、少なくとも一つの出荷指示を含む出荷指示情報を所定の条件に従ってソートして第1の出荷指示を抽出し、第1の出荷指示が荷物を第1の配送先へ配送することを指示するとき、少なくとも一つの出荷指示に対して求荷する各車両の情報を含む車両情報と、該車両情報に含まれる各車両が所定期間内に各配送先へ配送を行った実績があることを示す配送実績情報とに基づいて、第1の配送先への配送実績が最も多い順に車両を選択し、選択された車両が所定の条件を満たすときに該選択された車両を第1の出荷指示に対して配車することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各車両が各配送先へ配送を行ったという配送実績を利用して配車を行うので、複雑なパラメータ等を用いることなく容易に確実な配車を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の特徴が、図面を参照して、本発明の限定を意図するものではない好適実施形態として説明される。
【0022】
図1は、本実施形態の配車システム100の概略図である。本配車システム100では、配車サーバ10、荷主側端末30、運送業者側端末40、及び運送業者の各車両に搭載される車載端末41、42、43が有線ないし無線でインターネット等のネットワーク50に接続し、各種データの送受信を行うように構成される。
【0023】
配車サーバ10として、インターネット上でデータベース等の記憶資源や計算資源などの資源をサービスとして提供ないし利用する形態であるクラウドコンピューティングにおけるパブリッククラウド型のサーバを使用することができる。または、グループ企業等で広く使用する場合には、プライベートクラウド型のサーバを使用することもでき、さらには独自の社内専用サーバを使用することもできる。荷主側端末30や運送業者側端末40としてはパーソナルコンピュータ又はワークステーションを使用することができ、車載端末41、42、43としてはiPhone等多機能携帯端末又はタブレット端末等を使用することができる。配車サーバ10及び各端末は、中央処理装置(CPU)、RAM、ROM、ハードディスクなどを実装し、適切なオペレーティングシステム(OS)の制御の下でプログラミング言語を実行し、各種処理を実行するための機能手段を提供している。各端末は、Internet Explorer、FireFox(登録商標)、Chromeなどのブラウザソフトウェアを搭載し、配車サーバ10に対して、HTTPプロトコルやFTPプロトコルを使用してアクセスし、JAVASCRIPT(登録商標)などのアプリケーションプログラムを介して各種サービスの提供を受けることができる。
【0024】
図2は、本発明に係る配車サーバ10の機能ブロック図である。配車サーバ10は、ネットワークインタフェース(NIC)22を介してネットワーク50から各種情報および要求を受領する。
【0025】
配車サーバ10は、出荷指示管理部11と、車両情報管理部12と、配送実績管理部13と、配送時間管理部14と、配車計画部15とを備える。
【0026】
出荷指示管理部11は、荷主から受注した出荷に関する詳細な情報を含む出荷指示情報を、配車サーバ10に接続する入力装置(図示せず)を介して受領し、又は荷主側端末30からネットワーク50を介して受領して出荷データベース17に登録、管理するための電子機器、電子回路及びプログラムから成る。
【0027】
車両情報管理部12は、運送業者側端末40からネットワーク50を介して複数の車両のID、屯車(許容積載量)、許容稼働時間の情報等を含む車両情報を受領し、車両データベース18に登録、管理するための電子機器、電子回路及びプログラムから成る。
【0028】
配送実績管理部13は、運送業者の各車両が所定の配送先へ実際に配送を行ったことを示す配送実績情報を、各車両の車載端末からネットワーク50を介して逐次的に、又は所定の間隔で受領し、配送実績データべース19に登録、管理するための電子機器、電子回路及びプログラムから成る。
【0029】
配送時間管理部14は、各ストックポイントと各配送先間、又は各配送先と各配送先間の移動時間、配送先での荷物の積み下ろし時間(配送時間)、ストックポイントでの荷物の積込み時間等の情報を取得し、配送時間データベース20に登録、管理するための電子機器、電子回路及びプログラムから成る。
【0030】
配車計画部15は運送業者側端末40からの要求に応じ、出荷指示情報、車両情報、配送実績情報、及び配送時間情報に基づいて配車計画を作成し、配車データベース21に登録して管理するための電子機器、電子回路及びプログラムから成る。
【0031】
配車サーバ10はさらにデータ処理部16を含み、データ処理部16は、RDB等に対するデータの登録や検索、検索結果の作成などを行うことができ、各データベースに対するデータ追加、検索結果生成、データ削除、データ更新などの処理を可能とする。配車サーバ10の各部が取得、作成した各データは、データ処理部16、ストレージインタフェース23を介して各DBに格納される。
【0032】
出荷指示情報は、配送すべき荷物の積込み先であるストックポイント(倉庫)、荷物の配送先、荷物ID、荷物の積載量(重量、容量、荷姿等)、配送日、配送時刻指定(「FROM」は「何時から」を示し、「TO」は「何時まで」を示す)、出荷指示日時等を含み得る。出荷DB17において、以下の表1のような出荷指示データが、ストックポイント毎、運送業者毎、配送日毎等に抽出可能に登録される。
【0034】
車両情報は、好適に、運送業者により作成される。所定の日時に稼働可能な個別具体的な車両の情報は流動的であり、この情報を運送業者が作成することで確実な配車に寄与し得る。運送業者の車両管理者は、運送業者側端末40を介して配車サーバ10へアクセスし、車両情報入力のための画面表示(図示せず)を要求し、ディスプレイ等の出力装置に表示された入力画面に対して入力を行って、入力結果を配車サーバ10へ送信する。例えば、翌日の配送のために提供可能な車両情報を、前日の午後に作成して、配車サーバ10へ送信することができる。該車両情報の送信を受けて、配送サーバ10の車両情報管理部12は、車両DB18に以下の表2のような車両データを登録する。
【0036】
車両データは上記表2の項目に加えて、個々の車両の稼働開始時間が異なるとき等に、「稼働開始時間」の項目を含んでよい。または、稼働開始時間を各車両共通(例えば一律に3時、4時、5時、6時、又は7時等)と設定して、稼働開始時間の項目を含まなくてもよい。各稼働開始時間又は設定された稼働開始時間に時間DB20に登録された移動時間、配送時間、積込み時間等を適宜加算することにより、配送時刻指定の条件を満たすか否かが判定され得る。
【0037】
配送実績情報は、各々の車両が各々の配送先へ配送を行った実績であり、以下の表3のようなデータとして配送実績DB19にリアルタイムで、所定の時間間隔で、又は任意のタイミングで一括して登録され得る。本発明に係る配車方法では、このような配送実績データから、配送先毎に、該配送先へ配送を行った各車両の延べ配送回数が抽出され、以下に詳細に述べるように、配車すべき車両の選択に使用される。
【0039】
配送時間情報は、例えば、二つの配送先間、又は一つのストックポイントと一つの配送先間の移動時間の情報、荷物のストックポイントでの積込み時間の情報、荷物の配送先での積み下ろしの時間(配送時間)の情報等を含む。地点間の移動時間は、Google Maps API等の既存のAPIを用いて配送時間DB20に登録される。積込み時間情報又は配送時間は、「30分」等所定の値に予め設定して配送時間DB20に登録される。
【0040】
または移動時間情報は、既存のAPI等に依らず、実際の移動時間のデータから構成されてもよい。配送を行う各車両に搭載される車載端末は好適にGPS機能を有し、該機能により位置情報及び時刻情報を、ネットワークを介して配車サーバ10へ送信することができる。位置情報及び時刻情報に基づいてある地点(ストックポイントS1)からある地点(配送先A)へ至る実際の移動時間に係る情報を取得し、該取得された移動時間の平均値を、当該地点間の移動時間として配送時間DB20に登録することができる。
【0041】
さらに、積み下ろし時間、積込み時間等の情報も、実際の作業時間のデータから取得され、配送時間DB20に登録されてよい。
【0042】
本発明に係る配車サーバ10は、運送業者側端末40からの要求に応じて、当該運送業者のログインID、パスワードから特定される出荷指示について配車計画を作成することができる。作成された配車計画に関するデータは、運送業者側端末40及び当該運送業者が管理する各車両の車載端末41、42、43等へ送信される。
【0043】
配車計画は、運送業者の各車両に積み付けるべき各荷物(各出荷伝票)の情報を含む。作成された配車計画に従って、運送業者の各車両の車載端末41、42、43等に個別の配送に関する情報が表示される。
【0044】
例えば、ストックポイントS1で積み込まれる荷物の配送を行う車両T1に、それぞれ配送先をA、B、Cとする出荷伝票1、2、及び4(表1参照)が割り当てられたとき、車両T1の車載端末41のディスプレイに、
図3(a)、(b)のような画面が表示される。
図3(a)は一回転目(ストックポイントS1における一回目の積み付け)の配送先(出荷伝票)を表示するものであり、
図3(b)は二回転目(ストックポイントS1における二回目の積み付け)の配送先(出荷伝票)を表示するものである。端末41の表示部に表示される画面41a〜41eはボタン411〜419等のGUIを含み、例えば、車両T1のドライバーが画面41aに表示されたボタン411をタップすることにより出荷伝票1の配送先Aに関する各種情報(指定時刻やルート案内用地図等)が画面表示され得る。GPSの位置情報に基づいて車両T1が配送先Aへ到着したことが判定されると、配送完了ボタン415を含む画面41bが表示され、ドライバーは配送完了時にこのボタンをタップして、車両T1が配送先Aへ配送を行ったことを示す配送実績情報を配車サーバ10へ送信することができる。または随時表示可能な画面41aのボタン413を、配送完了後の任意のタイミングでタップして配送実績情報を配車サーバ10へ送信することができる。一回転目の全ての配送が完了すると、二回転目の配送先Cが画面41dに表示される。車両T1は二回転目の配送のためにストックポイントS1に戻って荷物を積み込んだ後、一回転目と同様に配送を行うことができる。
【0045】
図4を参照して、本発明に係る配車システムが適用される物流界は、概して、有限なエリアeに含まれる複数のエリアe1〜e3と、各エリアを固定的に又は流動的に担当する複数の運送業者C1〜C3と、各エリア内のストックポイントS1〜S4と、各エリア内の配送先A〜Nとから構成される。
図4中、「○」はストックポイント、「△」は配送先、「◇」は任意の休憩地点Rを示す。概して、メーカー等である荷主は、商品の販売先である卸売業者、小売業者等の店舗等である配送先A〜Nへ商品を配送するために、商品を一時的に保管する中継地点としてストックポイントS1〜S4を利用する。荷主からの出荷指示は、ストックポイントS1から配送先A〜D、ストックポイントS2から配送先E、F、ストックポイントS3から配送先G〜I、ストックポイントS4から配送先J〜Mへの配送指示を含む。各々のストックポイントは荷主と出荷指示情報をやり取りする倉庫会社等により管理され得る。各々のエリアを担当する運送業者C1〜C3は、担当エリアのストックポイントに近接して複数の配送用車両(例えば、数十〜数百台)のための車両プールを有する。
【0046】
一つのストックポイントから数十〜数百の配送先への配送が行われ得、それらの配送のために、数十〜数百の車両が稼働し得る。各々の配送は所定の商品の重量や指定時刻等の制限を有し、それらの配送に対応するための各々の車両もまた許容積載量や許容稼働時間等の制限を有し、さらに各々の配送先は、例えば、該配送先へ至るまでの道幅、駐車スペース等の個別具体的な制限を有する。各配送(出荷伝票)に各車両を割り振る配車計画の作成は、上記のような制限をクリアするために、従来、配車係の経験や勘に頼って行われてきた。ベテランの配車係でも、配車計画を作成するのに数時間を要することが多かった。
【0047】
本発明の配車方法は、配車計画を作成するために配送実績を利用する。所定の車両が所定の配送先への配送実績を有するということは、種々の有用な情報を含み得る。例えば、その車両はその配送先へ至る道幅及び駐車スペースの制限をクリアすることができ、その配送先へ通常配送される荷物に対応することができ、その配送先において指定される通常の配送時刻をクリアする可能性が高い。また、その車両のドライバーが固定的であれば、配送実績を有するということは、ドライバーが配送先の詳細な注意点等に精通し、配送先の荷受け担当者と円滑な連絡を行うことができる場合がある。
【0048】
配送実績は、従来の配車方法により作成された配車計画による配送実績を含んでよい。従来の配車方法は配車係の経験と勘に基づくものであってよく、種々のパラメータを用いたものであってよく、種々のパラメータを用いたものを人の判断で調整したものであってもよい。従来の配車方法に基づく配送実績データを用いて本発明の配車方法を実施することにより、従来の配車方法のノウハウを包含した配車計画を自動的に作成し得る。
【0049】
配送実績は、本発明に係る一つの態様の配車方法により作成された配車計画による配送実績を含んでもよい。
【0050】
配送実績DB19により、配送先毎に、該配送先へ配送を行った各車両の延べ配送回数を抽出することができる。配車計画部15が配車計画を作成する際、それまでに登録されたすべての配送実績が利用され得る。または、車両の継時的な入れ替わりに鑑みて、直近の所定期間(例えば、1か月、2か月、3ヶ月、4か月等)の配送実績を利用し得る。
【0051】
なお、各車両が所定の配送先に対して「配送実績を有する」か「配送実績を有しない」かの判定は、所定のしきい値に基づいて行われることが好ましい。例えば、配送先毎に、該配送先へ配送を行った全車両の延べ配送回数を100パーセントとして、配送を行ったことはあっても全体に占める割合が少ない車両は、「配送実績を有しない」と判定されてよい。例えば、ある配送先へ配送を行ったことがある全車両の延べ配送回数に対して、ある車両の配送回数の割合が15%以下である場合、当該車両は、「配送実績を有しない」と判定され得る。このようにすることで、スポット的に配送を担当した車両が配車されることがなく、適切な配車を行うことができる。
【0052】
図5に、本発明に係る配車サーバ10において実行される一つの実施形態の配車フローが示されている。配車サーバ10は、運送業者側端末40の配送実績を用いた配車計画作成要求に応じて配車を開始する(START1)。配車が開始されると、運送業者のログインID等により特定されるストックポイントの所定日時の出荷指示データが抽出され(表1参照)、該データに含まれる1レコードである一つの出荷指示が選択される(ステップ101)。そのような1レコードは、例えば、ソートキーとして、配送指定時刻TOの昇順で選択される。又は指定時刻FROMの昇順で選択される。
【0053】
出荷指示が指定時刻の情報を含まない等の場合は、1レコードは、配送先とストックポイント間の距離情報に基づいて、距離の短い順にソートして選択されてもよい。このようにすることで、近い配送先から遠い配送先へ順に配送するように配車を行うことができる。
【0054】
選択された1レコードの出荷指示レコードは、所定の配送先(例えば、配送先A)を含む。配送実績データに基づいて、車両データ(表2参照)に含まれる「積み付け」の項目が「未完了」又は「積み付け中」の複数の車両の中に配送先への配送実績を有する車両が存在するか否かが判定される(ステップ102)。「積み付け」の項目は、配車開始時にリセットを行うことにより全ての車両が「未完了」となり、配車の進行とともに「完了」又は「積み付け中」となる。
【0055】
配送実績を有するか否かは好適に、しきい値に基づいて決定される。例えば、配送先Aに配送したことのある全車両T1〜TXの合計の延べ配送回数に対して、ある車両が配送を行った割合が15パーセント以下(または、20パーセント以下、10パーセント以下、あるいは5パーセント以下等)である場合、当該車両は、「配送実績を有しない」と決定される。しきい値に基づいて配送実績を有する車両が存在しない場合、出荷指示データの「配車」の項目が「配車前」から「未配車」に更新される(ステップ107)(表1参照)。しきい値に基づいて配送実績を有する車両が存在する場合、そのうち最も多く配送先Aに配送を行った車両が1台選択される(ステップ103)(複数存在する場合は任意で車両ID順等に選択される)。
【0056】
続いて、選択された車両について、条件が判定される(ステップ104)。条件は、(i)指定時間TOを満たし、(ii)荷物を選択された車両に積み付けた場合の積載率(積載量/許容積載量)が100%以下であり、及び(iii)当該配送を行った場合の稼働時間率(所要時間/許容稼働時間)が100パーセント以下であることを含む。(i)〜(iii)の全てを満たす場合、条件クリアとなる。このとき出荷指示データは「配車前」から「配車」に更新され、及び車両IDの項目に例えば「T1」等が入力される(ステップ105)(表1参照)。次の出荷指示レコードが存在する場合(ステップ106)は、ステップ101に戻って以降のステップが繰り返される。次のレコードが存在しない場合(全ての対象出荷指示データについて「配車」又は「未配車」が決定された場合)は、配車終了(END)となる。
【0057】
ステップ104において、(i)〜(iii)のうち一つ以上を満たさない場合、車両の選択が取り消され(ステップ109)、他に配送実績を有する車両が存在する場合は(ステップ110)は、ステップ103以降が繰り返され、他に配送実績を有する車両が存在しない場合は(ステップ110)は、当該出荷指示データは「配車前」から「未配車」に更新される(ステップ111)。
【0058】
条件はさらに、(iv)指定時間FROMを満たすことを含んでよい。
【0059】
図5及び
図6を参照して、ステップ105において配車が行われると、車両データの積載率、稼働時間率も更新される(表2参照)。稼働時間率が所定のしきい値以下(例えば、90%、80%、70%、60%以下)であるか否かにより(ステップ112)、しきい値以下でない場合(許容稼働時間に対して余裕がない)は、車両データの積み付けの項目が「未完了」から「完了」に更新される(ステップ115)。稼働時間率が所定のしきい値以下である(許容稼働時間に対して余裕がある)場合は、続いて、積載率が所定のしきい値以下(例えば、90%、80%、70%、60%以下)であるか否かが判定される(ステップ113)。積載率が所定のしきい値以下ではない(許容積載量に対して余裕がない)場合は、稼働時間には余裕があるので、当該車両は2回転目の積み付けが可能な車両として、表2(一回転目用)と同様の形式を有する二回転目用の車両データに「積み付け未完了」として登録され得る(ステップ116)。積載率が所定のしきい値以下である(許容積載量に対して余裕がある)場合は、一回転目の車両データ(表2参照)の積み付けの項目が「未完了」から「積み付け中」に更新される(ステップ114)。「積み付け中」である場合は「未完了」の車両と同様に、
図5のフローに従った車両選択及び条件判定の対象となる。
図5のフローで全ての出荷指示レコードが「配車」又は「未配車」となることにより、一回転目の配車が完了する。その時点で「未配車」の出荷指示レコードについて、二回転目用の車両データを用いて
図5のフローを行うことにより、二回転目の配車計画を作成することができる。
【0060】
上記のように、本発明に係る配車システムでは、所定の配送先を含む出荷指示に対して該配送先について十分な配送実績を有する車両を抽出することにより、配送先の種々の条件に適した配車を、数分乃至数十分という短時間で自動的に行うことができる。
【0061】
上記方法により配車(一回転目及び/又は二回転目)が終了した時点で、「未配車」の出荷指示レコードが存在し得る。これらの「未配車」の出荷指示レコードについて本発明の配車サーバは、追加的に、配車フローを変更して配車を行うことができる。
【0062】
追加的な配車フローは、運送業者側端末40から追加的な配車フローを開始する要求を配車サーバ10が受領することにより開始される(START1’)(図示せず)。追加的な配車フローにおいては、「配送実績を有する」ことのしきい値が「0%を超える」に低減され、1度でも配送を行ったことがある車両を「配送実績を有する」として、
図5と同様の配車フローが実行され得る。
【0063】
配送実績のしきい値が低減された追加的な配車フローの他の実施形態は、
図5において、ステップ101に続き「配送実績を有する車両の最大の屯車以下の車両が車両データに含まれるか否か」を判定することを含む(ステップ102’)(図示せず)。そのような車両が車両データに含まれる場合は、そのような車両の中から車両が選択される(ステップ103’)(図示せず)。選択は、選択時点の車両の積載率に基づいて、積載率の高い順であってよい。そのようにすることにより、車両を満載にしやすいからである。または車両は他の方法で選択されてもよい。車両選択後は上記と同様に条件判定(ステップ104)が行われる。
【0064】
追加的な配車フローのさらに他の実施形態が
図7に示されている。上記のように「配送実績」を使用する配車方法によれば、新規の配送先N(
図4、表1、表3参照)への出荷指示に対して必ず「未配車」となる。このため配車サーバ10は、運送業者端末40からの配送実績を使用しない配車要求に応じて配車を開始することができる(START2)。配車が開始されると、「未配車」の出荷指示レコードから1レコードが選択される(ステップ117)。出荷指示レコードを選択するソート順は、上記のように「指定時間TO」に基づいてよい。または出荷指示レコードは、出荷指示日時順にソートされて出荷指示の早い順に選択されてもよい。このようにすることで、早くから出荷指示があった配送に優先的に対応し得る。続いて、積み付けが「未完了」又は「積み付け中」の車両のうち、許容積載量(屯車)が最も小さい車両(複数存在する場合は任意で車両ID順等)が選択され(ステップ118)、上記と同様の条件判定が行われる(ステップ119)。最大積載量の小さい車両から選択することで、新規の配送先で道幅や駐車スペース等詳細が不明であってもこれらの制限をクリアしやすく、また各車両の積載率を上げることができる。上記のような追加的な配車により、配送実績に基づいて「未配車」となった出荷指示に対しても配車を行うことができる。
【0065】
各出荷指示と各車両を関連付けて作成された配車計画は、配車サーバ10の配車DB21(
図2)に登録される。運送業者及び荷主は、所定のログインID及びパスワードを用いて配車サーバ10にアクセスし、作成された配車計画にアクセスすることができる。配車計画データは、表1の出荷指示データの項目を全て含んだものであってよく、一部を含んだものであってもよい。運送業者の各車両に搭載された各車両端末には各車両に割り当てられた出荷指示(配送先)の情報が表示される(
図3)。車両のドライバーが車載端末のディスプレイに表示された「配送完了」ボタンをタップすることにより(同)、配送実績DB19が更新され得る(
図2、表3参照)。また、出荷DB17において、出荷指示データの「配送」の項目が「未」から「済」等に更新され得る(表1参照)。
【0066】
本発明の配車方法に従って車両T1に伝票番号1、2、4の出荷指示が割り当てられ(
図3、表1参照)、車両T1が配送先A、B、Cへ配送を行うとき、車両T1の車載端末41と配車サーバ10間で送受信されるデータの例が
図8に示される。車載端末の位置情報及び時刻情報から地点間の実際の移動時間201等が得られ、「配送完了」信号を受領することにより実際の配送(積み下ろし)時間202等が得られ、配送実績203等が得られる。各種カテゴリの時間は地点間毎、配送先毎に時間DB20に登録され得る。表1、表2を参照して、車両T1の各配送は各指定時刻TO・FROMを満たし、合計の経過時間204の値(535分)から休憩時間(60分)を差し引いた合計の稼働時間は、許容稼働時間内となっている。
【0067】
図8のような配送に関する情報は配車サーバ10によりリアルタイムで運送業者及び荷主に提供され得る。例えば、
図4のように、各車両の現在位置と配送先の位置を地図上にプロットし、配送前の配送先を「赤」、配送完了した配送先を「緑」等に色分けして表示することができる。
【0068】
上記のように、本発明に係る配車システム及び配車方法によれば、実効性の高い配車を短時間で行い、積載効率を向上させ、車両の稼働時間等を容易に管理することができる。本発明に係る配車システム及び配車方法は、荷主、倉庫会社、運送業者、及び車両のドライバーに多くの利点を提供する。
【0069】
本発明の思想及び態様から離れることなく多くのさまざまな修正が可能であることは当業者の知るところである。したがって、言うまでもなく、本発明の態様は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。