【解決手段】複製防止コード生成方法であって、コード画像を解析するステップと、コード画像から2値で表されるコード情報を生成するステップと、コード情報にノイズ要素を重畳した重畳コード情報を、2種類以上生成するステップと、複数の前記重畳コード情報に基づいて、重畳コード画像を連続的に変化させながら表示するコード動画像を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
前記コード動画像上で連続的に表示される少なくとも一組の重畳コード画像において、それぞれの重畳領域は、ノイズ要素が重畳されない非重畳領域を隔てた位置に決定されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の複製防止コード生成方法。
前記コード動画像上で表示される連続的に表示される少なくとも一組の重畳コード画像のうち、先に表示される第1の重畳コード画像は、コードリーダの走査方向の終端側にノイズ要素が重畳されており、
前記第1の重畳コード画像に続いて表示される第2の重畳コード画像は、コードリーダの走査方向の始端側にノイズ要素が重畳されており、
前記第1の重畳コードの最も前記始端側に位置するノイズ要素及び、前記第2の重畳コードの最も前記終端側に位置するノイズ要素は、コード上で相対的に離間した位置に重畳されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の複製防止コード生成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、印刷物でコードを提供する場合、印刷する媒体の費用や、印刷作業や特殊加工のコスト・手間、印刷物の在庫管理、使用済の印刷物の処理など、コードの利用に付随して様々な問題が生じていた。そのため、電子的にコードを提供する必要がある。
【0009】
しかしながら、モバイル端末のディスプレイ上に表示されたコードは、紙媒体のコードと同様、目視やコード画像の複製(画面キャプチャ)、カメラによるディスプレイ自体の撮像等、不正な複製や2次配布を容易に行うことができる。
【0010】
そのため、上述のような複製を防ぐことができ、リーダでは読み取ることが可能な電子的なコードが求められていた。
【0011】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、電子的に表示され、撮影等による複製を防止した複製防止コードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、コード画像を解析するステップと、
コード画像から2値で表されるコード情報を生成するステップと、
コード情報にノイズ要素を重畳した重畳コード情報を、2種類以上生成するステップと、
複数の前記重畳コード情報に基づいて、重畳コード画像を連続的に変化させながら表示するコード動画像を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成とすることで、ノイズが重畳された重畳コード画像を連続的に切り替えながら表示するコード動画像を生成することができる。表示されているコード動画像は、複数の重畳コード画像を連続的に表示するものであり、毎フレーム表示されるコードにはノイズが重畳されている。そのため、画面キャプチャやカメラによる撮像等をされたとしても、撮影されるコードはノイズが重畳されたままであり、複製できない。
【0014】
一方、コード動画像は、所定の間隔で重畳コード画像を切り替えながら表示している。そのため、コードリーダによる走査(スキャン)中に、重畳コード画像の切り替えが起きれば、先に表示された重畳コード画像のノイズが重畳されていない個所と、後に表示された重畳コード画像のノイズが重畳されていない個所と、がスキャンされ、元の正確なコードを読み取ることができる。
【0015】
そのため、撮影等による複製を防止しながら、リーダによるコードの読み取りが可能な電子的なコードを提供することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記コード情報を生成する際に、コードを構成する構成要素の最小単位を特定するステップを備え、
前記重畳コード情報を生成する際に、前記コード情報に前記最小単位のノイズ要素を1以上重畳することを特徴とする。
このような構成とすることで、最小単位でノイズ要素を重畳することができ、ノイズ要素の特定の困難性が高まる。そのため、重畳コード画像が撮影された場合であっても、ノイズ要素の特定が困難になり、不正な複製を防止することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記重畳コード情報を生成する際に、ノイズ要素を重畳する重畳領域を決定し、
前記コード動画像上で連続的に表示される少なくとも一組の重畳コード画像は、異なる重畳領域にノイズ要素が重畳されていることを特徴とする。
このような構成とすることで、異なる位置にノイズ要素が重畳されていることで、コードの読み取りが可能となる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記コード動画像上で連続的に表示される少なくとも一組の重畳コード画像において、それぞれの重畳領域は、ノイズ要素が重畳されない非重畳領域を隔てた位置に決定されることを特徴とする。
このような構成とすることで、連続する重畳コード画像のそれぞれのノイズ要素の間に、ノイズ要素が重畳されない非重畳領域を設けることができる。これにより、連続する重畳コード画像のそれぞれのノイズ要素を離間させることができ、コード動画像の読取精度を高めることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記コード動画像上で表示される連続的に表示される少なくとも一組の重畳コード画像のうち、先に表示される第1の重畳コード画像は、コードリーダの走査方向の終端側にノイズ要素が重畳されており、
前記第1の重畳コード画像に続いて表示される第2の重畳コード画像は、コードリーダの走査方向の始端側にノイズ要素が重畳されており、
前記第1の重畳コードの最も前記始端側に位置するノイズ要素及び、前記第2の重畳コードの最も前記終端側に位置するノイズ要素は、コード上で相対的に離間した位置に重畳されていることを特徴とする。
このような構成とすることで、コードの読み取り精度を高めることができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記重畳コード情報を生成する際に、コードのデータ領域にノイズ要素を重畳することを特徴とする。
このような構成とすることで、データ領域にノイズ要素を重畳することができる。コードのスタートキャラクタ、ストップキャラクタの部分にノイズを重畳しても構わないが、コードの読み取り精度自体が低下する為、データ領域のみにノイズ要素を重畳するのが好ましい。
【0021】
また、例えばチェックデジット部分にのみノイズを重畳した場合、チェックデジットの仕組みを理解している者であれば、ノイズを重畳した画像から元のコード画像を復元することが可能となり、好ましくない。
【0022】
また、ノイズ要素が1つのみである場合、複数のノイズ重畳コードの画像を画面キャプチャなどにより入手し、それらの相違点を比較することで元となるコード画像が復元できてしまう。そのため、1のノイズ重畳コード情報に重畳されるノイズ要素は、複数のノイズ要素単位であるのが好ましい。
【0023】
また、連続的に表示されない一組以上のノイズ重畳情報(重畳コード画像)の重畳領域は、共通する位置に設けられるのが、ノイズ要素を重畳し、ダミーのコードを生成する観点からよい。
【0024】
本発明は、コード動画像を生成するコード生成装置と、生成されたコード動画像を表示する端末と、を備え、コードの複製を防止するためのコード生成システムであって、
前記コード生成装置は、読取対象となるコード画像を解析し、2値で表されるコード情報を生成する解析手段と、
前記コード情報にノイズ要素を重畳した重畳コード情報を、2種類以上生成する重畳コード生成手段と、を備え、
前記コード生成装置又は前記端末は、複数の前記重畳コード情報基づいて、重畳コード画像を連続的に変化させながら表示するコード動画像を生成する合成手段を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明は、コード生成装置であって、読取対象となるコード画像を解析し、2値で表されるコード情報を生成する解析手段と、
前記コード情報にノイズ要素を重畳した重畳コード情報を、2種類以上生成する重畳コード生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明は、コード生成プログラムであって、読取対象となるコード画像を解析し、2値で表されるコード情報を生成する解析手段と、
前記コード情報にノイズ要素を重畳した重畳コード情報を、2種類以上生成する重畳コード生成手段と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電子的に表示され、撮影等による複製を防止した複製防止コードを提供することできる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関る複製防止コード生成方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。本実施形態では、1次元コードのコード画像からコード動画像を生成する場合の例を示すが、2次元コードのコード動画像を生成する場合であっても同様の処理で複製防止機能を備えたコード動画像を生成することが可能である。
【0030】
1.コード生成システム
図1は、本発明の実施形態に関る複製防止コード生成方法を提供する為のコード生成システムの概要を示す図である。符号1はコード生成システム全体を示し、符号2はコード画像から複製防止機能を備えたコード動画像を生成するコード生成装置を示し、符号3はコード生成装置2で生成されたコード動画像を表示するモバイル端末(端末)を示している。また、コード生成装置2とモバイル端末3とは、ネットワーク介して通信可能に構成されている。
【0031】
本実施形態では、複製防止機能を有するコード動画像をコード生成装置2で生成しているが、モバイル端末3上でコード画像からコード動画像を生成し、表示するように構成してもよい。また、コード生成装置2がノイズ要素を重畳したコード情報(重畳コード画像)を生成し、それらをモバイル端末3に出力して、モバイル端末3上でコード動画像に合成しても構わない。
【0032】
図2は、本実施形態に関るコード生成装置2及びモバイル端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2(a)はコード生成装置2のハードウェア構成を示している。コード生成装置2は、CPU201と、メモリ202と、記憶装置203と、入力装置204と、表示装置205と、外部装置と通信を行うためのインタフェースである通信装置206と、を備えている。また、記録装置203は、オペレーティングシステム(OS)207と、コード生成プログラム208などが記録されている。コード生成プログラム208は、オペレーティングシステム207と協調してその機能を発揮するものである。
【0033】
図2(b)はモバイル端末3のハードウェア構成を示している。モバイル端末3は、CPU301と、メモリ302と、記憶装置303と、入力装置304と、表示装置305と、外部装置と通信を行うためのインタフェースである通信装置306と、を備えている。また、記録装置303は、オペレーティングシステム(OS)307と、コード動画像を表示装置305上に表示するためのコード表示プログラム308などが記録されている。コード表示プログラム308は、オペレーティングシステム307と協調してその機能を発揮するものである。
【0034】
図3は、本実施形態に関るコード生成装置2の機能ブロック図である。コード生成装置2は、記憶部4と、コード画像を受け取り、記憶部4に記憶する入力手段5と、コード画像を解析してコード情報を生成する解析手段6と、ノイズ要素をコード情報に重畳して重畳コード情報を生成する重畳コード生成手段7と、複数の重畳コード情報からコード動画像を生成する合成手段8と、生成したコード動画像を出力する出力手段9と、を備えている。
【0035】
解析手段6は、コード画像を2値化するために2色化する2色化手段11と、コード画像を2値化するための2値化手段12と、2値化したコード情報から余白などを処理してコード領域を抜き出すコード領域特定手段13と、コード情報におけるデータ領域を特定するためのデータ領域特定手段14と、コードを生成する最小単位(1次元コードにおける最細のバー)を特定する最小単位特定手段15と、を備えている。解析手段6は、写真撮影されたコード画像等、歪んだコード画像からコード動画像を生成する場合を想定して、入力されたコード画像の傾きや歪み等を補正する補正手段を更に備えていても構わない。
【0036】
2.コードの概要
図4は、1次元コードの一例を示す図である。1次元コードCは、コードの幅を特定するためのスタートキャラクタs及びストップキャラクタeと、バーによって符号化された情報が記載されたデータ領域dと、データ領域dの読み込み結果と比較して正確に読取が行われたか否かを判定するためのチェックデジットcと、符号化した情報を数字で記載した数値領域nと、を備えている。スタートキャラクタsと、データ領域dと、チェックデジットcと、ストップキャラクタeと、を併せて、コード領域とする。なお、数値領域nの情報は、情報の複製などを防ぐため、コード動画像上では表示しないのが好ましい。
【0037】
3.コード動画像の生成
図5〜
図7を用いて、コード画像の入力からコード動画像の生成までの処理について説明する。
図5は、コード動画像が生成されるまでの処理フローチャートである。
図6、
図7は、コード動画像生成中の各段階におけるコードの状態を示す図である。
【0038】
ステップ1(S1)では、生成するコード動画像中で切り替わる重畳コード画像の枚数と、コード動画像のフレームレートと、コード画像の種別と、を設定する。コード動画像は、ここで設定されたフレームレートで、設定された枚数の重畳コード画像を繰り返し連続的に変化させながら表示する。
【0039】
ここで必ずしも、画像枚数やフレームレートは入力を求める必要はなく、予め設定した値でコード動画像を生成するようにしてもよい。また、コード動画像の種別は、コード生成装置2においてコード画像を解析して導出するようにしてもよく、また、コード動画像の生成に際して必ずしも必要ではない。更に、後述するノイズ要素を重畳する位置(重畳領域)を設定するために、読取を行うリーダのスキャン速度、モバイル端末3の画面上に表示される表示時間を設定するようにしてもよい。
【0040】
ステップ2(S2)では、
図6(a)に表されるような1次元コードのコード画像Cを受け取る。入力手段5を介して受け取ったコード画像は記憶部4に記憶される。
【0041】
次いで、
図6(b)に表されるように、2色化手段11を用いてコード画像Cを2色化する(ステップ3(S3))。S3でコード画像が2色化されたならば、
図6(c)に示すように、2値化手段12を用いて、2色化されたコード画像Cを2値化したコード情報に変換する(S4)。本実施形態では、「1」で表される黒色要素bと、「0」で表される白色要素wとを用いて、コード画像Cをコード情報として表現している。
【0042】
S4で得られたコード情報から、コード領域特定手段13を用いて、コード領域以外の余白や数値領域n等を取り除き、コード領域のみを抽出する(S5)。まず、
図6(c)における行方向に並んだ要素を1つの単位とみなし、同じパターンが現れる個所の抽出を行う。抽出を行ったコード情報が
図5(d)に示すものである。
【0043】
次いで、
図6(d)の列方向に並んだ要素を1つの単位とみなし、同じパターンが現れる個所の抽出を行う。そして、左右側の白色要素wで表される余白部分を除外する。抽出を行ったコード情報が
図6(e)に示すものである。
【0044】
S5においてコード領域が抽出されたなら、ノイズを重畳する重畳領域を設定するために、コードのデータ領域の特定を行う(S6)。また、コード領域において情報を表現する図形の最小単位sを特定する(S7)。1次元コードにおける最小単位sは、最も細いバーである。
図6(f)は、コード領域における最小単位sを示す図である。なお、ノイズの重畳は、必ずしもデータ領域に行われる必要はない。
【0045】
最小単位Sが特定されたならば、
図6(e)示すようなコード情報にノイズ要素を重畳し、重畳コード情報を生成する(S8)。重畳コード情報は、S1で決定した重畳コード画像の枚数だけ生成される。まず、ノイズを重畳するための重畳領域を設定する。重畳領域は、ノイズを重畳する際の領域であり、本実施形態ではS5で抽出したコードのデータ領域内に設定する。
【0046】
図7(a)は、重畳領域を、S7において求めたコードの最小単位sの大きさとした場合の図である。この場合、重畳領域(最小単位)に含まれた白色要素wを、黒色要素bに置き換え、ノイズ要素とする。
図7(b)は、重畳領域を、最小単位sの列数と、複数の列数と、の範囲に指定した場合の図である。この場合、重畳領域に含まれた最小単位sの白色要素wの1単位以上を、所定の方法乃至はランダム選択して黒色要素bに置き換え、ノイズ要素とする。
【0047】
詳しくは後述するが、生成されるコード動画像上において、先に表示されるノイズ重畳コードと、その次に表示されるノイズ重畳コードと、に重畳されたノイズ要素が離間している程、コード動画像の読取精度が高まる。そのため、連続して表示されるノイズ重畳コードに設定される重畳領域のコード上の位置は、ノイズ要素が重畳されない非重畳領域を挟むように配置されるのが好ましい。
【0048】
なお、2次元コードは誤り補正が強いため、2次元コードにノイズを重畳する場合、1の重畳領域に対して、複数のノイズ要素を重畳するのが好ましい。重畳されるノイズ要素の数は、予め決定した所定の数やランダムな数であってもよいし、S1において初期条件として入力するようにしてもよい。
【0049】
重畳領域内の要素をノイズ要素に置き換える処理を行なって、コード情報から重畳コード情報を複数枚分生成する。ここで、ノイズは必ずしも白色要素wを黒色要素bに置き換えることで重畳される必要はなく、黒色要素bを白色要素wに置き換えることで重畳されてもよい。更に、それら両方を併せて行い、重畳コード情報を生成するようにしてもよい。
【0050】
S8で複数枚の重畳コード情報が生成されたなら、それらをS1で決定したフレームレートでつなぎあわせ、コード動画像を生成する(S9)。コード動画像は、S8で生成された重畳コード情報(重畳コード画像)を所定の順番乃至はランダムな順番で、前記フレームレートでつなぎ合わせた動画像であり、ノイズ画像が重畳されたコード画像が連続で切り替わりながら表示される。
【0051】
S8において、複数の重畳コード情報を生成する際、少なくとも連続して表示される2つの重畳コード情報は、異なる個所にノイズ要素を重畳してある必要がある。更に、後に表示される重畳コード情報のノイズ要素の位置が、先に表示する重畳コード情報のノイズ要素の位置から、リーダが走査する走査方向の始端側に位置した組み合わせが、少なくとも1組以上必要である。
【0052】
4.コード動画像の読み取り
リーダの走査時間とコード動画像の各画像の表示時間(1/Xfps)の関係を考えると、走査時間>表示時間となる場合、走査時間=表示時間となる場合、走査時間<表示時間となる場合、の3つの場合が考えらえる。
【0053】
図8は、リーダの走査時間と重畳コード画像の表示時間との関係を示す図である。
図8(a)は走査時間<表示時間となる場合にリーダで読み取られる1次元コードを示し、
図8(b)は走査時間=表示時間となる場合にリーダで読み取られる1次元コードを示し、
図8(c)は走査時間>表示時間となる場合にリーダで読み取られる1次元コードを示す。
【0054】
図中で、時間軸tに沿って(図中左から右へ)並んだ走査時間のセルは、リーダが走査方向に向かってコード上を1回走査する時間を示している。表示時間のセルは、コード動画像の1つの重畳コード画像がモバイル端末3の画面上に表示されている時間を示している。なお、リーダでの走査は、コードの読み取りが成功するまで遅延することなく途切れず繰り返され、コード動画像として表示している個々の重畳コード画像の切り替えは、遅延することなく途切れず繰り返されるものとして説明する。
【0055】
なお、コード動画像は、モバイル端末3のディスプレイ(表示装置305)に表示されるため、表示するディスプレイのリフレッシュレートに依存したフレーム数で表示される。本実施形態では、60fpsのコード動画像が、リフレッシュレートが60Hzのディスプレイで表示されているとして説明する。
【0056】
図9は、リーダでコード動画像を読み取る際の流れを示す処理フローチャートである。
S11では、コード動画像の読み取り(走査)が行われる。走査が行われたならチェックデジットによって読み取った符号の値を確認する(S12)。
【0057】
S12での確認によってコードが無効と判断されたならば(S13でNO(N))、S11に戻り、コードの読み込みを繰り返す。S12での確認によってコードが有効と判断されたならば(S13でYES(Y))、コードを利用する装置にコードを出力して(S14)、処理を終了する。
【0058】
走査時間<表示時間となる場合、
図8(a)に示すように、リーダがコード上を走査している間に読み取られる1次元コードには、1つのコード(重畳コード画像)のみを読み取る場合(スキャン0(SC0))と、コードA及びコードBの二つのコードに跨って読み取る場合(スキャン1(SC1))と、が考えらえる。
【0059】
SC0のタイミングでリーダによる走査が行われた場合、1枚の重畳コード画像を読み取ることとなるため、コード領域の値とチェックデジットの値が異なり、読み取りが失敗する。一方、SC1のタイミングでリーダによる走査が行われた場合、重畳コード画像Aの中の1Aの領域及び重畳コード画像Bの中の1Bの領域にノイズ要素が含まれていなければ、走査途中に表示された重畳コード画像がAからBに切り替わり、ノイズ要素が重畳されてない部分のみがスキャンできるため、ノイズ要素が重畳されていない元のコード画像を復元することができる。
【0060】
走査時間=表示時間となる場合、
図8(b)に示すように、リーダがコード上を走査している間に読み取られる1次元コードには、1つの重畳コード画像のみを読み取る場合と、2つの重畳コード画像に跨って読み取る場合と、が考えらえる。図示例では、走査の開始タイミング及び重畳コード画像の切り替えタイミングが異なる場合、即ち、リーダが2つの重畳コード画像に跨って読み取る場合(SC2)を示している。なお、1つのコードのみを読み取る場合はコード動画像の画像の切り替えのタイミングとリーダによる走査開始のタイミングが一致した場合であり、スキャンの開始タイミングと、コード動画像の表示タイミングをずらして試行すれば、SC2のように2つのコードに跨って読み取ることができる。SC2の場合、SC1の場合と同様、元のコード画像を復元することができる。
【0061】
走査時間>表示時間となる場合、
図8(c)に示すように、リーダがコード上を走査している間に読み取られる1次元コードには、2つの重畳コード画像に跨って読み取る場合(SC4)と、3つ以上の重畳コード画像に跨って読み取る場合(SC3)と、が考えらえる。図示例では、走査が最大で3つの重畳コード画像に跨る場合を例示する。SC4の場合、SC1、SC2の場合と同様、元のコード画像を復元することができる。SC3の場合、重畳コード画像Aの中の3Aの領域、コード画像Bの中の3Bの領域、並びにコード画像Cの中の3Cの領域にノイズ要素が含まれていなければ、走査途中に表示された重畳コード画像がAからB、BからCに切り替わり、ノイズ要素が重畳されてない部分のみがスキャンできるため、ノイズ要素が重畳されていない元のコード画像を復元することができる。
【0062】
次いで、ノイズ要素が重畳される位置について説明する。
図10は、コードの読み取りが成功する場合のスキャン開始のタイミングを示す図である。
図10(a)は、重畳コード画像A及び重畳コード画像Bが連続的に表示される場合における、読み取りが成功するスキャン開始のタイミングを示す図である。
図10(b)は、重畳コード画像C及び重畳コード画像Dが連続的に表示される場合における、読み取りが成功するスキャン開始のタイミングを示す図である。
【0063】
ここで、重畳コード画像A〜Dには、重畳領域Nに、ノイズ要素N
a〜N
dが重畳されている。連続して表示される一組の重畳コード画像の、それぞれの重畳領域Nは、非重畳領域N
0を隔てて配置されている。なお、重畳コード画像A〜Dに本来現れる、復元対象となる元のコード画像(1次元コード)の部分に関しては図示を省略している。また、時間軸tに沿って、重畳コード画像上に記載された矢印SCは、各重畳コード画像上をリーダが読み取る部分(走査する部分)を示している。t
cは、表示された重畳コード画像が切り替わるタイミングを示す。
【0064】
図10(a)に表れるように、t
0は読取が成功するコード動画像の最も早いスキャン開始タイミングを示し、t
1は読取が成功するコード動画像の最も遅いスキャン開始タイミングを示している。先に表示される重畳コード画像Aのノイズ要素N
aは、走査方向の終端側に重畳されており、後に表示される重畳コード画像Bのノイズ要素N
bは、走査方向の始端側に重畳されている。
【0065】
コードの読み取りが成功するためには、t
0からt
1の間にリーダによる走査が開始される必要がある。このスキャンが開始されるタイミングt
0からt
1の間隔は、最も前記始端側に位置するノイズ要素N
a及び最も終端側に位置するノイズ要素N
bの離間距離(N
a−N
b)によって変化する。
【0066】
また、同様に、
図10(b)においても、t
0は読取が成功するコード動画像の最も早いスキャン開始タイミングを示し、t
1は読取が成功するコード動画像の最も遅いスキャン開始タイミングを示している。先に表示される重畳コード画像Cのノイズ要素N
cは、走査方向の終端側に重畳されており、後に表示される重畳コード画像Dのノイズ要素N
dは、走査方向の始端側に重畳されている。
【0067】
図10(b)に現れるように、(N
c−N
d)は(N
a−N
b)より更に離間しており、その離間距離に応じてt
0からt
1の間隔も広くなっている。この離間した距離の長さに対応して読取が成功するタイミングでスキャンが開始される可能性が上がり、読取精度が向上する。なお、離間距離は、非重畳領域N
0の幅並びに、重畳領域N及びノイズ要素の配置位置によって決定される。
【0068】
本発明によれば、ノイズが重畳された重畳コード画像を連続的に切り替えながら表示するコード動画像を生成することができる。表示されているコード動画像は、複数の重畳コード画像を連続的に表示するものであり、毎フレーム表示されるコードにはノイズが重畳されている。そのため、撮影等による複製を防止しながら、リーダによるコードの読み取りが可能な電子的なコードを提供することができる。
【0069】
また、最小単位でノイズ要素を重畳することで、ノイズ要素及び正規のコードの最小単位の差異を無くすことができる。そのため、ノイズ要素の特定が困難になり、不正な複製を防止することができる。
【0070】
また、データ領域にノイズ要素を重畳することで、コードの読み取り自体の精度を低下させずに、復元の困難性を上げ、重畳コード画像を読み取らせることができる。