特開2017-69085(P2017-69085A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧 ▶ イーグル工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017069085-電流遮断装置とそれを用いた蓄電装置 図000003
  • 特開2017069085-電流遮断装置とそれを用いた蓄電装置 図000004
  • 特開2017069085-電流遮断装置とそれを用いた蓄電装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-69085(P2017-69085A)
(43)【公開日】2017年4月6日
(54)【発明の名称】電流遮断装置とそれを用いた蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20170317BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20170317BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-194747(P2015-194747)
(22)【出願日】2015年9月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】岩 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】小川 義博
(72)【発明者】
【氏名】光安 淳
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 騎慎
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA00
5H011CC06
5H043AA19
5H043CA05
5H043GA12
5H043JA12D
5H043KA06D
5H043KA22D
(57)【要約】
【課題】 シール性能を悪化させることなく、通電板の厚さを薄くすることができる。
【解決手段】 電極組立体と、接続端子7と、を備える蓄電装置において、電極組立体と接続端子7とが電気的に接続された導通状態と、電極組立体と接続端子7とが電気的に非接続となる非導通状態とに切換え可能に構成される電流遮断装置10であって、電流遮断装置10は、接続端子7のケース内部側の端部に取付けられる絶縁性のホルダ80と、ホルダ80に取付けられており、導通状態では電極組立体と接続端子7とを電気的に接続する一方で、非導通状態では電極組立体と接続端子7とを電気的に非接続とする通電板20と、ホルダ80と通電板20の間に配置され、その断面形状が周方向の一部に開口部を有するC字状であり、ホルダと通電板との間を封止するCリング76と、を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに収容された電極組立体と、
前記ケースの取付孔に設けられ、前記ケースの内外を連通する貫通孔を有する接続端子と、を備える蓄電装置において、
前記ケース内に収容され、前記電極組立体と前記接続端子とが電気的に接続された導通状態と、前記電極組立体と前記接続端子とが電気的に非接続となる非導通状態とに切換え可能に構成される電流遮断装置であって、
前記接続端子のケース内部側の端部に取付けられる絶縁性のホルダと、
前記ホルダに取付けられており、前記導通状態では前記電極組立体と前記接続端子とを電気的に接続する一方で、前記非導通状態では前記電極組立体と前記接続端子とを電気的に非接続とする通電板と、
前記ホルダと前記通電板の間に配置され、その断面形状が周方向の一部に開口部を有するC字状であり、前記ホルダと前記通電板との間を封止するCリングと、を有している電流遮断装置。
【請求項2】
前記Cリングの少なくとも一部は、絶縁性の樹脂からなる、請求項1に記載の電流遮断装置。
【請求項3】
前記Cリングは、金属製のコア部と、そのコア部を被覆する被覆部とを備えている、請求項1または2に記載の電流遮断装置。
【請求項4】
前記Cリングは、当該Cリングの開口部が前記接続端子の前記貫通孔の径方向外側に開口するように配置されており、当該Cリングの開口部の内周部に、前記ケース内の圧力が作用する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電流遮断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電流遮断装置を備える蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電流遮断装置とそれを用いた蓄電装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、電流遮断装置とそれを用いた蓄電装置が開示されている。この蓄電装置は、電極組立体を収容するケースを有しており、ケースにはケースの内外を連通する貫通孔が形成されている。電流遮断装置は、ケースの貫通孔に取付けられており、接続端子と、通電板を備えている。接続端子は、ケースの取付孔に取付けられ、ケースの内外を連通する貫通孔を有している。接続端子と通電板との間には、シール部材が配置されている。シール部材により、接続端子と通電板との間が封止されている。通電板は、導通状態では電極組立体と接続端子とを電気的に接続し、非導通状態では電極組立体と接続端子とを電気的に非接続とする。通電板が導通状態から非導通状態となることで、電極組立体と接続端子とを接続する通電経路が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−28882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の蓄電装置において、蓄電装置の軽量化が求められている。蓄電装置の軽量化の手段の1つとして、蓄電装置に用いられる電流遮断装置の軽量化、詳細には、電流遮断装置の通電板の厚みを薄くすることが考えられる。しかしながら、通電板の厚みを薄くすると、通電板の剛性が弱くなるため、通電板とホルダの間に設けられるシール部材に作用させる荷重(詳細には、圧縮荷重)を小さくする必要がある。すなわち、シール部材に作用する圧縮荷重の反力を通電板で受けるため、通電板の剛性が弱くなると、シール部材に作用する圧縮荷重を小さくしなければならない。シール部材に作用させる荷重を小さくすると、シール部材による通電板とホルダの間のシール性能が悪化する。このため、通電板とホルダとの間のシール性能を悪化させることなく、シール部材に作用させる荷重を小さくすることができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する電流遮断装置は、ケースに収容された電極組立体と、ケースの取付孔に設けられ、ケースの内外を連通する貫通孔を有する接続端子と、を備える蓄電装置において、ケース内に収容され、電極組立体と接続端子とが電気的に接続された導通状態と、電極組立体と接続端子とが電気的に非接続となる非導通状態とに切換え可能に構成されている。電流遮断装置は、接続端子のケース内部側の端部に取付けられる絶縁性のホルダと、ホルダに取付けられており、導通状態では電極組立体と接続端子とを電気的に接続する一方で、非導通状態では電極組立体と接続端子とを電気的に非接続とする通電板と、ホルダと通電板の間に配置され、その断面形状が周方向の一部に開口部を有するC字状であり、ホルダと通電板との間を封止するCリングと、を有している。
【0006】
上記の電流遮断装置では、ホルダと通電板の間にCリングを配置し、このCリングによって通電板とホルダとの間を封止している。一般的に、Cリングは、Oリングと比較して、優れた低荷重特性を有している。すなわち、Cリングは、Oリングよりも小さい荷重で、Oリングと同等のシール性を確保することができる。このため、Oリングを用いた場合と同等のシール性を確保しながら、Cリング及び通電板に作用させる荷重を小さくすることができる。
【0007】
なお、本明細書は、上記の電流遮断装置を備える蓄電装置も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の蓄電装置の縦断面図。
図2】電流遮断装置の断面図。
図3図2の破線部IIIの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)Cリングの少なくとも一部は、絶縁性の樹脂からなっていてもよい。樹脂は、シール部材に一般的に用いられるゴム材よりも水分透過性が低い。このような構成によると、Cリングがゴム材からなっている場合と比較して、Cリングの水分透過性を低減することができる。特に、接続端子に貫通孔が形成されている場合、ケース外から接続端子の貫通孔を通ってケース内に水分が侵入する虞がある。ホルダと通電板との間を封止するCリングに絶縁性の樹脂を用いることで、ケース内への水分の侵入が抑制され、蓄電装置の電池特性の低下を抑制することができる。
【0011】
(特徴2)Cリングは、金属製のコア部と、そのコア部を被覆する被覆部とを備えていてもよい。金属は水分透過性が低いため、Cリングの水分透過性をより低減することができる。
【0012】
(特徴3)Cリングは、当該Cリングの開口部が接続端子の貫通孔の径方向外側に開口するように配置されており、当該Cリングの開口部の内周部に、ケース内の圧力が作用してもよい。このような構成によると、ケース内部の圧力が高くなっても、Cリングによるホルダと通電板のシール性を確保することができる。
【実施例1】
【0013】
以下、実施例1の蓄電装置100について説明する。図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、ケース1に収容された電極組立体3と、ケース1に固定された電極端子としての接続端子5、7とを備えている。電極組立体3と接続端子5、7とは電気的に接続されている。また、蓄電装置100は、電極組立体3と接続端子7との間に配置された電流遮断装置10を備えている。ケース1の内部は、電解液が注入されており、電極組立体3は、電解液に浸漬している。
【0014】
ケース1は、金属製であり、略直方体形状の箱型部材である。ケース1は、本体111と、本体111に固定された蓋部112とを備えている。蓋部112は、本体111に対して着脱可能である。蓋部112は、本体111の上部を覆っている。蓋部112には、取付孔81、82が形成されている。接続端子5は、取付孔81を介してケース1の内外に通じており、接続端子7は、取付孔82を介してケース1の内外に通じている。
【0015】
電極組立体3は、正極シートと、負極シートと、正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータとを備えている。電極組立体3は、正極シート、負極シート及びセパレータからなる積層体が複数積層されて構成されている。正極シート及び負極シートは、集電部材と、集電部材上に形成されている活物質層とを備えている。集電部材としては、正極シートに用いられるものは、例えばアルミ箔であり、負極シートに用いられるものは、例えば銅箔である。また、電極組立体3は、正極集電タブ51及び負極集電タブ52を備えている。正極集電タブ51は、正極シートの上端部に形成されている。負極集電タブ52は、負極シートの上端部に形成されている。正極集電タブ51及び負極集電タブ52は、電極組立体3の上方に突出している。正極集電タブ51は正極リード53に固定されている。負極集電タブ52は負極リード54に固定されている。
【0016】
正極リード53は、正極集電タブ51と接続端子5とに接続されている。正極リード53を介して、正極集電タブ51と接続端子5とが電気的に接続されている。正極リード53とケース1との間には、絶縁部材70が配置されている。絶縁部材70は、正極リード53とケース1の蓋部112とを絶縁している。
【0017】
負極リード54は、負極集電タブ52と接続端子56とに接続されている。接続端子56は、電流遮断装置10を介して接続端子7に電気的に接続されている。よって、負極リード54、接続端子56及び電流遮断装置10を介して、負極集電タブ52と接続端子7とが電気的に接続されている。これにより、電極組立体3と接続端子7とを接続する通電経路が形成されている。電流遮断装置10は、この通電経路を遮断可能である。電流遮断装置10の構成については後述する。負極リード54とケース1との間には、絶縁部材71が配置されている。絶縁部材71は、負極リード54とケース1とを絶縁している。
【0018】
蓋部112の上面には、樹脂製のガスケット62、63が配置されている。ガスケット62は、接続端子5に固定されている。また、正極外部端子(金属プレート)60が、ガスケット62の上面に配置されている。正極外部端子60には、貫通孔60aが形成されている。貫通孔60aは、上面側に比べ、下面側のサイズが大きくなっている。ガスケット62は、蓋部112と正極外部端子60を絶縁している。ボルト64が、貫通孔60aを通過している。具体的には、ボルト64の頭部が、貫通孔60a内に収容されている。また、ボルト64の軸部が、貫通孔60aを通って正極外部端子60の上方に突出している。接続端子5、正極外部端子60及びボルト64は、電気的に接続されており、正極端子を構成している。ガスケット63は、接続端子7に固定されている。負極外部端子61が、ガスケット63の上面に配置されている。負極外部端子61には、正極外部端子60の貫通孔60aと同様の貫通孔61aが形成されている。貫通孔61a内にボルト65の頭部が収容され、ボルト65の軸部が貫通孔61aを通って、負極外部端子61の上方に突出している。ガスケット63、負極外部端子61及びボルト65の構成は、上述したガスケット62、正極外部端子60及びボルト64の構成と同様である。接続端子7、負極外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。
【0019】
図2を参照して接続端子7について説明する。図2に示すように、接続端子7は、蓋部112にかしめ固定されている。接続端子7は、円筒部94、基底部95及び固定部96を備えている。円筒部94は取付孔82に挿入されている。円筒部94にはケース1の内外を貫通する貫通孔97が形成されている。基底部95は環状に形成されている。基底部95は円筒部94の下端部に固定されている。基底部95はケース1の内部に配置されている。基底部95には、凹所98が形成されている。凹所98は貫通孔97と連通しており、凹所98内は大気圧に保たれる。基底部95の一部は、下方に突出している。固定部96は環状に形成されており、円筒部94の上端部に配置されている。固定部96はケース1の外部に配置されている。接続端子7は、固定部96によりケース1の蓋部112に固定されている。
【0020】
電流遮断装置10は、接続端子7の下端に組付けられている。電流遮断装置10は、第1反転板30と、第2反転板40と、通電板20と、ホルダ80と、Cリング76を備えている。第1反転板30は、平面視すると円形となる導電性のダイアフラムであり、接続端子7の下方に配置されている。第1反転板30は、中央部32及び外周部31を有している。第1反転板30の中央部32は、下方に凸となっており、通電板20と接続されている。第1反転板30の外周部31は、接続端子7の基底部95に溶接されている。接続端子7の凹所98は、第1反転板30により覆われている。凹所98内の空間は接続端子7の貫通孔97を介してケース外の空間に連通するため、第1反転板30の上面には大気圧が作用する。
【0021】
第2反転板40は、金属製の部材である。第2反転板40は、通電板20の下方に配置されている。第2反転板40は、中央部42と外周部41を有しており、中央部42が下方に凸となっている。第2反転板40の外周部41は、通電板20の下面に溶接で固定されている。中央部42の上面には、突出部43が設けられている。突出部43の上方には、通電板20の中央部22が位置している。第2反転板40の下面には、ケース1内の圧力が作用する。
【0022】
通電板20は、金属製の部材であり、導電性を有している。通電板20は、平面視において、円形状に形成されており、第1反転板30と第2反転板40の間に配置されている。通電板20は、中央部22及び外周部21を有している。通電板20の中央部22は、第1反転板30の中央部32と接続している。通電板20の外周部21には、接続端子56が接続されている。通電板20の下面で、中央部22の周辺には、溝部20aが形成されている。溝部20aが形成された位置における通電板20の機械的強度は、溝部20a以外の位置における通電板20の機械的強度よりも低い。接続端子7の基底部95と通電板20の外周部21との間には、絶縁部材93が配置されている。絶縁部材93は、環状に形成されている。絶縁部材93は、接続端子7と通電板20を絶縁している。
【0023】
ホルダ80は、その内周部に、接続端子7の基底部95と、第1反転板30を保持して収容している。ホルダ80の上端には、貫通孔79aが形成されており、貫通孔79aには接続端子7の円筒部94が挿入されている。ホルダ80は、弾性を有する絶縁部材により形成されている。ホルダ80には、例えば、ポリフェニルスルファイド(PPS)が用いられる。ホルダ80は、絶縁材料をモールド成形することにより製造することができる。なお、ホルダ80の材料は上記のPPSに限られず、絶縁性及び耐電解液性を有する材料(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)等)であればよい。
【0024】
ホルダ80は、上部79と、下部78とを備えている。上部79は、その中心に貫通孔79aを有する環状に形成されている。上述したように、上部79の貫通孔79aには、接続端子7の円筒部94が挿入されている。上部79は、ケース1の蓋部112の下面と、接続端子7の基底部95の上面との間に配置されている。すなわち、蓋部112の下面は上部79の上面と当接し、基底部95の上面は上部79の下面と当接する。蓋部112の下面と基底部95の上面とは、上部79によって絶縁されている。
【0025】
下部78は、上部79の下側に形成されており、上部79の外周縁から下方に伸びている。下部78は略円筒状に形成されており、その内部に基底部95、第1反転板30、及び絶縁部材93を収容する。下部78の外径は、上部79の外径よりも大きい。下部78は、その底部に収容部77を有している。収容部77は、下部78の底面の内周縁に沿って径方向に連続する環状に形成されている。収容部77の外径は、下部78の外径よりも小さい。収容部77の内周側は、絶縁部材93の外周、及び、基底部95の外周によって覆われている。収容部77には、Cリング76が収容されている。図3に示すように、収容部77の深さdは、Cリング76の径(外力が作用しない状態のときのCリング76の外径)よりも小さいため、Cリング76は、圧縮された状態で収容部77に収容されている。Cリング76は、収容部77の上面及び通電板20の上面に接触し、これらの面によって圧縮されている。また、Cリング76は、接続端子7の基底部95の外周面に接触している。Cリング76により、ホルダ80と通電板20との間が封止されている。
【0026】
図2に示すように、通電板20とホルダ80は、金属製の固定部材90により固定されている。すなわち、固定部材90の上端部と下端部がかしめられ、固定部材90の上端部と下端部によって通電板20とホルダ80が挟持されている。固定部材90が通電板20とホルダ80を挟持することで、通電板20とホルダ80が接続端子7の基底部95に対して固定される。固定部材90の内側には、絶縁部材89が配置されている。絶縁部材89は、通電板20を固定部材90から絶縁している。
【0027】
図3を用いて、収容部77に収容されているCリング76について説明する。Cリング76は、平面視すると環状に形成されている。Cリング76をその軸線を含む平面で切断した縦断面形状は、周方向の一部に開口部75を有するC字状となっている。Cリング76は、開口部75が径方向外側に開口するように配置されている。Cリング76は、被覆部74と、コア部73を有している。コア部73は、金属製の板材で形成されている。コア部73の縦断面形状もC字状となっている。コア部73の金属としては、例えば、SUSなどを用いることができる。被覆部74は、絶縁性の樹脂からなっている。被覆部74は、コア部73の全面を被覆している。Cリング76は、コア部73に被覆部74をインサート成形する製造方法や、コア部73に被覆部74をコーティングする製造方法などを用いて製造することができる。なお、Cリング76は、絶縁性の樹脂のみからなっていてもよい。すなわち、コア部73及び被覆部74が、絶縁性の樹脂からなっていてもよい。被覆部74の外周面は、接続端子7の外周面、通電板20の上面、及び、収容部77の上面に接触している。Cリング76は、これらの接触部位において、接続端子7の外周面、通電板20の上面、及び、収容部77の上面との間をシールしている。被覆部74が絶縁性の樹脂からなっているため、接続端子7と通電板20とが導通することはない。Cリング76は、開口部75を有しているため、Oリングなどのシール部材と比較して、優れた低荷重特性を有している。このため、Oリングを収容部77に収容した場合と同等のシール性を確保しながら、Cリング76に作用させる圧縮荷重(Cリング76から通電板20に作用する荷重)を小さくすることができる。
【0028】
ここで、電流遮断装置10の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100では、ケース1の内圧が上昇すると、第2反転板40の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2反転板40の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間120の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が所定値を超えると、第2反転板40が反転して、下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する。これによって、第2反転板40(詳細には、第2反転板40の突出部43)は、第1位置から第2位置に変化する。第2反転板40が第2位置に移動すると、第2反転板40の突出部43が通電板20の中央部22に衝突し、通電板20が溝部20aで破断する。これにより、第1反転板30が反転し、第1反転板30及び通電板20の中央部22が上方に変位する。このため、通電板20と第1反転板30を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3と接続端子7との間の導通が遮断される非導通状態となる。このとき、第1反転板30は接続端子56から絶縁されるとともに、通電板20は接続端子7から絶縁されている。
【0029】
実施例1の電流遮断装置10の効果について説明する。電流遮断装置10では、通電板20とホルダ80との間にCリング76を配置し、このCリング76によって通電板20とホルダ80との間を封止している。Cリング76はOリングと比較して、優れた低荷重特性を有している。このため、通電板20とホルダ80の間にOリングが配置されている場合と同等のシール性を確保しながら、Cリング76に作用させる圧縮荷重を小さくすることができる。これにより、通電板20に作用する荷重を小さくすることができるため、通電板20の厚みを薄くすることができる。通電板20の厚みを薄くすることで、電流遮断装置10を軽量化することができる。
【0030】
また、実施例1の電流遮断装置10では、接続端子7の貫通孔97を介してホルダ80の内部の空間124に水分が侵入する。空間124に侵入した水分は、接続端子7の基底部95と第1反転板30の外周部31の溶接部を通過して、空間122に侵入する可能性がある。空間122に水分が侵入すると、その水分は、絶縁部材93と通電板20の間を通過して、収容部77に侵入する。その結果、収容部77に侵入した水分は、収容部77及び、通電板20とホルダ80の間を通過して、ケース1の内部空間に侵入する虞がある。ケース1の内部空間に水分が侵入すると、蓄電装置100の特性が低下する場合がある。実施例1の電流遮断装置10では、通電板20とホルダ80との間にCリング76が配置されている。Cリング76の被覆部74は、絶縁性の樹脂で形成されており、コア部73は金属で形成されている。樹脂の水分透過性は、Oリングに一般的に用いられるゴム材の水分透過性よりも低い。金属の水分透過性は、さらに樹脂の水分透過性よりも低い。すなわち、各材質の水分透過性の関係は、ゴム材>樹脂>金属となる。このため、通電板20とホルダ80との間をCリング76で封止することとで、通電板20とホルダ80との間にOリングが配置されている場合よりも、水分が収容部77を通過してケース1の内部空間に侵入することを抑制することができる。その結果、蓄電装置100の特性の低下を抑制することができる。なお、Cリング76が絶縁性の樹脂のみからなっていても、ケース1の内部空間への水分の侵入を抑制することができる。
【0031】
また、Cリング76は、その開口部75が、貫通孔97の径方向外側に開口するように配置されている。開口部75の内周部には、ケース1内の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が高まった場合、Cリング76の内周部には、Cリング76の縦断面形状における径方向外側(図3の矢印の方向)に向かう荷重が作用する。すなわち、Cリング76は、収容部77の上面及び通電板20の上面に押し付けられる。これにより、Cリング76によるシール性が向上する。このため、ケース1内部の圧力が高くなっても、Cリング76のシール性を確保することができる。
【0032】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0033】
1:ケース
3:電極組立体
5、7:接続端子
10:電流遮断装置
20:通電板
30:第1反転板
40:第2反転板
51:正極集電タブ
52:負極集電タブ
53:正極リード
54:負極リード
56:接続端子
60、61:外部端子
62、63:ガスケット
62a:有底穴
64、65:ボルト
70、71:絶縁部材
73:コア部
74:被覆部
75:開口部
76:Cリング
77:収容部
80:ホルダ
81、82:取付孔
89:絶縁部材
90:固定部材
93:絶縁部材
100:蓄電装置
111:本体
112:蓋部
図1
図2
図3