(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-7079(P2017-7079A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】MEMSパッケージ構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B81B 7/02 20060101AFI20161216BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
B81B7/02
B81C3/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-225735(P2015-225735)
(22)【出願日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】14/743,678
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507111368
【氏名又は名称】立景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】呉東峯
(72)【発明者】
【氏名】陳維孝
(72)【発明者】
【氏名】蘇俊豪
(72)【発明者】
【氏名】陳瑞文
(72)【発明者】
【氏名】鄭貿謙
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA30
3C081CA05
3C081CA20
3C081CA32
3C081DA07
3C081DA22
(57)【要約】
【課題】より優れた耐湿特性を有するMEMSパッケージ構造およびその製造方法を提供する。
【解決手段】MEMSパッケージ構造は、ベースと、MEMS装置と、第1カバーと、第2カバーと、ガラスフリットとを含む。ベースは、凹部を含む。MEMS装置は、凹部の中に配置される。第1カバーは、凹部の中に配置され、MEMS装置を覆う。第2カバーは、ベースの上に配置され、凹部を覆う。ガラスフリットは、ベースと第2カバーの間に配置される。MEMSパッケージ構造は、ベースと、MEMS装置と、第1カバーと、第2カバーと、第1金属フレームと、第1封止材とを含む。第1金属フレームは、第2カバーの周辺に配置され、第2カバーおよび第1金属フレームは、合わせてベースの上に配置され、凹部を覆う。第1封止材は、第1金属フレームとベースの間に配置される。さらに、上述したMEMSパッケージ構造の製造方法を提供する。
【選択図】
図1d
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を含むベースと、
前記凹部の中に配置されたMEMS装置と、
前記凹部の中に配置され、前記MEMS装置を覆う第1カバーと、
前記ベースの上に配置され、前記凹部を覆う第2カバーと、
前記ベースと前記第2カバーの間に配置され、前記凹部を密封するガラスフリットと、
を含むMEMSパッケージ構造。
【請求項2】
前記ベース、前記ガラスフリットおよび前記第2カバーの熱膨張係数が、実質的に類似する請求項1に記載のMEMSパッケージ構造。
【請求項3】
凹部を含むベースと、
前記凹部の中に配置されたMEMS装置と、
前記凹部の中に配置され、前記MEMS装置を覆う第1カバーと、
第2カバーと、
前記第2カバーの周辺に配置され、前記第2カバーと合わせて前記ベースの上に配置されるとともに、前記凹部を覆う第1金属フレームと、
前記第1金属フレームと前記ベースの間に配置された第1封止材と、
を含むMEMSパッケージ構造。
【請求項4】
前記第1金属フレームが、前記第2カバーに直接固定された請求項3に記載のMEMSパッケージ構造。
【請求項5】
前記第1金属フレームが、ガラスフリットを介して前記第2カバーに固定された請求項3または4に記載のMEMSパッケージ構造。
【請求項6】
前記第1金属フレーム、前記ガラスフリットおよび前記第2カバーの熱膨張係数が、実質的に類似する請求項5に記載のMEMSパッケージ構造。
【請求項7】
前記第1金属フレームと前記第1封止材の間に配置された第2金属フレームと、
前記第1金属フレームと前記第2金属フレームの間に配置された第2封止材と、
をさらに含む請求項3、4、5または6に記載のMEMSパッケージ構造。
【請求項8】
凹部を含むベースを提供することと、
前記凹部の中に第1カバーで覆われたMEMS装置を配置することと、
第2カバーまたは前記ベースの上にガラスフリットを配置することと、
前記ベースの上に前記凹部を覆う前記第2カバーを配置して、前記ベースと前記第2カバーの間に前記ガラスフリットを配置することと、
前記ガラスフリットを溶融して、前記凹部を密封することと、
を含むMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項9】
前記溶融ステップの前に、
前記ガラスフリットの溶融温度よりも低い中間温度まで前記ガラスフリットを加熱することをさらに含む請求項8に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項10】
前記ベース、前記ガラスフリットおよび前記第2カバーの熱膨張係数が、実質的に類似する請求項8または9に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項11】
凹部を含むベースを提供することと、
前記凹部の中に第1カバーで覆われたMEMS装置を配置することと、
第2カバーを提供し、前記第2カバーの周辺に第1金属フレームを配置することと、
前記ベースまたは前記第1金属フレームの上に第1封止材を配置することと、
前記ベースの上に前記凹部を覆う前記第2カバーおよび前記第1金属フレームを合わせて配置し、前記第1金属フレームと前記ベースの間に前記第1封止材を配置することと、
前記第1封止材を加熱して、前記第1金属フレームおよび前記ベースを密封することと、
を含むMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項12】
前記第2カバーの周辺に前記第1金属フレームを配置するステップにおいて、
前記第2カバーの軟化温度まで加熱して、前記第2カバーを前記第1金属フレームに固定することと、
前記第2カバーを研磨することと、
をさらに含む請求項11に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項13】
前記第2カバーの前記軟化温度まで加熱するステップの前に、
前記第1金属フレームの高温酸化プロセスを行うことをさらに含む請求項12に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項14】
前記第2カバーの周辺に前記第1金属フレームを配置するステップにおいて、
前記第1金属フレームと前記第2カバーの間にガラスフリットを配置することと、
前記ガラスフリットを溶融して、前記第1金属フレームを前記第2カバーに固定することと、
をさらに含む請求項11、12または13に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項15】
前記第1金属フレーム、前記ガラスフリットおよび前記第2カバーの熱膨張係数が、実質的に類似する請求項14に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【請求項16】
前記第1封止材の上に第2金属フレームを配置することと、
前記第2金属フレームの上に第2封止材を配置して、前記第1金属フレームと前記第2金属フレームの間に前記第2封止材を配置することと、
前記第2封止材を加熱して、前記第1金属フレームおよび前記第2金属フレームを密封することと、
をさらに含む請求項11、12、13、14または15に記載のMEMSパッケージ構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ構造およびその製造方法に関するものであり、特に、微小電気機械システム(microelectromechanical system, MEMS)パッケージ構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MEMSは、超小型パッケージ構造内に製造される微小電気機械装置であり、その製造技術は、集積回路(integrated circuit, IC)の製造技術と非常によく似ている。しかしながら、MEMS装置と周辺環境の間の力学、光学または磁力等の相互作用は、従来のICの相互作用よりも大きい。
【0003】
MEMS装置は、微小サイズの電気機械部品(例えば、スイッチ、ミラー、コンデンサ、加速度計、センサ、静電容量センサまたはアクチュエータ等)を含むことができ、MEMS装置をシングルブロック方式でICに統合することによって、固体素子全体の挿入損失や電気分離効果を大幅に修正することができる。しかしながら、全体のパッケージ構造のマクロの世界において、MEMS装置は、非常にもろく、いつでもわずかな静電気や表面張力によって衝撃を受け、故障する可能性がある。そのため、MEMS装置を汚染や損傷から守るために、現在、シングルブロック方式でICに統合したMEMS装置をベースとカバーの間の空間に接着剤(glue)で密封している。しかしながら、接着剤は、高温や高湿度の環境において亀裂やガス放出現象が生じやすいため、高温や高湿度の環境で長期間使用すると、ベースとカバーの間の空間に湿気が浸透しやすく、それにより、MEMS装置の正常操作に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、より優れた耐湿特性を有するMEMSパッケージ構造を提供する。
【0005】
したがって、本発明は、上述したMEMSパッケージ構造の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベースと、MEMS装置と、第1カバーと、第2カバーと、ガラスフリット(glass frit)とを含むMEMSパッケージ構造を提供する。ベースは、凹部を含む。MEMS装置は、凹部の中に配置される。第1カバーは、凹部の中に配置され、MEMS装置を覆う。第2カバーは、ベースの上に配置され、凹部を覆う。ガラスフリットは、ベースと第2カバーの間に配置され、凹部を密封する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、ベース、ガラスフリットおよび第2カバーの熱膨張係数は、実質的に類似する。
【0008】
本発明は、ベースと、MEMS装置と、第1カバーと、第2カバーと、第1金属フレームと、第1封止材(sealing medium)とを含むMEMSパッケージ構造を提供する。ベースは、凹部を含む。MEMS装置は、凹部の中に配置される。第1カバーは、凹部の中に配置され、MEMS装置を覆う。第1金属フレームは、第2カバーの周辺に配置され、第2カバーおよび第1金属フレームは、合わせてベースの上に配置され、凹部を覆う。第1封止材は、第1金属フレームとベースの間に配置される。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、第1金属フレームは、第2カバーに直接固定される。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、第1金属フレームは、ガラスフリットを介して第2カバーに固定される。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、第1金属フレーム、ガラスフリットおよび第2カバーの熱膨張係数は、実質的に類似する。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、MEMSパッケージ構造は、さらに、第2金属フレームと、第2封止材とを含む。第2金属フレームは、第1金属フレームと第1封止材の間に配置される。第2封止材は、第1金属フレームと第2金属フレームの間に配置される。
【0013】
本発明は、凹部を含むベースを提供することと、凹部の中に第1カバーで覆われたMEMS装置を配置することと、第2カバーまたはベースの上にガラスフリットを配置することと、ベースの上に凹部を覆う第2カバーを配置して、ベースと第2カバーの間にガラスフリットを配置することと、ガラスフリットを溶融して、凹部を密封することとを含むMEMSパッケージ構造の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、溶融ステップの前に、製造方法は、さらに、ガラスフリットの溶融温度よりも低い中間温度までガラスフリットを加熱することを含む。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、ベース、ガラスフリットおよび第2カバーの熱膨張係数は、実質的に類似する。
【0016】
本発明は、凹部を含むベースを提供することと、凹部の中に第1カバーで覆われたMEMS装置を配置することと、第2カバーを提供し、第2カバーの周辺に第1金属フレームを配置することと、ベースまたは第1金属フレームの上に第1封止材を配置することと、ベースの上に凹部を覆う第2カバーおよび第1金属フレームを合わせて配置し、第1金属フレームとベースの間に第1封止材を配置することと、第1封止材を加熱して、第1金属フレームおよびベースを密封することとを含むMEMSパッケージ構造の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、第2カバーの周辺に第1金属フレームを配置するステップにおいて、製造方法は、さらに、第2カバーの軟化温度まで加熱して、第2カバーを第1金属フレームに固定することと、第2カバーを研磨(polishing)することとを含む。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、第2カバーの軟化温度まで加熱するステップの前に、製造方法は、さらに、第1金属フレームの高温酸化プロセスを行うことを含む。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、第2カバーの周辺に第1金属フレームを配置するステップにおいて、製造方法は、さらに、第1金属フレームと第2カバーの間にガラスフリットを配置することと、ガラスフリットを溶融して、第1金属フレームを第2カバーに固定することとを含む。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、第1金属フレーム、ガラスフリットおよび第2カバーの熱膨張係数は、実質的に類似する。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、製造方法は、さらに、第1封止材の上に第2金属フレームを配置することと、第2金属フレームの上に第2封止材を配置して、第1金属フレームと第2金属フレームの間に第2封止材を配置することと、第2封止材を加熱して、第1金属フレームおよび第2金属フレームを密封することとを含む。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のMEMSパッケージ構造は、MEMS装置を覆う第1カバーを適用して、MEMS装置を汚染から守り、且つMEMS装置に対して第1防湿保護を提供する。また、MEMS装置および第1カバーをベースの凹部の中に配置し、ガラスフリットを介して第2カバーをベースに密封する、あるいは、第1封止材を介して第2カバーの周辺の第1金属フレームをベースに固定することにより、第2カバー、ベースおよびガラスフリットの組み合わせ、または、第2カバー、ベース、第1金属フレームおよび第1封止材の組み合わせにより、MEMS装置に対して第2防湿保護を提供する。従来、第2カバーは、接着剤でベースに接着されるため、高温環境において、接着剤の湿気浸透問題やガス放出問題が生じる可能性があった。本発明のMEMSパッケージ構造は、接着剤をガラスフリット、第2カバーの周辺の第1金属フレームおよび第1封止材に置き換えることにより、凹部の密封性が向上し、ガス放出問題を防ぐことができる。そのため、本発明のMEMSパッケージ構造は、より優れた耐湿特性を提供する。また、上述したMEMSパッケージ構造の製造方法をさらに提供する。
【0023】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1a】本発明の1つの実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図1b】本発明の1つの実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図1c】本発明の1つの実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図1d】本発明の1つの実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2a】本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2b】本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2c】本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2d】本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2e】本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2d1】
図2d’は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2e1】
図2e’は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2d2】
図2d”は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【
図2e2】
図2e”は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を例として、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面および関連説明において、同一または類似する構成要素には、同一の参照番号を使用する。
【0026】
図1(a)〜
図1(d)は、本発明の1つの実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。MEMSパッケージ構造の製造方法は、以下のステップを含む。
図1(a)を参照すると、凹部112を含むベース110を提供する。本実施形態において、ベース110の材料は、セラミックであるが、ベース110の材料は、これに限定されない。
【0027】
そして、
図1(b)を参照すると、第1カバー130で覆われた少なくとも1つのMEMS装置120をベース110の凹部112の中に配置する。MEMS装置120の上を覆う第1カバー130は、MEMS装置120を汚染(例えば、粒子等)から守ることができる。詳しく説明すると、本実施形態において、MEMS装置120は、チップ115のアクティブ面117に配置される。チップ115は、例えば、CCD(charge couple device)またはCMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の光センサーチップであり、アクティブ面117は、例えば、光感応領域である。しかし、チップ115およびアクティブ面117の種類は、これに限定されない。本実施形態において、MEMS装置120は、ミラーであるが、MEMS装置120は、スイッチ、コンデンサ、加速度計、センサまたはアクチュエータであってもよく、MEMS装置120の種類は、これに限定されない。
【0028】
第1カバー130は、透明であるため、外部光線(図示せず)は、第1カバー130を通ってMEMS装置120およびチップ115のアクティブ面117に通過することができる。第1カバー130は、ガラスカバーであるが、第1カバー130の材料は、これに限定されない。
図1(b)に示すように、第1カバー130は、チップ115の上を覆い、キャビティ(cavity)130を含み、MEMS装置120は、キャビティ130の中にある。キャビティ132は、アクティブ面117の反対側に上面132aを有する。本実施形態において、上面132aとアクティブ面117の間の距離Dは、ミラー傾きの高さよりも大きく、例えば、10μmであり、チップ115と第1カバー130の間の周辺ギャップの高さHは、約1μm〜10μmである。つまり、チップ115と第1カバー130の間の周辺ギャップの高さHは、上面132aとアクティブ面117の間の距離Dよりも小さい。
【0029】
チップ115と第1カバー130の間の周辺ギャップにシール材(sealant)134を配置して、キャビティ132を密封する。
図1(b)に示すように、シール材134の厚さは、MEMS装置120の高さよりも小さい。シール材134の厚さは、チップ115と第1カバー130の間の周辺ギャップの高さHにより制限される。そのため、シール材134の厚さは、チップ115と第1カバー130の間の周辺ギャップの高さHにより約1μm〜10μmの間で異なる。
【0030】
言及すべきこととして、シール材134は、例えば、エポキシ樹脂等の有機高分子化合物である。有機高分子化合物の分子構造は、多くの親水基(hydrophilic group)を有するため、外部の汚染や湿気を遮断する能力を有するが、分子構造は、親水基と湿気の反応を完全に阻止することはできない。そのため、本実施形態は、チップ115、シール材134および第1カバー130の周辺に湿気バリア(moisture barrier)136をコーティングすることにより、シール材134の親水基と湿気の反応を効果的に阻止し、さらに、キャビティ132の不浸透性を向上させる。このようにして、MEMS装置120は、MEMSパッケージ構造100において正常に操作することができる。
【0031】
本実施形態において、湿気バリア136は、化学蒸着(chemical vapor deposition, CVD)または物理蒸着(physical vapor deposition, PVD)技術により形成することができるが、湿気バリア136の形成方法は、これに限定されない。また、湿気バリア136の材料は、より高い圧縮を有する無機断熱材、例えば、シリカ、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または親水基を含有しない他の窒素、酸素および酸窒化物等であるため、湿気バリア136の耐水性は、シール材134の耐水性よりも強い。つまり、無機断熱材は、親水基を有さず、湿気と反応しないため、湿気を効果的に遮断することができる。そのため、湿気バリア136は、二重の保護を提供することができ、湿気の浸透可能性を減らすことができる。
【0032】
言及すべきこととして、
図1(b)のMEMS装置120および第1カバー130の構成は、実施形態のうちの1つであるため、MEMS装置120および第1カバー130の構成は、これに限定されない。
【0033】
そして、
図1(c)を参照すると、第2カバー140の上にガラスフリット150を配置する。第2カバー140は、ガラスカバーであり、ガラスフリット150は、第2カバー140の底面に適用される。本実施形態において、ガラスフリット150は、リング状であるが、ガラスフリット150の形状は、これに限定されない。ガラスフリット150は、第2カバー140およびベース110を固定して、凹部112を密封するために使用される。ガラスフリット150の材料特性により、ガラスフリット150は、より優れた湿気遮断効果を提供することができる。本実施形態において、高温環境におけるガラスフリット150の亀裂可能性を減らすため、ガラスフリット150中のガス有機添加剤を除去しなければならない。本実施形態において、ガラスフリット150中のガス有機添加剤は、二段階加熱でガス放出手順を行い、除去する。まず、ガラスフリット150をガラスフリット150の溶融温度よりも低い中間温度まで加熱する。このステップにおいて、ガラスフリット150は、この時点では、まだ完全に溶融していない。その後、ガラスフリット150を溶融温度まで加熱して完全に溶融し、ガスを含まないガラスフリット150を形成する。別の実施形態において、ガラスフリット150をベース110の上に配置してもよい。
【0034】
図1(d)を参照すると、ベース110の上に、凹部112を覆う第2カバー140を配置し、ベース110と第2カバー140の間にガラスフリット150を配置する。そして、ガラスフリット150を溶融温度まで加熱して、凹部を密封し、MEMSパッケージ構造100を形成する。本実施形態において、ガラスフリット150は、レーザにより溶融されるが、ガラスフリット150の加熱方法は、これに限定されない。言及すべきこととして、ベース110、ガラスフリット150および第2カバー140の熱膨張係数は、実質的に類似する。このようにして、MEMSパッケージ構造100が高温環境においてわずかに変形しても、ガラスフリット150に亀裂が生じにくいため、外のガスや蒸気をガラスフリット150で遮断することができる。
【0035】
図1(d)に示すように、MEMSパッケージ構造100は、ベース110と、MEMS装置120と、第1カバー130と、第2カバー140と、ガラスフリット150とを含む。ベース112は、凹部112を含む。MEMS装置120は、凹部112の中に配置される。第1カバー130は、凹部112の中に配置され、MEMS装置120を覆う。第2カバー140は、ベース110の上に配置され、凹部112を覆う。ガラスフリット150は、ベース110と第2カバー140の間に配置され、凹部112を密封する。
【0036】
MEMSパッケージ構造100は、MEMS装置120を覆う第1カバー130を適用して、MEMS装置120を汚染から守り、且つMEMS装置120に対して第1防湿保護を提供する。また、MEMS装置120および第1カバー130は、ベース110の凹部112の中に配置され、第2カバー140は、ガラスフリット150を介してベース110に密封されるため、第2カバー140、ガラスフリット150およびベース110の構成により、MEMSパッケージ構造100に対して第2防湿保護を提供することができる。
【0037】
図2(a)〜
図2(e)は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。MEMSパッケージ構造の別の製造方法をさらに提供する。製造方法は、以下のステップを含む。
【0038】
図2(a)において、凹部212を含むベース210を提供する。本実施形態において、ベース210の材料は、セラミックであるが、ベース210の材料は、これに限定されない。そして、
図2(b)を参照すると、ベース210の上に第1封止材280を配置し、第1封止材280の上に第2金属フレーム290を配置する。そして、第1封止材280を加熱して、第2金属フレーム290およびベース210を固定する。本実施形態において、第1封止材280は、金属、金属合金、金属化合物(例えば、金属または半金属酸化物)またはガラスフリット等の無機材料であってもよい。さらに具体的に説明すると、第1封止材280の材料は、AgCu、AuSn、BiSn、InAgまたはガラスフリットであってもよい。第1封止材280の融点は、材料によって異なるが、第1封止材280の融点は、一般的に、約160℃〜約400℃である。また、本実施形態において、第2金属フレーム290の材料は、例えば、コバール(Kovar)合金である。コバール合金は、ニッケル、銅、コバルト、鉄およびマンガンで作られる。もちろん、第2金属フレーム290の材料は、これに限定されない。
【0039】
図2(c)を参照すると、凹部212の中に第1カバー230で覆われた少なくとも1つのMEMS装置220を配置する。本実施形態のMEMS装置220および第1カバー230の種類および構成は、上述した実施形態のMEMS装置120および第1カバー130の種類および構成に類似するため、ここでは、MEMS装置220および第1カバー230について詳しく説明しない。もちろん、別の実施形態において、MEMS装置220および第1カバー230の種類および構成は、
図1(b)のMEMS装置120および第1カバー130の種類および構成と異なってもよい。
【0040】
図2(d)を参照すると、第2カバー240を提供し、第2カバー240の周辺に第1金属フレーム270を配置する。本実施形態において、第1金属フレーム270の材料は、例えば、コバール合金である。コバール合金は、ニッケル、銅、コバルト、鉄およびマンガンで作られる。もちろん、第1金属フレーム270の材料は、これに限定されない。本実施形態において、第1金属フレーム270は、高温融解により第2カバー240の周辺に直接固定される。第1金属フレーム270を第2カバー240に固定する前に、第1金属フレーム270は、まず、高温酸化プロセスを行ってもよい。高温酸化プロセスにおいて、第1金属フレーム270は、約600℃まで加熱される。第1金属フレーム270の高温酸化プロセスによって、第1金属フレーム270および第2カバー240の後の融解が改善されるため、第1金属フレーム270および第2カバー240を密封して固定することができる。
【0041】
高温酸化プロセスの後、第1金属フレーム270および第2カバー240を第2カバー240の軟化温度まで加熱して、第2カバー240を第1金属フレーム270に固定する。本実施形態において、第1金属フレーム270および第2カバー240を約900℃まで加熱して、第2カバー240を第1金属フレーム270に融解および溶接する。もちろん、第2カバー240の軟化温度の温度は、これに限定されない。
【0042】
固定ステップの後、第2カバー240の分子配置が高温環境で変化することにより、第2カバー240の透過率が減少する可能性がある。そのため、第2カバー240の上面および底面を研磨して、透過率を上げてもよい。その後、第2カバー240の上面および底面にブラックパターン(光学のCrパターンおよびAR等、図示せず)をコーティングして、遮光してもよい。
【0043】
そして、
図2(e)を参照すると、第2金属フレーム290の上に第2封止材285を配置して、第2封止材285の上に第1金属フレーム270を配置することにより、第2カバー240および第1金属フレーム270を合わせてベース210に固定して、凹部212を覆うことができる。具体的に説明すると、本実施形態において、第1金属フレーム270の厚さは、第2カバー240の厚さよりも小さいため、第1金属フレーム270を第1封止材280の上に直接配置した場合、第2カバー240の下部が凹部212の中に位置し、第1カバー230に当たる。そのため、本実施形態において、第2金属フレーム290を第1封止材280の上に配置し、第2封止材285を第1封止材290の上に配置し、第1金属フレーム270を第2封止材285の上に配置する。第2金属フレーム290は、第1金属フレーム270の延長とみなすことができるため、第1カバー230と第2カバー240の間に空間が生じる。その後、第2封止材285を加熱し、第1金属フレーム270および第2金属フレーム290を密封することによって、凹部212を密封した後、MEMSパッケージ構造200が形成される。
【0044】
言及すべきこととして、第1封止材280および第2金属フレーム290をベース210の上に配置するステップの順番は、第1金属フレーム270をベース210に固定するステップの前であれば、特に限定されない。また、別の実施形態において、第2封止材285、第2金属フレーム290および第1封止材280を順番に第1金属フレーム270の底面に配置してもよく、その後、第2カバー240、第1金属フレーム270、第2封止材285、第2金属フレーム290および第1封止材280は、全体としてベース210の上に配置される。
【0045】
また、言及すべきこととして、凹部212の密封性を維持するため、ベース210、第1封止材280および第2金属フレーム290の熱膨張係数は、実質的に類似し、第1金属フレーム270、第2封止材285および第2金属フレーム290の熱膨張係数は、実質的に類似する。
【0046】
図2(e)に示すように、MEMSパッケージ構造200は、ベース210と、MEMS装置220と、第1カバー230と、第2カバー240と、第1金属フレーム270と、第1封止材280と、第2金属フレーム290と、第2封止材285とを含む。ベース210は、凹部212を含む。MEMS装置220は、凹部212の中に配置される。第1カバー230は、凹部212の中に配置され、MEMS装置220を覆う。第1金属フレーム270は、第2カバー240の周辺に配置され、第1金属フレーム270は、第2カバー240に直接固定される。第1封止材280は、ベース210の上に配置される。第2金属フレーム290は、第1封止材280の上に配置される。第2封止材285は、第2金属フレーム290の上に配置される。第2カバー240および第1金属フレーム270は、合わせて第2封止材285の上に配置され、凹部212を覆う。
【0047】
MEMSパッケージ構造200は、MEMS装置220を覆う第1カバー230を適用して、MEMS装置220を汚染から守り、且つMEMS装置220に対して第1防湿保護を提供する。また、MEMS装置220および第1カバー230は、ベース210の凹部212の中に配置され、第2カバー240の周辺の第1金属フレーム270は、第1封止材280、第2金属フレーム290および第2封止材285を介して、ベース210に密封される。本実施形態において、第2カバー240、ベース210、第1金属フレーム270、第1封止材280、第2金属フレーム290および第2封止材285の構成により、MEMS装置220に対して第2防湿保護を提供する。
【0048】
もちろん、第2カバー240の周辺に配置される第1金属フレーム270の形式は、これに限定されない。
図2(d’)〜
図2(e’)は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。本実施形態において、上述した実施形態に類似する素子には、同じ番号を使用する。
図2(d’)および
図2(e’)を参照すると、
図2(e’)のMEMSパッケージ構造200aと
図2(e)のMEMSパッケージ構造200の間の主な相違点は、本実施形態において、第1金属フレーム270が第2カバー240に直接接触しないことである。具体的に説明すると、第1金属フレーム270と第2カバー240の間にガラスフリット250を配置する。つまり、第1金属フレーム270は、ガラスフリット250によって第2カバー240に固定される。本実施形態において、ガラスフリット250は、リング状である。第1金属フレーム270と第2カバー240の固定ステップにおいて、第1金属フレーム270と第2カバー240の間にガラスフリット250を配置した後、ガラスフリット250を加熱して溶融することにより、第1金属フレーム270を第2カバー240に固定する。ガラスフリット250の加熱温度は、約350℃〜550℃である。また、第1金属フレーム270、ガラスフリット250および第2カバー240の熱膨張係数は、実質的に類似するため、高温におけるガラスフリット250の亀裂可能性を減らすことができる。
【0049】
図2(d”)〜
図2(e”)は、本発明の別の実施形態に係るMEMSパッケージ構造の製造方法の概略図である。本実施形態において、上述した実施形態に類似する素子には、同じ番号を使用する。
図2(d”)および
図2(e”)を参照すると、
図2(e”)のMEMSパッケージ構造200bと
図2(e)のMEMSパッケージ構造200の間の主な相違点は、第1金属フレーム270bが第1封止材280のみによってベース210に固定されることである。本実施形態において、第1金属フレーム270bの少なくとも一部の厚さは、第2カバー240の厚さよりも小さくないため、第1金属フレーム270bを第1封止材280の上に直接配置した時に、第2カバー240が第1カバー230に接触しない。そのため、MEMSパッケージ構造200bは、第2金属フレームと第2封止材を必要とせず、第1カバー230と第2カバー240の間の空間を増やすことができるため、MEMSパッケージ構造200bは、上述した実施形態で言及した第2金属フレームと第2封止材を省略することができる。
【0050】
以上のように、本発明のMEMSパッケージ構造は、MEMS装置を覆う第1カバーを適用して、MEMS装置を汚染から守り、且つMEMS装置に対して第1防湿保護を提供する。また、MEMS装置および第1カバーをベースの凹部の中に配置し、ガラスフリットを介して第2カバーをベースに密封する、あるいは、第1封止材を介して第2カバーの周辺の第1金属フレームをベースに固定することにより、第2カバー、ベースおよびガラスフリットの組み合わせ、または、第2カバー、ベース、第1金属フレームおよび第1封止材の組み合わせにより、MEMS装置に対して第2防湿保護を提供する。従来、第2カバーは、接着剤でベースに接着されるため、高温環境において、接着剤の湿気浸透問題やガス放出問題が生じる可能性があった。本発明のMEMSパッケージ構造は、接着剤をガラスフリット、第2カバーの周辺の第1金属フレームおよび第1封止材に置き換えることにより、凹部の密封性が向上し、ガス放出問題を防ぐことができる。そのため、本発明のMEMSパッケージ構造は、より優れた耐湿特性を提供する。また、上述したMEMSパッケージ構造の製造方法をさらに提供する。
【0051】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、MEMSパッケージ構造およびその製造方法を提供する。MEMSパッケージ構造は、より優れた耐湿特性を提供する。
【符号の説明】
【0053】
D 距離
H 高さ
100、200、200a、200b MEMSパッケージ構造
110、210 ベース
112、212 凹部
115 チップ
117 アクティブ面
120、220 MEMS装置
130、230 第1カバー
132 キャビティ
132a 上面
134 シール材
136 湿気バリア
140、240 第2カバー
150 ガラスフリット
270、270b 第1金属フレーム
280 第1封止材
285 第2封止材
290 第2金属フレーム
【外国語明細書】