(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-71443(P2017-71443A)
(43)【公開日】2017年4月13日
(54)【発明の名称】熱制御段階を含む、容器からの包装物の形成方法
(51)【国際特許分類】
B67C 3/14 20060101AFI20170324BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20170324BHJP
B65B 3/06 20060101ALI20170324BHJP
【FI】
B67C3/14
B65D1/02 230
B65B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-180219(P2016-180219)
(22)【出願日】2016年9月15日
(31)【優先権主張番号】1559570
(32)【優先日】2015年10月8日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507344689
【氏名又は名称】シデル パルティシパシオン エス.エー.エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・ドゥリアン
【テーマコード(参考)】
3E033
3E079
3E118
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA13
3E033CA05
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD03
3E033DD20
3E033EA04
3E033FA03
3E033GA02
3E079AA04
3E079AB01
3E079BB07
3E079CC01
3E079GG02
3E079GG10
3E118AA02
3E118AB14
3E118BA08
3E118BA09
3E118BB01
3E118CA20
3E118DA01
3E118DA20
3E118EA10
3E118FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高温充填される容器からの包装物の生産に対する信頼性を高め、容器に設けられた変形ゾーンの凹凸逆転操作をよりよく制御し、包装物の生産時のエネルギー消費量を抑える。
【解決手段】本体(5)、首部(8)および底部(6)を有する容器(1)から包装物(2)を形成する方法であって、容器(1)は、変形ゾーン(15)が容器(1)の外部に突出する突出構成から、前記ゾーン(15)が容器(1)の内部に突出する凹入構成に至る変形ゾーン(15)を有し、この方法は、以下の操作すなわち‐高温の製品で容器(1)を充填する操作と、‐このように充填された容器(1)を密封閉鎖する操作と、‐打栓された容器(1)の温度を測定する操作と、‐測定温度と所定の閾値とを比較する操作と、‐測定温度が閾値以下の場合、変形ゾーン(15)をその凹入位置に反転させる操作と、を含んでいる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(5)、首部(8)および底部(6)を有する容器(1)から包装物(2)を形成する方法であって、容器(1)は、後退位置と展開位置との間で移動する機械式のプッシャ(22)を用いて、変形ゾーン(15)が容器(1)の外部に突出する突出構成から前記変形ゾーン(15)が容器(1)の内部に突出する凹入構成に至る変形ゾーン(15)を有し、前記方法は、以下の操作すなわち
‐変形ゾーン(15)がその突出位置にあるとき、容器(1)の材料のガラス転移温度よりも高い温度にある製品で容器(1)を充填する操作と、
‐首部(8)に取り付けられた栓(4)を用いて、このように充填された容器(1)を密封閉鎖する操作とを含む方法において、
‐打栓された容器(1)の温度を測定する操作と、
‐測定温度と所定の閾値とを比較する操作と、
‐測定温度が閾値以下の場合、プッシャ(22)をその後退位置から展開位置に移動させて、変形ゾーン(15)をその突出構成から凹入構成へと移行させる操作と、
‐測定温度が閾値より高い場合、プッシャ(22)をその後退位置に少なくとも一時的に保持する操作とを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
測定温度が閾値よりも高いとき、警報信号を発することからなる操作を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定温度が閾値よりも高いとき、プッシャ(22)を所定のタイミング調整の間は後退位置に保持することからなる操作と、次いで、プッシャ(22)をその展開位置に移動させることからなる操作とを含んでいることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
測定温度が閾値よりも高いとき、容器(1)の強制冷却操作を含んでいることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
測定温度が閾値よりも高いとき、待機コーナーに向かって容器を迂回させる操作を含んでいることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
測定温度と、閾値よりも低いターゲット値との比較操作を含んでいることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
測定温度が閾値とターゲット値との間に含まれるとき、変形ゾーン(15)にプッシャ(22)が及ぼす応力の増加操作および/またはプッシャ(22)の移動速度の上昇操作を含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
測定温度がターゲット値よりも低いとき、変形ゾーン(15)にプッシャ(22)が及ぼす応力の減少操作および/またはプッシャ(22)の移動速度の低下操作を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ターゲット値の温度が約30℃であることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
閾値が約40℃であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
変形ゾーン(15)が、底部(6)の基部(10)と底部(6)の中央ピン(14)とを接続するダイヤフラムであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
温度が、サーマルカメラまたは高温計からなるセンサ(40)によって測定されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
温度が、容器(1)の本体(5)上で測定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の内容物(液体、ペースト)、すなわち容器が製造される材料のガラス転移温度よりも高い温度の内容物を充填するプラスチック材料の容器からの包装物の生産分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の特殊な内容物、特に、低温殺菌されるもの(フルーツジュースまたは他の果汁入り飲料、牛乳、調味料)または煎じたもの(茶、コーヒー)の場合、高温充填がしばしば行われる。
【0003】
このタイプの内容物の温度は一般に90℃よりも高いが、その一方で使用される容器は、通常PET(ポリエチレンテレフタレート)で製造され、そのガラス転移温度は約80℃である。
【0004】
高温充填は、容器がその内容物の熱を受けて軟化することから、容器の機械的強度に問題が生じる。
【0005】
容器の機械的強度を高めることが可能な公知技術の1つは熱硬化であり、これは、容器の成形終了時に、容器を一時的に高温に保持し(たとえばそのモールドの加熱壁に容器を接触保持し)、熱によって材料の結晶性を向上させることからなる。
【0006】
この技術は、良好な機械的耐久性を容器に付与することで充填時における容器の機械的性能を確かに高めることができるが、それが不十分であることが判明する場合がある。なぜなら熱硬化を行っても、容器はいったん打栓されると、内容物が冷却されるに伴い収縮し、それによってもたらされる応力に耐えられない場合があるからである。その結果、制御不能な変形が頻繁に生じ、これは容器の見栄えを損なうとともにその機械的耐久性を損なってしまう(特にパレット搬送が必要な場合)。
【0007】
冷えていく内容物の収縮に伴う応力によりもたらされる変形を制御するための第1の解決方法は、容器に変形パネルを備えることからなる。たとえば米国特許第5704503号明細書(Continental PET)を参照されたい。これらのパネルは、容器内の圧力のままに変形する。充填時には膨らみ、内容物が冷えるとくぼむ。この解決方法の主な欠点は、パネルの存在により容器の形状の自由度が制限され、見栄えが損なわれることにある。
【0008】
第2の解決方法は、凹凸逆転可能なダイヤフラムを備えた底部を容器に設けることからなる。たとえば米国特許第8671653号明細書(Graham Packaging)を参照されたい。この特許では、容器の内部容積を減らして内容物を再加圧するように機械式のプッシャを用いてダイヤフラムを凹凸逆転し、それによって剛性が高められる。この第2の解決方法は、容器の構造的な剛性と容器の形状の自由度とに関して第1の解決方法よりも優れているが、製造上、さまざまな制約を課される。
【0009】
実際、凹凸逆転位置ではダイヤフラムが不安定になり、容器内の圧力下で当初の位置に戻ってしまうことがある。妥当な1つの仮定は、容器が十分に冷却されなかった結果、凹凸逆転後のダイヤフラムが、所定の位置に安定的にロックされる望ましい位置に到達できていないというものである。
【0010】
すべての容器を長時間にわたって自由に冷却放置すると生産性を損なうことになる(今日では、通常の生産速度が1時間当たり容器約50000個であることを想起されたい)。
【0011】
代替的な1つの解決方法は、すべての容器を(たとえば噴霧により)強制冷却することであるが、しかし、この解決方法はエネルギー消費量が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5704503号明細書
【特許文献2】米国特許第8671653号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第1の目的は、高温充填される容器からの包装物の生産に対する信頼性を高めることにある。
【0014】
第2の目的は、容器に設けられた変形ゾーンの凹凸逆転操作をよりよく制御することにある。
【0015】
第3の目的は、包装物の生産時のエネルギー消費量を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本体、首部および底部を有する容器から包装物を形成する方法が提案され、この容器は、後退位置と展開位置との間で移動する機械式のプッシャを用いて、変形ゾーンが容器の外部に突出する突出構成から、前記ゾーンが容器の内部に突出する凹入構成に至る変形ゾーンを有し、この方法は、以下の操作すなわち
‐変形ゾーンがその突出位置にあるとき、容器の材料のガラス転移温度よりも高い温度にある製品で容器を充填する操作と、
‐首部に取り付けられた栓を用いて、このように充填された容器を密封閉鎖する操作と、
‐打栓された容器の温度を測定する操作と、
‐測定温度と所定の閾値とを比較する操作と、
‐測定温度が閾値以下の場合、プッシャをその後退位置から展開位置に移動させて、変形ゾーンをその突出構成から凹入構成へと移行させる操作と、
‐測定温度が閾値より高い場合、プッシャをその後退位置に少なくとも一時的に保持する操作とを含んでいる。
【0017】
さまざまな付加的な特徴を単独または組み合わせで設けることが可能である。
【0018】
‐測定温度が閾値よりも高いとき、警報信号を発することからなる操作を設ける。
【0019】
‐測定温度が閾値よりも高いとき、所定のタイミング調整の間はプッシャを後退位置に保持することからなる操作と、次いで、プッシャをその展開位置に移動させることからなる操作とを設ける。
【0020】
‐測定温度が閾値よりも高いとき、容器の強制冷却操作、あるいは、待機コーナーに向かって容器を迂回させる操作を設ける。
【0021】
‐測定温度と、閾値よりも低いターゲット値との比較操作を設ける。
【0022】
‐測定温度が閾値とターゲット値との間に含まれるとき、変形ゾーンにプッシャが及ぼす応力の増加操作および/またはプッシャの移動速度の上昇操作を設ける。
【0023】
‐測定温度がターゲット値よりも低いとき、変形ゾーンにプッシャが及ぼす応力の減少操作および/またはプッシャの移動速度の低下操作を設ける。
【0024】
‐ターゲット値の温度が約30℃である。
【0025】
‐閾値が約40℃である。
【0026】
‐変形ゾーンが、底部の基部と底部の中央ピンとを接続するダイヤフラムである。
【0027】
‐温度は、サーマルカメラまたは高温計からなるセンサによって測定される。
【0028】
‐温度は、容器の本体上で測定される。
【0029】
本発明の他の目的および長所は、添付図面を参照しながら以下になされた1つの実施形態の説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】変形ゾーンが反転式ダイヤフラムである底部を備えた、形成直後の容器を示す断面図である。
【
図3】ダイヤフラムを反転させるように構成された機械式のプッシャを備える作業台に設置され、容器に面してサーマルカメラが取り付けられた打栓後の
図2の容器を示す断面図である。
【
図4】画像の解読のために、さまざまな温度範囲に対応する配色表示とともに、容器の第1の熱画像を示す図である。
【
図6】ダイヤフラムの凹凸逆転を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1では、包装物2が形成されるプラスチック材料(たとえばPET)容器1を示した。包装物2は、この容器1に加えて、容器1内に注入される内容物3と、容器1を密封する栓4と、必要に応じて、各種の消費者向け情報が印刷された貼付ラベルとを含んでいる。
【0032】
容器1は、主軸Xに沿って延びるほぼ円筒形の本体5と、本体5をその下端で閉鎖する底部6と、この底部6に対向する本体5の上端からくびれを形成する肩部7と、肩部7の延長線上にあって、容器1の充填、その後は内容物の排出を行う開放された首部8とを含んでいる。
【0033】
図示されている1つの実施形態によれば、本体5は、特にその楕円形化すなわち、たとえば内容物3の冷却に伴い容器1内で減圧が生じることによって本体が半径方向に(X軸に対して垂直に)つぶれるのを回避するために、機械的剛性を高める環状の剛性リブ9を含んでいる。
【0034】
容器1の底部6は、テーブル等の平らな表面に容器1が自立するように構成された環状の周縁基部10と、この基部10をX軸に向かって延長し、容器の内部に突出して延びるヴォールト部11とを有している。
【0035】
ヴォールト部11は、基部10の内縁13から容器1の内部に突出して延びる円錐台形の側壁12と、容器1の内部に突出する中央ピン14と、円錐台形の反転式ダイヤフラム15から構成されて側壁12の上縁16から中央ピン14の周縁17まで斜めに延びる変形ゾーンと、を含んでいる。
【0036】
容器1は、一般に、容器1の型穴を有するモールド内部で、あらかじめ加熱されたプリフォームからブロー成形またはブロー延伸成形により形成される(プリフォーム上で最終形状を有する首部8を除く)。容器1は、ダイヤフラム15が容器1の外側に突出する突出構成においてダイヤフラム15とともに形成される(
図1)。
【0037】
有利には、容器1は、その成形終了時に、比較的高い値(約120℃超)に温度調整されるモールドとの接触保持からなる熱硬化を受ける。こうした熱硬化は、熱によって材料の結晶性を高め、これにより容器1の機械的強度を増し、内容物3が高温であるときの容器の耐久性に有利に働く。
【0038】
成形後、容器1は、
図2に示したように、内容物3を形成する製品(特に液体)を首部8から容器に注ぐことからなる充填操作を受ける。この製品は、容器1の材料のガラス転移温度よりも高い温度にすることができる。1つの実施例によれば、容器1がPET(そのガラス転移温度は約80℃である)から製造され、容器1に注がれる製品の温度は約90℃以上である。
【0039】
容器1は、熱硬化を受けたことにより、著しい変形なしに、充填時に受けた熱衝撃によりもたらされる応力に対して機械的に持ちこたえることができる。
【0040】
充填後は、
図3に示したように、首部8に(ロックおよび/またはねじ締めにより)はめ込み装着される栓4によって容器1が打栓される。このとき、容器1は密封閉鎖される。
【0041】
容器1は、打栓された後で、当該容器1がはめ込まれる環状支持体19を有する反転作業台18に移送される。より詳しくは、支持体19は、少なくとも基部10と本体5の下端に対応する嵌合部を形成し、これによって容器1を横方向に(すなわち主軸Xに対して垂直に)固定させる。
【0042】
反転作業台18は、さらに、容器1を軸方向に(すなわち主軸Xに対して平行に)固定させる主軸支持部20を有している。
図3に示した例では、主軸支持部20は、栓4に当接する円錐形のヘッド21を有している。
【0043】
このように容器1は、支持体19と主軸支持部20との間に剛性保持される。
【0044】
反転作業台18は、また、支持体19に対して機械式に移動するプッシャ22を有し、プッシャ22は支持体を貫通して底部6に当接し、ダイヤフラム15をその突出位置から凹入位置に反転させることができ、その一方で、容器1は、軸方向に動くことなく支持体19と主軸支持部20との間に保持される。
【0045】
より詳しくは、プッシャ22は、容器1の底部6から離れて延びる後退位置と支持体19から容器1の内部に突出する展開位置との間で軸Xに沿って並進移動可能である。図示された例では、プッシャ22は、中央ピン14の端部に嵌合する形状の自由端23を有しているが、この自由端23は、もっと簡単な形状、たとえば円筒形にすることができる。
【0046】
反転作業台18は、さらに、一方では、ダイヤフラム15の反転(すなわち凹凸逆転)を実施するために後退位置から展開位置に、他方では、その反対に展開位置から次のサイクルに備える後退位置にプッシャ22を移動可能なアクチュエータ24を有している。
【0047】
1つの実施形態によれば、アクチュエータ24は、(電気式または図示された実施例のように空気式または油圧式)ジャッキである。
【0048】
アクチュエータ24は、円筒形の本体25と、ピストン26と、このピストン26に結合されるロッド27とを含んでいる。プッシャ22はロッド27に固定されるか、あるいは図示された実施例のように、ロッドと一体的に形成されている。
【0049】
アクチュエータ24は、本体25を閉鎖する2つの壁、すなわち後方端部の壁28とこれとは反対側の前方端部の壁29とを有し、前方端部の壁には穴が設けられ、ロッド27は、この穴を通って延びている。ピストン26は、本体25内でピストン26と後方端部の壁28との間に後方チャンバ30を、また、ロッド27の周囲でピストン26と前方端部の壁29との間に前方チャンバ31を画定する。
【0050】
後方チャンバ30と前方チャンバ31は、後方端部の壁28に設けられた後方の入口32と、前方端部の壁29に設けられた前方の入口33とを介して、流体分配器36の第1の出口34と第2の出口35とそれぞれ流体接続されており、流体分配器は、さらに、加圧流体(たとえば空気またはオイル)源37と、排出部38とに接続されている。
図3から分かるように、流体分配器36は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)等の情報処理制御ユニット39により制御される。
【0051】
後方チャンバ30と前方チャンバ31は、ピストン26が後方端部の壁28の付近にある後退位置から、ピストン26が前方端部の壁29の付近にある展開位置まで、プッシャ22を(ピストン26により)連続移動させるよう、流体分配器36を介して流体源37と排出部38とに交互に流体接続される。
【0052】
しかし、容器1の温度が高すぎるときにダイヤフラム15の反転がなされる場合、その機械的強度は、ダイヤフラム15が確実にその凹入位置を保持するのに十分ではないことが分かっている。
【0053】
そのため、打栓操作とダイヤフラム15の反転操作との間に、容器1の温度制御段階が設けられ、これは、
‐打栓された容器1の温度測定操作と、
‐このように測定された温度と、制御ユニット39に記憶された、所定の閾値Tsとの比較操作と、
を含んでいる。
【0054】
温度測定は、容器1の本体5の全体にわたって完全な温度プロフィールを形成可能な、好ましくはサーマルカメラの形態を呈するセンサ40を用いて実施される。カメラ40は、たとえば、FLIR社により商品化されているA315モデルであり、これは、−20℃〜120℃の熱範囲で解像度320×240画素の画像形成が可能である。
図3に示したように、カメラ40は制御ユニット39に接続され、カメラは、その測定値を制御ユニットに知らせる。変形実施形態では、センサ40が、温度の単発的な測定を実施する高温計である。高温計は、容器1の温度が均一であることが確認される場合に適しており、容器1の一か所のみの温度測定から外挿することが可能である。
【0055】
1つの実施形態によれば、カメラ40は、複数(たとえばすべて)の反転作業台18に共通し、反転作業台18が取り付けられる回転盤に面して固定式に配置される。別の実施形態によれば、各々の反転作業台18が、その固有のサーマルカメラ40を備えている。
【0056】
図3に示したように、カメラ40は、完全なサーモグラフィを作成できるようにするために、好ましくは、容器1の本体5がすべてカメラの視界に入るように配置される。
【0057】
このように実施された温度測定値は、カメラ40により制御ユニット39に転送される。制御ユニットは、記憶された温度を閾値Tsと比較し、
‐測定された温度が閾値Ts以下である場合、制御ユニット39は、直ちに、後退位置から展開位置へのプッシャ22の移動を命令して、ダイヤフラム15を反転させて突出位置から凹入位置に移行させ、
‐測定された温度が閾値Tsよりも高い場合、制御ユニット39は、少なくとも一時的に後退位置にプッシャ22を保持するよう命令する。
【0058】
前者の場合、容器1(特に底部6)の機械的な剛性は、内容物3の圧力がかかっても、ダイヤフラム15が(凹凸逆転後)その凹入構成にロックされた状態に留まるのに十分であると言える。
【0059】
この第1の事例を
図4に示した。この図は、画像編集プログラムを組み込んだ制御ユニット39に記憶された、打栓後に実施された容器1のサーモグラフィを示している。
図4に示された凡例はあくまで、制御ユニット39により適用される操作モードの理解を促すための説明用である。この凡例は、異なるパターンにより示された4つの温度範囲[T
i;T
i+1]を含む(ここでiは、正の整数または0であり、温度は、指数iの値が大きくなるにつれて高くなる)。たとえば
[T
0;T
1]は、ジグザグパターン
[T
1;T
2]は、三角パターン
[T
2;T
3]は、長方形パターン
[T
3;T
4]は、ドットパターン
で示されている。
【0060】
温度T
iの値は、たとえば次の通りである。
【0061】
T
0=30℃
T
1=35℃
T
2=40℃
T
3=45℃
T
4=50℃
【0062】
図4に示されたサーモグラフィによれば、対応する容器1は、温度がT
0とT
1との間(すなわち上記の例では30℃と35℃との間)にある外側ゾーンと、温度がT
1とT
2との間(すなわち上記の例では35℃と40℃との間)にある中央ゾーンとの、2つの温度ゾーンを示していることが確認できる。その結果、Tsに値40℃を割り当てると仮定すれば、
図4にサーモグラフィを示した容器1の温度はTs未満であることが分かる。
【0063】
したがって、容器1のダイヤフラム15は凹凸逆転可能である。その場合、制御ユニット39は、これを確認した直後に、(流体分配器36を介して)プッシャ22をその後退位置から展開位置に移動するよう命令し、ダイヤフラム15をその凹入位置に向かって反転させて容器1を加圧する。
【0064】
それに対して第2の事例では、ダイヤフラム15が(凹凸逆転後)その凹入構成にロックされた状態に留まるには、包装物2の内部の残留圧力が強すぎる。言い換えれば、ダイヤフラム15は、容器1内の圧力下で、(機械的な反転後に)その凹入構成から突出構成に不意に凹凸逆転するおそれがある。
【0065】
この第2の事例を
図5に示した。この図は、
図4に示したサーモグラフィに関して上記に説明した条件で制御ユニット39に記憶された、打栓後に実施された容器1のサーモグラフィを示している。
【0066】
図5のサーモグラフィによれば、対応する容器1は、温度がT
2とT
3との間(すなわち上記の例では40℃と45℃との間)にある外側ゾーンと、温度がT
3とT
4との間(すなわち上記の例では45℃と50℃との間)にある中央ゾーンとの、2つの温度ゾーンを示していることが確認できる。その結果、Tsに値40℃を割り当てると仮定すれば、
図5にサーモグラフィを示した容器1の温度はTsより高いことが分かる。
【0067】
したがって、容器1のダイヤフラム15は、少なくとも容器の温度がTsより低くなる(あるいは少なくともTsに達する)前に凹凸逆転すべきではない。そうでなければ、ダイヤフラム15は、凹入構成を保てずに、ダイヤフラム15により対抗される機械的強度を上回るような容器1内の圧力の作用で、ひとりでに突出位置へと凹凸逆転してしまう可能性がある。
【0068】
そのため、この第2の事例では、制御ユニット39は、少なくとも一時的にプッシャ22をその後退位置に保持するように命令する。たとえば充填操作時に内容物3の温度をチェックすることを促すよう、たとえば容器1の温度が適切でないことを操作者に知らせるための警報信号を発することができる。
【0069】
第1の実施形態によれば、プッシャ22は、所定のタイミング調整の間は後退位置に保持され、その後、(流体分配器36を介した)制御ユニット39の命令で展開位置に移動し、ダイヤフラム15を反転させる。
【0070】
このため、制御ユニット39には、容器の温度推移の経時的な予測モデルを組み入れることが可能であり、これにより上記のタイミング調整を計算することができる。こうしたタイミング調整は、予測モデルでは、容器がそれぞれ測定温度と温度Tsとを示す瞬間を分ける時間間隔にたとえば等しい。
【0071】
制御ユニット39は、測定温度が閾値Tsよりも高い場合で、かつ計算されたタイミング調整が、充填後の容器1が支持体19上に停止する時間にたとえば対応する所定の時間閾値を上回る場合、待機ゾーンへの容器1の迂回を命令するようにプログラムすることができる。待機ゾーンでは、容器1は、所定の持続時間にわたり冷却放置することができる。容器1の温度が閾値Ts以下になると(これは、測定可能であり、あるいは、容器1の当初の温度からの外挿により計算可能である)、容器1は、そのダイヤフラム15を凹凸反転できるように生産ラインへと再度向けられる。容器1は、また、測定温度が閾値温度Tsよりも高い場合、たとえば本体5への低温の液体の噴射(一般には噴霧)によって強制冷却操作を受けることができる。この操作は、生産ラインに沿って、あるいは、温度が閾値Tsより高い場合に容器が迂回される別ライン上で実施可能である。
【0072】
容器1の(自然または強制)冷却を終了すると、容器は、そのダイヤフラム15の凹凸逆転操作を受けることができる。
【0073】
ダイヤフラム15は、容器1の測定温度が、所定のいわゆるターゲット温度(以下Tcと記す)に等しいか、ほぼ等しいとき、凹入位置へのロックが最も確実に行える状態で凹凸逆転されることが分かっている。ターゲット温度は、同じ条件で充填された同じモデルのすべての容器に対して同一である。ターゲット温度は、閾値温度Ts未満であり、一般には約30℃である。
【0074】
特定の1つの実施形態によれば、閾値温度Tsとの比較に加えて、測定温度はさらに、制御ユニット39に記憶されたターゲット温度Tcと比較される。測定温度がターゲット温度Tcに等しい(あるいは、通常±2℃の差でほぼ等しい)場合、ダイヤフラム15を凹凸逆転する操作条件は変化しない。
【0075】
測定温度が閾値温度Ts以下である限り、ダイヤフラム15の凹凸逆転を実施できることについてはここまでに見てきた通りである。
【0076】
それに対して、ターゲット温度Tcとの比較は、凹凸逆転の操作条件を決定するもので、制御ユニット39が、プッシャ22によりダイヤフラム15に及ぼされる応力および/またはプッシャの移動速度に作用する。
【0077】
たとえば、測定温度が閾値温度Tsとターゲット温度Tcとの間にある場合、制御ユニット39は、プッシャ22によりダイヤフラム15に及ぼされる応力を増加し、および/またはプッシャ22の移動速度を速めるようにプログラムされる。なぜなら、この温度条件は、充填後に容器内の圧力が著しく下がっており、その結果、ダイヤフラム15の凹入位置へのロックがいわば保証されることを意味するからである。したがって、包装物2内の圧力による抵抗力は制限され、ダイヤフラム15は、損傷リスクなしにより高い応力と凹凸逆転速度に耐えられるため、生産性が上がる。
【0078】
この第1の事例では、制御ユニット39は、さらに、ターゲット温度に近づけるために容器1の温度上昇を促すようにプログラム可能である。このため、包装物2が、充填および打栓後(かつダイヤフラム15の凹凸逆転前)に必ず行われる強制冷却の対象となると仮定すると、制御ユニット39は、このように冷却される包装物2に付与される調整温度を、測定温度がターゲット温度Tcに等しくなるまで、または、ほぼ等しくなるまで強化するよう命令可能であり、これにより生産性を最適化することができる。
【0079】
それに対して、測定温度がターゲット温度Tc未満である場合、制御ユニット39は、プッシャ22がダイヤフラム15に及ぼす応力を減少し、および/またはプッシャ22の移動速度を落とすようにプログラムされる。なぜなら、この温度条件は、たとえ凹入位置でのダイヤフラム15のロックがほぼ保証されるとしても、包装物2内の圧力による抵抗力が依然としてかなり高く、ダイヤフラム15は、応力が強すぎるおよび/または、凹凸逆転速度が速すぎれば、これを受けて損傷する可能性があるからである。このような仮定では、生産性が低下するとしても包装物が無傷の状態にあるように保証することが好ましい。
【0080】
上記の第2の事例では、制御ユニット39は、ターゲット温度に近づけるために容器1の温度低下を促すようにプログラム可能である。このため、包装物2が、充填および打栓後(かつダイヤフラム15の凹凸逆転前)に必ず行われる強制冷却の対象となると仮定すると、制御ユニット39は、このように冷却される包装物2に付与される調整温度を、測定温度がターゲット温度Tcに等しくなるまで、または、ほぼ等しくなるまで下降するよう命令可能であり、これにより生産性を最適化することができる。
【0081】
容器1の本体5全体において測定温度は必ずしも均一ではないので(これは
図4と
図5に示した実施例から分かる)、制御ユニット39は、その比較および計算を実施するために、測定温度の上限だけを考慮し、あるいはまた、測定温度の平均値を求め、必要に応じ容器1の本体5上で検知された対応する面の面積をベースに加重平均値を求める。
【0082】
同様に、温度分布が軸Xを中心とする回転対称であると仮定すれば、瞬間的なサーモグラフィ(1回のみの温度測定の形態をとる)で十分であると推定する場合がある。この仮定は、特に、容器1自体が軸Xを中心として回転対称である場合に考慮することができる。
【0083】
しかし、その逆に、温度分布が軸Xを中心として回転対称ではないとすれば、容器1の完全なサーモグラフィ(容器1の周囲で同時または連続的に実施される複数回の温度測定の形態をとる)が必要であると推定する場合もある。この仮定は、特に、容器1がそれ自体、軸Xを中心として回転非対称である場合(たとえば容器1の横断面が長方形、正方形、楕円形の輪郭を有する場合)に考慮可能である。この場合、サーモグラフィは、容器1の周囲に配分された複数のセンサ(特にカメラ)、または軸Xを中心とする(容器1またはセンサ40の)回転による複数回の連続温度測定(カメラの場合は複数回の撮影)を実施する単一のセンサ(特にカメラ)によって実施可能である。
【0084】
この場合、比較操作は、すべての測定値に対して反復されるか、あるいは、平均的な温度プロフィールを得るために平均値を求めることができる。
【0085】
以上において、測定温度は容器1の本体5の温度であり、その一方で、凹凸逆転操作は底部6(より詳しくはダイヤフラム15)に関与することに留意されたい。実際、底部6(および特にダイヤフラム15)の温度は、内容物3の相対的な等方性のために本体5の温度とほとんど差がなく、内容物は、底部6に本体5と同じ熱量(単位面積当たり)を伝導させる。
【0086】
しかし、本体5と底部6が同じ温度ではなく、および/または同じ熱挙動を示さないことも想定される。この場合、カメラ40は、本体5に面して取り付けるのではなく底部6に面して取り付けて、サーモグラフィを直接形成することができる。2つの配置を組み合わせることも同様に可能である。
【0087】
上記の方法には、次のような長所がある。
【0088】
第1に、プッシャ22の移動(すなわちダイヤフラム15の反転)を命令する前に、容器1の温度を(本体5および/または底部6で)測定することにより、反転が信頼性のある仕方で実施可能であるかどうか検証することができる(すなわち、容器1内の圧力下でダイヤフラム15が最初の位置に戻るリスクがない)。
【0089】
第2に、最適な熱条件でダイヤフラム15を凹凸逆転することにより、特に、(容器1の温度が高すぎる場合)プッシャ22による変形のリスクを低減しながら、この操作をよりよく制御することができる。
【0090】
上記の説明では、反転操作は底部6(より詳しくはダイヤフラム15)に関与する。しかし、容器1(特に本体5)の任意のゾーンを凹凸逆転させることも可能であり、このゾーンは、容器1の外側に突出する突出位置と容器1の内側に突出する凹入位置との間で変形可能である。こうした変形ゾーンは、たとえば、容器1の本体5に形成された膨らみとすることができ、これは、容器1を反転により加圧することに加えて、たとえば容器1をつかみやすくする握り部を形成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 容器
2 包装物
3 内容物
4 栓
5 本体
6 底部
7 肩部
8 首部
9 剛性リブ
10 基部
11 ヴォールト部
12 側壁
13 基部の内縁
14 中央ピン
15 変形ゾーンまたはダイヤフラム
16 側壁の上縁
17 中央ピンの周縁
18 反転作業台
19 支持体
20 主軸支持部
21 主軸支持部のヘッド
22 プッシャ
23 プッシャの自由端
24 アクチュエータ
25 アクチュエータ本体
26 ピストン
27 ロッド
28 アクチュエータの後方端部の壁
29 アクチュエータの前方端部の壁
30 後方チャンバ
31 前方チャンバ
32 後方端部の壁に設けられた後方の入口
33 前方端部の壁に設けられた前方の入口
34 流体分配器の第1の出口
35 流体分配器の第2の出口
36 流体分配器
37 加圧流体源
38 排出部
39 制御ユニット
40 センサまたはカメラ
【手続補正書】
【提出日】2016年10月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の内容物(液体、ペースト)、すなわち容器が製造される材料のガラス転移温度よりも高い温度の内容物を充填するプラスチック材料の容器からの包装物の生産分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の特殊な内容物、特に、低温殺菌されるもの(フルーツジュースまたは他の果汁入り飲料、牛乳、調味料)または煎じたもの(茶、コーヒー)の場合、高温充填がしばしば行われる。
【0003】
このタイプの内容物の温度は一般に90℃よりも高いが、その一方で使用される容器は、通常PET(ポリエチレンテレフタレート)で製造され、そのガラス転移温度は約80℃である。
【0004】
高温充填は、容器がその内容物の熱を受けて軟化することから、容器の機械的強度に問題が生じる。
【0005】
容器の機械的強度を高めることが可能な公知技術の1つは熱硬化であり、これは、容器の成形終了時に、容器を一時的に高温に保持し(たとえばそのモールドの加熱壁に容器を接触保持し)、熱によって材料の結晶性を向上させることからなる。
【0006】
この技術は、良好な機械的耐久性を容器に付与することで充填時における容器の機械的性能を確かに高めることができるが、それが不十分であることが判明する場合がある。なぜなら熱硬化を行っても、容器はいったん打栓されると、内容物が冷却されるに伴い収縮し、それによってもたらされる応力に耐えられない場合があるからである。その結果、制御不能な変形が頻繁に生じ、これは容器の見栄えを損なうとともにその機械的耐久性を損なってしまう(特にパレット搬送が必要な場合)。
【0007】
冷えていく内容物の収縮に伴う応力によりもたらされる変形を制御するための第1の解決方法は、容器に変形パネルを備えることからなる。たとえば米国特許第5704503号明細書(Continental PET)を参照されたい。これらのパネルは、容器内の圧力のままに変形する。充填時には膨らみ、内容物が冷えるとくぼむ。この解決方法の主な欠点は、パネルの存在により容器の形状の自由度が制限され、見栄えが損なわれることにある。
【0008】
第2の解決方法は、凹凸逆転可能なダイヤフラムを備えた底部を容器に設けることからなる。たとえば米国特許第8671653号明細書(Graham Packaging)を参照されたい。この特許では、容器の内部容積を減らして内容物を再加圧するように機械式のプッシャを用いてダイヤフラムを凹凸逆転し、それによって剛性が高められる。この第2の解決方法は、容器の構造的な剛性と容器の形状の自由度とに関して第1の解決方法よりも優れているが、製造上、さまざまな制約を課される。
【0009】
実際、凹凸逆転位置ではダイヤフラムが不安定になり、容器内の圧力下で当初の位置に戻ってしまうことがある。妥当な1つの仮定は、容器が十分に冷却されなかった結果、凹凸逆転後のダイヤフラムが、所定の位置に安定的にロックされる望ましい位置に到達できていないというものである。
【0010】
すべての容器を長時間にわたって自由に冷却放置すると生産性を損なうことになる(今日では、通常の生産速度が1時間当たり容器約50000個であることを想起されたい)。
【0011】
代替的な1つの解決方法は、すべての容器を(たとえば噴霧により)強制冷却することであるが、しかし、この解決方法はエネルギー消費量が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5704503号明細書
【特許文献2】米国特許第8671653号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第1の目的は、高温充填される容器からの包装物の生産に対する信頼性を高めることにある。
【0014】
第2の目的は、容器に設けられた変形ゾーンの凹凸逆転操作をよりよく制御することにある。
【0015】
第3の目的は、包装物の生産時のエネルギー消費量を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本体、首部および底部を有する容器から包装物を形成する方法が提案され、この容器は、後退位置と展開位置との間で移動する機械式のプッシャを用いて、変形ゾーンが容器の外部に突出する突出構成から、前記ゾーンが容器の内部に突出する凹入構成に至る変形ゾーンを有し、この方法は、以下の操作すなわち
‐変形ゾーンがその突出位置にあるとき、容器の材料のガラス転移温度よりも高い温度にある製品で容器を充填する操作と、
‐首部に取り付けられた栓を用いて、このように充填された容器を密封閉鎖する操作と、
‐打栓された容器の温度を測定する操作と、
‐測定温度と所定の閾値とを比較する操作と、
‐測定温度が閾値以下の場合、プッシャをその後退位置から展開位置に移動させて、変形ゾーンをその突出構成から凹入構成へと移行させる操作と、
‐測定温度が閾値より高い場合、プッシャをその後退位置に少なくとも一時的に保持する操作とを含んでいる。
【0017】
さまざまな付加的な特徴を単独または組み合わせで設けることが可能である。
【0018】
‐測定温度が閾値よりも高いとき、警報信号を発することからなる操作を設ける。
【0019】
‐測定温度が閾値よりも高いとき、所定のタイミング調整の間はプッシャを後退位置に保持することからなる操作と、次いで、プッシャをその展開位置に移動させることからなる操作とを設ける。
【0020】
‐測定温度が閾値よりも高いとき、容器の強制冷却操作、あるいは、待機コーナーに向かって容器を迂回させる操作を設ける。
【0021】
‐測定温度と、閾値よりも低いターゲット値との比較操作を設ける。
【0022】
‐測定温度が閾値とターゲット値との間に含まれるとき、変形ゾーンにプッシャが及ぼす応力の増加操作および/またはプッシャの移動速度の上昇操作を設ける。
【0023】
‐測定温度がターゲット値よりも低いとき、変形ゾーンにプッシャが及ぼす応力の減少操作および/またはプッシャの移動速度の低下操作を設ける。
【0024】
‐ターゲット値の温度が約30℃である。
【0025】
‐閾値が約40℃である。
【0026】
‐変形ゾーンが、底部の基部と底部の中央ピンとを接続するダイヤフラムである。
【0027】
‐温度は、サーマルカメラまたは高温計からなるセンサによって測定される。
【0028】
‐温度は、容器の本体上で測定される。
【0029】
本発明の他の目的および長所は、添付図面を参照しながら以下になされた1つの実施形態の説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】変形ゾーンが反転式ダイヤフラムである底部を備えた、形成直後の容器を示す断面図である。
【
図3】ダイヤフラムを反転させるように構成された機械式のプッシャを備える作業台に設置され、容器に面してサーマルカメラが取り付けられた打栓後の
図2の容器を示す断面図である。
【
図4】画像の解読のために、さまざまな温度範囲に対応する配色表示とともに、容器の第1の熱画像を示す図である。
【
図6】ダイヤフラムの凹凸逆転を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1では、包装物2が形成されるプラスチック材料(たとえばPET)容器1を示した。包装物2は、この容器1に加えて、容器1内に注入される内容物3と、容器1を密封する栓4と、必要に応じて、各種の消費者向け情報が印刷された貼付ラベルとを含んでいる。
【0032】
容器1は、主軸Xに沿って延びるほぼ円筒形の本体5と、本体5をその下端で閉鎖する底部6と、この底部6に対向する本体5の上端からくびれを形成する肩部7と、肩部7の延長線上にあって、容器1の充填、その後は内容物の排出を行う開放された首部8とを含んでいる。
【0033】
図示されている1つの実施形態によれば、本体5は、特にその楕円形化すなわち、たとえば内容物3の冷却に伴い容器1内で減圧が生じることによって本体が半径方向に(X軸に対して垂直に)つぶれるのを回避するために、機械的剛性を高める環状の剛性リブ9を含んでいる。
【0034】
容器1の底部6は、テーブル等の平らな表面に容器1が自立するように構成された環状の周縁基部10と、この基部10をX軸に向かって延長し、容器の内部に突出して延びるヴォールト部11とを有している。
【0035】
ヴォールト部11は、基部10の内縁13から容器1の内部に突出して延びる円錐台形の側壁12と、容器1の内部に突出する中央ピン14と、円錐台形の反転式ダイヤフラム15から構成されて側壁12の上縁16から中央ピン14の周縁17まで斜めに延びる変形ゾーンと、を含んでいる。
【0036】
容器1は、一般に、容器1の型穴を有するモールド内部で、あらかじめ加熱されたプリフォームからブロー成形またはブロー延伸成形により形成される(プリフォーム上で最終形状を有する首部8を除く)。容器1は、ダイヤフラム15が容器1の外側に突出する突出構成においてダイヤフラム15とともに形成される(
図1)。
【0037】
有利には、容器1は、その成形終了時に、比較的高い値(約120℃超)に温度調整されるモールドとの接触保持からなる熱硬化を受ける。こうした熱硬化は、熱によって材料の結晶性を高め、これにより容器1の機械的強度を増し、内容物3が高温であるときの容器の耐久性に有利に働く。
【0038】
成形後、容器1は、
図2に示したように、内容物3を形成する製品(特に液体)を首部8から容器に注ぐことからなる充填操作を受ける。この製品は、容器1の材料のガラス転移温度よりも高い温度にすることができる。1つの実施例によれば、容器1がPET(そのガラス転移温度は約80℃である)から製造され、容器1に注がれる製品の温度は約90℃以上である。
【0039】
容器1は、熱硬化を受けたことにより、著しい変形なしに、充填時に受けた熱衝撃によりもたらされる応力に対して機械的に持ちこたえることができる。
【0040】
充填後は、
図3に示したように、首部8に(ロックおよび/またはねじ締めにより)はめ込み装着される栓4によって容器1が打栓される。このとき、容器1は密封閉鎖される。
【0041】
容器1は、打栓された後で、当該容器1がはめ込まれる環状支持体19を有する反転作業台18に移送される。より詳しくは、支持体19は、少なくとも基部10と本体5の下端に対応する嵌合部を形成し、これによって容器1を横方向に(すなわち主軸Xに対して垂直に)固定させる。
【0042】
反転作業台18は、さらに、容器1を軸方向に(すなわち主軸Xに対して平行に)固定させる主軸支持部20を有している。
図3に示した例では、主軸支持部20は、栓4に当接する円錐形のヘッド21を有している。
【0043】
このように容器1は、支持体19と主軸支持部20との間に剛性保持される。
【0044】
反転作業台18は、また、支持体19に対して機械式に移動するプッシャ22を有し、プッシャ22は支持体を貫通して底部6に当接し、ダイヤフラム15をその突出位置から凹入位置に反転させることができ、その一方で、容器1は、軸方向に動くことなく支持体19と主軸支持部20との間に保持される。
【0045】
より詳しくは、プッシャ22は、容器1の底部6から離れて延びる後退位置と支持体19から容器1の内部に突出する展開位置との間で軸Xに沿って並進移動可能である。図示された例では、プッシャ22は、中央ピン14の端部に嵌合する形状の自由端23を有しているが、この自由端23は、もっと簡単な形状、たとえば円筒形にすることができる。
【0046】
反転作業台18は、さらに、一方では、ダイヤフラム15の反転(すなわち凹凸逆転)を実施するために後退位置から展開位置に、他方では、その反対に展開位置から次のサイクルに備える後退位置にプッシャ22を移動可能なアクチュエータ24を有している。
【0047】
1つの実施形態によれば、アクチュエータ24は、(電気式または図示された実施例のように空気式または油圧式)ジャッキである。
【0048】
アクチュエータ24は、円筒形の本体25と、ピストン26と、このピストン26に結合されるロッド27とを含んでいる。プッシャ22はロッド27に固定されるか、あるいは図示された実施例のように、ロッドと一体的に形成されている。
【0049】
アクチュエータ24は、本体25を閉鎖する2つの壁、すなわち後方端部の壁28とこれとは反対側の前方端部の壁29とを有し、前方端部の壁には穴が設けられ、ロッド27は、この穴を通って延びている。ピストン26は、本体25内でピストン26と後方端部の壁28との間に後方チャンバ30を、また、ロッド27の周囲でピストン26と前方端部の壁29との間に前方チャンバ31を画定する。
【0050】
後方チャンバ30と前方チャンバ31は、後方端部の壁28に設けられた後方の入口32と、前方端部の壁29に設けられた前方の入口33とを介して、流体分配器36の第1の出口34と第2の出口35とそれぞれ流体接続されており、流体分配器は、さらに、加圧流体(たとえば空気またはオイル)源37と、排出部38とに接続されている。
図3から分かるように、流体分配器36は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)等の情報処理制御ユニット39により制御される。
【0051】
後方チャンバ30と前方チャンバ31は、ピストン26が後方端部の壁28の付近にある後退位置から、ピストン26が前方端部の壁29の付近にある展開位置まで、プッシャ22を(ピストン26により)連続移動させるよう、流体分配器36を介して流体源37と排出部38とに交互に流体接続される。
【0052】
しかし、容器1の温度が高すぎるときにダイヤフラム15の反転がなされる場合、その機械的強度は、ダイヤフラム15が確実にその凹入位置を保持するのに十分ではないことが分かっている。
【0053】
そのため、打栓操作とダイヤフラム15の反転操作との間に、容器1の温度制御段階が設けられ、これは、
‐打栓された容器1の温度測定操作と、
‐このように測定された温度と、制御ユニット39に記憶された、所定の閾値Tsとの比較操作と、
を含んでいる。
【0054】
温度測定は、容器1の本体5の全体にわたって完全な温度プロフィールを形成可能な、好ましくはサーマルカメラの形態を呈するセンサ40を用いて実施される。カメラ40は、たとえば、FLIR社により商品化されているA315モデルであり、これは、−20℃〜120℃の熱範囲で解像度320×240画素の画像形成が可能である。
図3に示したように、カメラ40は制御ユニット39に接続され、カメラは、その測定値を制御ユニットに知らせる。変形実施形態では、センサ40が、温度の単発的な測定を実施する高温計である。高温計は、容器1の温度が均一であることが確認される場合に適しており、容器1の一か所のみの温度測定から外挿することが可能である。
【0055】
1つの実施形態によれば、カメラ40は、複数(たとえばすべて)の反転作業台18に共通し、反転作業台18が取り付けられる回転盤に面して固定式に配置される。別の実施形態によれば、各々の反転作業台18が、その固有のサーマルカメラ40を備えている。
【0056】
図3に示したように、カメラ40は、完全なサーモグラフィを作成できるようにするために、好ましくは、容器1の本体5がすべてカメラの視界に入るように配置される。
【0057】
このように実施された温度測定値は、カメラ40により制御ユニット39に転送される。制御ユニットは、記憶された温度を閾値Tsと比較し、
‐測定された温度が閾値Ts以下である場合、制御ユニット39は、直ちに、後退位置から展開位置へのプッシャ22の移動を命令して、ダイヤフラム15を反転させて突出位置から凹入位置に移行させ、
‐測定された温度が閾値Tsよりも高い場合、制御ユニット39は、少なくとも一時的に後退位置にプッシャ22を保持するよう命令する。
【0058】
前者の場合、
ダイヤフラム15に対して内容物3によって容器1に及ぼされる圧力は、プッシャ22の移動(したがって、ダイヤフラム15の凹凸逆転)を可能にするように十分に低いと言え、一方、容器1(特に底部6)の機械的な剛性は、内容物3の圧力がかかっても、ダイヤフラム15が(凹凸逆転後)その凹入構成にロックされた状態に留まるのに十分であると言える。
【0059】
この第1の事例を
図4に示した。この図は、画像編集プログラムを組み込んだ制御ユニット39に記憶された、打栓後に実施された容器1のサーモグラフィを示している。
図4に示された凡例はあくまで、制御ユニット39により適用される操作モードの理解を促すための説明用である。この凡例は、異なるパターンにより示された4つの温度範囲[T
i;T
i+1]を含む(ここでiは、正の整数または0であり、温度は、指数iの値が大きくなるにつれて高くなる)。たとえば
[T
0;T
1]は、ジグザグパターン
[T
1;T
2]は、三角パターン
[T
2;T
3]は、長方形パターン
[T
3;T
4]は、ドットパターン
で示されている。
【0060】
温度T
iの値は、たとえば次の通りである。
【0061】
T
0=30℃
T
1=35℃
T
2=40℃
T
3=45℃
T
4=50℃
【0062】
図4に示されたサーモグラフィによれば、対応する容器1は、温度がT
0とT
1との間(すなわち上記の例では30℃と35℃との間)にある外側ゾーンと、温度がT
1とT
2との間(すなわち上記の例では35℃と40℃との間)にある中央ゾーンとの、2つの温度ゾーンを示していることが確認できる。その結果、Tsに値40℃を割り当てると仮定すれば、
図4にサーモグラフィを示した容器1の温度はTs未満であることが分かる。
【0063】
したがって、容器1のダイヤフラム15は凹凸逆転可能である
と言える。その場合、制御ユニット39は、これを確認した直後に、(流体分配器36を介して)プッシャ22をその後退位置から展開位置に移動するよう命令し、ダイヤフラム15をその凹入位置に向かって反転させて容器1を加圧する。
【0064】
それに対して第2の事例では、
包装物2の内部の残留圧力は、プッシャ22の移動(したがってダイヤフラム15の凹凸逆転)を可能にするのには高すぎるか、あるいはプッシャ22の移動が可能であると仮定するなら、ダイヤフラム15が(凹凸逆転後)その凹入構成にロックされた状態に留まる
のを可能にするには高すぎる。言い換えれば、ダイヤフラム15は、容器1内の圧力下で、(機械的な反転後に)その凹入構成から突出構成に不意に凹凸逆転するおそれがある。
【0065】
この第2の事例を
図5に示した。この図は、
図4に示したサーモグラフィに関して上記に説明した条件で制御ユニット39に記憶された、打栓後に実施された容器1のサーモグラフィを示している。
【0066】
図5のサーモグラフィによれば、対応する容器1は、温度がT
2とT
3との間(すなわち上記の例では40℃と45℃との間)にある外側ゾーンと、温度がT
3とT
4との間(すなわち上記の例では45℃と50℃との間)にある中央ゾーンとの、2つの温度ゾーンを示していることが確認できる。その結果、Tsに値40℃を割り当てると仮定すれば、
図5にサーモグラフィを示した容器1の温度はTsより高いことが分かる。
【0067】
したがって、容器1のダイヤフラム15は、少なくとも容器の温度がTsより低くなる(あるいは少なくともTsに達する)前に凹凸逆転を
試みるべきではない。そうでなければ、
凹凸逆転が可能であると仮定されても、ダイヤフラム15は、凹入構成を保てずに、ダイヤフラム15により対抗される機械的強度を上回るような容器1内の圧力の作用で、ひとりでに突出位置へと凹凸逆転してしまう可能性がある。
【0068】
そのため、この第2の事例では、制御ユニット39は、少なくとも一時的にプッシャ22をその後退位置に保持するように命令する。たとえば充填操作時に内容物3の温度をチェックすることを促すよう、たとえば容器1の温度が適切でないことを操作者に知らせるための警報信号を発することができる。
【0069】
第1の実施形態によれば、プッシャ22は、所定のタイミング調整の間は後退位置に保持され、その後、(流体分配器36を介した)制御ユニット39の命令で展開位置に移動し、ダイヤフラム15を反転させる。
【0070】
このため、制御ユニット39には、容器の温度推移の経時的な予測モデルを組み入れることが可能であり、これにより上記のタイミング調整を計算することができる。こうしたタイミング調整は、予測モデルでは、容器がそれぞれ測定温度と温度Tsとを示す瞬間を分ける時間間隔にたとえば等しい。
【0071】
制御ユニット39は、測定温度が閾値Tsよりも高い場合で、かつ計算されたタイミング調整が、充填後の容器1が支持体19上に停止する時間にたとえば対応する所定の時間閾値を上回る場合、待機ゾーンへの容器1の迂回を命令するようにプログラムすることができる。待機ゾーンでは、容器1は、所定の持続時間にわたり冷却放置することができる。容器1の温度が閾値Ts以下になると(これは、測定可能であり、あるいは、容器1の当初の温度からの外挿により計算可能である)、容器1は、そのダイヤフラム15を凹凸反転できるように生産ラインへと再度向けられる。容器1は、また、測定温度が閾値温度Tsよりも高い場合、たとえば本体5への低温の液体の噴射(一般には噴霧)によって強制冷却操作を受けることができる。この操作は、生産ラインに沿って、あるいは、温度が閾値Tsより高い場合に容器が迂回される別ライン上で実施可能である。
【0072】
容器1の(自然または強制)冷却を終了すると、容器は、そのダイヤフラム15の凹凸逆転操作を受けることができる。
【0073】
ダイヤフラム15は、容器1の測定温度が、所定のいわゆるターゲット温度(以下Tcと記す)に等しいか、ほぼ等しいとき、凹入位置へのロックが最も確実に行える状態で凹凸逆転されることが分かっている。ターゲット温度は、同じ条件で充填された同じモデルのすべての容器に対して同一である。ターゲット温度は、閾値温度Ts未満であり、一般には約30℃である。
【0074】
特定の1つの実施形態によれば、閾値温度Tsとの比較に加えて、測定温度はさらに、制御ユニット39に記憶されたターゲット温度Tcと比較される。測定温度がターゲット温度Tcに等しい(あるいは、通常±2℃の差でほぼ等しい)場合、ダイヤフラム15を凹凸逆転する操作条件は変化しない。
【0075】
測定温度が閾値温度Ts以下である限り、ダイヤフラム15の凹凸逆転を実施できることについてはここまでに見てきた通りである。
【0076】
それに対して、ターゲット温度Tcとの比較は、凹凸逆転の操作条件を決定するもので、制御ユニット39が、プッシャ22によりダイヤフラム15に及ぼされる応力および/またはプッシャの移動速度に作用する。
【0077】
たとえば、測定温度が閾値温度Tsとターゲット温度Tcとの間にある場合、制御ユニット39は、プッシャ22によりダイヤフラム15に及ぼされる応力を増加し、および/またはプッシャ22の移動速度を速めるようにプログラムされる。なぜなら、この温度条件は
、容器内の圧力が
高いままであること、およびターゲット温度Tcに関して設定されるプッシャ22によりダイヤフラム15に及ぼされる応力および/または速度の条件の維持が、ダイヤフラム15を凹凸逆転しかつ/または凹入位置におけるダイヤフラム15をロックするには不十分であることを意味するからである
。
【0078】
この第1の事例では、制御ユニット39は、さらに、ターゲット温度に近づけるために容器1の温度
低下を促すようにプログラム可能である。このため、包装物2が、充填および打栓後(かつダイヤフラム15の凹凸逆転前)に必ず行われる強制冷却の対象となると仮定すると、制御ユニット39は、このように冷却される包装物2に付与される調整温度を、測定温度がターゲット温度Tcに等しくなるまで、または、ほぼ等しくなるまで強化するよう命令可能であり、これにより生産性を最適化することができる。
【0079】
それに対して、測定温度がターゲット温度Tc未満である場合、制御ユニット39は、プッシャ22がダイヤフラム15に及ぼす応力を減少し、および/またはプッシャ22の移動速度を落とすようにプログラムされる。なぜなら、この温度条件は、
容器1内の圧力が減少したこと、ダイヤフラム15に高すぎる応力を及ぼす必要はなく、また凹凸逆転するために速すぎる移動の必要もないこと、およびエネルギー節約の利点を意味する。さらに、ダイヤフラムに及ぼされる応力の制限により、高い(および不要な)機械衝撃を受けない。
【0080】
上記の第2の事例では、制御ユニット39は、ターゲット温度に近づけるために容器1の温度
上昇を促すようにプログラム可能である。このため、包装物2が、充填および打栓後(かつダイヤフラム15の凹凸逆転前)に必ず行われる強制冷却の対象となると仮定すると、制御ユニット39は、このように冷却される包装物2に付与される調整温度を、測定温度がターゲット温度Tcに等しくなるまで、または、ほぼ等しくなるまで
修正するよう命令可能であり、これにより生産性を最適化することができる。
【0081】
容器1の本体5全体において測定温度は必ずしも均一ではないので(これは
図4と
図5に示した実施例から分かる)、制御ユニット39は、その比較および計算を実施するために、測定温度の上限だけを考慮し、あるいはまた、測定温度の平均値を求め、必要に応じ容器1の本体5上で検知された対応する面の面積をベースに加重平均値を求める。
【0082】
同様に、温度分布が軸Xを中心とする回転対称であると仮定すれば、瞬間的なサーモグラフィ(1回のみの温度測定の形態をとる)で十分であると推定する場合がある。この仮定は、特に、容器1自体が軸Xを中心として回転対称である場合に考慮することができる。
【0083】
しかし、その逆に、温度分布が軸Xを中心として回転対称ではないとすれば、容器1の完全なサーモグラフィ(容器1の周囲で同時または連続的に実施される複数回の温度測定の形態をとる)が必要であると推定する場合もある。この仮定は、特に、容器1がそれ自体、軸Xを中心として回転非対称である場合(たとえば容器1の横断面が長方形、正方形、楕円形の輪郭を有する場合)に考慮可能である。この場合、サーモグラフィは、容器1の周囲に配分された複数のセンサ(特にカメラ)、または軸Xを中心とする(容器1またはセンサ40の)回転による複数回の連続温度測定(カメラの場合は複数回の撮影)を実施する単一のセンサ(特にカメラ)によって実施可能である。
【0084】
この場合、比較操作は、すべての測定値に対して反復されるか、あるいは、平均的な温度プロフィールを得るために平均値を求めることができる。
【0085】
以上において、測定温度は容器1の本体5の温度であり、その一方で、凹凸逆転操作は底部6(より詳しくはダイヤフラム15)に関与することに留意されたい。実際、底部6(および特にダイヤフラム15)の温度は、内容物3の相対的な等方性のために本体5の温度とほとんど差がなく、内容物は、底部6に本体5と同じ熱量(単位面積当たり)を伝導させる。
【0086】
しかし、本体5と底部6が同じ温度ではなく、および/または同じ熱挙動を示さないことも想定される。この場合、カメラ40は、本体5に面して取り付けるのではなく底部6に面して取り付けて、サーモグラフィを直接形成することができる。2つの配置を組み合わせることも同様に可能である。
【0087】
上記の方法には、次のような長所がある。
【0088】
第1に、プッシャ22の移動(すなわちダイヤフラム15の反転)を命令する前に、容器1の温度を(本体5および/または底部6で)測定することにより、反転が信頼性のある仕方で実施可能であるかどうか検証することができる(すなわち、容器1内の圧力下でダイヤフラム15が最初の位置に戻るリスクがない)。
【0089】
第2に、最適な熱条件でダイヤフラム15を凹凸逆転することにより、特に、(容器1の温度が高すぎる場合)プッシャ22による変形のリスクを低減しながら、この操作をよりよく制御することができる。
【0090】
上記の説明では、反転操作は底部6(より詳しくはダイヤフラム15)に関与する。しかし、容器1(特に本体5)の任意のゾーンを凹凸逆転させることも可能であり、このゾーンは、容器1の外側に突出する突出位置と容器1の内側に突出する凹入位置との間で変形可能である。こうした変形ゾーンは、たとえば、容器1の本体5に形成された膨らみとすることができ、これは、容器1を反転により加圧することに加えて、たとえば容器1をつかみやすくする握り部を形成することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 容器
2 包装物
3 内容物
4 栓
5 本体
6 底部
7 肩部
8 首部
9 剛性リブ
10 基部
11 ヴォールト部
12 側壁
13 基部の内縁
14 中央ピン
15 変形ゾーンまたはダイヤフラム
16 側壁の上縁
17 中央ピンの周縁
18 反転作業台
19 支持体
20 主軸支持部
21 主軸支持部のヘッド
22 プッシャ
23 プッシャの自由端
24 アクチュエータ
25 アクチュエータ本体
26 ピストン
27 ロッド
28 アクチュエータの後方端部の壁
29 アクチュエータの前方端部の壁
30 後方チャンバ
31 前方チャンバ
32 後方端部の壁に設けられた後方の入口
33 前方端部の壁に設けられた前方の入口
34 流体分配器の第1の出口
35 流体分配器の第2の出口
36 流体分配器
37 加圧流体源
38 排出部
39 制御ユニット
40 センサまたはカメラ
【外国語明細書】