特開2017-71459(P2017-71459A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-71459(P2017-71459A)
(43)【公開日】2017年4月13日
(54)【発明の名称】排紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20170324BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20170324BHJP
   B65H 29/22 20060101ALI20170324BHJP
【FI】
   B65H29/70
   G03G15/00 530
   B65H29/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-198242(P2015-198242)
(22)【出願日】2015年10月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】亀田 剛
【テーマコード(参考)】
2H072
3F049
3F053
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072HB05
2H072JA02
3F049AA01
3F049CA11
3F049CA33
3F049DA12
3F049DA19
3F049DB04
3F049DB11
3F049LA02
3F049LB03
3F053HA03
3F053HB01
3F053HB24
3F053LA02
3F053LB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排紙装置において、用紙の種類によらず一定のカールの除去効果を発生させる。
【解決手段】排紙装置は、駆動ローラ41と、第1の従動ローラ42と、付勢部材43と、第2の従動ローラ44と、を備える。駆動ローラ41は、第1外周面S1を有し、第1軸A1回りに回転する。第1の従動ローラ42は、第1外周面S1と第1接触位置TP1において接触する第2外周面S2を有し、駆動ローラ41に接近・離反可能であり、駆動ローラ41の回転に従って第2軸A2回りに回転して用紙Pを搬送する。付勢部材43は、第1の従動ローラ42を駆動ローラ41に対して弾性的に付勢する。第2の従動ローラ44は、第1接触位置TP1よりも下流側の第2接触位置TP2において第1外周面S1と接触する第3外周面S3をし、駆動ローラ41に対して相対移動不能であり、駆動ローラ41の回転に従って第3軸A3回りに回転して用紙Pを搬送する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成装置に備わり、前記画像を形成した用紙を外部へ排紙する排紙装置であって、
前記用紙を外部に排紙する第1方向に直交する第2方向に延びる第1外周面を有し、前記第2方向に平行な第1軸回りに回転可能な駆動ローラと、
前記第2方向に延び前記第1外周面と第1接触位置において接触する第2外周面を有しかつ前記駆動ローラに接近・離反可能なローラであり、前記第1外周面と前記第2外周面との間に前記用紙をニップした状態にて、前記駆動ローラの回転に従って前記第2方向に平行な第2軸回りに回転することにより、前記用紙を前記第1方向へ搬送する第1の従動ローラと、
前記第1外周面と前記第2外周面とが所定の接触力にて接触するよう、前記第1の従動ローラを前記駆動ローラに対して弾性的に付勢する付勢部材と、
前記第2方向に延び前記第1接触位置よりも前記第1方向の下流側の第2接触位置において前記第1外周面と接触する第3外周面を有しかつ前記駆動ローラに対して相対移動不能なローラであり、前記第1外周面と前記第2外周面との間にニップされた用紙を前記第1外周面と前記第3外周面との間にニップした状態にて、前記駆動ローラの回転に従って、前記第2方向に平行な第3軸回りに回転することにより、前記用紙を前記第1方向へ搬送する第2の従動ローラと、
を備える排紙装置。
【請求項2】
前記駆動ローラ、前記第1の従動ローラ、及び前記第2の従動ローラの硬度は、前記第1の従動ローラ、前記駆動ローラ、前記第2の従動ローラの順に低い、請求項1に記載の排紙装置。
【請求項3】
前記第2の従動ローラの前記第2方向の長さは、前記用紙の前記第2方向の長さよりも短い、請求項1又は2に記載の排紙装置。
【請求項4】
前記駆動ローラは、前記第2方向に所定の間隔を互いに空けて配置された複数の小ローラにより構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排紙装置。
【請求項5】
前記複数の小ローラのうち、前記第2方向の両端に配置された小ローラの前記第2方向の長さは、他の小ローラの前記第2方向の長さよりも長い、
請求項4に記載の排紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に画像を形成する画像形成装置に備わり、画像を形成した用紙を外部へ排紙する排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式にて用紙に画像を形成する画像形成装置において、用紙にトナーを定着させるために用紙を加熱する際に、用紙の加熱した面から水分が蒸発する。この結果、用紙の加熱した面が収縮して用紙がカールすることが知られている。
特許文献1には、用紙を排紙する際に、排紙ローラの曲面を圧接する複数の従動ローラにより、用紙に生じたカールを除去する排紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−65192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の排紙装置において、複数の従動ローラが周面を圧接するときの圧接力は、当該複数の従動ローラを付勢するスプリングにより発生している。
スプリングにてローラの圧接力を調節する場合、例えば、厚い用紙を排紙しようとする際には用紙の厚みによりローラが押し戻されてしまう一方、薄い用紙の場合にはローラが過剰に用紙を圧接してしまう。このように、従来の排紙装置では、用紙の種類(特に、用紙の厚み)によってカールの除去効果が異なる。
【0005】
本発明の目的は、用紙に画像を形成する画像形成装置に備わる排紙装置において、用紙の種類によらず安定してカールの除去効果を発生させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る排紙装置は、用紙に画像を形成する画像形成装置に備わり、画像を形成した用紙を外部へ排紙する。排紙装置は、駆動ローラと、第1の従動ローラと、付勢部材と、第2の従動ローラと、を備える。
駆動ローラは、用紙を外部に排紙する第1方向に直交する第2方向に延びる第1外周面を有する。駆動ローラは、第2方向に平行な第1軸回りに回転可能である。
第1の従動ローラは、第2方向に延び第1外周面と第1接触位置において接触する第2外周面を有する。また、第1の従動ローラは、駆動ローラに接近・離反可能なローラである。第1の従動ローラは、第1外周面と第2外周面との間に用紙をニップした状態にて、駆動ローラの回転に従って第2方向に平行な第2軸回りに回転することにより、用紙を第1方向へ搬送する。「ニップ」とは、2つのローラ間に用紙を挟み込むことをという。
付勢部材は、第1外周面と第2外周面とが所定の接触力にて接触するよう、第1の従動ローラを駆動ローラに対して弾性的に付勢する。
【0007】
第2の従動ローラは、第2方向に延び、第1接触位置よりも第1方向の下流側の第2接触位置において第1外周面と接触する第3外周面を有する。また、第2の従動ローラは、駆動ローラに対して相対移動不能となっている。第2の従動ローラは、第1外周面と第2外周面との間にニップされた用紙を、第1外周面と第3外周面との間にニップした状態にて、駆動ローラの回転に従って、第2方向に平行な第3軸回りに回転することにより、用紙を第1方向へ搬送する。
【0008】
上記の排紙装置では、画像を形成した用紙を排紙する際に、第1接触位置と第2接触位置の両方にて当該用紙をニップすることにより、用紙に生じたカールの方向とは逆方向に用紙を湾曲させる。これにより、画像を形成した用紙に生じたカールを除去できる。
このとき、第1の従動ローラは、付勢部材により、駆動ローラに対して付勢されている。これにより、第1の従動ローラは、付勢部材の付勢力により、用紙を確実にニップできる。また、第1の従動ローラが駆動ローラに対して離反可能であることにより、用紙のカールが強く、用紙の先端が第1の従動ローラにあたった場合に、第1の従動ローラが下方に変位し、用紙の先端を駆動ローラと第1の従動ローラとの間に導きやすくなる。
一方、第2の従動ローラは、駆動ローラに対して相対移動不能となっているので、用紙の種類によらず安定したニップ力を発生する。つまり、以下の不具合が生じない。不具合とは、用紙が厚い場合に、その厚みにより第2の従動ローラが押されて用紙のニップ力が低下すること、逆に用紙が薄い場合に用紙を過剰な圧力にてニップすることである。
このように、第1の従動ローラにより用紙を確実にニップしつつ、第2の従動ローラが用紙の種類によらず一定のニップ力を発生することにより、どのような種類の用紙に対しても、安定してカールの除去効果を付与できる。
【0009】
駆動ローラ、第1の従動ローラ、第2の従動ローラの硬度は、第1の従動ローラ、駆動ローラ、第2の従動ローラの順に低く設定されていてもよい。これにより、第2の従動ローラは、用紙の種類によらず、一定の力にて用紙をニップできる。
【0010】
第2の従動ローラの第2方向の長さは、用紙の第2方向の長さよりも短くてもよい。これにより、第2の従動ローラが、他の部材と干渉することを回避できる。
【0011】
駆動ローラは、第2方向に所定の間隔を互いに空けて配置された複数の小ローラにより構成されてもよい。これにより、駆動ローラは、用紙の全面をニップしない。その結果、駆動ローラと他のローラとの間の用紙のニップ力が第2方向においてばらつくことを回避して、用紙をニップする際に、当該用紙にしわが発生することを回避できる。
【0012】
上記の複数の小ローラのうち、第2方向の両端に配置された小ローラの第2方向の長さは、他の小ローラの第2方向の長さよりも長くてもよい。これにより、用紙の側端部を駆動ローラの周面に添わせることができ、用紙の側端部におけるカールを低減するとともに、用紙の側端部でのカール矯正力の低下を軽減できる。
【発明の効果】
【0013】
画像形成装置に備わる排紙装置において、用紙の種類によらず安定してカールの除去効果を発生できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図。
図2】排紙装置の斜視図。
図3】排紙装置を第2方向から見た断面図。
図4】用紙が3つのローラによりニップされた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)画像形成装置の構成
以下、第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。まず、画像形成装置100の全体的な構成を、図1を用いて説明する。
画像形成装置100は、本体部1を備える。本体部1は、画像形成装置100の本体を形成する。本体部1の一部には、排紙トレイTが形成されている。排紙トレイTには、排紙装置4(後述)により搬送された用紙が排出される。
【0016】
画像形成装置100は、給紙カセット2を備える。給紙カセット2は、本体部1の下部(画像形成部3の下方)に配置されている。給紙カセット2には、画像を形成するために画像形成部3に搬送される用紙Pが載置される。給紙カセット2に載置された用紙Pは、給紙ローラ21(図1)の回転により、第1搬送路R1(図1)へと搬送される。
【0017】
画像形成装置100は、本体部1の内部に画像形成部3を備える。画像形成部3は、第1搬送路R1を搬送された用紙Pの表面に、電子写真方式にて画像を形成する。画像形成部3は、用紙Pに画像を形成後、当該用紙Pを第2搬送路R2へと排出する。
【0018】
画像形成装置100は、本体部1の内部であって画像形成部3の上方に排紙装置4を備える。排紙装置4は、第2搬送路R2により搬送され画像が形成され用紙Pを、排出口E(図1)から排紙トレイTへ排紙する。なお、排紙装置4の構成については、後ほど詳しく説明する。用紙Pが排出口Eから排紙トレイTへと搬送される方向を第1方向D1と呼ぶことにする。
【0019】
画像形成装置100は、本体部1の内部に制御部5を備える。制御部5は、情報処理回路、信号処理回路(A/D変換回路、D/A変換回路など)、及び通信回路などを1チップに形成した集積回路(System on Chip)を含んだコンピュータシステムであり、画像形成部3の各部を制御する。
【0020】
画像形成装置100は、本体部1の上方に操作パネル6を備える。操作パネル6は、タッチパネル及び各種キーを有し、ユーザなどによる入力操作を受け付ける。また、操作パネル6は、画像形成装置100の状態を表示するディスプレイを有する。
【0021】
画像形成装置100は、操作パネル6の上方に画像読取部7を備えていてもよい。画像読取部7は、例えば、イメージスキャナであり、紙面などから画像を読み取る。これにより、画像形成装置100は、紙面から読み取った画像を用紙Pに形成する複写機能を実現できる。
【0022】
(2)排紙装置の構成
以下、排紙装置4の構成の詳細について、図2及び図3を用いて説明する。
排紙装置4は、駆動ローラ41を有する。駆動ローラ41は、用紙Pを排紙トレイTに排紙する第1方向D1に直交する第2方向D2に延びる第1外周面S1を有し、第1軸A1回りに回転する。
図2に示すように、駆動ローラ41は、円柱軸に垂直な面の中心が第1軸A1によって貫通された複数(本実施形態では6個)の円柱形状の小ローラ41−1、41−2、・・・41−6により構成される。小ローラ41−1、41−2、・・・42−6は、硬度(JIS A)が60度のゴム製の円柱ローラである。
【0023】
複数の小ローラ41−1、41−2、・・・41−6を貫通する第1軸A1の両端は、第1軸A1の長さ方向が第2方向D2と平行となるように、一対のローラ固定部材45a、45bに設けられた穴に回転可能に軸支される。また、ローラ固定部材45a、45bに軸支された第1軸A1の一端は、モータ(図示せず)の出力回転軸に接続されている。これにより、駆動ローラ41は、モータの回転により、第1軸A1回りに回転する。
【0024】
図2に示すように、複数の小ローラ41−1、41−2、・・・41−6は、第2方向D2に平行な方向に、所定の間隔を互いに空けて配置される。これにより、これらの小ローラが他のローラと共に用紙Pをニップする際に、用紙Pのニップ力が第2方向D2において変動することを抑制できる、その結果、ニップした用紙Pにしわが発生することを抑制できる。
【0025】
また、複数の小ローラ41−1、41−2、・・・41−6のうち、第2方向D2の両端に配置された小ローラ41−1、41−6の第2方向D2の長さL1は、他の小ローラ41−2、41−3、41−4、41−5の第2方向D2の長さL2よりも長く設定されている。これにより、駆動ローラ41は、第1の従動ローラ42(後述)と共に、用紙Pをニップし、用紙Pの側端部(第2方向D2における端部)を駆動ローラ41に添わせることでき、用紙Pの側端部でのカール矯正力の低下を軽減できる。
【0026】
排紙装置4は、第1の従動ローラ42を有する。第1の従動ローラ42は、第2方向D2に延び、第1外周面S1と第1接触位置TP1(図3)において接触する第2外周面S2を有し、駆動ローラ41に接近又は離反可能なローラである。
第1の従動ローラ42は、樹脂製のパイプを、第2軸A2回りに回転可能に第2軸A2に装着した構造を有している。また、第1の従動ローラ42の第2方向D2の両端は、それぞれ、小ローラ41−6のローラ固定部材45a側の端部、及び、小ローラ41−1のローラ固定部材45b側の端部よりも、ローラ固定部材45a、45b側に延びている。これにより、第1の従動ローラ42の両端部のニップにより用紙Pにニップ痕が発生することを回避できる。
【0027】
第1の従動ローラ42を貫通する第2軸A2の両端は、第1軸A1よりも下側の第2搬送路R2に近い側において、第2軸A2の長さ方向が第2方向D2と平行になるように、一対のローラ固定部材45a、45bに軸支される。また、第2軸A2は、駆動ローラ41の第1軸A1に対して接近又は離反する方向に移動可能に、一対のローラ固定部材45a、45bに軸支される。
具体的には、例えば、第2軸A2の両端は、一対のローラ固定部材45a、45bのそれぞれに設けられた第1軸A1に接近又は離反する方向に延びる溝又は穴に軸支される。これにより、第1の従動ローラ42は、第2軸A2回りに回転し、かつ、駆動ローラ41に対して接近又は離反できる。
駆動ローラ41に接近すると、第1の従動ローラ42の円柱軸に平行な面(第2外周面S2)は、駆動ローラ41の下側の第2搬送路R2に近い側において、第1外周面S1と接触する。
【0028】
排紙装置4は、付勢部材43を有する。付勢部材43は、第1外周面S1と第2外周面S2とが所定の接触力にて接触するよう、第1の従動ローラ42を駆動ローラ41に対して弾性的に付勢する。例えば、付勢部材43は、一端が第2軸A2に圧接し、他端がローラ固定部材45a、45bに固定された、弾性的に伸縮可能なスプリングである。
駆動ローラ41の第1外周面S1と第1の従動ローラ42の第2外周面S2とが接触することにより、第1の従動ローラ42は、駆動ローラ41の回転に従って回転する。
また、付勢部材43が、第1の従動ローラ42を弾性的に付勢して駆動ローラ41に対して近接可能とすることにより、例えば、用紙Pのカールが強く、用紙Pの先端が第1の従動ローラ42にあたった場合に、第1の従動ローラ42が下方に変位し、用紙Pの先端を駆動ローラ41と第1の従動ローラ42との間に導きやすくなる。
【0029】
排紙装置4は、第2の従動ローラ44を有する。第2の従動ローラ44は、第2方向D2に延び、第1接触位置TP1よりも第1方向D1の下流側の第2接触位置TP2(図3)において第1外周面S1と接触する第3外周面S3を有し、駆動ローラ41に対して相対移動不能なローラである。
第2の従動ローラ44は、円柱軸に垂直な面の中心が第3軸A3によって貫通された、硬度(ASKER C)が30度のスポンジ製の円柱ローラである。
【0030】
第2の従動ローラ44を貫通する第3軸A3の両端は、第1軸A1及び第2軸A2よりも排出口E(図1)に近い側において、第3軸A3の長さ方向が第2方向D2と平行になり、第2の従動ローラ44の円柱軸に平行な面(第3外周面S3)が第1外周面S1に所定の接触力にて接触し、かつ、第3軸A3と第1軸A1との距離が変化しないよう、一対のローラ固定部材45a、45bに設けられた穴に回転可能に軸支される。
これにより、第2の従動ローラ44は、駆動ローラ41に対して相対移動することなく、駆動ローラ41の回転に従って、第3軸A3回りに回転する。
【0031】
図2に示すように、第3軸A3のローラ固定部材45a、45bの近傍は、画像形成装置100の他の部材との干渉を避けるため、他の軸部分よりも細くなっている。これに伴い、第2の従動ローラ44の第2方向D2の長さは、用紙Pの第2方向D2の長さよりも短くなっている。
また、上記のように、第2方向D2の両端に配置された小ローラ41−1、41−6の第2方向D2の長さL1は、他の小ローラ41−2、41−3、41−4、41−5の第2方向D2の長さL2よりも長く設定されている。これにより、第2の従動ローラ44が用紙Pの第2方向D2の長さよりも短くても、用紙Pの側端部を駆動ローラ41の周面に添わせることができ、用紙Pの側端部におけるカールを低減するとともに、用紙Pの側端部でのカール矯正力の低下を軽減できる。
【0032】
(3)画像形成装置の動作
次に、上記の構成を備えた画像形成装置100において、用紙Pに画像を形成して排紙トレイTに排紙するまでの動作について説明する。
操作パネル6の操作や外部からの通信などにより、用紙Pに画像を形成することが指令されると、制御部5は、給紙ローラ21を回転させて、給紙カセット2に載置された用紙Pを、第1搬送路R1を経由して画像形成部3に搬送する。
【0033】
用紙Pが画像形成部3に搬送されると、用紙Pへの画像の形成が開始される。具体的には、まず、画像形成部3は、制御部5の制御により、感光体ドラム31(図1)の表面に印刷したい画像に対応した静電潜像を形成する。次に、トナー供給装置32(図1)が、感光体ドラム31にトナーを供給する。これにより、感光体ドラム31の表面には、印刷したい画像(静電潜像)に対応するようにトナーが付着する。その後、搬送されてきた用紙Pが感光体ドラム31の表面を通過中に、感光体ドラム31に付着したトナーが用紙Pの一面に転写される。
【0034】
トナーを用紙Pに転写後、用紙Pのトナーが転写された面を定着装置33(図1)が加熱することにより、トナーが用紙Pに定着される。このとき、用紙Pの加熱した面から水分が蒸発する。用紙Pからの水分の蒸発により用紙Pの加熱した面が収縮する結果、用紙Pは、トナーを定着して画像が形成された面を内側にしてカールする。トナーの定着過程において発生する用紙Pのカールの内、画像が定着された側が内側(凹面)となるカールを、イメージカールと呼ぶことにする。
【0035】
第2搬送路R2を搬送され第1接触位置TP1に到達した用紙Pは、第1接触位置TP1において駆動ローラ41の第1外周面S1と第1の従動ローラ42の第2外周面S2との間にニップされ、第1方向D1に搬送される。
その後、第1方向D1の下流側の第2接触位置TP2に用紙Pが到達すると、図4に示すように、第2の従動ローラ44は、駆動ローラ41の第1外周面S1と第1の従動ローラ42の第2外周面S2との間にニップされた用紙Pを、第2接触位置TP2において、第1外周面S1と第3外周面S3との間にさらにニップする。図4は、用紙が3つのローラによりニップされた状態を示す図である。
【0036】
第1接触位置TP1と第2接触位置TP2との両方にて3つのローラにより用紙Pがニップされると、用紙Pは、画像が形成された面とは反対側の面(図4では用紙Pの上側の面)が、駆動ローラ41の第1外周面S1の湾曲に沿うように配置される。つまり、3つのローラによりニップされた用紙Pは、イメージカールの方向とは逆方向に湾曲される。用紙Pをイメージカールとは逆方向に湾曲させることにより、3つのローラは、用紙Pに生じたイメージカールを除去できる。
【0037】
このとき、第1の従動ローラ42は、付勢部材43により駆動ローラ41に対して付勢された状態にて用紙Pをニップする。これにより、第1の従動ローラ42は、付勢部材43の付勢力により、用紙Pを確実にニップできる。
一方、第2の従動ローラ44は、駆動ローラ41に対して相対移動しないので、第2の従動ローラ44が用紙Pの種類によらず安定したニップ力を発生する。つまり、用紙Pが厚い場合に、その厚みにより第2の従動ローラ44が押されて用紙Pのニップ力が低下せず、また、逆に用紙Pが薄い場合に用紙Pを過剰な圧力にてニップしない。
このように、第1の従動ローラ42より用紙Pを確実にニップしつつ、第2の従動ローラ44が用紙Pの種類によらず一定のニップ力を発生することにより、排紙装置4は、どのような種類の用紙Pに対しても、一定のカールの除去効果を付与できる。
【0038】
また、駆動ローラ41、第1の従動ローラ42、第2の従動ローラ44の硬度は、第1の従動ローラ42、駆動ローラ41、第2の従動ローラ44の順に低くなっている。これにより、第2の従動ローラ44は、用紙Pの種類によらず、一定のニップ力にて用紙Pをニップできる。
【0039】
第1の従動ローラ42及び第2の従動ローラ44が駆動ローラ41の回転に従って回転することにより、3つのローラにニップされた用紙Pは、当該用紙Pに生じたイメージカールを除去されつつ第1方向D1に搬送され、最終的には、排出口Eから排紙トレイTへと排紙される。
【0040】
(4)実施形態の構成及び機能
上記の第1実施形態は、下記の構成及び機能を有している。
排紙装置(例えば、排紙装置4)は、用紙(例えば、用紙P)に画像を形成する画像形成装置(例えば、画像形成装置100)に備わり、画像を形成した用紙を外部へ排紙する。排紙装置は、駆動ローラ(例えば、駆動ローラ41)と、第1の従動ローラ(例えば、第1の従動ローラ42)と、付勢部材(例えば、付勢部材43)と、第2の従動ローラ(例えば、第2の従動ローラ44)と、を備える。
駆動ローラは、用紙を外部に排紙する第1方向(例えば、第1方向D1)に直交する第2方向(例えば、第2方向D2)に延びる第1外周面(例えば、第1外周面S1)を有する。駆動ローラは、第2方向に平行な第1軸(例えば、第1軸A1)回りに回転可能となっている。
第1の従動ローラは、第2方向に延び第1外周面と第1接触位置(例えば、第1接触位置TP1)において接触する第2外周面(例えば、第2外周面S2)を有する。また、第1の従動ローラは、駆動ローラに接近・離反可能なローラである。第1の従動ローラは、第1外周面と第2外周面との間に用紙をニップした状態にて、駆動ローラの回転に従って第2方向に平行な第2軸(例えば、第2軸A2)回りに回転することにより、用紙を第1方向へ搬送する。
付勢部材は、第1外周面と第2外周面とが所定の接触力にて接触するよう、第1の従動ローラを駆動ローラに対して弾性的に付勢する。
【0041】
第2の従動ローラは、第2方向に延び、第1接触位置よりも第1方向の下流側の第2接触位置(例えば、第2接触位置TP2)において第1外周面と接触する第3外周面(例えば、第3外周面S3)を有する。また、第2の従動ローラは、駆動ローラに対して相対移動不能となっている。第2の従動ローラは、第1外周面と第2外周面との間にニップされた用紙を、第1外周面と第3外周面との間にニップした状態にて、駆動ローラの回転に従って、第2方向に平行な第3軸回りに回転することにより、用紙を第1方向へ搬送する。
【0042】
(5)他の実施形態
以上、本発明の一又は複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0043】
(A)第1実施形態に係る排紙装置4におけるデカール機構、つまり、駆動ローラ41、第1の従動ローラ42、及び第2の従動ローラ44は、用紙Pを第2方向D2に搬送可能なシフトソータ機構中に組み込まれていてもよい。これにより、シフトソータ機能とデカール機能とを両方備えたコンパクトな排紙装置4を実現できる。
【0044】
(B)第1の従動ローラ42と第2の従動ローラ44とを橋渡しするように、第2方向D2に対して所定の幅を有するベルトを配置してもよい。このベルトの外周面は駆動ローラ41の第1外周面S1に密着し、用紙先端が第1接触位置TP1から第2接触位置TP2に確実にガイドされる。
これにより、第1接触位置TP1においてニップされた用紙Pは、第2接触位置TP2とは異なる方向に移動することなく、第2接触位置TP2へと確実に移動できる。その結果、第2接触位置TP2において用紙Pを確実にニップできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、画像形成装置に備わる排紙装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0046】
100 画像形成装置
1 本体部
2 給紙カセット
21 給紙ローラ
3 画像形成部
31 感光体ドラム
32 トナー供給装置
33 定着装置
4 排紙装置
41 駆動ローラ
41−1、41−2、41−3小ローラ
41−4、41−5、41−6小ローラ
42 第1の従動ローラ
43 付勢部材
44 第2の従動ローラ
45a、45bローラ固定部材
5 制御部
6 操作パネル
7 画像読取部
A1 第1軸
A2 第2軸
A3 第3軸
D1 第1方向
D2 第2方向
E 排出口
P 用紙
R1 第1搬送路
R2 第2搬送路
S1 第1外周面
S2 第2外周面
S3 第3外周面
T 排紙トレイ
TP1 第1接触位置
TP2 第2接触位置
図1
図2
図3
図4