【解決手段】物品起立搬送装置1の制御部70は、板状物品2が供給位置Pに供給される前に先行走行体41が上昇軌道部25から往路部22に向かって供給位置Pよりも下流側にまで移動するようにリニアモータ30を制御する先行処理と、板状物品2が供給位置Pに供給された後に後行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方に走行するようにリニアモータ30を制御する後行処理と、を実行する。
前記制御部は、前記後行処理において、前記先行走行体が前記供給位置よりも下流側の位置で停止するように前記リニアモータを制御することを特徴とする請求項1に記載の物品起立装置。
前記制御部は、前記後行処理において、前記先行走行体が前記後行走行体よりも低速で前記往路部に沿って下流側へ走行するように前記リニアモータを制御することを特徴とする請求項1に記載の物品起立装置。
前記制御部は、前記後行処理において、前記先行走行体が前記往路部に沿って上流側へ走行するように前記リニアモータを制御することを特徴とする請求項1に記載の物品起立装置。
前記制御部は、前記後行処理後に前記先行走行体及び前記後行走行体が前記往路部に沿って下流側へ走行するように前記リニアモータを制御する搬送処理を実行することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の物品起立装置。
前記制御部は、前記搬送処理において、前記先行走行体と前記後行走行体の速度が互いに等しくなるように前記リニアモータを制御することを特徴とする請求項5に記載の物品起立装置。
前記制御部は、前記搬送処理において、前記先行走行体が前記後行走行体よりも高速になった後に前記後行走行体が前記先行走行体よりも高速になり、更にその後に前記先行走行体と前記後行走行体の速度が互いに等しくなるように前記リニアモータを制御することを特徴とする請求項5に記載の物品起立装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
1. 物品起立搬送装置の概要
図1は、物品起立搬送装置1の側面図である。
図2〜
図6は、物品起立搬送装置1の上流側部分の斜視図である。
この物品起立搬送装置1の上流側(
図1の左側)には、上流側へ将棋倒し(ドミノ倒し)になった状態の複数の板状物品2(
図2参照)を物品起立搬送装置1に供給する供給装置(図示略)が設けられている。この物品起立搬送装置1は、そのような将棋倒しになった状態の板状物品2を起立させつつ寄せ集め(
図2〜
図6の工程図参照)、それら板状物品2を起立させた状態で
図1の左から右へ纏めて搬送する装置である。将棋倒し状態とは、複数枚の板状物品2が、上流側の板状部材2の上面に、これに隣接する下流側の板状物品2の一部が乗るように配列された状態をいう。板状物品2は、例えばPTP包装体(ブリスタ包装体)、ストリップ包装体、カード、プリント回路基板、板紙、メダル、コイン、硬質なシート又は薄板状食品(例えば、成型ポテトチップス)である。
【0013】
この物品起立搬送装置1は例えばピロー包装機に設けられており、物品起立搬送装置1によって寄せ集められた板状物品2がピロー包装機によって包装される。
【0014】
この物品起立搬送装置1は搬送台10、走行ガイド20、リニアモータ30、駆動カム60、制御部70及び複数の搬送ユニット40を備える。
【0015】
2. 搬送台
図2〜
図6に示すように、搬送台10は、板状物品2が搬送される搬送路となる。この搬送台10の上面には、上流側から下流側へ水平に延在した帯状の凹部11が形成され、凹部11の底にはスリット12が形成されている。
【0016】
凹部11の底面上の所定の位置P(以下、供給位置Pという)に、複数の板状物品2が供給装置によって将棋倒し状態で供給される。スリット12は、この供給位置Pから上流側及び下流側へ延在している。
【0017】
3. 走行ガイド
図1に示すように、この搬送台10の下方には、搬送ユニット40を案内する走行ガイド20が配設されている。
図7〜10は、それぞれ、
図1に示すVII部〜X部の拡大図である。
図1及び
図7〜
図10に示すように、走行ガイド20は、横方向に見て、無端状のオーバル形状(角丸長方形)に形成されたガイドレールである。より具体的には、走行ガイド20は次のように構成されている。
【0018】
走行ガイド20は、直線状に形成された上側の往路部22と、下流側へ凸円弧状に形成された下流側の下降軌道部23と、直線状に形成された下側の復路部24と、上流側へ凸円弧状に形成された上流側の上昇軌道部25と、を有する。
【0019】
往路部22は、搬送台10の下方に配置されているとともに、供給位置Pの下方の位置からスリット12に沿って水平に延びている。上昇軌道部25は、供給位置Pの下方に配置されているともに、往路部22の上流側端部から下方に半円状に延びている。下降軌道部23は、往路部22の下流側端部から下方に半円状に延びている。復路部24は、往路部22の下方において往路部22に対して平行に設けられているとともに、上昇軌道部25と下降軌道部23の下端同士を接続するように設けられている。
【0020】
なお、
図1において、複数の搬送ユニット40が往路部22に沿って等間隔で配列されているが、これら搬送ユニット40の間隔が常に等間隔であるわけではない。
【0021】
4. リニアモータのステータ
図1に示すように、走行ガイド20の内周側には、リニアモータ30のステータ31が走行ガイド20に沿って延在するように取り付けられている。このステータ31は走行ガイド20よりも小さなオーバル形状に形成されており、
図7及び
図10に示すようにステータ31の上側直線部32及び下側直線部34がそれぞれ走行ガイド20の往路部22及び復路部24と平行に配され、
図8及び
図9に示すようにステータ31の円弧部33及び円弧部35がそれぞれ走行ガイド20の下降軌道部23及び上昇軌道部25と同心状に配されている。なお、搬送ユニット40にはリニアモータ30の可動子36(
図12参照)が設けられており、可動子36とステータ31のどちらか一方が電機子(armature)であり、他方が永久磁石等の界磁子(field system)である。
【0022】
5. 搬送ユニット
図11は搬送ユニット40の斜視図であり、
図12は搬送ユニット40の正面図であり、
図13は搬送ユニット40の側面図である。
図11〜
図13に示すように、搬送ユニット40は、走行体41、走行ローラ45,46a,46b,47,48a,48b、回転レバー51、カムフォロワー53及び棒状の揺動部材(押送部材)55等を備える。
【0023】
走行体41は、門形或いはコ字型(U字型)に形作られており、走行ガイド20の外周面を横に跨ぐようにして走行ガイド20に支持されている。詳細には、走行体41は、走行ガイド20の外周面に対向する基部42と、基部42の両側の側端部からそれぞれ走行ガイド20の内側へ延出するとともに走行ガイド20を挟んだ挟み部43,44とを備える。
【0024】
走行体41の挟み部43の内側には、走行ローラ45の回転軸と走行ローラ46a,46bの回転軸が直交するようにしてこれら走行ローラ45,46a,46bが取り付けられており、走行体41の挟み部44の内側にも同様にして、走行ローラ47,48a,48bが取り付けられている。そして、走行ガイド20が断面I字型に形作られており、走行ローラ45,46が走行ガイド20のウエブ部を挟みこむようにしてウエブ部に接触し、走行ローラ46a,48aが走行ガイド20の外周側のフランジ部に接触し、走行ローラ46b,48bが走行ガイド20の内周側のフランジ部に接触し、これにより走行体41が走行ガイド20に支持される。走行ローラ45,46a,46b,47,48a,48bが走行ガイド20に対して転動し、これにより走行体41が走行ガイド20に沿って走行する。この走行体41のオーバル状走行軌跡によって定義される平面は水平面に対して直交する。
【0025】
走行体41が走行ガイド20の外周面を側方から跨ぐようにして設けられているので、走行体41の基部42が走行ガイド20の外側に常に向いた状態で走行体41が走行する。具体的には、走行体41が走行ガイド20の往路部22を水平方向に走行する際には、基部42が常に上方に向いた状態で走行体41が自転せずに平行移動し、走行体41が走行ガイド20の復路部24を水平方向に走行する際には、基部42が常に下方に向いた状態で走行体41が自転せずに平行移動する。また、走行体41が下降軌道部23を旋回走行(公転走行)する際には、走行体41の公転と自転の角速度が等しく、基部42が常に下降軌道部23の径方向外側に向いている。また、走行体41が上昇軌道部25に沿って旋回走行(公転走行)する際には、走行体41の公転と自転の角速度が等しく、基部42が常に上昇軌道部25の径方向外側に向いている。
【0026】
走行体41の側面(詳細には、挟み部43)には、回転レバー51が回転可能に取り付けられている。具体的には、回転レバー51の中間部が走行体41のオーバル状走行軌跡によって定義される平面に対して直交する水平なシャフト52に連結されており、そのシャフト52が走行体41に設けられたベアリング等によって回転可能に支持されている。回転レバー51の一端部がシャフト52からシャフト52の径方向外方に延出し、他端部が一端部の延出方向の反対方向へ延出している。
【0027】
回転レバー51の一端部にはカムフォロワー53が設けられている。回転レバー51の他端部には引張ばね54の一端が連結され、引張ばね54の他端が走行体41の側面(詳細には、挟み部43)に連結されている。
【0028】
回転レバー51の中間部には棒状の揺動部材55の基端部が固定されており、その揺動部材55が回転レバー51の径方向外方へ延出している。この揺動部材55は、回転レバー51とともにシャフト52を中心にして揺動可能に設けられている。以下では、
図13の実線で示すように揺動部材55が走行体41の基部42に対してほぼ垂直に起立した状態を相対的起立状態といい、
図13の二点鎖線で示すように揺動部材55が走行体41の基部42に対して傾倒した状態を相対的傾倒状態という。
【0029】
6. リニアモータの可動子
走行ローラ45,46a,46b,47,48a,48bの下方であって走行体41の内側には、リニアモータ30の可動子36,36が取り付けられている。走行体41が走行ガイド20に支持された状態では、これら可動子36,36の間にステータ31が配置されており、可動子36,36がステータ31に横方向に対向する。このようなリニアモータ30は走行体41を走行ガイド20に沿って推進させる。
【0030】
リニアモータ30による走行体41の走行の向きは、
図1のように横から見た場合、時計回りの向きである。つまり、走行体41は、走行ガイド20の往路部22を右方へ走行し、下降軌道部23を下方へ走行し、復路部24を左方へ走行し、上昇軌道部25を上方へ走行する。なお、走行体41が往路部22を走行する際の走行体41の走行方向によって板状物品2の搬送方向が定義される。
【0031】
7. 駆動カム
回転レバー51及び揺動部材55は駆動カム60によって回転される。この駆動カム60は、走行体41の走行運動を回転レバー51及び揺動部材55の回転運動に変換するものである。この駆動カム60は、外側の無端状帯板67と内側の無端状帯板と68の間にスリット69が形成された溝カムによって構成されている。スリット69には搬送ユニット40のカムフォロワー53が挿入され、走行体41が走行することによってカムフォロワー53が無端状帯板67,68を摺動する。
【0032】
駆動カム60は、走行ガイド20の往路部22に沿って設けられた起立維持カム部62(
図7参照)と、
図1における起立維持カム部62の下流側端部から下方へ走行ガイド20の下降軌道部23に沿って設けられた相対動作カム部63(
図8参照)と、
図1における相対動作カム部63の下端部から上流側へ走行ガイド20の復路部24に沿って設けられた下部カム部64(
図9参照)と、
図1における下部カム部64の上流側端部から起立維持カム部62の上流側端部へ走行ガイド20の上昇軌道部25に沿って設けられた起立動作カム部65(
図10)とを有する。
【0033】
図7に示すように、走行体41が走行ガイド20の往路部22を上流側から下流側へ走行する際には、カムフォロワー53が起立維持カム部62に沿って移動する。これにより、回転レバー51及び揺動部材55が回転せずに、揺動部材55の相対的起立状態が維持される。走行体41が往路部22を走行する際には、走行体41が自転せずに平行移動するので、揺動部材55が水平面に対して垂直に起立して搬送台10のスリット12から上方に突き出た状態が起立維持カム部62によって維持される。
【0034】
図9に示すように、走行体41が走行ガイド20の下降軌道部23の上部を下方へ走行する際には、カムフォロワー53が相対動作カム部63の上部に沿って移動する。これにより、揺動部材55が水平面に対して垂直に起立した状態を維持しつつ、回転レバー51及び揺動部材55が走行体41に対して相対的に回転することによって、揺動部材55が相対的起立状態から相対的傾倒状態に遷移する。この際、走行体41が下降軌道部23に沿って下方へ円運動するともに、走行体41に対する揺動部材55の相対的な回転の向きが走行体41の円運動の逆向きであるので、揺動部材55が水平面に対して垂直に起立した状態が相対動作カム部63によって維持されて、揺動部材55が搬送台10のスリット12に引き込む。揺動部材55の全体が搬送台10のスリット12に引き込んだ後は、走行体41が走行ガイド20の下降軌道部23の下部を下方へ走行するとともに、カムフォロワー53が相対動作カム部63の下部を摺動し、これにより揺動部材55が相対的傾倒状態よりも更に傾倒した後に相対的傾倒状態に戻る。
【0035】
図10に示すように、走行体41が走行ガイド20の復路部24を
図1の右から左へ走行する際には、カムフォロワー53が下部カム部64に沿って移動する。これにより、回転レバー51及び揺動部材55が回転せずに、揺動部材55の相対的傾倒状態が維持される。走行体41が復路部24を走行する際には、走行体41が自転せずに平行移動するので、揺動部材55がシャフト52から水平面に対して斜めに垂下した状態が下部カム部64によって維持される。
【0036】
図8に示すように、走行体41が走行ガイド20の上昇軌道部25を上方へ走行する際には、カムフォロワー53が起立動作カム部65に沿って移動する。これにより、回転レバー51及び揺動部材55が走行体41に対して相対的に回転することによって、揺動部材55が相対的傾倒状態から相対的起立状態に遷移する。この際、走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ円運動するとともに、走行体41に対する揺動部材55の相対的な回転の向きが走行体41の円運動の向きと同じであるので、揺動部材55が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立する。
【0037】
なお、供給装置によって複数の板状物品2が将棋倒し状態で供給される位置Pは、揺動部材55が搬送台10のスリット12から上に突き出る位置である。
【0038】
8. リニアモータ及び制御部
1つの走行体41につき一対の可動子36,36が設けられており、複数の走行体41が互いに独立してリニアモータ30によって駆動される。このリニアモータ30が制御部70(
図1参照)によってシーケンス制御されることによって、走行体41ごとに位置及び走行速度が制御される。制御部70は、例えばプログラマルロジックコントローラ(PLC)等を有する制御回路によって構成される。
【0039】
9. 物品起立搬送装置の動作(第一実施例)
制御部70によるリニアモータ30の制御に基づく搬送ユニット40の動作について説明するとともに、搬送ユニット40の動作による板状物品2の動きについて説明する。
【0040】
初期状態では、複数の走行体41が復路部24に沿って配列した状態で待機するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。ここで、複数の走行体41のうち先頭の走行体41は復路部24と上昇軌道部25の境界部に位置しており、先頭の走行体41に設けられた揺動部材55が搬送台10の下方に位置している。
【0041】
その後、複数の走行体41のうち先頭の走行体41(以下では、この走行体41を先行走行体41といい、先行走行体41の1つ後続の走行体41を後行走行体41という。)が上昇軌道部25に沿って上方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。これにより、先行走行体41に設けられた揺動部材55(以下では、この揺動部材55を先行揺動部材55といい、後行走行体41に設けられた揺動部材55を後行揺動部材55という。)が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立する。
【0042】
先行走行体41が上昇軌道部25を走行している際には、先行走行体41以外の走行体41が
図1のように横から見て時計回りに1個分だけ移動するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0043】
その後、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置(具体的には、往路部22の上流部)にまで移動したら、先行走行体41がその位置で停止して待機するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55が水平面に対して垂直に起立した状態で供給位置Pよりも下流側の位置で停止する。
【0044】
その後、供給装置によって複数の板状物品2が将棋倒しになった状態で供給位置Pに供給される(
図2参照)。なお、複数の板状物品2が立てられた状態で供給位置Pに供給された後、これら板状物品2が供給位置Pで将棋倒しになってもよい。
【0045】
その後、後行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そのため、後行揺動部材55が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立し、これにより板状物品2が後行揺動部材55によって起こされる(
図2〜
図6参照)。この際先行走行体41が停止しているので、後行走行体41が走行すると、後行走行体41及び後行揺動部材55が先行走行体41及び先行揺動部材55に近づく。これにより、板状物品2が寄せ集められる(
図2〜
図6参照)。
【0046】
後行走行体41が上昇軌道部25を走行している際には、先行走行体41及び後行走行体41以外の走行体41が
図1のように横から見て時計回りに1個分だけ移動するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0047】
その後、後行走行体41と先行走行体41の間隔が所定の間隔以下になったら、先行走行体41と後行走行体41が往路部22に沿って下流側へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。この際、先行走行体41と後行走行体41の速度は次の(A)又は(B)のように制御される。
【0048】
(A) 先行走行体41と後行走行体41の速度が互いに等しくなるように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55がこれらの間隔を一定に保った状態で下流側へ移動するので、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2が起立した状態で下流へ搬送される。
【0049】
(B) 後行走行体41の速度が先行走行体41の速度よりも高くした後に先行走行体41と後行走行体41の速度が互いに等しくなるように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55はそれらの間隔が短くなった後に一定に維持された状態で下流側へ移動するので、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2がこれらの間の隙間を詰めて起立した状態で下流へ搬送される。
【0050】
その後、先行走行体41と後行走行体41が往路部22の下流側端部に到達したら、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度で下降軌道部23に沿って下方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55が鉛直に起立した状態で下降して、搬送台10のスリット12に引き込む。そのため、板状物品2が後行揺動部材55によって下流側へ押し倒されるのを抑制できる。
【0051】
その後、先行走行体41及び後行走行体41が、復路部24に配列された走行体41の最後尾の後ろに至るまで走行するように制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0052】
後行走行体41の後続の走行体41についても2個ずつ同様にして走行するので、所定数の板状物品2からなるグループが順次搬送される。
【0053】
10. 物品起立搬送装置の動作(第二実施例)
第一実施例では、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置で停止したのに対して、第二実施例では、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置で停止せずに下流側へ走行する。以下、第二実施例の物品起立搬送装置1の動作について詳細に説明する。
【0054】
第一実施例の場合と同様に、初期状態では、複数の走行体41が復路部24に沿って配列した状態で待機するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0055】
その後、複数の走行体41のうち先頭の先行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ所定の速度Vhigh1で走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。これにより、先行揺動部材55が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立する。
先行走行体41が上昇軌道部25を走行している際には、先行走行体41以外の走行体41が
図1のように横から見て時計回りに1個分だけ移動するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0056】
その後、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置(具体的には、往路部22の上流部)にまで移動したら、供給装置によって複数の板状物品2が将棋倒しになった状態で供給位置Pに供給される。なお、複数の板状物品2が立てられた状態で供給位置Pに供給された後、これら板状物品2が供給位置Pで将棋倒しになってもよい。
【0057】
複数の板状物品2の供給直後に、先行走行体41が所定の速度Vlow(但し、Vlow<Vhigh1)で走行するように、且つ後行走行体41が所定の速度Vhigh2(但し、Vhigh2>Vlow)で走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そのため、先行走行体41が減速して往路部22を走行するとともに、後行走行体41が先行走行体41よりも高速で上昇軌道部25及び往路部22を走行する。よって、後行揺動部材55が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立するとともに、後行揺動部材55が先行揺動部材55に近づく。これにより、複数の板状物品2が立てられつつ、寄せ集められる。なお、速度Vhigh2は速度Vhigh1に等しくてもよいし、速度Vhigh1よりも高く又は低くてもよい。
【0058】
後行走行体41が上昇軌道部25を走行している際には、先行走行体41及び後行走行体41以外の走行体41が
図1のように横から見て時計回りに1個分だけ移動するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0059】
その後、後行走行体41と先行走行体41の間隔が所定の間隔以下になったら、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度(例えば、速度Vlow)で往路部22に沿って下流へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55がこれらの間隔を一定に保った状態で下流側へ移動し、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2が起立した状態で下流へ搬送される。
【0060】
その後、先行走行体41と後行走行体41が往路部22の下流側端部に到達したら、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度(例えば、速度Vlow)で下降軌道部23に沿って下方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55が鉛直に起立した状態で下降して、搬送台10のスリット12に引き込む。
【0061】
その後、先行走行体41及び後行走行体41が、復路部24に配列された走行体41の最後尾の後ろに至るまで走行するように制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0062】
後行走行体41の後続の走行体41についても2個ずつ同様にして走行するので、所定数の板状物品2からなるグループが順次搬送される。
【0063】
11. 物品起立搬送装置の動作(第三実施例)
第一実施例では、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置で停止したのに対して、第三実施例では、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置で停止せずに上流側へ逆送する。以下、第二実施例の物品起立搬送装置1の動作について詳細に説明する。
【0064】
第一実施例の場合と同様に、初期状態では、複数の走行体41が復路部24に沿って配列した状態で待機するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0065】
その後、複数の走行体41のうち先頭の先行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。これにより、先行揺動部材55が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立する。
先行走行体41が上昇軌道部25を走行している際には、先行走行体41以外の走行体41が
図1のように横から見て時計回りに1個分だけ移動するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0066】
その後、先行走行体41が供給位置Pよりも下流側の位置(具体的には、往路部22の上流部)にまで移動したら、供給装置によって複数の板状物品2が将棋倒しになった状態で供給位置Pに供給される。なお、複数の板状物品2が立てられた状態で供給位置Pに供給された後、これら板状物品2が供給位置Pで将棋倒しになってもよい。
【0067】
複数の板状物品2の供給直後に、先行走行体41が往路部22に沿って下流側へ逆送するように、且つ後行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。よって、後行揺動部材55が搬送台10のスリット12から振り上げられて起立するとともに、後行揺動部材55と先行揺動部材55が互いに近づいてこれらの間隔が狭くなる。これにより、複数の板状物品2が立てられつつ、寄せ集められる。
【0068】
後行走行体41が上昇軌道部25を走行している際には、先行走行体41及び後行走行体41以外の走行体41が
図1のように横から見て時計回りに1個分だけ移動するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0069】
その後、後行走行体41と先行走行体41の間隔が所定の間隔以下になったら、先行走行体41と後行走行体41が往路部22に沿って下流側へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。この際、先行走行体41と後行走行体41の速度は次の(A)又は(B)のように制御される。
【0070】
(A) 先行走行体41と後行走行体41の速度が互いに等しくなるように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55がこれらの間隔を一定に保った状態で下流側へ移動するので、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2が起立した状態で下流へ搬送される。
【0071】
(B) 後行走行体41の速度が先行走行体41の速度よりも高くした後に先行走行体41と後行走行体41の速度が互いに等しくなるように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55はそれらの間隔が短くなった後に一定に維持された状態で下流側へ移動するので、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2がこれらの間の隙間を詰めて起立した状態で下流へ搬送される。
【0072】
その後、先行走行体41と後行走行体41が往路部22の下流側端部に到達したら、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度で下降軌道部23に沿って下方へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55が鉛直に起立した状態で下降して、搬送台10のスリット12に引き込む。
【0073】
その後、先行走行体41及び後行走行体41が、復路部24に配列された走行体41の最後尾の後ろに至るまで走行するように制御部70がリニアモータ30を制御する。
【0074】
後行走行体41の後続の走行体41についても2個ずつ同様にして走行するので、所定数の板状物品2からなるグループが順次搬送される。
【0075】
12. 効果
以上の実施形態は次のような効果を奏する。
【0076】
(1) 先行揺動部材55が供給位置Pよりも上流側の位置にまで移動した後に、板状物品2が供給装置によって供給位置Pに供給されるので、それら板状物品2が先行揺動部材55に干渉するのを防止できる。
【0077】
(2) 板状物品2が供給装置によって供給位置Pに供給された後に、上昇軌道部25に沿った後行走行体41の上方への走行によって、後行揺動部材55が水平面に対して倒れた状態から起立した状態に振り上げられるので、供給位置Pに倒れた板状物品2が後行揺動部材55によって起こされる。この際、後行揺動部材55が先行揺動部材55に近づくので、これら板状物品2が寄せ集められる。更に、板状物品2が倒れた状態で搬送されるのを防止できる。
【0078】
(3) 板状物品2が寄せ集められた後、先行走行体41と後行走行体41が往路部22に沿って下流側へ走行するので、これら板状物品2を起立させた状態で搬送することができる。
【0079】
(4) 走行体41が下降軌道部23に沿って円運動をする際には、相対動作カム部63によって揺動部材55が走行体41に対して相対的に起立状態から傾倒状態に揺動するが、その際の揺動部材55の揺動の向きが走行体41の円運動の向きの反対であるので、揺動部材55が水平面に対して垂直に起立した状態が維持される。よって、搬送された板状物品2が揺動部材55によって下流側へ押し出されることを防止できる。
【0080】
13. 変更例
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0081】
(1) 上記実施形態では、走行体41が復路部24を走行する際には、下部カム部64によって揺動部材55が相対的傾倒状態に維持され、走行体41が上昇軌道部25を走行する際には、起立動作カム部65によって揺動部材55が相対的傾倒状態から相対的起立状態に揺動した。それに対して、走行体41が復路部24を走行する際には、下部カム部64によって揺動部材55が相対的傾倒状態から相対的起立状態に揺動し、走行体41が上昇軌道部25を走行する際には、起立動作カム部65によって揺動部材55が相対的起立状態に維持されてもよい。この場合でも、走行体41が上昇軌道部25によって円軌道を描いて上昇するので、揺動部材55が起立動作カム部65によって水平面に対して上流側へ倒れた状態から起立した状態に振り上げられる。そのため、供給位置Pに供給された板状物品2がその揺動部材55によって起こされる。
【0082】
(2) 上記実施形態の第二実施例では、先行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ速度Vhigh1で走行するのに対して、先行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ速度Vlowで走行してもよい。
【0083】
(3) 上記実施形態の第一実施例〜第三実施例において、後行走行体41が上昇軌道部25に沿って上方へ走行することによって、後行揺動部材55と先行揺動部材55との間隔が狭くなった後(複数の板状物品2が立てられつつ、寄せ集められた後)、先行走行体41及び後行走行体41が以下のようにして往路部22を走行してもよい。
【0084】
具体的には、後行揺動部材55と先行揺動部材55との間隔が狭くなっている時に(複数の板状物品2が立てられつつ、寄せ集められている時に)後行走行体41と先行走行体41の間隔が所定の間隔以下になったら、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度で往路部22に沿って下流へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55がこれらの間隔を一定に保った状態で下流側へ移動し、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2が起立した状態で下流へ搬送される。
【0085】
そして、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度で一定距離だけ走行したら、先行走行体41が後行走行体41よりも高速で先行走行体41及び後行走行体41が往路部22に沿って下流へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55の間隔が広がるので、先行揺動部材55及び後行揺動部材55との間の板状物品2のうち上にずれた板状物品2が下にずれ落ちて、先行揺動部材55及び後行揺動部材55との間の板状物品2は下端同士や上端同士が揃う。ここで、
図14に示すように、押え部材80が供給位置Pよりも下流側の位置で搬送台10の上方に配置されており、先行走行体41が後行走行体41よりも高速になっている時には、先行揺動部材55、後行揺動部材55及び板状物品2がこの押え部材80の下を通過する。この際に、上にずれた板状物品2が押え部材80によって上から押さえられるので、先行揺動部材55及び後行揺動部材55との間の板状物品2は下端同士や上端同士が揃いやすい。押え部材80は直動駆動部(エアシリンダ、電磁シリンダ、リニアモータ)等によって昇降されるが、先行揺動部材55、後行揺動部材55及び板状物品2がこの押え部材80の下を通過するのに同期して、押さえ部材80が直動駆動部によって下降される。なお、押え部材80が供給位置Pよりも下流側の位置で搬送台10の上方の位置に固定されていてもよい。
【0086】
そして、先行走行体41と後行走行体41が一定距離だけ走行したら(先行走行体41と後行走行体41の両方が押さえ部材80よりも下流側にまで移動したら)、後行走行体41が先行走行体41よりも高速で先行走行体41及び後行走行体41が往路部22に沿って下流へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。そうすると、先行揺動部材55及び後行揺動部材55はそれらの間隔が短くなるので、先行揺動部材55と後行揺動部材55との間に挟まれた板状物品2がこれらの間の隙間を詰めて起立した状態で下流へ搬送される。
【0087】
そして、先行走行体41と後行走行体41が一定距離だけ走行したら(後行走行体41と先行走行体41の間隔が所定の間隔以下になったら)、先行走行体41と後行走行体41が互いに等しい速度で往路部22に沿って下流へ走行するように、制御部70がリニアモータ30を制御する。その後、上述の第一実施例〜第三実施例の説明の通り、先行走行体41と後行走行体41が下降軌道部23に沿って下方へ走行する。