【解決手段】自動ワインダは、ワインダユニットと、ワインダユニットの動作を制御するユニット制御部と、ロットチェンジの開始命令を受け付ける機台制御部と、給糸ボビンを供給すると共に糸巻取ユニットにおいて使用された給糸ボビンを排出するボビン搬送部と、を備え、機台制御部は、ロットチェンジの開始命令を受け付けると、給糸ボビンの排出準備をするようにワインダユニットを制御し、給糸ボビンの排出準備の完了後、ボビン搬送部の搬送路上にある全ての給糸ボビンを排出するようにボビン搬送部を制御する。
前記機台制御部は、前記ロットチェンジの開始命令を受け付けた後に巻取動作が行われている前記パッケージが満管状態になった糸巻取ユニットに対して、順次前記第1制御を実行する、請求項1〜3の何れか一項記載の自動ワインダ。
前記機台制御部は、予め設定された前記糸巻取ユニットの前記パッケージが満管状態になった時点を、前記給糸ボビンの排出準備の完了とし、前記第2制御を実行する、請求項4記載の自動ワインダ。
前記一方向に沿って移動可能であり、前記糸巻取ユニットにおいて満管になった前記パッケージを取り外すパッケージ取外動作と、前記糸を巻き付けるための芯管を前記糸巻取ユニットに装着しつつ、前記給糸ボビンの糸を前記芯管に配置する糸掛動作と、を実行する玉揚台車を、さらに備え、
前記機台制御部は、前記第1制御が完了すると、前記取外動作及び前記糸掛動作のうち、前記取外動作のみを前記玉揚台車に実行させる第4制御を実行する、請求項1〜6の何れか一項記載の自動ワインダ。
前記機台制御部は、前記ボビン搬送部の搬送路上に前記給糸ボビンが無い状態において前記糸巻取ユニットに前記給糸ボビンを供給する給糸ボビン取込の開始命令を受け付け可能であり、
前記機台制御部は、前記給糸ボビン取込の開始命令を受け付けると、
前記糸巻取ユニットに前記給糸ボビンを供給するように前記ボビン搬送部を制御する第5制御と、
前記給糸ボビンが取り込まれた前記糸巻取ユニットの前記給糸ボビンに対して糸掛動作を実行するように前記玉揚台車を制御し、当該糸巻取ユニットにおける巻取動作を可能にする第6制御と、
を実行する、請求項7記載の自動ワインダ。
前記ボビン搬送部は、前記ボビン搬送部の搬送路上に前記給糸ボビンを供給する給糸ボビン供給部と、前記給糸ボビン供給部から供給される前記給糸ボビンを搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部から分岐して前記糸巻取ユニットにおいて前記給糸ボビンを支持する支持部に向かって延びると共に、所定個数の前記給糸ボビンを貯留可能な第2搬送部と、前記給糸ボビンが前記第1搬送部から前記第2搬送部に流入することを規制する規制部と、を有しており、
前記機台制御部は、前記第5制御において、最初に、予め設定された複数の前記第2搬送部のそれぞれに前記給糸ボビンを一個ずつ流入するように前記規制部を制御する第7制御を実行する、請求項8〜10の何れか一項記載の自動ワインダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロットチェンジが行われる場合には、全ての巻取ユニットにおいて現在巻取り中のパッケージを新ロットの糸を巻き取り可能なボビンに交換したり、搬送路又は巻取ユニットの給糸部において余っている旧ロットの給糸ボビンを取り除いたり、ロットチェンジのタイミングを監視したりするなど、多くの作業が発生する。このような作業は、自動ワインダを監視するオペレータによって行われており、オペレータにとって作業負担となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、オペレータの作業負担を軽減することができる自動ワインダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動ワインダは、一方向に配列され、ボビンに糸が巻き付けられた給糸ボビンから糸を解舒してパッケージを形成する複数の糸巻取ユニットと、糸巻取ユニットのそれぞれに設けられ、糸巻取ユニットの動作を制御するユニット制御部と、糸巻取ユニットの処理する給糸ボビンを、旧ロットから新ロットへ置き換えるロットチェンジの開始命令を受け付ける機台制御部と、糸巻取ユニットに給糸ボビンを供給すると共に、糸巻取ユニットにおいて使用された給糸ボビンを糸巻取ユニットから排出するボビン搬送部と、を備え、機台制御部は、ロットチェンジの開始命令を受け付けると、給糸ボビンの排出準備をするように糸巻取ユニットを制御する第1制御と、給糸ボビンの排出準備の完了後、ボビン搬送部の搬送路上にある全ての給糸ボビンを排出するようにボビン搬送部を制御する第2制御と、を実行する。
【0007】
この構成の自動ワインダでは、機台制御部においてロットチェンジの開始命令を受け付けると、糸巻取ユニットにおける巻取動作が停止されると共に、糸巻取ユニットにおいて巻取動作中の給糸ボビンを含め、ボビン搬送部の搬送路上にある全ての給糸ボビンがボビン除去部まで搬送され、当該ボビン除去部によって給糸ボビンが取り除かれる。これにより、オペレータは、機台制御部からロット開始命令を入力するだけで、搬送路から給糸ボビンの全てを取り除くことができる。この結果、ロットチェンジの際のオペレータの負担を軽減することが可能になる。なお、ここでいう「給糸ボビン」には、糸巻取ユニットにおいて使用された給糸ボビンである処理後ボビンも含まれる。
【0008】
本発明の自動ワインダでは、第2制御は、給糸ボビンの排出準備の完了後、自動的に実行されてもよい。
【0009】
本発明の自動ワインダでは、ボビン搬送部によって搬送されてくる給糸ボビンを取り除くボビン除去部をさらに備え、ボビン搬送部によって搬送されてくる給糸ボビンを取り除くように前記ボビン除去部を制御する第3制御、をさらに実行してもよい。
【0010】
この構成の自動ワインダでは、機台制御部においてロットチェンジの開始命令を受け付けると、糸巻取ユニットにおける巻取動作が停止されると共に、糸巻取ユニットにおいて巻取動作中の給糸ボビンを含め、ボビン搬送部の搬送路上にある全ての給糸ボビンがボビン除去部まで搬送され、当該ボビン除去部によって給糸ボビンが取り除かれる。これにより、オペレータは、機台制御部からロット開始命令を入力するだけで、搬送路から給糸ボビンの全てを取り除くことができる。
【0011】
本発明の自動ワインダでは、機台制御部は、ロットチェンジの開始命令を受け付けた後に、巻取動作が行われているパッケージが満管状態になった糸巻取ユニットに対して、順次第1制御を実行してもよい。
【0012】
この構成の自動ワインダでは、当該パッケージが満管状態になった後、糸巻取ユニットに対して順次第1制御を実行するので、ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージについては満管状態のパッケージとして排出することができる。これにより、製品として使用できないパッケージの数を減らすことができる。
【0013】
本発明の自動ワインダでは、機台制御部は、予め設定された糸巻取ユニットのパッケージが満管状態になった時点を、給糸ボビンの排出準備の完了とし、第2制御を実行してもよい。
【0014】
この構成の自動ワインダでは、ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージが満管状態になったら、すぐに給糸ボビンを排出するのではなく、予め設定された糸巻取ユニットにおける全てのパッケージが満管状態になったタイミングで給糸ボビンを排出している。これにより、一斉に給糸ボビンを排出させることができる。従来はオペレータが上記の全てのパッケージが満管状態になったタイミングに応じて各糸巻取ユニットに設けられたスイッチをそれぞれのユニットで操作することにより給糸ボビンを排出させていた。本発明では機台制御部の制御によって、一斉に給糸ボビンを排出させることができるので上記従来の操作に比べオペレータの作業負荷を大幅に削減することができる。
【0015】
本発明の自動ワインダでは、機台制御部は、ロットチェンジを開始させるまでに満管状態にすべきパッケージの個数を受け付け可能であり、機台制御部は、個数を受け付けると、糸巻取ユニットにおいて満管状態になるパッケージの数をカウントし、カウントされる当該パッケージの数が上記個数に到達した時点で、第1制御を実行してもよい。
【0016】
この構成の自動ワインダでは、ロットチェンジの開始命令を受け付けた際にすぐにロットチェンジが開始されるのではなく、機台制御部に入力された満管状態にすべきパッケージの個数が形成された後に、ロットチェンジが開始される。これにより、例えば、パッケージがあと10個形成した後、自動的にロットチェンジを開始させるなど、より柔軟なロットチェンジ開始の予約が可能になる。
【0017】
本発明の自動ワインダでは、一方向に沿って移動可能であり、糸巻取ユニットにおいて満管になったパッケージを取り外すパッケージ取外動作と、糸を巻き付けるための芯管を糸巻取ユニットに装着しつつ、給糸ボビンの糸を芯管に配置する糸掛動作と、を実行する玉揚台車を、さらに備え、機台制御部は、第1制御が完了すると、取外動作及び糸掛動作のうち、取外動作のみを玉揚台車に実行させる第4制御を実行してもよい。
【0018】
この構成の自動ワインダでは、ロットチェンジの際にユニット制御部により呼び出される玉揚台車は、取外動作のみを実行して、糸掛動作を実行しないので、すぐに旧ロットの給糸ボビンを排出できる状態とすることができる。
【0019】
本発明の自動ワインダでは、機台制御部は、ボビン搬送部の搬送路上に給糸ボビンが無い状態において糸巻取ユニットに給糸ボビンを供給する給糸ボビン取込の開始命令を受け付け可能であり、機台制御部は、給糸ボビン取込の開始命令を受け付けると、糸巻取ユニットに給糸ボビンを供給するようにボビン搬送部を制御する第5制御と、給糸ボビンが取り込まれた糸巻取ユニットの給糸ボビンに対して糸掛動作を実行するように玉揚台車を制御し、当該糸巻取ユニットにおける巻取動作を可能にする第6制御と、を実行してもよい。
【0020】
本発明の自動ワインダでは、一方向に配列されると共に、ボビンに糸が巻き付けられた給糸ボビンから糸を解舒してパッケージを形成する複数の糸巻取ユニットと、糸巻取ユニットのそれぞれに設けられ、糸巻取ユニットの動作を制御するユニット制御部と、一方向に沿って移動可能であり、糸巻取ユニットにおいて満管になったパッケージを取り外すパッケージ取外動作と、糸を巻き付けるための芯管を装着しつつ、給糸ボビンの糸を芯管に配置する糸掛動作と、を実行する玉揚台車と、糸巻取ユニットに給糸ボビンを供給すると共に、糸巻取ユニットにおいて使用された給糸ボビンを糸巻取ユニットから排出するボビン搬送部と、ボビン搬送部の搬送路上に給糸ボビンが無い状態において糸巻取ユニットに給糸ボビンを供給する給糸ボビン取込の開始命令を受け付ける機台制御部と、を備え、機台制御部は、給糸ボビン取込の開始命令を受け付けると、糸巻取ユニットに給糸ボビンを供給するようにボビン搬送部を制御する第5制御と、給糸ボビンが取り込まれた糸巻取ユニットの給糸ボビンに対して糸掛動作を実行するように玉揚台車を制御し、当該糸巻取ユニットにおける巻取動作を可能にする第6制御と、を実行する。
【0021】
これらの構成の自動ワインダでは、機台制御部において給糸ボビン取り込みの開始を受け付けると、ボビン搬送部は、巻取ユニットに給糸ボビンを供給し、玉揚台車は、給糸ボビンが取り込まれた巻取ユニットに対して糸掛動作を実行して当該巻取ユニットにおける巻取動作を可能にする。これにより、オペレータは、機台制御部から給糸ボビン取り込みの開始を入力するだけで、自動的に糸巻取ユニットにおける巻取動作を開始させることができる。これにより、給糸ボビン取り込みの際のオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0022】
本発明の自動ワインダでは、機台制御部は、給糸ボビンの取り込みが完了した後の、糸巻取ユニットにおける巻取動作の開始を受け付け可能であり、機台制御部は、予め設定された糸巻取ユニットにおいて給糸ボビンの取り込み完了した後、巻取動作の開始を受け付けることにより第6制御を実行してもよい。
【0023】
この構成の自動ワインダでは、予め設定された全ての糸巻取ユニットにおいて給糸ボビンが取り込まれた後に、オペレータの指示によって玉揚台車による糸掛動作を開始させることが可能になる。これにより、糸巻取ユニットにおける巻取動作の詳細な設定を確認した後に糸掛動作を開始させるなど、オペレータにとって最適なタイミングで巻取動作を開始させることが可能になる。
【0024】
本発明の自動ワインダでは、ボビン搬送部は、ボビン搬送部の搬送路上に給糸ボビンを供給する給糸ボビン供給部と、給糸ボビン供給部から供給される給糸ボビンを搬送する第1搬送部と、第1搬送部から分岐して糸巻取ユニットにおいて給糸ボビンを支持する支持部に向かって延びると共に、所定個数の給糸ボビンを貯留可能な第2搬送部と、給糸ボビンが第1搬送部から第2搬送部に流入することを規制する規制部と、を有しており、機台制御部は、第5制御において、最初に、予め設定された複数の第2搬送部のそれぞれに給糸ボビンを一個ずつ流入するように規制部を制御する第7制御を実行してもよい。
【0025】
この構成の自動ワインダでは、ボビン搬送部に給糸ボビンが一つもない状態において給糸ボビンを糸巻取ユニットに供給する際、最初に、予め設定された複数の第2搬送部のそれぞれに給糸ボビンが一個ずつ流入するように規制部を制御する。これにより、糸巻取ユニットにおいてパッケージを形成するために必要な給糸ボビンを、予め設定された全ての糸巻取ユニットに早期に供給することが可能になる。これにより、パッケージの生産効率を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、オペレータの作業負担を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して一実施形態の自動ワインダ1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0029】
図1及び
図2に示されるように、自動ワインダ1は、エンドフレーム20と、複数(例えば24個)のワインダユニット(糸巻取ユニット)30と、玉揚台車45と、精紡機等の前工程において形成された給糸ボビン11(ボビン12に所定量の糸14が巻き付けられた状態)(
図5(c)参照)及び給糸ボビン11から一部又は全部の糸14が引き出された処理後ボビン13(ワインダユニット30において使用された給糸ボビン11)(以後、「空ボビン13」と称する)(
図5(b)参照)を移送するボビン移送装置5と、を備えている。
【0030】
エンドフレーム20は、ディスプレイ等の表示部21と、入力キー等の操作部22と、自動ワインダ1の動作を制御する機台制御部23と、を有している。表示部21は、各ワインダユニット30の運転状況等を表示する。操作部22は、オペレータが各ワインダユニット30の運転条件の設定等を行う。
【0031】
機台制御部23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。
図3に示されるように、機台制御部23は、自動ワインダ1における各種制御処理を実行する。このような各種制御処理は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されることにより行われる。本実施形態では、機台制御部23によって実行されるロットチェンジ制御及び給糸ボビン取込制御に一つの特徴がある。
【0032】
次に、機台制御部23が実行するロットチェンジ制御について説明する。操作部22では、ワインダユニット30が形成するパッケージ15を旧ロットから新ロットへ変更するロットチェンジの開始命令と、ロットチェンジを開始させるまでに満管状態にすべきパッケージ15の個数(以下「指定個数」とも称する。)と、を受け付け可能である。
【0033】
機台制御部23は、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けると、給糸ボビン11の排出準備をするようにワインダユニット30を制御する第1制御と、給糸ボビン11の排出準備の完了後、ボビン搬送部60の搬送路上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11を排出するようにボビン搬送部60を制御する第2制御と、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13及び給糸ボビン11を取り除くようにボビン抜取装置(ボビン除去部)55を制御する第3制御と、を実行する。
【0034】
ここで、給糸ボビン11の排出準備とは、巻取動作中のワインダユニット30の動作を停止させ、給糸ボビン11とパッケージ15との間を繋ぐ糸14を切断し、給糸ボビン11をワインダユニット30の給糸ボビン支持部37からすぐに排出できる状態にすることをいう。また、ここでボビン搬送部60を制御するとは、後述する第1搬送部61〜第5搬送部65においてトレー9を搬送させるための駆動部、例えば、コンベヤ駆動装置、ターンテーブル駆動装置、ベルト駆動装置などを制御することをいう。
【0035】
本実施形態の機台制御部23は、操作部22において、ロットチェンジ開始命令が入力されると同時に、ロットチェンジを開始させるまでに満管状態にすべきパッケージ15の個数(例えば、10個)が入力されると、ワインダユニット30において満管状態になったパッケージ15の数のカウントを開始する。そして、カウントされる当該パッケージ15の数が個数(例えば、10個)に到達した時点で、上記第1制御を実行する。言い換えれば、操作部22において、ロットチェンジ開始命令が入力されてから、自動ワインダ1全体で指定個数(例えば、10個)のパッケージ15が完成されるまでは、ロットチェンジ制御が実行されない。
【0036】
また、本実施形態の機台制御部23は、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けると、当該ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージ15が満管状態になった後、給糸ボビン11の排出準備をするようにワインダユニット30を制御する。言い換えれば、機台制御部23は、ロットチェンジの開始命令を受け付けても、当該ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージ15が満管状態になるまでは、給糸ボビン11の排出準備をさせない。
【0037】
また、本実施形態の機台制御部23は、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けると、全てのワインダユニット(予め設定された糸巻取ユニット)30のパッケージ15が全て満管状態になった時点を、前記給糸ボビンの排出準備の完了とし、ボビン搬送部60の搬送路上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11を排出するようにボビン搬送部60を制御する。言い換えれば、個々のワインダユニット30のパッケージ15が満管状態となって排出準備が整ったとしても、全てのワインダユニット30のパッケージ15が満管状態になるまでは、空ボビン13及び給糸ボビン11は排出されない。
【0038】
また、機台制御部23は、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けた後は、給糸ボビン11の排出準備が完了したワインダユニット30に対して取外動作のみを玉揚台車45に実行させ、糸掛動作を玉揚台車45に実行させない第4制御を実行する。なお、玉揚台車45は、通常、ワインダユニット30に対して取外動作と糸掛動作との両方を実行する。
【0039】
次に、機台制御部23が実行する給糸ボビン取込制御について説明する。本実施形態の操作部22では、新ロットの給糸ボビン11の取込開始命令を受け付け可能である。機台制御部23は、操作部22において取込開始命令を受け付けると、ワインダユニット30に給糸ボビン11を供給するようにボビン搬送部60を制御する第5制御と、給糸ボビン11が取り込まれたワインダユニット30の給糸ボビン11に対して糸掛動作を実行するように玉揚台車45を制御し、当該ワインダユニット30における巻取動作を可能にする第6制御と、を実行する。
【0040】
また、機台制御部23は、各ワインダユニット30に給糸ボビン11を供給するようにボビン搬送部60を制御する第5制御において、最初に、全ての第2搬送部(予め設定された複数の第2搬送部)62のそれぞれに給糸ボビン11を一個ずつ流入するように接触レバー部材(規制部)84を制御する第7制御を実行する。
【0041】
次にワインダユニット30について説明する。ワインダユニット30は、
図1に示されるように、一方向に配列されると共に、
図4に示されるように、空ボビン13に糸14が巻き付けられた給糸ボビン11から糸14を解舒してパッケージ15を形成する。ワインダユニット30は、巻取装置31と、テンション付与装置32と、糸監視装置33と、上糸捕捉装置34と、下糸捕捉装置35と、糸継装置36と、ユニット制御部40と、を有している。
【0042】
巻取装置31は、クレードル31aと、巻取ドラム31bと、を有している。クレードル31aは、パッケージ15を支持する。巻取ドラム31bは、糸14をトラバースさせつつパッケージ15を回転させる。これにより、所定の位置にセットされた給糸ボビン11から糸14が巻き取られてパッケージ15が形成される。テンション付与装置32は、給糸ボビン11からパッケージ15に走行する糸14に所定のテンションを付与する。
【0043】
糸監視装置33は、糸欠陥(糸14の太さ異常、糸14への異物の混入等)を検出するために、走行する糸14を監視する。糸欠陥が検出された場合には、別途設けられたカッタによって糸14が切断される。上糸捕捉装置34は、糸14が切断された場合に、パッケージ15側の糸14の糸端を捕捉して糸継装置36に案内する。下糸捕捉装置35は、糸14が切断された場合に、給糸ボビン11側の糸14の糸端を捕捉して糸継装置36に案内する。糸継装置36は、上糸捕捉装置34及び下糸捕捉装置35によって案内された糸端同士を繋ぐ。
【0044】
ユニット制御部40は、CPU、ROM、RAMなどで構成される。
図3に示されるように、ユニット制御部40は、ワインダユニット30における各種制御処理を実行する。このような各種制御処理は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されることにより行われる。また、機台制御部23によって実行されるロットチェンジ制御及び給糸ボビン取込制御において、機台制御部23がワインダユニット30における各部を制御する場合には、当該ユニット制御部40を介してワインダユニット30の制御が実行される。
【0045】
玉揚台車45は、ワインダユニット30の配列方向(一方向)に沿って移動可能であり、ワインダユニット30において満管になったパッケージ15を取り外すパッケージ取外動作、糸14を巻き付けるための芯管15Aを装着しつつ、給糸ボビン11の糸14を芯管15Aとクレードル31aの間に挟み込む(給糸ボビンの糸を芯管に配置する)糸掛動作と、を実行する。
【0046】
玉揚台車45は、通常、ユニット制御部40から満管通知が通知されると、当該満管通知を通知したワインダユニット30の配置位置に移動して、前述の取外動作と糸掛動作とを実行する。これに対し、機台制御部23が実行するロットチェンジ制御においては、玉揚台車45は、ワインダユニット30に対して取外動作のみを実行して、糸掛動作を実行しない。また、機台制御部23が実行する給糸ボビン取込制御においては、玉揚台車45は、ワインダユニット30に対して糸掛動作を実行し、当該ワインダユニット30における巻取動作を可能にする。
【0047】
次に、ボビン移送装置5について説明する。
図5(a)〜(c)に示されるように、ボビン移送装置5は、給糸ボビン11及び空ボビン13について、それぞれ、トレー9に装着させた状態で移送する。トレー9は、円板状のベース部91と、ベース部91から上側に突出する突出部92と、突出部92からさらに上側に突出するピン93と、を有している。給糸ボビン11及び空ボビン13は、それぞれ、ボビン12のボトム部12aにピン93が差し込まれることで、ボビン12のトップ部12bが上側に向いた状態でトレー9に装着される。
【0048】
ボビン移送装置5は、給糸ボビン11及び空ボビン13が装着されるトレー9を搬送することにより、ワインダユニット30に給糸ボビン11を供給すると共に、ワインダユニット30から空ボビン13を排出する。ボビン移送装置5は、ボビン搬送部60と、ボビン供給装置(給糸ボビン供給部)51と、口出し装置53と、ボビン抜取装置55と、を備えている。ボビン供給装置51、口出し装置53、及びボビン抜取装置55は、第4搬送部64の搬送路に沿って配置されている。また、ボビン移送装置5には、ワインダユニット30から排出されたボビン12に糸が残っている場合に、その糸を除去して糸14が無いボビン12にする糸除去装置が備えられていてもよい。
【0049】
ボビン搬送部60は、給糸ボビン11の搬送路である第1搬送部61と、第1搬送部61から分岐する複数の第2搬送部62と、複数の第2搬送部62の下流側に設けられる空ボビン13の搬送路である第3搬送部63と、第1搬送部61と第3搬送部63とを接続して周回経路を形成する第4搬送部64と、第4搬送部64において後述する口出し装置53の下流側から分岐し、ボビン抜取装置55の上流側に合流する第5搬送部65と、を備えている。
【0050】
第1搬送部61には、第2搬送部62に給糸ボビン11が満たされている場合に、給糸ボビン11を一時貯留するための待機ループ61Aが接続されている。第1搬送部61及び第2搬送部の構成については、後段にて詳述する。第3搬送部63は、搬送路に沿ってトレー9を移送するためのコンベヤ、コンベヤ駆動装置、及び経路規定プレート等から構成される。第4搬送部64及び第5搬送部65は、これらの搬送路に沿ってトレー9を移送するための丸ベルト、ベルト駆動装置、プーリ、及び経路規定プレート等から構成される。
【0051】
ボビン供給装置51は、精紡機等、前工程において形成された給糸ボビン11をボビン移送装置5の搬送路上に供給する。すなわち、ボビン供給装置51は、第4搬送部64を搬送されるトレー9に対し給糸ボビン11を装着する。
【0052】
口出し装置53は、自動ワインダ2の各ワインダユニット30において給糸ボビン11の糸14を捕捉し易くするため、給糸ボビン11に対して吸引流を作用させ、給糸ボビン11の表面から糸14を解舒する。ボビン移送装置5の口出し装置53には、給糸ボビン11においてバンチ巻き部分をカットして糸端を形成するロータリカッタ53Aと、上記糸端を抽出するサーチャ53Bと、糸端の一部を解舒し、解除した糸端を筒状のボビン12の内部に挿入する糸端準備装置53Cと、を有している。
【0053】
ボビン抜取装置55は、ボビン移送装置5によって搬送されてくる空ボビン13を回収する。すなわち、ボビン抜取装置55は、トレー9に装着された状態で第4搬送部64を搬送されてくる空ボビン13を、トレー9から抜き取る。また、ボビン抜取装置55の上流側には、ボビン12に糸14が巻かれているか否か、すなわちトレー9の装着されたボビン12が空ボビン13であるか否かを判別する判別装置55Aが配置されている。ここで、ボビン抜取装置に55には、ワインダユニット30から排出されてくる空ボビン13と、口出し装置53における口出し処理の失敗後、第5搬送部65を経由して搬送されてくる給糸ボビン11と、が搬送されてくる。ボビン抜取装置55は、判別装置55Aによる判別結果が空ボビン13である場合にのみ、トレー9から空ボビン13を抜き取る。
【0054】
このように、ボビン抜取装置55は、通常、ボビン移送装置5によって搬送されてくる空ボビン13(少しだけ糸14が残っているボビン12を含む)のみを回収し、糸が十分に巻かれている給糸ボビン11は回収しない。これに対し、機台制御部23が実行するロットチェンジ制御においては、ボビン抜取装置55は、空ボビン13及び給糸ボビン11の両方を回収する。
【0055】
次に、第1搬送部61から第2搬送部62が分岐する箇所の近傍に配置される部材について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6及び
図7に示されるように、自動ワインダ2(ワインダユニット30)は、ガイド板71〜74と、コンベア75と、ターンテーブル76と、搬送ガイド77と、を備える。
【0056】
ガイド板71〜74は、第1搬送部61及び第2搬送部62を形成しており、トレー9をガイドする。ガイド板71〜74は、トレー9の突出部92に接触してトレー9の移動を規制することでトレー9を案内する。
【0057】
ガイド板71は、第1搬送部61の奥側(ワインダユニット30の反対側)を形成する。ガイド板71には、第2搬送部62との接続箇所の近傍(詳細には直上流)において、ガイド板72が取り付けられている。ガイド板72は、第1搬送部61の奥側を形成する。ガイド板72には、下流に向かうにつれてワインダユニット30に近づく第1傾斜部72aと、下流に向かうにつれてワインダユニット30から離れる第2傾斜部72bと、が形成されている。
【0058】
ガイド板73は、第1搬送部61の手前側(ワインダユニット30側)及び第2搬送部62の一側(内側)を形成する。ガイド板73には、第1傾斜部72aに対して略平行な直線部73aと、湾曲する第2搬送部62を形成するための湾曲部73bと、が形成されている。ガイド板74は、第2搬送部62の他側(外側)と第1搬送部61の手前側を形成する。ガイド板74には、第2搬送部62を形成するための湾曲部74aと、第1搬送部61を形成するための、直線部74bと、が形成されている。
【0059】
このように、第1搬送部61において、第2搬送部62との分岐箇所より上流には、下流に向かうにつれてワインダユニット30側に傾斜する部分があること等により、第1搬送部61に沿って搬送される。トレー9は、別の部材(後述する接触レバー部材84)によって進路が遮られない限り、第2搬送部62へ搬送される。
【0060】
コンベア75は、載置されたトレー9をエンドフレーム20側へ(
図6の矢印の方向へ)搬送する。コンベア75に沿って搬送されるトレー9はガイド板71〜74に接触することで搬送方向が調整されつつ搬送される。
【0061】
ターンテーブル76は、円板状に形成されており、その上面は略水平となっている。ターンテーブル76は、図略のラッチ式の駆動伝達機構を介してモータの駆動力が伝達されることにより、一方向(
図6の反時計回り方向)に回転駆動される。第1搬送部61から第2搬送部62に搬送されたトレー9は、ターンテーブル76の上に乗せられる。ターンテーブル76によって回転されるトレー9は、ガイド板73,74に接触することで搬送方向が調整されつつ搬送される。
【0062】
なお、第2搬送部62には、所定数(本実施形態では2個)のトレー9を貯留することができる。第2搬送部62に所定数のトレー9が貯留されている場合、第1搬送部61に沿って搬送されてきたトレー9は、第2搬送部62に貯留されているトレー9に接触することで、第2搬送部62には入らず、第1搬送部61のさらに下流へ搬送される。
【0063】
搬送ガイド77は、第2搬送部62に配置されている。搬送ガイド77は、第2搬送部62に沿って搬送されるトレー9に接触する係止部77aを有している。また、搬送ガイド77は、図略の回転軸を中心に回転可能に構成されている。この構成により、搬送ガイド77は、係止部77aによってトレー9を堰き止める状態と、堰止めを解除してトレー9を下流側(ワインダユニット30側)へ搬送可能にする状態と、を切り替えることができる。
【0064】
具体的には、通常、搬送ガイド77は、トレー9を堰き止めておく。そして、ワインダユニット30が給糸ボビン11を排出した際に、次の給糸ボビン11をワインダユニット30に供給するために、トレー9の堰止めを解除してトレー9を下流側へ搬送する。
【0065】
また、第1搬送部61から第2搬送部62が分岐する箇所の近傍には、規制装置80が配置されている。規制装置80は、第1搬送部61に沿って搬送されるトレー9が第2搬送部62に入らないように規制したり、その規制を解除したりすることができる。
【0066】
以下、主に
図8を参照して、規制装置80について説明する。
図8に示されるように、規制装置80は、取付板81と、ロータリソレノイド82と、動力伝達部83と、接触レバー部材84と、を備えている。
【0067】
取付板81は、2つの水平面部81a、81bと、それらを接続する垂直面部81cと、から構成されるクランク状の板である。水平面部81aは、ガイド板73に接続される。水平面部81bの下面には、ロータリソレノイド82が取り付けられると共に、水平面部81bの上面には、動力伝達部83が取り付けられる。ロータリソレノイド82は、ユニット制御部40によって制御されており、ユニット制御部40が指示したタイミングで出力軸82aを回動させる。
【0068】
動力伝達部83は、ケース83Aと、位置切替部材83Bと、回動板83Cと、ベアリング83D,83Eと、ストッパ83F,83Gと、回動軸部83Hと、を備えている。なお、
図8では、ケース83Aを鎖線で示し、当該ケース83Aの内部に配置されている部材を表示している。位置切替部材83Bは、ロータリソレノイド82の出力軸82aと一体的に回動するように構成された所定の長さを有する板状の部材である。
【0069】
回動板83Cは、略三角状の板状の部材であり、回動軸部83Hを回動中心として回動可能となるようにケース83Aに取り付けられている。回動板83Cには、ベアリング83D,83Eが取り付けられている。位置切替部材83Bが回動することで、位置切替部材83Bがベアリング83D又はベアリング83Eを押圧する。これにより、回動板83Cを回動させることができる。
【0070】
ストッパ83Fは、ベアリング83Dが位置切替部材83Bに押圧されて回転した際に、当該ベアリング83Dと接触する。これにより、回動板83C(ひいては接触レバー部材84)の過剰な回動を防止することができる。ストッパ83Gは、ベアリング83Eが位置切替部材83Bに押圧されて回転した際に、当該ベアリング83Eと接触する。これにより、回動板83C(ひいては接触レバー部材84)の過剰な回動を防止することができる。
【0071】
接触レバー部材84は、回動軸部83Hと一体的に回転するように、当該回動軸部83Hに取り付けられている。この構成により、ロータリソレノイド82を回動させることで、接触レバー部材84を回動させることができる。
図6に示されるように、接触レバー部材84は、実線で示す規制位置と、二点鎖線で示す解除位置と、の間で移動可能に構成されている。
【0072】
次に、
図9を用いて、ロットチェンジ制御が実行される際の自動ワインダ1の動作について説明する。オペレータは、操作部22を操作して、ロットチェンジを開始までに形成すべきパッケージ15の個数(例えば、10個)を入力し、ロットチェンジ開始命令を入力する(ステップS1)。操作部22は、機台制御部23に対し、上記指定個数及びロットチェンジ開始命令を出力する(ステップS2)。機台制御部23が、操作部22から入力される指定個数及びロットチェンジ開始命令を受け付けると、自動ワインダ1全体のワインダユニット30において形成されるパッケージ15の数のカウントを開始する(ステップS8)。なお、この時点では、機台制御部23は、ワインダユニット30に対してロットチェンジ開始命令を出力していない。
【0073】
ここで、通常時(すなわちロットチェンジ開始命令を受け付ける前)のワインダユニット30の動作について説明する。すなわち、ロットチェンジ開始命令を受け付ける前のワインダユニット30は、パッケージ15が完成したこと、すなわち、パッケージ15が満管状態になったことを検知すると(ステップS4)、機台制御部23に満管通知を通知する(ステップS7)。機台制御部23は、当該満管通知の通知回数をカウントすることにより、完成されたパッケージ15の数をカウントする(ステップS8)。
【0074】
また、通常時のワインダユニット30は、満管通知を機台制御部23に通知する(ステップS7)と同時に、玉揚台車45にも満管通知を通知する(ステップS5)。満管通知が通知された玉揚台車45は、満管通知を通知したワインダユニット30の配置位置に移動する。そして、玉揚台車45は、ワインダユニット30において形成されたパッケージ15を払い出すと共に、新しい芯管15Aを供給し、給糸ボビン11の糸14を当該芯管15Aに繋ぐ糸掛動作を実行する(ステップS6)。玉揚台車45によって糸掛動作が実行されたワインダユニット30は、巻取動作を再開させる。
【0075】
ステップS8に戻り、機台制御部23は、複数のワインダユニット30から通知される満管通知の数をカウントし、その数が、ステップS1において入力された指定個数(例えば、10個)に到達したと判定されると、機台制御部23は、複数のワインダユニット30の全てに対して、ロットチェンジ開始命令を通知する(ステップS9)。すなわち、ステップS9から、機台制御部23によるロットチェンジ制御が実行される。
【0076】
機台制御部23は、給糸ボビン11の排出準備をするようにワインダユニット30を制御する(第1制御)。機台制御部23は、巻取動作中のワインダユニット30が満管状態になったらその動作を停止させ、給糸ボビン11とパッケージ15とを繋ぐ糸14を切断し、ワインダユニット30における給糸ボビン支持部37から給糸ボビン11をすぐに排出できる状態にユニット制御部40を介して制御する。次に、ワインダユニット30は、パッケージ15が完成すると満管通知を機台制御部23及び玉揚台車45に通知する(ステップS11及びステップS13)。
【0077】
当該ロットチェンジ制御下において、満管通知が通知された玉揚台車45は、パッケージ15を払い出す。ここで、玉揚台車45は、新しい芯管15Aを供給しつつ、給糸ボビン11の糸端を当該芯管15Aとクレードル31aの間に挟み込む糸掛動作は実行しない(ステップS12)。つまり、ワインダユニット30は、排出準備が整った状態で待機をする。
【0078】
ステップS8の後、ロットチェンジ開始命令を通知した機台制御部23は、このようにワインダユニット30から通知されてくる満管通知に基づいて、ロットチェンジ開始後に満管状態となったパッケージ15の数をカウントしている(ステップS14)。そして、機台制御部23は、その数が、稼働錘数(例えば、24錘)に到達したと判定すると、表示部21に完了通知を通知して(ステップS15)、ロットチェンジが完了した旨の画面を表示部21に表示させる(ステップS16)。
【0079】
また、機台制御部23は、表示部21に完了通知を通知する(ステップS15)と同時に、ワインダユニット30のユニット制御部40を介してボビン移送装置5のボビン搬送部60及びボビン抜取装置55にも、完了通知を通知する(ステップS17,S18)。すなわち、機台制御部23は、ボビン搬送部60の搬送部(第1搬送部61〜第5搬送部65)上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11を排出するようにボビン搬送部60を制御(第2制御)し、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13及び給糸ボビン11を取り除くようにボビン抜取装置55を制御(第3制御)する(ステップS19)。
【0080】
ここで、通常時(すなわちロットチェンジ開始命令を受け付ける前)のボビン移送装置5の動作について説明する。すなわち、ボビン搬送部60は、ワインダユニット30に給糸ボビン11を供給すると共に、ワインダユニット30において使用された給糸ボビン11である空ボビン13をワインダユニット30から排出し、ボビン抜取装置55は、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13のみを取り除く(通常モード:ステップS0)。
【0081】
ところが、当該ロットチェンジ制御下において、完了通知が通知されたボビン移送装置5は、ロットチェンジモードで稼働させられる。すなわち、ボビン搬送部60は、搬送部(第2搬送部62)上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11を排出し、ボビン抜取装置55は、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13だけでなく給糸ボビン11も取り除く(ロットチェンジモード:ステップS19)。
【0082】
ボビン抜取装置55によって、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13及び給糸ボビン11の全てが取り除かれると、ボビン移送装置5は、上述の通常モードに戻る(ステップS23)。また、ボビン搬送部60における搬送路を監視する監視部によって、当該搬送路から空ボビン13及び給糸ボビン11がなくなったことが検知されると排出完了通知を機台制御部23に通知する(ステップS20)。排出完了通知が通知された機台制御部23は、ボビン搬送部60の搬送路からボビンを排出した旨の情報を表示部21に表示させる(ステップS21,S22)。
【0083】
次に、
図10を用いて、給糸ボビン取込制御が実行される際の自動ワインダ1の動作について説明する。オペレータは、操作部22を操作して、開始モードを選択した後、給糸ボビン取込開始命令を入力する(ステップS30)。ここでいう開始モードの選択とは、全てのワインダユニット30において給糸ボビン11の取り込みが完了した際に、自動的に巻取り動作を開始する自動開始モードか、自動的に巻取りを開始せず、オペレータによる巻取開始命令の入力を待つ手動開始モードかを選択することをいう。
【0084】
ここでは、自動開始モードが選択されたとして説明を行う。操作部22は、機台制御部23に対し、上記開始モード及び給糸ボビン取込開始命令を出力する(ステップS31)。機台制御部23が、操作部22から入力される開始モード及び給糸ボビン取込開始命令を受け付けると、ワインダユニット30に給糸ボビン11を供給するようにボビン搬送部60を制御(第5制御)する(ステップS33)。
【0085】
この時、機台制御部23は、機台制御部23によって、最初に、全ての第2搬送部62(予め設定された複数の第2搬送部)のそれぞれに給糸ボビン11を一個ずつ流入するように接触レバー部材84を制御(第7制御)する(ステップS34)。
【0086】
ステップS33における通知とほぼ同時に、機台制御部23は、給糸ボビン11が取り込まれたワインダユニット30の給糸ボビン11に対して糸掛動作を実行するように玉揚台車45を制御(第6制御)する(ステップS35〜ステップS38)。具体的には、機台制御部23が、給糸ボビン取込開始命令をワインダユニット30のユニット制御部40に通知し(ステップS35)、ユニット制御部40は、給糸ボビン11が取り込まれたことを検知すると(ステップS36)、玉揚台車45に取込通知を通知、すなわち、玉揚台車45に糸掛命令を通知する(ステップS37)。玉揚台車45は、取込通知を通知してきたワインダユニット30に対して糸掛動作を実行する(ステップS38)。
【0087】
ワインダユニット30は、玉揚台車45によって糸掛けが実行され、玉揚台車45によって完了通知が通知されると(ステップS40)、巻取動作を開始する(ステップS41)。ワインダユニット30は、巻取動作を開始すると、開始通知を機台制御部23に通知する(ステップS42)。機台制御部23は、ワインダユニット30から開始通知が通知されると、開始通知を表示部21に出力し、巻取動作を開始した旨を報知する巻取開始画面を表示部21に表示する(ステップS43,S44)。
【0088】
上記実施形態の自動ワインダ1における作用効果について説明する。上記実施形態の自動ワインダ1では、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付け、巻取動作が行われているパッケージが満管状態になると、ワインダユニット30における巻取動作が停止されると共に、ワインダユニット30において巻取動作中の給糸ボビン11を含め、ボビン搬送部60の搬送部(第1搬送部61〜第5搬送部65)上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11がボビン抜取装置55まで搬送され、当該ボビン抜取装置55によって空ボビン13及び給糸ボビン11が取り除かれる。これにより、オペレータは、操作部22からロット開始命令を入力するだけで、搬送部(第1搬送部61〜第5搬送部65)から空ボビン13と旧ロットの給糸ボビン11の全てを取り除くことができる。これにより、ロットチェンジの際のオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0089】
上記実施形態の自動ワインダ1では、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けた場合、巻取動作が行われているパッケージが満管状態になった後、ロットチェンジ制御を開始している。これにより、ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージ15については、満管状態のパッケージ15として排出することができる。これにより、製品として使用できないパッケージ15の数を減らすことができる。
【0090】
上記実施形態の自動ワインダ1では、ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージ15が満管状態になったら、すぐに給糸ボビン11を排出するのではなく、全てのワインダユニット30において全てのパッケージ15が満管状態になったタイミングで給糸ボビン11を排出している。これにより、一斉に給糸ボビン11を排出させることができる。
【0091】
上記実施形態の自動ワインダ1では、ロットチェンジ制御下においては、機台制御部23は、給糸ボビン11の排出準備が完了すると、取外動作のみを玉揚台車45に実行させ、糸掛動作を玉揚台車45に実行させない。これにより、すぐに旧ロットの給糸ボビン11を排出できる状態とすることができる。
【0092】
上記実施形態の自動ワインダ1では、ロットチェンジの開始命令を受け付けた際にすぐにロットチェンジが開始されるのではなく、操作部22によって入力された指定個数のパッケージ15が形成された後に、ロットチェンジが開始される。これにより、上記実施形態として例に挙げたように、パッケージ15があと10個形成された後、自動的にロットチェンジを開始させるなど、より柔軟なロットチェンジ開始の予約が可能になる。
【0093】
上記実施形態の自動ワインダ1は、操作部22において給糸ボビン取込開始命令を受け付けると、ボビン搬送部60は、ワインダユニット30に給糸ボビン11を供給し、玉揚台車45は、給糸ボビン11が取り込まれたワインダユニット30に対して糸掛動作を実行して当該巻取ユニットにおける巻取動作を可能にする。これにより、オペレータは、操作部22から給糸ボビン取込開始命令を入力するだけで、自動的にワインダユニット30における巻取動作を開始させることができる。これにより、給糸ボビン11の取り込みの際のオペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0094】
上記実施形態の自動ワインダ1では、ボビン搬送部60に空ボビン13及び給糸ボビン11が一つもない状態において給糸ボビン11をワインダユニット30に供給する際、最初に、全ての第2搬送部62のそれぞれに給糸ボビン11が一個ずつ流入するように接触レバー部材84を制御する。これにより、ワインダユニット30においてパッケージ15を形成するために必要な給糸ボビン11を、全てのワインダユニット30に早期に供給することが可能になる。これにより、パッケージ15の生産効率を高めることが可能になる。
【0095】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0096】
<変形例1>
上記実施形態の自動ワインダ1では、全てのワインダユニット30において全てのパッケージ15が満管状態になったタイミングで給糸ボビン11を排出する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、全てのワインダユニット30において全てのパッケージ15が満管状態になった時点で一時待機し、オペレータによって操作部22から給糸ボビンの排出命令が入力されたタイミングで、給糸ボビン11を一斉に排出させる構成の自動ワインダとしてもよい。この場合、
図11に示されるように、ステップS14以降の動作が、上記実施形態とは異なる。すなわち、機台制御部23が、カウントする数が、稼働錘数(例えば、24錘)に到達したと判定すると、表示部21に完了通知を通知して(ステップS101)、ロットチェンジが完了した旨を表示させると共に、給糸ボビン11の排出命令を入力させる画面を表示部21に表示させる(ステップS102)。
【0097】
そして、機台制御部23は、操作部22において排出命令が入力されると(ステップS103)、その命令をワインダユニット30のユニット制御部40を介してボビン移送装置5のボビン搬送部60及びボビン抜取装置55に通知する(ステップS104,S105)。すなわち、機台制御部23は、ボビン搬送部60の搬送部(第1搬送部61〜第5搬送部65)上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11を排出するようにボビン搬送部60を制御(第2制御)し、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13及び給糸ボビン11を取り除くようにボビン抜取装置55を制御(第3制御)する(ステップS106)。
【0098】
ボビン抜取装置55によって、ボビン搬送部60によって搬送されてくる空ボビン13及び給糸ボビン11の全てが取り除かれると、ボビン移送装置5は、上述の通常モードに戻る(ステップS109)。また、機台制御部23は、ボビン搬送部60における搬送路を監視する監視部によって、当該搬送路から空ボビン13及び給糸ボビン11がなくなったことを示す排出完了通知が通知される(ステップS107)と、排出路からボビンを排出した旨の情報を表示部21に表示させる(ステップS108)。
【0099】
<変形例2>
上記実施形態及び上記変形例では、予め設定された全てのワインダユニット30において給糸ボビン11が取り込まれた後に、オペレータによって玉揚台車45に糸掛動作を開始させる指示命令が入力されなくても、自動的に糸掛けが実行され、ワインダユニット30において巻取動作が開始される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0100】
例えば、予め設定された全てのワインダユニット30において給糸ボビン11が取り込まれた後に、オペレータの指示によって玉揚台車45による糸掛動作を開始させる構成の自動ワインダとしてもよい。この場合、操作部22では、新ロットの給糸ボビン11の取込開始命令と、給糸ボビン11の取込開始後のワインダユニット30に対する巻取動作の開始命令と、を受け付け可能とする。また、機台制御部23は、全てのワインダユニット(予め設定された糸巻取ユニット)30において給糸ボビン11の取り込み完了した後、操作部22において巻取動作の開始を受け付けることにより第6制御を実行する。すなわち、全てのワインダユニット30において給糸ボビン11の取り込まれた後は、オペレータによって操作部22に巻取動作の開始が入力されない限り、玉揚台車45による糸掛動作は実行されず、ワインダユニット30において巻取動作が開始されることはない。
【0101】
次に、上記実施形態又は変形例における動作と異なる部分について説明する。すなわち、
図12に示されるように、ステップS36以降の動作が、上記実施形態及び変形例とは異なる。すなわち、ワインダユニット30におけるユニット制御部40は、給糸ボビン11の取り込みが検知されると、その取込通知を玉揚台車45ではなく、機台制御部23に通知する(ステップS201)。
【0102】
取込通知が通知された機台制御部23は、表示部21に給糸ボビン11の取り込み完了画面を表示させると共に、巻取開始命令を入力させる画面を表示させる(ステップS202)。操作部22において巻取開始命令が入力されると(ステップS203)、機台制御部23は、巻取開始命令をワインダユニット30を介して(ステップS204)玉揚台車45に通知する(ステップS205)。
【0103】
巻取開始命令が通知された玉揚台車45は、玉揚台車45に巻取り開始命令を通知したワインダユニット30に対して糸掛けを実行し(ステップS206)、その完了通知をワインダユニット30に通知する。ワインダユニット30は、玉揚台車45による糸掛けに連続して巻取動作を開始する(ステップS208)。巻取動作を開始したワインダユニット30は、機台制御部23に開始通知を通知する(ステップS209)。開始通知が通知された機台制御部23は、表示部21に開始通知を通知することにより(ステップS210)、巻取開始を報知する巻取開始画面を表示部21に表示させる(ステップS211)。
【0104】
変形例2に係る自動ワインダでは、予め設定された全てのワインダユニット30において給糸ボビン11が取り込まれた後に、オペレータの指示によって玉揚台車45による糸掛動作を開始させることが可能になる。これにより、ワインダユニット30における巻取動作の詳細な設定を確認しながら糸掛動作を開始させるなど、オペレータにとって最適なタイミングで巻取動作を開始させることが可能になる。
【0105】
<変形例3>
上記実施形態又は変形例では、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けても、当該ロットチェンジの開始命令を受け付けた際に巻取動作が行われているパッケージ15が満管状態になるまでは、給糸ボビン11の排出準備をさせない例を挙げて説明したが、操作部22においてロットチェンジの開始命令を受け付けた時点ですぐに給糸ボビン11の排出準備をするように、ワインダユニット30を制御してもよい。
【0106】
<変形例4>
上記実施形態又は変形例では、個々のワインダユニット30のパッケージ15が満管状態となって排出準備が整ったとしても、全てのワインダユニット30のパッケージ15が全て満管状態になるまでは、ボビン搬送部60の搬送路上にある全ての空ボビン13及び給糸ボビン11は排出されない例を挙げて説明したが、個々のワインダユニット30のパッケージ15が満管状態となって排出準備が整ったワインダユニット30における空ボビン13から順に排出してもよい。
【0107】
<その他の変形例>
上記実施形態又は変形例1では、全てのワインダユニット30において全てのパッケージ15が満管状態になったタイミングで給糸ボビン11が一斉に排出される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、給糸ボビン11は、ボビン抜取装置55に近いワインダユニット30側から順次給糸ボビン11を排出させてもよい。これにより、同時に処理できる本数が決まっているボビン抜取装置55に対し順次給糸ボビン11が排出されるようになり、ボビン抜取装置55において効率的な処理がなされるようになる。
【0108】
上記実施形態又は変形例では、予め設定されたワインダユニット30として全てのワインダユニット30(24個のワインダユニット30)が設定されている例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、2個以上23個以下のワインダユニット30が、予め設定されたワインダユニットとして設定されていてもよい。
【0109】
上記実施形態又は変形例では、表示部21と操作部22とが別々に構成された例を挙げて説明したが、例えば、タッチパネル式の表示装置を用いて、表示部と操作部とを同じ装置として構成してもよい。
【0110】
上記実施形態又は変形例では、給糸ボビン11及び空ボビン13がトレー9に載置された状態で搬送されるボビン搬送部60を例に挙げて説明したが、コンベヤ等に直接載置されて搬送される構成のボビン搬送部であってもよい。
【0111】
上記実施形態又は変形例において、機台制御部23は、ボビン抜取装置55に対して第3制御を実施しない仕様、及び/又は、玉揚台車45に対して第4制御を実施しない仕様であってもよい。この場合であっても、オペレータは、機台制御部からロット開始命令を入力するだけで、搬送路から給糸ボビンの全てを取り除くことができ、ロットチェンジの際のオペレータの負担を軽減することが可能になる。