【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
【0034】
[実施例1]
グルコース及び酵母エキスを含むGE培地(液体培地)に、黒麹菌であるA.awamoriを添加し、28℃にて2日間、液体用の培養タンクで培養した。その後、培養した培地の濃度が3.8%となるようにGE培地で希釈し、ショウガの乾燥粉末(国産ショウガパウダー)を濃度が1%となるように添加した。このショウガの乾燥粉末を添加した培地を、28℃にて6日間、液体用の培養タンクで培養し、ショウガの乾燥粉末を発酵させた(発酵工程)。発酵後、発酵工程で用いたものと同じショウガの乾燥粉末を濃度が3%となるように添加した(添加工程)。添加後すぐに加圧条件下で115〜120℃にて2時間、加熱処理を行った(加熱工程)。その後、凍結乾燥によって乾燥し(乾燥工程)、本発明の実施例1に係る発酵ショウガ含有組成物(抗糖化剤,コラゲナーゼ阻害剤)を得た。
【0035】
実施例1に係る発酵ショウガ含有組成物を用いて、抗糖化確認試験、コラゲナーゼ阻害確認試験を行った。
【0036】
[抗糖化確認試験]
本抗糖化確認試験は、「Inhibitory effect of the compounds isolated from Rhus verniciflua on aldose reductase and advanced glycation endproducts.」(Lee EH, Song DG, Lee JY, Pan CH, Um BH, Jung SH. Biol Pharm Bull. 2008 Aug;31(8):1626-30.)に記載の手法に若干の修正を施して行った。具体的には、以下のように行った。
【0037】
(試薬の調製)
リン酸緩衝剤粉末(1/15mol/L pH7.2)(和光純薬工業(株))を蒸留水に溶解して、67mMリン酸緩衝液(以下、67mM PBと略する)を調製した。また、D(+)グルコース(ナカライテスク(株))を67mM PBで溶解して、200mg/mLグルコース溶液を調製した。さらに、アルブミン(ウシ血清由来コーンフラクションV、pH7.0、生化学用)(和光純薬工業(株))(以下、BSAと略する)を67mM PBで溶解して、40mg/mL BSAを調製した。
【0038】
(試験)
被験物質(実施例1に係る発酵ショウガ含有組成物又は比較例に係るショウガ乾燥粉末)の所定量をそれぞれ67mM PBで溶解して、被験物質溶液を調製した。この被験物質溶液とグルコース溶液及びBSA溶液とを下記表1に示す割合で配合して、試験溶液(test)を調製した。同様に、下記の割合にて配合して、試験溶液(blank)、コントロール(test)、及びコントロール(blank)を調製した。被験物質の最終濃度は、
図1の横軸(mg/mL)に示される通りである。
【0039】
【表1】
【0040】
試験溶液(test,blank)及びコントロール(test,blank)を60℃で48時間インキュベートした。インキュベート後の試験溶液(test,blank)及びコントロール(test,blank)について、370nmで励起したときの440nmの蛍光強度を分光蛍光光度計で測定し、次の式によりAGEs生成阻害率(%)を算出した。
【0041】
AGEs生成阻害率(%)
=(1 - [(Sample test - Sample blank) / (Control test - Control blank)])×100
【0042】
(式中、「Sample test」は、試験溶液(test)の蛍光強度を示し、「Sample blank」は、試験溶液(blank)の蛍光強度を示し、「Control test」は、コントロール(test)の蛍光強度を示し、「Control blank」は、コントロール(blank)の蛍光強度を表す。)
【0043】
その結果を
図1に示す。
図1に示されるように、本発明の実施例1に係る発酵ショウガ含有組成物を含む場合、比較例に係るショウガの乾燥粉末を含む場合に比べて、AGEsの生成が明らかに阻害された。
【0044】
[コラゲナーゼ阻害確認試験]
(サンプル液の調製)
0.1%BSA(ウシ血清アルブミン)含有ダルベッコPBS(Phosphate Buffered Saline)(−)を用いて、被験物質(実施例1に係る発酵ショウガ含有組成物又は比較例に係るショウガの乾燥粉末)が、20mg/mLとなるように調製した。ボルテックスミキサーにて60分間振盪した後、遠心し上清を回収し、さらに、0.1%BSA含有ダルベッコPBS(−)を用いて被験物質が所定濃度となるように希釈し、試験溶液を調製した。なお、被験物質の最終濃度が、
図2の横軸(μg/mL)に示される値となるように調製を行った。
【0045】
(酵素溶液の調製)
コラゲナーゼB(Roche製)を、0.1%BSA含有ダルベッコPBS(−)を用いて10μg/mLとなるよう調製した。
【0046】
(蛍光基質溶液の調製)
DMSOで溶解した蛍光基質(MOCAc−Pro−Leu−Gly−Leu−A
2pr(DNP)−Ala−Arg−NH
2、ペプチド研究所製)を、0.1%BSA含有ダルベッコPBS(−)を用いて5μMに希釈したものを蛍光基質溶液として用いた。
【0047】
(コラゲナーゼ阻害活性の測定)
96well black plateへ試験溶液またはコントロールとして0.1%BSA含有ダルベッコPBS(−)を50μL/wellで添加した。その後、酵素溶液(test)又は0.1%BSA含有ダルベッコPBS(−)(blank)を100μL/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートした。さらに、蛍光基質溶液を50μL/wellで添加し、遮光して37℃、60分間インキュベートした。320nmで励起し、405nmにおける蛍光強度を測定した。
【0048】
各被験物質のコラゲナーゼ阻害率は下記の式にて算出した。
コラゲナーゼ阻害率
=(1 - [(Sample test - Sample blank) / (Control test - Control blank)])×100
【0049】
(式中、「Sample test」は、試験溶液(test)の蛍光強度を示し、「Sample blank」は、試験溶液(blank)の蛍光強度を示し、「Control test」は、コントロール(test)の蛍光強度を示し、「Control blank」は、コントロール(blank)の蛍光強度を表す。)
【0050】
その結果を
図2に示す。
図2に示されるように、本発明の実施例1に係る発酵ショウガ含有組成物を含む場合、比較例に係るショウガの乾燥粉末を含む場合に比べて、コラゲナーゼ活性が明らかに阻害された。
【0051】
(配合例1:化粧水)
全体を100質量部として、発酵ショウガ抽出物 0.01質量部、生姜抽出物 0.01質量部、グリセリン 10質量部、ジグリセリン 3質量部、1,3−ブチレングリコール 12質量部、ペンチレングリコール 3質量部、ヒアルロン酸ナトリウム 0.1質量部、クエン酸 0.01質量部、クエン酸ナトリウム 0.02質量部、キサンタンガム 0.1質量部、メチルパラベン 0.15質量部、カルボマー 0.2質量部、水酸化ナトリウム 0.03質量部及び水 残部を混合して、化粧水の態様で本発明の組成物を調製した。
【0052】
(配合例2:シャンプー)
全体を100質量部として、発酵ショウガ抽出物 0.01質量部、アロエ抽出物 0.02質量部、ラウレス硫酸ナトリウム 7.5質量部、コカミドプロピルベタイン 4.2質量部、コカミドDEA 3質量部、1,3−ブチレングリコール 0.1質量部、ポリクオタニウム−10 0.225質量部、クエン酸 0.15質量部、クエン酸ナトリウム 0.05質量部、フェノキシエタノール 0.9質量部及び水 残部を混合して、シャンプーの態様で本発明の組成物を調製した。
【0053】
(配合例3:石鹸)
全体を100質量部として、発酵ショウガ粉砕物 0.5質量部、グリセリン 2質量部、オリーブ油 1質量部、EDTA−4ナトリウム 0.1質量部、エチドロン酸4ナトリウム 0.2質量部及び石ケン素地 残部を混合及び固化することにより、石鹸の態様で本発明の組成物を調製した。
【0054】
(配合例4:乳液)
全体を100質量部として、発酵ショウガ抽出物 0.1質量部、チアミン塩酸塩 0.1質量部、ショ糖脂肪酸エステル 3質量部、グリセリン 12質量部、スクアラン 6質量部、ジメチルシリコーンオイル 24質量部、ポリプロピレングリコール 1質量部、増粘剤 0.06質量部、フェノキシエタノール 0.2質量部、エタノール 5質量部、水酸化ナトリウム 0.01質量部及び精製水 残部を混合して、乳液の態様で本発明の組成物を調製した。
【0055】
(配合例5:化粧用クリーム)
全体を100質量部として、発酵ショウガ抽出物 0.1質量部、ローズマリーエキス 0.1質量部、スクワラン 15.0質量部、ミリスチン酸オクチルドデシル 4.0質量部、水素添加大豆リン脂質 0.2質量部、ブチルアルコール 2.4質量部、硬化油 1.5質量部、ステアリン酸 1.5質量部、親油型モノステアリン酸グリセリン 1.5質量部、モノステアリン酸ポリグリセリル 0.5質量部、ベヘニルアルコール 0.8質量部、モノミリスチン酸ポリグリセリル 0.7質量部、サラシミツロウ 0.3質量部、d−δ−トコフェロール 0.1質量部、メチルパラベン 0.3質量部、C10〜30アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.2質量部、カルボキシビニルポリマー 0.1質量部、1,3−ブタンジオール 18.0質量部、水酸化ナトリウム 0.1質量部及び精製水 残部を混合して、化粧用クリームの態様で本発明の組成物を調製した。
【0056】
(配合例6:パック剤)
全体を100質量部として、発酵ショウガ抽出物 0.1質量部、ダイズエキス 0.01質量部、ポリビニルアルコール 20.0質量部、グリセリン 5.0質量部、エタノール 20.0質量部、カオリン 6.0質量部、防腐剤 0.2質量部、香料 0.1質量部及び精製水 残部を混合して、パック剤の態様で本発明の組成物を調製した。
【0057】
(配合例7:錠剤)
全体を100質量部として、発酵ショウガ粉末 10質量部、カリン末 8質量部、ビタミンB1 5質量部、結晶性セルロース 20質量部、乳糖 50質量部、ステアリン酸マグネシウム 4質量部及びコーンスターチ 残部を混合及び打錠することにより、錠剤の態様で本発明の組成物を調製した。
【0058】
(配合例8:顆粒剤)
全体を100質量部として、発酵ショウガ粉末 10質量部、リンゴ末 15質量部、乳糖 10質量部、ステアリン酸カルシウム 1質量部及び結晶セルロース 残部を混合及び顆粒化することにより、顆粒剤の態様で本発明の組成物を調製した。
【0059】
(配合例9:カプセル剤)
全体を100質量部として、発酵ショウガ抽出物 10質量部、生姜抽出物 20質量部、レシチン 8質量部及びオリーブ油 残部を混合して調製したものを内容液として、これをカプセル殻に内包することにより、カプセル剤の態様で本発明の組成物を調製した。
【0060】
(配合例10:液剤)
全体を100質量部として、発酵ショウガエキス粉末 0.84質量部、ビタミンB12 1質量部、果糖ブドウ糖液糖 10質量部、クエン酸 1質量部、安息香酸ナトリウム 0.02質量部、香料製剤 2質量部、スクラロース 0.05質量部、アセスルファムカリウム 0.03質量部、及び精製水 残部を混合して、液剤の態様で本発明の組成物を調製した。