(QはO又はS;Wは1−3のヘテロ原子を有する、C6−C12アリール又はC3−C12ヘテロアリール;X及びYの各々独立に存在しないか又はNH;Z1及びZ2の各々独立にCH、N又はNR5;R5はH又は低級アルキル;Z3はO、S、N又はNR5;R1は1−3のヘテロ原子を有する非置換/置換のC3−C12ヘテロアリール、又は1−3のヘテロ原子を有する非置換/置換のC3−C12ヘテロアリールによって置換されたアルキル)
リンパ管形成、血管新生、内皮周囲細胞の動員、血管形成、過剰増殖性障害、繊維性病変、眼疾患、および/または、腫瘍の成長を抑える、予防する、または、阻害するための方法であって、
前記方法は、
請求項46に記載の医薬組成物、または、請求項1乃至45のいずれかに記載の化合物に、腫瘍を接触させる工程を含む、方法。
細胞中のASK1媒介性のアポトーシスの阻害を予防するか、外因性のストレスに対して細胞を感作させるか、または、MEK1/2および/またはERK1/2媒介性の細胞増殖または遊走を阻害するための方法であって、
前記方法は、
請求項46に記載の医薬組成物、または、請求項1乃至45のいずれかに記載の化合物に、細胞を接触させる工程を含む、方法。
前記化合物は、PDGFRα、PDGFRβ、Flt3、A−RAF、B−RAF、C−RAF、および/または、c−Kitのアロステリックインヒビターである、請求項47乃至50のいずれか1つに記載の方法。
癌は、ソラフェニブ、PLX4032、XL281、RAF265、885−A、ZM336372、L−779450、AZ628、AAL881、LBT613、MCP110、17−DMAG、CI1040、AZD6244/ARRY142886、PD0325901、SB590885、DP3346、および、DP2514から選択される薬物に対して、耐性があるか、効果がないか、あるいは、反応しない、請求項48に記載の方法。
RAFキナーゼの変異形態は、変異体T529I、T529N、G464A、G464E、G464V、G466A、G466E、G466V、G469A、G469E、N581S、E586K、F595L、G596R、L597V、L597R、T599I、V600E、および、K601Eから選択されたB−RAFキナーゼである、請求項64に記載の方法。
癌には、N−RAS、H−RAS、K−RAS、B−RAF(V600E)、B−RAF/Ras、HER1、p53、PTEN、および、PI3Kから選択される突然変異体または異常がある、請求項48に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1,2,4−トリアゾールの場合、以下に示されるように、3つの互変異性構造が存在する。
【0027】
どの互変異性構造が優勢であるかは、トリアゾール部分の置換基と反応条件に依存する。
当業者に周知のように、一般的に、1H−1,2,4−トリアゾールは、とりわけ、アミノ置換基が環に付けられる場合、もっとも一般的な互変異性型である。たとえ、3つのすべての互変異性構造が存在し、相互交換することができるとしても、1,2,4−トリアゾール部分を有するすべての一般的な構造とすべての例は、分かりやすくするために、かつ、1,3,4−オキサジアゾール部分を含有する例などのその直接的なアナログと比較するために、4H−1,2,4−トリアゾールといった1つの互変異性型で本明細書では示されている。分かりやすくする目的で、構造を描くために4H−互変異性型のみを使用することは、本明細書で提供される化合物が、とりわけその互変異性型に存在することを示唆するわけではない。
【0028】
本発明に従って、構造(I)を有する化合物、
【0030】
あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩が提供され、
ここで、
Qは、OまたはSであり、
Wは、1−3のヘテロ原子を有する、C
6−C
12アリールまたは、C
3−C
12ヘテロアリールであり、
XおよびYの各々は、独立して存在しないか、あるいは、NHであり、
Z
1およびZ
2の各々は、CH、NおよびNR
5からなる群から独立して選択され、R
5は水素でまたは低級アルキルであり、
Z
3は、O、S、NまたはNR
5であり、ここで、R
5は、水素または低級アルキルであり、
R
1は、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールであるか、あるいは、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールによって置換されたアルキルであり、
各々のR
2およびR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、随意に置換されたC
3−C
12シクロアルキル、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
10複素環、随意に置換されたC
6−C
12アリール、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリール、CF
3、ハロゲン、CN、CONHR
6、および、CO
2R’からなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであり、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合され、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−OH、NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHSO
2R
6、−SO
2NHR
6、−NHCOR
6、−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、−CONR
6R
7、および、随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、R
6とR
7は水素からなる群から独立して選択され、p=0−4であり、nは1または2である。
【0031】
本発明に従って、構造(I)を有する重水素濃縮化合物、あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩も提供され、構造(I)の化合物に存在する水素は、重水素との交換のための様々な能力を有している。なかには、最終的な化合物の合成の間または合成の後に変更されることがある生理学的な条件(例えば、任意の酸性水素によって)下で容易に交換可能なものもある。なかには、容易に交換可能ではないものもあり、最終的な化合物の構築の間に、重水素化した出発原料または中間物を用いることで組み込まれるものがある。
【0032】
いくつかの実施形態では、構造(I)を有する化合物、あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩がさらに提供され、ここで、Z
3はOまたはSである。幾つかの実施形態では、QはSである。他の実施形態では、QはOである。特定の実施形態では、nは2である。幾つかの実施形態では、Wは、1−3のヘテロ原子を有するC
3−C
10複素環である。特定の実施形態においては、Wは、チオフェン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、および、ピラジンからなる群から選択される。例えば、化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0034】
幾つかの実施形態において、WはC
6−C
12アリールである。特定の実施形態では、Wはフェニルである。特定の実施形態では、Z
3はOまたはSであり、各々のR
2およびR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、ハロゲン、−CN、および、−CO
2Rからなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであり、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合され、幾つかの実施形態では、R
1は、1−3のヘテロ原子を有する、非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールである。特定の実施形態では、R
1は、非置換または置換ピリジンである。特定の実施形態では、R
1は、非置換ピリジンまたはC
1−C
6アルキル置換ピリジンである。特定の実施形態では、R
1は、非置換または置換ピリミジンである。幾つかの実施形態では、化合物は、R
4が水素である構造(I)を有する。幾つかの実施形態では、化合物は、各々のR
2およびR
3が、C
1−C
6アルキル、−CF
3、および、ハロゲンからなる群から独立して選択され、pが0、1または2である、構造(I)、あるいは、随意に、R
2とR
3が5〜7員の炭素環を形成するために結合される、構造(I)を有する。
【0035】
特定の実施形態では、構造(I)を有する化合物は、以下からなる群から選択される。
【0041】
幾つかの実施形態では、次のものからなる群から選択された構造(I)を有する化合物が提供される。
【0043】
幾つかの実施形態では、以下からなる群から選択された構造(I)を有する化合物が提供される。
【0045】
幾つかの実施形態では、構造(II)を有する化合物、
【0047】
あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩が提供され、
ここで、
Z
1およびZ
2の各々は、CH、N、または、NR
5からなる群から独立して選択され、ここで、R
5は水素または低級アルキルであり、
Z
3は、O、S、NまたはNR
5であり、ここで、R
5は、水素または低級アルキルであり、
各々のR
2およびR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、随意に置換されたC
3−C
12シクロアルキル、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
10複素環、随意に置換されたC
6−C
12アリール、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリール、CF
3、ハロゲン、CN、CONHR
6、および、CO
2R’からなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであり、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合され、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−−OH、NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHSO
2R
6、−−SO
2NHR
6、−−NHCOR
6、−−NH
2、−−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、S(O)
2R
6、−CO
2R
6、−CONR
6R
7、および、随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、R
6およびR
7は水素からなる群から独立して選択され、nは1または2であり、および、
R
8とR
9は、水素、ハロゲン、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、−OH、随意に置換されたC
1−C
6アルコキシ、−NR
10R
11、および、−SO
mR
12からなる群から独立して選択され、ここで、R
10とR
11は、水素、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−SO
2R
12、−S(O)R
12、および、−COR
12からなる群から独立して選択され、および、R
12は、随意に置換されたアルキルであるか、あるいは、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリールであり、mは0ー2である。
【0048】
幾つかの実施形態では、各々のR
2およびR
3が水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、ハロゲン、−CN、および、−CO
2Rからなる群から独立して選択され、R’が水素またはC
1−C
6アルキルであるか、あるいは、随意に、R
2とR
3が5〜7員の炭素環を形成するために結合される、構造(II)を有する化合物が提供される。いくつかの実施形態において、R
4は、水素である。幾つかの実施形態では、R
8とR
9は、随意に置換されたC
1−C
6アルコキシ、−NR
10R
11、および、−SO
mR
12からなる群から独立して選択され、mは0−2である。特定の実施形態において、R
8はC
1−C
6アルコキシまたは−SR
12である。幾つかの実施形態では、各々のR
2およびR
3は、C
1−C
6アルキル、−CF
3、および、ハロゲンからなる群から独立して選択され、pは0、1または2であるか、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合される。
【0049】
別の実施形態は、R
2とR
3が、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、ハロゲン、−CN、および、−CO
2R’からなる群から独立して選択され、ここで、R’が水素またはC
1−C
6アルキルである、構造(II)の化合物を提供する。
【0050】
特定の実施形態では、構造(II)を有する化合物は、以下からなる群から選択される。
【0056】
幾つかの実施形態では、以下からなる群から選択された構造(II)を有する化合物が提供される。
【0058】
幾つかの実施形態では、以下からなる群から選択された構造(II)を有する化合物が提供される。
【0060】
他の実施形態では、構造(III)を有する化合物、
【0062】
あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩が提供され、
ここで、
Z
1およびZ
2の各々は、CH、N、および、NR
5からなる群から独立して選択され、ここで、R
5は水素または低級アルキルであり、および、
Z
3は、O、S、NまたはNR
5であり、ここで、R
5は、水素または低級アルキルであり、
R
1は、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールであるか、あるいは、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールによって置換されたアルキルであり、
各々のR
2およびR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、随意に置換されたC
3−C
12シクロアルキル、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
10複素環、随意に置換されたC
6−C
12アリール、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリール、CF
3、ハロゲン、CN、CONHR
6、および、CO
2R’からなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであり、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合され、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−−OH、NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHSO
2R
6、−SO
2NHR
6、−NHCOR
6、−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、−CONR
6R
7、および、随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、R
6とR
7は、水素からなる群から独立して選択され、p=0−4であり、nは1または2である。
【0063】
いくつかの実施形態では、化合物は、Z3がOまたはSである、構造(III)を有する。幾つかの実施形態では、各々のR
2およびR
3は、C
1−C
6アルキル、−CF
3、および、ハロゲンからなる群から独立して選択され、pが0または1または2であるか、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合される。幾つかの実施形態では、R
1は、1−3のヘテロ原子を有する、非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールである。例えば、R
1は、非置換または置換ピリジンである。特定の実施形態では、R
1は、非置換ピリジンまたはC
1−C
6アルキル置換ピリジンである。他の実施形態では、R
1は、非置換または置換ピリミジンである。幾つかの実施形態において、R
4が水素である構造(III)を有する化合物が提供される。
【0064】
別の実施形態は、式(III)の構造を有する化合物を提供し、
ここで、
R
2とR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、ハロゲン、−CN、および、−CO
2R’からなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであり、および、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−OH、−NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHCOR
6、−−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、および、−CONR
6R
7からなる群から独立して選択され、ここで、R
6とR
7は、水素および随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、nは1または2である。幾つかの実施形態では、R
2とR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、ハロゲン、−CN、および、−CO
2Rからなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであり、および、R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−OH、−NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHCOR
6、−−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、S(O)
2R
6、−CO
2R
6、および、−CONR
6R
7からなる群から独立して選択され、ここで、R
6とR
7は、水素および随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択される。
【0065】
特定の実施形態では、構造(III)を有する化合物は、以下からなる群から選択される。
【0072】
幾つかの実施形態では、構造(III)を有する化合物は、
【0074】
であるか、あるいは、以下からなる群から選択される。
【0076】
幾つかの実施形態では、構造(IV)を有する化合物、
【0078】
あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩が提供され、
ここで、
Z
1およびZ
2の各々は、CH、NおよびNR
5からなる群から独立して選択され、ここで、R
5は水素または低級アルキルであり、
Z
3は、O、S、またはNR
5であり、ここで、R
5は、水素または低級アルキルであり、
R
1は、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールであるか、あるいは、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールによって置換されたアルキルであり、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−OH、−NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHSO
2R
6、−SO
2NHR
6、−NHCOR
6、−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、−CONR
6R
7、および、随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、ここで、R
6とR
7は、水素からなる群から独立して選択され、nは1または2であり、および、
R
13は、随意に置換されたN−(C
1−C
6アルキル)ピラゾリルであるか、あるいは、以下の構造からなる群から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、化合物は、nが2である、構造(IV)を有する。幾つかの実施形態では、Z
3はOまたはSである。特定の実施形態では、構造(IV)を有する化合物は、以下からなる群から選択される。
【0082】
他の実施形態では、構造(V)を有する化合物、
【0084】
あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩が提供され、
ここで、
R
1は、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールであるか、あるいは、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールによって置換されたアルキルであり、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−OH、−NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHSO
2R
6、−SO
2NHR
6、−NHCOR
6、−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、および、−CONR
6R
7からなる群から独立して選択され、ここで、R
6とR
7は、水素および随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、nは1または2であり、および、
R
14は、随意に置換されたC
1−C
12アルキル、随意に置換されたC
3−C
12シクロアルキル、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
10複素環、随意に置換されたC
6−C
12アリール、および、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0085】
特定の実施形態では、構造(V)を有する化合物は、以下からなる群から選択される。
【0087】
炭素水素結合はもともと、共有化学結合である。そのような結合は、同様の電気陰性度の2つの原子が価電子のいくつかを共有し、それによって、原子を結びつける力を生み出す際に、生成される。この力または結合強度は定量化され得、エネルギーの単位で表現され、そのため、様々な原子間の共有結合は、結合を切断したり、2つの原子を分離したりするために、どれだけのエネルギーが適用されなければならないかによって、分類され得る。
【0088】
結合強度は、結合の基底状態の振動エネルギーの絶対値に正比例する。ゼロポイント振動エネルギーとしても知られているこの振動エネルギーは、結合を形成する原子の質量に依存する。結合を形成する原子の1つまたは両方の質量が増加するにつれ、ゼロポイント振動エネルギーの絶対値は増加する。重水素(D)が水素(H)の2倍重いため、当然、C−D結合は、対応するC−H結合よりも強固なものとなる。C−D結合を含む化合物は、H
2Oにおいて高い頻度で無期限に安定していて、アイソトープの研究に広く使用されている。C−H結合が、化学反応における律速段階(すなわち、最も高い転移状態のエネルギーを用いる段階)の間に破壊される場合、その後、その水素の代わりに重水素を用いると、反応速度の減少を引き起こし、工程の進行は遅れる。この現象は重水素速度論的同位体効果(Deuterium Kinetic Isotope Effect)(DKIE)として知られており、約1から50またはそれ以上のような非常に大きな数にまでおよび、水素の代わりに重水素が用いられる際に、反応が50倍またはそれ以上遅くなることを意味している。高いDKIE値は、不確定性原理の結果である、トンネル現象として知られている現象によるところも一部にはある。トンネル現象は、水素原子の小ささに起因し、そして、プロトンに影響を与える遷移状態が、必要とされる活性化エネルギーが欠けている際にしばしば生じ得るため、生じる。重水素はより大きく、この現象を受ける可能性は統計的にはずっと低い。トリチウムと水素の置換は、依然として重水素よりも強固な結合をもたらし、数値的にさらに大きな同位体効果を与える。
【0089】
重水素(Dまたは
2H)は、水素の安定した非放射性の同位体で、2.0144の分子量を有する。重水素の天然存在度は、0.015%である。したがって、H原子を含むすべての化合物において、H原子は、実際にはHとDの混合物を表し、約0.015%がDである。重水素濃縮(Deuterium−enriched)化合物は、その水素カウンターパート(coutnter−parts)とは異なる分子量および/または大きさを有している。薬物動態(PK)プロファイル、薬力学(PD)プロファイル、および、毒性プロファイルを改善するための医薬品の重水素化は、いくつかのクラスの薬物によって以前に実証されている。例えば、DKIEは、塩化トリフルオロアセチルなどの反応種の産生をおそらく制限することによって、ハロタンの肝毒性を減らすために使用された。
【0090】
幾つかの実施形態では、構造(I)乃至(V)を有する本発明の化合物は、少なくとも1つの水素原子を重水素原子に取り替えることによって、重水素濃縮される。別の実施形態では、重水素濃縮は少なくとも約1%である。
【0091】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、構造Ia−Va、
【0093】
あるいは、そのN−オキシド、N,N’−ジオキシド、N,N’,N’’−トリオキシド、または、薬学的に許容可能な塩を有し、
ここで、
R’’は、HまたはDであり、
QはOまたはSであり、
Wは、1−3のヘテロ原子を有する、C
6−C
12アリールまたはC
3−C
12ヘテロアリールであり、
XおよびYの各々は、独立して存在しないか、あるいは、NHであり、
Z
1およびZ
2の各々は、CH、NおよびNR
5からなる群から独立して選択され、R
5は水素または低級アルキルであり、
Z
3は、O、S、またはNR
5であり、ここで、R
5は、水素または低級アルキルであり、
R
1は、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールであるか、あるいは、1−3のヘテロ原子を有する非置換または置換のC
3−C
12ヘテロアリールによって置換されたアルキルであり、
各々のR
2およびR
3は、水素、C
1−C
6アルコキシ、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、随意に置換されたC
3−C
12シクロアルキル、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
10複素環、随意に置換されたC
6−C
12アリール、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリール、CF
3、ハロゲン、CN、CONHR
6、および、CO
2R’からなる群から独立して選択され、ここで、R’は水素またはC
1−C
6アルキルであるか、あるいは、随意に、R
2とR
3は、5〜7員の炭素環を形成するために結合され、
R
4は、水素、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、−−OH、NO
2、−CN、C
1−C
6アルコキシ、−NHSO
2R
6、−SO
2NHR
6、−NHCOR
6、−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、−CONR
6R
7、および、随意に置換されたC
1−C
6アルキルからなる群から独立して選択され、ここでR
6とR
7は、水素からなる群から独立して選択され、nは1または2であり、
R
8とR
9は、水素、ハロゲン、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−CF
3、−OH、随意に置換されたC
1−C
6アルコキシ、−NR
10R
11、および、−SO
mR
12からなる群から独立して選択され、ここで、R
10とR
11は、水素、随意に置換されたC
1−C
6アルキル、−SO
2R
12、−S(O)R
12、および、−COR
12からなる群から独立して選択され、および、R
12は、随意に置換されたアルキル、または、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリールであり、mは0−2であり、
R
13は、随意に置換されたN−(C
1−C
6アルキル)ピラゾリル、あるいは、以下の構造からなる群から選択され、
【0095】
R
14は、随意に置換されたC
1−C
12アルキル、随意に置換されたC
3−C
12シクロアルキル、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
10複素環、随意に置換されたC
6−C
12アリール、および、1−3のヘテロ原子を有する随意に置換されたC
3−C
12ヘテロアリールからなる群から選択され、および、化合物の少なくとも1つの水素原子は重水素原子と取り替えられる。
【0096】
特定の実施形態では、化合物は、以下からなる群から選択される。
【0098】
幾つかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体において、構造(I)−(V)あるいは(Ia)−(Va)を有する化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0099】
他の実施形態では、構造(I)−(V)あるいは(Ia)−(Va)を有する化合物、および、その薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0100】
幾つかの実施形態では、リンパ管形成、血管形成、および/または腫瘍の成長を、抑える、予防する、または、阻害する方法が提供される。方法は、構造I−V、Ia−Vaの化合物、あるいは、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を含む医薬組成物に、腫瘍を接触させる工程を含む。
【0101】
II型阻害に必要な疎水性相互作用と特異な水素結合とによって、キナーゼ活性部位に隣接するアロステリック部位は、高度に保存されたヒンジ領域における活性キナーゼ立体構造とのみ相互作用するI型インヒビターの特異性を改善するために利用されてもよい。特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、PDGF受容体またはRAFキナーゼの選択的II型インヒビターである。特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、PDGFRα、PDGFRβ、Flt3、RAF(例えば、A−RAF、B−RAF、C−RAF)、および/または、c−Kitのアロステリックインヒビターである。
【0102】
<投与方法および治療計画の実施例>
1つの態様において、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を含有する組成物は、予防的処置および/または治療的処置のために投与される。治療適用において、組成物は、疾患、障害、または、疾病の症状を治すかまたは少なくとも部分的に進行を止めるのに十分な量で、疾患、障害、または疾病にすでに苦しんでいるヒト被検体に投与される。この使用に有効な量は、疾患、障害または疾病の重症度および経過、以前の治療、被検体の健康状態、体重、薬物への反応、および、治療に当たる医師の判断に依存する。
【0103】
予防適用において、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を含有する組成物は、特定の疾患、障害、もしくは疾病の影響を受け易く、または、さもなければ、その危険に曝されている患者に投与される。このような量は、「予防に有効な量または用量」と定義される。このような使用において、正確な量は、同様に患者の健康状態、体重などにも左右される。いくつかの実施形態において、患者に使用されると、この使用に有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および疾患の経過、以前の治療、患者の健康状態および薬への反応、ならびに、処置を行う医師の判断に左右される。
【0104】
いくつかの実施形態において、患者の状態が改善しない場合、医師の判断で、構造I−VまたはIa−Vaの化合物の投与は、患者の疾患、障害、または疾病の症状を改善させるか、または、さもなければ抑制または制限するために、慢性的に、すなわち、患者の寿命が尽きるまでの間を含む長期間、投与される。
【0105】
患者の状態が改善しない幾つかの実施形態では、医師の判断で、構造I−VまたはIa−Vaの化合物の投与は、連続的に与えられ、あるいは、投与される薬物の投与量は、特定の期間、一時的に減らされるか、一時的に中止される(すなわち、休薬期間)。他の実施形態において、休薬期間の長さは、ほんの一例として、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約10日、約12日、約15日、約20日、約28日、約35日、約50日、約70日、約100日、約120日、約150日、約180日、約200日、約250日、約280日、約300日、約320日、約350日、または、約365日を含む、2日から1年までの間で異なる。さらなる実施形態において、休薬期間中の投与量の減少は、ほんの一例として、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または、約100%を含む、約10%から約100%までの間である。
【0106】
ひとたび患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。続いて、他の実施形態において、投与量もしくは投与頻度、またはその両方は、その症状の機能として、改善された疾患、障害、または疾病が持続する量まで減らされる。さらなる実施形態では、しかしながら、患者は、任意の症状の再発時に長期的な間欠的処置を必要とする。
【0107】
他の実施形態において、このような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患、障害、または、疾病、および、その重症度、処置を必要としている被験体または宿主の疾患状態およびその重症度、アイデンティティ(例えば、体重)などの要因によって変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、処置される疾病、および、処置される被験体または宿主を含む、症例を取り囲む特定の環境に応じて定められる。いくつかの実施形態において、しかしながら、成人の処置に利用される投与量は、典型的には、1日当たり約0.02〜約5000mg、または、1日当たり約1〜約1500mgの範囲内である。さらなる実施形態において、所望の投与量は、単回投与で都合よく提供されるか、あるいは、同時に(もしくは短時間で)投与されるか、または、適切な間隔、例えば、一日に2回、3回、4回、またはそれ以上の下位投与量で投与される分割投与で都合よく提供される。
【0108】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形である。単位剤形において、製剤は、1またはそれ以上の化合物の適量を含む単位用量に分割される。他の実施形態において、単位用量は、製剤の分散量を含有するパッケージ形状である。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル剤、および、バイアルまたはアンプル中の粉末である。別の実施形態において、水性の懸濁組成物は、単回用量用の再密閉できない容器に包装される。さらなる実施形態において、複数回用量用の再密閉できる容器が使用され、この場合、組成物中に防腐剤を含めることが一般的である。ほんの一例として、非経口注射用の製剤は、単位剤形で提供され、これは防腐剤を添えたアンプルまたは複数回投与用の容器を含むが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書中に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物に適した1日の投与量は、体重あたり約0.01乃至約200mg/kgまでである。ヒトを含むが、ヒトに限定されない大型哺乳動物において表示される一日の投与量は、約0.5mgから約2000mgの範囲であり、限定されないが、一日に4度の複数回投与で、または、持続放出形態で、都合よく投与される。経口投与に適切な単位剤形は、約1mg−約200mgの活性成分を含む。個体の処置計画に関する変数の数が大きいため、前述の範囲はたんに示唆的なものでしかなく、このような推奨値からのかなりの逸脱はまれではない。さらなる実施形態において、このような投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患、障害、または疾病、投与様式、個々の被験体の要件、処置される疾患、障害、または疾病の重症度、および、専門家の判断などの、多くの変数によって変えられる。
【0110】
またさらなる実施形態において、このような処置計画の毒性および治療効果は、LD
50(個体群の50%致死量)およびED
50(個体群の50%における治療上有効な用量)の決定などを含むが、これらに限定されない、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手法によって定められる。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、実施形態によっては、LD
50とED
50との間の比率として表現される。他の実施形態において、ヒトに使用する投与量の範囲を策定する際に、細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータが用いられる。いくつかの実施形態において、このような化合物の投与量は、最小限の毒性を持つED
50を含む血中濃度の範囲内にある。またさらなる実施形態において、投与量は、採用される剤形と利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化する。
【0111】
幾つかの実施形態では、ヒト被験体における、癌、再狭窄、内膜過形成、繊維症、または、血管形成に依存した疾患を処置するための方法と組成物も提供される。方法は、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を、あるいは、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を含む医薬組成物を、必要としている患者に投与する工程を含む。特定の実施形態では、化合物は、PDGFRα、PDGFRβ、Flt3、RAF(例えば、A−RAF、B−RAF、C−RAF)、および/または、c−Kitのアロステリックインヒビターである。別の実施形態では、化合物は、C−RAFによるB−RAFの、または、C−RAFによるC−RAFのヘテロ二量体化を阻害する。特定の実施形態では、化合物は、PDGF受容体またはRAFキナーゼの選択的II型インヒビターである。幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、A−RAFを調節する。幾つかの実施形態では、本発明の化合物は、C−RAFのS338のリン酸化を阻害する。
【0112】
プロテインキナーゼドメインの複数の構造および配列相同性の研究は、触媒活性に必要な共通のモチーフであるものの一致を明らかにした。例によっては、これらは、ヌクレオチド(ATP)結合、金属イオン(Mg2+)結合に必要な残基、および、リン酸基転移に必要な残基を含む。3番目にもっとも一般的な機能ドメインを表す、518の既知のヒトプロテインキナーゼがある。興味深いことに、カイノームの約10%は、触媒作用に必要なモチーフの少なくとも1つを欠いたように見え、偽キナーゼ(pseudokinases)と呼ばれている。
【0113】
いくつかの研究によって、偽キナーゼドメインに影響を与える変異は、LKB1、Raf、および、Jak2を含む複数の臨床的に重要なキナーゼの、それぞれ、そのパートナーの偽キナーゼ制御因子、STRAD、KSR、および、Jak2 JH2ドメインによる、触媒活性の調節不全の基礎をなすこと示されている。これらの研究は、シグナル伝達の偽キナーゼ媒介性の調節不全と、癌および血液細胞の悪性腫瘍を含む多くの疾患との間の関連を与える。典型的な偽キナーゼは、STRADα、インテグリン結合キナーゼ(ILK)、HER3(ヒト表皮成長ファミリーにおける)、VRK3(ワクシニア関連キナーゼ3)、RAS(KSR)のキナーゼ抑制因子などを含んでいる。
【0114】
幾つかの実施形態では、ヒト被験体の眼を処置するための本明細書に記載される方法は、偽キナーゼに結合する本発明の化合物を必要としている患者に投与する工程を含む。特定の実施形態では、偽キナーゼはRASのキナーゼ抑制因子(KSR)である。
【0115】
幾つかの実施形態では、偽キナーゼを結合させる、構造I−V、Ia−Vaの化合物が提供される。特定の実施形態では、偽キナーゼはRAS(KSR)のキナーゼ抑制因子である。
【0116】
特定の実施形態では、癌は、プロテインキナーゼのI型に対して、耐性があるか、効果がないか、あるいは、反応しない。特定の実施形態では、癌は、全てのRAFキナーゼ薬剤に対して、または、ATP競合インヒビターに対して、耐性があるか、効果がないか、あるいは、反応しない。特定の実施形態では、癌は、ソラフェニブ、PLX4032、XL281、RAF265、885−A、ZM336372、L−779450、AZ628、AAL881、LBT613、MCP110、17−DMAG、CI1040、AZD6244/ARRY142886、PD0325901、SB590885、DP3346、および、DP2514から選択される薬物に対して、耐性があるか、効果がないか、あるいは、反応しない。特定の実施形態では、癌は、VEGF標的治療に対して、耐性があるか、効果がないか、あるいは、反応しない。特定の実施形態では、癌は、RAFキナーゼの変異形態に関連付けられる。RAFキナーゼの変異形態は、変異体T529I、T529N、G464A、G464E、G464V、G466A、G466E、G466V、G469A、G469E、N581S、E586K、F595L、G596R、L597V、L597R、T599I、V600E、および、K601Eから選択されたB−RAFキナーゼであってもよく、あるいは、RAFキナーゼの変異形態は、T421NおよびT421Iから選択されるC−RAFゲートキーパー変異(gatekeeper mutant)である。特定の実施形態では、癌は、メラノーマ、乳癌、結腸癌、膵臓癌、肺癌、腎臓癌、および、結腸癌から選択される。癌は、ストロマに富んだ腫瘍によって特徴付けられてもよい。特定の実施形態では、癌には、N−RAS、H−RAS、K−RAS、B−RAF(V600E)、B−RAF/Ras、HER1、p53、PTEN、および、PI3Kから選択される突然変異体または異常がある。特定の実施形態では、癌は、RAF−MEK−ERK経路のアップレギュレーションを示す。別の実施形態では、構造I−VまたはIa−Vaの化合物は、必要としている患者に経口で投与される。別の実施形態では、ヒト被験体には、抗血管新生療法、(他のキナーゼ(例えば、EGFR、HER2、HER4、MEK、VEGFR、c−MET、PI3K、AKTなど)を対象としたもののような)分子(molucularyly)標的療法、化学療法、または、放射線治療から選択される治療も与えられる。別の実施形態では、化合物にさらされるヒト被験体の反応は、C−RAFのS338のリン酸化の阻害によってモニターされる。
【0117】
幾つかの実施形態では、本明細書で提供される方法によって処置される癌は、限定されないが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫,および,奇形腫;肺:気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、非小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫(chondromatous hamartoma)、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫、ストロマ)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫(Karposi sarcoma)、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(Wilm’s tumor)[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、テラトーマ、胚性癌腫、テラトカルシノーマ、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌腫(interstitial cell carcinoma)、線維腫、線維腺腫、アデノマトイド腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝臓癌(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫腺腫、血管腫;骨:骨原性肉種(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫(chondromyxofibroma)、類骨腫、および、巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頚部異形成(pre−tumor cervical dysplasia))、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、子宮内膜性腫瘍、腹部芽細胞腫(celioblastoma)、明細胞癌、未分類の癌]、顆粒膜莢膜細胞腫、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫[胎児性横紋筋肉腫]、ファロピウス管(細胞腫);血液:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンのリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫(Karposi sarcoma)、奇胎、異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および、副腎:神経芽細胞腫。
【0118】
幾つかの実施形態では、急性骨髄性白血病(AML)および/または急性リンパ性白血病(ALL)は、単独療法または併用療法で構造I−VまたはIa−Vaの化合物を使用して処置される。
【0119】
再狭窄は、文字通り、狭窄症の再発、すなわち、血流の制限につながる血管の狭窄を意味する。再狭窄は、狭くなって、閉塞物を取り除くための処置を受け、その後、再度狭くなった、動脈または他の大きな血管を指すのが一般的である。これは、通常、動脈、または、他の血管、あるいは、恐らくは器官内の血管の再狭窄である。再狭窄は、一般的に、新生内膜過形成(NIH)として記載されたプロセスによる動脈の最終的な閉塞を生じる、バルーン血管形成、および/または、ステント留置に起因する。動脈損傷の後、PDGFRα/β(Englesbe et al(2004)J Vasc Surg 39,440−6)、および、MAPK経路の活性化(Li et al(2005)Circulation111,1672−8;Pintucci,et al(2006)Faseb J 20,398−400)の両方に依存することが先に示された、血管平滑筋細胞の過剰増殖が生じる。したがって、PDGFRβ/RAF(例えば、B−RAF)阻害の組み合わせは、NIHの理想的な治療法になる。本明細書で提供される構造I−VまたはIa−Vaの化合物は、選択されたPDGFRβ/RAF(例えば、B−RAF)インヒビターであってもよい。特定の実施形態では、本発明方法に従った再狭窄は、血管損傷後に内膜過形成によって推し進められる再狭窄である。
【0120】
用語「線維症」または「繊維化障害」は、本明細書に使用されるように、細胞、および/または、フィブロネクチン、および/または、コラーゲンの異常な蓄積、および/または、線維芽細胞の動員の増加に関連付けられるとともに、限定されないが、心臓、腎臓、肝臓、関節、肺、胸膜組織、腹膜組織、皮膚、角膜、網膜、筋骨格、および、消化管などの個々の器官または組織の線維症を含む、疾病のことを指す。
【0121】
繊維症を含む典型的な疾患、障害または疾病は、限定されないが、繊維症(例えば、特発性肺線維症、関節リウマチなどの全身炎症性疾患に伴う肺線維症、強皮症、ループス、原因不明の線維化性胞隔炎、放射線誘発繊維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症、慢性喘息、珪肺症、アスベスト誘発性肺線維症または胸膜線維症、急性肺損傷および急性呼吸窮迫(細菌性肺炎誘発性の、外傷誘発性の、ウイルス性肺炎誘発性の、人工呼吸器誘発性の、非肺敗血症誘発性の、および、吸引誘発性のものを含む);損傷/繊維症(腎繊維症)に関連付けられる慢性腎症、例えば、ループスおよび強皮症などの全身炎症疾患に伴う糸球体腎炎、糖尿病、糸球体腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、高血圧症、同種移植片、および、Alport;腸繊維症、例えば、強皮症、および、放射線誘発性腸繊維症;肝繊維症、例えば、肝硬変、アルコール誘発性の肝繊維症、非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH)、胆管損傷、原発性胆汁性肝硬変、感染またはウイルス誘発性の肝繊維症(例えば、慢性のHCV感染)、および、自己免疫性肝炎;頭頸部繊維症、例えば、放射線誘発性繊維症;角膜瘢痕、例えば、LASIK(レーザー支援インサイツ角膜曲率形成術)、角膜移植、線維柱帯切除術;肥厚性瘢痕およびケロイド、例えば、火傷誘発性または手術によるもの;および、他の繊維症疾患、例えば、サルコイドーシス、強皮症、脊髄損傷/繊維症、骨髄繊維症、血管再狭窄、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、混合性結合組織病、および、ペロニー病。特定の実施形態では、本発明の方法による繊維症は、肺線維症または肝繊維症である。
【0122】
1つの実施形態において、構造I−VまたはIa−Vaの化合物は、繊維症を処置するために使用される1またはそれ以上の他の薬剤を用いて、器官または組織の繊維症の、あるいは、器官または組織の繊維症を進行させる素因を備えた、ヒト被験体に投与される。1つの態様では、1つまたはそれ以上の薬剤は、コルチコステロイドを含む。別の態様では、1つまたはそれ以上の薬剤は、免疫抑制剤を含む。1つの態様では、1つまたはそれ以上の薬剤は、B細胞アンタゴニストを含む。別の態様では、1つまたはそれ以上の薬剤は、ウテログロビンを含む。
【0123】
特定の実施形態では、細胞中のASK1媒介性アポトーシスの阻害を予防するか、外因性のストレスに対して細胞を感作させるか、あるいは、MEK1/2および/またはERK1/2媒介性の細胞増殖または遊走を阻害するための方法が提供される。方法は、構造I−VまたはIa−Vaの化合物に、あるいは、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を含む医薬組成物に、腫瘍を接触させる工程を含む。
【0124】
RAFキナーゼは、内皮細胞におけるFGFRおよびVEGFR2シグナル伝達の下流の重要な収束点で、血管形成中の内皮細胞の生存に重大な役割を果たす。ストロマ区画(stromal compartment)は血管形成と腫瘍成長への主たる一因である。これは、血管を安定させて血管新生化を促進する、新しく形成される内皮に関連した周皮細胞を含む。PDGFRβは、適切な周皮細胞の機能を促進するために必要不可欠な受容体チロシンキナーゼ(RTK)であり、これは、血管を安定させて血管の成熟を可能にする。PDGFRβシグナル伝達は、新しく形成される血管に対する周皮細胞の動員、および、局所的な微小環境でのVEGFA、FGF2、および、Ang1のような血管形成促進分子の分泌を強化する。これは、血管の安定化と、未熟な血管網を高い秩序網へと再構築することを促進する。血管コンパートメントの維持は、PDGF−BBとFGF2の分泌などのようなパラクリンループ(paracrine loops)に依存して、それぞれ、VSMC上でのFGFR1、および、EC上でのPDGFRα/βの発現の増加をもたらす。したがって、壁および血管のコンパートメントの恒常性は、効率的な血管形成には重要である。ゆえに、これらの2つのコンパートメントを同時に阻害することで、血管形成の強力な阻害を始める。
【0125】
特定の実施形態では、化合物は、PDGFRα、PDGFRβ、Flt3、RAF(例えば、A−RAF、B−RAF、C−RAF)、および/または、c−Kitのアロステリックインヒビターである。別の実施形態では、化合物は、C−RAFによるB−RAFの、または、C−RAFによるC−RAFのヘテロ二量体化を阻害する。特定の実施形態では、化合物は、PDGF受容体またはRAFキナーゼ(例えば、B−RAFキナーゼ)の選択的なII型インヒビターである。特定の実施形態では、外部のストレスは、低酸素症、化学療法、放射線療法、または、グルコース/栄養素の飢餓から選択される。特定の実施形態では、本発明の方法による構造I−VまたはIa−Vaの化合物は、腫瘍血管新生におけるVEGFおよび/またはFGFに刺激された内皮の反応を遮断する。
【0126】
幾つかの実施形態では、プロテインキナーゼを阻害する方法が提供され、方法は、阻害濃度の構造I−VまたはIa−Vaの化合物に、あるいは、構造I−VまたはIa−Vaの化合物を含む医薬組成物に、プロテインキナーゼを接触させる工程を含む。
【0127】
<特定の薬学および医学用語>
製剤、組成物または成分に関する用語「許容可能な」は、本明細書で使用されるように、処置されている被験体の一般的な健康に対する持続的な悪影響がないことを意味する。
【0128】
用語「アンタゴニスト」は、本明細書で用いられるように、別の分子の作用または受容体部位の活性を減少させ、抑制し、または、妨げる化合物などの分子を指す。アンタゴニストは、競合的アンタゴニスト、非競合的アンタゴニスト、不競合的アンタゴニスト、半アゴニスト、または、逆アゴニストを含むが、これらに限定されない。
【0129】
競合的アンタゴニストは、内因性リガンドまたはアゴニストと同じ結合部位(活性部位)で受容体に可逆的に結合するが、受容体を活性化しない。
【0130】
アロステリックインヒビター(非競合的アンタゴニストとしても知られている)は、アゴニストから明確に分離された結合部位に結合し、他の結合部位を介してその受容体に作用を及ぼす。非競合的アンタゴニストは、結合のためにアゴニストと競合しない。結合したアンタゴニストは、受容体のアゴニストの親和性を低下させるか、または、代替的に、アゴニストの結合後に受容体活性化に必要とされる受容体の構造変化を妨げてもよい。
【0131】
用語「癌」は、本明細書で使用されるように、制御されない方法で増殖する傾向にあり、場合によっては、転移(拡大)する傾向がある、細胞の異常な増殖を指す。癌の種類は、固形腫瘍(膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓、または他の内分泌臓器(甲状腺)、前立腺、皮膚(メラノーマ)、または、血液系腫瘍(白血病など)などの腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0132】
用語「担体」は、本明細書で使用されるように、細胞または組織へ化合物を組み込むのを促進する、相対的に無毒な化学化合物または薬剤を指す。
【0133】
用語「同時投与」などは、本明細書で使用されるように、一人の患者に対する選択された治療薬の投与を包含することを意味し、治療薬が同じまたは異なる投与経路によって、あるいは、同じまたは異なる時間に、投与される、処置計画を含むように意図される。
【0134】
用語「希釈剤」は、送達前に対象となる化合物を希釈するために使用される化学化合物を指す。希釈剤は、より安定した環境を提供できるので、化合物を安定させるためにも使用され得る。緩衝液中に溶解する塩(これは、pHの制御または維持を提供することもできる)は、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩溶液を含む、当該技術分野の希釈剤として利用される。
【0135】
用語「有効な量」または「治療上有効な量」は、本明細書で使用されるように、処置されている疾患または疾病の1またはそれ以上の症状をある程度和らげる、投与される十分な量の薬剤または化合物を指す。その結果、疾患の徴候、症状、または、原因を、減少および/または軽減し、あるいは、生物系の任意の他の所望の変化をもたらし得る。例えば、治療上の使用のための「有効な量」は、疾患の症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。適切な「有効な」量は、いかなる個体の場合でも、用量増加試験などの技術を使用して定められてもよい。
【0136】
用語「増強する(enhannce)」または(enhancing)」は、本明細書で使用されるように、効力または持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増加させるか、または、延長することを意味する。従って、治療薬の効果を増強することに関して、用語「増強」は、効力または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療薬の効果を増加または延長する能力を指す。「増強する有効な量」は、本明細書で使用されるように、所望の系において別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0137】
本明細書に開示される化合物の「代謝物質」は、化合物が代謝される際に形成される、その化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物が代謝される時に形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝される」は、本明細書で使用されるように、有機体によって特定の物質が変化する(限定されないが、加水分解反応および酵素により触媒される反応などを含む)工程の全体を指す。従って、酵素は、化合物への特定の構造的変化をもたらし得る。例えば、チトクロームP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および、遊離スルフィヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の転移を触媒する。本明細書で開示の化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与および宿主から採取した組織サンプルの解析により、または、肝細胞を含む化合物のインビトロでのインキュベーション、および、得られた化合物の分析のいずれかにより、随意に同定される。
【0138】
用語「薬学的な組み合わせ」は、本明細書で使用されるように、1以上の活性成分の混合または組み合わせに由来する生成物を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されない組み合わせの両方を含む。用語「固定された組み合わせ」は、活性成分、例えば、構造I−VまたはIa−Vaの化合物と助剤の両方が、単一の存在または単回用量の形態で患者に同時投与されることを意味する。用語「固定されない組み合わせ」は、活性成分、例えば、構造I−VまたはIa−Vaの化合物と助剤が、具体的な介在時間の制限なく、同時に、平行して、または、連続して別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与は患者の体に有効なレベルの2つの化合物を提供する。後者の用語は、カクテル療法、例えば、3またはそれ以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0139】
用語「医薬組成物」は、(本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの)化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または、賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、有機体への化合物の投与を促進する。化合物を投与する技術の多くは、次のものを含むが、これらに限定されない技術に存在する。即ち、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼、肺、および、局所への投与。
【0140】
用語「被験体」または「患者」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、哺乳動物のクラスの任意のメンバー:ヒト、チンパンジーのようなヒト以外の霊長類、および、他の類人猿およびサル類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、および、ネコなどの飼育動物、ラット、マウスおよびモルモットなどのような、げっ歯類を含む、実験動物を含む。1つの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0141】
用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置(treatment)」は、本明細書で使用されるように、予防的および/または治療的に、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を軽減、寛解、または、改善すること、追加の症状を予防すること、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を遅らせること、疾患または疾病を和らげること、疾患または疾病を退行させること、疾患または疾病によって引き起こされる状態を和らげること、または、疾患または疾病の症状を止めることを含む。
【0142】
<投与経路>
適切な投与経路は、経口投与、静脈内投与、直腸投与、エアロゾル投与、非経口投与、経眼投与、経肺投与、経粘膜投与、経皮投与、膣内投与、経耳投与、経鼻投与、および、局所投与を含むが、これらに限定されない。加えて、ほんの一例として、非経口送達は、くも膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、リンパ内、および、鼻腔内の注入だけでなく、筋肉内、皮下、静脈内、髄内の注入も含む。
【0143】
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、しばしばデポ製剤または持続放出性製剤で、例えば、器官への直接的な化合物の注射を介して、全身よりもむしろ局所に投与される。具体的な実施形態において、長期間作用型製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内に)または筋肉内注射により投与される。さらに、他の実施形態において、薬物は、標的とする薬送達系、例えば、抗臓器抗体(organ−specific antibody)でコーティングしたリポソームにおいて、送達される。このような実施形態において、リポソームは、臓器を標的とし、臓器によって選択的に取り込まれる。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、急速放出製剤の形態、拡張放出製剤の形態、または、中間放出製剤の形態で提供される。さらに他の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、局所的に投与される。
【0144】
<医薬組成物/製剤>
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、医薬組成物に処方される。具体的な実施形態において、医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用可能な製剤へと処理するのを促進する賦形剤および助剤を含む、1またはそれ以上の生理学的に許容可能な担体を用いて、従来の方式で処方される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。薬学的に許容可能なあらゆる技術、担体、および、賦形剤は、本明細書に記載の医薬組成物を処方するのに適したものとして使用される。Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;および、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)(Lippincott Williams & Wilkins1999)。
【0145】
化合物(すなわち、本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)と薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、または、担体とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。特定の実施形態において、記載される化合物は、化合物(すなわち、本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)が併用療法におけるように他の活性部分と混合される医薬組成物として投与される。以下の区分とこの開示の至る所にある併用療法において説明される、活性分子(actives)の全ての組み合わせが、本明細書に含まれる。具体的な実施形態において、医薬組成物は、1またはそれ以上の化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)を含む。
【0146】
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、化合物(例えば、本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘安定剤、および/または、賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。特定の実施形態において、医薬組成物は、有機体への化合物の投与を容易にする。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される処置方法または使用を行うことで、治療上有効な量の化合物(すなわち、本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)は、処置されるべき疾患または疾病を有する哺乳動物に対して医薬組成物で投与される。具体的な実施形態において、哺乳動物はヒトである。特定の実施形態において、治療上有効な量は、被験体の疾患の重症度、年齢、および、相対的な健康状態、使用される化合物の効力、および、他の因子に依存して変化する。本明細書に記載される化合物は、単一で、または、混合物の成分としての1またはそれ以上の治療薬と組合わせて、使用される。
【0147】
1つの実施形態において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)は、水溶液で処方される。具体的な実施形態において、水溶液は、ほんの一例として、ハンクス溶液、リンガー溶液、または、生理的食塩水などの生理的に適合する緩衝液から選択される。他の実施形態において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)は、経粘膜投与のために処方される。具体的な実施形態において、経粘膜製剤は、浸透されるバリアにとって適切な浸透剤を含む。本明細書に記載の化合物が他の非経口投与のために処方されるさらに他の実施形態において、適切な製剤は、水溶性または非水溶性の溶液を含む。特定の実施形態において、そのような溶液は、生理学的に適合する緩衝液および/または賦形剤を含む。
【0148】
別の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、経口投与のために処方される。化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)を含む本明細書に記載の化合物は、例えば、薬学的に許容可能な担体または賦形剤などと、活性な化合物を混合させることによって処方される。様々な実施形態において、本明細書に記載の化合物は、ほんの一例として、錠剤、粉剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤などを含む、経口の投与形態で処方される。
【0149】
具体的な実施形態において、経口使用の医薬調製物は、1またはそれ以上の固体の賦形剤を、本明細書中に記載されている1またはそれ以上の化合物と混合することによって、随意に結果として得られた混合物を任意に粉砕することによって、および、錠剤または糖衣錠コア(dragee cores)を得るために、必要に応じて、適切な助剤を添加した後に、顆粒の混合物を処理することによって、得られる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、ショ糖、マンニトール、または、ソルビトールを含む砂糖などの充填剤;次のもののようなセルロース製剤:例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、じゃがいもデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;あるいは、次のもののような他のもの:ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウム。具体的な実施形態において、崩壊剤は任意に加えられる。崩壊剤は、ほんの一例として、架橋結合したクロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸、あるいは、アルギン酸ナトリウムなどのその塩を含む。
【0150】
1つの実施形態において、糖衣錠コアや錠剤などの剤形は、1またはそれ以上の適切なコーティングで提供する。具体的な実施形態において、濃縮糖液は、剤形をコーティングするために使用される。糖液は、ほんの一例として、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または、二酸化チタン、ラッカー溶液、および、適切な有機溶媒または混合溶媒などの追加成分を任意に含む。染料および/または色素は同様に、同定目的のため、コーティングに任意に加えられる。さらに、染料および/または色素は、活性な化合物の投与量の異なる組み合わせを特徴づけるため任意に利用される。
【0151】
特定の実施形態において、本明細書中に記載されている少なくとも1つの治療上有効な量の化合物は、他の経口剤形で処方される。経口剤形は、ゼラチン製の柔らかい密封されたカプセル剤のみでなく、ゼラチン製の押し込み型のカプセル剤、および、グリセロールやソルビトールなどの可塑剤を含む。具体的な実施態様において、押し込み型のカプセル剤は、1またはそれ以上の充填剤と混合させた活性成分を含む。充填剤は、ほんの一例として、ラクトース、デンプンなどの結合剤、および/または、タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および、任意に安定剤を含む。他の実施形態において、軟カプセル剤は、適切な液体中で溶解または懸濁された1またはそれ以上の活性な化合物を含む。適切な液体は、ほんの一例として、1またはそれ以上の脂肪油、流動パラフィン、または、液体ポリエチレングリコールを含む。加えて、安定剤が任意に加えられる。
【0152】
他の実施形態において、本明細書中に記載される治療上有効な量の少なくとも1つの化合物は、口腔投与または舌下投与のために処方される。口腔投与または舌下投与に適した製剤は、ほんの一例として、錠剤、ロゼンジ剤、または、ゲル剤を含む。さらに他の実施態様において、本明細書中に記載される化合物は、ボーラス注入または持続注入に適した製剤を含む、非経口注入のために処方される。具体的な実施形態において、注入用製剤は、単位剤形で(例えば、アンプルで)、または、複数回用量容器で提供される。保存剤は任意に注入製剤に加えられる。さらなる他の実施形態において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)の医薬組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の、滅菌の懸濁剤、溶剤、または、エマルションとして、非経口注入に適した形態で処方される。非経口注入製剤は、懸濁剤、安定剤、および/または、分散剤などの処方剤(formulatory agent)を任意に含む。具体的な実施形態において、非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態の活性な化合物の水溶液を含む。追加の実施形態において、活性な化合物の懸濁剤は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。本明細書に記載されている医薬組成物で使用される適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ほんの一例として、ごま油などの脂肪油、または、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、あるいは、リポソームを含む。1つの具体的な実施形態において、水性注入懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、または、デキストランのような懸濁剤の粘度を増加させる物質を含む。懸濁剤は、高濃縮溶液の調製を可能にするため、化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤を任意に含む。あるいは、他の実施形態において、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水で構成するための粉末形態である。
【0153】
1つの態様において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)は、本明細書に記載された、または、当該技術で知られている、非経口注射のための溶液として調製され、自動注入器で投与される。米国特許番号第4,031,893号、第5,358,489号、第5540664号、第5,665,071号、第5,695,472号、および、WO/2005/087297号(その各々は、そのような開示のために参照することによって本明細書に組み込まれる)に示されるような自動注入器が知られている。一般に、自動注入器はすべて、注入される化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)を含む大量の溶液を含んでいる。一般に、自動注入器は、薬物を送達するための注射針と流体連通している、溶液を維持するためのリザーバー(reservoir)と、自動的に注射針を展開させて、患者に注射針を挿入し、患者へ投与量を送達するための機構とを含む。典型的な注入器は、1mLの溶液あたり、0.5mg乃至10mgの化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)の濃度で、約0.3 mLの溶液を提供する。注射器はそれぞれ、化合物を1回分だけ送達することができる。
【0154】
さらに他の実施形態において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)は局所的に投与される。本明細書中に記載されている化合物は、溶液、懸濁剤、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック、バーム、クリーム、または、軟膏といった様々な局所投与可能な組成物に処方される。そのような医薬組成物は、可溶化剤、安定剤、等張増強剤、緩衝剤、および、保存料を任意に含む。
【0155】
さらに他の実施形態において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)は、経皮投与のために処方される。具体的な実施形態において、経皮製剤は、経皮送達装置および経皮送達パッチを利用し、ポリマーまたは粘着剤中に溶解および/または分散した親油性エマルションまたは緩衝水溶液であってもよい。様々な実施形態において、このようなパッチは、医薬品の連続送達、パルス送達、または、オンデマンド送達に合わせて構築される。更なる実施形態において、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)の経皮送達は、イオン泳動性パッチなどの手段により達成される。特定の実施形態において、経皮パッチは、化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)の制御送達を提供する。具体的な実施形態において、吸収速度は、律速膜(rate−controlling membrane)を使用することで、または、化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルの中に閉じ込めることで、低減される。代替的な実施形態において、吸収促進剤は、吸収性を高めるために使用される。吸収促進剤または担体は、皮膚を介する通過を補助する、薬学的に許容可能な吸収性溶媒を含む。例えば、1つの実施形態において、経皮装置は、裏当て部材(backing member))と、任意に担体を備える、任意に長時間にわたって、制御された所定の速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための律速用バリアを任意に含む、化合物を含んだリザーバーと、および、皮膚に装置を固定する手段とを含む、包帯の形態である。
【0156】
本明細書に記載の経皮製剤は、当該技術分野で記載された様々な装置を用いて投与される。例えば、そのような装置は、限定されないが、米国特許第3,598,122号、米国特許第3,598,123号、米国特許第3,710,795号、米国特許第3,731,683号、米国特許第3,742,951号、米国特許第3,814,097号、米国特許第3,921,636号、米国特許第3,972,995号、米国特許第3,993,072号、米国特許第3,993,073号、米国特許第3,996,934号、米国特許第4,031,894号、米国特許第4,060,084号、米国特許第4,069,307号、米国特許第4,077,407号、米国特許第4,201,211号、米国特許第4,230,105号、米国特許第4,292,299号、米国特許第4,292,303号、米国特許第5,336,168号、米国特許第5,665,378号、米国特許第5,837,280号、米国特許第5,869,090号、米国特許第6,923,983号、米国特許第6,929,801号、および、米国特許第6,946,144号を含む。
【0157】
本明細書に記載の経皮剤形は、当該技術分野では従来技術である、特定の薬学的に許容可能な賦形剤を組み込んでもよい。1つの実施形態において、本明細書に記載される経皮製剤は、少なくとも3つの成分:(1)化合物(すなわち、本明細書に記載される構造I−VまたはIa−Vaの化合物)の製剤;(2)浸透促進剤;および、(3)水性の補助薬を含む。加えて、経皮製剤は、例えば、ゲル化剤、クリーム、および軟膏基剤などの追加化合物を含み得るが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、経皮製剤は、吸収を促進するとともに皮膚から経皮製剤が取り除かれることを防ぐために、織り込まれた裏地または不織裏地さらに含む。他の実施形態において、本明細書に記載の経皮製剤は、肌への拡散を促進するために、飽和状態または過飽和状態を維持する。
【0158】
他の実施形態では、構造I−VまたはIa−Vaの化合物は、吸入による投与のために処方される。吸入による投与に適した様々な形態は、エアロゾル、ミスト、または粉末を含むが、これらに限定されない。構造I−VまたはIa−Vaの化合物の医薬組成物は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または、その他の適したガス)を使用して、加圧パック(pressurized packs)または噴霧器からエアロゾルスプレー形態で都合よく送達され決定される。具体的な実施形態において、加圧されたエアロゾルの投与量単位は、計量された量を送達するバルブを提供することによって決定される。特定の実施形態において、ほんの一例として、吸入器または注入器で使用するためのゼラチンなどのカプセル剤および薬包は、化合物の粉末混合、および、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤を含むように処方される。
【0159】
経鼻製剤は従来技術で知られており、例えば、米国特許番号第4,476,116号、第5,116,817号、および、第6,391,452号に記載されており、その各々は参照によって具体的に組み込まれる。化合物(本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)を含む製剤は、従来技術で周知のこれらの技術や他の技術に従って調整されるが、これらの製剤は、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存料、フルオロカーボン、および/または、従来技術で知られている可溶化剤または分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製される。例えば、Ansel, H.C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed.(1995)を参照されたい。好ましくは、これらの組成物および製剤を、適切で毒性のない、薬学的に許容可能な成分を用いて調製する。これらの成分は、当該技術分野で標準的な参考文献である、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、21st edition,2005などのソースで見られる。適切な担体の選択は、所望の鼻腔剤形(例えば、溶液、分散液、軟骨剤、またはゲル)の正確な性質に大きく依存している。一般的に、鼻腔剤形は、活性成分に加えて大量の水を含有している。pH調節剤、乳化剤または分散剤、保存料、界面活性剤、ゲル化剤、または、緩衝剤、および、他の安定剤および可溶化剤などの少量の他の成分も同様に存在してもよい。好ましくは、鼻腔剤形は、鼻からの分泌物と等張でなければならない。
【0160】
吸入による投与に関して、本明細書に記載の化合物は、エアロゾル、噴霧、または、粉末としての形態であってよい。本明細書に記載の医薬組成物は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または、他の適切な気体)を用いて、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルの噴霧という形態で効果的に送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位は、測定された量を送達するためのバルブを提供することによって決定される。ほんの一例として、吸入器または吸入器で使用するためのゼラチンなどのカプセル剤および薬包は、本明細書に記載の化合物の粉末混合物、および、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤を含むように処方されてもよい。
【0161】
さらなる他の実施形態において、構造I−VまたはIa−Vaの化合物は、ポリビニルピロリドン、PEGなどの合成ポリマーだけでなく、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐薬用基剤を含む、浣腸剤、直腸用ゲル剤、直腸用気泡剤、直腸用エアロゾル、坐薬、ゼリー状坐薬、または、停留浣腸剤(retention enemas)などの直腸用組成物で処方される。組成物の坐薬形態において、限定されないが、脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、随意にココアバターと組み合わされて最初に融解する。
【0162】
特定の実施形態において、医薬組成物は、薬学的に使用し得る製剤へと活性化合物を処理するのを促進する賦形剤および補助剤を含む1またはそれ以上の生理的に許容可能な担体を用いて、任意の従来の手法で処方される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。薬学的に許容可能なあらゆる技術、担体、および、賦形剤は、適切に、かつ、当技術分野で理解されているように任意に使用される。化合物(本明細書に記載のアロステリックキナーゼインヒビター)を含む医薬組成物は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、造粒、ドラジェー製法、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、または、圧縮プロセスによるなどして、従来の様式で製造されてもよい。
【0163】
医薬組成物は、活性成分として、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または、賦形剤、および、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物(すなわち、本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)を含む。活性成分は、遊離酸形態または遊離塩基形態、あるいは、薬学的に許容可能な塩の形態である。加えて、本明細書に記載される方法および医薬組成物は、N−酸化物、結晶型(多形体としても知られている)に加え、同じタイプの活性を備えるこれら化合物の活性代謝物の使用を含む。本明細書に記載されている化合物の全ての互変異性体は、本明細書で提示される化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載される化合物は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和形態のみでなく、非溶媒和形態も含む。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態も、本明細書で開示されるものとみなされる。加えて、医薬組成物は、保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤などの他の医薬品または治療剤、担体、アジュバント、溶解促進剤、浸透圧を調整する塩、緩衝剤、および/または、他の治療上有効な物質を任意に含む。
【0164】
本明細書に記載される化合物を含む組成物の調製方法は、固体、半固体、または、液体を形成するために、1またはそれ以上の不活性な薬学的に許容可能な賦形剤または担体とともに、化合物を処方する工程を含む。固体組成物は、粉剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル剤、カシェ剤、および、坐薬を含むが、これらに限定されない。液体組成物は、化合物を溶解した溶液、化合物を含むエマルション、あるいは、本明細書で開示される化合物を含むリポソーム、ミセル、または、ナノ粒子を含む溶液を含む。半固体組成物は、ゲル剤、懸濁剤、および、クリームを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載される医薬組成物の形態は、液体溶液または懸濁液、使用前の液体への溶解または懸濁に適した固形形態、または、エマルションを含む。これらの組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの微量の非毒性補助物質も任意に含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化合物(すなわち、構造I−VまたはIa−Vaの化合物)を含む医薬組成物は、実例として、薬剤が溶液、懸濁液、またはその両方に存在するような液体の形態を取る。一般的に組成物が溶液または懸濁液として投与されると、薬剤の第一の部分は溶液中に存在し、薬剤の第二の部分は液体マトリックス中の懸濁液で粒子形態で存在する。いくつかの実施形態において、液体組成物はゲル製剤を含む。他の実施形態において、液体組成物は水性である。
【0166】
特定の実施形態において、医薬品の水溶性懸濁液は、懸濁剤として1またはそれ以上のポリマーを含む。ポリマーは、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマーと、架橋カルボキシル含有ポリマーなどの非水溶性ポリマーを含む。本明細書中に記載される特定の医薬組成物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、および、デキストランから選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
【0167】
医薬組成物は、化合物(すなわち、本明細書に記載の構造I−VまたはIa−Vaの化合物)の溶解度に役立つように随意に可溶化剤も含む。「可溶化剤」という用語は、一般的に、薬剤のミセル溶液または真性溶液を結果としてもたらす薬剤を含む。特定の許容可能な非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート80は、可溶化剤として役立ち、眼科用として許容可能なグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400、および、グリコールエーテルとしても役立つ。
【0168】
さらに、医薬組成物は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および、塩酸などの酸を含む、1またはそれ以上のpH調節剤または緩衝剤;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、および、トリス−ヒドロキシメチルアミノメタンのような塩基;ならびに、クエン酸塩/ブドウ糖、炭酸水素ナトリウム、および、塩化アンモニウムのような緩衝液を随意に含む。このような酸、塩基、および、緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することに必要とされる量で含まれる。
【0169】
さらに、医薬組成物は、組成物の浸透圧を許容可能な範囲にするために必要とされる量で、1またはそれ以上の塩を任意に含む。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、または、アンモニウムカチオン、および、塩化物アニオン、クエン酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、重炭酸アニオン、硫酸アニオン、チオ硫酸アニオン、または、亜硫酸水素アニオンを有するものを含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および、硫酸アンモニウムを含む。
【0170】
他の医薬組成物は、微生物の活性を阻害するために、1またはそれ以上の保存料を任意に含む。適切な保存料は、merfenとチオマーサルのような水銀含有物質;安定した二酸化塩素;および、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および、塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物を含む。
【0171】
さらなる他の医薬組成物は、物理的安定性を高めるために、または、他の目的のために、1またはそれ以上の界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、および、例えば、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油等の植物油;ならびに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40などのアルキルフェニルエーテルを含む。
【0172】
さらなる他の医薬組成物は、必要な場合に、化学安定性を高めるために、1またはそれ以上の抗酸化剤を含んでもよい。適切な抗酸化剤は、ほんの一例として、アスコルビン酸および二亜硫酸ナトリウムを含む。
【0173】
特定の実施形態において、医薬品の水性懸濁液組成物は、単回投与用の再密閉できない容器に包装される。あるいは、複数回投与用の再密閉できる容器が使用され、この場合、組成物中に防腐剤を含めることが一般的である。
【0174】
代替的な実施形態において、疎水性医薬品のための他の送達系が用いられる。リポソームおよびエマルションは、本明細書の送達用ビヒクルまたは担体の例である。特定の実施形態において、N−メチルピロリドンなどの有機溶媒も利用される。追加の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、治療薬剤を含む固体の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出系を用いて送達される。様々な持続放出材料が本明細書で役立つ。いくつかの実施形態において、持続放出カプセル剤は、数時間から24時間までの間、化合物を放出する。治療試薬の化学的性質と生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のための追加方策が用いられてもよい。
【0175】
特定の実施形態において、本明細書に記載される製剤は、1またはそれ以上の抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、および/または、他の一般的な安定剤を含む。
これら安定剤の例としては、限定されるものではないが、(a)約0.5%w/vから約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%w/vから約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%w/vから約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mMから約10mMのEDTA、(e)約0.01%w/vから約2%w/vのアスコルビン酸、(f)約0.003%w/vから約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)約0.001%w/vから約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリノイド、(m)マグネシウムと亜鉛のような二価カチオン;または、(n)それらの組み合わせが挙げられる。
【0176】
他に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、主張される主題に関連する標準的な意味を有する。本明細書における用語に複数の意味がある場合、この部分の意味が優先する。URLまたは他のこのような識別子またはアドレスに関して述べられる際、このような識別子は変化可能であり、インターネット上の特定の情報は現れたり消えたりするが、同等の情報はインターネットを検索することで発見され得ることを理解されたい。これらを参照することによって、このような情報の利用可能性および公共の普及が確証される。
【0177】
当然のことながら、前述の一般的な記載とその後の詳細な記載は、例示的なものであり、主張される任意の主題を限定するものでない。本出願では、単数の使用は、特に別記しない限り、複数を含んでいる。明細書および添付の請求項内で用いられる通り、単数形「a」、「an」および「the」は、その文脈が他に明確に指示していない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本出願において、「または」の使用は特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含んでいる(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、限定的なものではない。
【0178】
特に指示がない限り、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術、および、薬理学の従来の方法が用いられる。具体的に定義されない限り、分析化学、有機合成化学、医薬、および、薬化学に関連して用いられる正式名称と、分析化学、有機合成化学、医薬、および、薬化学の標準的な検査法ならびに技術とが、用いられる。特定の例において、標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬製剤、処方および送達、ならびに、患者の処置に使用される。特定の実施形態において、標準的な技術は、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および、組織の培養と形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に、使用される。いくつかの実施形態において、反応および精製技術は、例えば、製造者の仕様書のキットを用いて行われるか、あるいは、本明細書に記載の通りに一般的に行われる。
【0179】
本出願および添付の請求項の全体にわたって使用されるように、以下の用語は、次の通りの意味を有する。
【0180】
本明細書に使用されるように、用語「アルケニル」は、直鎖、分岐鎖、または、2−10の炭素を含有し、かつ、2つの水素を取り除くことで形成される少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含有する、環状の(その場合には、「シクロアルケニル」としても知られているだろう)炭化水素を意味する。いくつかの実施形態において、構造によっては、アルケニル基は、モノラジカルまたはジラジカル(即ち、アルケニレン基)である。いくつかの実施形態において、アルケニル基は任意に置換される。アルケニルの典型的な例は、限定されないが、エチル,2−プロペニル,2−メチル−2−プロペニル,3−ブテニル,4−ペンテニル,5−ヘキセニル,2−ヘプテニル,2−メチル−1−ヘプテニル,および、3−デセニル(cecenyl)を含む。
【0181】
本明細書に使用されるような用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるようなアルキル基を意味する。アルコキシの実例は、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチロキシ、およびヘキシロキシを含む。
【0182】
本明細書に使用されるような用語「アルキル」は、直鎖、分枝鎖、または1乃至10の炭素原子を含有する環式(この場合、「シクロアルキル」としても知られる)の炭化水素を意味する。低級アルキルは、1乃至6の炭素原子を含有するアルキルを指す。アルキルの実例は、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、およびn−デシルを含む。
【0183】
本明細書に使用されるような用語「C
1−C
6アルキル」は、直鎖、分枝鎖、または1乃至6の炭素原子を含有する環式(この場合、「シクロアルキル」としても知られる)の炭化水素を意味する。アルキルの代表的な例は、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、シクロピル(cyclopyl)、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、およびn−ヘキシルを含む。
【0184】
本明細書に使用されるような用語「シクロアルキル」は、炭素と水素のみを含有する単環式または多環式のラジカルを意味し、飽和、一部不飽和、完全不飽和のそれらを含む。シクロアルキル基は、3乃至10の環状原子を有する基を含む。環式の代表的な例は、限定されないが、以下の部分を含む:
【0186】
幾つかの実施形態において、構造次第で、ヘテロシクロアルキル基は、モノラジカルまたはジラジカル(例えば、ヘテロシクロアルキレン基)となる。
【0187】
本明細書に使用されるような用語「シクロアルキル基」は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アルキニル、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキレン、メルカプト、オキソ、−NR
AR
A、および(NR
AR
B)カルボニルから選択される1、2、3、または4の置換基によって随意に置換される群を指す。
【0188】
本明細書に使用されるような用語「シクロアルキルアルキル」は、本明細書に定義されるように、アルキル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、シクロアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの代表的な例は、限定されないが、シクロプロピルメチル、2−シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、および4−シクロヘプチルブチルを含む。
【0189】
本明細書に使用されるような用語「炭素環式(carbocyclic)」は、1以上の共有結合した環状構造を含有し、環のバックボーンを形成する原子がすべて炭素原子である、化合物を指す。
【0190】
本明細書に使用されるような用語「炭素環式化合物(carbocycle)」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、環を指す。炭素環式は、3、4、5、6、7、8、9、または9より多い炭素原子によって形成されるものを含む。炭素環式化合物は随意に置換される。
【0191】
本明細書に使用されるような用語「アルコキシアルキル」は、本明細書に定義されるように、アルキル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、少なくとも1つのアルコキシ基を意味する。アルコキシアルキルの実例は、限定されないが、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、tert−ブトキシエチルおよびメトキシメチルを含む。
【0192】
本明細書に使用されるような用語「アルコキシカルボニル」は、本明細書に定義されるように、カルボニル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニルの実例は、限定されないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルを含む。
【0193】
本明細書に使用されるような用語「アルコキシカルボニルアルキル」は、本明細書に定義されるように、アルキル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アルコキシカルボニル基を意味する。
【0194】
本明細書に使用されるような用語「アルキルカルボニル」は、本明細書に定義されるように、カルボニル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アルキル基を意味する。アルキルカルボニルの実例は、限定されないが、アセチル、1−オキソプロピル、2,2−ジメチル−1−オキソプロピル、1−オキソブチル、および1−オキソペンチルを含む。
【0195】
本明細書に使用されるような用語「アルキルカルボニルオキシ」は、酸素原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アルキルカルボニル基を意味する。アルキルカルボニルオキシの実例は、限定されないが、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシを含む。
【0196】
本明細書に使用されるような用語「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、硫黄原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アルキル基を意味する。アルキルチオの実例は、限定されないが、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、tert−ブチルチオ、およびヘキシルチオを含む。
【0197】
本明細書に使用されるような用語「アルキルチオアルキル」は、本明細書に定義されるように、アルキル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アルキルチオ基を意味する。アルキルチオアルキルの実例は、限定されないが、メチルチオメチル、2−(エチルチオ)エチル、ブチルチオメチル、およびヘキシルチオエチルを含む。
【0198】
本明細書に使用されるような用語「アルキニル」は、2乃至10の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する直鎖、分枝鎖の炭化水素を意味する。幾つかの実施形態において、アルキニル基は随意に置換される。アルキニルの実例は、限定されないが、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、および1−ブチニルを含む。
【0199】
本明細書に使用されるような用語「芳香族」は、nが整数である、4n+2π電子を含有する、非局在化されたπ電子系を有する平面環を指す。幾つかの実施形態において、芳香環は、5、6、7、8、9、または9より多い原子によって形成される。他の幾つかの実施形態において、芳香族化合物は随意に置換される。該用語は、単環式、または縮合環の多環式(即ち、近接する対の炭素原子を共有する環)の基を含む。
【0200】
本明細書に使用されるような用語「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香環を指す。幾つかの実施形態において、アリール環は、5、6、7、8、9、または9より多い炭素原子によって形成される。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセラニル、フルオレニル及びインデニルを含む。
【0201】
幾つかの実施形態において、本明細書に使用されるような用語「アリール」は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アルキニル、カルボニル、シアノ、ホルミル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキレン、メルカプト、ニトロ、−NR
AR
A、および(NR
AR
B)カルボニルから成る群から独立して選択される1、2、3、4または5の置換基によって随意に置換されるアリール基を意味する。
【0202】
本明細書に使用されるような用語「アリールアルキル」は、本明細書に定義されるように、アルキル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、アリール基を意味する。アリールアルキルの実例は、限定されないが、ベンジル、2−フェニルエチル、−フェニルプロピル、1−メチル−3−フェニルプロピル、および2−ナフト−2−イルエチルを含む。
【0203】
本明細書に使用されるような用語「カルボニル」は、−C(O)−基を意味する。
【0204】
本明細書に使用されるような用語「カルボキシ」は、−COOH基を意味する。
【0205】
本明細書に使用されるような用語「シアノ」は、−CN基を意味する。
【0206】
本明細書に使用されるような用語「ホルミル」は、−C(O)H基を意味する。
【0207】
本明細書に使用されるような用語「ハロ」または「ハロゲン」は、−Cl、−Br、−Iまたは−Fを意味する。
【0208】
本明細書に使用されるような用語「メルカプト」は、−SH基を意味する。
【0209】
本明細書に使用されるような用語「ニトロ」は、−NO2基を意味する。
【0210】
本明細書に使用されるような用語「ヒドロキシ」は、−OH基を意味する。
【0211】
本明細書に使用されるような用語「オキソ」は、=O基を意味する。
【0212】
本明細書に使用されるような用語「結合(bond)」または「単結合(single bond)」は、結合によって連結された原子がより大きな部分構造の一部であると考えられるときの、2つの原子、または2つの部分の間の化学結合を指す。
【0213】
本明細書に使用されるような用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」および「ハロアルコキシ」は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子と置換される、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシの構造を含む。2つ以上の水素原子がハロゲン原子と置換される特定の実施形態において、ハロゲン原子は、互いに、すべて同じである。2つ以上の水素原子がハロゲン原子と置換される他の実施形態において、ハロゲン原子は、互いに、すべてが同じではない。用語「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」は、それぞれ、ハロがフッ素である、ハロアルキルおよびハロアルコキシの基を含む。特定の実施形態において、ハロアルキルは随意に置換される。
【0214】
用語「アルキルアミン」は、−N(アルキル)
xH
y基を指し、ここで、xとyとは、x=1、y=1およびx=2、y=0の中から選択される。幾つかの実施形態において、x=2であるとき、アルキル基は、それらが付けられるN原子と一緒に得られ、随意に環式の環系を形成する。
【0215】
本明細書に使用されるような用語「アミド」は、式−C(O)NHRまたは−NHC(O)Rを備えた化学部分であり、ここで、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合される)ヘテロアリール、および(環炭素を介して結合される)ヘテロシクロアルキルの中から選択される。幾つかの実施形態において、アミド部分は、アミノ酸またはペプチド分子と、本明細書に記載される化合物との間にリンケージを形成し、それによってプロドラッグを形成する。幾つかの実施形態において、任意のアミン、または本明細書に記載される化合物上のカルボキル側鎖は、アミノ化される。
【0216】
用語「エステル」は、式−COORを備えた化学部分を指し、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合される)ヘテロアリールおよび(環炭素を介して結合される)ヘテロシクロアルキルの中から選択される。幾つかの実施形態において、任意のヒドロキシ、または本明細書に記載される化合物上のカルボキシル側鎖は、エステル化される。
【0217】
本明細書に使用されるような用語「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、随意に置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニルのラジカルを含み、その中で、1以上の骨格鎖原子は、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、珪素、リンまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0218】
用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、典型的に、酸素、硫黄、窒素、シリコンおよびリンの中から独立して選択されるが、これらの原子に限定されない。2つ以上のヘテロ原子が存在する実施形態において、2つ以上のヘテロ原子は、互いに全て同じであるか、または2つ以上のヘテロ原子のうちのいくつかまたは全ては、他のものと各々異なる。
【0219】
本明細書に使用されるような用語「環」は、任意の共有結合構造を指す。環は、例えば、炭素環(例えば、アリール及びシクロアルキル)、複素環(例えば、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル)、芳香族化合物(例えばアリール及びヘテロアリール)、および非芳香族(例えば、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル)を含む。幾つかの実施形態において、環は、随意に置換される。幾つかの実施形態において、環は、環系の一部を形成する。
【0220】
本明細書で使用されように、用語「環系」は、環の2つ以上が縮合される、2つ以上の環を指す。用語「縮合」は、2つ以上の環が1つ以上の結合を共有する構造を指す。
【0221】
用語「ヘテロアリール」、あるいは「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1以上の環へテロ原子を含むアリール基を指す。N含有の「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」の部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である、芳香族基を指す。幾つかの実施形態において、多環式ヘテロアリール基は、縮合される又は縮合されない。ヘテロアリール基の実例は、限定されないが、以下の部分を含む:
【0223】
幾つかの実施形態において、構造次第で、ヘテロアリール基は、モノラジカルまたはジラジカル(即ち、ヘテロアリーレン基)となる。
【0224】
用語「置換又は非置換のヘテロアリール」は、例えば、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリニル、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキレン、メルカプト、スルフィニル、スルホニル、ニトロ、アミノ、アミドおよび他の適切な部分から独立して選択される、0、1、2、3、4または5の置換基によって置換されるヘテロアリール基を意味する。幾つかの実施形態において、置換基は、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル(例えばCF
3)、OH、NO
2、CN、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、−NHSO
2R
6、−SO
2NHR
6、−NHCOR
6、−NH
2、−NR
6R
7、−SR
6、−S(O)R
6、−S(O)
2R
6、−CO
2R
6、−CONR
6R
7から独立して選択され、ここでR
6およびR
7は、水素および随意に置換されたC
1−C
6アルキルから成る群から独立して選択される。
【0225】
本明細書に使用されるような用語「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書に定義されるように、アルキル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロアリールを意味する。ヘテロアリールアルキルの実例は、限定されないが、ピリジニルメチルを含む。
【0226】
本明細書に使用されるような用語「ヘテロシクロアルキル」または「非芳香族の複素環」は、環を形成する1つ以上の原子がヘテロ原子である非芳香環を指す。「ヘテロシクロアルキル」または「非芳香族の複素環」の基は、窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。幾つかの実施形態において、ラジカルは、アリールまたはヘテロアリールと縮合される。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル環は、3、4、5、6、7、8、9、または9より多い原子によって形成される。幾つかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル環は随意に置換される。特定の実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、例えば、オキソ含有及びチオ含有の基などの、1つ以上のカルボニル基またはチオカルボニル基を含有する。ヘテロシクロアルキルの例は、限定されないが、ラクタム、ラクトン、環式イミド、環式チオイミド、環式カルバマート、テトラヒドロチオピラン、4H−ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3−ジオキシン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキシン、1,4−ジオキサン、ピペラジン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチイン、1,4−オキサチアン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、2H−1,2−オキサジン、マレイミド、コハク酸イミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキソラン、1,3−ジチオール、1,3−ジチオラン、イソキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、および、1,3−オキサチオランを含む。非芳香族複素環としても言及される、ヘテロシクロアルキル基の実例は、限定されないが、以下を含む:
【0228】
用語「ヘテロシクロアルキル」はまた、限定されないが、単糖類、二糖類およびオリゴ糖を含む、すべての炭水化物の環状形態を含む。
【0229】
用語「複素環」は、本明細書に使用されるヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルを指し、O、S、及びNから各々が選択される、1乃至4のヘテロ原子を含有する基を指し、ここで、各複素環基は、その環系において、4乃至10の原子を有するが、前記基の環が2つの隣接するO又はS原子を含有しないという条件が付く。本明細書において、複素環における炭素原子の数が示される(例えばC
1−C
6複素環)場合は常に、少なくとも1つの他の原子(ヘテロ原子)が環において存在しなければならない。「C
1−C
6複素環」などの呼称は、環における炭素原子の数のみを指し、環における原子の総数を指さない。幾つかの実施形態において、複素環式の環が、環において追加のヘテロ原子を有することが理解される。「4乃至6員複素環」などの呼称は、環に含有される原子の総数を指す(すなわち、少なくとも1つの原子が炭素原子であり、少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、残りの2乃至4の原子は炭素原子またはヘテロ原子である、4、5または6員環)。幾つかの実施形態において、2つ以上のヘテロ原子を有する複素環では、これらの2つ以上のヘテロ原子は、互いに同じであるか又は異なる。幾つかの実施形態において、複素環は随意に置換される。幾つかの実施形態において、複素環への結合は、ヘテロ原子でなされるか又は炭素原子を介してなされる。ヘテロシクロアルキル基は、それらの環系において4つの原子のみを有する基を含むが、ヘテロアリール基は、それらの環系において少なくとも5つの原子を有さなければならない。複素環基は、ベンゾ縮合した環系を含む。4員複素環基の例は、(アゼチジンに由来する)アゼチジニルである。5員複素環基の例は、チアゾリルである。6員複素環基の例は、ピリジルであり、10員複素環基の例は、キノリニルである。ヘテロシクロアルキル基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオクサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアセピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、および、キノリジニルである。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。幾つかの実施形態において、上述の基に由来するような、前述の基は、可能な場合には、Cが付けられるか又はNが付けられる。例えば、幾つかの実施形態において、ピロール由来の基は、ピロール−1−イル(Nが付けられた)またはピロール−3−イル(Cが付けられた)である。さらに、幾つかの実施形態において、イミダゾール由来の基は、イミダゾル−1−イルまたはイミダゾル−3−イル(両方ともNが付けられた)、またはイミダゾル−2−イル、イミダゾル−4−イル、またはイミダゾル−5−イル(全てCが付けられた)である。複素環基は、ベンゾ縮合環系、およびピロリジン−2−オンなどの1つ又は2つのオキソ(=O)部分によって置換される環系を含む。幾つかの実施形態において、構造次第で、複素環基は、モノラジカルまたはジラジカル(即ち、ヘテロシクレン基)となる。
【0230】
本明細書に記載される複素環は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アリニル、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキレン、メルカプト、ニトロ、アミノ、およびアミノ部分から独立して選択される1、2、3、または4の置換基によって置換される。
【0231】
用語「ヘテロシクロアルコキシ」は、アルコキシ基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるようなヘテロシクロアルキル基を指す。
【0232】
用語「ヘテロシクロアルキルチオ」は、アルキルチオ基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロシクロアルキル基を指す。
【0233】
用語「ヘテロシクロオキシ」は、酸素原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロシクロアルキル基を指す。
【0234】
用語「ヘテロシクロチオ」は、硫黄原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロシクロアルキル基を指す。
【0235】
用語「ヘテロアリールアルコキシ」は、アルコキシ基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロアリール基を指す。
【0236】
用語「ヘテロアリールアルキルチオ」は、アルキルチオ基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロアリール基を指す。
【0237】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、酸素原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロアリール基を指す。
【0238】
用語「ヘテロアリールチオ」は、硫黄原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、ヘテロアリール基を指す。
【0239】
幾つかの実施形態において、用語「員環」は、任意の環式構造を包含する。用語「員」は、環を構築する骨格原子の数を示すように意図される。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピランおよびチオピランは、6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フランおよびチオフェンは、5員環である。
【0240】
本明細書に使用されるような用語「非芳香族5、6、7、8、9、10、11または12−の二環式の複素環」は、本明細書に定義されるような、ヘテロシクロアルキルを意味し、その全体的な環構造において5乃至12の原子を有する、(スピロ構造を形成する)同じ炭素原子または(2つの環が1以上の結合を共有する)異なる炭素原子で一緒に縮合される、2つの炭素環式の環から成り、ここで、環を形成する1以上の原子はヘテロ原子である。非芳香族5、6、7、8、9、10、11、または12の二環式の複素環の実例は、限定されないが、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタニル、4−アザスピロ[2.4]ヘプタニル、5−アザスピロ[2.4]ヘプタニル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、4−アザスピロ[2.5]オクタニル、5−アザスピロ[2.5]オクタニル、5−アザスピロ[3.4]オクタニル、6−アザスピロ[3.4]オクタニル、4−オキサ−7−アザスピロ[2.5]オクタニル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、1、3−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタニル、5−アザスピロ[3.5]ノナニル、6−アザスピロ[3.5]ノナニル、5−オキソ−8−アザスピロ[3.5]ノナニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、オクタヒドロ−1H−キノリジニル、2、3、4、6、7、9a−ヘキサヒドロ−1H−キノリジニル、デカヒドロピリドロ[1,2−a]アゼピニル、デカヒドロ−1H−ピリド[1,2−a]アゾシニル、1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、1−アザビシクロ[3.3.1]ノナニル、キヌクリジニル、および1−アザビシクロ[4.4.0]デカニルを含む。
【0241】
本明細書に使用されるような用語アルコキシアルキレン」は、本明細書に定義されるように、アルキレン基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような、少なくとも1つのヒドロキシル基を意味する。ヒドロキシアルキルエンの実例は、限定されないが、ヒドロキシメチレン、2−ヒドロキシ−エチレン、3−ヒドロキシプロピレンおよび4−ヒドロキシヘプチレンを含む。
【0242】
本明細書に使用されるような用語「NR
ANR
B」は、窒素原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書にされるような、2つの基、R
AおよびR
Bを意味する。R
AおよびとR
Bは、各々独立した、水素、アルキル、およびアルキルカルボニルである。NR
ANR
Bの実例は、限定されないが、アミノ、メチルアミノ、アセチルアミノ、およびアセチルメチルアミを含む。
【0243】
本明細書に使用されるような用語「(NR
ANR
B)カルボニル」は、本明細書に定義されるように、カルボニル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような基、R
AR
Bを意味する。(NR
AR
B)カルボニルの実例は、限定されないが、アミノカルボニル、カルボニル、(メチルアミノ)カルボニル、(ジメチルアミノ)カルボニル、および(エチルメチルアミノ)カルボニルを含む。
【0244】
本明細書に使用されるような用語「NR
CNR
D」は、窒素原子を介して親の分子部分に付けられる、本明細書にされるような、2つの基、R
CおよびR
Dを意味する。R
CおよびR
Dは、各々独立した、水素、アルキル、およびアルキルカルボニルである。NR
CR
Dの実例は、限定されないが、アミノ、メチルアミノ、アセチルアミノ、およびアセチルメチルアミノを含む。
【0245】
本明細書に使用されるような用語「(NR
CNR
D)カルボニル」は、本明細書に定義されるように、カルボニル基を介して親の分子部分に付けられる、本明細書に定義されるような基、R
CR
Dを意味する。(N
RCR
D)カルボニルの実例は、限定されないが、アミノカルボニル、(メチルアミノ)カルボニル、(ジメチルアミノ)カルボニル、および(エチルメチルアミノ)カルボニルを含む。
【0246】
本明細書で使用されるように、用語「メルカプチル」は、(アルキル)S−基を指す。
【0247】
本明細書で使用されるように、用語「部分」は、分子の特定の区域または官能基を指す。化学部分は、しばしば、分子に埋め込まれた又は付けられた化学物質と認識される。
【0248】
本明細書で使用されるように、用語「スルフィニル」は、−S(=O)−Rを指し、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合される)ヘテロアリールおよび(環炭素を介して結合される)ヘテロシクロアルキルから成る群から選択される。
【0249】
本明細書で使用されるように、用語「スルホニル」は、−S(=O)
2−Rを指し、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合される)ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)および(環炭素を介して結合される)ヘテロシクロアルキル(環炭素を通じて結合される)から成る群から選択される。
【0250】
本明細書で使用されるように、用語「Oカルボキシ」は、式RC(=O)O−の群を指す。
【0251】
本明細書で使用されるように、用語「Cカルボキシ」は、式−C(=O)ORの群を指す。
【0252】
本明細書で使用されるように、用語「アセチル」は、式−C(=O)CH
3の群を指す。
【0253】
本明細書で使用されるように、用語「トリハロメタンスルホニル」は、Xがハロゲンである場合の、式X
3CS(=O)
2−の群を指す。
【0254】
本明細書で使用されるように、用語「イソシアナート」は、式−NCOの群を指す。
【0255】
本明細書で使用されるように、用語「チオシアナート」は、−CNSの群を指す。
【0256】
本明細書で使用されるように、用語「イソチオシアナート」は、−NCSの群を指す。
【0257】
本明細書で使用されるように、用語「Sスルホンアミド」は、式−S(=O)
2NR
2の群を指す。
【0258】
本明細書で使用されるように、用語「Nスルホンアミド」は、式RS(=O)
2NH−の群を指す。
【0259】
本明細書で使用されるように、用語「トリハロメタンスルホンアミド」は、式X
3CS(=O)
2NR−の群を指す。
【0260】
本明細書で使用されるように、用語「Oカルバミル」は、式−OC(=O)NR
2の群を指す。
【0261】
本明細書で使用されるように、用語「Nカルバミル」は、式ROC(=O)NH−の群を指す。
【0262】
本明細書で使用されるように、用語「Oチオカルバミル」は、式−OC(=S)NR
2の群を指す。
【0263】
本明細書で使用されるように、用語「Nチオカルバミル」は、式ROC(=S)NH−の群を指す。
【0264】
本明細書で使用されるように、用語「Cアミド」は、式−C(=O)NR
2の群を指す。
【0265】
本明細書で使用されるように、用語「Nアミド」は、式RC(=O)NH−の群を指す。
【0266】
本明細書で使用されるように、単独で出現し、数の指定がない置換基「R」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、(環炭素を介して結合される)ヘテロアリールおよび(環炭素を介して結合される)非芳香族の複素環の中から選択される置換基を指す。
【0267】
用語「置換された(substituted)」は、参照の基が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環(heteroalicyclic)、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、シリル、アミド、尿素、チオ尿素、および一置換及び二置換のアミノ基を含むアミノ、およびそれらの保護された誘導体から個々におよび独立して選択される1以上の追加の群によって随意に置換される(置換される又は置換されない)ことを意味する。一例として、随意の置換基はL
sR
sであり、ここで各L
sは、結合、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−NH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、S(=O)
2NH−、−NHS(=O)
2、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、−(置換又は非置換のC
1−C
6アルキル)、または−(置換又は非置換のC
2−C
6アルケニル)から独立して選択され;および各R
sは、H、(置換又は非置換の低級アルキル)、(置換又は非置換の低級シクロアルキル)、ヘテロアリール、またはヘテロアルキルから独立して選択される。
【0268】
用語「保護基」は、合成手順の間の望ましくない反応に対抗して、官能基、例えば、ヒドロキシル、ケトン、アミンの反応性を変え、後に取り除かれる、除去可能な基を指す。ヒドロキシ保護基の例は、限定されないが、メチルチオメチル、tert−ジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、メトキシメチルなどのエーテル、およびアセチル、ベンゾイルなどを含むエステルを含む。ケトン保護基の例は、限定されないが、ケタール、オキシム、Oに置換されたオキシム、例えばO−ベンジルオキシム、O−フェニルチオメチルオキシム、1−イソプロポキシシクロヘキシルオキシムなどを含む。アミン保護基の例は、限定されないが、tert−ブトキシカルボニル(Boc)およびカルボベンジルオキシ(Cbz)を含む。
【0269】
本明細書に定義されるような用語「随意に置換された」は、参照の基が、本明細書に定義されるような、0、1つ又はそれ以上の置換基によって置換されることを意味する。
【0270】
用語「保護された−ヒドロキシ(protected−hydroxy)」は、上に定義されるように、ヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基を指す。
【0271】
幾つかの実施形態において、本明細書の記載される化合物は、不斉中心またはキラル中心がある、立体異性体として存在する。立体理性体は、キラル炭素原子のまわりの置換基の配置に依存して、(R)または(S)で明示される。本明細書に使用される用語(R)および(S)は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E, Fundamental Stereochemistry, Pure Appl. Chem., (1976), 45:13−30において定義されるような配置であり、これは、引用によって本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される実施形態は、特に、様々な立体異性体およびそれらの混合物を含む。立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、およびエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物を含む。幾つかの実施形態において、化合物の個々の立体異性体は、不斉中心またはキラル中心を含有する市販の出発原料から合成的に調製されるか、またはラセミ混合物の調製に続く分解によって調製される。分解のこれらの方法は、(1)キラル補助(chiral axillary)へのエナンチオマーの混合物の付着、再結晶またはクロマトグラフィーによるジアステレオマーの結果として生じる混合物の分離、およびキラル補助からの光学的に純粋な生成物の遊離、または(2)キラルクロマトグラフィーカラム上の光学エナンチオマーの混合物の直接の分離によって例証される。
【0272】
本明細書に記載される方法および製剤は、N−オキシド、(多形体としても知られる)結晶形態、または本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩の他に、同じタイプの活性を有するこれら化合物の活性代謝物の使用を含む。幾つかの状況において、化合物は互変異性体として存在する。全ての互変異性体は、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、溶媒和形態の他に、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を備える非溶媒和形態で存在する。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書に開示されるべきと考えられる。
【0273】
本明細書を通して、基及びその置換基は、特定の実施形態において、安定した部分及び化合物を提供するために選択される。
【実施例】
【0274】
たとえ3つの互変異性構造がすべて存在することができても、すべての包括的構造および1,2,4−トリアゾールの部分を有するすべての実施例は、1,3,4−オキサジアゾールの部分を含有する実施例のように、単純性のための及びその直接のアナログとの比較のための4H−1,2,4−トリアゾールなどの、1つの互変異性型でのみ示される。普及している互変異性構造は、トリアゾール部分上の置換基および反応条件に依存する。文献に示されているように、1H−1,2,4−トリアゾールは、通常、最も一般的な互変異性型であり、特にアミノ置換基が環へ付けられるときにそうである。単純性のための構造を引き出すために4H−互変異性型を使用することは、必然的に続く実施例の化合物が、その具体的な互変異性型に存在することを示唆しない。この手法を使用して、下記の実施例のIUPAC名は、4H−互変異性型だけのために提供されるが、正確な互変異性構造を解明することで、置換基の番号付けが、提供されるものとは異なることが理解される。
【0275】
実施例1.1,2,4−トリアゾールコアの合成:
1,2,4−トリアゾールコアの合成を、以下の模式図に示すように実行した。詳細な実験手順および分析データが続く。
【0276】
【化45】
【0277】
実験手順:
工程2:ヒドロキシベンゾヒドラジドの調製
【0278】
【表1】
【0279】
エタノール(150mL)中のメチル3−ヒドロキシベンゾアート(7g、46.05mmol)の撹拌した溶液に、室温でヒドラジン水和物(23g、460.5mmol)を加え、反応混合物を10−12時間還流させた。反応をTLCによってモニタリングし、出発原料が消失すると、反応生成量を室温まで冷却し、エタノールを蒸留し、粗製生成物を得た。この粗製生成物に、10−15℃でアセトン(20mL)を加え、これを、30分間n−ヘキサン(100mL)中に撹拌した。沈殿した白色固形物を、ろ過し、55℃で真空下で乾燥し、純生成物を得た(収量:理論上の6.9g、85.71%)を得た。
収量:95.71%
HPLC純度:98.7%
1H NMR:構造と一致。
LCMS:m/z=153(MH+)
【0280】
工程3:3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオシアナートの調製
【0281】
【表2】
【0282】
DCM(100mL)中の3−(トリフルオロメチル)アニリン(20g、124.2mmol)の撹拌した溶液に、5−10℃でチオホスゲン(21.24g、186.4mmol)を加え、反応混合物を室温で1−2時間撹拌した。反応をTLCによってモニタリングした(移動相 − n−ヘキサン中の40%の酢酸エチル、Rf.S.M.−0.25、生成物−0.5)。出発原料が消失すると、反応生成量をDCMで希釈し、有機質層を、10%のNaHCO
3、水およびブラインで洗浄した。有機質層を、乾燥し、45℃未満の温度で真空内で濃縮し、黄色油として生成物を与えた(収量:理論上の19.2g、76.19%)。
収量:76.19%
1H NMR:構造と一致。
【0283】
工程4:(3−トリフルオロメチル)フェニルチオ尿素の調製
【0284】
【表3】
【0285】
メタノール(100mL)中の1−イソチオシアナート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(10g、49.26mmol)の撹拌した溶液に、5℃−10℃で滴下でアンモニア水溶液(6.69g、394mmol)を加えた。アンモニアの付加が完了した後、反応混合物を2−3時間室温で撹拌した。TLC(移動相 − n−ヘキサン中の40%の酢酸エチル、Rf.S.M.−0.80、生成物−0.2)が、出発原料の欠如および生成物の形成を示した時、メタノールを濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機質層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮し、オフホワイト固形物として純生成物を得た(収量:理論上の9.2g、84.94%)。
収量:84.94%
HPLC純度:99.75%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:221(Mol.Wt.220)
【0286】
工程5:S−メチルイソチオ尿素ヒドロヨージド塩の調製
【0287】
【表4】
【0288】
メタノール(150mL)中の1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素(15g、68mmol)の溶液に、室温で滴下でヨウ化メチル(15.13g、102mmol)を加えた。反応混合物を50℃で7−8時間撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の5%のメタノール、Rf.S.M.−0.30、生成物−0.2)が、出発原料の欠如および生成物の形成を示した時、メタノールを濃縮し、オフホワイト固形物として純生成物を得た(収量:理論上の22g、89.39%)。
収量:89.39%
HPLC純度:95.84%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:235(Mol.Wt.234)
【0289】
工程6:スキャフォールドの調製−方法1
【0290】
【表5】
【0291】
無水のピリジン(30mL)中のメチルS−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオ尿素ヒドロヨージド(5g、13.81mmol)の懸濁液に、N
2の雰囲気下で3−ヒドロキシベンゾヒドラジド(2.32g、15.26mmol)を加えた。ヒドラジドの付加が完了した後、反応混合物を100℃で10−12時間撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.20、生成物−0.4)が、出発原料の欠如を示した時、反応混合物を室温まで冷却し、ピリジンを真空下で濃縮し、粗製生成物を得た(黄色油)。これをカラムクロマトグラフィーによって精製し、純粋な形態での所望のスキャフォールドを与えた。
収量:42.35%
HPLC純度:98.08%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+321(Mol.Wt 320)
【0292】
工程6:スキャフォールドの調製−方法2
【0293】
【表6】
【0294】
アセトニトリル(60mL)中のメチルS−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソチオ尿素ヒドロヨージド(6g、16.57mmole)の懸濁液に、室温でN
2↑の雰囲気下で2,6−ルチジン(3.53g、33mmol)を加え、続いて、4−ヒドロキシベンゾヒドラジド(3.02g、19.8mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。ヒドラジドの付加が完了した後、反応混合物を80℃で18−20時間撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.20、生成物−0.4)が、出発原料の欠如および生成物の形成を示した時、混合物を室温まで冷却し、アセトニトリルを真空下で取り除いた。残留物を酢酸エチル中で得て、有機質層を、水(2X)で洗浄し、続いて、10%のクエン酸溶液(2X)で洗浄し、最終的に、ブラインで洗浄した。有機質層を、分離し、Na
2SO
4(固形物)上で乾燥し、濃縮し、粗製生成物を得た。粗製生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物(3.1g)を与えた。
収量:58.84%
HPLC純度:96%
LCM:MH+321(Mol.Wt 320)
【0295】
実施例2.1,3,4−オキサジアゾールコアの合成:
1,3,4−オキサジアゾールコアの合成を、以下の模式図に示すように実行した。
【0296】
【化46】
【0297】
実験手順
工程4:スキャフォールドの調製
【0298】
【表7】
【0299】
THF:トルエン:DMF(5mL)それぞれにおける、メチル3−ヒドロキシベンゾヒドラジド(1g、6.5mmol)の懸濁液に、室温でN
2↑の雰囲気下で1−イソチオシアナート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.33g、6.5mmol)を加えた。イソチオシアナートの付加が完了した後、反応混合物を80 ℃で30分間撹拌した。その後、DCC(1.49g、7.23mmol)を加え、反応混合物を80℃で5−6時間撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の5%のメタノール、Rf.S.M.−0.30、生成物−0.5)が、出発原料の欠如および生成物の形成を示した時、反応混合物を室温まで冷却し;水を加え、反応混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。混合した有機質層を、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、粗製生成物を得た。これを、にカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物(750mg)を与えた。
収量:35.5%
HPLC純度:90.6%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+322(Mol.Wt 321)
【0300】
実施例3.1,3,4−チアジアゾールコアの合成:
1,3,4−チアジアゾールコアの合成を、以下の模式図に示されるように実行した。
【0301】
【化47】
【0302】
1,3,4−チアジアゾールコアの合成のための実験手順:
工程2:N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−ヒドラジンカルボチオアミドの調製
【0303】
【表8】
【0304】
メタノール(5mL)中の1−イソチオシアナート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン(250mg、1.23mmol)の撹拌した溶液に、5℃−10℃で滴下でヒドラジン水和物(307mg、6.16mmol)を加えた。ヒドラジン水和物の付加が完了した後、反応混合物を室温で2−3時間撹拌した。TLC(移動相 − n−ヘキサン中の30%の酢酸エチル、Rf.S.M.−0.80、生成物−0.2)が、出発原料の欠如を示した時、メタノールを濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。混合した有機質層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、濃縮し、オフホワイト固形物として純生成物を得た(収量:理論上の200mg、69.4%)。
収量:69.4%
LCM:MH+236(Mol.Wt.235)
【0305】
工程3:スキャフォールドの調製
【0306】
【表9】
【0307】
POCl
3(2mL)中のN−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ヒドラジンカルボチオアミド(350mg、1.5mmol)、4−ヒドロキシ安息香酸(246mg、1.78mmol)の溶液wo、80℃で5−6時間撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.20、生成物−0.5)が、出発原料の欠如および生成物の形成を示した時、反応混合物を、10−15 ℃まで冷却し、氷水でクエンチし;沈殿した固形物を、ろ過し、50℃でオーブン中で乾燥した。
生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、オフホワイト固形物を得た(収量:理論上の130mg、25.9%)。
収量:25.9%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+338(Mol.Wt 337)
【0308】
実施例3.逆にされた(inverted)アミノトリアゾールコアの合成:
1,2,4−トリアゾールコアの合成を、以下の模式図に示されるように実行した。
【0309】
【化48】
【0310】
実験手順:
以下の実験手順は、1,2,4−トリアゾールコアの合成に関して記載されるのと同じであった。中間物およびスキャフォールドに関する分析データを、以下に提供する。
【0311】
(I)スキャフォールドK43の調製:
工程1:ヒドラジド9aの調製
【0312】
【化49】
【0313】
工程2及び3:チオ尿素12aの調製
【0314】
【化50】
【0315】
工程4:S−メチルイソチオ尿素ヒドロヨージド塩6aの調製
【0316】
【化51】
【0317】
工程5:スキャフォールド183の調製
【0318】
【化52】
【0319】
(II)スキャフォールドK36の調製:
工程4:S−メチルイソチオ尿素ヒドロヨージド塩13aの調製
【0320】
【化53】
工程5:スキャフォールド181の調製
【0321】
【化54】
実施例4.2−アミノイミダゾールコアの合成
2−アミノイミダゾールコアの合成を、以下の模式図に示されるように実行した。詳細な実験手順および分析データが続く。
【0322】
【化55】
【0323】
2−アミノイミダゾールコアの合成のための実験手順:
工程1:ジ−Bocグアニジンの調製
【0324】
【表10】
【0325】
DCM中の3−トリフルオロメチルアニリン(81mg、0.5mmol)、ビスbocチオ尿素(138mg、0.5mmol)およびEt
3N(152mg、1.5mmol)の懸濁液に、0℃で塩化水銀(II)(150mg、055mmol)を加えた。
反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、室温まで暖めることを可能にし、一晩撹拌した。TLC(移動相 − n−ヘキサン中の40%の酢酸エチル、Rf.S.M.−0.3、生成物−0.5)が、反応されない出発原料による生成物の形成を示した時、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、無機副産物をろ過した。有機質層を、水(2×25mL)で洗浄し、続いて、ブライン(1×25mL)で洗浄した。有機質層を、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、生成物(200mg)をもたらした。
収量:89.39%
HPLC純度:95.38%
1H NMR:構造と一致
【0326】
工程2:1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)グアニジンの調製
【0327】
【表11】
【0328】
DCM(10mL)中の化合物a18(806mg、2mmol)の懸濁液に、TFA(2.28g、20mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。TLC(移動相 − n−ヘキサン中の40%の酢酸エチル、Rf.S.M.−0.6、生成物−0.2)は、出発原料の欠如および生成物の形成を示した。水を、反応混合物に加え、15−20分間撹拌した。水層を、分離し、pH〜10まで10%のNaHCO
3溶液によって塩基化した。遊離塩基の生成物を、酢酸エチルで抽出し;混合した有機質層を、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、生成物(350mg)をもたらした。
収量:72.4%
HPLC純度:84.04%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:338(Mol.Wt 337)
【0329】
工程3:2−アミノイミダゾールスキャフォールドK38の調製
【0330】
【表12】
【0331】
THF(10mL)中の1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)グアニジン(456mg、2.25mmol)の溶液に、0℃で、K
2CO
3(249mg、1.18mmol)を加え、続いて、2−ブロモ−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタノン(323mg、1.5mmol)を加えた。反応混合物を、室温まで暖めることを可能にし、ろ過した。LCMSおよびTLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.20、生成物−0.35)の生成物の形成および出発原料の欠如。水溶性のワークアップ(workup)後の粗製生成物を、調製HPLCによって精製し、120mgのスキャフォールドK38を与えた。
収量:25%
HPLC純度:90.6%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:338(Mol.Wt 337)
【0332】
実施例5.典型的なメルカプトライブラリー化合物119の合成
メルカプトコアの合成を、以下の模式図に示されるように実行した。詳細な実験手順および分析データが続く。
【0333】
【化56】
【0334】
化合物119の合成のための実験手順
工程1:メチル4−メルカプトベンゾアートの調製
【0335】
【表13】
【0336】
メタノール(25mL)中の4−メルカプト安息香酸(5g、32.4mmol)の溶液に、触媒H
2SO
4を加え(1−2滴)、5−6時間還流させた。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.2、生成物−0.6)は、出発原料の欠如および生成物の形成を示し;メタノールを、真空内で蒸留し、残留物を酢酸エチルで希釈した。有機質層を、水(2×25mL)で洗浄し、続いて、10%の水溶性の炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機質層を、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、オフホワイト固形物として生成物を得た(収量−5g)。
収量:97.7%
HPLC純度:97.08%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:169(Mol.Wt.168)
【0337】
工程2:メルカプトベンゾアートとジ−Bocクロロ変異体(di−Boc chlorovariant)の共役反応
【0338】
【表14】
【0339】
DMF(10mL)中のジ−Bocクロロ誘導体a23(1.35g、3.57mmol)の撹拌した溶液に、室温で、K
2CO
3(500mg、3.57mmol)およびメチル4− メルカプトベンゾアート(500mg、2.97mmol)を加えた。
反応生成量を、室温で2−3時間撹拌した。TLC(移動相 − n−ヘキサン中の40%の酢酸エチル、Rf.S.M.−0.5、生成物−0.4)は、生成物の形成および出発原料の欠如を示した。反応混合物を、酢酸エチル(25mL)で希釈し、水(3×30mL)で洗浄し、続いて、ブラインで洗浄した。有機質層を、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、所望の生成物(900mg)を与えた。
収量:60%
HPLC純度:92%
LCM:MH+:308(Mol.Wt.507).Bocを脱保護した質量(Boc deprotected mass)
【0340】
工程3:メチル4−(3−アミノ−5−(メチルチオ)フェニルチオ)ベンゾアートの調製
【0341】
【表15】
【0342】
DCM(10mL)中の化合物a24(287mg、0.53mmol)の撹拌した溶液に、5−10℃でトリフルオロ酢酸(364mg、3.2mmol)を加えた。反応生成量を、室温で一晩撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.5、生成物−0.2)は、生成物の形成および出発原料の欠如を示した。水を、反応混合物に加え、15−20分間撹拌した。水層を、分離し、pH〜10まで10%のNaHCO
3溶液によって塩基化した。遊離塩基の生成物を、酢酸エチルで抽出し;混合した有機質層を、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、生成物(350mg)をもたらした。
収量:73.6%
LCM純度:97.89%
LCM:MH+:308(Mol.Wt.307)
【0343】
工程4:4−(3−アミノ−5−(メチルチオ)フェニルチオ)ベンゾヒドラジドの調製
【0344】
【表16】
【0345】
メタノール(10mL)中の化合物a25(250mg、0.81mmol)の撹拌した溶液に、室温でヒドラジン水和物(325mg、6.5mmol)を加えた。反応混合物を5−6時間還流させた。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.5、生成物−0.2)は、生成物の形成および出発原料の欠如を示した。 反応混合物を室温まで冷却し、メタノールを真空内で蒸留し、粗製生成物を得た。これをn−ヘキサン: アセトン(95:05)中で撹拌し、沈殿した固形物をろ過し、生成物(210mg)を得た。
収量:84%
HPLC純度:91.3%
LCM:MH+:308(Mol.Wt.307)
【0346】
工程5:標的分子119の調製
【0347】
【表17】
【0348】
ピリジン(5mL)中の化合物a26(100mg、032mmol)、化合物a27(129mg、0.36mmol)の溶液を、80℃で6−7時間撹拌した。TLC(移動相 − クロロホルム中の10%のメタノール、Rf.S.M.−0.2、生成物−0.3)は、生成物の形成および出発原料の欠如を示した。反応混合物を室温まで冷却した。ピリジンを真空内で蒸留し、得た粗製残留物を、調製HPLCによって精製し、純粋なメルカプトライブラリー化合物119(60mg)を供給した。
収量:38.96%
HPLC純度:98.71%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:308(Mol.Wt.307)
【0349】
実施例6.ライブラリー調製
生成の方法
【0350】
(A)コアのハロ変異体(halovariant)との共役反応によって生成された化合物:標的のほとんどを、スキャフォールドの様々なクロロ変異体との共役によって生成した。共役反応に使用される方法を、以下に簡潔に記載した。
【0351】
共役を、ピリジン/ピリミジン/キノリン/イソキノリンの誘導体を含む、50以上のハロ変異体(halovariants)で試みた。反応スキームおよび一般的な実験手順を以下に記載した。
【0352】
ハロ変異体のK1/K2との共役反応のための一般的手順
【0353】
【化57】
【0354】
方法A1(条件(i)):
スキャフォールド(K1/K2、160mg、0.5mmol)、ハロ変異体(1.2当量、0.6mmol))およびCs
2CO
3(196mg、0.6mmol)の混合物に、DMF(0.3mL)を加え、反応混合物を110℃一晩加熱した。その後、H
2O(10mL)を、反応混合物に加え、EtOAc(4×20mL)で抽出した。混合した有機質層を、水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。減圧下での溶媒の除去は、調製HPLCによって精製された残留物をもたらし、純生成物を与えた。
収量および純度:下記の表に言及される通り。
【0355】
方法A2(条件(ii)):
スキャフォールド(K1/K2、160mg、0.5mmol)、ハロ変異体(1.2当量、0.6mmol))およびCs
2CO
3(196mg、0.6mmol)の混合物に、THF(0.3mL)を加え、反応混合物を65℃で一晩加熱した。その後、H
2O(10mL)を、反応混合物に加え、EtOAc(4×20mL)で抽出した。混合した有機質層を、水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。減圧下での溶媒の除去は、調製HPLCによって精製された残留物をもたらし、純生成物を与えた。
収量および純度:表に言及される通り。
【0356】
方法A3(条件(iii)):
スキャフォールド(K1/K2、160mg、0.5mmol)、ハロ変異体(1.2当量、0.6mmol)およびCs
2CO
3(196mg、0.6mmol)の混合物に、DMF(2mL)を加え、反応混合物を200/240℃で20−30分間マイクロ波条件下で加熱した。その後、H
2O(10mL)を、反応混合物に加え、EtOAc(4×20mL)で抽出した。混合した有機質層を、水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。減圧下での溶媒の除去は、調製HPLCによって精製された残留物をもたらし、純生成物を与えた。
収量および純度:表に言及される通り。
【0357】
(B)ヒドラジド中間物H3から生成された化合物:化合物のうちのいくつかを、ヒドラジド中間物(H3、以下に示される構造)から調製した。これらを、表において「合成の方法」のカラムの下、「ヒドラジド経路」として示した。これらの化合物の合成の一般的な模式図も描かれる。
【0358】
【化58】
【0359】
S−メチルイソチオ尿素ヒドロヨージドa29の合成(相当するイソチオシアナートおよびチオ尿素を介するa28からの3工程)のための、およびライブラリー化合物の調製(化合物a29およびヒドラジド中間物H3に関係する環化反応)のための実験手順は、コアの合成に以前に記載されるものと同じである。
【0360】
(C)2−ピリミジニル(スルホキシドまたはスルホンの置換)に対する置換反応によって生成された化合物
【0361】
【表18】
【0362】
DMF(2.5mL)中の化合物64(150mg、0.31mmol)の撹拌した溶液に、室温で、K
2CO
3(51.3mg、0.37mmol)およびN−(2−メルカプトエチル)アセトアミド(54.5mg、0.46mmol)を加え、反応混合物を80℃で3−4時間加熱した。TLC(移動相−CHCl
3中の10%のMeOH)は、出発原料の欠如および新しい斑点の形成を示した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機質層を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、真空内で濃縮し、調製HPLCによって精製された粗製生成物を得た(qty.:40mg)。
収量:25%
HPLC純度:99.6%
1H NMR:構造と一致
LCMS:MH+:532(Mol.Wt 531)
【0363】
実施例7.細胞生存率のアッセイ
MTTアッセイ
細胞増殖、生細胞のパーセント、および細胞毒性を測定するために、MTTアッセイを使用する。MTT(3−[4,5−ジメチルチアゾル−2−イル]2,5−臭化ジフェニルテトラゾリウム)は、黄色染料であり、これは、生細胞によって吸収され得、ミトコンドリア中のスクシナートテトラゾリウム還元酵素によって紫色がかった青いフォルマザン結晶に還元され得る。それ故、フォルマザン形成は、細胞の生存率を評価し測定するために使用され得る。
【0364】
腫瘍細胞(A549)を、完全な増殖培地において、2500細胞/ウェルの96ウェルのプレートで平板培養した(DMEM+10%のFBS、抗生物質/抗真菌剤、ファンギゾン、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、および非必須アミノ酸)。細胞を一晩増殖させるのを可能にした。細胞増殖の後、細胞を、洗浄し、新鮮な培地中に再懸濁し、96ウェルのプレート中に置いた。
【0365】
A549および対照物(control)を含有する96ウェルの各々に、5、1および0.2μMの典型的な化合物1−200を加えた。96ウェルのプレートを、48時間インキュベートした。5mg/mlで4時間、MTT(Sigma)を細胞に加え、その後、培地を取り除き、各ウェルを50μlのDMSO中に再懸濁することによって、細胞生存率を測定し、結晶を可溶性にした。96ウェルのプレートを、560nmの吸光度で、プレートをスキャンする(plate−scanning)分光光度計(BioTek)上で読み取った。酵素免疫アッセイアナライザーによる570nmの波長での吸収の測定に基づいて、細胞の生存率を計算した。結果を表1に示す。
【0366】
細胞生存率アッセイにおけるEC50
腫瘍細胞(A549)を、完全な増殖培地において、2500細胞/ウェルの96ウェルのプレートで平板培養した(DMEM+10%のFBS、抗生物質/抗真菌剤、ファンギゾン、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、および非必須アミノ酸)。細胞を一晩増殖させることを可能にし、その後、DMSO中の系列希釈の典型的な化合物254−274を、新鮮で完全な増殖培地に加え、72時間細胞に加えた。5mg/mlで4時間、MTT(Sigma)を細胞に加え、その後、培地を取り除き、各ウェルを50μlのDMSO中に再懸濁することによって、細胞生存率を測定し、結晶を可溶性にした。96ウェルのプレートを、560nmの吸光度で、プレートをスキャンする分光光度計(BioTek)上で読み取った。11ptの細胞生存率の曲線を、GraphPadソフトウェアを使用して図示し、EC50を、ソフトウェアおよび非線形回帰の特徴を使用して計算した。結果を以下の表1に示す。
【0367】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されているが、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白となるであろう。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変更、変化、及び置換がなされることが、当業者によって理解される。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、これらの特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構造が、それによって包含されることが意図される。
【0368】
【表19-1】
【0369】
【表19-2】
【0370】
【表19-3】
【0371】
【表19-4】
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【表19-5】
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【表19-10】
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