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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-72500(P2017-72500A)
(43)【公開日】2017年4月13日
(54)【発明の名称】ワーク寸法確認装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/02 20060101AFI20170324BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20170324BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20170324BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20170324BHJP
【FI】
   G01B5/02
   B23Q7/00 M
   B23Q7/04 A
   B23Q17/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-200083(P2015-200083)
(22)【出願日】2015年10月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】冨田 研一
【テーマコード(参考)】
2F062
3C029
3C033
【Fターム(参考)】
2F062AA21
2F062AA32
2F062AA34
2F062EE01
2F062FG08
2F062GG37
2F062HH01
2F062HH13
3C029BB02
3C033HH12
3C033HH25
3C033HH30
(57)【要約】
【課題】ワークの寸法を精度よく確認できるワーク寸法確認装置を提供する。
【解決手段】ワーク寸法確認装置10Aは、スケール12と、Y方向に移動自在なテーブル22と、テーブル22に設けられた読取ヘッド23と、テーブル22に設けられワークWの加工面2に接触するガイドピン24と、ガントリローダ30と、タッチスイッチ40と、寸法確認部53と、を備える。ガントリローダ30は、タッチスイッチ40で接触するまで、加工面2にガイドピン24を接触させた状態でワークWを移動させ、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をスケール21のY方向に沿って移動させる。寸法確認部53は、タッチスイッチ40で接触を検知したときに読取ヘッド23で読み取られた目盛値と基準目盛値とを比較し、基準寸法に対する加工面2の相対寸法を確認する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で加工されたワークの寸法を確認するワーク寸法確認装置であって、
スケールと、
前記スケールの延伸方向に沿って移動自在なテーブルと、
前記テーブルに設けられ前記スケールの目盛値を読み取る読取ヘッドと、
前記テーブルに設けられ前記ワークの加工面に接触する接触部材と、
前記ワークを把持すると共に、当該ワークを前記スケールの延伸方向に沿って移動させるワーク移動部材と、
前記スケールとの相対位置が固定されるように配置され、前記ワーク移動部材に接触可能な固定点と、
前記ワーク移動部材と前記固定点との接触を検知する接触検知部と、
マスターワークの寸法に関する基準目盛値を参照し、前記読取ヘッドで読み取られた目盛値に基づいて、前記マスターワークの寸法に対する前記ワークの相対寸法を確認する寸法確認部と、を備え、
前記ワーク移動部材は、
少なくとも前記固定点に接触するまで、前記加工面に前記接触部材を接触させた状態で前記ワークを移動させることにより、当該ワークに連れ立って前記テーブルを前記スケールの延伸方向に沿って移動させ、
前記寸法確認部は、
前記接触検知部で前記ワーク移動部材と前記固定点との接触を検知したときに前記読取ヘッドで読み取られた目盛値と、前記基準目盛値とを比較することにより、前記ワークの前記相対寸法を確認する、ワーク寸法確認装置。
【請求項2】
前記ワーク移動部材は、前記工作機械によって加工された前記ワークを搬送するガントリローダである、請求項1に記載のワーク寸法確認装置。
【請求項3】
前記接触検知部は、前記ワーク移動部材のドグと接触するタッチスイッチを含み、
前記タッチスイッチは、前記固定点を構成する、請求項1又は2に記載のワーク寸法確認装置。
【請求項4】
前記接触部材は、前記テーブルに立設された柱体と、前記柱体の先端部に設けられ前記加工面に接触可能なプローブと、を含むガイドピンである、請求項1〜3の何れか一項に記載のワーク寸法確認装置。
【請求項5】
前記固定点は、第1固定点と、前記第1固定点に対して前記スケールの延伸方向に離れた第2固定点と、を有し、
前記ワーク移動部材は、
少なくとも前記第1固定点に接触するまで、前記加工面に前記接触部材を接触させた状態で前記スケールの延伸方向一方側に前記ワークを移動させることにより、当該ワークに連れ立って前記テーブルを前記スケールの延伸方向一方側に移動させ、
少なくとも前記第2固定点に接触するまで、前記加工面に前記接触部材を接触させた状態で前記スケールの延伸方向他方側に前記ワークを移動させることにより、当該ワークに連れ立って前記テーブルを前記スケールの延伸方向他方側に移動させ、
前記寸法確認部は、
前記接触検知部で前記ワーク移動部材と前記第1固定点との接触を検知したときに前記読取ヘッドで読み取られた目盛値と、前記基準目盛値とを比較することにより、前記ワークの第1相対寸法を確認し、
前記接触検知部で前記ワーク移動部材と前記第2固定点との接触を検知したときに前記読取ヘッドで読み取られた目盛値と、前記基準目盛値とを比較することにより、前記ワークの第2相対寸法を確認する、請求項1〜4の何れか一項に記載のワーク寸法確認装置。
【請求項6】
前記スケールの延伸方向は、鉛直方向である、請求項1〜5の何れか一項に記載のワーク寸法確認装置。
【請求項7】
前記テーブルの自重による下降を規制する下降規制部を備える、請求項6に記載のワーク寸法確認装置。
【請求項8】
前記ワーク移動部材は、第1速度で前記ワークを移動させた後、前記第1速度よりも低速の第2速度で前記固定点に接触するまで前記ワークを移動させる、請求項1〜7の何れか一項に記載のワーク寸法確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク寸法確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械で加工されたワークの寸法を確認するワーク寸法確認装置が知られている。このようなワーク寸法確認装置に関する技術として、特許文献1には、工作機械の機外計測装置が記載されている。特許文献1に記載された装置は、ガントリローダの搬送可能範囲に設けられたワーク載置台と、ワーク載置台に設置されたセンサ取付台と、センサ取付台に設けられたワーク接触用のタッチセンサと、を備える。ガントリローダでワーク載置台上にワークが運ばれ、運ばれたワークに対してタッチセンサが接触するまでセンサ取付台が進退駆動され、その接触時の座標値に基づきワークの寸法が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−208345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワーク寸法確認装置においては、ガントリローダのワーク把持部でワークを把持した状態で当該ワークをタッチセンサに当て、そのときのガントリローダの座標値を例えばガントリローダの駆動用モータの駆動量から求め、この座標値に基づきワークの寸法を確認する場合がある。しかし、ガントリローダは、上下に延びる昇降ロッドの下端に設けられたワーク把持部でワークを把持する構成とされている。そのため、当該構成に起因して、昇降ロッドにおける下端側(ワーク把持部側)が意図せず傾いたり揺れ動いたりする場合がある。その結果、例えばワークの位置ブレや駆動用モータの駆動に対するワークの追従遅れが生じ、確認したワークの寸法に誤差が含まれてしまい、ワークの寸法を精度よく確認することが困難となる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、ワークの寸法を精度よく確認できるワーク寸法確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワーク寸法確認装置は、工作機械で加工されたワークの寸法を確認するワーク寸法確認装置であって、スケールと、スケールの延伸方向に沿って移動自在なテーブルと、テーブルに設けられスケールの目盛値を読み取る読取ヘッドと、テーブルに設けられワークの加工面に接触する接触部材と、ワークを把持すると共に、当該ワークをスケールの延伸方向に沿って移動させるワーク移動部材と、スケールとの相対位置が固定されるように配置され、ワーク移動部材に接触可能な固定点と、ワーク移動部材と固定点との接触を検知する接触検知部と、マスターワークの寸法に関する基準目盛値を参照し、読取ヘッドで読み取られた目盛値に基づいて、マスターワークの寸法に対するワークの相対寸法を確認する寸法確認部と、を備え、ワーク移動部材は、少なくとも固定点に接触するまで、加工面に接触部材を接触させた状態でワークを移動させることにより、当該ワークに連れ立ってテーブルをスケールの延伸方向に沿って移動させ、寸法確認部は、接触検知部でワーク移動部材と固定点との接触を検知したときに読取ヘッドで読み取られた目盛値と、基準目盛値とを比較することにより、ワークの相対寸法を確認する。
【0007】
このワーク寸法確認装置では、ワークを把持したワーク移動部材を固定点に当てて、決まった位置にワーク移動部材を確実に位置させたときのスケールの目盛値から、基準目盛値との比較でワークの相対寸法を確認できる。したがって、例えばワークの位置がブレて寸法確認に誤差が含まれることを抑制でき、ワークの寸法を精度よく確認することが可能となる。
【0008】
本発明に係るワーク寸法確認装置では、ワーク移動部材は、工作機械によって加工されたワークを搬送するガントリローダであってもよい。この構成によれば、ワーク移動部材にガントリローダを利用し、例えば工作機械による加工後速やかにワークの寸法確認を行うことができ、加工効率を向上することが可能となる。
【0009】
本発明に係るワーク寸法確認装置では、接触検知部は、ワーク移動部材のドグと接触するタッチスイッチを含み、タッチスイッチは、固定点を構成してもよい。この構成によれば、ワーク移動部材と固定点との接触検知における繰返し精度を高め、ひいては、ワークの寸法確認における繰返し精度を高めることが可能となる。
【0010】
本発明に係るワーク寸法確認装置では、接触部材は、テーブルに立設された柱体と、柱体の先端部に設けられ加工面に接触可能なプローブと、を含むガイドピンであってもよい。この場合、ワークの加工面の寸法を安定して確認することが可能となる。
【0011】
本発明に係るワーク寸法確認装置では、固定点は、第1固定点と、第1固定点に対してスケールの延伸方向に離れた第2固定点と、を有し、ワーク移動部材は、少なくとも第1固定点に接触するまで、加工面に接触部材を接触させた状態でスケールの延伸方向一方側にワークを移動させることにより、当該ワークに連れ立ってテーブルをスケールの延伸方向一方側に移動させ、少なくとも第2固定点に接触するまで、加工面に接触部材を接触させた状態でスケールの延伸方向他方側にワークを移動させることにより、当該ワークに連れ立ってテーブルをスケールの延伸方向他方側に移動させ、寸法確認部は、接触検知部でワーク移動部材と第1固定点との接触を検知したときに読取ヘッドで読み取られた目盛値と、基準目盛値とを比較することにより、ワークの第1相対寸法を確認し、接触検知部でワーク移動部材と第2固定点との接触を検知したときに読取ヘッドで読み取られた目盛値と、基準目盛値とを比較することにより、ワークの第2相対寸法を確認してもよい。
【0012】
この構成によれば、ワーク移動部材とワーク移動部材で把持したワークとがスケールの延伸方向に芯ずれしている場合でも、第1相対寸法及び第2相対寸法の双方を考慮することで、この芯ずれの悪影響を打ち消し合ってワークの寸法を精度よく確認することが可能となる。
【0013】
本発明に係るワーク寸法確認装置では、スケールの延伸方向は、鉛直方向であってもよい。この構成によれば、重力を利用して、例えば読取ヘッドに存在する構造上の隙間や余裕(いわゆる遊び)を低減でき、ワークの寸法を一層精度よく確認することが可能となる。
【0014】
本発明に係るワーク寸法確認装置は、テーブルの自重による下降を規制する下降規制部を備えていてもよい。この構成によれば、テーブルが自重で落下することを抑制でき、例えばテーブルを静止させた場合には、その静止状態を維持させることが可能となる。
【0015】
本発明に係るワーク寸法確認装置では、ワーク移動部材は、第1速度でワークを移動させた後、第1速度よりも低速の第2速度で固定点に接触するまでワークを移動させてもよい。この構成によれば、接触検知部で接触を検知する前にワークの移動速度を低速化し、接触検知部で接触を検知するタイミングと読取ヘッドで目盛値を読み取るタイミングとのタイムラグの悪影響を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワークの寸法を精度よく確認できるワーク寸法確認装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るワーク寸法確認装置の構成を示す概略正面図である。
図2図1のリニアスケールを示す概略平面図である。
図3】(a)は、図1のワーク寸法確認装置の動作を説明する図である。(b)は、図1のワーク寸法確認装置の動作を説明する他の図である。
図4】(a)は、第2実施形態に係るワーク寸法確認装置の構成の一部を示す概略正面図である。(b)は、図4のリニアスケールを示す概略側面図である。
図5】(a)は、変形例に係るワーク寸法確認装置の動作を説明する図である。(b)は、変形例に係るワーク寸法確認装置の動作を説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。「X方向」は水平方向に沿う方向であり、「Y方向」は水平方向に沿う方向であってX方向と直交する方向であり、「Z方向」は鉛直方向に沿う方向である。
【0019】
[第1実施形態]
図1に示されるように、第1実施形態に係るワーク寸法確認装置10Aは、工作機械1で加工されたワークWの寸法を確認する装置である。ワーク寸法確認装置10Aは、リニアスケール20、テーブル22、ガイドピン24、ガントリローダ30、タッチスイッチ40及び制御装置50を備えている。
【0020】
工作機械1は、ワークWに対して研削加工、研磨加工、圧延加工、鍛造加工、切断加工、穿孔加工又は折曲げ加工等を施して、目的の形状に加工する機械である。例えば工作機械1は、NC(Numerical Control)加工を行うNC工作機械であって、ワークWに対して切削加工を施す旋盤を少なくとも含む。なお、工作機械1としては、特に限定されず、種々の機械を適用できる。
【0021】
ワークWは、例えば金属又は樹脂等で形成された加工対象物である。ここでのワークWは、円筒形状を呈しており、その内周面が切削面である加工面2とされている。ワークWの形状は特に限定されず、その他の形状であってもよい。加工面2としては、工作機械1で加工されることで形成された面であれば特に限定されず、研磨面等であってもよい。
【0022】
図1及び図2に示されるように、リニアスケール20は、スケール21と読取ヘッド23とを有する。スケール21は、ベッド25に固定され、ベッド25上においてY方向に沿って延在する。スケール21は、目盛を含む。例えば目盛は、0.1μm刻みで設定されている。読取ヘッド23は、スケール21の目盛値を読み取る読取装置である。読取ヘッド23は、後述のテーブル22に設けられている。読取ヘッド23は、読み取ったスケール21の目盛値を制御装置50へ出力する。
【0023】
なお、リニアスケール20の形式は特に限定されない。例えばリニアスケール20は、スケール21が格子構造の目盛を含み、この格子構造の目盛を読取ヘッド23で読み取る光学式リニアスケールであってもよい。あるいは、例えばリニアスケール20は、スケール21が磁気格子縞を目盛として含み、この磁気格子縞を読取ヘッド23で読み取る磁気式リニアスケールであってもよい。
【0024】
テーブル22は、Y方向に沿って移動(直動)自在にベッド25上に配置されている。図示する例では、テーブル22は、Z方向を厚さ方向とする板形状を呈する。テーブル22は、ガイドレール26によってY方向の移動が案内される。ガイドレール26は、ベッド25に固定され、ベッド25上においてY方向に沿って延在する。
【0025】
ガイドピン24は、ワークWの加工面2に接触する接触部材である。ガイドピン24は、テーブル22上に設けられている。ガイドピン24は、柱体24aと、プローブ24bと、を含む。柱体24aは、柱形状を呈し、テーブル22に立設されている(換言すると、Z方向に沿って立つように設けられている)。プローブ24bは、加工面2に接触可能な部材であり、加工面2の寸法確認のための探針部を構成する。プローブ24bは、柱体24aの先端部に設けられている。プローブ24bの形状としては、特に限定されないが、ここでは球形状とされている。
【0026】
図1に示されるように、ガントリローダ30は、工作機械1によって加工されたワークWを搬送するガントリ式のローダである。ガントリローダ30は、ワークWを把持すると共に当該ワークWをスケール21の延伸方向に沿って移動させるワーク移動部材を構成する。ガントリローダ30は、走行台31と、昇降ロッド32と、ワーク把持部33と、を有する。
【0027】
走行台31は、架設レールLに沿ってY方向に移動自在に設けられている。また走行台31は、X方向に移動自在に設けられている。走行台31は、ラックアンドピニオン機構を介して、モータ35によってX方向及びY方向それぞれに駆動される。昇降ロッド32は、走行台31に対してZ方向に移動自在(昇降自在)に設けられている。昇降ロッド32は、ラックアンドピニオン機構を介して、モータ35によってZ方向に駆動される。
【0028】
ワーク把持部33は、ワークWを把持する部位であり、昇降ロッド32の下端に設けられている。ワーク把持部33は、ワークWをその軸方向と直交する方向に挟持してワークWを把持する。ワーク把持部33は、下向き姿勢及び横向き姿勢でワークWを把持可能な2つのチャック33a,33bを含む。チャック33a,33bは、その互いの位置(つまり、互いの姿勢)が切換え可能とされている。なお、ワーク把持部33は、例えば吸着によりワークWを把持してもよい。
【0029】
ドグ34は、タッチスイッチ40と接触する部位である。ドグ34は、タッチスイッチ40に対応する数だけ設けられている。ドグ34は、タッチスイッチ40に対応する位置に(ここでは、タッチスイッチ40とY方向に対面するように)設けられている。ドグ34は、第1ドグ34a及び第2ドグ34bを含む。第1ドグ34aは、ワーク把持部33のチャック33aにおけるY方向一方側に、当該Y方向一方側に突出するように設けられている。第2ドグ34bは、ワーク把持部33のチャック33aにおけるY方向他方側(Y方向一方側の反対側)に、当該Y方向他方側に突出するように設けられている。
【0030】
タッチスイッチ40は、ガントリローダ30のドグ34に対して接触可能に設けられた接触式の計測器である。タッチスイッチ40は、ガントリローダ30のドグ34と接触したときにONとなり、制御装置50にタッチ信号を出力する。タッチスイッチ40は、スケール21との相対位置が固定されるように、ベッド25上に配置されている。タッチスイッチ40は、第1タッチスイッチ40a及び第2タッチスイッチ40bを含む。第1タッチスイッチ40aは、ベッド25上においてスケール21のY方向一方側の端部に、支持部材41aを介して固定されている。第1タッチスイッチ40aは、第1ドグ34aとY方向に接触可能であり、Y方向他方側に向くように設置されている。
【0031】
第2タッチスイッチ40bは、ベッド25上においてスケール21のY方向他方側の端部に、支持部材41bを介して固定されている。第2タッチスイッチ40bは、第1タッチスイッチ40aに対してY方向他方側に離れて配置されている。第2タッチスイッチ40bは、第2ドグ34bとY方向に接触可能であり、Y方向一方側に向くように設置されている。
【0032】
このようなタッチスイッチ40は、ガントリローダ30に対する接触を検知する接触検知部を構成する。またタッチスイッチ40(第1及び第2タッチスイッチ40a,40b)は、固定点(第1及び第2固定点)を構成する。固定点は、スケール21との相対位置が固定されるように配置され、ガントリローダ30に対して少なくとも点接触で接触する部位である。
【0033】
制御装置50は、例えば、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/O、処理を行うためのプログラム及び各種情報が記憶されたROM、データを一時的に記憶するRAM、HDD等の記憶媒体、CPU、及び通信回路を有する。制御装置50は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで、後述する各種機能を実現する。
【0034】
制御装置50は、モータ駆動制御部51と、記憶部52と、寸法確認部53と、を機能的構成として含む。モータ駆動制御部51は、モータ35の動作を制御することにより、X方向、Y方向及びZ方向それぞれにおけるガントリローダ30の移動を制御する。
【0035】
具体的には、モータ駆動制御部51は、次のようにガントリローダ30のワーク把持部33の移動を制御する。すなわち、把持したワークWの軸方向をZ方向とした状態で当該ワークWの筒孔内にガイドピン24のプローブ24bが位置するように、ワーク把持部33を移動させる。この状態において、少なくともドグ34がタッチスイッチ40に接触するまで、ワーク把持部33をY方向に沿って移動させる。これにより、加工面2にプローブ24bを接触させた状態でY方向にワークWを移動させ、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をY方向に移動させる。つまり、ガントリローダ30は、モータ駆動制御部51により動作が制御されて、少なくともタッチスイッチ40に接触するまで、加工面2にガイドピン24を接触させた状態でワークWを移動させ、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をY方向に沿って移動させる。
【0036】
モータ駆動制御部51は、予め定められた閾値を超えてドグ34がタッチスイッチ40に接近したアプローチ状態(以下、単に「アプローチ状態」という)となるまで、第1速度でワーク把持部33をY方向に沿って移動させる。これにより、アプローチ状態となるまで第1速度でワークWをY方向に沿って移動させる。そして、モータ駆動制御部51は、アプローチ状態からドグ34がタッチスイッチ40に接触するまで、第1速度よりも低速の第2速度でワーク把持部33をY方向に沿って移動させる。これにより、アプローチ状態からドグ34がタッチスイッチ40に接触するまで、第2速度でワークWをY方向に沿って移動させる。第1速度及び第2速度は、予め設定された速度であり、一定値であってもよいし可変値であってもよい。
【0037】
記憶部52には、マスターワークの寸法である基準寸法に関する基準目盛値が予め記憶されている。マスターワークは、工作機械1による加工の目標となる正規のワーク(基準となるワーク)である。基準寸法は、マスターワークの寸法の真値であり、目標となる正規の寸法である。本実施形態では、ワークWの加工面2が内周面であることから、基準寸法は内径寸法である。
【0038】
基準目盛値は、ワークWの寸法を確認する条件と同条件でマスターワークの寸法を確認した確認時において、読取ヘッド23で読み取った目盛値である。基準目盛値は、次のようにして予め取得することができる。すなわち、マスターワークをガントリローダ30のワーク把持部33で把持する。ワーク把持部33は、把持したマスターワークの加工面にガイドピン24のプローブ24bを接触させた状態で当該マスターワークをY方向に移動させる。これにより、当該マスターワークに連れ立ってテーブル22をY方向に移動させる。そして、タッチスイッチ40にドグ34が接触したときに読取ヘッド23で読み取られた目盛値を、基準目盛値として取得する。
【0039】
この基準目盛値は、具体的には、マスターワークの内周面のY方向他方側にプローブ24bが接触した状態で第1ドグ34aが第1タッチスイッチ40aに接触したときに読取ヘッド23で読み取られる第1基準目盛値と、マスターワークの加工面2のY方向一方側にプローブ24bが接触した状態で第2ドグ34bが第2タッチスイッチ40bに接触したときに読取ヘッド23で読み取られる第2基準目盛値と、を含む。
【0040】
記憶部52には、スケール21の一目盛に対応するワークWの寸法が予め記憶されている。例えばスケール21の一目盛に対応するワークWの寸法は、外部入力により記憶されてもよいし、マスターワークの基準寸法及び基準目盛値から算出されて記憶されてもよい。スケール21の一目盛に対応するワークWの寸法として、例えば0.01mmが記憶されている。記憶部52には、第1速度及び第2速度が予め記憶されている。記憶部52には、アプローチ状態を判定するための上記閾値が予め記憶されている。
【0041】
寸法確認部53は、記憶部52に記憶された基準目盛値を参照して、読取ヘッド23で読み取られた目盛値に基づいて、基準寸法に対するワークWの相対寸法(マスターワークとの寸法差)を確認する。寸法確認部53は、タッチスイッチ40で接触を検知したときに読取ヘッド23で読み取られた目盛値と、基準目盛値と、を比較することにより、ワークWの加工面2の相対寸法を確認する。
【0042】
具体的には、寸法確認部53は、読取ヘッド23で読み取られたスケール21の目盛値を時間に関連付けて経時的に取得し、目盛値の時系列データであるリアルタイム目盛データを取得する。取得したリアルタイム目盛データのうち、タッチスイッチ40からのタッチシグナルが立ち上がったタイミングのときの目盛値を抽出する。抽出した目盛値と基準目盛値との目盛差を算出する。そして、算出した目盛差から、スケール21の一目盛に対応するワークWの寸法に基づいて、加工面2の相対寸法の値を算出する。
【0043】
次に、ワーク寸法確認装置10AにおけるワークWの寸法確認時の動作について、図3を参照して詳細に説明する。
【0044】
ワーク寸法確認装置10Aでは、工作機械1においてワークWを加工した後、モータ駆動制御部51によりガントリローダ30の移動を制御し、ワーク把持部33で把持したワークWを工作機械1外へ移動させる。そして、ワークWを把持したまま、当該ワークWの軸方向をZ方向とした状態でワークWの筒孔内にガイドピン24のプローブ24bを配置させる。
【0045】
続いて、モータ駆動制御部51によりガントリローダ30の移動を制御し、図3(a)に示されるように、ワークWを把持したワーク把持部33をY方向一方側へ第1速度で移動させる。加工面2のY方向他方側にプローブ24bを接触させ、この接触状態でY方向一方側にワークWをさらに移動させ、ガイドピン24を介してテーブル22をY方向一方側へと連れ動かす。これにより、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をY方向一方側に第1速度で移動させる。
【0046】
アプローチ状態となった後、ワーク把持部33の移動速度を第2速度に切り替え、ワーク把持部33をY方向一方側へ第2速度で移動させる。これにより、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をY方向一方側に第2速度で移動させる。ワーク把持部33をY方向一方側へ移動させている際には、寸法確認部53により、読取ヘッド23からスケール21の目盛値を経時的に取得し、目盛値の時系列データであるリアルタイム目盛データを取得する。
【0047】
ワーク把持部33の第1ドグ34aが第1タッチスイッチ40aに当たると、第1タッチスイッチ40aがONとなり、第1タッチスイッチ40aからタッチシグナルが寸法確認部53へ出力される。寸法確認部53は、取得したリアルタイム目盛データにおいてタッチシグナルが立ち上がったタイミングでの目盛値を、第1目盛値として抽出する。そして、抽出した第1目盛値と第1基準目盛値との目盛差を算出し、当該目盛差からスケール21の一目盛に対応する寸法に基づいて、加工面2の第1相対寸法の値を算出して確認する。
【0048】
例えば図3(a)で例示されるように、読み取られた第1目盛値が「10」のとき、第1基準目盛値が「12」であれば、ワークWの寸法確認時にはマスターワークの寸法確認時よりもプローブ24bが一方側(図示左側)に位置しており、ワークWの加工面2の内径がマスターワークよりも小さいと判断できる。この場合、例えば「−0.02mm」の値が第1相対寸法として算出されて確認される。
【0049】
続いて、モータ駆動制御部51によりガントリローダ30の移動を制御し、図3(b)に示されるように、ワークWを把持したワーク把持部33をY方向他方側へ第1速度で移動させる。加工面2のY方向一方側にプローブ24bを接触させ、この接触状態でY方向他方側にワークWをさらに移動させ、ガイドピン24を介してテーブル22をY方向他方側へと連れ動かす。これにより、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をY方向他方側に第1速度で移動させる。
【0050】
アプローチ状態となった後、ワーク把持部33の移動速度を第2速度に切り替え、ワーク把持部33をY方向他方側へ第2速度で移動させ、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をY方向他方側に第2速度で移動させる。ワーク把持部33をY方向他方側へ移動させている際には、寸法確認部53により、読取ヘッド23からスケール21の目盛値を経時的に取得し、目盛値の時系列データであるリアルタイム目盛データを取得する。
【0051】
ワーク把持部33の第2ドグ34bが第2タッチスイッチ40bに当たると、第2タッチスイッチ40bがONとなり、第2タッチスイッチ40bからタッチシグナルが寸法確認部53へ出力される。寸法確認部53は、取得したリアルタイム目盛データにおいてタッチシグナルが立ち上がったタイミングでの目盛値を、第2目盛値として抽出する。そして、抽出した第2目盛値と第2基準目盛値との目盛差を算出し、当該目盛差からスケール21の一目盛に対応する寸法に基づいて、加工面2の第2相対寸法の値を算出して確認する。
【0052】
例えば図3(b)で例示されるように、読み取られた第2目盛値が「90」のとき、基準目盛値が「91」であれば、ワークWの寸法確認時にはマスターワークの寸法確認時よりもプローブ24bが一方側(図示左側)に位置しており、ワークWの加工面2の内径がマスターワークよりも大きいと判断できる。この場合、例えば「+0.01mm」の値が第2相対寸法として算出されて確認される。
【0053】
なお、第1及び第2相対寸法の値を算出した後、寸法確認部53は、これら第1及び第2相対寸法の値を足し合わせ、マスターワークの内径に対するワークWの内径の差である相対内径の値を算出して確認する。例えば、第1相対寸法の値が「−0.02mm」で第2相対寸法の値が「+0.01mm」の場合には、相対内径の値が「−0.01mm」となる。すなわち、ワークWはマスターワークよりも内径が0.01mm小さいことが確認される。そして、ワークWの加工面2の確認結果(第1相対寸法、第2相対寸法、及び/又は相対内径)について、寸法確認部53から工作機械1へフィードバックされる。
【0054】
以上、ワーク寸法確認装置10Aでは、ワークWをワーク把持部33で把持したガントリローダ30のドグ34をタッチスイッチ40に当て、決まった位置に当該ワーク把持部33を確実に位置させたときのスケール21の目盛値から、マスターワークの基準目盛値との比較でワークWの寸法を確認できる。したがって、例えばワークWの位置がブレて寸法確認に誤差が含まれることを抑制できる。ワークWの寸法を精度よく確認することが可能となる。
【0055】
ワーク寸法確認装置10Aでは、複数種のワークWの寸法確認を行う場合でも、ワークWの形状毎に異なる専用具を設計及び製作する必要がない。通常の寸法確認の際に必要な倍率設定も不要となる。よって、ワークWの寸法を簡易に確認でき、ワークWの寸法確認の汎用性を高めることが可能となる。
【0056】
ワーク寸法確認装置10Aでは、ワークWの寸法確認にリニアスケール20を用いており、寸法確認の対象となる加工面2にガイドピン24のプローブ24bを直接当ててワークWの寸法を確認できる。よって、ガントリローダ30のモータ35の駆動量(例えばモータ35に設けられたエンコーダの出力)を利用してワークWの寸法を確認する場合に比べ、ワークWの位置ブレやモータ35の駆動に対するワークWの追従遅れの悪影響を抑制でき、ワークWの寸法を精度よく確認することが可能となる。
【0057】
ワーク寸法確認装置10Aは、ワーク移動部材としてガントリローダ30を備えている。これにより、ガントリローダ30を利用し、工作機械1による加工後速やかにワークWの寸法確認を行うことができ、加工効率を向上することが可能となる。
【0058】
ワーク寸法確認装置10Aでは、タッチスイッチ40によりガントリローダ30のドグ34との接触を検出する。これにより、接触検知における繰返し精度を高め、ひいては、ワークWの寸法確認における繰返し精度を高めることが可能となる。
【0059】
ワーク寸法確認装置10Aは、ガイドピン24を備えており、ワークWの寸法確認の際、ガイドピン24のプローブ24bがワークWの加工面2に接触される。これにより、ワークWの加工面2の相対寸法を安定して確認することが可能となる。なお、プローブ24bが球形状とされていることから、加工面2のポイント計測を容易に行うことが可能となる。
【0060】
ワーク寸法確認装置10Aでは、ワークWを把持したガントリローダ30のワーク把持部33をY方向一方側及びY方向他方側の双方に移動させて、第1相対寸法及び第2相対寸法を確認する。これにより、把持したワークWがワーク把持部33に対してY方向に芯ずれしている場合でも、第1相対寸法及び第2相対寸法の双方を考慮することで、当該芯ずれの悪影響を打ち消し合うことができる。ワークWの寸法を精度よく確認することが可能となる。
【0061】
ワーク寸法確認装置10Aでは、第1速度でワークWをY方向に移動させた後、第1速度よりも低速の第2速度でタッチスイッチ40に接触するまでワークWをY方向に移動させる。これにより、タッチスイッチ40による接触検知の前にワークWの移動速度を低速化し、タッチスイッチ40で接触を検知したタイミングと読取ヘッド23で目盛値を読み取るタイミングとのタイムラグの悪影響を抑制することが可能となる。
【0062】
ワーク寸法確認装置10Aでは、読取ヘッド23でスケール21の目盛値を経時的に読み取り、目盛値の時系列データであるリアルタイム目盛データを取得する。そして、取得したリアルタイム目盛データのうち、タッチスイッチ40からのタッチシグナルが立ち上がったタイミングのときの目盛値を、基準目盛値と比較する。これにより、タッチスイッチ40で接触を検知したタイミングと読取ヘッド23で目盛値を読み取るタイミングとのタイムラグの悪影響を抑制することが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態の寸法確認部53は、目盛値の時系列データであるリアルタイム目盛データのうち、タッチスイッチ40からのタッチシグナルが立ち上がったタイミングのときの目盛値を、基準目盛値と比較したが、これに限定されない。例えば寸法確認部53は、タッチシグナルが立ち上がったとき、これをトリガーとして読取ヘッド23で目盛値を読み取らせ、この目盛値を基準目盛値と比較してもよい。要は、タッチスイッチ40で接触を検知したときに読取ヘッドで読み取られた目盛値を、基準目盛値と比較すればよい。
【0064】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るワーク寸法確認装置について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と重複する説明は省略し、異なる点について説明する。
【0065】
図4(a)及び図4(b)に示されるように、第2実施形態に係るワーク寸法確認装置10Bは、スケール21の延伸方向がZ方向となるように構成されている。すなわち、スケール21は、支持部材28を介してベッド25に固定され、ベッド25上にてZ方向に沿って延在する。テーブル22は、Z方向に沿って移動自在に設けられている。テーブル22は、Y方向を厚さ方向とする板形状を呈する。テーブル22は、ガイドレール26によってZ方向の移動が案内される。ガイドレール26は、支持部材28を介してベッド25に固定され、ベッド25上にてZ方向に沿って延在する。
【0066】
第1ドグ34aは、ワーク把持部33のチャック33bにおけるZ方向一方側(図示上側)に、当該Z方向一方側に突出するように設けられている。第2ドグ34bは、ワーク把持部33のチャック33bにおけるZ方向他方側(Z方向一方側の反対側,図示下側)に、当該Z方向他方側に突出するように設けられている。
【0067】
第1タッチスイッチ40aは、スケール21のZ方向一方側の端部に支持部材41aを介して固定されている。第1タッチスイッチ40aは、第1ドグ34aとZ方向に接触可能であり、Z方向他方側に向くように設置されている。第2タッチスイッチ40bは、スケール21のZ方向他方側の端部に支持部材41bを介して固定されている。第2タッチスイッチ40bは、第1タッチスイッチ40aに対してZ方向他方側に離れて配置されている。第2タッチスイッチ40bは、第2ドグ34bとZ方向に接触可能であり、Y方向一方側に向くように設置されている。
【0068】
モータ駆動制御部51(図1参照)は、モータ35の動作を制御することにより、ガントリローダ30の移動を制御する。具体的には、次のようにガントリローダ30のワーク把持部33の移動を制御する。すなわち、把持したワークWの軸方向をY方向とした状態で当該ワークWの筒孔内にガイドピン24のプローブ24bが位置するように、ワーク把持部33を移動させる。この状態において、ドグ34がタッチスイッチ40に接触するまで、ワーク把持部33をZ方向に沿って移動させる。これにより、加工面2にプローブ24bを接触させた状態でZ方向にワークWを移動させ、当該ワークWに連れ立ってテーブル22をZ方向に移動させる。アプローチ状態となるまで、第1速度でワーク把持部33をZ方向に沿って移動させ、第1速度でワークWをZ方向に沿って移動させる。アプローチ状態からドグ34がタッチスイッチ40に接触するまで、第2速度でワーク把持部33をZ方向に沿って移動させ、第2速度でワークWをZ方向に沿って移動させる。
【0069】
図4(b)に示されるように、ワーク寸法確認装置10Bは、エアシリンダ60を更に備える。エアシリンダ60は、テーブル22の自重による下降を規制する下降規制部である。図示する一例では、エアシリンダ60は、ベッド25(図4(a)参照)上に固定された本体部61に対して、可動部62がロッド63を介してZ方向に可動する。可動部62は、連結部64によりテーブル22に連結されている。エアシリンダ60は、テーブル22の自重に対応する大きさを有する上向きの一定力を、可動部62から連結部64を介してテーブル22に加える。またエアシリンダ60は、当該一定力が常にテーブル22に加わるように、テーブル22の昇降に追従してZ方向に可動する。エアシリンダ60は、制御装置50(図1参照)に接続されており、制御装置50は、エアシリンダ60の可動部62の動作を制御する。
【0070】
以上のように構成されたワーク寸法確認装置10Bにおいても、ワークWをワーク把持部33で把持したガントリローダ30のドグ34をタッチスイッチ40に当て、決まった位置に当該ワーク把持部33を確実に位置させたときのスケール21の目盛値から、マスターワークの基準目盛値との比較でワークWの寸法を確認できる。よって、ワークWの寸法を精度よく確認できるという上記効果が奏される。
【0071】
ワーク寸法確認装置10Bでは、スケール21の延伸方向が鉛直方向であるZ方向とされている。これにより、重力を利用して、リニアスケール20に存在する構造上の隙間や余裕(いわゆる遊び)を低減でき、ワークWの寸法を一層精度よく確認することが可能となる。
【0072】
ワーク寸法確認装置10Bは、テーブル22の自重による下降を規制するエアシリンダ60を備えている。これにより、テーブル22が自重で落下することを抑制でき、例えばテーブル22を静止させた場合には、その静止状態を維持させることが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態では、下降規制部としてエアシリンダ60を用いたが、エアシリンダ60に代えて、テーブル22の自重による下降を規制可能な他の公知装置を用いてもよい。例えば下降規制部として、油圧シリンダ、チェーンバランサ又はスプリングバランサ等を用いてもよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0075】
上記実施形態は、ワーク移動部材としてガントリローダ30を備えているが、これに代えて、例えば一般的なロボットアーム等を備えていてもよい。ワーク移動部材としては、ワークWを把持すると共に当該ワークWをスケール21の延伸方向に沿って移動させるものであれば、種々の部材、機構又は装置を適用できる。
【0076】
上記実施形態では、スケール21におけるY方向の端部にタッチスイッチ40を設けたが、タッチスイッチ40が配置される位置は限定されず、スケール21との相対位置が固定されるように配置されていればよい。上記実施形態では、基準寸法に対するワークWの相対寸法の確認として、基準寸法に対する相対寸法の値を算出することで確認したが、これに代えてもしくは加えて、ワークWの寸法が基準寸法であるか否かを判定することで確認してもよい。
【0077】
上記実施形態では、タッチスイッチ40が固定点を構成し、タッチスイッチ40に対するガントリローダ30のドグ34の接触を当該タッチスイッチ40で検知したが、固定点に対するガントリローダ30の接触を検知する構成は限定されない。例えば、その他の公知のセンサを接触検知部として用いて、固定点とガントリローダ30との接触を検知してもよい。この場合、タッチスイッチ40が固定点を構成しなくてもよく、固定点は、スケール21との相対位置が固定されるように配置されガントリローダ30に接触可能な部位であればよい。
【0078】
上記実施形態では、ワーク把持部33で把持したワークWをスケール21の延伸方向一方側及び他方側の双方に移動させて、第1相対寸法及び第2相対寸法を確認したが、これに限定されない。例えば、ワーク把持部33で把持したワークWをスケール21の延伸方向一方側又は他方側のみに移動させて、第1相対寸法又は第2相対寸法のみを確認してもよい。
【0079】
上記実施形態は、ガントリローダ30のX方向のずれ(ガタ)を規制する固定用ピン及びシリンダを備えていてもよい。この場合、ワーク把持部33で把持したワークWの加工面2とプローブ24bとの接触位置がX方向のずれる現象(以下、「X方向の芯ずれ」という)を抑制することが可能となる。
【0080】
例えば内径φ44.0000mm及び外径φ86.0000mmを基準寸法として有するワークWの場合、X方向の芯ずれが1mmであると、確認される寸法は、内径φ43.95452mm(誤差45.48μm)及び外径φ85.97674mm(誤差23.26μm)となった。X方向の芯ずれが0.5mmであると、確認される寸法は、内径φ43.98863mm(誤差11.37μm)及び外径φ85.99419mm(誤差5.81μm)となった。一方、固定用ピン及びシリンダによってX方向の芯ずれを0.1mmに抑えた場合、確認される寸法は、内径φ43.99955mm(誤差0.45μm)及び外径φ85.99977mm(誤差0.023μm)となった。これにより、ワークの寸法を精度よく確認する上でX方向の芯ずれを抑制する効果が顕著であることが確認できた。
【0081】
上記実施形態では、ワークWの内周面が加工面2であり、ワークWの内径を確認したが、寸法確認するワークWの部位は限定されない。例えばワークWの外周面が加工面2であり、ワークWの外径を確認してもよい。このように上記実施形態では、多項目測定が可能となる。
【0082】
また例えば、図5に示されるように、小径部3及び大径部4を有する段付き円筒形状のワークW1を加工対象物とし、ワークW1の小径部3の軸方向における寸法Hを確認することもできる。図5に示される例では、Y方向に突出するドグ34がワーク把持部33のY方向他方側に設けられている。タッチスイッチ40は、スケール21におけるZ方向の上端部に固定されている。タッチスイッチ40は、ドグ34とZ方向に接触可能であり、上側に向くように設置されている。
【0083】
この場合、ワークW1の寸法Hを確認する際には、まず、図5(a)に示されるように、加工面である小径部3の端面3aにプローブ24bを接触させた状態でワーク把持部33を下方に移動させる。これにより、下方にワークW1を移動させ、当該ワークW1に連れ立ってテーブル22を下方へ移動させる。ドグ34がタッチスイッチ40に接触したときに読取ヘッド23で読み取られた目盛値と基準目盛値とを比較し、ワークW1の端面3aの相対寸法を確認する。
【0084】
続いて、図5(b)に示されるように、加工面である大径部4の端面4aにプローブ24bを接触させた状態でワーク把持部33を下方に移動させる。これにより、下方にワークW1を移動させ、当該ワークW1に連れ立ってテーブル22を下方へ移動させる。ドグ34がタッチスイッチ40に接触したときに読取ヘッド23で読み取られた目盛値と基準目盛値とを比較し、ワークW1の端面4aの相対寸法を確認する。そして、ワークW1の端面3a,4aの相対寸法から、基準寸法に対する寸法Hの相対寸法を確認する。
【符号の説明】
【0085】
1…工作機械、2…加工面、10A,10B…ワーク寸法確認装置、20…リニアスケール、21…スケール、22…テーブル、23…読取ヘッド、24…ガイドピン(接触部材)、24a…柱体、24b…プローブ、30…ガントリローダ(ワーク移動部材)、34…ドグ、40…タッチスイッチ(固定点,接触検知部)、40a…第1タッチスイッチ(第1固定点,接触検知部)、40b…第2タッチスイッチ(第2固定点,接触検知部)、53…寸法確認部、60…エアシリンダ(下降規制部)、W,W1…ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5