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特開2017-7266繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法
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  • 特開2017007266-繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-7266(P2017-7266A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/52 20060101AFI20161216BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20161216BHJP
   B29B 15/14 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   B29C67/14 D
   C08J5/24CFG
   B29B15/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-127414(P2015-127414)
(22)【出願日】2015年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】邉 吾一
(72)【発明者】
【氏名】平林 明子
【テーマコード(参考)】
4F072
4F205
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA08
4F072AB09
4F072AB22
4F072AD44
4F072AE02
4F072AG06
4F072AH04
4F072AH13
4F072AH31
4F072AH41
4F072AJ04
4F072AK06
4F072AK17
4F205AA29
4F205AC05
4F205AD16
4F205HA05
4F205HA34
4F205HA37
4F205HB02
4F205HC02
4F205HC16
4F205HK19
4F205HK23
4F205HM03
(57)【要約】
【課題】安定して連続的な製造が可能な、繊維強化熱可塑性ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法を提供する。
【解決手段】ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合する混合器10と、混合器10で得られた重合性ラクタム混合液15を繊維材料30に含浸させ、重合させる収容タンク20と、収容タンク20から導かれる繊維強化複合材料31を連続的に引き抜く引抜装置40と、を備え、収容タンク20の底部に、排出部21及び排出制御部22が設けられていることを特徴とする繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合する混合器と、
該混合器で得られた重合性ラクタム混合液を繊維材料に含浸させ、重合させる収容タンクと、
該収容タンクから導かれる繊維強化複合材料を連続的に引き抜く引抜装置と、を備え、
前記収容タンクの底部に、排出部及び排出制御部が設けられていること、または、収容タンクを傾けて排出する機構が設けられていることを特徴とする繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置。
【請求項2】
前記混合器が、ラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aと、ラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bと、を混合する請求項1に記載の引抜製造装置。
【請求項3】
前記混合器及び前記収容タンクが、不活性ガス雰囲気下又は真空中にて運転できるように筐体で覆われている請求項1又は2に記載の引抜製造装置。
【請求項4】
前記繊維材料を前記収容タンク中の前記重合性ラクタム混合液に潜らせる部材を備える請求項1〜3のいずれかに記載の引抜製造装置。
【請求項5】
ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合して得られた重合性ラクタム混合液を収容タンクに注ぎ、
該収容タンク中で該重合性ラクタム混合液を繊維材料に含浸させ、該収容タンクから導かれる繊維強化複合材料を連続的に引き抜く際において、
前記収容タンクの底部に設けられている排出部から、前記ラクタムモノマーの余剰重合体を排出する、または、前記収容タンクを傾けることにより余剰重合体を排出することを特徴とする繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造方法。
【請求項6】
前記重合性ラクタム混合液が、ラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aと、ラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bと、を混合して得られたものである、請求項5に記載の繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂の繊維強化プラスチック(FRP)材の連続製造方法として、例えば、特許文献1に開示されているような引抜成形法が知られている。常温で液体状態であって粘度が高くない未硬化の熱硬化性樹脂を用いているので、繊維に含浸し易く、容易に連続成形することが可能である。
一方、熱可塑性樹脂の繊維強化プラスチック(FRP)材の連続製造方法として、特許文献2では、重合性ラクタム混合液に炭素繊維等からなる強化材料を含浸させ、除さい装置により過剰なマトリックス材料を掬い取った後、加熱装置を通過させることにより加熱して重合させる、繊維強化複合材料の引抜成形法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−74427号公報
【特許文献2】特表2005−513206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献2に開示された繊維強化複合材料の引抜成形法では、繊維との含浸も不十分となり易く、加熱装置で重合した樹脂が高粘性となって詰まり易く、安定した連続成形が難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、安定的な連続製造が可能な繊維強化熱可塑性ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、重合性ラクタム混合液を繊維強化材料に含浸させ、重合させて繊維強化複合材料を製造するに際して、該重合性ラクタム混合液の収容タンクの底部に排出部及び排出制御部を設けるまたは、強化繊維はそのままの状態で保持し、収容タンクだけを90度以上に傾けて排出することにより、安定的な連続製造が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合する混合器と、該混合器で得られた重合性ラクタム混合液を繊維材料に含浸させ、重合させる収容タンクと、該収容タンクから導かれる繊維強化複合材料を連続的に引き抜く引抜装置と、を備え、前記収容タンクの底部に、排出部及び排出制御部が設けられているまたは、収容タンクを傾けて排出する機構が設けられていることを特徴とする繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置を提供する。
【0008】
本発明の引抜製造装置においては、前記混合器が、ラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aと、ラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bと、を混合することが好ましい。
【0009】
本発明の引抜製造装置においては、前記混合器及び前記収容タンクが、不活性ガス雰囲気下又は真空中にて運転できるように筐体で覆われていることが好ましい。
【0010】
本発明の引抜製造装置においては、前記繊維材料を前記収容タンク中の前記重合性ラクタム混合液に潜らせる部材を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合して得られた重合性ラクタム混合液を収容タンクに注ぎ、該収容タンク中で該重合性ラクタム混合液を繊維材料に含浸させ、該収容タンクから導かれる繊維強化複合材料を連続的に引き抜く際において、前記収容タンクの底部に設けられている排出部から、前記ラクタムモノマーの余剰重合体を排出する、または、前記収容タンクを傾けることにより余剰重合体を排出することを特徴とする繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造方法を提供する。
【0012】
本発明の引抜製造方法においては、前記重合性ラクタム混合液が、ラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aと、ラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bと、を混合して得られたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の引抜製造装置及び引抜製造方法により、繊維強化ポリアミド複合材料の安定的な連続製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置の概要を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置及び引抜製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上実際の引抜製造装置とは異ならせて示している場合がある。また、以下の説明において例示される材料、条件等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0016】
本発明の一実施形態として、図1に示す繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置1は、ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合する混合器10と、混合器10で得られた重合性ラクタム混合液15を繊維材料30に含浸させ、重合させる収容タンク20と、収容タンク20から導かれる繊維強化複合材料31を連続的に引き抜く引抜装置40と、を備え、収容タンク20の底部に、排出部21及び排出制御部22が設けられている。
【0017】
また、本発明に係る繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造方法は、図1に示す引抜製造装置1により実現することができ、ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合して得られた重合性ラクタム混合液15を、収容タンク20に注ぎ、収容タンク20中で重合性ラクタム混合液15を繊維材料30に含浸させ、収容タンク20から導かれる繊維強化ポリアミド複合材料31を連続的に引き抜く際において、収容タンク20の底部に設けられている排出部21から、前記ラクタムモノマーの余剰重合体を排出する、あるいは強化材料30はそのままの状態で保持し、収容タンク20を90度以上傾ける機構により余剰重合体を排出する。
【0018】
ラクタムモノマーとしては、γ−ブチロラクタム(融点:25℃)、δ−バレロラクタム(融点:−13℃)、ε−カプロラクタム(融点:68℃)などが挙げられる。
活性剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアネートとブロックトイソシアネート;イソフタロイルビスカプロラクタム、テトラフタロイルビス−カプロラクタム;ジメチルフタレート−ポリエチレングリコールのようなエステル;ビス酸塩化物と組合せたポリオール又はポリジエンのプレポリマー;ホスゲンをカプロラクタムと反応させて得たカルボニルビスカプロラクタムなどが挙げられる。
重合触媒としては、カプロラクタムのアルカリ金属アダクト、例えばナトリウムカプロラクタメート、カリウムカプロラクタメート及びリチウムカプロラクタメート;臭化マグネシウムを付加したアルミニウム又はマグネシウムカプロラクタム;アルコキシドなどが挙げられる。
【0019】
ここで、混合器10は、ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を混合するが、撹拌羽による撹拌混合であってもよく、スタティックミキサーに配置したミキシングヘッドで撹拌混合させるものであってもよい。
【0020】
また、繊維材料としては、ガラス、炭素、金属、燐酸塩、セラミック又は重合体の繊維であってよく、そして重合性ラクタム混合液成分の繊維材料への結合を促進する糊又は塗料を含有してもよい。また、繊維材料の形態として、フィラメント、ファイバー、ストランド、編織マット、不織マット、その他の形態で使用することができる。
【0021】
混合器10は、ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒を直接混合するものであってもよいが、図1に示すように、混合タンク11にて調製されたラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aと、混合タンク12にて調製されたラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bと、を混合するものであってもよい。
【0022】
ラクタムモノマーが、常温で固体である場合、融点以上の温度に加熱溶融して混合する。ラクタムモノマー、活性剤及び重合触媒が溶融混合すると重合が始まってしまい、混合器10で過度に重合して粘度が高くなってしまうと、収容タンク20に送液された後、繊維材料30へ均質に満遍なく含浸させることが難しくなってしまう。ラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aの活性剤濃度、ラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bの重合触媒濃度、混合器10の温度等の条件を適切に制御することにより、重合性ラクタム混合液15を繊維材料30へ均質に満遍なく含浸させることが可能となる。
【0023】
好適なラクタムモノマー及び活性剤の混合液Aの活性剤濃度は、0.1〜50質量%であり、より好ましくは、0.5〜30質量%である。
好適なラクタムモノマー及び重合触媒の混合液Bの重合触媒濃度は、0.1〜50質量%であり、より好ましくは、0.5〜30質量%である。
好適な混合器10の温度は、70〜120℃である。
【0024】
収容タンク20中に混合器10で得られた重合性ラクタム混合液15を、送液ポンプにより送液する。そして、収容タンク20において、混合器10で得られた重合性ラクタム混合液15を繊維材料30に含浸させ、重合を開始させる。
【0025】
ここで、繊維材料30を収容タンク20中の重合性ラクタム混合液15に潜らせる際には、繊維材料30を重合性ラクタム混合液15に垂れ下げるようにして引いてもよいし、図1に示すように、収容タンク20が、繊維材料30を収容タンク20中の重合性ラクタム混合液15に強制的に潜らせる部材32を備えてもよい。部材32としては、重合性ラクタム混合液15に浸されるローラや、棒材であってもよく、収容タンクの蓋の部分を重合性ラクタム混合液15に浸されるように突起状に加工したものでもよい。
【0026】
収容タンク20の底部には、含浸されなかった余分なナイロン重合体を排出槽23に排出する排出部21及び排出制御部22が設けられている。あるいは、強化材料30はそのままで収容タンク20を90度以上傾けて、余剰重合体を排出する機構を有していてもよい。排出部21及び排出制御部22として、排出ポンプ21及び排出制御装置22を備えてもよく、単なる排出口22及び排出弁22であってもよい。収容タンク20の底部に排出部21及び排出制御部22が設けられていることにより、過剰に重合したナイロン重合体が引抜装置40に導かれるまでに詰まってしまうことを防止することができる。また、常に、収容タンク20中の重合性ラクタム混合液15を新鮮なものに保持して、繊維材料30へ均質に満遍なく含浸させることが可能となる。また、収容タンク20を傾けた場合に繊維材料30が動かないようにする機構を有していてもよい。
【0027】
特許文献2に開示された装置では、除さい装置により過剰なマトリックス材料を掬い取っているが、掬い取られるマトリックス材料は比較的未反応で粘性の小さなものである。そのため、過剰に重合してしまったマトリックス材料が加熱装置・引抜装置に送り込まれ、詰まりを生じやすい。本発明に係る繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置1では、収容タンク20の底部に排出部21及び排出制御部22が設けられている、または、収容タンクを傾けることで余剰重合体を排出することにより、繊維強化ポリアミド複合材料の安定的な連続製造が可能となる。
【0028】
図1に示す繊維強化ポリアミド複合材料の引抜製造装置1において、混合器10及び収容タンク20は、不活性ガス雰囲気下又は真空中にて運転できるように図示しない筐体で覆われており、乾燥窒素ガスを送り込むことのできるガス吸入口及びガス排出口が設けられている。更に、筐体内はシリカゲル、塩化カルシウム等の乾燥剤・除湿剤を設けることができるようになっている。混合器10及び収容タンク20が、筐体で覆われていることにより、不活性ガス雰囲気下又は真空中にて運転でき、重合時に空気中の水分の影響を取り除くことができる。
【0029】
図1に示す引抜製造装置1により、繊維強化ポリアミド複合材料の安定的な連続製造が可能となり、板材やチャンネル材、丸棒材、ストランド材等への連続成形も可能となり、ストランド材に成形した後切断することによりペレット材への成形や薄板状に成形し積層後に加熱圧縮成形することも可能となる。このように引抜製造装置1により、連続成形された繊維強化ポリアミド複合材料は中間材料として各種の軽量構造の部材に応用が可能となる。
【実施例】
【0030】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
図1に示す引抜製造装置1を用いて、繊維強化ポリアミド複合材料の連続引抜製造を行った。引抜製造装置1のうち、混合器10及び収容タンク20は、図示しない透明筐体で覆われており、乾燥窒素ガス雰囲気下で除湿されている。
混合タンク11にて、加熱溶融させたε−カプロラクタム及び活性剤ヘキサメチレンジイソシアネートを混合して活性剤濃度2質量%の混合液Aを調製し、混合タンク12にて、加熱溶融させたε−カプロラクタムモノマー及び重合触媒ε‐カプロラクタム・ナトリウム塩を混合して重合触媒濃度16質量%の混合液Bを調製した。混合タンク11及び混合タンク12並びに供給ラインの温度は69℃以上に維持して、ε‐カプロラクタムモノマーを溶融状態に保った。
【0032】
次いで、溶融した2種類の混合液A及び混合液Bを、送液ポンプにて、それぞれ、10〜30g/minにて混合器10に送液し、これらを撹拌混合して重合性ラクタム混合液15を調製し、収容タンク20に注いだ。ここで、混合器10の温度は融点以上、収容タンク20の温度も融点以上であり、混合器10及び収容タンク20にて重合が開始しているが、重合が進みすぎないように、温度管理、及び送液流速度管理が重要である。
繊維材料30として、例えばガラスロービング(日東紡(株)製 RS230 QR−483)を使用し、5〜50cm/minにて収容タンク20中の重合性ラクタム混合液15中に潜らせて、浸漬させた。
【0033】
混合器10及び収容タンク20にて予備重合され、繊維材料30に含浸された重合性ラクタム混合液15が、更に、重合用金型を備えた加熱装置50にて重合され、繊維強化ポリアミド複合材料31となる。加熱装置50での加熱温度は140〜200℃である。ガラス繊維の熱伝導率が低いため重合用金型内に熱電対を挿入し、実際の温度を測定した。
繊維強化ポリアミド複合材料31は、加熱装置50を経て引抜装置40により引き抜かれる。加熱装置50は温度制御可能な重合用金型を備えており、繊維強化ポリアミド複合材料31を連続的に成形可能となっている。
【0034】
ここで、収容タンク20内では、重合性ラクタム混合液が適度に重合し、かつ、繊維材料30を潜らせることにより均質に満遍なく含浸させることができる。また、収容タンク20には、含浸されなかった余分な重合体を排出するために収容タンク20を傾ける機構、または排出口21が設けられており、排出弁22によりこの排出量を制御することができる。
これにより、安定して連続的な繊維強化ポリアミド複合材料31の製造が可能となった。
【0035】
得られた繊維強化ポリアミド複合材料31の繊維体積含有率は約40%であり、未反応モノマー残存率は、1.8%であった。
なお、未反応モノマーは水に可溶であることから、未反応モノマー残存率は、次の手順により算出した。
(1)60℃で24時間乾燥し初期重量Mを計測。
(2)80℃の温水に72時間浸漬。
(3)60℃で72時間乾燥し、抽出後質量Mを計測。
(4)次式により、未反応モノマー残存率を算出。
未反応モノマー残存率=(M−M)/M
【0036】
また、得られた繊維強化ポリアミド複合材料31について、JIS K7165に準拠した引張試験およびJIS K7017に準拠した曲げ試験の評価を行ったところ、引張強度955MPa、引張弾性率32GPa、曲げ強度979MPa、曲げ弾性率28GPaであった。
【符号の説明】
【0037】
1 引抜製造装置
10 混合器
11 混合タンク
12 混合タンク
15 重合性ラクタム混合液
20 収容タンク
21 排出部
22 排出制御部
30 繊維材料
31 繊維強化ポリアミド複合材料
40 引抜装置
図1