【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り http://brevaxen.blog.jp/ http://brevaxen.blog.jp/archives/2015−07−01.html
【解決手段】変更装置10は、入力部11と、請求条件取得部13と、検索部14と、出願番号抽出部15と、請求情報生成部17と、請求実行部18とを含む。入力部は、出願番号を特許情報データベースから検索するための検索条件を入力する。請求条件取得部は、手数料の納付を行わずに、特許に対する請求の手続が行える条件を表す情報を取得する。検索部は、入力された検索条件と取得された条件を表す情報を用いて特許情報データベースに対する検索を行う。出願番号抽出部は、検索の結果より、出願番号を抽出する。生成部は、抽出された出願番号をそれぞれ用いて請求書を生成する。請求実行部は、生成された請求書を用いて請求を行う。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、位置実施形態に係る変更装置の機能ブロック図を示す。変更装置10は、検索
条件入力部11と、特許情報データベースI/F12と、請求条件取得部13と、検索部
14と、出願番号抽出部15と、請求人情報取得部16と、請求情報生成部17と、請求
実行部18と、を備える。なお、変更装置10は、インターネットなどのネットワークを
介して特許庁の電子出願システム30に接続されている。
【0008】
検索条件入力部(入力部)11は、後に説明する特許情報データベースI/F12を介
して検索の実行および検索の結果の取得が可能な特許情報データベース格納された特許情
報を検索するための条件に関する情報を入力する。検索条件入力部11は、例えば、特許
権者の識別情報、出願日情報、特許公報発行日情報、技術分野情報のいずれか1つなどを
、条件に関する情報として変更装置10へ入力するインターフェースを含む。入力は、例
えば、グラフィカルユーザインタフェースを用いて人が行ってもよいし、文字ベースのユ
ーザインタフェースを用いて人が行ってもよい。あるいは、あらかじめ条件に関する情報
を書き込んだファイルを特定する情報の入力を検索条件入力部11に対して人や計算機が
行ってもよい。また、後述するように、検索条件入力部11は、表計算ソフトウェアによ
って実現されてもよい。
【0009】
特許情報データベースI/F12は、特許情報を検索可能に格納しているデータベース
との通信を行ない、検索の実行および検索の結果を取得するためのインターフェースであ
る。特許情報とは、特許権に関する情報である。特許権に関する情報は、出願番号に、権
利者情報、出願日情報、特許公報発行日情報、技術分野情報、権利消滅情報などを関連づ
けた情報である。権利者情報とは、権利者を特定する情報であり、氏名または名称、住所
または居所及び識別番号などである。識別番号は、特許庁が権利者に与えた9ケタの数字
である。技術分野情報は、特許権に係る特許発明の技術分野を表す情報である。特許公報
発行日情報は、特許公報が発行された日を表す情報である。技術分野を表す情報は、例え
ば、IPCによるものである。権利消滅情報は、特許権が消滅したか否かを表す情報であ
る。
【0010】
請求条件取得部13は、特許に対する請求が無料で行える条件を表す情報を取得する。
例えば、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求については、後に理由を詳述するように、
特許公報発行日から1年以内であれば、無料で行えることを表す情報を取得する。このよ
うな情報は、例えば「ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書」を請求種類番号として0
を用い、特許公報発行日を変数PUBで表し、一年以内を"≦1 year"という文字列
で表した場合に、
0:PUB "≦1 year"
という情報により表現できる。請求条件取得部13は、例えばこのように表現される情報
を記憶装置から読み取ったり、あるいは、キーボードなどから読み取ったりすることによ
り取得する。あるいは、特許に対する請求が無料で行える条件を表す情報は、変更装置1
0をCPU、記憶装置および入出力装置を備えたコンピュータにより実現するためのプロ
グラムにデータなどとして埋め込まれた形式により、請求条件取得部13を実現すること
もできる。
【0011】
なお、特許公報発行日の1年以内という例を用いているのは、現状では、特許公報発行
日1年以内であれば、インターネット出願ソフトを用いての閲覧請求(工業所有権に関す
る手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲
覧(ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書の提出))は手数料の納付を行わずに請求す
ることができるためである。この理由は、以下の通りである。
【0012】
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年六月十三日法律第三十号)4
0条1項には、
次に掲げる者は、
政令で定める場合を除くほか、実費を勘案して政令で定める
額の手数料を納付しなければならない。
が規定されており(なお、下線を付してある)、この40条1項2号として、
第12条第1項の規定により同項第1号に掲げる事項について閲覧を請求する者
が挙げられている。工業所有権に関する手続等の特例に関する法律の第12条1項1号に
は、
ファイルに記録されている事項(経済産業省令で定める手続に係る事項に限る。
)
が規定されている。
【0013】
"実費を勘案して政令で定める額"とは、特許法等関係手数料令(昭和三十五年三月八日
政令第二十号)の5条1項に規定されており、
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第40条第1項の規定により
納付すべき手数料の額は、次の表のとおりとする。
として、
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第12条第1項の規定により
同項第1号に掲げる事項について閲覧を請求する者
は、
1件につき900円(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第1条
第1項の規定により電子情報処理組織を使用して閲覧を請求する者(以下「電
子閲覧請求者」という。)にあつては、600円)
を納付しなければならないと規定されている。
【0014】
しかし、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律の40条1項柱書の
政令で定める場合
とは、特許法等関係手数料令5条2項の
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第40条第1項の政令で定める
場合は、同項第2号に掲げる者が同法第12条第1項第1号に掲げる事項(発行
の日から1年以内の特許掲載公報(特許法第66条第3項の規定により同項各
号に掲げる事項を掲載した特許公報をいう。)に掲載された特許に係るものに
限る。)の閲覧を請求する場合とする。
である。すなわち、特許公報が発行されてから1年以内にインターネット出願ソフトによ
り閲覧請求する場合が、"政令で定める場合"に該当し、これに該当しなければ(言い換え
ると、特許公報が発行されていないか、特許公報が発行されて1年より後であれば)、閲
覧請求する場合は、600円(または900円)を納付しなければならない。しかし、"
政令で定める場合"に該当すれば(言い換えると、特許公報が発行された1年以内であれ
ば)、インターネット出願ソフトにより閲覧請求する場合は、手数料を納付するこなく行
えることになる。
【0015】
実際、特許庁の"出願の手続"(平成27年度)《URL: http://www.jpo.go.jp/shi
ryou/kijun/kijun2/pdf/syutugan_tetuzuki/00_00all.pdf 》の615ページ:第六章
"出願の補助的手続"の第一節 "出願書類等の閲覧及び交付"には、以下の記載がされてい
る。
【0016】
検索部14は、検索条件入力部により入力された検索条件及び請求条件取得部13によ
り取得された条件を用いて特許情報データベースI/F12を介して特許情報データベー
スを検索する。例えば、検索条件入力部により入力された検索条件が、権利者の識別番号
であり、請求条件取得部13により取得された条件が、特許公報発行から1年以内を表し
ている場合には、検索部14は、特許情報プラットフォームの特許・実用新案テキスト検
索のウェブページ《URL: https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkk
t/TKKT_GM201_Top.action 》にアクセスし、「特許公報 (特公・特許(B))」のみにチェ
ックマークを入れ、「検索項目」の「申請人識別番号」を選択して、「含む」検索キーワ
ードとして、入力された識別番号を半角文字で入力し、また、「検索項目」の「登録公報
発行日」を選択して、「含む」検索キーワードとして、検索を行なう日の1年前の日付以
降を表す文字を入力する。例えば、検索を行なう日が2015年10月6日であれば、2
014年10月6日以降を表す「20141006:」を入力し、「キーワードで検索」のボタン
を押下する。
【0017】
なお、特許情報プラットフォームの特許・実用新案テキスト検索を用いる場合には、検
索結果が1000件以下でないと検索結果を得ることができない。そこで、検索部14は
、1週間ごとに公開された登録公報を検索する検索式を生成し、生成された検索式ごとに
検索を行なってもよい。
【0018】
例えば、マイクロソフト社の表計算ソフトウェアで動作するVBAにより次の Make_Qu
ery() のプログラムにより、今日の日付から1年前以降に公開がされた登録公報を1週間
単位で生成することができる。
Sub Make_Query()
Dim cond1
Dim fromY As Integer
Dim fromM As Integer
Dim fromD As Integer
Dim from As Date
Dim upto As Date
Dim d As Date
Dim i As Integer
cond1 = Cells(1, 1).Value
fromY = Year(Date) - 1
fromM = Month(Date)
fromD = Day(Date)
If fromM = 2 And fromD = 29 Then
fromD = 28
End If
from = DateValue(fromY & "/" & fromM & "/" & fromD)
upto = Date
d = from + 6
ActiveWorkbook.Sheets.Add.name = "Query"
i = 1
While d < upto + 6
Dim period
period = Format(Year(from), "0000") & _
Format(Month(from), "00") & _
Format(Day(from), "00")
period = period & ":"
period = period & Format(Year(d), "0000") & _
Format(Month(d), "00") & _
Format(Day(d), "00")
Worksheets("Query").Cells(i, 1) = cond1 & _
"*" & "[" & period & "/RID]"
from = from + 7
d = d + 7
i = i + 1
Wend
End Sub
【0019】
なお、上記の Make_Query() のプログラムにおいて、表計算ソフトウェアのシートのA
1セルに検索条件が、特許情報プラットフォームの特許・実用新案テキスト検索の論理式
として入力されることを想定している。例えば、識別番号が 987654321 である特許権者
の登録公報の出願番号を得るためには、「[987654321/AIN]」をA1セルに入力する。し
たがって、上記の Make_Query() のプログラムにおける cond1 = Cells(1, 1).Value が
検索条件入力部11に対応する
【0020】
また、Make_Query() のプログラムにおいて、fromY = Year(Date) - 1 の 1 は、請求
条件取得部13に格納されている例である「0:PUB "≦1 year"」の「1 y
ear」から取得されて生成された値とみなすこともできる。
【0021】
この Make_Query() のプログラムを実行すると、「Query」という名前のシートが生成
され、1週間単位の問合せの論理式が生成され、「Query」シートのA列に格納される。
【0022】
「Query」シートのA列に格納された問合せを実行するには、次に示す ForEachQuery()
を実行する。
【0023】
なお、ForEachQuery() においては、Dim tds As IHTMLElementCollection という記述
があるので、Microsoft HTML ObjectLibrary への参照が必要である。したがって、VB
Aのエディタにおいて「ツール」メニューから「参照設定」を選択し、Microsoft HTML O
bjectLibrary に対してチェックを付しておく必要がある。
【0024】
Sub ForEachQuery()
Dim actsh As Worksheet
Dim r As Integer
Set actsh = ActiveSheet
ActiveWorkbook.Sheets.Add.name = "Result"
r = 1
While actsh.Cells(r, 1).Value <> 0
r = r + 1
Wend
Dim lastquery As Integer
Dim topline As Integer
lastquery = r - 1
topline = 1
Dim lines
lines = 0
Dim platpat
platpat = "https://www7.j-platpat.inpit.go.jp" & _
"/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM201_Top.action"
Dim ie
Set ie = CreateObject("InternetExplorer.Application")
r = 1
While r <= lastquery
ie.Navigate platpat
ie.Visible = True
While ie.Busy = True Or ie.ReadyState < READYSTATE_COMPLETE
DoEvents
Wend
Dim doc
Set doc = ie.Document
While doc.getElementsByTagName("BODY") <= 0
DoEvents
Wend
Application.Wait Now + TimeValue("00:00:05")
doc.getElementByID("bTmFCOMDTO.officialInfoList[0]").Click
doc.getElementByID("bTmFCOMDTO.officialInfoList[1]").Click
doc.getElementByID("ronfishiki").Focus
doc.getElementByID("ronfishiki").Value = actsh.Cells(r, 1)
doc.getElementByID("button_ronriCount").Click
While ie.Busy = True Or ie.ReadyState < READYSTATE_COMPLETE
DoEvents
Wend
While doc.getElementsByTagName("BODY") <= 0
DoEvents
Wend
If doc.getElementsByName("action:TKKT_GM201_SearchResult").Length > 0 Then
doc.getElementsByName("action:TKKT_GM201_SearchResult")(0).Click
While ie.Busy = True Or ie.ReadyState < READYSTATE_COMPLETE
DoEvents
Wend
Set doc = ie.Document
While doc.getElementsByTagName("BODY") <= 0
DoEvents
Wend
Set doc = ie.Document
Dim tbl
Set tbl = doc.getElementByID("resultTable").getElementsByTagName("TBODY")(0)
Dim trs As IHTMLElementCollection
Set trs = tbl.getElementsByTagName("TR")
Dim el As IHTMLDOMNode
For Each el In trs
Dim tds As IHTMLElementCollection
Set tds = el.getElementsByTagName("TD")
Worksheets("Result").Cells(topline, 1).Value = actsh.Cells(r, 1)
Worksheets("Result").Cells(topline, 2).Value = topline
Worksheets("Result").Cells(topline, 3).Value = tds(1).innerText
Worksheets("Result").Cells(topline, 4).Value = tds(2).innerText
Worksheets("Result").Cells(topline, 5).Value = tds(3).innerText
Worksheets("Result").Cells(topline, 6).Value = tds(4).innerText
Worksheets("Result").Cells(topline, 7).Value = tds(5).innerText
Worksheets("Result").Cells(topline, 8).Value = tds(6).innerText
Worksheets("Result").Cells(topline, 9).Value = tds(7).innerText
topline = topline + 1
lines = lines + 1
Next
End If
r = r + 1
Wend
MsgBox lines
End Sub
【0025】
上記の ForEachQuery() を実行すると、インターネットエクスプローラが起動し、特許
情報プラットフォームの特許・実用新案テキスト検索へのアクセスが行われ、自動的に「
Query」シートのA列に格納された論理式の入力が行われ、検索が実行される。したがっ
て、ForEachQuery() が検索部14に対応する。
【0026】
検索結果は、「Result」というシートが生成され、格納がされる。
【0027】
出願番号抽出部(抽出部)15は、検索部14による検索の結果から、出願番号を抽出
する。例えば、「キーワードで検索」のボタンを押下した後に、検索結果が0件より多く
1000件以下であれば、「一覧表示」のボタンを押下した後に表示される検索結果の一
覧から、出願番号を抽出する。
【0028】
請求人情報取得部16は、閲覧請求を行なう者の氏名又は名称および識別番号を表す情
報を取得する。
【0029】
請求情報生成部(生成部)17は、出願番号抽出部15が抽出した出願番号のそれぞれ
から、請求人情報取得部16が取得した閲覧請求を行なう者の氏名又は名称および識別番
号を表す情報を用いて、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルを生
成する。
【0030】
出願番号抽出部15、請求人情報取得部16および請求情報生成部17は、次の Gen_R
eq() により具体的に実現される。
【0031】
なお、「[」および「」」は、墨付き括弧の文字に置き換える必要がある。
【0032】
Sub Gen_Req()
Const name As String = "特許太郎"
Const numb As String = "000000000"
Dim r As Integer
Dim target As String
Dim fileCounter As Integer
target = CurDir
fileCounter = 0
r = 1
Do While Val(Cells(r, 2).Value) > 0
Dim filename As String
Dim fd As Integer
filename = Format(Cells(r, 2).Value, "00000")
filename = filename & "_" & Cells(r, 7).Value & "_" & Left(Cells(r, 4), 16)
fd = FreeFile
Open ActiveWorkbook.Path & "\" & "\" & filename & ".htm" For Output As #fd
Print #fd, "<HTML><BODY>"
Print #fd, "[書類名]ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書"
Print #fd, "[あて先]特許庁長官殿"
Print #fd, "[事件の表示]"
Print #fd, "[出願番号]" & Cells(r, 7).Value
Print #fd, "[請求人]"
Print #fd, "[識別番号]" & numb
Print #fd, "[氏名又は名称]" & name
Print #fd, "</BODY></HTML>"
Close #fd
fileCounter = fileCounter + 1
r = r + 1
Loop
MsgBox fileCounter & "個作りました"
End Sub
【0033】
Cells(r, 7).Value が出願番号抽出部15に対応し、Const name As String = "請求人
" および Const numb As String = "000000000" により定義がされる変数 name および n
umb への参照が請求人情報取得部16に対応する。また、Print で始まる文が請求情報生
成部17に対応する。
【0034】
Gen_Req() の実行により、出願番号ごとにファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書の内
容を含む HTML ファイルが生成される。
【0035】
請求実行部18は、請求情報生成部17が生成したHTMLファイルをインターネット
出願ソフトに入力し、閲覧請求を行なう。
【0036】
具体的には、Gen_Req() の実行により生成された HTML ファイルをインターネット出願
ソフトに入力し、送信ファイルを生成し、送信を行なう。
【0037】
なお、インターネット出願ソフトにおいては、HTML ファイルをドラッグアンドドロッ
プすることができるので、このようなドラッグアンドドロップに相当するイベントを生成
してインターネット出願ソフトに入力し、必要なボタンを押下することに相当するイベン
トをプログラムにより生成して、プロセス間通信により、生成したイベントをインターネ
ット出願ソフトに入力することで、自動化することができる。
【0038】
また、手動で行なうにしても、生成された個々の HTML ファイルに対して入力の操作を
行なう必要はなく、生成された HTML ファイルを選択し、インターネット出願ソフトにド
ラッグアンドドロップを行なえばよい。また、送信チェックが終わったファイルの送信も
、全てのファイルを選択して送信ボタンを押下すればよい。
【0039】
出願人の環境においては、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書の内容を含む HTML
ファイル1件あたり約1秒で送信ファイルが作成され、オンライン請求は、HTML ファイ
ル1件あたり約4秒で行うことができる。したがって、500件程度のファイル記録事項
の閲覧(縦覧)請求書であれば、1時間弱で生成から請求までを行うことができた。なお
、閲覧書類受取には、生成から請求までの約2倍から3倍の時間が必要であるが、閲覧書
類受取を行わなくても、出願の経過情報にはファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書があ
ったことが記録されるようである。
【0041】
この表を見ると、3つの企業いずれにおいても、閲覧請求から第3月末において、閲覧
請求1件につき、0.6〜1.0ポイント程度の増加している。このことから、本実施形
態に係る変更装置の効果が確認できる。なお、A社について閲覧請求1件あたりのポイン
トの増加がB社およびC社よりも低いのは、A社についての閲覧請求数がB社およびC社
の1割程度であったために、権利の消滅によるYK値の減少が相対的に大きいためではな
いかと思われる。
【0042】
また、閲覧請求から第3月末においてYK値の増加が観測されたことから、YK値には
3月程度のタイムラグが存在することも言える。したがって、非特許文献1にあるように
、YK値を用いて投資を行なう場合には、株価に織り込み済みとなる可能性があることに注意しなければいけない。
【0043】
(他の実施形態)
上述のように、発行の日から1年以内の特許掲載公報に掲載された特許について、イン
ターネット出願ソフトを用いて閲覧を請求する場合には、手数料を納付する必要がない。
このため、多数の者が閲覧の請求をする可能性が高い。この結果、特許文献2や非特許文
献1に示される特許権の評価値が特許文献2にいう「特許権の持つ独占排他力」とは無関
係に変動してしまう。
【0044】
つまり、特許について特許掲載公報の発行の日から1年以内に行われるインターネット
出願ソフトを用いて閲覧を請求する手続を、評価の対象(結果)から除外するか、特許掲
載公報の発行の日から1年以内を除くときに行われる閲覧を請求する手続のウェイト(コ
スト)よりも小さくしないと、正しく特許の評価をすることができない可能性がある。
【0045】
そこで、一実施形態として、特許について特許掲載公報の発行の日から1年以内に行わ
れたインターネット出願ソフトを用いて閲覧を請求する手続を、ポイントの計算の対象(
結果)から除外するか、ウェイトを小さくする計算装置などについて説明する。
【0046】
図2は本発明の一実施形態に係るシステムの機能ブロックを示す。システム100は、
計算装置101と、特許情報データベース110と、ウェイト情報記憶装置111と、減
衰値情報記憶装置112とを有する。
【0047】
計算装置101は、ウェイト情報取得部106と、減衰率情報取得部107と、特許情
報取得部102と、手続情報抽出部103と、発行情報抽出部105と、ポイント計算部
108と、ポイント出力部109と、を備える。また、手続情報抽出部103は、縦覧情
報抽出部104を備える。
【0048】
ウェイト情報取得部106は、ウェイト情報記憶装置111から、ウェイト情報を取得
する。取得されたウェイト情報は、計算装置101として動作する計算機のメモリや記憶
装置に記憶される。なお、ウェイト情報記憶装置111は、計算機の一部であってもよい
し、ネットワークにより計算機と通信が可能な装置であってもよい。
【0049】
ウェイト情報は、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類に関連付けてその手続
の種類に割り当てられているウェイトを表わす。ウェイトは、加算が可能であるデータで
あればよく、例えば、整数、浮動小数点数などの数値とすることができる。また、ウェイ
トは、データやこのような数値を文字列として表示したものであってもよい。また、ウェ
イトは減算も可能であってもよい。
【0050】
特許出願及び特許に対して行われる手続の種類としては、刊行物等提出書の提出、閲覧
請求(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に
掲げる事項についての閲覧(ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書の提出)、ファイル
記録事項記録記載書類の交付請求書の提出、出願審査請求書(他人)の提出、無効審判請
求書の提出、手続補正書の提出、意見書の提出、誤訳訂正書の提出、出願人名義変更届の
提出、代理人変更届の提出、早期審査に関する事情説明書の提出、特許料納付書の提出な
どがある。特に、本実施形態においては、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類
は、出願人や特許権者の行う手続の種類に限定してもよい。あるいは、本実施形態におい
ては、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類は、通常は出願人でも特許権者でも
ない、いわゆる第三者が行う手続の種類に限定することもできる。例えば、刊行物等提出
書の提出、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1
号に掲げる事項についての閲覧、出願審査請求書(他人)の提出、特許異議申立書の提出
、無効審判請求書の提出などに限定することもできる。
【0051】
ウェイトは、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類に分類される手続の重要性
・重大性に対応した値であることが好ましい。すなわち、特許出願に対して特許査定また
は特許審決がされるようにする手続、また、無効審判請求に対して請求不成立とするよう
にする手続について、特許査定、特許審決、請求不成立それぞれに対する寄与の程度に応
じた値とすることが好ましい。あるいは、特許出願に対して拒絶査定または拒絶審決がさ
れるようにする手続、また、無効審判請求について請求成立とするようにする手続につい
て、拒絶査定、拒絶審決、請求成立それぞれに対する寄与の程度に応じた値とする。
【0052】
このような寄与の程度に応じた値を正確に求めるには困難性が伴うかもしれない。しか
し、例えば特許文献2の出願段階の審査過程における平成24年12月28日に提出され
た意見書の8ページ目において「コストとして、例えば成功報酬などを含めた特許事務所
の料金表などが利用できることは当然です。」と記載されているように、手続を特許事務
所に依頼した場合におけるその特許事務所の料金表により計算される料金とすることもで
きる。なお、現在では、特許事務所によって料金表に相違が存在するが、日本弁理士会に
よって定められていた料金表(すでに廃止されている)を使用することもできる(日本弁
理士会によって定められていた料金表が、上記引用における「特許事務所の料金表など」
における「など」を意味していると考えられる。)。また、料金表により計算される料金
に、手続に伴い特許庁に納付する手数料を加えてもよい。なお、手続に伴い特許庁に納付
する手数料が無い場合であっても、特許庁に手続を特許事務所に依頼した場合に特許事務
所から請求額が無いということはありえない。したがって、特許文献2に記載された発明
においてはコストが0になることはない。また、特許文献2に記載された発明においては
、特許公報の発行1年以内かどうかに応じて、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書の
提出が変動することも、記載されていないことである。
【0053】
なお、全ての手続の種類に応じてウェイトを定めておく必要はなく、例えば、非特許文
献1のように閲覧請求についてのみ着目する場合には、1などの定数値をウェイトとする
こともできる。また、刊行物等提出書の提出と閲覧請求との複数の手続に着目する場合に
は、刊行物等提出書のウェイトを例えば10、閲覧請求のウェイトを例えば1として、ウ
ェイトを(10、1)のようなベクトル値として表現することもできる。
【0054】
なお、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号
に掲げる事項についての閲覧は、出願人でも特許権者ではない第三者であり特許発明の技
術的範囲に関心を有する者が行う場合が多い。このような者は、拒絶査定、拒絶審決また
は無効審判請求の成立となることを望むことが多い。したがって、工業所有権に関する手
続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧
は、拒絶査定、拒絶審決、請求成立に寄与すると扱うことができる。
【0055】
ただし、刊行物等提出書が提出された場合に、提出された刊行物等提出書の内容を出願
人や特許権者が知るために工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規
定により同項1号に掲げる事項についての閲覧が行われる場合がある。この場合には、拒
絶査定、拒絶審決、請求成立に寄与すると扱わないことが好ましい。したがって、刊行物
等提出による通知書の発送日から所定期間内の所定回数、例えば1月以内の1回、の工業
所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事
項についての閲覧は、拒絶査定、拒絶審決、請求成立に寄与しないとしてもよい。
【0056】
ウェイト情報取得部は、ウェイト情報記憶装置111から、ウェイト情報記憶装置11
1に記憶されている全てのウィエイト情報を取得してもよいし、必要に応じて特定の手続
に関連付けられたウェイト情報を取得してもよい。
【0057】
減衰率情報取得部107は、減衰率情報記憶装置112から減衰率情報を取得する。取
得した減衰率情報は、計算装置として動作する計算機のメモリや記憶装置に記憶される。
なお、減衰率情報記憶装置112は、計算機の一部を構成していてもよいし、あるいは、
計算機とネットワークを介して通信可能な装置となっていてもよい。
【0058】
減衰率情報は、時間経過に伴うウェイトの減衰の程度を表わす。ウェイトの減衰の程度
は、非特許文献3や非特許文献4の「陳腐化率」や「減耗率」を使用することができる。
例えば、g
0をある期間に登録された特許数、g
sをその期間から時間sが経過したとき
に特許権が存続している特許数とすると、
ln(g
s/g
0)=a
0+a
t×s
の式に最小二乗法を適用して陳腐化率a
tを求めることができる。また、ウェイトの減衰の
程度は、特許発明の属する分野により異なる値とすることができる。ウェイトの減衰の程
度は、手続の種類によっても異なる値とすることができる。また、ウェイトの減衰の程度
を厳密に算出することが困難であれば、特許権の法定耐用年数に基づき減衰率を定めるこ
ともできる。例えば、法定耐用年数が8年であれば、減価償却による資産の減価のように
、1年を経過するごとに定額法に対応してウェイトの8分の1が減少、あるいは定率法に
対応して8分の1の割合でウェイトが減衰すると定めてもよい。
【0059】
減衰率情報取得部107は、減衰率情報記憶装置112から、減衰率情報記憶装置11
2に記憶されている全ての減衰率情報を取得してもよいし、特定の(例えば、特定の技術
分野の)減衰率情報を必要に応じて取得してもよい。
【0060】
特許情報取得部102は、特許情報データベース110より特許情報を、特許を識別す
る情報ごとに、取得する。取得された特許情報は、計算装置として動作する計算機のメモ
リや記憶装置に記憶される。特許情報データベース110は、計算機の一部を構成してい
てもよいし、ネットワークを介して通信可能な装置により特許情報が取得可能となってい
てもよい。
【0061】
特許情報データベース110は、特許情報を格納する。特許情報とは、特許を識別する
情報と関連づけて、その特許またはその特許の登録前の特許出願に対して工業所有権に関
する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての
閲覧の請求の手続がされた日付情報と特許掲載公報の発行がされた日付情報とを含む情報
である。特許を識別する情報は、登録番号であったり、出願番号であったり、公開番号で
あってもよく、特許を識別できる情報であればいかなるものも使用することができる。
【0062】
特許掲載公報とは、特許法(昭和三十四年四月十三日法律第百二十一号)29条の2に
規定されている。
【0063】
特許情報データベース110は、整理標準化データを格納していてもよい。整理標準化
データについては、http://www.inpit.go.jp/info/sta
ndard/download/standard_dl/index.htmlよりそ
の仕様をダウンロードすることができる。
【0064】
また、特許情報データベース110としては、整理標準化データから得られる特許情報
をデータベース化などした商用データベースなどを用いることもできる。
【0065】
特許情報取得部102は、特許を識別する情報に関連付けられ特許情報データベース1
10に格納された特許情報の全てを取得してもよいし、あるいは、与えられた登録番号、
出願番号などに関連付けられ特許情報データベース110に格納された特許情報を取得し
てもよい。また、特許情報取得部102は、特許文献1にあるように、技術分野の指定を
受け付け、指定された技術分野に属する特許の特許情報を特許情報データベース110よ
り取得してもよい。あるいは、特許情報取得部102は、特許権者や出願人の指定を受け
付け、その特許権者や出願人の特許についての特許情報を特許情報データベース110よ
り取得してもよい。特許権者や出願人は、複数の者が指定されてもよい。この場合、複数
の者の共願の特許出願や共有の特許の特許情報が取得されたり、複数の者のいずれかの特
許出願または特許の特許情報が取得されたりする。また、特許権者や出願人と技術分野と
の指定を受け付け、その特許権者や出願人の特許のうち指定された技術分野の特許情報を
特許情報データベースより取得してもよい。また、発明者名を受け付けるようにし、その
発明者の発明に係る特許の特許情報を取得することもできる。
【0066】
特許情報取得部102は、特許を識別する情報に関連付けられ特許情報データベース1
10に格納された特許情報の全てを取得してもよいと記載したが、特許庁に係属しなくな
り、かつ、特許権が消滅したものについての特許情報を取得しないようにしてもよい。
【0067】
特許情報データベース110として、特許情報プラットフォーム(https://w
ww1.j−platpat.inpit.go.jp/RS1/cgi−bin/RS
1P001.cgi)の経過情報検索を使用することもできる。この場合、特許情報取得
部102は、特許を識別する情報として出願番号、公開番号、登録番号などを用いて、特
許情報を取得することもできる。また、特許情報プラットフォームの公報テキスト検索に
より特許権者名、出願人名、発明者名などの検索を行ってから、経過情報を特許情報とし
て取得してもよい。
【0068】
なお、商用データベースにおいて特許権者名、出願人名、発明者名などの検索を行なっ
て特許を識別する情報を取得したり、特許情報を取得したりしてもよい。
【0069】
手続情報抽出部103は、特許情報取得部102により取得された特許情報から、特許
出願および特許に対して行われた手続それぞれに関する情報を、特許を識別する情報ごと
に、抽出する。手続それぞれに関する情報とは、手続の種類および手続が行われた日付情
報を含む情報である。
【0070】
上記したhttp://www.inpit.go.jp/info/standar
d/download/standard_dl/index.htmlによると、整理
標準化データは、XMLやSGMLの形式により記述されている。したがって、手続情報
抽出部103は、特許情報データベース110が、整理標準化データを格納している場合
には、XMLやSGMLの形式による記述をパースし、標準項目名称に対応したタグ名を
参照し、手続それぞれに関する情報を抽出する。一般に、XMLやSGMLにおいては、
タグがネストした構造により、記述がされるので、このネストに対応して、標準項目名称
がネストすることになる。したがって、手続情報抽出部103は、整理標準化データとし
て取得された特許情報に記述されている特許出願または特許に対して取られた(法律的)
手続きを示す標準項目名称の組合せを予め準備したパターンを利用したパターンマッチン
グ処理により検索し、検索された標準項目名称の組合せに応じて整理標準化データに記述
されている項目内容をその手続日と関連付けて抽出することもできる。
【0071】
発行情報抽出部104は、特許を識別する情報ごとに、特許情報取得部102により取
得された特許情報から、特許の特許発明についての特許掲載公報が発行された日付情報を
含む情報を抽出する。例えば、特許情報プラットフォームの経過情報検索を行うと、出願
情報の「登録記事」欄から、公報発行日として特許掲載公報が発行された日付情報を、抽
出することができる。抽出された情報は、計算装置として動作する計算機のメモリや記憶
装置に記憶される。
【0072】
ポイント計算部108は、ポイントの計算を行う。ポイント計算部108は、計算装置
として動作する計算機のメモリや記憶装置にアクセスを行い、以下のようにポイントを計
算機のプロセッサを動作させるプログラム、あるいはプログラムの一部を構成するモジュ
ールなどにより実現される。
【0073】
ポイントは、手続情報抽出部103により抽出された特許出願及び特許に対して行われ
た手続に関する情報の表わす手続ごとに、ウェイト情報が表わすウェイトを、減衰率情報
により減衰させた値の合計値である。ここにウェイト情報は、ウェイト情報取得部106
により取得され、ウェイトは手続の種類に関連付けられたウェイトである。減衰率情報は
、減衰率情報取得部107により取得された減衰率情報である。なお、技術分野などごと
に減衰率が減衰値情報記憶装置112により記憶されている場合には、当該特許出願及び
特許の技術分野の減衰率を用いる。減衰率は、また、手続が行われた日からの経過日数や
経過年数に応じて変化していてもよい。
【0074】
具体的な例としては、次の例を挙げることができる。手続情報抽出部103により抽出
された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報によれば、工業所有権に関す
る手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲
覧の請求の手続が、ポイント計算の基準日より3年前に5回、2年前に1回行われていた
とする。このとき、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定によ
り同項1号に掲げる事項についての閲覧の請求の手続の種類に関連付けられているウェイ
トが、Wであるとする。また、減衰率が0≦δ≦1となるδであるとする。このとき、ポ
イント計算部108は、
5×(1−δ)
3×W+1×(1−δ)
2×W
の計算をすると表わすことができる。ここに、(1−δ)
3×Wは、3年前に行われた工
業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる
事項についての閲覧の請求の手続の1回のウィエイトを減衰率により減衰させた値であり
、(1−δ)
2×Wは、2年前に行われた工業所有権に関する手続等の特例に関する法律
12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧の請求の手続の1回のウ
ェイトを減衰率により減衰させた値である。また、1年前に刊行物等提出書の提出
が2回されていれば、さらに2×(1−δ)
1×K(Kは刊行物等提出書のウェイトであ
る)を計算して5×(1−δ)
3×W+1×(1−δ)
2×Wと合計する。なお、δが0
となる場合には、減衰を考慮する必要がないので、計算装置101に減衰率情報取得部1
07を備える必要はなく、ポイント計算部108は、ウェイトを減衰させずに合計する。
なお、ウェイトが手続の種類の数の要素を有するベクトルであれば、手続の種類ごとの合
計値を計算することができる。
【0075】
なお、ポイント計算の基準日とは、手続がされた日からウェイトを減衰率により減衰さ
せる最終日を示す日付である。例えば、計算装置101を動作させる日であったり、過去
の所定の日であったりする。なお、過去の所定の日をポイント計算の基準日とする場合に
は、ポイント計算の基準日以降に行われた手続については、ポイント計算の対象とする必
要がないので、特許情報取得部102が、ポイント計算の基準日以降の特許情報を取得し
ないようにしたり、手続情報取得部103が、ポイント計算の基準日以降に行われた手続
に関する情報を抽出しないようにしたりすることができる。
【0076】
ポイント計算部108は、特許を識別する情報ごとに、上述のようにポイントの合計値
を求める。また、ポイント計算部108は、権利者毎の特許のポイントの合計値の合算値
を求めることなども行ってもよい。
【0077】
ポイント出力部109は、ポイント算出部により計算されたポイントを出力する。例え
ば、単純にポイントをディスプレイなどに表示したりプリントアウトするための出力を行
ったりする。あるいは、手続の種類ごとにポイントの計算がされる場合には、レーダーチ
ャートなどとして表示などのための出力を行う。
【0078】
なお、ある企業が有する特許についてのポイントの合計値と時価総額や利益とに相関関
係がある場合には、その相関関係に基づいて、時価総額や利益の推定値を出力することも
できる。
【0079】
手続情報抽出部103は、縦覧情報抽出部104を有する。縦覧情報抽出部104は、
特許情報取得部102により取得された特許情報から、工業所有権に関する手続等の特例
に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧の請求の手続
がされた日付情報を、特許を識別する情報ごとに、抽出する。
【0080】
また、ポイント計算部108によるポイントの計算において、縦覧情報抽出部104が
特許情報取得部102により取得された特許情報から抽出した工業所有権に関する手続等
の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧の請
求の手続の日付情報が、発行情報抽出部105が特許情報取得部102により取得された
特許情報から抽出した日付情報より1年以内の日付であれば、特許情報取得部102によ
り取得された特許情報から、縦覧情報抽出部104が特許情報取得部102により取得さ
れた特許情報から抽出した工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の
規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧の請求の手続をポイントの計算の対象(
あるいは、計算の結果)から除外される。
【0081】
具体的には、上述のように、手続情報抽出部103により抽出された特許出願及び特許
に対して行われた手続に関する情報によれば、工業所有権に関する手続等の特例に関する
法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧の請求の手続が、ポイ
ント計算の基準日より3年前に5回行われ、2年前に1回行われていたとする。このとき
、これらの手続がされた日付を表わす日付情報は、縦覧情報抽出部104により抽出され
る。
【0082】
そして、これらの手続のうち、3年前に行われた手続が、特許掲載公報発行から1年以
内に行われていたとする。すると、これらの手続のうち、3年前に行われた手続は、ポイ
ントの計算から除外される。すなわち、上述の説明では、ポイント計算部108において
、
5×(1−δ)
3×W+1×(1−δ)
2×W
の計算がされるとしたが、実際には、5×(1−δ)
3×Wは除外され、
1×(1−δ)
2×W
の計算がされる(あるいは、計算がされたのと同じ)ことになる。
【0083】
図3は、計算装置を動作させる処理を説明するフローチャートの一例である。ステップ
S1の処理として、特許情報取得部102が、特許を識別する情報ごとに特許情報データ
ベース110より特許情報を取得する。
【0084】
ステップS2の処理として、手続情報抽出部103が、S1において取得された特許情
報から、特許出願および特許に対して行われた手続それぞれに関する情報を、特許を識別
する情報ごとに抽出する。
【0085】
ステップS3の処理として、縦覧情報抽出部104が、S1において取得された特許情
報から、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号
に掲げる事項についての閲覧の請求の手続の日付情報を、特許を識別する情報ごとに抽出
する。
【0086】
ステップS4の処理として、発行情報抽出部が、S1において取得された特許情報から
、特許掲載公報の発行された日付情報を含む情報を、特許を識別する情報ごとに抽出する
。
【0087】
ステップS5の処理として、ウェイト情報取得部106が、ウェイト情報を取得し、減
衰率情報取得部107が、減衰率情報を取得する。
【0088】
ステップS6の処理として、ポイント計算部108が、ポイントを計算する。なお、ポ
イントの計算においては、S1において取得された特許情報から、S3において抽出され
た日付情報の表す日付が、S4において抽出した日付情報より1年以内の日付であれば、
ポイントの計算の対象(結果)から除外する。
【0089】
より具体的には、S1において抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関
する情報の表わす手続ごとにS5において取得されたウェイト情報が表わすウェイトを、
S5において取得された減衰率情報により減衰させた値の合計値を計算する際に、S1に
おいて取得された特許情報から、S3において抽出された日付情報の表す日付と、S4に
おいて抽出した日付情報の表す日付から1年後の日付と、を比較し、S3において抽出さ
れた日付情報の表す日付がS4において抽出した日付情報の表す日付の1年以内の日付で
なければ合計値として加算する。
【0090】
あるいは、S1において抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情
報の表わす手続ごとにS5において取得されたウェイト情報が表わすウェイトを、S5に
おいて取得された減衰率情報により減衰させた値の合計値を計算し、次に、S3において
抽出された日付情報が、S4において抽出した日付情報より1年以内の日付となる閲覧の
請求について、ウェイト情報が表わすウェイトをS5において取得された減衰率情報によ
り減衰させた値の合計値を計算し、前者の合計値から後者の合計値を減算してもよい。な
お、このような後者の値を、権利についてのポイントを訂正する値である訂正権利値と呼
び略してティケイ値(TK値)と呼ぶこともできる。あるいは、権利値を直すという意味
で、ティケイ直と呼ぶこともできる。
【0091】
ティケイ値の別の計算の態様としては、次のものがある。ポイント計算部108による
ポイントの計算において、縦覧情報抽出部104が特許情報取得部102により取得され
た特許情報から抽出した工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規
定により同項1号に掲げる事項についての閲覧の請求の手続の日付情報が、発行情報抽出
部105が特許情報取得部102により取得された特許情報から抽出した日付情報より1
年以内の日付あるもののみについて、特許情報取得部102により取得された特許情報か
ら、縦覧情報抽出部104が特許情報取得部102により取得された特許情報から抽出し
た工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲
げる事項についての閲覧の請求の手続をポイントの計算の対象とする。
【0092】
ステップS7の処理として、ステップS6において計算した値を出力する。
【0093】
図3のフローチャートの処理を行うプログラムを提供することが可能であり、またその
ようなプログラムを光ディスクなどの媒体に記録してもよい。
【0094】
さらに他の実施形態として、特許文献1に記載された発明の変形がある。
【0095】
すなわち、複数の特許データを記憶していると共に、該特許データ各々の技術分野の情
報と出願日の情報又は優先日の情報と経過情報に基づく数値情報とを含む特許属性情報を
記憶している特許データベースに、アクセス可能な計算装置であって、技術分野の指定を
受け付ける手段と、前記指定された技術分野に属する複数の特許データ、および該特許デ
ータ各々の特許属性情報を前記技術分野の情報に基づき前記特許データベースより取得す
る手段と、前記取得した各特許データを前記出願日の情報又は前記優先日の情報に基づき
所定期間毎のグループに分類する手段と、前記グループ毎に、該グループに属する各特許
データの前記経過情報に基づく数値情報と、該グループに属するすべての特許データの前
記経過情報に基づく数値情報の合計値の減少関数の値とを乗算することにより、該特許デ
ータ各々の評価点を算出する評価点算出手段と、を有する計算装置の実施形態である。
【0096】
本実施形態においては、経過情報に基づく数値情報には、少なくとも、特許データに対
する閲覧請求の有無を示す情報が含まれる。ただし、特許掲載公報の発行後1年以内の閲
覧請求は除かれる。あるいは、特許掲載公報の発行後1年以内の閲覧請求には、他の時期
に行われた閲覧請求が有ったとするときの数値情報よりも小さい数値情報を割り当てるよ
うにしてもよい。
【0097】
(別の実施形態)
上述の実施形態においては、減衰率情報取得部107が取得する減衰率情報は、専ら期間によらず一定であることを想定している。しかし、別の実施形態として、減衰率情報は、特許公報発行の日からの時間の経過に応じて変化させてもよい。例えば、減衰率情報取得部107は、(ある特定の技術分野の)閲覧請求の減衰率情報として、複数の値(δ
0,δ
1,δ
2,δ
3,…)を取得する。ここに、δ
0は、特許公報発行前の日前の閲覧請求のウェイトに対する減衰率であり、δ
1は、特許公報発行日から1年以内の閲覧請求のウェイトに対する減衰率であり、δ
2,δ
3,…は、特許公報発行日から1年より後の各年の閲覧請求のウェイトに対する減衰率である。そして、δ
1は、少なくともδ
2,δ
3,…のいずれか1つよりも大きい。あるいは、δ
1は、δ
2,δ
3,…のいずれよりも大きくてもよい。また、δ
1≧δ
0 であってもよい。あるいは、δ
1>δ
0 であってもよい。
【0098】
このように、δ
1を少なくともδ
2,δ
3,…のいずれか一つよりも大きくすることにより、特許公報発行の日から1年以内の閲覧請求に対するウェイトの減衰率を、少なくとも特許公報発行の日から1年より後の閲覧請求に対するウェイトより早く減衰させウェイトの値を早く小さくすることにより、無料で行われた可能性のある閲覧請求によるポイントの上昇を抑制することができる。また、δ
1=1とすることにより、特許公報発行の日から1年以内の閲覧請求に対するウェイトを0にしたのと同じこととなる。
【0099】
年単位で減衰率を変化させることについて主に説明したが、年単位に限定する必要はない。例えば、6月単位とし、特許公報発行の日から6月より後で1年以内の閲覧請求に対するウェイトの減衰率を、特許異議の申し立てが可能な期間に行われた閲覧請求に対するウェイトの減衰率よりも大きくすることもできる。
【0100】
また、YK値が月単位で算出されるので、月単位で減衰率を変化させたり、整理標準化データはほぼ毎週発行されるので、整理標準化データの発行周期に合わせて週単位で減衰率を変化させることもできる。
【0101】
なお、以上説明した実施形態を種々に組み合わせることができる。例えば、自分が操作
した変更装置によって行った閲覧請求を計算装置により算出する場合、自分が操作した変
更装置によって行った閲覧請求についてはウェイトを0としたり、あるいは、ポイントの
算出には使用しないようにしたり、あるいは、他人が行った閲覧請求のウェイトよりも小
さくしたりすることができる。これにより、自分の行った閲覧請求が計算装置の算出に影
響を与えないようにすることができる。
【0102】
以上のように、一実施形態によれば、ある企業のYK値が同業他社の各種業績指標と比
較して低く、過去1年以内にその企業の有する特許権について特許公報が発行されていれ
ば、閲覧請求を行ない、適正と考えられるYK値に増加することが可能となる。