【解決手段】外部回路に接続され、相対的にイオン化傾向の大きい第1の導電体2と、第1の導電体2に近接して配置され、第1の導電体2よりも相対的にイオン化傾向の小さい第2の導電体3とを有し、第1、第2の導電体2,3の間の液体により、第1の導電体2を電蝕させる反応部5が形成される。
上記第1、第2の導電体は、上記反応部が設けられた上記近傍領域における間隔が、その他の領域における間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のスイッチ素子。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明が適用されたスイッチ素子の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、電蝕前のヒューズエレメントを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、正極として接続されたヒューズエレメント及び負極として接続された電極を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、電蝕後のヒューズエレメントを模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ヒューズエレメントに通電するための第1の端子及び第2の端子と、電極を負極として接続する第3の端子とを備えたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図6】
図6(A)はそれぞれ貫通孔を形成したヒューズエレメント及び電極の反応部を示す斜視図であり、
図6(B)は貫通孔を形成したヒューズエレメント及び電極を用いて形成された反応部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、ヒューズエレメントと電極との間にセパレータを備えた反応部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、ヒューズエレメントが複数並列に所定間隔で重畳配置されるとともに、各ヒューズエレメントの間に電極が配置された反応部の構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、ヒューズエレメントが複数並列に所定間隔で重畳配置するとともに、電極をヒューズエレメントの数よりも1つ多くし、各ヒューズエレメントの両面に対向して重畳させた反応部の構成例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、ヒューズエレメントと電極とを隣接配置するとともに、反応部においてヒューズエレメントと電極とを面対向させ、間隔が相対的に狭小化された反応部の構成例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は断面図である。
【
図11】
図11は、ヒューズエレメントと電極とを隣接配置するとともに、反応部においてヒューズエレメント上に電極先端を線状に対向させ、間隔が相対的に狭小化された反応部の構成例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【
図12】
図12は、ヒューズエレメントと電極とを複数面で対向させた反応部を示す斜視図であり、(A)はヒューズエレメントに電極の両側面及び底面の3面を囲む湾曲部を形成した構成を示し、(B)はヒューズエレメントに電極の両側面及び底面の3面を囲む屈曲部を形成した構成を示す。
【
図13】
図13は、電極のヒューズエレメントと対向する一面に液溶性材料からなるコート層が形成された反応部の構成例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、絶縁基板の反応部及びその近傍以外の場所に撥水処理部を設け、反応部の近傍に吸水発熱材を設けたスイッチ素子の分解斜視図である。
【
図15】
図15は、スイッチ素子の筐体を示す斜視図であり、(A)は天面に導入口が形成された状態、(B)は天面に複数の導入口が形成された状態、(C)は天面及び側面に導入口が形成された状態、(D)は天面及び側面に複数の導入口が形成された状態を示す。
【
図16】
図16は、円筒状の筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、排出口が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、反応部が設けられた位置と同じ高さに排出口が設けられたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図19】
図19は、スリット状の導入口及びスリット状の排出口が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、導入溝が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す図であり、(A)は断面図、(B)は外観斜視図である。
【
図21】
図21は、複数の導入口及び導入溝が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す図であり、(A)は断面図、(B)は外観斜視図である。
【
図22】
図22は、反応部が設けられた内部にかけて漸次狭小化する導入溝が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図23】
図23は、導電体及び反応部の位置に応じた高さに導入口を形成した筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、反応部以外の場所に撥水処理部を形成した筐体を用いたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図25】
図25は、反応部に応じた位置に液体を貯留する貯留部を設けたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図26】
図26は、導入口を水溶性の絶縁材料でシールした筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、導入溝内を水溶性の絶縁材料で封止したスイッチ素子を示す断面図である。
【
図28】
図28は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いた電子部品を示す斜視図である。
【
図29】
図29は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いたバッテリシステムを示す概略構成図である。
【
図30】
図30は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いたバッテリを示す概略構成図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のX−X’断面図である。
【
図31】
図31は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いたバッテリシステムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用されたスイッチ素子、これを組み込んだ電子部品及びバッテリシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
本発明が適用されたスイッチ素子は、バッテリ回路等の外部回路に組み込まれ、水没や液漏れ等の水濡れ状態が生じた場合に、バッテリ回路等の遮断を行うものである。
図1に示すように、スイッチ素子1は、外部回路に接続され、相対的にイオン化傾向の大きい第1の導電体2と、第1の導電体2に近接して配置され、第1の導電体2よりも相対的にイオン化傾向の小さい第2の導電体3とを有し、第1、第2の導電体2,3の間に、素子内部に浸入した液体を集め、第1の導電体2を電蝕させる反応部5が形成されている。また、スイッチ素子1は、これら第1、第2の導電体2,3及び反応部5が配設された筐体6を備えてもよく、筐体6には反応部5に液体を導く導入口7が形成されている。
【0014】
[導電体]
第1の導電体2は、スイッチ素子1の組み込まれる外部回路に設けられた端子部と接続される接続端子であり、例えば、略矩形板状に形成され、スイッチ素子1の筐体6内に内蔵された絶縁基板上の一対の電極端子間にわたって搭載されたヒューズエレメントを用いることができる。また、第1の導電体2は、例えばスイッチ素子1の筐体6内に内蔵された絶縁基板に形成されたパターン電極や、金属板、リード線等を用いてもよい。
【0015】
スイッチ素子1は、第1の導電体2の接続端が、一対の電極端子を介して筐体6の外部に引き出され、外部回路の端子部と接続可能とされている。また、スイッチ素子1は、第1の導電体2が常態において導通されており、反応部5に液体が接触することにより、当該反応部5の作用によって溶断され、外部回路を開放する。
【0016】
第2の導電体3は、例えば、第1の導電体2と同様に矩形板状に形成された電極が用いられ、第1の導電体2に対向して近接配置されている。第1、第2の導電体2,3は、互いに近接配置されることにより、素子内部に浸入した液体を集め、第1の導電体2を電蝕させる反応部5が形成される。
【0017】
また、第2の導電体3は、第1の導電体2よりも相対的にイオン化傾向が小さい材料が用いられる。これにより、第1の導電体2と第2の導電体3との間に水が浸入した場合、卑な金属からなる第1の導電体2が正極となってイオン化(腐食)し、第1の導電体2が細ったり、ピンホールが発生したりして第1の導電体2の導体抵抗が上昇し、定格電流値を低下させることができる。
【0018】
[反応部]
反応部5は、筐体6内に浸入した液体と接触することにより第1の導電体2を不可逆的に遮断するものであり、第1、第2の導電体2,3の形態によって様々な構成を有する。
【0019】
以下では、
図2に示すように、第1の導電体2の一例として、常態において外部回路を接続し、水濡れ状態になると開放させる平板状のヒューズエレメント11を用い、第2の導電体3の一例として、ヒューズエレメント11よりもイオン化傾向の小さい金属からなり、ヒューズエレメント11の中心部の一面に対向して配置された電極12を用いた場合について説明する。
【0020】
ヒューズエレメント11と電極12とは、互いに近接配置されることにより、その間に液体が存在するとヒューズエレメント11を電蝕させる反応部5が形成される。この反応部5は、水濡れや電池からの液漏れ等の異常時にヒューズエレメント11と電極12との間に液体が集まり、ヒューズエレメント11が電蝕する。これにより、電気抵抗が上昇し、定格電流値が低下するため、ヒューズエレメント11への通電電流により自己遮断し、安全に電気回路を開放させることができる。
【0021】
ヒューズエレメント11と電極12とは、水が浸入可能なように近接しており、その距離は、0.01mm〜10mmであることが好ましい。また、ヒューズエレメント11と電極12間の距離が小さい方が、電界強度が大きく電蝕作用が強いため、また、毛細管現象によってヒューズエレメント11と電極12との間に水を導入しやすいため、より効率的に電気回路を開放させるためには、電極12との距離を0.01〜1mmとすることがより好ましい。
【0022】
ヒューズエレメント11は、所定の定格電流値を有し、定格電流値を超える電流が通電されると溶断する。ヒューズエレメント11は、アルミニウム、鉄、ニッケル、錫、鉛から選択されるいずれか1種を主成分とすることが好ましい。なお、本明細書において、主成分とは、材料全質量を基準として、50wt%以上である成分をいう。
【0023】
電極12は、ヒューズエレメント11の中心部の一面に対向して配置される。なお、電極12は、ヒューズエレメント11の電蝕する物質量が大きくなるように、ヒューズエレメント11の中心部の両面に対向して配置してもよい。
【0024】
また、電極12は、ヒューズエレメントよりもイオン化傾向の小さい金属からなり、金、白金、銀、銅、パラジウムから選択されるいずれか1種を主成分とすることが好ましい。これにより、ヒューズエレメント11と電極12との間に水が浸入した場合、卑な金属からなるヒューズエレメント11が正極となってイオン化(腐食)し、ヒューズエレメント11が細ったり、ピンホールが発生したりしてヒューズエレメント11の導体抵抗が上昇し、定格電流値を低下させることができる。
【0025】
また、
図3、
図4に示すように、ヒューズエレメント11は、正極として接続され、電極12は、負極として接続されることが好ましい。これにより、電蝕反応を促進することができ、ヒューズエレメント11の定格電流値を早く低下させることができる。
【0026】
すなわち、スイッチ素子1は、直流電源に正極として直列接続されてなるヒューズエレメント11と、ヒューズエレメント11に近接して配置され、ヒューズエレメント11よりもイオン化傾向の小さい金属からなり、負極として接続されてなる電極12とを備える遮断回路を構成する。また、スイッチ素子1は、
図5に示すように、ヒューズエレメント11に通電するための第1の端子11a及び第2の端子11bと、電極12を負極として接続する第3の端子12aとを備え、第1の端子及び第2の端子を正極の通電経路に直列接続し、第3の端子を負極に接続し又は接地する。
【0027】
図3及び
図4は、それぞれ電蝕前及び電蝕後のヒューズエレメントを模式的に示す斜視図である。
図3に示すように、電蝕前のヒューズエレメント11は、短形形状を保っている。ヒューズエレメント11と電極12との間に水が浸入した場合、
図4に示すように卑な金属からなるヒューズエレメント11が正極となってイオン化(腐食)し、ヒューズエレメント11が細ったり、ピンホールが発生したりする。このため、ヒューズエレメント11の導体抵抗が上昇し、定格電流値が低下する。導体抵抗の上昇に伴う発熱により、ヒューズエレメント11と電極12との間の水や電解液が蒸発することがあるが、定格電流値が低下しているため、ヒューズエレメント11への通電電流により自己遮断し、安全に外部回路を開放させることができる。
【0028】
[貫通孔・凹部・凸部]
また、反応部5は、ヒューズエレメント11と電極12との一方又は両方に、1又は複数の貫通孔、凹部又は凸部を設けてもよい。
図6(A)(B)は、一例として、ヒューズエレメント11と電極12とに貫通孔13を形成した反応部5を示す斜視図である。これにより、スイッチ素子1は、筐体6内に流入した液体を優先的に反応部5に導入、保持しやすくすることができ、また、貫通孔13によって液体の保持量が増えることによりヒューズエレメント11と電極12との接触面積が増大し、ヒューズエレメント11の電蝕作用を促進させることができる。さらに、ヒューズエレメント11に貫通孔13を形成することにより溶断面積が減少するため、より速やかに溶断させることができる。
【0029】
凹部又は凸部を設けた場合も同様に、スイッチ素子1は、筐体6内に流入した液体を優先的に反応部5に導入、保持しやすくすることができ、また、凹部又は凸部によって液体の保持量が増えることによりヒューズエレメント11と電極12との接触面積が増大し、ヒューズエレメント11の電蝕作用を促進させることができる。
【0030】
[セパレータ]
また、
図7に示すように、ヒューズエレメント11と電極12との間にセパレータ14を備えることが好ましい。また、セパレータ14は、メッシュ状、多孔質状を有することが好ましい。これにより、セパレータ14は、ヒューズエレメント11と電極12との間に水や電解液等の液体を集め、保持する集液性、保水性を確保することができる。また、セパレータ14は、絶縁体からなることが好ましい。これにより、セパレータ14は、ヒューズエレメント11と電極12との間の直接短絡を抑制することができる。
【0031】
また、セパレータ14は、NaCl等の電解質を担持することが好ましい。これにより、水や電解液の電気伝導度を向上し、電蝕を促進させることができる。
【0032】
さらに、セパレータ14は、水や電解液等の液体に溶解する液溶性を有していてもよい。この場合、セパレータ14は、液溶性に加え絶縁性を有することが好ましい。これにより、セパレータ14は、液体の浸入前の状態においてはヒューズエレメント11と電極12とのクリアランスを確保し、短絡を防止するとともに、液体の浸入時には溶解し、より多くの液体をヒューズエレメント11と電極12との間に導入させ電蝕作用を促進させることができる。
【0033】
液溶性を有する材料としては、例えば、寒天,ゼラチンなどの天然ポリマー、セルロース,でんぷんなどの半合成ポリマー、ポリビニルアルコールなどの合成ポリマー等が挙げられる。これらは、液体と接触することにより収縮あるいは溶解する。なお、高分子量になると溶解せず膨張する性質が強くなるため、重合度を調整して用いることが好ましい。また、液溶性材料として角砂糖のような水溶性の固形物を用いた場合、液体と接触することにより溶解、あるいは体積が減少する。
【0034】
また、液体としてバッテリセルに充填されたエチレンカーボネート等の電解液を想定し、電解液漏れに対応して作動するスイッチ素子の場合、液溶性材料としては、ABS、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、あるいはPET、PTT、PEN等の飽和ポリエステルなどを用いることができる。これらの液溶性材料も、高分子量になると溶解速度が落ち、スイッチ素子1として反応速度が低下する場合もあるため、反応速度を優先する場合は、重合度を調整して用いることが好ましい。
【0035】
また、ヒューズエレメント11と電極12との間に配置されるセパレータ14は、吸水性又は吸湿性の絶縁物であってもよい。また、ヒューズエレメント11と電極12との間に、ゾル、ゲル、又は固体からなる絶縁物を配置し、液体により導電性が発現するようにしてもよい。また、ヒューズエレメント11と電極12との間に、ゾル又はゲルからなる電解質が浸入したときに、ヒューズエレメント11の電蝕作用を発揮するようにしてもよい。
【0036】
[積層構造]
また、第1、第2の導電体2,3及び反応部5は、前述した構成例に限られず、例えば、第1の導電体2となるヒューズエレメントが複数並列に重畳配置され、第2の導電体3となる電極が各ヒューズエレメント間に配置されていてもよい。
図8は、第1の導電体2として平板状に形成されたヒューズエレメント11が複数並列に所定間隔で重畳配置されるとともに、各ヒューズエレメント11の間に第2の導電体3となる平板状に形成された電極12が配置された反応部5の構成例を示す斜視図である。
【0037】
この反応部5は、ヒューズエレメント11と電極12とが3つずつ交互に積層された積層構造を有する。各ヒューズエレメント11は並列に接続され、また各電極12も並列に接続されている。
【0038】
このようにヒューズエレメント11を複数並列に配置することにより、定格電流を大きくすることができるとともに、ヒューズエレメント11と電極12との間に液体が浸入した場合におけるヒューズエレメント11の電蝕を促進させることができる。
【0039】
なお、第1、第2の導電体2,3及び反応部5は、
図9に示すように、平板状に形成されたヒューズエレメント11が複数並列に所定間隔で重畳配置されるとともに、平板状に形成された電極12をヒューズエレメント11の数よりも1つ多くし、各ヒューズエレメント11の間に配置するとともに、各ヒューズエレメント11の両面に対向して重畳させてもよい。
【0040】
反応部5は、各ヒューズエレメント11の両面に電極12を対向させることにより、ヒューズエレメント11の両面と電極12との間に液体を介在させ、ヒューズエレメント11の電蝕をより促進させることができる。
【0041】
また、反応部5は、
図8、
図9に示す積層構造において、ヒューズエレメント11及び電極12の一方又は両方に、上述した1又は複数の貫通孔13や、凹部又は凸部を設けてもよい。
【0042】
さらに、反応部5は、
図8、
図9に示す積層構造において、ヒューズエレメント11及び電極12の間に、上述したセパレータ14を配置してもよい。これにより、ヒューズエレメント11と電極12との間の直接短絡を抑制するとともに、水や電解液の保持性を確保することができる。このとき、セパレータ14は、メッシュ状、多孔質状のものを用いてもよく、絶縁材料を用いてもよい。また、セパレータ14は、NaCl等の電解質を担持させ、水や電解液の電気伝導度を向上させ、電蝕を促進させるようにしてもよい。また、上述したように、セパレータ14は、吸水性又は吸湿性の絶縁物であってもよい。また、ヒューズエレメント11と電極12との間に、ゾル、ゲル、又は固体からなる絶縁物を配置し、液体により導電性が発現するようにしてもよい。また、ヒューズエレメント11と電極12との間に、ゾル又はゲルからなる電解質が浸入したときに、ヒューズエレメント11の電蝕作用を発揮するようにしてもよい。
【0043】
[反応部の間隔]
また、スイッチ素子1は、第1、第2の導電体2,3の、反応部5が設けられた近傍領域における間隔を、その他の領域における間隔よりも狭くしてもよい。例えばスイッチ素子1は、
図10(A)〜(C)に示すように、第1の導電体2として矩形板状のヒューズエレメント11を用い、第2の導電体3として、略板状の電極12を用い、ヒューズエレメント11と電極12とは筐体6内に隣接して配置されるとともに、反応部5においてヒューズエレメント11と電極12とが重畳されることにより、間隔が相対的に狭小化されている。
【0044】
電極12は、長手方向の略中央部に、ヒューズエレメント11上に張り出す重畳部12bが形成されている。スイッチ素子1は、ヒューズエレメント11と電極12の重畳部12bとが面対向されるとともに近接配置されることにより、液体を集めヒューズエレメント11を電蝕させる反応部5が形成される。
【0045】
重畳部12bは、筐体6等に設けられた支持部15に支持されることにより、ヒューズエレメント11と面対向されるとともに、液体が浸入、保持可能な所定の間隔が設けられている。ヒューズエレメント11と重畳部12bとの間隔は、0.01mm〜10mmであることが好ましい。また、ヒューズエレメント11と電極12間の距離が小さい方が、電界強度が大きく電蝕作用が強いため、また、毛細管現象によってヒューズエレメント11と電極12との間に水を導入しやすいため、より効率的に電気回路を開放させるためには、ヒューズエレメント11と重畳部12bとの間隔を0.01〜1mmとすることがより好ましい。
【0046】
また、スイッチ素子1は、
図11(A)(B)に示すように、ヒューズエレメント11と電極2とを隣接配置し、電極12の先端部12cを屈曲させるとともに支持部15に支持されることにより、ヒューズエレメント11の表面上に先端部12cが所定の間隔を隔てて線状に対向するようにしてもよい。
【0047】
[複数面対向]
また、スイッチ素子1は、第1の導電体2及び第2の導電体3の複数面が対向されていてもよい。例えばスイッチ素子1は、
図12(A)に示すように、第1の導電体2として略矩形板状のヒューズエレメント11を用い、第2の導電体3として、略棒状の電極12を用い、ヒューズエレメント11に、電極12の両側面及び底面の3面を囲むように湾曲させた湾曲部11cを形成することにより、電極12の複数面で対向させてもよい。あるいは、スイッチ素子1は、
図12(B)に示すように、ヒューズエレメント11に、電極12の両側面及び底面の3面を囲むように矩形状に屈曲させた屈曲部11dを形成することにより、ヒューズエレメント11及び電極12の複数面で対向させてもよい。ヒューズエレメント11の湾曲部11c又は屈曲部11dと電極12とは、いずれの面も所定の狭小化された間隔を隔てて対向され、液体を浸入、保持可能とされている。
【0048】
この反応部5によれば、ヒューズエレメント11と電極12とが複数面で対向されることにより、スイッチ素子1は、一面にて対向する形態に比して液体を保持する面積が増え、ヒューズエレメント11の電蝕による溶断をより促進させることができる。
【0049】
なお、反応部5は、第2の導電体3に、第1の導電体2の両側面及び底面の3面を囲む湾曲部あるいは屈曲部を形成することにより、複数面で対向させてもよい。
【0050】
[液溶性材料コーティング]
また、スイッチ素子1は、反応部5を構成する第1、第2の導電体2,3の少なくとも一方の表面を、水や電解液等の液体に触れることで溶解する液溶性材料で被覆してもよい。例えばスイッチ素子1は、
図13に示すように、第1の導電体2となる略矩形板状のヒューズエレメント11と、第2の導電体3となる略矩形板状の電極12とを対向させるとともに、電極12のヒューズエレメント11と対向する一面に液溶性材料からなるコート層17が形成されている。
【0051】
これにより、スイッチ素子1は、液体の浸入前の状態においてはヒューズエレメント11と電極12とのクリアランスを確保し、短絡を防止するとともに、液体の浸入時には溶解し、より多くの液体をヒューズエレメント11と電極12との間に導入させ電蝕作用を促進させることができる。
【0052】
コート層17を構成する液溶性材料としては、上述した液溶性材料を用いて形成されるセパレータ14と同じ材料を用いることができる。
【0053】
また、液溶性材料からなるコート層17は、ヒューズエレメント11の電極12と対向する一面側に形成してもよく、ヒューズエレメント11及び電極12の互いに対向する面にそれぞれ形成してもよい。
【0054】
[撥水処理]
また、スイッチ素子1は、反応部5以外の場所、又は反応部5及びその近傍以外の場所に、撥水領域を設けてもよい。例えばスイッチ素子1は、
図14に示すように、第1の導電体2となる略矩形板状のヒューズエレメント11と、第2の導電体3となる略矩形板状の電極12とを対向させるとともに、ヒューズエレメント11と電極12とが筐体6内に配設された絶縁基板16上に搭載される。そして、スイッチ素子1は、絶縁基板16のヒューズエレメント11と電極12とが近接する反応部5及びその近傍を除く領域が撥水処理部18とされる。
【0055】
撥水処理部18は、例えばフッ素系コーティング剤の塗布、ソルダーペーストコーティング等、公知の手法により形成することができる。
【0056】
これにより、スイッチ素子1は、絶縁基板16上に浸入した液体を非撥水領域である反応部5及びその近傍に導くことができ、ヒューズエレメント11の電蝕による溶断を促進させることができる。
【0057】
[吸水発熱材]
また、スイッチ素子1は、反応部5の近傍に吸水発熱材19を配置してもよい。例えば、スイッチ素子1は、
図14に示す絶縁基板16の表面上にヒューズエレメント11を配置するとともに電極12と対向させた構成において、反応部5へ熱が伝わる近傍領域に、吸水することで発熱する材料19を配置する。吸水発熱材料19は、例えば生石灰を用いることができる。
【0058】
このようなスイッチ素子1は、反応部5の近傍に液体が浸入すると、吸水発熱材19が吸湿、発熱し、その熱が反応部5に伝達する。反応部5は、吸水発熱材19の熱により、より反応効率が向上され、ヒューズエレメント11を速やかに電蝕、溶断させることができる。
【0059】
なお、スイッチ素子1は、
図14に示すように、絶縁基板16の反応部5及びその近傍を除く領域に撥水処理部18を設けるとともに、反応部5の近傍に吸水発熱材19を配置してもよく、撥水処理部18又は吸水発熱材19のいずれかを設けるようにしてもよい。
【0060】
[筐体]
次いで、スイッチ素子1の筐体6について説明する。スイッチ素子1の筐体6は、各種エンジニアリングプラスチック、セラミックス等の絶縁性を有する部材により形成することができる。スイッチ素子1は、筐体6を設けることにより、第1、第2の導電体2,3及び反応部5を外部より受ける機械的な外乱等から保護するとともに、第1の導電体2として用いたヒューズエレメント11がアーク放電の発生を伴って溶断した際に、溶融金属の周囲への飛散を防止することができる。
【0061】
筐体6には、反応部5に液体を導く導入口7が設けられている。スイッチ素子1は、筐体6に設けられた導入口7を介して液体が反応部5へ流入することにより、第1の導電体2を不可逆的に遮断させる。
【0062】
筐体6は、例えば
図15(A)に示すように、多面体からなり、一の面に、一の導入口7が設けられている。スイッチ素子1は、外部回路が形成された回路基板に実装されるチップ部品として形成された場合、筐体6の実装面と反対側の天面6aに導入口7が設けられることが好ましい。天面6aに導入口7が設けられることにより、水濡れ状態になると効率的に液体を筐体6内に取り込むとともに反応部5に保持し、第1の導電体2を遮断させることができる。もちろん筐体6は、天面6a以外の面、例えば側面6bに導入口7を形成してもよい。また、筐体6は、
図15(B)に示すように、天面6aに複数の導入口7を形成してもよく、あるいは側面6bに複数の導入口7を形成してもよい。筐体6は、複数の導入口7を設けることにより、より液体を反応部5に導入しやすくすることができる。
【0063】
また、筐体6は、例えば
図15(C)に示すように、多面体からなり、複数の面、例えば天面6aと側面6bに導入口7を設けてもよい。また、筐体6は、
図15(D)に示すように、複数の面にそれぞれ一又は複数の導入口7を形成してもよい。
【0064】
また、筐体6は、筒状に形成し、導入口7を任意の位置に、任意の個数だけ形成してもよい。
図16は筐体6を円筒状に形成し、全周にわたって複数の導入口7を形成したスイッチ素子1の外観斜視図である。筐体6は、中空の多角柱状に形成してもよい。筐体6を中空の円柱状、角柱状に形成することにより、スイッチ素子1の配置に応じた面や角度、液体の浸入経路等に左右されずに導入口7を形成することができる。
【0065】
なお、
図16に示すスイッチ素子1は、第1の導電体2として用いるヒューズエレメント11に通電するための第1の端子11a及び第2の端子11bと、第2の導電体3として用いる電極12を負極として接続する第3の端子12aが筐体6の外周面に形成されている。
【0066】
また、筐体6は、導入口7より浸入した液体を排出する排出口を形成してもよい。
図17は、多面体からなる筐体6の天面6aに導入口7を形成するとともに、側面6bに液体を排出する排出口8を形成したスイッチ素子1を示す外観斜視図である。排出口8を形成することにより、液体が多量に筐体6内に浸入することによって第1、第2の導電体2,3及び反応部5が冷却され、ヒューズエレメント11の電蝕作用や自己発熱が阻害される等、反応部5の作用や、第1の導電体2の溶断が阻害される事態を防止することができる。
【0067】
なお、排出口8は、導入口7よりも小さく形成されることが好ましい。排出口8を相対的に小さくすることで、筐体6内に浸入した液体が過剰に排出され、反応部5の作用や、第1の導電体2の溶断が遅延することを防止することができる。
【0068】
また、排出口8は、筐体6の反応部5が設けられた位置と同じ高さ、又は反応部5が設けられた位置よりも上方に設けられていることが好ましい。例えば、
図18に示すように、筐体6を多面形状に形成するとともに、回路基板に実装されるチップ部品として形成された場合、排出口8は、筐体6の側面6bの反応部5が設けられた位置と同じ高さ又は上方に設けられることが好ましい。これにより、筐体6内に浸入した液体は、反応部5より上方に浸入した分が排水され、反応部5には残留するため、反応部5の作用を確保するとともに、筐体6内に多量に浸入した液体によって第1、第2の導電体2,3及び反応部5が冷却され、ヒューズエレメント11の電蝕作用や自己発熱が阻害される等、反応部5の作用や、第1の導電体2の溶断が阻害される事態を防止することができる。
【0069】
なお、液体を導入する導入口7及び液体を排出する排出口8は、円形、矩形等、その形状は問わない。また、導入口7及び排出口8は、
図19に示すように、スリット状に形成してもよい。導入口7をスリット状に形成することにより、より広範に液体を導入させ、速やかに反応部5を反応させて第1の導電体2を溶断させることができる。また、排出口8をスリット状に形成することにより、筐体6内に浸入した余剰の液体を速やかに排水することができ、反応部5の作用や第1の導電体2の溶断の進行が遅延することを防止することができる。
【0070】
また、筐体6は、天面6aにスリット状の導入口7を設けるとともに、反応部5へ液体を導く導入溝9を設けてもよい。
図20(A)(B)に示すように、導入溝9は、溝壁9aが天面6aに形成された導入口7から反応部5の近傍まで延在される。これにより、筐体6は、導入口7に浸入した液体が反応部5以外の場所に流入することなく、確実に反応部5へ導くことができる。また、筐体6は、導入口7に浸入した液体が筐体6内に散逸し、反応部5による第1の導電体2の溶断が遅延することを防止することができる。
【0071】
また、筐体6は、
図20(B)に示すように、導入溝9を側面6bまで延ばし、側面6bに形成された排出口8と連続させてもよい。これにより、筐体6は、導入口7から浸入した液体を効率よく反応部5に導くとともに、過剰な液体を効率よく排出口8から排水することができる。
【0072】
なお、
図21(A)(B)に示すように、導入溝9は、複数形成してもよい。導入溝9を複数形成することにより、反応部5の全幅にわたって液体を導くことができる。
【0073】
また、
図22に示すように、導入溝9は、天面6aに臨む導入口7の開口部から反応部5が設けられた内部にかけて漸次狭小化させてもよい。導入溝9を反応部5に近づくにつれて狭小化することにより、導入口7の開口部から浸入した液体を、毛細管現象によって効率よく反応部5に導くことができる。
【0074】
また、スイッチ素子1は、
図23に示すように、筐体6に第1、第2の導電体2,3及び反応部5の位置に応じて導入口7、又は導入口7及び導入溝9を形成してもよい。スイッチ素子1は、例えば
図8、
図9に示す第1、第2の導電体2,3及び反応部5の構成例のように、ヒューズエレメント11及び電極12を複数並列に積層配置させるとともに、側面6bのヒューズエレメント11及び電極12の位置に対応した高さに、導入口7、又は導入口7及び導入溝9を形成してもよい。このとき、導入口7は、ヒューズエレメント11の枚数に応じて一又は複数形成してもよく、また、ヒューズエレメント11と同数の導入口7を形成してもよく、あるいは複数の導入口7をヒューズエレメント11と同間隔で形成してもよい。
【0075】
導入口7等が反応部5の位置に応じた位置に形成されることにより、スイッチ素子1は、効率良く多量の液体を導入口7から第1、第2の導電体2,3及び反応部5へ導くことができ、反応部5の反応を効率良く行い、第1の導電体2の溶断を促進させることができる。
【0076】
また、スイッチ素子1は、反応部5以外の場所に撥水処理を施し、液体を反応部5に誘導してもよい。例えば
図24に示すように、スイッチ素子1は、導入口7、又は導入口7及び導入溝9の溝壁9aに撥水処理が施された撥水処理部18を形成してもよい。撥水処理部18は、例えばフッ素系コーティング剤の塗布、ソルダーペーストコーティング等、公知の手法により形成することができる。
【0077】
これによりスイッチ素子1は、導入口7より浸入した液体を効率よく反応部5に導くことができる。また、導入口7や導入溝9に撥水処理を施すことにより、スイッチ素子1を作動させるべき水濡れ状態以外では、少量の液体を弾いて筐体6内に浸入させないことから、誤作動を防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。
【0078】
また、スイッチ素子1は、筐体6の内壁に撥水処理を施してもよい。筐体6の内壁に撥水処理を施すことによっても、筐体6内に浸入した液体を効率良く反応部5に導き、速やかに反応部5を作用させることができる。
【0079】
また、スイッチ素子1は、
図25に示すように、反応部5が形成された位置に、筐体6内に浸入した液体を貯留する貯留部21を設けてもよい。貯留部21は、反応部5の周囲を囲むように凹状に形成され、筐体6に一体に成型されることにより、あるいは凹状部材が筐体6の底面に配置されることにより形成することができる。スイッチ素子1は、筐体6内に液体が浸入すると、貯留部21に液体が貯留されることにより反応部5の周囲が液体で満たされる。これにより、スイッチ素子1は、筐体6内に浸入した液体が少量であっても効率よく反応部5を反応させることができる。また、スイッチ素子1は、排出口8を反応部5よりも下方に形成し、余分な液体を排出することができる。
【0080】
なお、
図25に示すスイッチ素子1では、第1の導電体2を湾曲させて貯留部21内に通すとともに、第1の導電体2の両端を、筐体6の底面に臨まされている第1、第2の端子11a,11bに接続させている。
【0081】
また、スイッチ素子1は、
図26に示すように、導入口7を液体で溶解する水溶性封止材22で閉塞してもよい。また、スイッチ素子1は、
図27に示すように、導入溝9を液体で溶解する水溶性封止材22で閉塞してもよい。水溶性封止材22としては、上述した液溶性材料と同様に、例えば、寒天,ゼラチンなどの天然ポリマー、セルロース,でんぷんなどの半合成ポリマー、ポリビニルアルコールなどの合成ポリマー、角砂糖のような水溶性の固形物等を用いることができる。
【0082】
また、液体としてバッテリセルに充填されたエチレンカーボネート等の電解液を想定し、電解液漏れに対応して作動するスイッチ素子の場合、水溶性封止材22の材料としては、ABS、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、あるいはPET、PTT、PEN等の飽和ポリエステルなどを用いることができる。これらの水溶性材料も、高分子量になると溶解速度が落ち、スイッチ素子1として反応速度が低下する場合もあるため、反応速度を優先する場合は、重合度を調整して用いることが好ましい。
【0083】
導入口7や導入溝9を水溶性封止材22で閉塞することにより、スイッチ素子1を作動させるべき水濡れ状態以外では、少量の液体を弾いて筐体6内に浸入させないことから、誤作動を防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。
【0084】
[応用例1]
次いで、本発明の応用例について説明する。本発明が適用されたスイッチ素子1は、FET等の電子部品に組み込んでもよい。
図28は、スイッチ素子1が組み込まれた電子部品であるFET30を示す斜視図である。FET30は、ゲート電極31を第1の導電体2とし、その近傍に第2の導電体3として電極12を配置することにより反応部5が形成される。
【0085】
FET30は、液体が浸入する前の常態において、ゲート電極31が導通され、各種回路基板に形成された接続端子と接続されている。そして、FET30は、筐体6内に液体が浸入すると、反応部5においてゲート電極31が電蝕され、導通が遮断される。これにより、FET30は、液濡れによりスイッチングを停止(機能無効化)することができる。
【0086】
反応部5に電圧を印加するための
図28内に模式的に図示する電源は、FET30が接続される回路基板の任意の箇所からその電源を得ることもでき、その電源電圧の大きさはFETのゲート電圧特性も併せて設定することが好ましい。
【0087】
また、ゲート電極31でなく、ドレイン電極、ソース電極にも同様の反応部5を設けることもできる。この場合、電蝕により電極が細り、電流容量が低下し、電流通電により発熱し、この発熱によって溶断されることにより、より容易に溶断することも期待できる。
【0088】
なお、スイッチ素子1は、筐体6内にFET30を内蔵し、筐体6内に侵入した液体によってゲート電極31を溶断してもよい。あるいは、FET30等の電子部品の筐体をスイッチ素子1の筐体6として用い、この電子部品の筐体に導入口7を設けるとともに内部に反応部5を設けてもよい。あるいは、FET30のゲート電極31近傍に電極12を配置するように、電子部品の筐体の外に反応部5を構成してもよい。
【0089】
[応用例2]
また、本発明が適用されたスイッチ素子1は、電池セルに組み込んでもよい。
図29は円筒型電池セル40の断面図である。例えばスイッチ素子1は、電池セル40の正極41を常態において導通されている第1の導電体2とし、図示しない電池ホルダを筐体6として用い、電池セル40が電池ホルダに装着されると、電池ホルダ側に設けられた第2の導電体3となる電極12と近接されることで反応部5を構成する。電極12は、電池ホルダに装着された電池セル40の負極と接続されている。
【0090】
電池セル40は、常態において、正極41が導通され、電池ホルダの電極端子を通じて各種回路に電力を供給する。そして、電池セル40は、水濡れや電池からの液漏れ等により電池ホルダ内に液体が浸入すると、反応部5において正極41が電蝕され、導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1は、液濡れ等により電池セル40の通電を停止することができる。
【0091】
また、スイッチ素子1は、円筒型電池セル単体で構成してもよい。
図30に示す円筒型電池セル46は、円筒状の外装缶47と、外装缶47の一端に接続され外装缶47を閉塞するトップカバー48とを有する。トップカバー48は、外縁部48aが外装缶47の一端にカシメられることにより接続されている。また、トップカバー48は、外縁部48aと正極端子部となる中央部48bとの間に空隙を設けられるとともに、一又は複数の連結部48cが外縁部48aと中央部46bとの間に設けられている。
【0092】
連結部48cは、負極の外装缶47より張り出された導電性を有する張出し部47aが、所定のクリアランスを隔てて重畳されている。これにより電池セル46は、連結部48cを第1の導電体2とし、連結部48cと重畳する張出し部47aを第2の導電体3とする反応部5が構成される。なお、張出し部47aは、外装缶47の一部を用いて構成してもよく、外装缶47と電気的に接続された導電体を用いて構成してもよい。
【0093】
電池セル46は、常態において、正極端子部となる中央部48bが導通され、各種回路に電力を供給する。そして、電池セル46は、水濡れや電池からの液漏れ等により連結部48cと張出し部47aとの間に液体が浸入すると、反応部5において連結部48cが電蝕され、導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1は、液濡れ等により電池セル46の通電を停止することができる。
【0094】
また、スイッチ素子1は、
図31に示すように、ラミネート型電池セル42の充放電経路上に配設されてもよい。スイッチ素子1は、ラミネート型電池セル42の充放電経路をなす正極側リード線43又は筐体6内において正極側リード線43と接続されたヒューズエレメント11等の導電体を第1の導電体2として用い、筐体6内に配設されラミネート型電池セル42の第1の負極側リード線44と接続された電極12と近接配置されることにより反応部5を構成している。
【0095】
ラミネート型電池セル42は、正極側リード線43及び第2の負極側リード線45が充電装置又は電気機器と接続され、常態においてスイッチ素子1を介して通電され、充放電可能とされている。そして、ラミネート型電池セル42は、水濡れ等により液体がスイッチ素子1の筐体6内に浸入すると、反応部5において第1の導電体2が溶断され正極側リード線43の導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1は、液濡れによりラミネート型電池セル42の充放電経路を遮断することができる。