【解決手段】外部回路に接続される第1、第2の導電体2,3と、液体と接触すると状態変化する絶縁材料4を有する反応部5とを備え、絶縁材料4が素子内部に進入した液体と接触して状態変化を起こすことにより第1、第2の導電体間2,3が導通又は開放される。
上記導入口は、上記筐体の表面側の開口部から上記導電性粒子の配列と対向する内部に掛けて拡幅するテーパ状に形成されている請求項12又は13に記載のスイッチ素子。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明が適用されたスイッチ素子の概念図である。
【
図2】
図2は、スイッチ素子の筐体を示す斜視図であり、(A)は天面に導入口が形成された状態、(B)は天面に複数の導入口が形成された状態、(C)は天面及び側面に導入口が形成された状態、(D)は天面及び側面に複数の導入口が形成された状態を示す。
【
図3】
図3は、円筒状の筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、排出口が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、反応部が設けられた位置と同じ高さに排出口が設けられたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図6】
図6は、スリット状の導入口及びスリット状の排出口が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図7】
図7は、導入溝が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す図であり、(A)は断面図、(B)は外観斜視図である。
【
図8】
図8は、複数の導入口及び導入溝が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す図であり、(A)は断面図、(B)は外観斜視図である。
【
図9】
図9(A)は反応部が設けられた内部にかけて漸次狭小化する導入溝が形成された筐体を用いたスイッチ素子を示す断面図であり、
図9(B)は導入溝内を水溶性の絶縁材料で封止したスイッチ素子を示す断面図である。
【
図10】
図10は、導電体及び反応部の位置に応じた高さに導入口を形成した筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、反応部以外の場所に撥水処理部を形成した筐体を用いたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図12】
図12は、導入口を水溶性の絶縁材料でシールした筐体を用いたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、外部回路と接続されたスイッチ素子の回路図であり、(A)は外部回路が開放された状態、(B)は外部回路が導通された状態を示す。
【
図14】
図14は、導電体として一対の金属端子片を用いたスイッチ素子を示す断面図である。
【
図15】
図15は、一対の金属端子片の接続又は離間状態を示す図であり、(A)は絶縁材料が液体と接触する前で一対の金属端子片が接触している状態、(B)は絶縁材料が液体と接触して膨張することにより一対の金属端子片が離間された状態を示す。
【
図16】
図16は、一対の金属端子片の接続又は離間状態を示す図であり、(A)は絶縁材料が液体と接触する前で一対の金属端子片が接触している状態、(B)は絶縁材料が液体と接触して収縮、溶解、軟化等することにより一対の金属端子片が離間された状態を示す。
【
図17】
図17は、一対の金属端子片の接続又は離間状態を示す図であり、(A)は絶縁材料が液体と接触する前で一対の金属端子片が接触している状態、(B)は絶縁材料が液体と接触して溶解、軟化等することにより一対の金属端子片が離間された状態を示す。
【
図18】
図18は、導電体として用いられる、中空状の外部導体と、外部導体内に配置された内部導体とを示す斜視図である。
【
図19】
図19(A)は、外部導体の内面が絶縁材料によって絶縁コートされている状態を示す断面図であり、
図19(B)は、内部導体の外面が絶縁材料によって絶縁コートされている状態を示す断面図であり、
図19(C)は、外部導体と内部導体との間に絶縁材料からなる絶縁フィルムが設けられている状態を示す断面図である。
【
図20】
図20は、導電性粒子を介して導電体となる一対のリード線が接続されたスイッチ素子を示す断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図22】
図22は、導電性粒子を介して導電体となる一対の金属端子片が接続されたスイッチ素子を示す断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図23】
図23は、導電性粒子を介して導電体となる一対のリード線が接続されたスイッチ素子を示す断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図24】
図24は、テーパ状の導入溝を形成したスイッチ素子を示す断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図25】
図25は、液体と接触することにより膨張するシート状の絶縁材料を用いたスイッチ素子を示す図であり、(A)はシート状の絶縁材料が設けられた筐体の上ハーフを示す平面図であり、(B)は導電体となる金属端子片及び導電性粒子が設けられた筐体の下ハーフを示す平面図である。
【
図26】
図26は、
図25に示すスイッチ素子を示す断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図27】
図27は、導電性粒子を介して導電体となる一対のリード線が接続されるスイッチ素子を示す断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図28】
図28は、格子状に配列された導電性粒子を介して導電体となる一対の外部接続電極が接続されたスイッチ素子を示す斜視図である。
【
図29】
図29は、
図28に示すスイッチ素子において液体と接触した導電材料によって導電性粒子が凝集し、導電パスが遮断されたスイッチ素子を示す図であり、(A)は外観斜視図、(B)は筐体内部を示す斜視図である。
【
図31】
図31は、線状に配列された導電性粒子を介して導電体となる一対の外部接続電極が接続されたスイッチ素子を示す斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図32】
図32は、導電体としてリード端子を用いたスイッチ素子を示す図であり、(A)は外観斜視図、(B)は分解斜視図である。
【
図33】
図33は、
図32に示すスイッチ素子の内部を示す斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図34】
図34は、開放されていたリード端子間を導通させるスイッチ素子を示す斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図35】
図35は、開放されていたリード端子間を導通させるスイッチ素子を示す斜視図であり、(A)は外観斜視図、(B)は分解斜視図である。
【
図36】
図36は、
図35に示すスイッチ素子の内部を示す斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図37】
図37は、開放されていたリード端子間を導通させる他のスイッチ素子を示す斜視図であり、(A)は外観斜視図、(B)は分解斜視図である。
【
図38】
図38は、
図37に示すスイッチ素子の内部を示す斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図39】
図39は、絶縁材料の側面に導電層を形成するとともに、液体と接触した絶縁材料が膨張することにより、導電層の両端を断絶するスイッチ素子を示す斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図40】
図40は、
図39に示すスイッチ素子の断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図41】
図41は、導電層を絶縁材料の側面を螺旋状に周回する導電性を有する線材で構成したスイッチ素子の斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図42】
図42は、絶縁材料の側面に形成された断絶されていた導電層が、液体と接触した絶縁材料が膨張することにより接続されるスイッチ素子の斜視図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図43】
図43は、
図42に示すスイッチ素子の断面図であり、(A)は液体の浸入前の状態、(B)は液体の浸入後の状態を示す。
【
図44】
図44は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いた電子部品を示す斜視図である。
【
図45】
図45は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いたバッテリシステムを示す概略構成図である。
【
図46】
図46は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いたバッテリを示す概略構成図である。
【
図47】
図47は、本発明が適用されたスイッチ素子を用いたバッテリシステムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用されたスイッチ素子、電子部品、バッテリシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
[スイッチ素子1]
本発明が適用されたスイッチ素子は、バッテリ回路、警報回路等の外部回路に組み込まれ、水没や液漏れ等の水濡れ状態が生じた場合に、バッテリ回路の遮断や警報回路や保護回路の通電を行うものである。
図1に示すように、スイッチ素子1は、外部回路に接続される第1、第2の導電体2,3と、液体と接触すると状態変化する絶縁材料4を有する反応部5とを備え、絶縁材料4が素子内部に進入した液体と接触して状態変化を起こすことにより第1、第2の導電体2,3間が導通又は開放されるものである。スイッチ素子1は、第1、第2の導電体2,3、及び反応部5が筐体6内に配設されている。
【0014】
[導電体]
第1、第2の導電体2,3は、スイッチ素子1が組み込まれる外部回路の開放端の間に接続されることにより外部回路を導通させる部材であり、例えばリード線や金属端子片等、公知の導電部材を用いることができる。
【0015】
スイッチ素子1は、第1、第2の導電体2,3の接続端が筐体6の外部に引き出され、外部回路の端子部と接続されることにより、当該外部回路と接続可能とされている。また、スイッチ素子1は、第1、第2の導電体2,3が、筐体6内に設けられた絶縁基板に形成され、外部回路の開放端子と接続される外部接続電極上に接続されることにより外部回路と接続されてもよい。
【0016】
スイッチ素子1は、常態において接続された第1、第2の導電体2,3を介して外部回路を導通させ、あるいは第1、第2の導電体2,3が離間することにより開放させており、液体と接触した反応部5の作用によって、第1、第2の導電体2,3が離間あるいは接続されることにより、外部回路を開放又は導通させる。
【0017】
[反応部]
反応部5は、液体と接触することにより絶縁材料4の状態変化を用いて第1、第2の導電体2,3を不可逆的に接続又は離間させるものである。絶縁材料4としては、絶縁性を有し、液体と接触することにより膨張、収縮、軟化、溶解、凝集といった状態変化をする任意の材料を用いることができ、第1、第2の導電体2,3を接続あるいは離間させる方法や第1、第2の導電体2,3や筐体6の形態等に応じて求められる状態変化から、最適な材料を選択することができる。
【0018】
絶縁材料4の候補としては、例えば、寒天,ゼラチンなどの天然ポリマー、セルロース,でんぷんなどの半合成ポリマー、ポリビニルアルコールなどの合成ポリマー等が挙げられる。これらは、液体と接触することにより収縮あるいは溶解し、高分子量になると溶解せず膨張する性質が強くなる。また、絶縁材料4として角砂糖のような水溶性の固形物を用いた場合、液体と接触することにより溶解、あるいは体積が減少する。
【0019】
また、液体としてバッテリセルに充填されたエチレンカーボネート等の電解液を想定し、電解液漏れに対応して作動するスイッチ素子の場合、絶縁材料4としては、ABS、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、あるいはPET、PTT、PEN等の飽和ポリエステルなどを用いることができる。これらの絶縁材料4も、高分子量になると溶解速度が落ち、スイッチ素子1として反応速度が低下する場合もあるため、反応速度を優先する場合は、重合度を調整して用いることが好ましい。
【0020】
[筐体]
スイッチ素子1の筐体6は、各種エンジニアリングプラスチック、セラミックス等の絶縁性を有する部材により形成することができる。スイッチ素子1は、筐体6を設けることにより、第1、第2の導電体2,3及び反応部5を保護することができる。
【0021】
筐体6には、反応部5に液体を導く導入口7が設けられている。スイッチ素子1は、筐体6に設けられた導入口7を介して液体が反応部5へ流入することにより、第1、第2の導電体2,3を不可逆的に接続又は離間させる。
【0022】
筐体6は、例えば
図2(A)に示すように、多面体からなり、一の面に、一の導入口7が設けられている。スイッチ素子1は、外部回路が形成された回路基板に実装されるチップ部品として形成された場合、筐体6の実装面と反対側の天面6aに導入口7が設けられることが好ましい。天面6aに導入口7が設けられることにより、水濡れ状態になると効率的に液体を筐体6内に取り込むとともに反応部5に保持し、第1、第2の導電体2,3を接続又は離間させることができる。もちろん筐体6は、天面6a以外の面、例えば側面6bに導入口7を形成してもよい。また、筐体6は、
図2(B)に示すように、天面6aに複数の導入口7を形成してもよく、あるいは側面6bに複数の導入口7を形成してもよい。筐体6は、複数の導入口7を設けることにより、より速やかに液体を反応部5に導入しやすくすることができる。
【0023】
また、筐体6は、例えば
図2(C)に示すように、多面体からなり、複数の面、例えば天面6aと側面6bに導入口7を設けてもよい。また、筐体6は、
図2(D)に示すように、複数の面にそれぞれ一又は複数の導入口7を形成してもよい。
【0024】
また、筐体6は、円柱状又は角柱状に形成し、導入口7を任意の位置に、任意の個数だけ形成してもよい。
図3は筐体6を円柱状に形成し、全周にわたって複数の導入口7を形成したスイッチ素子1の外観斜視図である。筐体6を円柱状、角柱状に形成することにより、スイッチ素子1の配置に応じた面や角度、液体の浸入経路等に左右されずに導入口7を形成することができる。
【0025】
また、筐体6は、導入口7より浸入した液体を排出する排出口を形成してもよい。
図4は、多面体からなる筐体6の天面6aに導入口7を形成するとともに、側面6bに液体を排出する排出口8を形成したスイッチ素子1を示す外観斜視図である。排出口8を形成することにより、液体が多量に筐体6内に浸入することによる冷却等の影響で反応部5の反応速度が低下することを防止できる。排出口は、一又は複数形成することができる。
【0026】
なお、排出口8は、導入口7よりも小さく形成されることが好ましい。排出口8を相対的に小さくすることで、筐体6内に浸入した液体が過剰に排出され、反応部5の反応が遅延することを防止できる。
【0027】
また、排出口8は、筐体6の反応部5が設けられた位置と同じ高さ、又は反応部5が設けられた位置よりも上方に設けられていることが好ましい。例えば、
図5に示すように、筐体6を多面形状に形成するとともに、回路基板に実装されるチップ部品として形成された場合、排出口8は、筐体6の側面6bの反応部5が設けられた位置と同じ高さ又は上方に設けられることが好ましい。これにより、筐体6内に浸入した液体は、反応部5より上方に浸入した分が排水され、反応部5には残留するため、反応部5の作用を確保するとともに、液体が多量に筐体6内に浸入することによる冷却等の影響で反応部5の反応速度が低下することを防止できる。
【0028】
なお、液体を導入する導入口7及び液体を排出する排出口8は、円形、矩形等、その形状は問わない。また、導入口7及び排出口8は、
図6に示すように、スリット状に形成してもよい。導入口7をスリット状に形成することにより、より広範に液体を導入させ、速やかに反応部5を反応させて第1、第2の導電体2,3間を導通又は開放させることができる。また、排出口8をスリット状に形成することにより、筐体6内に浸入した余剰の液体を速やかに排水することができ、液体が多量に筐体6内に浸入することによる冷却等の影響で反応部5の反応速度が低下することを防止できる。
【0029】
また、筐体6は、天面6aにスリット状の導入口7を設けるとともに、反応部5へ液体を導く導入溝9を設けてもよい。
図7(A)に示すように、導入溝9は、溝壁9aが天面6aに形成された導入口7から反応部5の近傍まで延在される。これにより、筐体6は、導入口7に浸入した液体が反応部5以外の場所に流入することなく、確実に反応部5へ導くことができる。また、筐体6は、導入口7に浸入した液体が筐体6内に散逸し、反応部5による第1、第2の導電体2,3の接続又は離間が遅延することを防止することができる。
【0030】
また、筐体6は、
図7(B)に示すように、導入溝9を側面6bまで延ばし、側面6bに形成された排出口8と連続させてもよい。これにより、筐体6は、導入口7から浸入した液体を効率よく反応部5に導くとともに、過剰な液体を効率よく排出口8から排水することができる。
【0031】
なお、
図8(A)(B)に示すように、導入口7及び導入溝9は、複数形成してもよい。導入溝9を複数形成することにより、反応部5の全幅にわたって液体を導くことができる。
【0032】
また、
図9(A)に示すように、スイッチ素子1は、天面6aに臨む導入口7の開口部から反応部5が設けられた内部にかけて導入溝9を漸次狭小化させてもよい。導入溝9を反応部5に近づくにつれて狭小化することにより、導入口7の開口部から浸入した液体を、毛細管現象によって効率よく反応部5に導くことができる。
【0033】
また、
図9(B)に示すように、スイッチ素子1は、導入溝9内に液体と接触することにより溶解する絶縁材料4によって封止してもよい。導入溝9を水溶性の絶縁材料4で閉塞することにより、スイッチ素子1を作動させるべき水濡れ状態以外では、少量の液体を弾いて筐体6内に浸入させないことから、誤作動を防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。
【0034】
また、スイッチ素子1は、
図10に示すように、筐体6に反応部5の位置に応じて導入口7、又は導入口7及び導入溝9を形成してもよい。スイッチ素子1は、例えば
図14に示す第1、第2の導電体2,3及び反応部5の構成例のように、第1、第2の金属端子片21,22及び液体と接触することにより膨張する絶縁材料4を筐体6内に配置するとともに、側面6bの絶縁材料4の位置に対応した高さに、導入口7、又は導入口7及び導入溝9を形成してもよい。
【0035】
導入口7等が反応部5の位置に応じた位置に形成されることにより、スイッチ素子1は、効率良く多量の液体を導入口7から第1、第2の導電体2,3及び反応部5へ導くことができ、反応部5の反応を効率良く行い、第1、第2の導電体2,3の接続又は離間を促進させることができる。
【0036】
また、スイッチ素子1は、反応部5以外の場所に撥水処理を施し、液体を反応部5に誘導してもよい。例えば
図11に示すように、スイッチ素子1は、導入口7、又は導入口7及び導入溝9の溝壁9aに撥水処理が施された撥水処理部10を形成してもよい。これによりスイッチ素子1は、導入口5より浸入した液体を効率よく反応部5に導くことができる。また、導入口7や導入溝9に撥水処理を施すことにより、スイッチ素子1を作動させるべき水濡れ状態以外では、少量の液体を弾いて筐体6内に浸入させないことから、誤作動を防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。
【0037】
また、スイッチ素子1は、筐体6の内壁に撥水処理を施してもよい。筐体6の内壁に撥水処理を施すことによっても、筐体6内に浸入した液体を効率良く反応部5に導き、速やかに反応部5を作用させることができる。
【0038】
また、スイッチ素子1は、
図12に示すように、筐体6の導入口7を液体と接触することにより溶解する絶縁材料4によって塞いでもよい。例えば、スイッチ素子1は、液溶解性の絶縁材料4からなるシート体11を、導入口7が開口された筐体表面に貼り付けることにより塞いでもよい。
【0039】
シート体11を筐体6の天面6aに貼り付け、導入口7を閉塞することにより、スイッチ素子1は、スイッチ素子1を作動させるほどではない少量の液体が導入口7に浸入することを防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。なお、スイッチ素子1は、絶縁材料4のシート体11を貼付する他にも、絶縁材料4の塗布、導入口7内への充填等によって導入口7を閉塞してもよい。スイッチ素子1は、絶縁材料4の厚みや成分を調整することにより、作動条件となる導入口7内への液体の浸入を調整することができる。
【0040】
同様に、スイッチ素子1は、
図9(B)に示すように、導入溝9を液体で溶解する液溶解性の絶縁材料4で閉塞してもよい。導入溝9を液溶解性の絶縁材料4で閉塞することによっても、少量の液体を弾いて筐体6内に浸入させず、誤作動を防止することができる。
【0041】
[回路構成]
図13に、スイッチ素子1の回路構成例を示す。スイッチ素子1は、第1、第2の導電体2,3が外部回路12の一方の開放端12a及び他方の開放端12bと接続されるとともに、作動前において外部回路12を開放させている(
図13(A))。そして、スイッチ素子1は、水濡れ状態において筐体6内に液体が浸入すると、反応部5の絶縁材料4が状態変化し、第1、第2の導電体2,3が接続されることにより導通され、外部回路12の各開放端12a,12b間を導通させる(
図13(B))。
【0042】
したがって、例えば外部回路12として、警報を出力する警報回路、バッテリの充放電経路を遮断する保護回路、あるいはバックアップ回路を接続することにより、水濡れや電池からの液漏れ等の異常に対し、これら外部回路を作動させることができる。
【0043】
反対に、スイッチ素子1は、作動前において外部回路12を接続(
図13(B))し、水濡れ状態において筐体6内に液体が浸入すると、反応部5の絶縁材料4が状態変化し、第1、第2の導電体2,3が離間されることにより、外部回路12の各開放端12a,12bを開放(
図13(A))させてもよい。
【0044】
[スイッチ素子の変形例1]
次いで、第1、第2の導電体2,3及び反応部5の具体的な構成例について説明する。
図14は、スイッチ素子の一例を示す断面図である。
図14に示すスイッチ素子20では、第1、第2の導電体2,3として、第1、第2の金属端子片21,22を用いる。第1、第2の金属端子片21,22は、それぞれ筐体6内に設けられた外部接続電極23a、23bと接続されるとともに、互いに接触する接点部21a,22aとを有し、常態において接点部21aが、接点部22aの上から接触するように付勢されている。外部接続電極23aは外部回路の一方の開放端と接続され、外部接続電極23bは外部回路の他方の開放端と接続されている。これにより、当該外部回路は、通常時において第1、第2の金属端子片21,22を介して導通されている。
【0045】
また、第1の金属端子片21の下部には、液体と接触すると状態変化する絶縁材料4を有する反応部5が配設されている。スイッチ素子20の反応部5は、液体と接触することにより膨張する絶縁材料4が用いられる。スイッチ素子20は、
図15(A)に示すように、絶縁材料4が第1の金属端子片21の下部に配置され、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、第1の金属端子片21の接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aと接触され、外部回路を通電させている。そして、スイッチ素子1は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図15(B)に示すように、反応部5の絶縁材料4が液体と接触することにより膨張し、第1の金属端子片21を押し上げる。これにより、第1の金属端子片21の接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから離間され、外部回路が遮断される。
【0046】
なお、スイッチ素子20は、液体と接触することにより収縮又は溶解する絶縁材料4を用いて、第1、第2の金属端子片21,22を常時離間させ、絶縁材料4の収縮又は溶解により第1、第2の金属端子片21,22を接続してもよい。この場合、第1、第2の金属端子片21,22は常時接触する方向に付勢され、絶縁材料4が第1の金属端子片21の下部に配置されることにより、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、第1の金属端子片21の接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから離間されている。そして、筐体6内に液体が浸入すると絶縁材料4が収縮又は溶解することにより、第1、第2の金属端子片21,22が弾性復帰し、各接点部21a,22aが接触される。
【0047】
また、
図16に示すように、第1の金属端子片21は、接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから常時離間する方向に付勢されるとともに、常態において絶縁材料4に押圧されることによって第2の金属端子片22と接触されるようにしてもよい。絶縁材料4は、液体と接触することにより収縮、溶解、軟化等する材料が用いられ、第1の金属端子片21の上方に配置される。
【0048】
図16(A)に示すように、スイッチ素子20は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、第1の金属端子片21が絶縁材料4に押圧されることにより、接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aと接触され、外部回路を通電させている。そして、スイッチ素子20は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図16(B)に示すように、反応部5の絶縁材料4が液体と接触することにより収縮、溶解あるいは軟化等、第1の金属端子片21の内部応力に抗しえない性状に変化し、第1の金属端子片21が第2の金属端子片22と離間する方向に弾性復帰する。これにより、第1の金属端子片21の接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから離間され、外部回路が遮断される。
【0049】
なお、スイッチ素子20は、液体と接触することにより膨張する絶縁材料4を用いて、離間している第1、第2の金属端子片21,22を接続させてもよい。この場合、絶縁材料4は第1の金属端子片21の上部に配置される。また、第1、第2の金属端子片21,22は常時離間する方向に付勢され、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、第1の金属端子片21の接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから離間されている。そして、筐体6内に液体が浸入すると絶縁材料4が膨張することにより、第1の金属端子片21が絶縁材料4によって押圧され、接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aに接触される。
【0050】
また、
図17に示すように、第1の金属端子片21は、接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから離間する方向に付勢されるとともに、常態において絶縁材料4によって第2の金属端子片22と接触された状態で固着されるようにしてもよい。絶縁材料4は、常態において接着性を有するとともに液体と接触することにより溶解する材料が用いられ、第1、第2の金属端子片21,22の各接点部21a,22a同士を固着する。
【0051】
図17(A)に示すように、スイッチ素子20は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、第1の金属端子片21が絶縁材料4に固着されることにより、接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aと接触され、外部回路を通電させている。そして、スイッチ素子20は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図17(B)に示すように、反応部5の絶縁材料4が液体と接触することにより溶解あるいは軟化等、第1の金属端子片21の内部応力に抗しえない性状に変化し、第1の金属端子片21が第2の金属端子片22と離間する方向に弾性復帰する。これにより、第1の金属端子片21の接点部21aが第2の金属端子片22の接点部22aから離間され、外部回路が遮断される。
【0052】
[スイッチ素子の変形例2]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、第2の導電体3及び反応部5を第1の導電体2内に配置してもよい。
図18、
図19に示すスイッチ素子30は、第1の導電体2が、一又は複数の液体の導入口31が形成された中空状の外部導体32であり、第2の導電体3が、外部導体32の中空の内部に配置された内部導体33であり、外部導体32の内壁又は内部導体33の表面には絶縁材料4が被覆されている。外部導体32は、適宜リード線等を介して外部回路の一方の開放端と接続され、内部導体33は、適宜リード線等を介して外部回路の他方の開放端と接続されている。外部導体32は、例えば円筒状導体であり、外周面に液体が浸入する導入口31が一又は複数形成されている。なお、外部導体32は、円筒状の他、中空の円柱状に形成されてもよい。
【0053】
内部導体33は、外部導体32の内部に配置されるあらゆる形態をとり得、
図18に示す円柱状の他、角柱状、シートの巻装体状、ブロック体状等でもよい。また、内部導体33は、外部導体32の内部において、移動可能に保持されている。
【0054】
図19(A)に示すように、スイッチ素子30は、外部導体32の内面が、液体と接触することにより溶解する絶縁材料4によって絶縁コートされ、これにより外部導体32と内部導体33とが常態において絶縁され、外部回路を開放させている。そして、スイッチ素子30は、水濡れや電池からの液漏れ等の異常時に、筐体6内に浸入した液体が外部導体32の導入口31内に浸入することにより、絶縁材料4が溶解し、外部導体32と内部導体33とが電気的に接続され、これにより外部回路を通電させることができる。
【0055】
なお、スイッチ素子30は、
図19(B)に示すように、内部導体33の外面に液体と接触することにより溶解する絶縁材料4を塗布することにより外部導体32と絶縁させてもよい。絶縁材料4は、外部導体32の導入口31より浸入した液体と接触することにより溶解し、第1の導電体2と第2の導電体3とが電気的に接続可能となる。
【0056】
また、スイッチ素子30は、
図19(C)に示すように、外部導体32と内部導体33との間に、液体と接触することにより溶解する絶縁材料4からなる絶縁フィルム34を介在させてもよい。絶縁フィルム34は、少なくとも内部導体33を外部導体32の内面から遮蔽する大きさ、形状を有し、常態において外部導体32と内部導体33とを絶縁している。そして、絶縁フィルム34は、水濡れや電池からの液漏れ等の異常時に、外部導体32の導入口31を介して浸入した液体と接触することにより溶解し、外部導体32と内部導体33とが電気的に接続可能となる。
【0057】
なお、スイッチ素子30は、外部導体32を筐体6として用いてもよく、また、この場合、外部導体32は、外周面を絶縁材料によってコーティングされていることが好ましい。
【0058】
[スイッチ素子の変形例3]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、
図20、
図21に示すように、導電性粒子41を介して第1、第2の導電体2,3を接続するとともに、反応部5によって導電性粒子41を介した導電パスを遮断してもよい。
図20、
図21に示すスイッチ素子40は、一又は複数の液体の導入口7が形成された筐体6を有し、反応部5として、液体と接触することにより溶解する絶縁材料4が筐体6の導入口7が開口された内壁に設けられ、絶縁材料4には、導電性粒子41が固着、配列されている。筐体6は、筒状に形成され、両端から第1、第2の導電体2,3となるリード線42,43が導出されている。また、導入口7は、リード線42,43が設けられていない略中央部に形成され、筐体6の周方向に亘ってスリット状に形成されてもよい。
【0059】
また、スイッチ素子40は、筐体6内においてリード線42,43が離間されるとともに、絶縁材料4に固着された導電性粒子41がリード線42,43間にわたって連続することにより導通されている。また、導電性粒子41の配列上には導入口7が形成されている。
【0060】
第1、第2の導電体2,3となるリード線42,43は、筐体6から外部に引き出されるとともに、それぞれ外部回路の接続端と接続される。
【0061】
そして、スイッチ素子40は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、
図20(A)に示すように、リード線42,43が絶縁材料4に固着された導電性粒子41からなる導電パスを介して導通され、外部回路を通電させている。そして、スイッチ素子40は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図20(B)に示すように、反応部5の絶縁材料4が液体と接触することにより溶解、収縮等、形質変位することにより配列されていた導電性粒子41が凝集し、導電性粒子41の配列からなる導電パスが遮断される。これにより、リード線42,43間が切断され、外部回路が遮断される。
【0062】
なお、スイッチ素子40は、第1、第2の導電体2,3として、筐体6内に支持された金属端子片や絶縁基板に形成された電極パターンからなる外部接続電極を用いてもよい。
図22に示すスイッチ素子40は、第1、第2の導電体2,3として、導電性粒子41によって接続された一対の金属端子片44,45が設けられている。金属端子片44,45は、それぞれ筐体6の実装面から外方に臨まされた外部接続電極46,47と接続されている。スイッチ素子40は、外部接続電極46,47が臨まされた面が外部回路基板への実装面となり、外部回路に形成された電極と外部接続電極46,47が接続される。
【0063】
筐体6は、金属端子片44,45が設けられていない天面略中央部に導入口7が設けられるとともに、液体と接触することにより溶解する絶縁材料4が天面内側に形成され、導電性粒子41が接着されている。また、
図22(A)に示すように、スイッチ素子40は、筐体6内において金属端子片44,45が離間されるとともに、絶縁材料4に固着された導電性粒子41が金属端子片44,45間にわたって連続することにより導通されている。また、導電性粒子41の配列上には導入口7が形成されている。
【0064】
導入口7の下方には、配列から脱落した導電性粒子41が収容される空間48が設けられている。そして
図22(B)に示すように、スイッチ素子40は、導入口7から液体が浸入すると、絶縁材料4が溶融することにより、導電性粒子41が空間48に脱落する。これにより、導電性粒子41の配列からなる導電パスが遮断され、金属端子片44,45間が遮断される。
【0065】
[スイッチ素子の変形例4]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、筐体6の導入口7に、絶縁材料4が充填されるとともに導電性粒子51が配列された部位と対峙する導入溝9を設けてもよい。
図23(A)(B)に示すスイッチ素子50は、一面にスリット状に開口された導入口7が形成された筐体6と、導入口7から筐体6内に延在された導入溝9と、筐体6内に離間して配置された第1、第2の導電体2,3となるリード線52,53と、筐体6内に配列されることにより連続されリード線52,53を導通させる導電性粒子51と、導入溝9内に充填され、液体と触れることにより膨張して導電性粒子51の配列を遮断する絶縁材料4とを備える。
【0066】
スイッチ素子50は、導入溝9の溝壁9aが導電性粒子51の配列の近傍まで延在されて対峙されている。これにより、筐体6は、導入溝9に液体が浸入すると、絶縁材料4が膨張し導電性粒子51の配列を押圧することができ、また、膨張した絶縁材料4が筐体6内に散逸することなく、確実に絶縁材料4によって導電性粒子51の配列を遮断することができる。また、スイッチ素子50は、導入溝9の導電性粒子51の配列を挟んだ反対側には、導電性粒子51が押し出される空間54が形成されている。
【0067】
このスイッチ素子50は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、リード線52,53が筐体6内に配列、固定された導電性粒子51からなる導電パスを介して導通され、外部回路を通電させている。そして、スイッチ素子50は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図23(B)に示すように、導入口7から導入溝9に浸入した液体が絶縁材料4と接触することにより膨張し、導電性粒子51が空間54側へ押し出され導電パスが遮断される。これにより、リード線52,53間が切断され、外部回路が遮断される。
【0068】
なお、スイッチ素子50は、第1、第2の導電体2,3として、リード線52,53以外にも、金属端子片等、公知の導電体を用いることができる。
【0069】
なお、スイッチ素子50は、膨張した絶縁材料4よりも網目の小さいメッシュ部材55を筐体6の表面に配置することによって、導入口7を閉塞するようにしてもよい。これにより、スイッチ素子1は、導入溝9に充填された絶縁材料4が導入口7の開口部から浸入した液体と接触し、膨張した際に、メッシュ部材55によって閉塞された導入口7から筐体外部へ膨張、排出されることがなく、筐体6の内部に向かって膨張し、確実に導電性粒子51を空間54側へ押し出し、リード線52,53間を遮断することができる。
【0070】
また、スイッチ素子50は、
図24(A)に示すように、導入溝9を、導入口7の開口部から導電性粒子51が配列された内部にかけて漸次拡幅するテーパ状に形成してもよい。導入溝9を導電性粒子51の配列に近づくにつれて漸次拡幅することにより、
図24(B)に示すように、導入溝9に充填された絶縁材料4が導入口7から浸入した液体と接触することにより、より膨張しやすくするとともに、膨張した際に幅広な筐体6の内部に向かって膨張し、確実に導電性粒子51を空間54側へ押し出し、リード線52,53間を遮断することができる。
【0071】
また、スイッチ素子50は、導入溝9を導入口7の開口部から筐体6の内部にかけて拡幅するように形成することにより、スイッチ素子50を作動させるほどではない少量の液体が導入溝9内に浸入することを防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。
【0072】
また、スイッチ素子50は、筐体6をセラミック製にしてもよい。これにより、筐体6の強度が向上され、絶縁材料4の膨張に伴って膨張圧力が掛かった場合にも筐体6が変形することがない。なお、スイッチ素子50は、筐体6をセラミック製にする他、筐体6をセラミックコーティングすることにより強度を向上させてもよい。また、スイッチ素子50は、筐体6セラミックあるいはセラミックコート材として、多孔質材を用いることにより、より液体を取り込みやすくできる。
【0073】
また、
図25、
図26に示すように、スイッチ素子50は、導入口7と導電性粒子51の配列との間にシート状の絶縁材料4を配置してもよい。
図25、
図26に示すスイッチ素子50は、一面にスリット状に開口された導入口7が形成された筐体6と、導入口7から筐体内に延在された導入溝9と、筐体6内に離間して配置された第1、第2の導電体2,3となる金属端子片56,57と、筐体6内に配列されることにより連続され金属端子片56,57を導通させる導電性粒子51と、導入口7と導電性粒子51の配列との間に配設され、液体と触れることにより膨張して導電性粒子51の配列を遮断する絶縁材料4のシート体58とを備える。
【0074】
筐体6は、上下一対のハーフ6c、6dが付き合わされることにより形成される。上ハーフ6cは、スリット状の導入口7及び導入溝9が形成されるとともに、下ハーフ6dと付き合わされる内面側に、液体と接触することにより膨張する絶縁材料4のシート体58が貼り合わされている。下ハーフ6dには、金属端子片56,57及び導電性粒子51が配設されるとともに、金属端子片56,57の上ハーフ6cと反対側には、導電性粒子51が押し出される空間59が形成されている。金属端子片56,57は、離間されて設けられ、筐体内に配列された導電性粒子51を介して導通されている。
【0075】
スイッチ素子50は、上下ハーフ6c,6dが付き合わされることにより、導入口7と導電性粒子51の配列との間には、絶縁材料4のシート体58が配置される。
【0076】
このスイッチ素子50は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、金属端子片56,57が筐体6内に配列、固定された導電性粒子51からなる導電パスを介して導通され、外部回路を通電させている。そして、スイッチ素子50は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図26(B)に示すように、導入口7から導入溝9に浸入した液体がシート体58と接触することにより絶縁材料4が膨張し、導電性粒子51が金属端子片56,57間から空間59側へ押し出され導電パスが遮断される。これにより、金属端子片56,57間が切断され、外部回路が遮断される。
【0077】
ここで、スイッチ素子50は、金属端子片56,57を非接触に並列するよう配置するとともに、導電性粒子51を金属端子片56,57の間にわたって配列させてもよい。例えば、
図25(B)に示すように、金属端子片56,57は、櫛歯状に形成されるとともに、互いに櫛歯部56a,57aが空間59上に張り出すとともに非接触に咬合するよう配置され、導電性粒子51は、櫛歯部56a,57aの間に配列させてもよい。この場合、スリット状に形成された導入口7及び導入溝9は、櫛歯部56a,57aの間に配列された導電性粒子51に沿って形成することが好ましい。
【0078】
[スイッチ素子の変形例5]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、導入溝9内に充填した導電性粒子61を押し出すことにより第1、第2の導電体2,3を導通させてもよい。
図27に示すスイッチ素子60は、一面に導入口7が形成された筐体6と、導入口7から筐体内に延在された導入溝9と、導入溝9内に充填された導電性粒子61と、導入溝9と連続され、導入溝9内に充填された導電性粒子61が押し出される空間62と、空間62内に離間して配置された第1、第2の導電体2,3となるリード線63,64と、導入溝9の導入口7側に充填され、液体と触れることにより膨張する絶縁材料4とを有する。
【0079】
導入溝9は、導入口7側に液体と触れることにより膨張する絶縁材料4が充填され、空間62側に導電性粒子61が充填されている。空間62は、導入溝9と連続されるとともに、
図27(A)に示すように、リード線63,64の一端と接続された導電性粒子65の配列がそれぞれ離間して設けられている。また、空間62は、導電性粒子61が単層配列可能な高さを有し、導電性粒子61が押し出されると連続するように配列される。
【0080】
このスイッチ素子60は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、リード線63,64及び導電性粒子65の配列が離間されることにより外部回路を遮断させている。そして、スイッチ素子60は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、
図27(B)に示すように、導入口7から導入溝9に浸入した液体が絶縁材料4と接触することにより絶縁材料4が膨張し、導電性粒子61が空間62へ押し出される。これにより、空間62において導電性粒子61がリード線63,64と連続する導電性粒子65の配列と連続し、リード線63,64間にわたる導電パスが形成され、外部回路が導通される。
【0081】
なお、
図27に示すスイッチ素子60は、空間62内に導電性粒子65を配列させる他にも、リード線63,64を導入溝9の下方に延在させ、リード線63,64と導電性粒子61とを直接接触させ、導通させるようにしてもよい。
【0082】
また、スイッチ素子60においても、導入溝9を筐体6の内部に向かって拡幅するテーパ状に形成してもよく、また、膨張した絶縁材料4の粒径よりも網目の小さなメッシュ部材によって閉塞するようにしてもよい。これにより、スイッチ素子60は、導入溝9に充填された絶縁材料4が導入口7の開口部から浸入した液体と接触し、膨張した際に、導入口7から筐体外部へ膨張、排出されることがなく、筐体6の内部に向かって膨張し、確実に導電性粒子61を空間62側へ押し出し、リード線63,64間を導通することができる。
【0083】
さらに、
図27に示すように、スイッチ素子60においても、液体と接触することにより溶解する絶縁材料4のシート体66によって導入口7を塞いでもよい。これによりスイッチ素子60は、スイッチ素子60を作動させるほどではない少量の液体が導入口7に浸入することを防止し、センサーとしての信頼性を確保することもできる。なお、スイッチ素子60は、絶縁材料4のシート体66を貼付する他にも、絶縁材料4の塗布、導入口7内への充填等によって導入口7を閉塞してもよい。スイッチ素子60は、絶縁材料4の厚みや成分を調整することにより、作動条件となる導入口7内への液体の浸入を調整することができる。
【0084】
[スイッチ素子の変形例6]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、導電性粒子71を格子状に配列するとともに、絶縁材料4の状態変化に応じて導電性粒子71の配列を切断することにより第1、第2の導電体2,3間を遮断させてもよい。
図28に示すスイッチ素子70は、液体が浸入する複数の導入口7が格子状に形成された筐体6を有し、筐体6内には、液体と接触することにより膨張、収縮又は溶解する絶縁材料4が、筐体6内の全面にわたって設けられるとともに、絶縁材料4によって導電性粒子71が固定、配列されている。また、筐体6には、第1、第2の導電体2,3となる外部接続電極72,73が筐体6の相対向する角部付近に離間して設けられ、筐体6の上下面に臨まされている。導電性粒子71は、隣接する導電性粒子71と密接した状態で絶縁材料4によって格子状に固定、配列されることにより、外部接続電極72,73間にわたる導電パスを形成し、外部接続電極72,73を導通させている。
【0085】
なお、スイッチ素子70は、導電性粒子71をより確実に、所定の位置に固定、配列するために、接着剤あるいは粘着剤を介して絶縁材料4に固定してもよい。あるいは、スイッチ素子70は、絶縁材料4に導電性粒子71の形状に応じて窪みを形成し、当該窪みによって所定の位置に固定、配列してもよい。
【0086】
また、スイッチ素子70は、筐体6内に、導電性粒子71の移動を規制する固定部74が設けられている。固定部74は、絶縁材料4の状態変化が生じた際の導電性粒子71の移動を規制することにより外部接続電極72,73間にわたる絶縁性を確保するものであり、絶縁材料によって形成され、例えば十字状の立壁が所定の間隔で複数設けられてなる。
【0087】
このスイッチ素子70は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、離間して設けられた外部接続電極72,73間が、絶縁材料4によって格子状に固定、配列された導電性粒子71を介して連続されることにより、外部回路を導通させている。そして、スイッチ素子70は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口7から筐体6内に液体が浸入すると、浸入した液体が絶縁材料4と接触することにより状態変化を起し、格子状に配列されていた導電性粒子71の導電パスが遮断される。例えば
図29に示すように、スイッチ素子70は、絶縁材料4が液体と接触することにより収縮すると、当該収縮箇所に固定されていた導電性粒子71が凝集することにより、導電性粒子71の導電パスが遮断される。したがって、スイッチ素子70は、外部接続電極72,73間が開放されることにより、外部回路を遮断することができる。
【0088】
ここで、スイッチ素子70は、導入口7が筐体6の一面に格子状に形成されるとともに、絶縁材料4が筐体6の全面にわたって設けられ導電性粒子71が格子状に配列されることにより、
図29(A)に示すように、液体の浸入箇所Aに応じた箇所の絶縁材料4が状態変化を起し、導電性粒子71が凝集等する。このとき、
図29(B)、
図30に示すように、スイッチ素子70は、固定部74によって導電性粒子71の自由な移動が規制されているため、導電性粒子71の凝集体が他の配列粒子と接触することにより新たな導電パスが形成されることを防止することができ、絶縁性を確保することができる。また、スイッチ素子70は、液体の浸入箇所Aに応じた箇所の絶縁材料4が状態変化を起して導電性粒子71による導電パスが切断されることから、筐体6のいずれの箇所に液体が浸入しても、その浸入箇所を検出することができる。
【0089】
また、スイッチ素子70は、導電性粒子71を線状に配列するとともに、絶縁材料4の状態変化に応じて導電性粒子71の配列を切断することにより外部接続電極72,73間を遮断させてもよい。
図31に示すスイッチ素子70は、液体が浸入する複数の導入口7が格子状に形成された筐体6を有し、筐体6内には、液体と接触することにより膨張、収縮又は溶解する絶縁材料4が、筐体6内の全面にわたって設けられるとともに、絶縁材料4によって導電性粒子71が固定、配列されている。また、筐体6には、外部接続電極72,73が筐体6の相対向する角部付近に離間して設けられ、筐体6の上下面に臨まされている。絶縁材料4によって固定、配列された導電性粒子71は、線状に配列されることにより、外部接続電極72,73間にわたる導電パスを形成し、外部接続電極72,73を導通させている。
【0090】
なお、
図31に示すスイッチ素子70においても、導電性粒子71をより確実に、所定の位置に固定、配列するために、接着剤あるいは粘着剤を介して絶縁材料4に固定してもよい。あるいは、スイッチ素子70は、絶縁材料4に導電性粒子71の形状に応じて窪みを形成し、当該窪みによって所定の位置に固定、配列してもよい。
【0091】
このとき、スイッチ素子70は、導電性粒子71が蛇行するように配列されることにより、筐体6の全面にわたって広範囲に配列されることが好ましい。また、スイッチ素子70は、筐体6内に、導電性粒子71の移動を規制する上述した固定部74が所定の間隔で複数設けられている。
【0092】
このスイッチ素子70は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、
図31(A)に示すように、離間して設けられた外部接続電極72,73間が、絶縁材料4によって線状に固定、配列された導電性粒子71を介して連続されることにより、外部回路を導通させている。そして、スイッチ素子70は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口7から筐体6内に液体が浸入すると、浸入した液体が絶縁材料4と接触することにより状態変化を起し、線状に配列されていた導電性粒子71の導電パスが遮断される。
図31(B)に示すように、スイッチ素子70は、絶縁材料4が液体と接触することにより収縮すると、当該収縮箇所に固定されていた導電性粒子71が凝集することにより、導電性粒子71の導電パスが遮断される。したがって、スイッチ素子70は、外部接続電極72,73間が開放されることにより、外部回路を遮断することができる。
【0093】
ここで、スイッチ素子70は、導入口7が筐体6の一面に格子状に形成されるとともに、線状に配列された導電性粒子71が筐体6の全面にわたって設けられることにより、液体の浸入箇所に応じた箇所の絶縁材料4が状態変化を起し、当該箇所の導電性粒子71が凝集等する。このとき、スイッチ素子70は、固定部74によって導電性粒子71の自由な移動が規制されているため、導電性粒子71の凝集体が他の配列粒子と接触することにより新たな導電パスが形成されることを防止することができ、絶縁性を確保することができる。また、スイッチ素子70は、液体の浸入箇所Aに応じた箇所の絶縁材料4が状態変化を起して導電性粒子71による導電パスが切断されることから、筐体6のいずれの箇所に液体が浸入しても、その浸入箇所を検出することができる。
【0094】
[スイッチ素子の変形例7]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、第1、第2の導電体2,3としてリード端子82,83を用いるとともに、絶縁材料に固定された導電性粒子81を介して導通又は開放され、絶縁材料の状態変化に応じて開放又は導通するようにしてもよい。
図32(A)(B)に示すスイッチ素子80は、第1、第2の導電体2,3として、筐体6の内外にわたって配設されたリード端子82,83が用いられている。リード端子82,83は、筐体6内において互いに離間された状態で固定されるとともに、筐体6内に充填された導電性粒子81を介して導通されている。
【0095】
筐体6は、液体が浸入する1又は複数の導入口7が形成されている。筐体6内には、液体と接触することにより収縮又は溶解する絶縁材料4、及びこの絶縁材料4によって固定された導電性粒子81が配設されている。導電性粒子81は、筐体6内に充填された絶縁材料4によって所定の位置に固定されることにより、離間して支持されているリード端子82,83間に充填、配列されている。これにより、スイッチ素子80は、リード端子82,83間を導通させている。
【0096】
このスイッチ素子80は、筐体6内に液体が浸入する前の状態においては、
図32に示すように、離間して設けられたリード端子82,83間が、絶縁材料4によって固定、配列された導電性粒子81を介して連続されることにより、外部回路を導通させている。そして、スイッチ素子80は、
図33(A)に示すように、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口7から筐体6内に液体が浸入すると、
図33(B)に示すように、浸入した液体が絶縁材料4と接触することにより収縮又は溶解し、リード端子82,83間において配列されていた導電性粒子81が凝集される。これにより、スイッチ素子80は、リード端子82,83間に配列、固定されていた導電性粒子81が凝集することにより、導電性粒子81の導電パスが遮断される。したがって、スイッチ素子80は、リード端子82,83間が開放されることにより、外部回路を遮断することができる。
【0097】
また、スイッチ素子80は、液体と接触することにより膨張、収縮又は溶解する絶縁材料4を用いて、開放されていたリード端子82,83間を導通させてもよい。
図34(A)に示すスイッチ素子80は、絶縁材料4によって導電性粒子81がリード端子82,83間以外の領域に凝集した状態で固定され、常態においてリード端子82,83間が開放されている。
【0098】
そして、スイッチ素子80は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口7から筐体6内に液体が浸入すると、浸入した液体が絶縁材料4と接触することにより膨張、収縮又は溶解し、リード端子82,83間以外の領域において凝集固定されていた導電性粒子81が筐体6内に拡散される。これにより
図34(B)に示すように、スイッチ素子80は、リード端子82,83間に多数の導電性粒子81が入り込み、導電性粒子81の導電パスが形成される。したがって、スイッチ素子80は、リード端子82,83間が接続されることにより、外部回路を導通することができる。
【0099】
[スイッチ素子の変形例8]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、筐体6の導入口7を導電性粒子91の凝集位置に応じて形成してもよい。
図35に示すスイッチ素子90は、スイッチ素子80と同様に、第1、第2の導電体2,3としてリード端子92,93を用いるとともに、導電性粒子91を介して開放されていたリード端子92,93間を導通するものである。
【0100】
スイッチ素子90は、リード端子92,93が筐体6内において互いに離間されるとともに、液体と接触することにより溶解する絶縁材料4によって導電性粒子91がリード端子92,93間以外の領域に凝集した状態で固定され、常態においてリード端子92,93間が開放されている。
【0101】
スイッチ素子90の筐体6は、液体が浸入するスリット状の導入口7が形成されている。導入口7は、リード端子92,93間の導電性粒子91の凝集位置に応じた位置にスリット状に形成されている。具体的に、スイッチ素子90は、リード端子92,93が筐体6内において相対向して所定の間隔を隔てて支持され、導電性粒子91が水溶性の絶縁材料4によってリード端子92,93及びこれらの間隙を挟んで対向する位置に凝集固定されている。そして
図35(B)に示すように、スイッチ素子90は、筐体6に、リード端子92,93の間隙と交差するスリット状の導入口7が形成されている。絶縁材料4は、筐体6内に全体的に充填され、導電性粒子91を所定の位置に凝集固定している。
【0102】
図36(A)に示すように、スイッチ素子90は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口7から筐体6内に液体が浸入すると、浸入した液体がリード端子92,93の間隙を中心に絶縁材料4を溶解させる。これにより
図36(B)に示すように、スイッチ素子90は、リード端子92,93間に積極的に導電性粒子91が凝集され、導電性粒子91の導電パスが形成される。したがって、スイッチ素子90は、リード端子92,93間が接続されることにより、外部回路を導通することができる。
【0103】
また、スイッチ素子90は、
図37(A)(B)に示すように、導電性粒子91を、筐体6内において相対向して所定の間隔を隔てて支持されているリード端子92,93側に凝集、固定するとともに、導入口7を、リード端子92,93間の間隙上にリード端子92,93と同方向にわたってスリット状に形成してもよい。
【0104】
これにより、スイッチ素子90は、
図38(A)に示すように、スイッチ素子90は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口7から筐体6内に液体が浸入すると、浸入した液体がリード端子92,93の間隙を中心に絶縁材料4を溶解させる。これによっても
図38(B)に示すように、スイッチ素子90は、リード端子92,93間に積極的に導電性粒子91が凝集され、導電性粒子91の導電パスが形成される。したがって、スイッチ素子90は、リード端子92,93間が接続されることにより、外部回路を導通することができる。
【0105】
[スイッチ素子の変形例9]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、絶縁材料の側面に導電層を形成するとともに、液体と接触した絶縁材料が膨張することにより、導電層の両端を断絶してもよい。
図39、
図40に示すスイッチ素子100は、液体が浸入する一又は複数の導入口101が形成された筐体102と、筐体102内に設けられ、液体と接触することにより膨張する絶縁材料103と、両端が外部回路に接続されるとともに、絶縁材料103の側面に被覆された導電層104とを有し、導入口101より浸入した液体と接触した絶縁材料103が膨張することにより、導電層104の両端が断絶されるものである。
【0106】
筐体102は、例えば筒状に形成され、内部に絶縁材料103が収納されている。また、筐体102は、筐体102の内部に貫通する液体の導入口101が複数形成されている。筐体102内に収納されている絶縁材料103は、液体と接触することにより膨張する材料であり、上述した絶縁材料4と同様の材料を用いて形成することができる。絶縁材料103は、例えば円柱状に形成され、外周面に導電層104が形成されている。
【0107】
導電層104は、ハンダ等、導電材料として用いられる公知の材料によって形成することができ、導電メッキや印刷等、公知の方法により形成することができる。また、導電層104は、一対のリード線等の外部接続電極材105,106と接続され、この外部接続電極材105,106が外部回路の接続電極と接続されることにより、当該外部回路の通電経路の一部を構成する。
【0108】
このスイッチ素子100は、導入口101を介して筐体102内に液体が浸入する前の状態においては、
図39(A)、
図40(A)に示すように、導電層104を介して接続された一対の外部接続電極材105,106が接続されることにより外部回路を導通させている。そして、スイッチ素子100は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口101から筐体102内に液体が浸入すると、
図39(B)、
図40(B)に示すように、絶縁材料103が浸入した液体と接触することにより膨張し、絶縁材料103の周囲に形成されていた導電層104が破断する。これにより、スイッチ素子100は、導電層104を介して接続されていた一対の外部接続電極材105,106が切断され、外部回路を遮断することができる。
【0109】
なお、スイッチ素子100は、導電層104を絶縁材料103の周囲全体にベタで形成してもよく、あるいは、線状の導電パターンが絶縁材料103の周囲を螺旋状に周回するように形成してもよい。また、スイッチ素子100は、
図41(A)に示すように、導電層104を絶縁材料103の側面を螺旋状に周回するワイヤー等の導電性を有する線材107で構成してもよい。
【0110】
スイッチ素子100は、導電層104を導電性の線材107を螺旋状に巻き付けることで、容易に形成することができ、また、
図41(B)に示すように、絶縁材料103が膨張した際にも、線材107の一部が断線することで確実に導電パスを遮断することができる。
【0111】
なお、スイッチ素子100は、絶縁材料103を中空円筒状に形成するとともに、内周面に導電層104を形成してもよい。この場合も、絶縁材料103が液体と接触して膨張することにより、内周面に形成された導電層104が切断され、導電パスを遮断することができる。
【0112】
[スイッチ素子の変形例10]
また、本発明が適用されたスイッチ素子は、絶縁材料の側面に導電層を形成するとともに、液体と接触した絶縁材料が膨張することにより、導電層の断絶されていた両端を接続してもよい。
図42、
図43に示すスイッチ素子110は、液体が浸入する一又は複数の導入口111が形成された中空状の筐体112と、筐体112の内壁に沿って配置され、液体と接触することにより膨張する筒状の絶縁材料113と、両端が外部回路に接続されるとともに、絶縁材料113の内周面を周回する線状の導電層114とを有する。
【0113】
筐体112は、例えば円筒形状をなし、内壁に沿って絶縁材料113が収納されている。また、筐体112は、スリット状の導入口111が形成されている。筐体112内に収納されている絶縁材料113は、液体と接触することにより膨張する材料であり、上述した絶縁材料4と同様の材料を用いて形成することができる。絶縁材料113は、筐体112と同様の例えば円筒形状をなし、内周面に線状の導電層114が螺旋状に周回されている。
【0114】
導電層114は、ハンダ等、導電材料として用いられる公知の材料によって形成することができ、導電メッキや印刷等、公知の方法により形成することができる。また、導電層114は、一対のリード線等の外部接続電極材115,116と接続され、この外部接続電極材115,116が外部回路の接続電極と接続されることにより、当該外部回路の通電経路の一部を構成する。
【0115】
図42(A)、
図43(A)に示すように、絶縁材料113及び導電層114は、導入口111と連続するスリット117が形成され、導電層114は、スリット117によって外部接続電極材115,116と接続されている両端が断絶されている。これにより、スイッチ素子110は、導入口111を介して筐体112内に液体が浸入する前の状態において、導電層114が断絶されることにより外部回路を遮断している。
【0116】
そして、スイッチ素子110は、水濡れや電池からの液漏れ等により導入口111及びスリット117に液体が浸入すると、
図42(B)、
図43(B)に示すように、絶縁材料113が浸入した液体と接触することにより筐体112の内周面に沿って膨張し、スリット117が閉じられる。これにより、スイッチ素子110は、絶縁材料113の周囲に形成されていた導電層114が接続することにより導電パスが形成され、スリット117によって断絶されていた外部回路を導通させることができる。
【0117】
なお、スイッチ素子110は、導電層114として、導電パターンによる他、導電性を有する線材を用いてもよく、また導電パターンと導電性を有する線材を混合して用いてもよい。また、スリット117で断絶され、絶縁材料113の膨張に伴って接続される導電層114の断絶部分の一端又は両端を、金属端子によって形成し、接続性を向上させてもよい。
【0118】
[応用例1]
次いで、本発明の応用例について説明する。本発明が適用されたスイッチ素子1,20〜110は、FET等の電子部品に組み込んでもよい。例えば、
図44に示すように、スイッチ素子1,20〜110は、FET120のゲート電極121に筐体6が設けられ、ゲート電極121が、常態において導通されている第1、第2の導電体2,3となる。
【0119】
FET120は、液体が浸入する前の常態において、ゲート電極121が導通され、各種回路基板に形成された接続端子と接続されている。そして、FET120は、筐体6内に液体が浸入すると、反応部5の状態変化に応じてゲート電極121の導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1,20〜110は、液濡れによりFET120のスイッチングを停止(機能無効化)することができる。
【0120】
なお、スイッチ素子1,20〜110は、筐体6としてFET120の筐体を用い、FET120の筐体に導入口7を設けるとともに内部に反応部5を設けてもよい。
【0121】
[応用例2]
また、本発明が適用されたスイッチ素子1,20〜110は、電池セルに組み込んでもよい。例えば、
図45に示すように、スイッチ素子1,20〜110は、電池セル130の正極131を常態において導通されている第1、第2の導電体2,3とし、図示しない電池ホルダを筐体6として用い、電池セル130が電池ホルダに装着されると、電池ホルダ側に設けられた反応部5と電池セル130の正極131とが対峙する。
【0122】
電池セル130は、常態において、正極131が導通され、電池ホルダの電極端子を通じて各種回路に電力を供給する。そして、電池セル130は、水濡れや電池からの液漏れにより電池ホルダ内に液体が浸入すると、反応部5の状態変化に応じて正極131の導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1,20〜110は、液濡れにより電池セル130の通電を停止することができる。
【0123】
また、
図46に示すように、スイッチ素子1,20〜110は、電池セルの正極に一体に形成してもよい。
図46に示す電池セル135は、正極136にスイッチ素子1,20〜110が一体に形成され、スイッチ素子1,20〜110の第1、第2の導電体2,3が導通されることにより正極136が通電可能とされている。そして、電池セル135は、水濡れや電池からの液漏れ等により筐体6内に液体が浸入すると、反応部5の状態変化に応じて第1、第2の導電体2,3が離間し、正極136の導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1,20〜110は、液濡れにより電池セル135の通電を停止することができる。
【0124】
また、スイッチ素子1,20〜110は、
図47に示すように、ラミネート型電池セル132の充放電経路上に配設されてもよい。スイッチ素子1,20〜110は、ラミネート型電池セル132の充放電経路をなすリード線133を第1、第2の導電体2,3として用いる。
【0125】
ラミネート型電池セル132は、常態においてスイッチ素子1,20〜110を介して通電され、充放電可能とされている。そして、ラミネート型電池セル132は、水濡れ等により液体がスイッチ素子1,20〜110の筐体内に浸入すると、反応部5の状態変化に応じてリード線133の導通が遮断される。これにより、スイッチ素子1,20〜110は、液濡れによりラミネート型電池セル132の充放電経路を遮断することができる。