【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るプリント回路基板及びその製造方法の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面番号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0009】
また、本明細書において、第1、第2などの用語は、同一または相応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または相応する構成要素が第1、第2などの用語により限定されない。
【0010】
また、結合とは、各構成要素の間の接触関係において、各構成要素の間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0011】
<プリント回路基板>
図1は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
【0012】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るプリント回路基板は、コアを含み、コアは第1金属層120と放熱金属110とを含む。放熱金属110は、第1金属層120内に形成される。すなわち、第1金属層120は、放熱金属110を取り囲むように形成される。
【0013】
第1金属層120は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などを含むことができる。また、第1金属層120は、インバー(Invar)、コバール(Kovar)等の合金であってもよい。
【0014】
第1金属層120は、コアの剛性を向上させるために、インバーで形成することができる。
【0015】
放熱金属110は、コアの剛性を向上させる。
【0016】
放熱金属110は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などを含むことができる。
【0017】
放熱金属110は、放熱特性に優れるように、熱伝導率の高い銅で形成することができる。
【0018】
第1金属層120と放熱金属110とは、金属材質のシード層M上に電解メッキにより形成されることができる。プリント回路基板の最終製品においては、シード層Mが少なくとも一部残ることになり、
図1では、シード層をMと表記した。
【0019】
プリント回路基板のコアは、第2金属層130をさらに含むことができる。
【0020】
第2金属層130は、第1金属層120及び放熱金属110上に積層されることができる。また、第2金属層130はシード層M上にも形成可能である。第2金属層130は、後述する絶縁層150と第1金属層120との間の密着力を向上させるために形成される。
【0021】
例えば、第1金属層120がインバー材質である場合、インバーは絶縁層150との密着力が劣るので、インバー上に絶縁層150との密着力に優れた銅材質の第2金属層130を形成する。
【0022】
第2金属層130は、放熱金属110と同じ金属で形成されることができる。第2金属層130としては、上述したように、銅を含むことができ、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などを含むこともできるが、これらの金属に限定されない。
【0023】
第2金属層130上には、絶縁層150が形成される。
【0024】
絶縁層150は、樹脂材で形成されてもよい。すなわち、絶縁層150は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリイミド(PI)等の熱可塑性樹脂を含むことができる。
【0025】
また絶縁層150は、上記樹脂に補強材をさらに含むことができる。上記補強材としては、例えば、ファブリック(fabric)補強材、無機フィラー等を用いることができる。上記ファブリック(fabric)補強材は、ガラス繊維であってもよく、ガラス繊維が樹脂に含浸されたプリプレグ(PPG)を形成することができる。この補強材は、絶縁層140に剛性を付与する。
【0026】
コア上には、回路Cが形成され、絶縁層150は、金属材質のコアと回路Cとを絶縁させる。
【0027】
一方、プリント回路基板は、コアを貫通する貫通ビア210をさらに含むことができる。
【0028】
貫通ビア210は、放熱金属110と同じ金属で形成されることができる。コアが第1金属層120と放熱ビアとの2種の金属からなることに対し、貫通ビア210は1種の金属からなる。一方、貫通ビア210は、信号伝達用ビアである。
【0029】
貫通ビア210の厚さは、コアの厚さと一致することができる。特に、コアが第2金属層130を含む場合、貫通ビア210の上下面は、コアの上下面とそれぞれ一致することができる。
【0030】
貫通ビア210の側面とコアとの間には、絶縁物質140が形成される。貫通ビア210及びコアの両方とも伝導性であるので、不必要なショートを防止するために、その間に絶縁物質140が要求される。
【0031】
絶縁物質140は、感光性であってもよい。すなわち、絶縁物質140は、PIDと呼ばれる物質であってもよい。感光性とは、光に反応する特性を意味する。感光性絶縁物質140は、フォトリソ工程が可能な資材であるので、感光性絶縁物質140そのものにフォトリソ工程を行うことができ、別途のフォトレジストRが要求されない。よって、プリント回路基板の製造工程が簡単になる。
【0032】
絶縁物質140は、貫通ビア210の側面と放熱金属110の側面との間に形成可能である。すなわち、貫通ビア210と放熱金属110とは、絶縁物質140が介在されるように互いに隣接して位置することができる。
【0033】
図1に示すように、感光性絶縁物質140の厚さはコアの厚さより小さい。特に、コアが第2金属層130を含む場合、感光性絶縁物質140の厚さはコアの厚さより小さい。
【0034】
貫通ビア210と放熱金属110との間には、離隔空間が設けられており、絶縁物質140が上記離隔空間内に位置するが、絶縁物質140は、離隔空間の全てを充填することではなく一部のみを充填する。
【0035】
絶縁物質140で充填されなかった離隔空間の残りの部分は上述した絶縁層150で充填される。すなわち、絶縁物質140と絶縁層150とは離隔空間内で互いに接触する。
【0036】
絶縁物質140の厚さとコア厚さとの差は、第2金属層130及びシード層Mの厚さと同じであってもよい。
【0037】
絶縁層150内には接続ビア220が形成される。接続ビア220は、貫通ビア210に接続される。絶縁層150上には回路Cが形成され、接続ビア220上にも回路Cが位置することができる。接続ビア220上に形成された回路Cには、ソルダーボールが形成され、該ソルダーボールを介してプリント回路基板が外部機器に接続することができる。
【0038】
<プリント回路基板の製造方法>
図2から
図13は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を示す工程図である。
【0039】
図2を参照すると、キャリア上に放熱金属110と貫通ビア210とが形成される。
【0040】
キャリアは、絶縁材Pと、上記絶縁材P上に積層された二層の金属材とで構成できる。
図2には、二層の金属材のうち一つのみが図示されており、上記金属材はシード層Mと名付けMと表記した。
【0041】
キャリアの絶縁材Pは、プリプレグ(PPG)またはビルドアップフィルム(build up film)であってもよい。
【0042】
プリプレグには、ガラス繊維(glass cloth)等の補強材が含まれることができる。ビルドアップフィルムは、シリカ等のフィラー(filler)が充填された樹脂材であってもよく、ABF(Ajinomoto Build−up Film)等を用いることができる。
【0043】
キャリアとシード層Mとの全厚さは、約0.1mmであってもよい。
【0044】
図3を参照すると、キャリア上にフォトレジストRが形成される。フォトレジストRの厚さは、約75μmであってもよい。
【0045】
フォトレジストRは感光性であり、フォトリソ工程を行うために要求されるものである。フォトレジストRは、キャリア全面に積層された後に、マスクを用いて部分的に露光される。フォトレジストRは、露光後に現像すると、マスクに対応して残ることになる。すなわち、フォトレジストRには、部分的に開口領域が形成される。
【0046】
一方、図面にはキャリアの片面にのみ工程が行われているが、キャリアの両面に対して 工程が同時に行われてもよい。キャリアの両面に工程が行われると、同時に二つのプリント回路基板を製造することができる。
【0047】
図4を参照すると、上記開口領域にメッキ層が形成される。当該メッキ層は、貫通ビア210及び放熱金属110である。ここで、放熱金属110の一部は、貫通ビア210を取り囲む。
【0048】
メッキ層の厚さは、約50μm以上であってもよい。
【0049】
貫通ビア210及び放熱金属110は、シード層Mを基盤にして電解メッキされることができる。電解メッキされると、貫通ビア210及び放熱金属110のメッキ層がシード層Mから垂直に成長する。メッキ層の厚さは限定されず、フォトレジストRの厚さ以下であってもよい。
【0050】
シード層Mは、銅であってもよく、メッキ層も銅であってもよい。特に、放熱金属110は、熱伝導率に優れた銅であってもよい。本ステップにおいて重要な特徴は、貫通ビア210がメッキにより形成されるということである。また、貫通ビア210が放熱金属110と同様の工程により同時に形成されるということである。
【0051】
図5を参照すると、メッキ層の形成後に、フォトレジストRが除去される。フォトレジストRの除去は、剥離方法により行われることができる。すなわち、プリント回路基板を剥離液に浸漬すると剥離液に反応するフォトレジストRを除去することができる。フォトレジストRが除去されると、キャリア上にはメッキ層、すなわち、放熱金属110及び貫通ビア210のみ残る。
【0052】
図6を参照すると、キャリア上に感光性絶縁物質140が形成される。感光性絶縁物質140は、キャリア上に塗布されることができる。塗布された感光性絶縁物質140は硬化できる。感光性絶縁物質140は、放熱金属110と貫通ビア210とを全てカバーする。感光性絶縁物質140は、放熱金属110及び貫通ビア210の高さ以上に形成できる。
【0053】
本ステップにおいて、感光性絶縁物質140はパターニングされる。上述したように、感光性絶縁物質140を用いると、別途のレジストRが要求されない。感光性絶縁物質140に直接的にフォトリソ工程を行うことができる。すなわち、マスク(mask)を感光性絶縁物質140上に位置させ、選択的に露光及び現像することにより、所望する部分に対してのみ感光性絶縁物質140が残ることになる。
【0054】
本発明において、'所望する部分'とは、貫通ビア210と放熱金属110との間である。感光性絶縁物質140は、貫通ビア210とコアとを絶縁させる機能を担う。但し、プリント回路基板の製造ステップにおいて、第1金属層120より放熱金属110が先に形成されるので、コアと貫通ビア210とを絶縁させるためには放熱金属110と貫通ビア210とが絶縁されることが好ましい。
【0055】
このため、放熱金属110の一部は貫通ビア210に隣接して形成される。
【0056】
一方、フォトレジストRは、ストリップ基板のレベルで、ユニット間の境界部に形成されることもできる。また、感光性絶縁物質140が上記境界部上に形成できる。この場合、ユニットごとに切断する工程で、境界部上には金属部分がほとんど存在しないので、金属部分をエッチングする必要が無くなる。
【0057】
従来、ユニットごとに切断時、第1金属層120と第2金属層130とをエッチングする場合、互いにエッチング率(etching rate)が異なるので制御が困難であったが、本発明ではエッチングをしないので、上述した問題点は発生しない。
【0058】
図7を参照すると、貫通ビア210と放熱金属110との間にのみ感光性絶縁物質140が残存している結果が示されている。
【0059】
一方、貫通ビア210と放熱金属110との間を除いた残り領域の感光性絶縁物質140は除去され、その位置に第1金属層120が形成される。すなわち、キャリア上に、貫通ビア210と放熱金属110とが形成され、その後、絶縁物質140が形成され、残り領域の全体に第1金属層120が形成される。
【0060】
第1金属層120が形成された後に、貫通ビア210、放熱金属110、第1金属層120の上面が研磨され、上面が平坦になることができる。また、貫通ビア210、放熱金属110、第1金属層120の高さを所望する高さに形成するために、その上面を研磨することができる。
【0061】
第1金属層120もシード層Mを基盤にして電解メッキされる。第1金属層120は、シード層Mからプリント回路基板の垂直方向にメッキ層が成長して形成される。
【0062】
図8を参照すると、キャリアが除去される。但し、シード層Mは、プリント回路基板に残存する。具体的に説明すると、キャリアの二つの金属材の間が分離されながら、一つの金属材は絶縁材Pとともに離れ、他の一つの金属材、すなわちシード層Mのみ残存する。
【0063】
図9を参照すると、シード層Mの一部が除去される。ここで、シード層Mはエッチングにより除去される。シード層Mの除去された領域は、
図9ではEと表記されている。
【0064】
シード層Mの除去時、プリント回路基板にはエッチングレジストRが形成される。すなわち、エッチングしようとする領域E以外の領域に対してはエッチングに対する保護が必要であるので、当該領域に限りエッチングレジストRが形成される。
【0065】
エッチングレジストRの厚さは、25μm以下であってもよい。
【0066】
エッチングレジストRが付着されたプリント回路基板はエッチング液に浸漬され、エッチング液に反応するシード層Mが除去される。
【0067】
図10を参照すると、シード層Mのエッチングが終わると、エッチングレジストRが除去される。エッチングレジストRの除去は、剥離方法により行われることができる。すなわち、エッチングレジストRの形成されたプリント回路基板が剥離液に浸漬されると、剥離液に反応するエッチングレジストRが除去される。エッチングレジストRが除去されると、感光性絶縁物質140が露出する。
【0068】
図11を参照すると、第1金属層120上に第2金属層130が形成される。また、シード層M上に第2金属層130が形成される。第2金属層130は、感光性絶縁物質140をカバーしない。
【0069】
第2金属層130は、銅であってもよく、その厚さは5μmであってもよい。
【0070】
また、第2金属層130上に絶縁層150が形成される。絶縁層150は、プリプレグまたはビルドアップフィルムであってもよい。絶縁層150の厚さは、20〜25μmであってもよい。
【0071】
第2金属層130は、絶縁層150と第1金属層120との密着力を確保する。
【0072】
図12を参照すると、絶縁層150内にビアホールVHが形成される。ビアホールVHは、レーザードリルなどにより形成可能である。ビアホールVHがレーザードリルにより形成される場合、
図12に示すように、テーパ状に形成され得る。レーザードリルは、CO
2レーザーであってもよい。
【0073】
ビアホールVHは、貫通ビア210に対応して形成される。一方、ビアホールVHは絶縁層150のみを貫通し、貫通ビア210は貫通しない。ビアホールVHをレーザードリルにより形成すると、レーザーは絶縁層150のみを除去できるので、絶縁層150のみを貫通するように制御することができる。
【0074】
図13を参照すると、ビアホールVH内に伝導性物質が充填されて、接続ビア220が形成される。接続ビア220は貫通ビア210に接触し、貫通ビア210と回路Cとを電気的に接続させる。接続ビア220及び貫通ビア210は、信号伝達のビアとなる。
【0075】
伝導性物質の充填は、メッキ法により行われることができる。この場合、ビアホールVH内に無電解メッキ層が先に形成された後に、無電解メッキ層上に電解メッキ層が形成され、ビアホールVHがフィルメッキされることができる。
【0076】
一方、接続ビア220の形成時、回路Cを同時に形成できる。回路Cは、アディティブ(Additive)法、サブトラックティブ(Subtractive)法、セミアディティブ(Semi−Additive)法等の方法により形成でき、これらの方法に限定されない。回路Cは、銅などの金属で形成されてもよい。
【0077】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の範囲内に含まれるといえよう。