【課題】車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とせず、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供。
【解決手段】略矩形状の車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1に車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して下面開口受部に固定する。下面開口受部は、下面開口部を隔てて車両前後方向で対向する位置に配置し、下面開口受部には、鍔付き係止ピン51、52を車両前後方向で対向してそれぞれ立設し、車両用下部ふさぎ板には、一方の下面開口受部に立設した鍔付き係止ピン51と係合する切欠き部61を形成し、他方の下面開口受部に立設した鍔付き係止ピン52と係合する孔部62を形成し、下面開口受部又は車両用下部ふさぎ板には、鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材71を設けた。
略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記下面開口受部は、前記車体の下面開口部を隔てて車両前後方向で対向する位置に配置したこと、
前記下面開口受部には、頭部に鍔部を有する鍔付き係止ピンを車両前後方向で対向してそれぞれ立設し、前記車両用下部ふさぎ板には、一方の下面開口受部に立設した前記鍔付き係止ピンと係合する切欠き部を形成し、他方の下面開口受部に立設した前記鍔付き係止ピンと係合する孔部を形成したこと、
前記下面開口受部又は前記車両用下部ふさぎ板には、前記鍔付き係止ピンと前記切欠き部及び前記孔部とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止装置は、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に、係合体を車両の外部から内部へ挿入する方向に押圧する押圧体によって係合させる構造であるので、車両用下部ふさぎ板が適正な位置にセットされていないと、係合体が切り込みを設けた辺以外の箇所に当接して、切り込みを設けた辺に係合できない恐れがあった。そのため、上記脱落防止装置を確実に機能させるためには、車両用下部ふさぎ板を適正な位置にセットさせ、かつ、押圧体によって係合体を車両の外部から内部に挿入させるという新たな操作が必要であり、その新たな操作を人為的ミス等で忘れた場合、結局、車両用下部ふさぎ板が車体下面の開口受部から脱落する恐れは解消されない問題があった。
また、上記係合体は、下部ふさぎ板受に設けられた穴を通じて車両の外部から内部に挿脱可能に設けられているので、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合体が確実に係合していることの確認行為は、必ずしも容易ではなかった。そのため、車両用下部ふさぎ板の切り込みを設けた辺に係合体が確実に係合していないにもかかわらず、係合していると思い違いをする人為的ミスも生じる問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、以下の構成を備えている。
(1)略矩形状の車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車内側から当接させ、車外側からボルトを締結して前記車両用下部ふさぎ板を前記下面開口受部に着脱可能に固定する車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造であって、
前記下面開口受部は、前記車体の下面開口部を隔てて車両前後方向で対向する位置に配置したこと、
前記下面開口受部には、頭部に鍔部を有する鍔付き係止ピンを車両前後方向で対向してそれぞれ立設し、前記車両用下部ふさぎ板には、一方の下面開口受部に立設した前記鍔付き係止ピンと係合する切欠き部を形成し、他方の下面開口受部に立設した前記鍔付き係止ピンと係合する孔部を形成したこと、
前記下面開口受部又は前記車両用下部ふさぎ板には、前記鍔付き係止ピンと前記切欠き部及び前記孔部とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、下面開口受部は、車体の下面開口部を隔てて車両前後方向で対向する位置に配置したので、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口部の車両前後方向の隙間を通過させて、対向する下面開口受部の車内側に挿入することができる。
また、下面開口受部には、頭部に鍔部を有する鍔付き係止ピンを車両前後方向で対向してそれぞれ立設し、車両用下部ふさぎ板には、一方の下面開口受部に立設した鍔付き係止ピンと係合する切欠き部を形成し、他方の下面開口受部に立設した鍔付き係止ピンと係合する孔部を形成したので、下面開口受部の車内側に挿入した車両用下部ふさぎ板における車両上下左右方向への変位を抑制することができる。
また、下面開口受部又は車両用下部ふさぎ板には、鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材を設けたので、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に車内側から当接させるだけで、下面開口受部又は車両用下部ふさぎ板に設けた付勢部材の付勢力によって、各鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部とを係合させ、車両用下部ふさぎ板の車両前後方向への変位を抑制することができる。
そのため、その後のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板は、鍔付き係止ピンに拘束されて、車両用下部ふさぎ板が車体の下面開口受部から脱落するのを防止することができる。
よって、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる。
【0009】
(2)(1)に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記切欠き部には、先端が略V字状に拡開された案内部を備え、前記孔部には、前記鍔付き係止ピンの鍔部が通過できる拡幅部を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明においては、切欠き部には、先端が略V字状に拡開された案内部を備え、孔部には、鍔付き係止ピンの鍔部が通過できる拡幅部を備えたので、案内部及び拡幅部を経由してスムーズに各鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部とを係合させることができる。したがって、作業者が車外側から視認しにくい各鍔付き係止ピンと切欠き部及び孔部との係合作業(いわゆるブラインド作業)を楽に行うことができ、その人為的ミスを低減することができる。
【0011】
(3)(1)又は(2)に記載された車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造において、
前記下面開口受部には、前記車両用下部ふさぎ板と当接して前記付勢部材の過剰収縮を回避させるストッパ部を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明においては、下面開口受部には、車両用下部ふさぎ板と当接して付勢部材の過剰収縮を回避させるストッパ部を備えたので、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口受部の車内側に挿入する際に、付勢部材を誤って過剰に収縮させることによって、付勢部材を破損させたり、劣化させたりする人為的ミスを未然に回避することができる。また、付勢部材の破損や劣化を回避することによって、車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における耐久性をより一層向上させることができる。
なお、付勢部材は、一端が下面開口受部又は車両用下部ふさぎ板に固定され、当接部が、例えば、略Z字状又は略U字状に湾曲形成された湾曲状板ばね体が好ましい。構造が簡単であるため製作が容易であり、また、湾曲形状によって局部的な変形を防止して、付勢部材の破損や劣化を低減できるからである。
また、付勢部材は、両端が下面開口受部又は車両用下部ふさぎ板に固定され、当接部が、例えば、菱形状又は円弧状に形成されたループ状板ばね体が好ましい。ばね体がループ形状であるため、車両用下部ふさぎ板を下面開口受部の車内側に挿入する作業中に板ばね体を引っ掛けて破損するリスクを低減できるからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両用下部ふさぎ板を車体の下面開口部に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口部から車両用下部ふさぎ板が脱落するのを防止できる車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について、
図1〜
図4を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図2は、
図1に示すA−A断面図を示す。
図3は、
図1に示すB−B断面図を示す。
図4は、
図1に示す車両用下部ふさぎ板の取付け時、取外し時におけるB−B断面図を示す。
【0016】
図1、
図2に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1の車内側に挿入して、下面開口受部1、1に車両用下部ふさぎ板2を車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1に着脱可能に固定する構造である。
【0017】
下面開口受部1、1は、車体10の下面開口部4を隔てて車両前後方向で対向する位置に配置されている。車体10の下面開口受部1、1は、車両用下部ふさぎ板2の長手方向端部21、21が車内側から当接する端縁部11、16と、端縁部の基端部から上方へ立設する基端補強リブ12、13とを備えている。
下面開口受部1、1の端縁部11、16には、頭部に円形状の鍔部511、521を有する鍔付き係止ピン51、52が、下面開口部4を隔てて車両前後方向で対向する位置にそれぞれ立設されている。鍔部511、521は軸部512、522と同心状に形成され、鍔部511、521の外径は、軸部512、522の外径より大きく形成されている。鍔部511、521と端縁部11、16との上下隙間は、車両用下部ふさぎ板2の板厚より大きく形成されている。基端補強リブ12、13は、車両用下部ふさぎ板2を鍔付き係止ピン51、52に係合させるとき、車両用下部ふさぎ板2の長手方向端部21、21と干渉しない退避した位置に形成されている。なお、鍔部511、521は、鉤形でもよく、軸部512、522と別体で形成してもよい。
【0018】
車両用下部ふさぎ板2、2は、上面に補強リブ22が形成された略矩形状の板状体である。補強リブ22は、長手方向に沿って複数個形成され、各補強リブ22は略等間隔で配置されている。
また、車両用下部ふさぎ板2には、一方(ここでは、車両前方側)の下面開口受部1の端縁部11に立設した鍔付き係止ピン51と係合する切欠き部61が形成され、他方(ここでは、車両後方側)の下面開口受部1の端縁部16に立設した鍔付き係止ピン52と係合する孔部62が形成されている。
切欠き部61は、前端が略V字状に拡開された案内部611を備えている。案内部611の後端には、略U字状の係合部612が連通されている。略U字状の係合部612は、車両前後方向に延伸して形成されている。案内部611を備えることによって、作業者が車外側から視認しにくい鍔付き係止ピン51への係合部612の係合作業(いわゆるブラインド作業)をスムーズに行うことができ、人為的ミスを低減することができる。
孔部62には、鍔付き係止ピン52の鍔部521が通過できる円弧状の拡幅部621を備えている。拡幅部621の後端には、縦長孔状の係合部622が連通されている。縦長孔状の係合部622は、車両左右方向に延伸して形成されている。
切欠き部61に形成された係合部612が一方の下面開口受部1の端縁部11に立設した鍔付き係止ピン51に係合され、孔部62に形成された係合部622が他方の下面開口受部1の端縁部16に立設した鍔付き係止ピン52に係合されることによって、車両用下部ふさぎ板2は、車両前後、左右、上下方向の変位が抑制されて、車体10の下面開口受部1、1に拘束される。
【0019】
また、車両用下部ふさぎ板2の長手方向端部21、21には、下面開口受部1の端縁部11、16にボルト締結されるナット31が固定されている。ナット31は、車体10の下面開口部4を隔てて車両前後方向で対向する位置に、複数個配置されている。
一方の下面開口受部1の端縁部11には、ボルト3を挿通する横長孔32が形成されている。横長孔32は、車両前後方向に延伸して形成されている。他方の下面開口受部1の端縁部16には、ボルト3を挿通する縦長孔33が形成されている。縦長孔33は、車両左右方向に延伸して形成されている。
ボルト3を挿通する横長孔32は、鍔付き係止ピン51に係合される略U字状の係合部612との向きを揃えて形成され、ボルト3を挿通する縦長孔33は、鍔付き係止ピン52に係合される縦長孔状の係合部622との向きを揃えて形成されている。それぞれ向きを揃えて形成することによって、車両用下部ふさぎ板2、2の前後左右の位置ズレを吸収して、鍔付き係止ピン51、52の係合、及びボルト締結を確実に行うことができ、人為的ミスを低減することができる。
なお、車両用下部ふさぎ板2は、下面開口受部1の上方へ突出する量が少ないので、車体10の床面に装着した各種電気機器や空調機器等との干渉を容易に回避できる利点がある。
【0020】
図3、
図4に示すように、車両用下部ふさぎ板2には、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材71が固設されている。付勢部材71は、当接部711が略Z字状に湾曲形成された湾曲状板ばね体である。付勢部材71の固定部712は、車両用下部ふさぎ板2の車両後方側における長手方向端部21に皿ねじ714と押え金713とで固定されている。
当接部711は、受板14に当接する頭部が円筒形状に形成され、胴体部が上方へ湾曲した湾曲形状に形成されている。当接部711は、他方(車両後方側)の下面開口受部1に設けた受板14に当接している。受板14は、矩形状の板状体であって、端縁部16の基端部から上方へ立設する基端補強リブ13から上方へ延設されている。
車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1へ取り付けたり、下面開口受部1、1から取り外したりするとき、車両用下部ふさぎ板2の車両後方側における長手方向端部21と受板14が近接する。そのとき、付勢部材71の当接部711は、大きく変形するが、受板14の前端には、車両用下部ふさぎ板2と当接するストッパ部15が形成されているので、付勢部材71の過剰収縮を回避させることができる。
【0021】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2を車体の下面開口受部1、1に車内側から当接させるだけで、車両用下部ふさぎ板2に設けた付勢部材71の付勢力によって、各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とを係合させることができる。
車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1に係合された段階で、車両用下部ふさぎ板2と下面開口受部1、1とを車外側からボルト締結するが、仮に、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、切欠き部61及び孔部62が鍔付き係止ピン51、52に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0022】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について、
図5〜
図7を参照しながら詳細に説明する。
図5は、本発明に係る第2実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図6は、
図5に示すC−C断面図を示す。
図7は、
図5に示す車両用下部ふさぎ板の取付け時、取外し時におけるC−C断面図を示す。
【0023】
図5に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、第1実施形態と同様に、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1の車内側に挿入して、下面開口受部1、1に車両用下部ふさぎ板2を車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1に着脱可能に固定する構造である。
第2実施形態は、付勢部材72の形状及びその取り付け構造を除き、第1実施形態と共通している。ここでは、相違点である付勢部材72の形状及びその取り付け構造を中心に説明し、共通点については同一の符号を付して、その説明を原則として割愛する。
【0024】
図6、
図7に示すように、車両用下部ふさぎ板2には、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材72が固設されている。付勢部材72は、当接部721が菱形状に形成されたループ状板ばね体である。付勢部材72の固定部722は、車両用下部ふさぎ板2の車両後方側における長手方向端部21にL型ブラケット723を介してねじ724、725で固定されている。
当接部721は、受板14に当接する頭部が垂直状に形成され、胴体部が上方へ傾斜して形成されている。当接部721は、他方(車両後方側)の下面開口受部1に設けた受板14に当接している。受板14は、矩形状の板状体であって、端縁部16の基端部から上方へ立設する基端補強リブ13から上方へ延設されている。
車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1へ取り付けたり、下面開口受部1、1から取り外したりするとき、車両用下部ふさぎ板2の車両後方側における長手方向端部21と受板14が近接する。そのとき、付勢部材72の当接部721は、大きく変形するが、受板14の前端には、車両用下部ふさぎ板2と当接するストッパ部15が形成されているので、付勢部材72の過剰収縮を回避させることができる。
【0025】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2を車体の下面開口受部1、1に車内側から当接させるだけで、車両用下部ふさぎ板2に設けた付勢部材72の付勢力によって、各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とを係合させることができる。
車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1に係合された段階で、車両用下部ふさぎ板2と下面開口受部1、1とを車外側からボルト締結するが、仮に、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、切欠き部61及び孔部62が鍔付き係止ピン51、52に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0026】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について、
図8〜
図10を参照しながら詳細に説明する。
図8は、本発明に係る第3実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図9は、
図8に示すD−D断面図を示す。
図10は、
図8に示す車両用下部ふさぎ板の取付け時、取外し時におけるE−E断面図を示す。
【0027】
図8に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、第1実施形態と同様に、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1の車内側に挿入して、下面開口受部1、1に車両用下部ふさぎ板2を車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1に着脱可能に固定する構造である。
第3実施形態は、付勢部材73の形状及びその取り付け構造を除き、第1実施形態と共通している。ここでは、相違点である付勢部材73の形状及びその取り付け構造を中心に説明し、共通点については同一の符号を付して、その説明を原則として割愛する。
【0028】
図9、
図10に示すように、他方(車両後方側)の下面開口受部1には、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材73が固設されている。付勢部材73は、当接部731が逆U字状に湾曲形成された湾曲状板ばね体である。付勢部材73の固定部732は、下面開口受部1の端縁部16の基端部から上方へ立設する基端補強リブ13にL型押え金17とねじ734とで固定されている。
当接部731は、車両用下部ふさぎ板2の補強リブ22の後端に当接する頭部が下方へ垂下して形成されている。当接部731の頭部は、車両用下部ふさぎ板2の複数の補強リブ22に当接するように左右方向へ拡幅されている。
車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1へ取り付けたり、下面開口受部1、1から取り外したりするとき、車両用下部ふさぎ板2の車両後方側における長手方向端部21とL型押え金17が近接する。そのとき、付勢部材73の当接部731は、大きく変形するが、L型押え金17の前端には、車両用下部ふさぎ板2と当接するストッパ部171が形成されているので、付勢部材73の過剰収縮を回避させることができる。
【0029】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2を車体の下面開口受部1、1に車内側から当接させるだけで、下面開口受部1に設けた付勢部材73の付勢力によって、各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とを係合させることができる。
車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1に係合された段階で、車両用下部ふさぎ板2と下面開口受部1、1とを車外側からボルト締結するが、仮に、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、切欠き部61及び孔部62が鍔付き係止ピン51、52に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0030】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について、
図11〜
図13を参照しながら詳細に説明する。
図11は、本発明に係る第4実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造における車内側から見た平面図を示す。
図12は、
図11に示すF−F断面図を示す。
図13は、
図11に示す車両用下部ふさぎ板の取付け時、取外し時におけるG−G断面図を示す。
【0031】
図11に示すように、本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造は、第1実施形態と同様に、略矩形状の車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1の車内側に挿入して、下面開口受部1、1に車両用下部ふさぎ板2を車内側から当接させ、車外側からボルト3を締結して車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1に着脱可能に固定する構造である。
第4実施形態は、付勢部材74の形状及びその取り付け構造を除き、車両用下部ふさぎ板2及び下面開口受部1、1等の構造は第1実施形態と共通している。ここでは、相違点である付勢部材74の形状及びその取り付け構造を中心に説明し、共通点については同一の符号を付して、その説明を原則として割愛する。
【0032】
図12、
図13に示すように、他方(車両後方側)の下面開口受部1には、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材74が固設されている。付勢部材74は、当接部741が菱形状に形成されたループ状板ばね体である。付勢部材74は、車両用下部ふさぎ板2の補強リブ22に対応する位置に配置され、複数個に分割されている。各付勢部材74の固定部742は、下面開口受部1の端縁部16の基端部から上方へ立設する基端補強リブ13に横長L型押え金18とねじ743とで固定されている。
当接部741は、車両用下部ふさぎ板2に形成した受板23に当接する頭部が垂直状に形成され、胴体部が上方へ傾斜した菱形形状に形成されている。受板23は、矩形状の板状体であって、車両用下部ふさぎ板2の補強リブ22の後端から上方へ延設されている。
車両用下部ふさぎ板2を下面開口受部1、1へ取り付けたり、下面開口受部1、1から取り外したりするとき、車両用下部ふさぎ板2の車両後方側における長手方向端部21と横長L型押え金18が近接する。そのとき、付勢部材74の当接部741は、大きく変形するが、横長L型押え金18の前下端には、車両用下部ふさぎ板2と当接するストッパ部181が形成されているので、付勢部材74の過剰収縮を回避させることができる。
【0033】
以上、詳細に説明した本実施形態に係る車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造によれば、車両用下部ふさぎ板2を車体の下面開口受部1、1に車内側から当接させるだけで、車両用下部ふさぎ板2に設けた付勢部材74の付勢力によって、各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とを係合させることができる。
車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1に係合された段階で、車両用下部ふさぎ板2と下面開口受部1、1とを車外側からボルト締結するが、仮に、ボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、切欠き部61及び孔部62が鍔付き係止ピン51、52に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2が下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
【0034】
<作用効果>
本実施形態の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造によれば、下面開口受部1、1は、車体10の下面開口部4を隔てて車両前後方向で対向する位置に配置したので、車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口部4の車両前後方向の隙間を通過させて、対向する下面開口受部1、1の車内側に挿入することができる。
また、下面開口受部1、1には、頭部に鍔部511、521を有する鍔付き係止ピン51、52を車両前後方向で対向してそれぞれ立設し、車両用下部ふさぎ板2には、一方(車両前方側)の下面開口受部1に立設した鍔付き係止ピン51と係合する切欠き部61を形成し、他方(車両後方側)の下面開口受部1に立設した鍔付き係止ピン52と係合する孔部62を形成したので、下面開口受部1、1の車内側に挿入した車両用下部ふさぎ板2における車両上下左右方向への変位を抑制することができる。
また、下面開口受部1又は車両用下部ふさぎ板2には、鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61、及び孔部62とをそれぞれ係合させる方向へ付勢する付勢部材71、72、73、74を設けたので、車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1に車内側から当接させるだけで、下面開口受部1又は車両用下部ふさぎ板2に設けた付勢部材71、72、73、74の付勢力によって、各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61、及び孔部62とを係合させ、車両用下部ふさぎ板の車両前後方向への変位を抑制することができる。
そのため、その後のボルト締結が、人為的な締め忘れや走行時の振動等により不十分となった場合でも、車両用下部ふさぎ板2は、鍔付き係止ピン51、52に拘束されて、車両用下部ふさぎ板2が車体10の下面開口受部1、1から脱落するのを防止することができる。
よって、車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1に挿入して所定の位置に配置した段階で、新たな操作を必要とすることなく、下面開口受部1、1から車両用下部ふさぎ板2が脱落するのを防止できる。
【0035】
また、本実施形態によれば、切欠き部61には、先端が略V字状に拡開された案内部611を備え、孔部62には、鍔付き係止ピン52の鍔部521が通過できる拡幅部621を備えたので、案内部611及び拡幅部621を経由してスムーズに各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62とを係合させることができる。したがって、作業者が車外側から視認しにくい各鍔付き係止ピン51、52と切欠き部61及び孔部62との係合作業(いわゆるブラインド作業)を楽に行うことができ、その人為的ミスを低減することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、下面開口受部1には、車両用下部ふさぎ板2と当接して付勢部材71、72、73、74の過剰収縮を回避させるストッパ部15、171、181を備えたので、車両用下部ふさぎ板2を車体10の下面開口受部1、1の車内側に挿入する際に、付勢部材71、72、73、74を誤って過剰に収縮させることによって、付勢部材を破損させたり、劣化させたりする人為的ミスを未然に回避することができる。また、付勢部材71、72、73、74の破損や劣化を回避することによって、車両用下部ふさぎ板2の脱落防止構造における耐久性をより一層向上させることができる。
【0037】
以上、本発明の車両用下部ふさぎ板の脱落防止構造について実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態では、切欠き部61を車両用下部ふさぎ板2の車両前方側に形成し、孔部62を車両用下部ふさぎ板2の車両後方側に形成したが、切欠き部61を車両用下部ふさぎ板2の車両後方側に形成し、孔部62を車両用下部ふさぎ板2の車両前方側に形成することもできる。この場合、付勢部材71、72、73、74を車両用下部ふさぎ板2又は下面開口受部1の車両前方側に配設する。