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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-74035(P2017-74035A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】DNAメチル化検出法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20170331BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20170331BHJP
   G01N 27/414 20060101ALI20170331BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20170331BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20170331BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170331BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12M1/00 A
   G01N27/414 301K
   G01N27/00 J
   G01N21/41 101
   C12N15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2016-140488(P2016-140488)
(22)【出願日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】62/192,987
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】516214674
【氏名又は名称】オリジャン バイオサイエンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ハーディー ワイ ホン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユー ショヨン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン イー チェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェイ フ
【テーマコード(参考)】
2G059
2G060
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059CC16
2G059MM05
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF08
2G060AF10
2G060AF15
2G060BA07
2G060KA09
4B029AA08
4B029BB20
4B029CC08
4B029FA12
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA17
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR49
4B063QR51
4B063QR55
4B063QR82
4B063QS33
4B063QS39
4B063QX04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出する方法の提供。
【解決手段】メチル化シトシンヌクレオチドに対する親和性を有する電荷されたメチル化検出分子と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の結合によって起こる電位変化を得る方法。電位変化が、閾値電圧シフト変更であり、電荷されたメチル化検出分子が、抗メチルシトシン抗体、メチル結合ドメインタンパク質及び制限酵素から選択される方法。前記ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも1つの、メチル化シトシンヌクレオチドを有するターゲットの配列を有し、塩基相補性に従って、二重鎖を形成して、相補性のある一本鎖オリゴヌクレオチド分子によって、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖を捕捉し電荷されたメチル化検出分子を提供し、電荷されたメチル化検出分子と二重鎖(duplex)を結合し、この結合による電位変化を検出する、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出する方法であって、
電荷されたメチル化検出分子と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の結合によって起こる電位変化(electrical change)を得る方法を含み、ここで、電荷されたメチル化検出分子は、メチル化シトシン ヌクレオチドに対する親和性を有する方法。
【請求項2】
電荷されたメチル化検出分子が、抗メチルシトシン抗体、メチル結合ドメインタンパク質および制限酵素から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電位変化(electrical change)が、閾値電圧シフト変更である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも1つの、メチル化シトシン ヌクレオチドを有するターゲットの配列を有し、そして、その方法が、
塩基相補性に従って、二重鎖を形成して、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子によって、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖を捕捉すること;
電荷されたメチル化検出分子を提供すること;そして、
電荷されたメチル化検出分子と二重鎖(duplex)を結合し、この結合による電位変化(electrical change)を検出すること;
を含む、方法。
【請求項5】
一本鎖のターゲットのオリゴヌクレオチド分子と、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子によって形成された二重鎖(duplex)が、バルジ(bulge)を含み、そして、メチル化シトシン ヌクレオチドが、バルジ(bulge)に位置する(disposed in)、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、固体表面に接着され、または、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、固体表面から距離をあけて位置する(spaced apart from the solid surface by a distance)、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
固体表面が、電界効果トランジスタ(FET)のトランジスタ表面または表面プラズモン共鳴(SPR)の金属表面である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
固体表面の材料が、多結晶シリコンまたは単結晶シリコンである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
固体表面が、電位変化(electrical change)を検出するための、電位変化(electrical change)検出素子と結合する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記電位変化(electrical change)検出素子が、電界効果トランジスタまたは表面プラズモン共鳴法である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと少なくとも1つの負電荷したヌクレオチドを含む、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
電気的に中性のヌクレオチドが、C1−C6アルキル基によって、置換されたリン酸基を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
負電荷のヌクレオチドが、無置換のリン酸基を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、固体表面に接着され、そして、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドが、固体表面に接着されている最初の部分を含み;該最初の部分の長さが、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドの全長の約50%であり;そして、該最初の部分が、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと少なくとも1つの負電荷のヌクレオチドを含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
(a)以下を提供すること;
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖;
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子;
メチル化シトシン ヌクレオチドを含まない、ターゲットの配列を持つ参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子;および
電荷されたメチル化検出分子;
(b)それぞれ、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子と、ターゲットの二本鎖を形成するための、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖を捕捉すること、および、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子と、参照二重鎖(duplex)を形成するために、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子を捕捉すること;
(c)それぞれ、電荷されたメチル化検出分子と、ターゲットの二重鎖(duplex)とを接触させ、ターゲット複合体を形成すること、および、電荷されたメチル化検出分子と、参照二重鎖(duplex)を接触させ;そして、電荷されたメチル化検出分子のフリー体を取り除くこと;および
(d)ターゲットの複合体と参照二重鎖(duplex)の間の電位変化を監視すること、
の工程を含む、方法。
【請求項16】
メチル化シトシン ヌクレオチドへの親和性を持つ、電荷されたメチル化検出分子;および
電位の変化を検出するための、電位変化(electrical change)検出素子;を含む、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出するためのキット。
【請求項17】
電荷されたメチル化検出分子が、抗メチルシトシン抗体、メチル結合ドメインタンパク質および制限酵素から成る群から選択される、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
さらに、塩基相補性に従って、二重鎖(duplex)を形成して、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖を捕捉することができる、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子を含む、請求項16に記載のキット。
【請求項19】
相補性のある一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖とのバルジ(bulge)を含む、二重鎖(duplex)を形成することができ、そして、バルジに、メチル化シトシン ヌクレオチドが位置する(is disposed in the bulge)、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、固体表面に接着し、または、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、距離をもって、固体表面から距離をもってスペースがある(spaced apart from the solid surface by a distance)、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
固体表面が、電界効果トランジスタのトランジスタ表面または表面プラズモン共鳴の金属面である、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
固体表面の材料は、多結晶シリコンまたは単結晶シリコンである、請求項20に記載のキット。
【請求項23】
電位変化(electrical change)検出素子が、電界効果トランジスタまたは表面プラズモン共鳴である、請求項16に記載のキット。
【請求項24】
相補性のある(recognizing)一本鎖DNA分子は、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと、少なくとも1つの負電荷のヌクレオチドを含む、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項17に記載のキット。
【請求項25】
電気的に中性のヌクレオチドが、C1−C6アルキル基で置換されたリン酸基を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
負電荷のヌクレオチドが、無置換のリン酸基を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
請求項24に記載のキットであって、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、固体表面に接着され、そして、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドが、固体表面に接着されている最初の部分を含み;該最初の部分の長さが、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドの全長の約50%であり;そして、該最初の部分が、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと少なくとも1つの負電荷のヌクレオチドを含む、キット。
【請求項28】
さらに、メチル化シトシン ヌクレオチドを含まない、ターゲットの配列を有する、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子を含む、請求項16に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子検出技術に関する。特に、本発明は、DNAメチル化検出法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子の検出は、臨床診断および分子生物学の研究に重要な役割を果たしている。たとえば、DNAのメチル化検出は、いくつかのアプリケーションで、キーの検出と見なされている。DNAのシトシンの5’炭素のメチル化(メチル化シトシンまたは5−メチルシトシンとしても知られている)は、遺伝子発現を調節して、胚発生(embryonic development)に重要な役割を果たす、エピジェネティック(epigenetic)な修飾であり、がん、遺伝子刷り込み(genomic imprinting)、細胞の分化やアルツハイマー病に関与していると考えられている(栗田亮二および丹羽修「特定の免疫認識(bulge specific immuno-recognition)によって引き起こされる、DNAのメチル化分析」分析化学(Analytical chemistry)84.17(2012):7533−7538頁)。
【0003】
DNA分子における、5−メチルシトシンの数および/または位置を検出および/または特定するために、DNAのメチル化検出を実行する、いくつかのシステムが開発されている。DNAのメチル化検出のための主要なアプローチは、重亜硫酸塩の変換法(bisulfite conversion method)(リスター、ライアンら、「ベース解像度で(at base resolution)で、ヒトDNAメチロームは、広範なエピゲノムの相違を示す」(Human DNA methylomes at base resolution show widespread epigenomic differences)ネイチャー 462、7271(2009):315−322)。該方法では、テストされるDNA分子は、重亜硫酸塩で処理され、シトシン ヌクレオチドは、ウリジン ヌクレオチドに変換されるが、5−メチルシトシン ヌクレオチドは未変化のままである。変換されたウリジン ヌクレオチドは、さらに、引き続き行われるポリメラーゼの連鎖反応の複製(replication)において、チミン ヌクレオチドに変換される。その一方で、未変換の5−メチルシトシン ヌクレオチドは、複製(replication)において、シトシン ヌクレオチドのままである。変換されたチミン ヌクレオチドを、未変換シトシン ヌクレオチドから区別するために、遺伝子のシーケンス(gene sequencing)またはマイクロアレイのプロセスが適用される。たとえば、全ゲノムのショットガンの重亜硫酸塩の配列決定法(whole genome shotgun bisulfite sequencing)(WGSGS)を利用して、重亜硫酸塩による変換後、全体の遺伝子配列が分析される。そして、特定の状況における。そのメチル化のパターンは、シングル ベース解像度(single-base resolution)で、得ることができる。しかし、この配列決定法は、面倒で、しかも、費用がかさむ。この欠陥を改善するために、制限酵素と組み合わせた、解析部位を制限した重亜硫酸塩の配列決定法(RRBS)が、不要な断片を除去するために開発されたが、その費用は、まだ満足できない。別のアプローチは、高速かつ高スループット方法で、特定の断片のメチル化パターンを分析することができ、薬剤のスクリーニングに、広く応用されている、マイクロアレイ プロセスを使用する。それにもかかわらず、このマイクロアレイ プロセスは、5−メチルシトシン ヌクレオチドの数および位置を決定できない。
【0004】
DNAのメチル化検出のための、アイソシゾマー(isoschizomer)法も、また、開発されている。アイソシゾマー(Isoschizomers)は、同じ認識部位に特異的な、1対の制限酵素である。一般的な、アイソシゾマー(isoschizomers)の一つは、メチルされていないシトシン ヌクレオチドのみを認識し、メチル化されたシトシン ヌクレオチドを認識しない、メチル化に敏感な酵素である。別の一般的なアイソシゾマー(isoschizomers)は、メチル化されたシトシン ヌクレオチドのみを認識し、メチルされていないシトシン ヌクレオチドを認識しない、メチル化依存性酵素である。様々な異なった種類のアイソシゾマー(isoschizomers)を組み込むことによって、5−メチルシトシン ヌクレオチドを検出することができる。残念ながら、この方法の適用は、アイソシゾマー(isoschizomers)の固有の特性により、極めて限定され、そして、特定のペアのアイソシゾマー(isoschizomers)の認識部位に位置する、5−メチルシトシン ヌクレオチドのみを検出することができる。
【0005】
DNAのメチル化検出法の別のアプローチは、親和性の方法である。5−メチルシトシン ヌクレオチドに特異的の親和性を持つ、抗体またはタンパク質は、5−メチルシトシン ヌクレオチドを含む断片を捕捉するのに利用され、そして、遺伝子配列またはマイクロアレイ プロセスは、捕捉された断片を分析するために、その後適用される。親和性の方法の例としては、抗体を使用した、メチル化DNA免疫沈降法(methylated DNA immunoprecipitation)(MeDIP)(ウェーバー、マイケルら、「染色体全体とプロモーターに特異的分析は、通常および変換されたヒト細胞における、異なったDNAのメチル化のサイトを特定する」Nature genetics 37.8 (2005):853−862頁)または、メチル結合ドメイン蛋白質(MBDs)を使用した、メチル化CGI回復アッセイ(methylated CGI recovery assay)(MIRA)である(クロス、サリー Hら、「CpGアイランド(CpG islands)の、メチル化DNA結合カラムを使用した精製」Nature genetics 6.3(1994):236−244;栗田亮二および丹羽修、「増大する、特定の免疫認識(bulge specific immuno-recognition)によって引き起こされる、DNAのメチル化分析」Analytical chemistry 84.17(2012):7533−7538)。親和性の方法において、断片は、超音波などの方法によって提供され、必要に応じて、その一本鎖断片も提供される。抗体またはタンパク質は、最初に、5−メチルシトシン ヌクレオチドを含む断片を捕まえるために使用される。抗体またはタンパク質から分離された後、捕捉された断片は、遺伝子配列決定またはマイクロアレイによって分析される。配列決定またはマイクロアレイ プロセスが必要とされるため、前述のプロセスから生じる欠陥は回避できない。
【0006】
[発明の概要]
DNAのメチル化検出の感度と精度を向上するために、迅速かつ便利な検出方法が提供される。
【0007】
本発明は、電荷された(electrically charged)メチル化検出分子と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子が結合することに起因する、電位変化(electrical change)を取得することを含む、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出するための方法を提供する。
ここで、電荷された(electrically charged)メチル化検出分子は、メチル化シトシン ヌクレオチドへの親和性を有する。
【0008】
本発明は、また、メチル化シトシン ヌクレオチドへの親和性を有する、電荷されたメチル化分子;および電位変化(electrical change)を検出するための、電位変化(electrical change)検出素子(electrical change detecting element)を含む、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出するためのキットを提供する。
【0009】
本発明は、以下のセクションで詳しく説明される。本発明の、その他の特性、目的および利点は、この詳細な説明および特許請求の範囲に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態において、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出する手法の概略図を示す。
図2図2は、本発明による、電気的に中性のヌクレオチドの1つの好ましい実施形態を示す。
図3図3は、SEPT9 DNAプローブ1と、SEPT9 メチルDNA ターゲット1(C5)のI−V曲線を示す。「■」は、10mM ビス−トリス プロパン緩衝液で検出された電気信号を示し;「●」は、SEPT9 メチル DNA ターゲット1によって誘起された電気信号を示し;「▲」は、1μg/mLの、抗メチルシトシン抗体によって誘起された電気信号を示す。
図4図4は、SEPT9 DNAプローブ1と、SEPT9 メチルDNA ターゲット2(C14)のI−V曲線を示す。「■」は、10mM ビス−トリス プロパン緩衝液で検出された電気信号を示し;「●」は、SEPT9 メチル DNA ターゲット2によって誘起された電気信号を示し;「▲」は、1μg/mLの、抗メチルシトシン抗体によって誘起された電気信号を示す。
図5図5は、SEPT9 DNAプローブ1と、SEPT9 メチル DNA ターゲット3(C26)のI−V曲線を示す。「■」は、10mM ビス−トリス プロパン緩衝液で検出された電気信号を示し;「●」は、SEPT9 メチル DNA ターゲット3によって誘起された電気信号を示し;「▲」は、1μg/mLの、抗メチルシトシン抗体によって誘起された電気信号を示す。
図6図6は、ターゲットDNA(左欄)および抗体(右欄)によって誘起された、ナノワイヤ FET(NWFET)の閾値電圧シフト(threshold voltage shift of nanowire FET)を示す。
図7図7は、ターゲットDNAの抗体の閾値電圧シフト比(threshold voltage shift ratio)を示す。
図8図8は、SEPT9 DNAプローブ2と、SEPT9 メチル DNA ターゲット6(C2,16,32)のI−V曲線を示す。「■」は、10mM ビス−トリス プロパン緩衝液で検出された電気信号を示し;「●」は、SEPT9 メチル DNA ターゲット6によって誘起された電気信号を示し;「▲」は、0.25μg/mLの、抗メチルシトシン抗体によって誘起された電気信号を示す。
図9図9は、ターゲットDNA(左欄)および抗体(右欄)によって誘起された、NWFETの閾値電圧シフトを示す。「1x」は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子が、1つのメチル化シトシン ヌクレオチドを有することを意味する。「2x」は、ターゲットのオリゴヌクレオチドの分子が、2つのメチル化シトシン ヌクレオチドを有することを意味する。「3x」は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子が、3つのメチル化シトシン ヌクレオチドを有することを意味する。
図10図10は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子に対する、抗体の閾値電圧シフト比(threshold voltage shift ratio)を示す。
図11図11は、SEPT9 DNA プローブ2と、SEPT9 メチル DNA ターゲット7のI−V曲線を示す。
図12図12は、SEPT9 メチル DNA ターゲット6(C2,C16,C32)と結合している、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチド(N−DNA)プローブと抗体とのI−V曲線を示す。「■」は、10mM ビス−トリス プロパン緩衝液で検出された電気信号を示し;「●」は、SEPT9 メチル DNA ターゲット6によって誘起された電気信号を示し;「▲」は、0.1μg/mLの、抗メチルシトシン抗体によって誘起された電気信号を示す。
【0011】
[発明の詳細な説明]
本発明は、電荷されたメチル化検出分子と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子が結合することに起因する、電位変化(electrical change)を取得することを含む、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出するための方法を提供する。ここで、電荷されたメチル化検出分子は、メチル化シトシン ヌクレオチドに親和性を有する。
【0012】
ここで使用される、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド分子」という用語は、ヌクレオチドのオリゴマーを指す。「ヌクレオチド」という用語は、窒素塩基(nitrogenous base)、糖、および1つまたは複数のリン酸基;好適には、1つのリン酸基から成る有機分子を指す。窒素塩基(nitrogenous base)は、プリンまたはピリミジンの誘導体を含む。プリンは、置換若しくは無置換のアデニンと置換若しくは無置換のグアニンを含み;ピリミジンには、置換若しくは無置換のチミン、置換若しくは無置換のシトシン、および、置換若しくは無置換のウラシルを含む。糖は、好適には、5炭糖であり、より好ましくは、置換若しくは無置換リボースまたは置換若しくは無置換のデオキシリボースである。リン酸基は、糖の、2,3、または5−位の炭素;好適には、5−位と結合を形成する。オリゴヌクレオチドを形成するためには、1つのヌクレオチドの糖は、隣の糖と、リン酸ジエステルの橋で結合する。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、DNAまたはRNAであり;好ましくは、DNAである。
【0013】
ここで用いられる、「ターゲットのオリゴヌクレオチド分子」という用語は、自然に発生した分子と人工分子を指す。別の態様において、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、精製された、または他のコンテンツと混在している。本発明の1つの好ましい実施の形態では、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化のパターンは、正常な状態、および、病気などの異常な状態において、異なる。本発明の他の好ましい実施形態において、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化のパターンは、異なる種類の細胞で、異なる。
【0014】
ここで使用される、用語「ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化」は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子における、メチル化されたヌクレオチドを指す。特に、メチル化されたヌクレオチドは、メチル化シトシン ヌクレオチドを指す。ここで使用される、メチル化シトシン ヌクレオチドは、シトシンの5’−炭素に、メチル置換基を有し、そして、また、5−メチルシトシン ヌクレオチドとしても知られている。ターゲットのオリゴヌクレオチド分子が、メチル化シトシン ヌクレオチドを含むとき、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも、1つのメチル化シトシン ヌクレオチドを有する、ターゲットのシーケンスを有する。
【0015】
ここで使用されるとき、「ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出」という用語は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化のプロファイルまたはパターンを発見または決定することを指し、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子における、メチル化ヌクレオチドの位置、数または割合を含むが、これらに限定されない。
【0016】
ここで使用される、「電荷されたメチル化検出分子」という用語は、メチル化シトシン ヌクレオチドへの親和性を有し、電荷を運ぶ分子を指す。好ましくは、電荷されたメチル化検出分子は、メチル化シトシン ヌクレオチドに、特異的に結合するタンパク質である。本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、電荷されたメチル化検出分子は、抗メチルシトシン抗体、メチル結合ドメイン蛋白質および制限酵素から成る群から選択される。抗メチルシトシン抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。本発明の一実施形態で、抗メチルシトシン抗体は、一本鎖オリゴヌクレオチド分子における、メチル化シトシン ヌクレオチドを認識し、そして、本発明の別の実施形態においては、抗メチルシトシン抗体は、二本鎖オリゴヌクレオチド分子におけるメチル化シトシン ヌクレオチドを認識する。他の側面において、本発明の一実施形態において、メチルの結合したドメイン蛋白質は、一本鎖オリゴヌクレオチド分子のメチル化シトシン ヌクレオチドに結合し、そして、本発明の別の実施形態において、メチルの結合したドメイン蛋白質は、二本鎖オリゴヌクレオチド分子において、メチル化シトシン ヌクレオチドに結合する。メチルの結合したドメインタンパク質の例として、メチル−CpG結合ドメイン (MBD)1、MBD2、MBD3、およびMBD4タンパク質を含む。本発明の一実施形態における、まだ別の面で、制限酵素は、一本鎖オリゴヌクレオチド分子において、メチル化シトシン ヌクレオチドを認識し、そして、本発明の別の実施形態において、制限酵素は、二本鎖オリゴヌクレオチド分子におけるメチル化シトシン ヌクレオチドを認識する。制限酵素の例として、HpaII、MspI、SmaI、およびXmaIを含む。
【0017】
本発明によれば、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子に、メチル化シトシン ヌクレオチドがある場合、電荷されたメチル化検出分子は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化シトシン ヌクレオチドに結合する。電荷されたメチル化検出分子は、電荷を運ぶので、電荷されたメチル化検出分子とターゲットのオリゴヌクレオチド分子によって形成された複合体に、電荷されたメチル化検出分子の電荷を導入することによって、電荷されたメチル化検出分子とターゲットのオリゴヌクレオチド分子との結合が原因で、電位変化(electrical change)が起こる。
他方、もし、メチル化シトシン ヌクレオチドが、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子に存在しない場合、電荷されたメチル化検出分子は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化シトシン ヌクレオチドに結合できない。それゆえ、電荷の環境(electrical environment)が変更されず、そして、電位変化(electrical change)は発生しない。電位変化(electrical change)を監視することによって、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化が検出され、そして、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化のプロファイルまたはパターンが決定される。
【0018】
本発明によると、電位変化(electrical change)は、電荷の増大を含むが、これに限定されない。電位変化(electrical change)は、電気信号として検出することができる。電気信号は、導電率(electric conductivity)、電場(electric field)、電気容量(electric capacitance)、電流(electric current)、電子(electron)、または電子孔(electron hole)の変化を含むが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施の形態の1つにおいて、電位変化(electrical change)は、閾値電圧シフト変化である。
【0019】
好ましくは、電位変化(electrical change)は、電位変化検出素子(element)によって検出される。電位変化(electrical change)検出素子(element)は、電荷されたメチル化検出分子とターゲットのオリゴヌクレオチド分子の結合により、電位変化(electrical change)が発生するか否か、検出するために適用される。好ましくは、電位変化(electrical change)検出素子は、、電界効果トランジスタ(field-effect transistor)または表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態の1つでは、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化の検出法は、以下のものを含む。
一本鎖のターゲットのオリゴヌクレオチド分子を、相補性のある(recognizing)一本鎖のオリゴヌクレオチド分子によって捕捉し、塩基相補性に従って、二本鎖(duplex)を形成すること;
電荷されたメチル化検出分子の検出を提供すること;そして、
前記二本鎖(duplex)を、電荷されたメチル化検出分子と結合させ、そして、その結合による、電位変化(electrical change)を検出すること。
【0021】
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、一本鎖分子または二本鎖の分子でよい。二本鎖のターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖を得る方法は、たとえば、加熱したり、または、二本鎖のターゲットのオリゴヌクレオチド分子の環境のイオン強度を変更することによる。
【0022】
ここで用いられる、「相補性のある(recognizing)一本鎖のオリゴヌクレオチド分子」という用語は、塩基の相補性により、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子と二本鎖を形成することができる、一本鎖のオリゴヌクレオチド分子を指す。つまり、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子とハイブリダイズするプローブとして機能する。二本鎖(duplex)は、好適には、二本鎖構造を示し、そして、1つのストランド(strand)は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖であり、そして、他方のストランドは、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子である。好ましくは、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、ターゲットの配列に適合する配列を有し;より好ましくは、ターゲットの配列に好適に適合する配列を有する。二本鎖(duplex)を形成することにより、サンプルの混合物から、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子を捕捉することができる。捕捉工程は、また、特に、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子を選択し、二本鎖(duplex)でターゲットのオリゴヌクレオチド分子を提示する精製ステップを指す。その結果、電荷されたメチル化検出分子は、前記二重鎖、特に、二重鎖で、ターゲットのヌクレオチド分子のメチル化シトシン ヌクレオチドと結合し、そして、その結合により起こった、電位変化(electrical change)を得ることができる。
【0023】
本発明によると、サンプルは、自然の起源から派生した、または、人工操作から派生した。好ましくは、サンプルは、抽出、体液、組織生検、液体の生検または細胞培養などのような、自然発生的起源から派生される。別の態様では、サンプルは、検出反応に従って処理される。たとえば、サンプルの、pH値やイオン強度を調整することができる。
【0024】
好ましくは、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖と、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子によって形成された二重鎖(duplex)は、バルジ(bulge)を含み、そして、メチル化シトシン ヌクレオチドは、バルジ(bulge)の中に位置される(disposed in the bulge)。相補性のある(recognizing)一本鎖のオリゴヌクレオチド分子の配列は、好ましくは、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一つのストランド(strand)と、バルジ(bulge)を形成するようにデザインされるべきである。バルジ(bulge)は、二重鎖(duplex)の3次元立体構造において、メチル化シトシン ヌクレオチドが、電荷されたメチル化検出分子に良く提示されること、を許容する。
【0025】
本発明によれば、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、液体、または、固体表面に接着してよい。好ましくは、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、固体表面に接着し、または、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、距離をもって、固体表面から離れて位置する(spaced apart from the solid surface by a distance)。
【0026】
ここで使用するとき、用語「固体表面」は、固体の支持体(solid support)を指し、ポリマー、紙、布、またはガラスを含み、これらに限定されない。好ましくは、採用する固体の表面は、電位変化(electrical change)検出素子によって異なる。たとえば、方法が、電位変化(electrical change)を検出する電界効果トランジスタを採用するとき、固体表面は、電界効果トランジスタのトランジスタの表面であり;その方法が、表面プラズモン共鳴法を採用するときは、固体表面は、表面プラズモン共鳴の金属表面である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、固体表面の素材はシリコン;好適には、多結晶シリコンまたは単結晶シリコン;より好ましくは、多結晶シリコンである。多結晶シリコンは、単結晶シリコンよりも安いが、多結晶は、より結晶粒界(grain boundary)があるので、欠陥は、通常、電子伝達系を阻害する(electron transduction)粒界(grain boundary)で発生する。このような現象は、固体表面を凹凸にし、定量化を困難にする。さらに、イオンは、多結晶の粒界(grain boundary)に浸透し、そして、液体において検出エラーの原因となる可能性がある。さらに、多結晶シリコンは、空気中で安定ではない。ただし、上記不利益(drawbacks)は、本発明による方法の機能と干渉しない。
【0028】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子と固体表面の接着方法は、固体表面の材質と、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子のタイプに依存する。本発明の一実施形態では、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、共有結合によって、固体表面にリンクする。共有結合の例は、固体表面化学およびオリゴヌクレオチドの修飾に依存して、以下の方法を含むが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、酸化シリコンが、固体表面として使用される場合、その固体表面は、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)を使用して修飾される。APTESの分子のケイ素原子は、水酸基の酸素原子と共有結合を形成し、表面のシラノール基(SiOH)をアミノ基に変換し;そして、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子の5’−アミノ基は、グルタルアルデヒドによって、固体表面のアミノ基と共有結合をする(Roey Elnathan, Moria Kwiat, Alexander Pevzner, Yoni Engel, Larisa Burstein Artium Khatchtourints, Amir Lichtenstein, Raisa Kantaev, およびFernando Patolsky,「生体認識層工学:ナノワイア―ベースのFETデバイスのスクリーン限界の克服」、Nano letters, 2012, 12, 5245-5254)。本発明の別の実施形態では、固体表面は、様々な化学反応によって、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子の異なる官能基に共有結合でリンクするための、異なった官能基を有する、自己集合する単層分子へと修飾される(Srivatsa Venkatasubbarao, 「マイクロアレイ−現状と展望」(Microarrays - status and prospects), TRENDS in Biotechnology Vol. 22 No. 12 December 2004; Ki Su Kim, Hyun-Seung Lee, Jeong-A Yang, Moon-Ho Jo およびSei Kwang Hahn, 「アプタマー修飾された、Si−ナノワイヤ FETバイオセンサの作製、特性および適応」(fabrication, characterization and application of aptamer-functionalized Si-nanowire FET biosensors), Nanotechnology 20 (2009))。
【0029】
本発明の、他の好ましい実施の形態において、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、固体表面から距離をあけて位置される(spaced apart from the solid surface by a distance)。電位変化(electrical change)検出素子は、電荷されたメチル化検出分子とターゲットのオリゴヌクレオチド分子の結合による、電位変化(electrical change)を検出するために、適用されるので、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子と固体表面との距離が、十分に短く、電位変化(electrical change)検出素子が、電位変化(electrical change)を検出できる限り、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子が、固体表面に直接結合する必要はない。好ましくは、固体表面と、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子間の距離は、約0〜約10nm;より好ましくは、約0〜約5nmである。
【0030】
好ましくは、固体表面は、電位変化(electrical change)を検出するための、電位変化(electrical change)検出素子と結合される。
【0031】
本発明によれば、電荷されたメチル化検出分子のフリー体は、好ましくは、電荷されたメチル化検出分子のフリー体によって運ばれた、電荷によって生成されるノイズを回避するため、電位変化(electrical change)を検出する前に、除去される。除去の方法は、洗浄を含むが、これに限定されない。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態の1つでは、前記方法は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化の位置を検出するためである。固体表面の上に、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子を接着することで、二重鎖(duplex)の別の位置で発生する電位変化(electrical change)を、互いから区別することができる。たとえば、固体表面の近くの位置のメチル化シトシン ヌクレオチドに、電荷されたメチル化検出分子が結合するとき、電荷されたメチル化検出分子によって導入された電荷が、電位変化(electrical change)検出素子の近くに位置するために、固体表面に結合した電位変化(electrical change)検出素子によって、より強い電気信号が検出される。一方、電荷されたメチル化検出分子が、固体の表面から離れて位置する、メチル化シトシン ヌクレオチドと結合する場合、電荷されたメチル化検出分子によって導入された電荷が、電位変化(electrical change)検出素子から遠くに位置するために、より弱い電気信号が、固体表面に結合された電位変化(electrical change)検出素子によって検出される。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態の1つにおいて、前記方法は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化の数または割合を検出するためである。相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子を、固体表面に接着することによって、二重鎖(duplex)のメチル化シトシン ヌクレオチドの数が異なるために、発生する電位変化(electrical change)が、互いに区別することができる。たとえば、電荷されたメチル化検出分子が、より多く、よりメチル化されたシトシン ヌクレオチドを有するターゲットのオリゴヌクレオチド分子に結合した場合、より多くの電荷が、電荷されたメチル化検出分子によって、導入されるために、固体表面に結合された、電位変化(electrical change)検出素子によって、より強い、電気信号が、検出される。
その一方で、電荷されたメチル化検出分子が、より少ないメチル化シトシン ヌクレオチドを有する、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子に、より少なく結合するとき、より少ない電荷が、電荷されたメチル化検出分子によって、導入されるために、固体表面に結合された、電位変化(electrical change)検出素子によって、より弱い電気信号が、電気信号が、検出される。
【0034】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態を示す。工程1で、相補性のある(recognizing)一本鎖のオリゴヌクレオチド分子が、固体表面に接着する。工程2で、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、塩基相補性により、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子によって捕捉され、二重鎖(duplex)を形成する。工程3で、電荷されたメチル化検出分子が、二重鎖(duplex)と接触するために適用される。工程4で、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、少なくとも1つのメチル化シトシン ヌクレオチドを含むので、電荷されたメチル化検出分子が、少なくとも1つのメチル化シトシン ヌクレオチドに結合し、そして、電荷されたメチル化検出分子と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子との結合により、電位変化(electrical change)が発生する。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態の1つにおいて、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと、少なくとも1つの負電荷ヌクレオチドを含む、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドである。ヌクレオチドを、電気的に中性にする方法に制限はない。本発明の一実施形態では、電気的に中性のヌクレオチドは、アルキル基によって置換されたリン酸基を含む。好ましくは、アルキル基が C1−C6アルキル基であり;より好ましくは、アルキル基が、C1−C3アルキル基である。C1−C3アルキル基の例は、メチル、エチルおよびプロピルを含むが、これらに限定されない。図2は、本発明による、電気的に中性のヌクレオチドの1つの好ましい実施形態を示す。リン酸基における、負電荷の酸素原子は、電荷のない中性原子に変化される。リン酸基を、アルキル基で置換する方法は、一般的な化学反応に従って適用できる。
【0036】
本発明による、負電荷のヌクレオチドは、少なくとも1つの負電荷を有するリン酸基を含む。未変更のヌクレオチドは、好ましくは、変更または置換なしの天然ヌクレオチドである。本発明の好ましい実施の形態1つでは、負電荷のヌクレオチドは、無置換リン酸基を含む。
【0037】
本発明による、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドは、部分的に電気的に中性とされる。配列または長さは、限定されず、そして、本発明の開示に基づいて、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子によって、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの配列または長さを設計できる。
【0038】
電気的に中性のヌクレオチドおよび負電荷のヌクレオチドの数は、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドの配列と、二重鎖(duplex)形成の条件に依存する。電気的に中性のヌクレオチドと負電荷のヌクレオチドの位置は、また、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの配列と二重鎖(duplex)形成の条件に依存する。本発明の開示に基づく利用可能な情報により、電気的に中性のヌクレオチドと負電荷のヌクレオチドの数と位置を設計できる。たとえば、電気的に中性のヌクレオチドの数と位置は、二本鎖(ds)の構造エネルギーに基づき、分子モデリング計算によってデザインすることができる。そして、dsDNA/DNAまたはdsDNA/RNAの融解温度(Tm)は、構造エネルギーを参照することによって決定できる。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態の1つでは、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドは、複数の電気的に中性のヌクレオチドを含み、そして、少なくとも1つの負電荷ヌクレオチドは、2つの電気的に中性のヌクレオチドの間に位置する;より好ましくは、少なくとも2つの負電荷ヌクレオチドは、2つの電気的に中性のヌクレオチドの間に位置する。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態の1つでは、本発明によって、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドを適用するとき、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドは、メチル化シトシン ヌクレオチドの近くに配置され;より好ましくは、2、3、4、または5の電気的に中性のヌクレオチドは、メチル化シトシン ヌクレオチドの近くに配置される。別の態様において、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドは、メチル化シトシン ヌクレオチドの下流または上流のサイトに配置される;好ましくは、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドは、メチル化シトシン ヌクレオチドの下流および上流のサイトに配置される。
【0041】
電気的に中性のヌクレオチドを導入することによって、完璧にマッチした二本鎖オリゴヌクレオチドと、本発明による、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドのミスマッチの二重鎖オリゴヌクレオチドとの、溶融温度差は、従来のDNAプローブのそれと比較して、より高い。理論に制限されることはないが、中性のオリゴヌクレオチドを導入することにより2つの鎖間の静電反発力は低下し、溶融温度はそれにより上昇したと推測される。電気的に中性のヌクレオチドの数と位置を制御することにより、溶融温度差を、より良い動作温度や、完璧と不一致のオリゴヌクレオチドを区別するための温度の範囲を提供し、それにより、捕捉の特異性が向上するように、望ましい点に調整する。そのようなデザインは、1つのチップまたはアレイに統合された、異なる部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの溶融温度の一貫性という利益を齎す。高い特異性をもった、検出する反応の数を大幅に上げることができ、より多くの検出ユニットを、単一検出システムに組み込むことができる。デザインは、より良いマイクロアレイの操作条件を提供する。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態の1つとして、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドは、固体表面に接着している最初の部分を含む;該最初の部分の長さは、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの全長の約50%であり;そして、最初の部分は、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと少なくとも1つの負電荷のヌクレオチドを含み;より好ましくは、最初の部分の長さは、部分的に中性な一本鎖オリゴヌクレオチドの全長の約40%であり;更に一層好ましくは、最初の部分の長さは、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの全長の約30%である。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態の1つでは、部分的に一本鎖のヌクレオチドは、さらに、最初の部分に隣接する2番目の部分を含む。2番目の部分は、固体表面に遠位端に位置する。2番目の部分には、少なくとも1つの電気的に中性のヌクレオチドと少なくとも1つの負電荷のヌクレオチドを含む。電気的に中性のヌクレオチドと負電荷のヌクレオチドの説明は、最初の部分のそれ、と同じであり、ここは繰り返さない。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態の1つで、信号増幅器は、電位変化の検出を高めるため、さらに、提供される。本発明による信号増幅器は、好ましくは、固体表面の電圧変化の検出を強化するコンポーネントを指す。たとえば、信号増幅器は、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子の一方の端に接着する、nanogold粒子であることができる。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態の1つでは、方法は、約50mMより低いイオン強度の緩衝液で実行され、より好ましくは、約40mM、30mM、20mMまたは10mMよりも低い。理論によって制限されないが、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドを適用すると、部分的に電荷された半中性の一本鎖オリゴヌクレオチドとそのターゲット間の静電気の反発力を抑制する必要がなく、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子と部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの間に形成された二重鎖(duplex)が、起こることが推量される。そして、ハイブリダイゼーションが、塩基の組み合わせと各鎖の積み重ねの力(stacking force of each strand)によって推進される。その結果、より低い塩状態で、二重鎖(duplex)が形成できる。FETによって、より低いイオン強度が、検出長(デバイの長さ)を増加し、そして、次いで、検出感度を向上させる。
【0046】
本発明の一実施形態では、従来の検出と比較して 主に、FET検出の2つの側面において、二重鎖(duplex)を形成するための改良されたハイブリダイゼーションの特異性を見ることができる。まず、溶解の温度差が、より高い。第二に、緩衝液がより低い塩条件を持ち、そして、FET検出長(デバイの長さ)が増加する。これらの違いの両方が、検出感度の改善を齎す。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、いくつかの、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、1つの操作で、いくつかの検出を実行する、1つのシステムに含まれる。たとえば、1つの検出システムに、複数の、相補性のある(recognizing)一本鎖のオリゴヌクレオチド分子を組み込むことができる。好ましくは、検出システムは、マイクロアレイ、またはチップである。
【0048】
本発明の好ましい実施の形態の1つにおいて、その方法は、以下の工程を含む。
(a)以下を提供すること;
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖;
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子;
メチル化シトシン ヌクレオチドを含まない、ターゲットの配列を持つ、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子;および
電荷されたメチル化検出分子;
(b)それぞれ、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子と、ターゲットの二重鎖(duplex)を形成するための、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖を捕捉すること、および、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子と、参照二重鎖(duplex)を形成するための、オリゴヌクレオチド分子の参照一本鎖を捕捉すること;
(c)それぞれ、電荷されたメチル化検出分子と、ターゲットの二重鎖(duplex)とを接触させ、ターゲット複合体を形成すること、および、電荷されたメチル化検出分子と、参照二重鎖とを接触させ;そして、電荷されたメチル化検出分子を含まない形態を取り除くこと;および
(d)ターゲットの複合体と参照二重鎖(duplex)の間の電位変化(electrical change)を監視すること、
の工程。
【0049】
ここで使用される、「参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子」という用語は、メチル化されていないバックグラウンドを提供する、メチル化シトシン ヌクレオチドのないターゲットの配列を有する、オリゴヌクレオチド分子を指す。好ましくは、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、メチル化シトシン ヌクレオチド以外は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子と同じ、構造を有する。別の態様において、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、共に、相補性のある(recognizing)一本鎖のオリゴヌクレオチド分子により捕捉され、そして、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子とターゲットのオリゴヌクレオチド分子に関する、工程(b)乃至(d)における操作は、同時に達成される。
【0050】
好ましくは、ターゲットの二重鎖(duplex)と、参照の二重鎖(duplex)を形成するための条件は、同じである。別の態様において、ターゲットの複合物および参照の複合物の形成のための条件は、同じである。
【0051】
ターゲットの複合物と、参照二重鎖(duplex)の間の電位変化(electrical change)は、電荷されたメチル化検出分子とターゲットのオリゴヌクレオチド分子との結合に起因して起こる、電位変化(electrical change)を表す。
【0052】
本発明は、また、メチル化シトシン ヌクレオチドへの親和性を持つ、電荷されたメチル化検出分子;および電位変化(electrical change)を検出するための、電位変化(electrical change)検出素子;を含む、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化を検出するためのキットを提供する。
【0053】
好ましくは、本発明のキットは、更に、前述の、相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子を含む。
【0054】
好ましくは、本発明のキットは、さらに、前述の信号増幅器を含む。
【0055】
好ましくは、本発明のキットは、更に、前述のメチル化シトシンヌクレオチドのない、ターゲットの配列を有する、参照一本鎖オリゴヌクレオチド分子を含む。
【0056】
次の実施例は、本発明の実施において、当業者を支援するために提供される。
【0057】
実施例
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子としての、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドの合成:
デオキシ シチジン(n−ac)p−メトキシ ホスホロアミダイト、チミジン p−メトキシ ホスホロアミダイト、デオキシ グアノシン (n−ibu) p−メトキシ ホスホロアミダイトおよびデオキシ アデノシン(n−bz) p−メトキシ ホスホロアミダイト(全てを、ChemGenes株式会社、米国から購入した)は、固相リン酸トリエステル合成に基づき、または、アプライド バイオシステム 3900 高スループット DNAシンセサイザー(Genomics(R)Biosci & Techまたはミッション バイオテックによって提供される)を用いて、指定された配列に従って、オリゴヌクレオチドを合成するために、使用された。
【0058】
合成されたオリゴヌクレオチドは、24時間、室温で、トルエン中、弱アルカリ性と反応させ、そして、サンプルを、pH7にpH値を調整すべく、イオン交換クロマトグラフィーに付した。サンプルを、濃縮し、乾燥後、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチドが得られた。
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子アタッチメント(attachment)
【0059】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子接着(attachment)は、Si−ナノワイヤ(SiNW)表面層(SiO2)の機能化によって行われた。最初に、表面を修飾するために、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)が使用された。APTESの分子のケイ素原子は、水酸基の酸素と共有結合を行い、そして、表面のシラノール基(SiOH)をアミンに変換させた。サンプルは、2%のAPTES(99%エタノール)に、30分間、浸され、そして、その後、10分間、120℃に加熱された。この工程が完了した後、表面からの末端ユニットは、アミノ基(NH)であった。
【0060】
次に、グルタルアルデヒドは、DNA接着(attachment)のための接合剤(grafting agent)として使用された。グルタルアルデヒドの結合は、APTESのアミノ基との共有結合を確保するため、そのアルデヒド基(COH)を介して、達成された。この工程では、サンプルは、液体の12.5%のグルタルアルデヒド(10mMリン酸ナトリウム緩衝液)に、室温で、1時間、浸された。
【0061】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子は、ビス−トリス プロパン緩衝液と、1μMの濃度で混合され、そして、修飾されたSiNW表面は、さらに、12時間、溶液に浸漬された。
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の捕捉
【0062】
相補性のある(recognizing)一本鎖オリゴヌクレオチド分子(プローブ)と、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子(ターゲット)の配列は、表1のとおりである。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1:ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化部分の検出
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、それぞれ、5、14、および26位に、メチル化シトシン ヌクレオチドを有する、SEPT9 メチル DNAターゲット1(C5)、SEPT9 メチル DNAターゲット1(C14)、およびSEPT9 メチル DNA ターゲット1(C26)であった。
【0065】
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子を、ビス−トリス プロパン緩衝液と、100pMの濃度で混合し、30分間、SiNWに接着する、SEPT9 DNA プローブ1により捕捉され、二重鎖(duplex)を形成した。
【0066】
電荷されたメチル化検出分子として、抗5mC抗体(0.25μg/mL)は、30分間、反応するために、二重鎖(duplex)に導入された。
【0067】
結果は、図3−7のとおり。
【0068】
図3は、被験物質の処理下における、pSNWFETの電気信号を示す。「■」線は、10mM、pH=7の、ビス−トリス プロパン緩衝液で処理された、pSNWFETのI−V曲線を示す。pSNWFETを、相補的なDNAと処理した後、DNAで汚れた緩衝液(DNA compromised buffer)は、同じビス−トリス プロパン緩衝液に置き換えられた。その後、電気信号検出が処理され、そして、「●」線として齎された。最後に、抗メチルシトシン抗体を含む緩衝液が注入され、そして、ナノワイヤの上で培養された。ビス−トリス プロパン緩衝液の置換後、培養され、そして、電気信号は、「▲」線として表示される。異なるメチルシトシンの部位についても、同様の検出を行ない、その結果を、図4および図5に示す。ターゲットのDNAと抗メチルシトシン抗体によって誘起された、平均■Vthは、図6に示す。次の式を使用して、抗体により誘起された電気信号を正規化する。
抗体により誘起された■Vth/ターゲットのDNAにより誘起された■Vth
【0069】
図7は、ターゲットのDNAに対する抗体の比率−正規化の結果を示し、本発明の方法は、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子のメチル化の位置を検出するためであることを顕著に示す。
【0070】
実施例2:ターゲットのオリゴヌクレオチド分子における、メチル化シトシンヌクレオチドの数の検出
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、SEPT9 メチル DNA ターゲット4(C2)、SEPT9 メチル DNA ターゲット5(C2+C16)、とSEPT9 メチル DNA ターゲット6(C2+C16 +C32)であり、それぞれ、1つ、2つ、または3つのメチル化シトシン ヌクレオチドを持つ。
【0071】
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、ビス−トリス プロパン緩衝液と、100pMの濃度で、混合され、そして、二重鎖(duplex)を形成するために、30分間、SiNWに接着する、SEPT9 DNA プローブ1により捕捉された。
【0072】
電荷されたメチル化検出分子として、抗5mC抗体(0.25μg/mL)を、30分間反応させるために、二重鎖に導入された。
【0073】
結果は、図8−10のとおり。
【0074】
抗体結合部位の異なる数を提供する、メチルシトシンの異なる数を有する、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子を合成した。
図8は、SEPT9 メチル DNA ターゲット6の検出結果を示す。距離の効果の検証として、Id-Vg曲線が、DNAのターゲットと抗メチルシトシン抗体を含む、ビスートリス プロパン緩衝液の状態で、検出された。図9は、それぞれ、ターゲットのDNAと抗体により、誘起された、3回の閾値電圧シフトの平均を示す。図10は、図9から、閾値電圧シフトの正規化を示し、そして、それは明らかに、メチルシトシンの数は、電圧シフトと正の相関があることを示す。
【0075】
実施例3:ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の一本鎖テール(single strand tail)のメチル化シトシン ヌクレオチドの検出
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、SEPT9 メチル DNA ターゲット7(C39)であった。
【0076】
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、ビス−トリス プロパン緩衝液と、100pMの濃度で、混合され、二重鎖(duplex)を形成するように、30分間、SiNWに接着する、SEPT9 DNA プローブ2で捕捉された。
【0077】
電荷されたメチル化検出分子として、抗5mC抗体(1ng/mL)を、30分間、反応させるために、二重鎖(duplex)に導入された。
【0078】
結果は、図11のとおり。図は、SEPT9 DNA プローブ 2とSEPT9 メチル DNA ターゲット7によって形成された二重鎖(duplex)の一本鎖テール(single strand tail)に位置するメチル化シトシンは、1ng/mlの抗メチルシトシン抗体の検出限界を増加させることを示す。
【0079】
実施例4:N−DNAを有する、ターゲットのオリゴヌクレオチド分子の、メチル化シトシン ヌクレオチドの検出
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子は、SEPT9 メチル DNA ターゲット6(C2、16、32)であった。
【0080】
ターゲットのオリゴヌクレオチド分子を、ビス−トリス プロパン緩衝液と、100pMの濃度で、混合し、そして、二重鎖(duplex)を形成するように、30分間、SiNWに接着したSEPT9 N−DNA プローブによって、捕捉した。
【0081】
電荷されたメチル化検出分子として、抗5mC抗体(0.1μg/mL)を、30分間、反応させるために、二重鎖(duplex)に導入された。
【0082】
結果は、図12のとおり。図は、SEPT9 DNA プローブ2とSEPT9 メチル DNA ターゲット7によって形成された二重鎖(duplex)の一本鎖テールに位置するメチル化シトシンは、1ng/mlの抗メチルシトシン抗体の検出限界を増加することを示す。
【0083】
図12は、SEPT9 メチル DNA ターゲット6(C2、C16、C32)および抗体と結合する、部分的に中性の一本鎖オリゴヌクレオチド(N−DNA)プローブのId-Vg曲線を示す。図8と比較して、N−DNAでは、感度の改善効果を有することを示す。
【0084】
本発明は、上記のように、特定の実施形態と組み合わせて、記載されたが、それに対する多くの選択肢及び、その修飾と変化は、当業者には、明らかである。全てのそのような代替、修飾および変化は、本発明の範囲に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【外国語明細書】