【解決手段】洗濯物脱水システムは、洗濯機によって洗濯された複数の洗濯物を加圧して脱水する脱水部と、脱水部によって脱水された複数の洗濯物を搬送して外部に排出する第1の搬送部と、を有する脱水機と、第1の搬送部から排出された複数の洗濯物を受け取り、搬送する第2の搬送部と、第1の搬送部と第2の搬送部との間の間隙から空気を噴出して、間隙からの洗濯物の落下を防止する空気噴出部と、を備える。
洗濯機によって洗濯された複数の洗濯物を加圧して脱水する脱水部と、前記脱水部によって脱水された前記複数の洗濯物を搬送して外部に排出する第1の搬送部と、を有する脱水機と、
前記第1の搬送部から排出された前記複数の洗濯物を受け取り、搬送する第2の搬送部と、
前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間の間隙から空気を噴出して、前記間隙からの前記洗濯物の落下を防止する空気噴出部と、を備える洗濯物脱水システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜4を参照して、本発明による洗濯物脱水システムの一実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態の洗濯物脱水システムの概略を示す図である。本実施の形態の洗濯物脱水システムは、連続洗濯機1によって洗濯された洗濯物を脱水する油圧脱水機2と、脱水された洗濯物、すなわちケーキを乾燥機3に搬送する搬送コンベア40とを有する。
連続洗濯機1は、繊維製品を洗濯する公知の洗濯機であり、たとえば、内外二重胴を多段に連設し、内胴を正回転して内胴内の複数の繊維製品を洗濯し、内胴を逆回転し、上流側の内胴から下流側内胴へシュートで移送用開口を通じて移送を行う。
【0009】
油圧脱水機2は、洗濯後の複数の繊維製品、すなわち、複数の洗濯物を加圧して圧搾する脱水機であり、加圧用油圧シリンダ21と、昇降バスケット22と、排出用コンベア23とを有する。加圧用油圧シリンダ21のシリンダロッドの先端には、洗濯物に接触して加圧する加圧体24が取り付けられている。加圧体24は、たとえば内部に水が封入されたゴム製の有底円筒状の容器である。昇降バスケット22は、円筒形状の部材であり、円筒の周壁に不図示の多数の水抜き穴が設けられている。昇降バスケット22は、昇降用油圧シリンダ25によって、排出コンベア23上で昇降される。
【0010】
図2は、主に排出コンベア23を上方から見た図であり、
図3は、排出コンベア23を排出側から見た図である。排出コンベア23は、脱水後の複数の洗濯物の塊、すなわちケーキ8を油圧脱水機2の機外に排出するためのベルトコンベアであり、コンベアベルト231と、コンベアベルト231を駆動する、減速機付きの駆動モータ232とを有する。排出コンベア23の搬送路の側部には、洗濯物がコンベアベルト231から脱落することを防止するための側壁233が設けられている。
【0011】
排出コンベア23の排出側の端部の近傍には、
図3に示すように、ケーキ8が排出コンベア23の排出側の端部を通過したか否かを検出する光学センサ234が設けられている。光学センサ234は、搬送路を挟んで対向して配設された発光部234aと受光部234bとを有する。光学センサ234は、発光部234aで発光した光が受光部234bで受光できたか否か、すなわち、発光部234aで発光した光が遮られるか否かによって発光部234aと受光部234bとの間の物体の有無を検出するセンサである。
【0012】
排出コンベア23の下流には、排出コンベア23で搬送されたケーキ8を受け取り、搬送する搬送コンベア40が設置されている。搬送コンベア40は、その上流側端部の高さが排出コンベア23の下流側端部の高さと略等しくなるように設置される。そのため、排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間には、互いのコンベアベルト同士が干渉しないように、隙間が設けられている。
搬送コンベア40の搬送路の側部には、洗濯物の機外への脱落を防止するための側壁41が設けられている。本実施の形態では、搬送コンベア40の下流に乾燥機3が設置されている。
【0013】
排出コンベア23の排出側の端部の下方、具体的には、排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の下方には、上方に向かって圧縮空気を噴射するためのノズル235が複数設けられている。また、側壁233の上部には、排出コンベア23の側方から搬送路の内側に向かって圧縮空気を噴射するためのノズル236が複数設けられている。さらに、側壁233の下流側の端部と、搬送コンベア40に設けられた側壁41の上流側の端部との間の隙間から搬送路の内側に向かって圧縮空気を噴射するためのノズル237が複数設けられている。
各ノズル235〜237は、たとえば、油圧脱水機2の不図示のフレーム、または、排出コンベア23の不図示のフレーム等に設けられた不図示のステー等に取り付けられており、配管やチューブなどで不図示の圧縮空気供給源に接続されている。
図1に示した電磁弁238は、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射を制御する電磁弁であり、後述する脱水機コントローラ27によって開閉が制御される。なお、
図1〜3の各図において、各ノズル235〜237に付した矢印は、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射方向を模式的に示したものである。
【0014】
本実施の形態の洗濯物脱水システムでは、連続洗濯機1の動作を制御するための洗濯機コントローラ17、油圧脱水機2の動作を制御するための脱水機コントローラ27、および乾燥機3の動作を制御するための乾燥機コントローラ37がそれぞれ設けられている。また、本実施の形態の洗濯物脱水システムには、これらの各コントローラ17,27,37の上位のコントローラ7が設けられている。コントローラ7は、各種の演算を行うCPU7aや、記憶部7b、入力部7cなどを有する。記憶部7bは、制御プログラム等を記憶するROM、CPU7aの作業エリアとしてのRAM、各種設定値などを記憶する不揮発メモリなどを有する。コントローラ7は、たとえば、ユーザによって洗濯物の種類に関する情報が入力部7cから入力されると、入力された情報を各コントローラ17,27,37に送信する。
【0015】
ここで、洗濯物の種類とは、たとえば、洗濯物が木綿製品であるのか、化繊製品であるのか、化繊と木綿との混紡品であるのかといった繊維の種類であったりする。なお、以下の説明では、化繊と木綿との混紡品のことを、単に化繊の混紡品とも呼ぶ。以下の説明では、洗濯物の種類に関する情報を品種データとも呼ぶ。
【0016】
洗濯機コントローラ17は、各種の演算を行うCPU17aや、記憶部17b、入力部17cなどを有する。記憶部17bは、制御プログラム等を記憶するROM、CPU17aの作業エリアとしてのRAM、各種設定値などを記憶する不揮発メモリなどを有する。
図4(a)は洗濯機コントローラ17のCPU17aの機能ブロック図の一例である。CPU17aは、
図1に示す記憶部17bのROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、洗濯モード設定部18と、洗濯制御部19として機能する。
【0017】
図1に示す洗濯機コントローラ17では、品種データ毎に洗濯条件があらかじめユーザによって入力部17cから入力されて記憶部17bで記憶されている。洗濯条件のパラメータとしてはたとえば、水温や洗剤の種類などが挙げられる。CPU17aは、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、記憶部17bに記憶された洗濯条件を読み込む。そして、CPU17aは、読み込んだ洗濯条件で洗濯物を洗濯するように連続洗濯機1の各部の動作を制御する。
すなわち、
図4(a)に示す洗濯モード設定部18は、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、記憶部17bに記憶された洗濯条件を読み込んで、品種データに対応する洗濯モードを設定する。そして、洗濯制御部19は、洗濯モード設定部18で設定された洗濯モードで洗濯物を洗濯するように連続洗濯機1の各部の動作を制御する。
このように、連続洗濯機1は、洗濯物の種類に応じた複数の洗濯モードを有する。
【0018】
脱水機コントローラ27は、各種の演算を行うCPU27aや、記憶部27b、入力部27cなどを有する。記憶部27bは、制御プログラム等を記憶するROM、CPU27aの作業エリアとしてのRAM、各種設定値などを記憶する不揮発メモリなどを有する。
図4(b)は脱水機コントローラ27のCPU27aの機能ブロック図の一例である。CPU27aは、
図1に示す記憶部27bのROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、脱水モード設定部28と、脱水制御部29として機能する。
【0019】
図1に示す脱水機コントローラ27では、品種データ毎に脱水条件があらかじめユーザによって入力部27cから入力されて記憶部27bで記憶されている。脱水条件のパラメータとしてはたとえば、加圧時の圧力や加圧時間、後述する圧縮空気の噴射をするか否か、などが挙げられる。CPU27aは、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、記憶部27bに記憶された脱水条件を読み込む。そして、CPU27aは、読み込んだ脱水条件で洗濯物を脱水するように油圧脱水機2の各部の動作を制御する。
すなわち、
図4(b)に示す脱水モード設定部28は、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、記憶部27bに記憶された脱水条件を読み込んで、品種データに対応する脱水モードを設定する。そして、脱水制御部29は、脱水モード設定部28で設定された脱水モードで洗濯物を脱水するように油圧脱水機2の各部の動作を制御する。
このように、油圧脱水機2は、洗濯物の種類に応じた複数の脱水モードを有する。
【0020】
乾燥機コントローラ37は、各種の演算を行うCPU37aや、記憶部37b、入力部37cなどを有する。記憶部37bは、制御プログラム等を記憶するROM、CPU37aの作業エリアとしてのRAM、各種設定値などを記憶する不揮発メモリなどを有する。
図4(c)は乾燥機コントローラ37のCPU37aの機能ブロック図の一例である。CPU37aは、
図1に示す記憶部37bのROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、乾燥モード設定部38と、乾燥制御部39として機能する。
【0021】
図1に示す乾燥機コントローラ37では、品種データ毎に乾燥条件があらかじめユーザによって入力部37cから入力されて記憶部37bで記憶されている。乾燥条件のパラメータとしてはたとえば、乾燥温度や乾燥時間などが挙げられる。CPU37aは、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、記憶部37bに記憶された乾燥条件を読み込む。そして、CPU37aは、読み込んだ乾燥条件で洗濯物を乾燥するように乾燥機3の各部の動作を制御する。
すなわち、
図4(c)に示す乾燥モード設定部38は、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、記憶部37bに記憶された乾燥条件を読み込んで、品種データに対応する乾燥モードを設定する。そして、乾燥制御部39は、乾燥モード設定部38で設定された乾燥モードで洗濯物を乾燥するように乾燥機2の各部の動作を制御する。
このように、乾燥機3は、洗濯物の種類に応じた複数の乾燥モードを有する。
【0022】
このように構成される洗濯物脱水システムでは、複数の洗濯物は、連続洗濯機1で同時に洗濯され、油圧脱水機2で同時に脱水され、乾燥機3で同時に乾燥される。
なお、複数の洗濯物は、洗濯物の種類別にまとめられている。したがって、複数の洗濯物における洗濯物の種類は、全て同じである。たとえば、ある複数の洗濯物は全て木綿製品であったり、これとは別の、ある複数の洗濯物は全て化繊品又は混紡品であったりする。
異なる洗濯物の種類の洗濯物、すなわち品種データの異なる洗濯物は、連続洗濯機1で別々に洗濯され、油圧脱水機2で別々に脱水され、乾燥機3で別々に乾燥される。
【0023】
連続洗濯機1で洗濯された複数の洗濯物は、油圧脱水機2に投入される。油圧脱水機2に投入された洗濯物は、昇降用油圧シリンダ25によって排出用コンベア23のコンベアベルト231の上に下ろされた昇降バスケット22の内部に投入される。昇降バスケット22の内部に投入された洗濯物は、加圧用油圧シリンダ21が下降させる加圧体24によって上部から圧縮される。この圧縮によって、洗濯物が圧搾されて脱水される。脱水後、加圧用油圧シリンダ21が加圧体24を上昇させ、昇降用油圧シリンダ25が昇降バスケット22を上昇させると、脱水後の複数の洗濯物は、
図1や
図2に示すようにケーキ8、すなわちひとかたまりの塊状物となってコンベアベルト231の上に残される。
【0024】
ケーキ8は、排出コンベア23によって搬送されて搬送コンベア40に乗り継ぎ、搬送コンベア40によって乾燥機3に搬送される。ケーキ8は、乾燥機3で個々の洗濯物にほぐされながら乾燥される。
【0025】
以下の理由(1)および(2)から、木綿製品のケーキ8は、一塊の形状を保った状態で排出コンベア23または搬送コンベア40によって搬送されるが、化繊製品や化繊の混紡品のケーキ8は、一塊の形状が崩れ易く、そのため、一部の洗濯物がケーキ8から脱落するおそれがある。
(1)木綿製品のように、吸水性が相対的に優れた洗濯物の場合には、複数の洗濯物は加圧によって一塊に纏まり易い。しかし、たとえば化繊製品や化繊の混紡品のように、吸水性が相対的に劣る洗濯物の場合には、複数の洗濯物は加圧によって一塊に纏まり難い。すなわち、吸水性が相対的に劣る洗濯物は、加圧によって圧縮されても、圧力を解除すると、木綿製品よりも相対的に大きく膨らんでしまう。
(2)化繊製品や化繊の混紡品が、木綿製品の強度に比べてシワになりやすいため、化繊製品や化繊の混紡品の洗濯物に対する脱水時の加圧圧力は、木綿製品の洗濯物に対する脱水時の加圧圧力よりも低く設定されている。そのため、化繊製品や化繊の混紡品の複数の洗濯物を一塊に固めようとする力は弱い。
なお、上記(1)および(2)の理由から、化繊製品や化繊の混紡品のケーキ8の高さは、木綿製品のケーキ8と比べて高くなりがちである。
【0026】
ケーキ8から一部の洗濯物が脱落すると、脱落した洗濯物が排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から落下したり、側壁233に引っ掛かったり、側壁233を越えて外部に落下するおそれがある。また、落下した洗濯物が排出コンベア23や搬送コンベア40のローラ等に絡みついたりするおそれがある。
【0027】
そこで、本実施の形態では、化繊製品や化繊の混紡品のケーキ8を排出コンベア23で搬送する際に、排出コンベア23の排出側端部の下方に設けたノズル235から圧縮空気を噴射する。ノズル235から噴射された圧縮空気は、排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から上方に向かって流れる。これにより、ケーキ8から脱落した洗濯物が排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から落下するのを防止できる。
また、本実施の形態では、化繊製品や化繊の混紡品のケーキ8を排出コンベア23で搬送する際に、側壁233の上部に設けたノズル236、および、側壁233の下流側の端部と側壁41の上流側の端部との間に設けたノズル237からケーキ8に向かって圧縮空気を噴射する。ノズル236の配置個数や圧縮空気の噴射角度、圧縮空気の噴射量は、たとえば、噴射された圧縮空気がケーキ8の側面を抑えるようにケーキ8に向かって噴射されるように適宜設定されている。これにより、ケーキ8から脱落した洗濯物が排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から落下したり、側壁233に引っ掛かったり、側壁233を越えて外部に落下するのを防止でき、さらに、洗濯物がケーキ8から脱落するのを抑制できる。
同様に、ノズル237の配置個数や圧縮空気の噴射角度、圧縮空気の噴射量は、たとえば、噴射された圧縮空気がケーキ8の側面を抑えるようにケーキ8に向かって噴射されるように適宜設定されている。これにより、ケーキ8から脱落した洗濯物が排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から落下したり、側壁233,41に引っ掛かったり、側壁233,41を越えて外部に落下するのを防止でき、さらに、洗濯物がケーキ8から脱落するのを抑制できる。
具体的には、脱水機コントローラ27が次のようにしてノズル235〜237からの圧縮空気の噴射を制御する。
【0028】
上述したように、本実施の形態の洗濯物脱水システムでは、脱水機コントローラ27が、品種データをコントローラ7から受信するように構成されている。脱水機コントローラ27では、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、CPU27aが脱水する洗濯物がケーキ8の排出時に圧縮空気を噴射する必要があるか否かを判断する。そして、CPU27aは、脱水する洗濯物がケーキ8の排出時に圧縮空気を噴射する必要があると判断すると、排出コンベア23の駆動開始とともに電磁弁238を開き、排出コンベア23の駆動停止とともに電磁弁238を閉じるように電磁弁238を制御する。また、CPU27aは、脱水する洗濯物がケーキ8の排出時に圧縮空気を噴射する必要がないと判断すると、電磁弁238を閉じたままとする。なお、本実施の形態では、排出コンベア23の駆動開始タイミングは、油圧脱水機2における脱水工程が終了し、昇降バスケット22の上昇が終了した後の所定のタイミングであり、排出コンベア23の駆動停止タイミングは、あらかじめ定められた排出コンベア23の駆動時間の経過時である。
したがって、ケーキ8の排出時に圧縮空気を噴射する必要があるとCPU27aで判断されると、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射は、油圧脱水機2における脱水工程が終了し、昇降バスケット22の上昇が終了した後の所定のタイミングで開始される。そして、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射は、排出コンベア23の駆動時間の経過時に終了する。
【0029】
なお、圧縮空気の噴射が必要な品種であるか否かは、ケーキ8から洗濯物が脱落し易い品種であるか否かによって決まるものであり、洗濯物の吸水性の良否に依存するものである。洗濯物の吸水性の良否は、洗濯物の繊維の種類によって異なるため、本実施の形態では、圧縮空気の噴射が必要な品種であるか否かを、洗濯物の繊維の種類によって分類している。具体的には、上述したように、圧縮空気の噴射が必要な品種であるか否かを、たとえば木綿と、化繊とで分類している。また、たとえば木綿と化繊との混紡品については、圧縮空気の噴射が必要な品種であるか否かを、木綿と化繊との混紡の比率によって分類している。
【0030】
図5は、連続洗濯機1での洗濯処理の動作を示したフローチャート、および油圧脱水機2での脱水処理の動作を示したフローチャートを併記した図である。連続洗濯機1が起動されると
図5に示す処理を行うプログラムが起動されて洗濯機コントローラ17のCPU17aで実行される。また、油圧脱水機2が起動されると
図5に示す処理を行うプログラムが起動されて脱水機コントローラ27のCPU27aで実行される。
【0031】
ステップS10において洗濯機コントローラ17のCPU17aは、コントローラ7から受信して記憶部17bに記憶された品種データを記憶部17bから読み込んで、ステップS12へ進む。ステップS12においてCPU17aは、同一種類の複数の洗濯物が投入されるまで待機し、洗濯物が投入されるとステップS14へ進む。なお、連続洗濯機1へ投入される複数の洗濯物は、連続洗濯機1の前段に設置された不図示の搬送装置によって搬送されて、連続洗濯機1へ投入される。
【0032】
ステップS14においてCPU17aは洗濯モード設定部18として機能し、ステップS10で読み込んだ品種データに対応する洗濯モードを設定してステップS16へ進む。すなわち、品種データが木綿製品に関する場合には、木綿の洗濯物に適した洗濯モードが設定され、品種データが化繊製品または混紡製品に関する場合には、化繊または混紡の洗濯物に適した洗濯モードが設定される。ステップS16においてCPU17aは洗濯制御部19として機能し、ステップS14で設定された洗濯モードでの洗濯処理を行ってステップS18へ進む。ステップS18においてCPU17aは、洗濯処理を終了し、複数の洗濯物を排出する。
【0033】
連続洗濯機1から排出された複数の洗濯物は、油圧脱水機2に投入される。ステップS20において脱水機コントローラ27のCPU27aは脱水モード設定部28として機能し、コントローラ7から受信して記憶部27bに記憶された品種データに対応する脱水モードを設定する。すなわち、品種データが木綿製品に関する場合には、木綿の洗濯物に適した脱水モードが設定され、品種データが化繊製品または混紡製品に関する場合には、化繊または混紡の洗濯物に適した脱水モードが設定される。ステップS22においてCPU27aは脱水制御部29として機能し、ステップS20で設定された脱水モードでの脱水処理を行ってステップS24へ進む。ステップS24においてCPU27aは、脱水処理を終了してステップS26へ進み、ケーキ8の排出処理を開始する。
【0034】
ケーキ8の排出処理が開始されるとCPU27aは、ステップS28において搬送コンベア40へ駆動開始の信号を出力してステップS30へ進む。搬送コンベア40は、脱水機コントローラ27からの駆動開始信号を受信すると駆動を開始する。ステップS30においてCPU27aは、排出コンベア23の駆動を開始する。
また、ケーキ8の排出処理が開始されるとCPU27aは、ステップS32において、ケーキ8の排出時に各ノズル235〜237から圧縮空気を噴射する必要があるか否かを判定する。具体的には、品種データが木綿製品に関する場合には、すなわち、木綿の洗濯物に適した脱水モードが設定された場合には、ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射が必要でないと判定され、他方、品種データが化繊製品または混紡製品に関する場合には、すなわち化繊または混紡の洗濯物に適した脱水モードが設定された場合には、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射が必要であると判定される。ステップS32において、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射が必要であると判定されるとステップS34へ進み、CPU27aは、各ノズル235〜237から圧縮空気を噴射するように電磁弁238を制御する。各ノズル235〜237は、圧縮空気を噴射するので、たとえ、化繊製品または混紡製品のケーキ8から一部の洗濯物が落下しても、その一部の洗濯物が排出コンベア23と搬送コンベア40との間の間隙から落下することを阻止することができる共に、その一部の洗濯物が側壁233、41に引っ掛かったり、側壁233、41を越えて外部に落下することを防止することができる。また、ステップS32において、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射が必要でないと判定されるとステップS36へ進む。
【0035】
ステップS30が実行され、かつ、ステップS32が肯定判断されてステップS34が実行されるか、または、ステップS30が実行され、かつ、ステップS32が否定判断されると、ステップS36へ進み、CPU27aは、ケーキ8の排出時間が経過するまで、すなわち排出コンベア23の排出時間が経過するまで待機してステップS38へ進む。ステップS38においてCPU27aは、排出コンベア23の駆動を停止するとともに、各ノズル235〜237からの圧縮空気の噴射を停止するように電磁弁238を制御する。以降、搬送コンベア40で乾燥機3へと搬送されたケーキ8は、乾燥機3で乾燥処理が行われる。
【0036】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)連続洗濯機1によって洗濯された複数の洗濯物を加圧して脱水する加圧用油圧シリンダ21、加圧体24および昇降バスケット22と、加圧用油圧シリンダ21、加圧体24および昇降バスケット22によって脱水された複数の洗濯物を搬送して外部に排出する排出用コンベア23と、を有する油圧脱水機2と、排出用コンベア23から排出された複数の洗濯物を受け取り、搬送する搬送コンベア40と、排出用コンベア23と搬送コンベア40との間の間隙から空気を噴出して、間隙からの洗濯物の落下を防止するノズル235と、を備えるように洗濯物脱水システムを構成した。
すなわち、排出用コンベア23の排出部、すなわち、排出用コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の間隙から空気を噴出して、この間隙からの洗濯物の落下を防止するノズル235を備えるように排出用コンベア23を構成した。
これにより、ノズル235からの空気噴出によってケーキ8から脱落した洗濯物が排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から落下するのを防止できる。
【0037】
(2)連続洗濯機1によって別々に洗濯された異なる種類の洗濯物を加圧用油圧シリンダ21、加圧体24および昇降バスケット22によって別々に脱水する。脱水された洗濯物がたとえば化繊製品や化繊の混紡品の洗濯物である場合にノズル235から空気を噴出し、脱水された洗濯物がたとえば木綿製品の洗濯物である場合にノズル235から空気を噴出しないようにした。これにより、たとえば、化繊製品や化繊の混紡品のように、一部の洗濯物がケーキ8から脱落するおそれがある場合には、ノズル235から圧縮空気を噴射してケーキ8から脱落した洗濯物が排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から落下するのを防止できる。また、たとえば木綿製品のように、複数の洗濯物が加圧によって一塊に纏まり易い場合には、一部の洗濯物がケーキ8から脱落するおそれがないので、ノズル235から圧縮空気を噴射する必要性に乏しい。したがって、脱水された洗濯物がたとえば木綿製品の洗濯物である場合にノズル235から空気を噴出しないようにすることで、圧縮空気の消費量を削減でき、コストを低減できる。
【0038】
(3)ユーザによってコントローラ7に入力された品種データが各コントローラ17,27,37に送信されるように洗濯物脱水システムを構成した。そして、脱水機コントローラ27のCPU27aが、コントローラ7から受信した品種データに対応する脱水条件で洗濯物を脱水するように油圧脱水機2の各部の動作を制御するとともに、洗濯物の種類に応じてケーキ8の排出時に各ノズル235〜237から圧縮空気を噴射するように洗濯物脱水システムを構成した。これにより、ユーザが上位のコントローラ7に品種データを入力すれば、洗濯物の種類に応じてケーキ8の排出時に各ノズル235〜237から圧縮空気が噴射されるので、ユーザが品種データを入力する度に圧縮空気の噴射をさせるか否かを設定する必要がなく、利便性が高い。
【0039】
(4)側壁233から搬送路側に向けて空気を噴出するノズル236を設けた。これにより、ケーキ8から脱落した洗濯物が側壁233に引っ掛かったり、側壁233を越えて外部に落下するのを防止できる。
【0040】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述の説明では、排出コンベア23の駆動開始とともにノズル235〜237からの圧縮空気の噴射を開始し、排出コンベア23の駆動停止とともにノズル235〜237からの圧縮空気の噴射を停止していた。しかし、たとえばノズル235,237からの圧縮空気の噴射期間とノズル236からの圧縮空気の噴射期間とを異ならせてもよい。すなわち、たとえばノズル235,237からの圧縮空気の噴射を制御する第1の電磁弁と、ノズル236からの圧縮空気の噴射を制御する第2の電磁弁とをそれぞれ設け、脱水機コントローラ27のCPU27aが制御する第1の電磁弁の開閉時期と第2の電磁弁の開閉時期とを適宜設定するようにしてもよい。
【0041】
たとえば、加圧脱水後、昇降バスケット22の上昇が終了する前から、ノズル236からの圧縮空気の噴射を開始してもよい。これにより、昇降バスケット22によるケーキ8の側面の拘束が解かれた直後からノズル236から噴射される圧縮空気によってケーキ8から脱落した洗濯物が側壁233に引っ掛かったり、側壁233を越えて外部に落下するのを防止できるとともに、洗濯物のケーキ8からの洗濯物の脱落を抑制できる。
また、排出コンベア23が駆動を開始してもノズル235,237からの圧縮空気の噴射を開始せず、光学センサ234で検出できる位置までケーキ8が排出コンベア23で搬送されてからノズル235,237からの圧縮空気の噴射を開始してもよい。すなわち、光学センサ234でケーキ8が検出されると、ノズル235,237からの圧縮空気の噴射が開始されるようにしてもよい。これにより、排出コンベア23の駆動開始から光学センサ234で検出できる位置までケーキ8が排出コンベア23で搬送されるまでの期間における圧縮空気の消費量を削減でき、コストを低減できる。
【0042】
(変形例2)
上述の説明では、各ノズル235〜237は油圧脱水機2側に設けられていた。しかし、ノズル235およびノズル237については、搬送コンベア40側に設けてもよい。この場合には、ノズル235,237への圧縮空気の供給を制御する電磁弁を新たに設け、この電磁弁の開閉を搬送コンベア40側に設けた制御装置で制御する。具体的には、たとえば、搬送コンベア40のフレームにノズル用のステーを取り付けて、このノズル用のステーにノズル235,237を取り付ける。また、たとえば、搬送コンベア40のフレームに光学センサ用のステーを取り付けて、この光学センサ用のステーを介して上述した光学センサ234と同様の光学センサを光学センサ234の近傍に配置する。そして、この光学センサでケーキ8を検出するとノズル235,237からの圧縮空気の噴射を開始するように、搬送コンベア40側に設けた制御装置で上述した電磁弁の開閉を制御すればよい。なお、搬送コンベア40側に設けた制御装置は、品種データをコントローラ7から受信することで、搬送するケーキ8が圧縮空気の噴射を要するケーキ8であるか否かを判断する。
ノズル235およびノズル237を搬送コンベア40側に設けることによっても、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0043】
(変形例3)
たとえば、
図2,3に示すように、上述の説明では、排出コンベア23の下流側端部の下方に設けられたノズル235の個数が3個であった。しかし、排出コンベア23の下流側端部と搬送コンベア40の上流側端部との間の隙間から圧縮空気を噴射して、この隙間から洗濯物が脱落するのを防止できれば、ノズル235の個数は3個に限られず、2個でもよく、4個以上でもよい。また、たとえば、排出コンベア23の幅方向に沿って線状にまたは、排出コンベア23の幅方向に沿って細長い面状に圧縮空気を噴射できるノズルであれば、ノズル235の個数は1個でもよい。
また、たとえば、ノズル236は、
図2に示すように、搬送路を挟んで3個ずつ設けられており、ノズル237は、
図3に示すように、搬送路を挟んで2個ずつ設けられているが、ノズル236,237の個数は、搬送路を挟んで1個ずつ以上であればよい。
【0044】
(変形例4)
上述の説明では、搬送コンベア40の側壁41の上部には圧縮空気を噴射するノズルを設けていないが、側壁41の上部に搬送コンベア40の側方から搬送路の内側に向かって圧縮空気を噴射するためのノズルを設けてもよい。これにより、ケーキ8から脱落した洗濯物が側壁41に引っ掛かったり、側壁41を越えて外部に落下するのを防止できる。さらに、洗濯物がケーキ8から脱落するのを抑制できる。
なお、搬送路の側方から圧縮空気を噴射するノズル236やノズル237、上述した側壁41の上部のノズルの設置は必須ではない。
【0045】
(変形例5)
上述の説明では、側壁233,41の上端の高さについて特に言及していない。しかし、側壁233,41の上端の高さは、脱水後の高さが高くなりがちな化繊製品や化繊の混紡品の洗濯物のケーキ8の高さと同程度、または、化繊製品や化繊の混紡品の洗濯物のケーキ8の高さよりも高いことが望ましい。
【0046】
(変形例6)
上述の説明では、各ノズル235〜237から圧縮空気を直接噴射していたが、たとえば各ノズル235〜237に代えて、周囲の空気を引き込んで吐出する空気量を増幅する公知のエジェクタなどを用いてもよい。また、上述したノズル235〜237から圧縮空気を噴射することに代えて、ノズル235〜237の設置位置からブロア等で空気を送風するようにしてもよい。
【0047】
(変形例7)
上述の説明では、コントローラ7は、ユーザによって品種データが入力されると、入力された情報を各コントローラ17,27,37に送信した。しかし、たとえばユーザによって入力された品種データをコントローラ7が洗濯機コントローラ17だけに送信するように洗濯物脱水システムを構成してもよい。この場合には、たとえば、コントローラ7から受信した品種データを洗濯機コントローラ17が他のコントローラ27,37に送信するように洗濯物脱水システムを構成すればよい。
また、コントローラ7を設けず、ユーザによって品種データが洗濯機コントローラ17に入力されると、入力された品種データを洗濯機コントローラ17が各コントローラ27,37に送信するように洗濯物脱水システムを構成してもよい。
【0048】
(変形例8)
上述の説明では、脱水機コントローラ27のCPU27aは、設定された脱水モードが、ケーキ8の排出時に圧縮空気を噴射するように設定されたモードであるか否かを判定することでケーキ8の排出時に各ノズル235〜237から圧縮空気を噴射する必要があるか否かを判定した。すなわち、脱水条件のパラメータに圧縮空気の噴射をするか否かというパラメータが含まれていた。しかし、たとえば、脱水条件のパラメータに圧縮空気の噴射をするか否かというパラメータが含まれていなくてもよい。
脱水条件のパラメータに圧縮空気の噴射をするか否かというパラメータが含まれていない場合、脱水機コントローラ27のCPU27aは、洗濯物の種類に応じて脱水する洗濯物がケーキ8の排出時に各ノズル235〜237から圧縮空気を噴射する必要があるか否かを判定する。すなわち、脱水機コントローラ27のCPU27aは、コントローラ7から受信した品種データに基づいて、洗濯物の種類がたとえば化繊製品や化繊の混紡品であると判定すると、脱水する洗濯物がケーキ8の排出時に各ノズル235〜237から圧縮空気を噴射する必要があると判定する。
【0049】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。