【解決手段】少なくとも1種のプロピレン系エラストマーを含んでなるカーペットを提供する。プロピレン系エラストマーの存在は、良いタフト結合強度及びタフトロック強度を含めた改善された特性、並びに信頼できる構成をカーペットに与える。
前記繊維が、ポリプロピレン、ナイロン、ウール、綿、アクリル、ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレートの少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれかのカーペット。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の詳細な説明
以下、好ましい実施形態及び本明細書で採用する定義を含め、本発明の種々の特定実施形態、変形を記述する。下記詳細な説明は特定の好ましい実施形態を与えるが、当業者には当然のことながら、これらの実施形態は単なる例示であり、本発明は他のやり方で実施可能である。「本発明」へのいずれの言及も、特許請求の範囲によって規定される本発明の1つ以上を表し得るが、必ずしも全てを表すわけではない。表題の使用は、単に便宜のためであり、本発明の範囲を限定しない。
本明細書では、「ポリマー」を用いてホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を表し得る。
本明細書では、ポリマーがモノマーを含むと表現されるとき、モノマーは、モノマーの重合形又はモノマーの誘導体形でポリマー中に存在する。
本明細書では、ポリマー組成物又はブレンドがモノマーの特定百分率wt%を含むと言われる場合、モノマーの当該百分率は、ポリマー組成物又はブレンドの全てのポリマー成分のモノマー単位の総量に基づいている。
本明細書では、「エラストマー」又は「エラストマー組成物」は、ASTM D1566定義と一致するいずれのポリマー又はポリマーの組成物(ポリマーのブレンド等)をも表す。エラストマーには、ポリマーの溶融混合及び/又はリアクタブレンド等のポリマーの混合ブレンドが含まれる。これらの用語は用語「ゴム」と互換的に使用し得る。
「ポリオレフィン」は、少なくとも50wt%の1種以上のオレフィンモノマーを含んでなるポリマーである。好ましくは、ポリオレフィンは少なくとも60wt%、又は少なくとも70wt%、又は少なくとも80wt%、又は少なくとも90wt%、又は少なくとも95wt%、又は100wt%の1種以上のオレフィンモノマーを含む。好ましくは、ポリオレフィンは2〜20、又は2〜16、又は2〜10、又は2〜8、又は2〜6の炭素数を有する1-オレフィンを含む。
本明細書では、「第1バッキング」層、「第2」層、「第3」層、及び「中間」層は、単に便宜上用いる識別子であり、特に指定のない限り、個々の層、それらの相対位置、又は積層構造についての限定と解釈すべきでない。
本明細書では、層が、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を「実質的に」固定すると表現されるとき、それは、ベルクロ(登録商標)ローラー試験でベルクロ(登録商標)型ツールを約20回転がされた後に、繊維の少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約94%、少なくとも約96%、又は少なくとも約98%が適所に保持されることを意味する。好ましくは、けば立ちが裸眼では見えない。
本明細書では、「カーペット」には、カーペットタイル及びカーペットの一部も含まれる。
【0009】
本発明は、プロピレン系エラストマーを含むカーペット、及びその製造方法に関する。一実施形態では、カーペットは下記:(a)表面と裏面を有する第1バッキング層;(b)この第1バッキング層に付着され、第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長する複数の繊維;及び(c)第1バッキング層の裏面に付着され、少なくとも1種のプロピレン系エラストマーを含む第2層(プロピレン系エラストマーは、該プロピレン系エラストマーの質量の少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位及び約5〜約25wt%のエチレン誘導単位を含み、約75J/g未満の融解熱を有する)を含み、第2層が、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を実質的に固定している。
【0010】
プロピレン系エラストマー
本明細書で述べるカーペットはプロピレン系エラストマーを含む。プロピレン系エラストマーは、プロピレン誘導単位と、エチレン又はC
4-10αオレフィンの少なくとも1つから誘導される単位とのコポリマーであり得る。プロピレン系エラストマーは、プロピレン系エラストマーの質量に基づいて少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位を含有し得る。プロピレン系エラストマーは、本明細書で述べるように、隣接するアイソタクチックプロピレン単位のため限られた結晶化度及び融点を有し得る。プロピレン系エラストマーの結晶化度及び融点は、プロピレン挿入の誤差の導入によって、高度にアイソタクチックなポリプロピレンに比べて低減し得る。プロピレン系エラストマーは一般的にタクティシティー及びコモノマー組成にいずれの実質的な分子間の不均一性もなく、また分子内組成分布にもいずれの実質的な不均一性もない。
プロピレン系エラストマー中に存在するプロピレン誘導単位の量は、プロピレン系エラストマーの約95wt%、約94wt%、約92wt%、約90wt%、又は約85wt%の上限から、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約84wt%、又は約85wt%の下限に及び得る。
エチレン又はC
4-10αオレフィンの少なくとも1つから誘導される単位、又はコモノマーは、プロピレン系エラストマーの質量に基づいて、約1〜約35wt%、又は約5〜約35wt%、又は約7〜約32wt%、又は約8〜約25wt%、又は約8〜約20wt%、又は約8〜約18wt%の量で存在し得る。
好ましい実施形態では、コモノマーはエチレン、1-ヘキセン、又は1-オクテンである。一部の実施形態では、プロピレン系エラストマーはエチレン誘導単位を含むか又は本質的にプロピレンとエチレンから誘導された単位から成る。すなわち、プロピレン系エラストマーは、重合中に用いられるエチレン及び/又はプロピレン供給流中に典型的に不純物として存在する量以外の量、或いはプロピレン系エラストマー、又は重合プロセスに意図的に添加される任意の他のコモノマーの融解熱、融点、結晶化度、又はMIに実質的に影響するであろう量では、いずれの他のコモノマーをも含有しない。該実施形態では、プロピレン系エラストマーは、プロピレン系エラストマーの質量に基づいて、約5〜約25wt%、又は約6〜約22wt%、又は約7〜約20wt%、又は約8〜約17wt%、又は約9〜16wt%のエチレン誘導単位を含み得る。
プロピレン系エラストマーは、1種より多くのコモノマーを含んでよい。1種より多くのコモノマーを含んでなるプロピレン系エラストマーの好ましい実施形態としては、プロピレン-エチレン-オクテン、プロピレン-エチレン-ヘキセン、及びプロピレン-エチレン-ブテンポリマーが挙げられる。エチレン又はC
4-10αオレフィンの少なくとも1つから誘導される1種より多くのコモノマーが存在する実施形態では、1種のコモノマーの量はプロピレン系エラストマーの約5wt%未満であり得るが、プロピレン系エラストマーのコモノマーの合計量は約5wt%以上である。
一部の実施形態では、プロピレン系エラストマーはさらにジエンを含んでよい。任意的なジエンは、少なくとも2つの不飽和結合を有し、その不飽和結合の少なくとも1つがポリマーに容易に組み入れられる、いずれの炭化水素構造であってもよい。例えば、任意的なジエンは、直鎖非環式オレフィン、例えば1,4-ヘキサジエン及び1,6-オクタジエン;分岐鎖非環式オレフィン、例えば5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、及び3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン;単環脂環式オレフィン、例えば1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、及び1,7-シクロドデカジエン;多環脂環式縮合及び架橋環オレフィン、例えばテトラヒドロインデン、ノルボルナジエン、メチル-テトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ-(2.2.1)-へプタ-2,5-ジエン、ノルボルナジエン、アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、例えば、エチリジエンノルボルネン(“ENB”)、シクロアルケニルノルボルネン、及びシクロアルキリエン(alkyliene)ノルボルネン(例えば5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン);並びにシクロアルケニル置換アルケン、例えばビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4-ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン、ビニルシクロドデセン及びテトラシクロ(A-11,12)-5,8-ドデセンから選択され得る。プロピレン系エラストマー中に存在するジエン誘導単位の量は、プロピレン系エラストマーの総質量に基づいて、約15%、約10%、約7%、約5%、約4.5%、約3%、約2.5%、又は約1.5%の上限から、約0%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.5%、又は約1%の下限に及び得る。一部の実施形態では、プロピレン系エラストマーはいずれのジエン誘導単位をも含有しない。
【0011】
プロピレン系エラストマーは、
13C NMRで測定したところ、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%の3種のプロピレン単位の三つ組タクティシティーを有し得る。好ましくは、プロピレン系エラストマーは約50〜約99%、約60〜約99%、約75〜約99%、又は約80〜約99%の三つ組タクティシティーを有する。一部の実施形態では、プロピレン系エラストマーは約60〜97%の三つ組タクティシティーを有し得る。
プロピレン系エラストマーは、DSCで測定したところ、約75J/g以下、約70J/g以下、約50J/g以下、又は約45J/g以下、又は約35J/g以下の融解熱(「H
f」)を有し得る。プロピレン系エラストマーは、約0.5J/g、約1J/g、又は約5J/gの下限H
fを有し得る。例えば、H
f値は1.0、1.5、3.0、4.0、6.0、又は7.0J/gから、30、35、40、50、60、70、又は75J/gの範囲であり得る。
プロピレン系エラストマーは、本明細書に記載のDSC手順に従って測定したところ、アイソタクチックポリプロピレンの結晶化度の約2〜約65%、約0.5〜約40%、約1〜約30%、又は約5〜約35%の結晶化パーセントを有し得る。最高次数のプロピレン(すなわち、100%の結晶化度)の熱エネルギーは、189J/gと推定される。一部の実施形態では、コポリマーは、40%未満、又は約0.25〜約25%、若しくは約0.5〜約22%の範囲のアイソタクチックポリプロピレンの結晶化度を有する。プロピレン系エラストマーの実施形態は、約4又は約6の下限から約8又は約10又は約12の上限のタクティシティー指数m/rを有し得る。一部の実施形態では、0%より大きい、又は約50%若しくは約25%の上限と、約3%若しくは約10%の下限とを有する範囲内のアイソタクティシティー(isotacticity)指数を有する。
【0012】
プロピレン系エラストマーは、DSCにより測定したところ、単ピーク融解転移を有し得る。一実施形態では、コポリマーは約90℃以下の一次ピーク転移を有し、融解転移のブロード端部は約110以上である。ピーク「融点」(「T
m」)をサンプルの融解の範囲内の最大熱吸収の温度と定義する。しかしながら、コポリマーは、主ピークに隣接し、及び/又は融解転移端部に二次融解ピークを示し得る。この開示の目的では、該二次融解ピークを合わせて単一融点とみなし、これらのピークの最高をプロピレン系エラストマーのT
mとみなす。プロピレン系エラストマーは、約105℃以下、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、又は約70℃以下のT
mを有し得る。一部の実施形態では、プロピレン系エラストマーは、約25〜約105℃、約60〜約105℃、約70〜約105℃、又は約90〜約105℃のTmを有する。
プロピレン系エラストマーは、ASTM D1505によって室温で測定したところ、約0.850〜約0.920g/cm
3、又は約0.860〜約0.880g/cm
3の密度を有し得る。
プロピレン系エラストマーは、ASTM D1238によって2.16kg、190℃で測定したところ、少なくとも約1g/10分のMIを有し得る。一部の実施形態では、プロピレン系エラストマーは、約25g/10分、約40g/10分、約60g/10分、約80g/10分、約100g/10分、約150g/10分、約200g/10分、又は約300g/10分の下限から、約15,000g/10分、10,000g/10分、5,000g/10分、2,000g/10分、約1500g/10分、約1200g/10分、約1000g/10分、約800g/10分、約600g/10分、約500g/10分、又は約400g/10分の上限のMIを有し得る。
プロピレン系エラストマーは、ASTM D412によって測定したところ約2000%未満、約1000%未満、又は約900%未満の破断点伸びを有し得る。
プロピレン系エラストマーは、約5,000〜約5,000,000g/モル、約10,000〜約1,000,000g/モル、約20,000〜約750,000g/モル、約30,000〜約400,000g/モルの質量平均分子量(Mw)を有し得る。
プロピレン系エラストマーは、約2,500〜約250,000g/モル、約10,000〜約250,000g/モル、又は約25,000〜約200,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有し得る。
プロピレン系エラストマーは、約10,000〜約7,000,000g/モル、約80,000〜約700,000g/モル、又は約100,000〜約500,000g/モルのz平均分子量(Mz)を有し得る。
プロピレン系エラストマーは、約1.5〜約20、又は約1.5〜約15、好ましくは約1.5〜約5、さらに好ましくは約1.8〜約3、最も好ましくは約1.8〜約2.5の分子量分布(「MWD」)を有し得る。
【0013】
コモノマー含量は、プロピレン系エラストマーが約75J/g未満の融解熱、約105℃以下の融点、及びアイソタクチックポリプロピレンの結晶化度の約2%〜約65%の結晶化度、及び少なくとも約25g/10分のメルトインデックス(MI)を有するように調整可能である。プロピレン系エラストマーは、WO 02/36651、米国特許第6,992,158号、及び/又はWO 00/01745(これらの内容を参照によってここに援用する)に記載された手順に従って調製されるコポリマーを含み得る。プロピレン系エラストマーの好ましい調製方法は、その内容を参照によってここに援用する米国特許第7,232,871号及び第6,881,800号で見つけられる。本発明は、プロピレン系エラストマーを調製するためのいずれの特定の重合方法によっても限定されず、重合プロセスは、いずれの特定タイプの反応容器によっても限定されない。
適切なプロピレン系エラストマーは、商標名VISTAMAXX
TM(ExxonMobil Chemical Company, Texas, USA)、VERSIFY
TM(The Dow Chemical Company, Michigan, USA)、特定グレードのTAFMER
TM XM又はNOTIO
TM(Mitsui Company, Japan)、及び特定グレードのSOFTEL
TM(Basell Polyolefins of the Netherlands)で商業的に入手可能である。本発明で使用するのに適した特定グレードの商業的に入手可能なプロピレン系エラストマーは、当技術分野で一般的に知られている方法を用いて容易に決定し得る。
【0014】
熱可塑性ポリオレフィン
本発明の一部の実施形態では、カーペットの第1バッキング層、中間層、及び/又は第3層は、少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含み得る。第3層及び中間層の熱可塑性ポリオレフィンは、第1バッキング層のプロピレン系エラストマーと同一又は異なってよい。熱可塑性ポリオレフィンのタイプ及び量に応じて、熱可塑性オレフィンを含んでなる最終構造は、熱可塑性、エラストマー、又は熱可塑性エラストマー特性を有し得る。
カーペットに用いるのに適した熱可塑性ポリオレフィンには、熱可塑性の結晶性ポリオレフィンホモポリマー及びコポリマーが含まれる。それらは望ましくは2〜7個の炭素原子を有するモノオレフィンモノマー、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン、その混合物並びにその(メタ)アクリレート及び/又は酢酸ビニルとのコポリマー等から調製される。しかしながら、3〜6個の炭素原子を有するモノマーが好ましく、プロピレンが最も好ましい。
一部の実施形態では、熱可塑性ポリオレフィンは、官能化エチレンコポリマー、好ましくは無水マレイン酸官能化エラストマーエチレンコポリマー、例えば、商標名EXXELOR
TM(ExxonMobil Chemical Company, Texas, USA)で商業的に入手可能なものであり得る。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲では、用語ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマーのみならず、プロピレンを含むコポリマーを包含する。プロピレンを含むコポリマーは、ポリプロピレンのリアクタコポリマー(反応ブレンド)及び94質量%より多くのプロピレンを含有し、残りは上記コモノマー(プロピレン以外)から選択され、好ましくはエチレンであるランダムコポリマーを意味する。典型的に、ポリプロピレンとエチレンのランダムコポリマーは、約1〜約6wt%、好ましくは約6wt%未満のエチレン及び/又は約1〜約30wt%の、炭素原子数4〜16のαオレフィンコモノマー、及びその混合物を含有する。ポリプロピレンは高い結晶性のアイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンであり得る。本発明の実施に商業的に入手可能なポリオレフィンを使用してよい。本発明に関して使用できるさらなるポリオレフィンは、高密度、低密度、直鎖状低密度、極低密度ポリエチレン並びにエチレンと(メタ)アクリレート及び/又は酢酸ビニルのコポリマーである。
上記熱可塑性ポリオレフィンは、メタロセン触媒によって、コモノマーとしてブテン、ヘキセン又はオクテンを用いて得られるポリエチレンコポリマー等のポリオレフィンを含め、従来のチーグラー・ナッタ触媒系又はシングルサイト触媒系によって製造することができる。ポリエチレンコポリマー中に存在するコモノマーの量は、コポリマーの密度を決定する。メタロセンポリマー又はプラストマーは、メタロセンとして知られる分類の周知な高活性オレフィン触媒を用いて調製されるポリマー又はプラストマーを意味する。これらの触媒、特にジルコニウム、チタン及びハフニウム等のIVB族の遷移金属に基づくものは、エチレン重合で高活性を示す。メタロセン触媒は、触媒組成及び反応条件の操作によって、約200程度の低分子量から約100万以上の高分子量及び極端に狭い乃至広い分子量分布に調節できるポリオレフィンを提供し得るという点で融通も利く。メタロセン触媒は、制御された超均一及び超ランダム特殊コポリマーの製造に有用である。例えば、極低密度ポリエチレン(VLDPE)等の低密度エチレンコポリマーをメタロセンを用いて製造する場合、従来のチーグラー触媒を用いる共重合で製造されるポリマーとは対照的に、超均一及び超ランダム共重合が起こるであろう。
【0016】
フィラー
本発明のカーペットの1つ以上の層はフィラーを含んでよい。別の実施形態では、第2及び/又は第3層はフィラーを含み得る。フィラーとして有用な本明細書に記載の分類の材料は単独で利用することができ、又は混合して所望特性を得ることができる。いずれの実施形態でも、フィラーは、層の総質量に基づいて、約80wt%まで、好ましくは約70wt%まで、さらに好ましくは約60wt%〜約65wt%で存在し得る。
望ましいフィラーは有機フィラー及び/又は無機フィラーであり得る。有用なフィラーとしては、カーボンブラック、フライアッシュ、グラファイト、セルロース、デンプン、小麦粉、木粉、及びポリエステル系、ポリアミド系材料等のポリマー繊維が挙げられる。フィラーの好ましい例は、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、ガラス繊維、大理石粉塵、セメント粉塵、クレイ、長石、シリカ又はガラス、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸塩、クレイ、ナノクレイ、有機変性クレイ又はナノクレイ、ガラス微小球及びチョークである。一部の実施形態では、カーペットの1つ以上の層は、カーペットの難燃性を改善するためのフィラー、例えばアルミニウム三水和物又は炭酸カルシウム等を含む。
【0017】
カーペットの層
本明細書に記載のカーペットは、表面と裏面を有する第1バッキング層を含み、この第1バッキング層には、複数の繊維が付着され、これらの繊維は第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長している。第1バッキング層の裏面に第2層が付着され、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を固定する。一部の実施形態では、カーペットは、第2層の、第1バッキング層とは反対側の裏面に第3層をさらに含む。一部の実施形態では、カーペットは、第2層と第3層との間にさらに補強層を含む。
一部の実施形態では、第1バッキング層は、上述したとおりの熱可塑性ポリオレフィンを含み得る。他の実施形態では、第1バッキング層は、二成分フィラメントを含む不織層であり得る。例えば、第1バッキング層は、ポリエチレンテレフタレートコアとポリアミド又はポリプロピレン外皮/シースとを有する二成分連続フィラメントを含み得る。
表糸は種々の材料を含んでよく、限定するものではないが、ポリプロピレン、ナイロン、ウール、綿、アクリル、ポリエステル及びポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
カーペットの第2層は、上述したように1種以上の異なるプロピレン系エラストマーを含み得る。例えば、カーペットの第2層は少なくとも1種のプロピレン系エラストマーを含み、これは該プロピレン系エラストマーの質量の少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位及び約5〜約25wt%のエチレン誘導単位を含み、該プロピレン系エラストマーは約75J/g未満の融解熱を有する。
一部の実施形態では、第2層は、1種より多くのプロピレン系エラストマーを含んでよく、それぞれ例えば異なるコモノマー又はコモノマー含量等の1つ以上の異なる特性を有する。種々のプロピレン系エラストマーの該組み合わせは全て本発明の範囲内である。
一部の実施形態では、第3層も1種以上のプロピレン系エラストマーを含む。他の実施形態では、第3層は少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含む。リサイクルを容易にするため熱可塑性ポリオレフィンから第3層を製造するのが好ましく、この熱可塑性ポリオレフィンは第2層のプロピレン系エラストマーと同一でも異なってもよい。
一部の実施形態では、補強層は熱可塑性ファブリック及び繊維ガラスの少なくとも1つを含み得る。
【0018】
一部の実施形態では、カーペットは、表面と裏面を有する第1バッキング層を含み、この第1バッキング層には複数の繊維が付着され、これらの繊維は第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長している。プレコート層として作用する第2層を第1バッキング層の裏面に付着させて、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を固定することができる。該実施形態では、第2層はラテックスを含み得る。カーペットはさらに、第2層の、第1バッキング層と反対側の裏面に中間層を含み、この中間層の、第2層と反対側の裏面に第3層を含む。中間層及び第3層は、本明細書に記載どおりのプロピレン系エラストマーを含み得る。カーペットは、中間層と第3層の間にさらに補強層を含み得る。
一部の実施形態では、カーペットは、表面と裏面を有する第1バッキング層を含み、この第1バッキング層には複数の繊維が付着され、これらの繊維は第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長している。第1バッキング層の裏面に第2層を付着させて、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を固定することができる。該実施形態では、第2層は、本明細書に記載どおりのプロピレン系エラストマーを含み得る。カーペットはさらに、第2層の、第1バッキング層と反対側の裏面に中間層を含み、この中間層の、第2層と反対側の裏面に第3層を含む。中間層及び第3層は、本明細書に記載どおりのプロピレン系エラストマーを含み得る。カーペットは、中間層と第3層の間にさらに補強層を含み得る。
一部の実施形態では、カーペットは、表面と裏面を有する第1バッキング層を含み、この第1バッキング層には複数の繊維が付着され、これらの繊維は第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長している。第1バッキング層の裏面に第2層を付着させて、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を固定することができる。カーペットはさらに、第2層の、第1バッキング層と反対側の裏面に第3層を含む。第3層は、本明細書に記載どおりのプロピレン系エラストマーを含み得る。カーペットは、第2層と第3層の間にさらに中間層を含み得る。該実施形態では、カーペットは中間層を含まなくてよい。
一部の実施形態では、18〜28oz/yd
2(約612〜952g/m
2のラテックス)の量で存在するラテックスプレコート層を含む従来のカーペットに比し、プロピレン系エラストマーを含有する本発明の第2層又は中間層は、カーペットにラテックスを使用する必要性を実質的に排除することができる。例えば、該実施形態では、カーペットは、微量の、150g/m
2以下のラテックス、又は100g/m
2以下のラテックス、又は50g/m
2以下のラテックス、又は20g/m
2以下のラテックス、又は0g/m
2のラテックスを含み得る。
【0019】
カーペットの製造方法
カーペットの製造方法をも提供する。カーペットの製造方法は下記工程:(a)表面と裏面を有する第1バッキング層に、この第1バッキング層に付着され、第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長する複数の繊維を設ける工程;(b)第1バッキング層の裏面に第2層を適用する工程(この層は少なくとも1種のプロピレン系エラストマーを含み、このプロピレン系エラストマーは、該プロピレン系エラストマーの質量の少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位及び約5〜約25wt%のエチレン誘導単位を含み、約75J/g未満の融解熱を有する);及び(c)第2層が、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を実質的に固定するカーペットを形成する工程を含み得る。
いずれの従来のタフティング又はニードルパンチング装置及びステッチパターンをも使用することができる。タフテッド糸ループをカットせずに残してループパイルを作るか;カットしてカットパイルを作るか;又はカットし、部分的にカットし、カットせずに、先端が刈り込まれた(tip-sheared)として知られる表面テクスチャーを作ることができる。
糸を第1バッキング層にタフト又はニードルパンチした後、典型的に、外側に向いている第1バッキング層の裏面と共に生地反を巻き、生地反がバッキングラインに移行するまで保持する。
好ましい実施形態では、生地反を擦って磨くか又は洗浄した後、その上に第2層を押し出す。特に、タフト又はニードルパンチしてカーペットを作る糸は、糸製造プロセスからその上に残る各種量の加工材料、最も一般的にはスピン仕上げ薬品として知られる油性又は蝋様化学薬品を有することが多い。プロピレン系エラストマーを含む第2層を第1バッキング層の裏面に押し出す前にこれらの加工材料の全て又は実質的に全てを除去するか又は移すのが好ましいことが分かった。
第2層は、押出コーティング及びシートラミネーションを含めた種々の方法で適用することができ、好ましい方法は、プロピレン系エラストマーの押出シートを用いて、その上に第3層を押出コーティング又はシートラミネーションする工程を含む。特に、カーペットと同じくらいの幅のシートを作るように、ダイを介して溶融プロピレン系エラストマーを押し出すのが好ましい。溶融押出シートを第1カーペットバッキング層の裏面に適用する。シートは溶融状態なので、シートは糸の形状に適合し、さらにループを第1バッキングに固定するのに役立つ。
【0020】
押出コーティング構成には、単層T型ダイ、シングルリップダイ共押出コーティング、デュアルリップダイ共押出コーティング、及び多段階押出コーティングがある。
押出プロセスのライン速度は、押し出す特定ポリマー、使用する的確な機器、及び適用するポリマーの質量等の因子によって決まるであろう。押出コーティング溶融温度は主に、押し出す特定ポリマーによって決まる。
第2層を利用して糸を適所に被包かつ固定し得るので、この層は、例えば、約25g/10分、約40g/10分、約60g/10分、約80g/10分、約100g/10分、約150g/10分、約200g/10分、又は約300g/10分の下限から、約15000g/10分、約1500g/10分、約1200g/10分、約1000g/10分、約800g/10分、約600g/10分、約500g/10分、又は約400g/10分の上限の十分高いMI(十分低い溶融粘度)を有して、糸の被包及び固定を促進することができる。
予熱器等の補助機器を使用することができる。特に、対流式オーブン又は赤外線パネル等の加熱器を用いて生地反の裏を加熱した後、その上に第2層を押し出す。そのようにすると、糸束の被包及び固定を強化できることが分かった。
押出ポリマーは純使用してよく、或いは1種以上の添加剤を含めることができる。好ましい添加剤は無機フィラーである。該フィラーの例としては、限定するものではないが、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、及び重晶石が挙げられる。無機鉱物フィラーは糸の被包及び固定を改善し、同様に押出コーティングカーペットサンプルのタフト結合強度及びタフトロック強度の性能を改善することができる。好ましくは、押出層の総質量に基づいて、約80wt%まで、好ましくは約70wt%まで、さらに好ましくは約60wt%〜約65wt%のレベルでフィラーを添加する。本発明の第2層のためには、難燃剤として働き得るフィラー、例えばアルミニウム三水和物又は炭酸カルシウム等が好ましい。
含めてもよい他の添加剤としては、立体障害フェノール、立体障害アミン及びホスファイト等の酸化防止剤を使用し得る。他の可能な添加剤としては、ブロッキング防止添加剤、顔料及び着色料、帯電防止剤、粘着付与剤(例えば芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、例えば、商標名ESCOREZ
TM(ExxonMobil Chemical Company, Texas, USA)で市販されているもの)、相溶化剤(官能化エチレンコポリマー、好ましくは無水マレイン酸官能化エラストマーエチレンコポリマー、例えば、商標名EXXELOR
TM(ExxonMobil Chemical Company, Texas, USA)で市販されているもの)、加工助剤(ステアリン酸等)、抗菌剤(四級アンモニウム塩等)、チルロールリリース添加剤(脂肪酸アミド等)及び他の助剤(例えばメタロセン系ホモポリマー、例えば、商標名ACHIEVE
TM(ExxonMobil Chemical Company, Texas, USA)で市販されているもの)が挙げられる。
【0021】
上述したように、カーペットは第3層を含んでもよい。第3層は、後の工程で、押出層の少なくとも最外部の予熱及び/又は再融解によって、或いは少なくとも2つの専用押出機を用いる共押出コーティング技術によってラミネートすることができる。
本明細書で述べる押出バッキングカーペット構成及び方法は、カーペットタイルの製造に特に適している。一実施形態では、第1バッキング層の上部にカーペットパイル面を残し、第1バッキングの下にバックステッチを残すように、糸を第1バッキング層にタフトする。第1バッキング層の裏面及びバックステッチに、プロピレン系エラストマーを含む第2層を適用する。好ましくは、第2層はさらにフィラーを含む。フィラーは、押出層の総質量に基づいて約60wt%の充填率を有するアルミニウム三水和物であってよい。
好ましい実施形態では、カーペットは、150g/m
2以下のラテックス、100g/m
2以下のラテックス、50g/m
2以下のラテックス、20g/m
2以下のラテックス、又は0g/m
2のラテックスを含む。
カーペットタイルを製造するとき、第2層と第3層の間に補強層を埋め込むと好ましい。カーペットタイルの重要な特性は、寸法安定性、すなわち、タイルのサイズと平坦性を経時的に維持するタイルの能力である。この補強材料層を含めると、この好ましい実施形態に従って製造されたカーペットタイルの寸法安定性を高めることが分かった。補強層に適した材料としては、寸法安定性かつ熱安定性のファブリック、例えばガラス繊維、並びに熱可塑性ファブリック(例えば、ポリプロピレン、ナイロン及びポリエステル)が挙げられる。任意に、第2層と補強層の間に、好ましくは、これも熱可塑性ポリオレフィン製の中間層が存在してよく、この熱可塑性ポリオレフィンは第2層のプロピレン系エラストマーと同一又は異なってよい。
カーペットタイルは典型的に、バッキングカーペットの長さを作り出してからこのカーペットを適切なサイズの正方形にカットすることによって製造される。最も一般的なサイズには、18インチ(45.7cm)四方、24インチ(約61.0cm)四方、又は50cm四方がある。
本明細書に記載のカーペットは典型的に、主にラテックスを含む現在のプレコートと、熱可塑性ラミネート層との両方に取って替わる単層のプロピレン系エラストマーを用いて表糸を適所に実質的に固定することによって、タフト結合強度及びタフトロック強度を含めた改善された特性、並びに信頼できる構成を有し得る。好ましくはラテックスのないカーペットは、水にさらされたときに、このような改善された糸接着を示し得ることをも期待できる。これは、従来のカーペットでは起こるように、タフト結合及びタフトロックの損失につながるラテックスの分解がほとんどないからであろう。一方、プロピレン系エラストマーが充填されると、プロピレン系エラストマーは、カーペットの難燃性をさらに向上させ得る。高度に充填されたときでさえ、プロピレン系エラストマーはまだ可撓性及び耐久性を保ち、他のカーペット成分への接着及び強靱性を高めることができる。
【0022】
典型的実施形態として、下記パラグラフに記載のものが挙げられる。
実施形態A:下記:(a)表面と裏面を有する第1バッキング層;(b)第1バッキング層に付着され、第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長する複数の繊維;及び(c)第1バッキング層の裏面に付着され、少なくとも1種のプロピレン系エラストマーを含む第2層(このプロピレン系エラストマーは、該プロピレン系エラストマーの質量の少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位及び約5〜約25wt%のエチレン誘導単位を含み、約75J/g未満の融解熱を有する)を含んでなるカーペットであって、第2層が、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を実質的に固定している、カーペット。
実施形態B:カーペットが150g/m
2以下のラテックスを含む、実施形態Aのカーペット。
実施形態C:カーペットが100g/m
2以下のラテックスを含む、実施形態A又はBのカーペット。
実施形態D:カーペットが50g/m
2以下のラテックスを含む、実施形態A〜Cのいずれかのカーペット。
実施形態E:カーペットが20g/m
2以下のラテックスを含む、実施形態A〜Dのいずれかのカーペット。
実施形態F:カーペットが0g/m
2のラテックスを含む、実施形態A〜Eのいずれかのカーペット。
実施形態G:繊維が、ポリプロピレン、ナイロン、ウール、綿、アクリル、ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレートの少なくとも1種を含む、実施形態A〜Fのいずれかのカーペット。
実施形態H:第1バッキング層が少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含む、実施形態A〜Gのいずれかのカーペット。
実施形態I:第2層がさらにフィラーを含む、実施形態A〜Hのいずれかのカーペット。
実施形態J:フィラーが難燃剤である、実施形態Iのカーペット。
実施形態K:フィラーがアルミニウム三水和物である、実施形態I又はJのカーペット。
実施形態L:第2層の、第1バッキング層の反対側に付着された第3層をさらに含む、実施形態A〜Kのいずれかのカーペット。
実施形態M:第3層が少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含む、実施形態Lのカーペット。
実施形態N:第3層がさらにフィラーを含む、実施形態Mのカーペット。
実施形態O:第2層と第3層の間に補強層が存在する、実施形態L〜Nのいずれかのカーペット。
実施形態P:補強層が、熱可塑性ファブリック及びガラス繊維の少なくとも1つを含む、実施形態Oのカーペット。
実施形態Q:第2層と補強層の間に中間層が存在する、実施形態O〜Pのいずれかのカーペット。
実施形態R:中間層が少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含む、実施形態Qのカーペット。
実施形態S:下記工程:(a)表面と裏面を有する第1バッキング層に、この第1バッキング層に付着され、該第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長する複数の繊維を設ける工程;(b)第1バッキング層の裏面に第2層を適用する工程(この第2層は少なくとも1種のプロピレン系エラストマーを含み、このプロピレン系エラストマーは、該プロピレン系エラストマーの質量の少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位及び約5〜約25wt%のエチレン誘導単位を含み、約75J/g未満の融解熱を有する);及び(c)第2層が、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を実質的に固定するカーペットを形成する工程を含んでなるカーペットの製造方法。
実施形態T:工程(b)で、押出コーティング又はシートラミネーションによって第2層を第1バッキング層の裏面に適用する、実施形態Sの方法。
実施形態U:下記:(a)表面と裏面を有する第1バッキング層(この第1バッキング層は少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含む);(b)第1バッキング層に付着され、第1バッキング層の表面からも裏面からも伸長する複数の繊維;(c)少なくとも1種のプロピレン系エラストマーとアルミニウム三水和物とを含んでなる、第1バッキング層の裏面に付着された第2層(プロピレン系エラストマーは、該プロピレン系エラストマーの質量の少なくとも約60wt%のプロピレン誘導単位及び約5〜約25wt%のエチレン誘導単位を含み、かつプロピレン系エラストマーは約75J/g未満の融解熱を有する)(d)第2層の、第1バッキング層の反対側に付着された第3層(この第3層は少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィンを含む);及び(e)第2層と第3層の間の補強層(この補強層は、熱可塑性ファブリック及びガラス繊維の少なくとも1つを含む)を含んでなるカーペットであって、第2層が、第1バッキング層の裏面から伸長する複数の繊維を実質的に固定しており、かつカーペットが0g/m
2のラテックスを含むカーペット。
【実施例】
【0023】
実施例
下記非限定例を参照して前述の考察についてさらに述べることができる。これらの例は、ベルクロ(登録商標)ローラー試験において、サンプル1及び2によるカーペットの糸接着特性に及ぼすプロピレン系エラストマーの効果を示す。サンプル1は、100wt%のVistamaxx
TM 2330プロピレン系エラストマー製の第2層を有するカーペットサンプルであり、サンプル2は、60wt%のアルミニウム三水和物(ATH)を充填したVistamaxx
TM 2330プロピレン系エラストマー製の第2層を有するカーペットサンプルである。比較のために糸のみで覆われる領域を確保した。ここでは百分率は第2層の総質量に基づく。サンプル1及び2の表面に対して前後に20回ベルクロ(登録商標)型ツールを転がすことによって試験を行なった。結果として生じた、2つのサンプルの裏面と表面の外観を調べた。
図2に、プロピレン系エラストマーの被覆がある領域では表面の外観が維持されたが、プロピレン系エラストマーの被覆がない領域には擦り切れ又はけば立ちが形成されたこと示す。これはプロピレン系エラストマーを含む第2層に起因する糸の良い接着を反映している。サンプル1とサンプル2を比較することによって、フィラーの存在が糸接着に顕著な相違をもたらさないことも分かる。
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順を含めて参照により本明細書に援用される。本明細書で数的下限及び数的上限を列挙している場合、いずれもの下限からいずれもの上限までの範囲を企図している。前述の一般的記載及び特定の実施形態から明らかなように、本発明の形態を例示及び記述したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更形態を構成することができる。従って、本発明は例示形態によって限定されるものではない。
下記非限定例を参照して前述の考察についてさらに述べることができる。これらの例は、ベルクロ(登録商標)ローラー試験において、サンプル1及び2によるカーペットの糸接着特性に及ぼすプロピレン系エラストマーの効果を示す。サンプル1は、100wt%のVistamaxx
2330プロピレン系エラストマー製の第2層を有するカーペットサンプルであり、サンプル2は、60wt%のアルミニウム三水和物(ATH)を充填したVistamaxx
2330プロピレン系エラストマー製の第2層を有するカーペットサンプルである。比較のために糸のみで覆われる領域を確保した。ここでは百分率は第2層の総質量に基づく。サンプル1及び2の表面に対して前後に20回ベルクロ(登録商標)型ツールを転がすことによって試験を行なった。結果として生じた、2つのサンプルの裏面と表面の外観を調べた。
に、プロピレン系エラストマーの被覆がある領域では表面の外観が維持されたが、プロピレン系エラストマーの被覆がない領域には擦り切れ又はけば立ちが形成されたこと示す。これはプロピレン系エラストマーを含む第2層に起因する糸の良い接着を反映している。サンプル1とサンプル2を比較することによって、フィラーの存在が糸接着に顕著な相違をもたらさないことも分かる。
本明細書に記載の全ての文書は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順を含めて参照により本明細書に援用される。本明細書で数的下限及び数的上限を列挙している場合、いずれもの下限からいずれもの上限までの範囲を企図している。前述の一般的記載及び特定の実施形態から明らかなように、本発明の形態を例示及び記述したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更形態を構成することができる。従って、本発明は例示形態によって限定されるものではない。