【解決手段】ノズル体30は、ボディ32と、工作機械の主軸に装着されるシャンク31と、シャンクに突設して設けられ、ボディに回転自在に支持される軸体33と、軸体の外周上に設けられた環状通路37と、軸体の先端部に設けられた噴口33Dと、軸体の内部に設けられ、噴口と環状通路とを連通する第1の通路39と、ボディに設けられた回り止め34と、ボディに設けられ、回り止めに開口し、環状通路に連通する第2の通路36と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の工作機械のタレット台14周りの構成、及びノズルの取り付け周囲の構成が複雑であった。そのため、バルブ部材及びノズルの交換、並びにノズルと切削工具との位置の入れ替えは時間を要した。また、ノズルは、工具ホルダーに挿入されたシャフトノズルに取り付けられている。そして、シャフトノズルは、工具ホルダーまたはスピンドルと離間した位置でハウジング66に支承されているため、その回転の振れが大きくなる場合があった。
【0005】
本発明は、切削工具との入れ替えが容易であり、振れの小さなノズル体と、構成が単純なタレット台を備える工作機械を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明は、ノズル体であって、ボディと、工作機械の主軸に装着されるシャンクと、前記シャンクに突設して設けられ、前記ボディに回転自在に支持される軸体と、前記軸体の外周上に設けられた環状通路と、前記軸体の前記シャンクと反対側の先端部に設けられた噴口と、前記軸体の内部に設けられ、前記噴口と前記環状通路とを連通する第1の通路と、前記ボディに設けられた回り止めと、前記ボディに設けられ、前記回り止めに開口し、前記開口と前記環状通路とを連通する第2の通路と、を備えている。
【0007】
上記構成によれば、シャンクと、噴口が取り付けられた軸体が、工作機械の主軸に取り付けられるシャンクに突設して設けられているため、ノズル体が工作機械に取り付けられた状態において、振れの小さいノズル体が得られる。そして、クーラントは、回り止めに開口して設けられた第2の通路から供給され、環状通路と第1の通路とを介して噴口へ供給される。クーラントの通路がノズル体に組みこまれているため、ノズル体は主軸のシャンク穴に装着または脱着するだけでその取り付け位置を交換出来る。
【0008】
本発明のノズル体は、好ましくは、前記軸体は、前記ボディ内部に設けられた軸体基部と、前記噴口を有する洗浄ノズルと、前記軸体基部と前記洗浄ノズルを締結する締結体と、から構成されている。
【0009】
噴口は、内部を流通する流体によって摩耗するところ、上記構成によれば、軸体を、非消耗部である軸体基部と、消耗部である洗浄ノズルとに分割できるため、メンテナンスしやすいノズル体を提供できる。また、経済的に有利なノズル体を提供できる。
【0010】
本発明のノズル体は、好ましくは、前記締結体は、外面に第1のテーパ面を有するコレットと、受容部であって、前記第1の通路を取り囲むように前記軸体基部に設けられ、前記受容部の開口部に前記第1のテーパ面と当接する第2のテーパ面を有し、前記洗浄ノズルが挿入される受容部と、前記軸体基部に設けられる雄ねじ部と、前記雄ねじ部とねじ締結して、前記コレットを締結するナットと、から構成されている。
【0011】
上記構成によれば、洗浄ノズルは、受容部に挿入され、コレットで締結されるため、簡潔に、かつ確実に軸体基部に締結される。
【0012】
本発明は、好ましくは、前記シャンクは、主軸の主軸穴に嵌合するテーパシャンクと、キー溝を有するフランジを有し、前記軸体は、前記洗浄ノズルと前記軸体基部との回転方向の位相を合わせるキーを有している。
【0013】
上記構成によれば、洗浄ノズルがフランジに設けられたキー溝と関連して固定される。ノズルが主軸の原点に対して確実に同一の角度にノズルが取り付けられる。そのため、ノズルが指向性をもつときにおいて、主軸の角度割り出しによって、ノズルを被洗浄物に対向させられる。指向性をもつノズルとしては、例えば扇形噴射ノズルや、横向き噴射ノズルがある。
【0014】
本発明の工作機械は、上述のノズル体を装着可能に構成された工作機械であって、クーラント供給源と、旋回軸を中心に旋回自在に支持されるタレットと、前記タレットに設けられ、前記シャンクと嵌合する主軸穴を有する主軸と、前記回り止めを挿入される挿入穴と、前記挿入穴に設けられた第1の流体出口と、前記第1の流体出口と連通する第1の流体入口と、を有し、前記挿入穴が前記主軸穴に隣り合うように前記タレットに設けられる位置決めブロックと、第2の流体出口が設けられ、前記タレットに固定される中空形状の回転部と、前記回転軸を中心に回転可能に前記回転部の内部に支承され、第2の流体入口が設けられる固定部と、を有する回転継手と、前記第2の流体入口と前記クーラント供給源とを接続する第1の配管と、前記第2の流体出口と前記第1の流体入口とを接続する第2の配管と、を備えている。
【0015】
上記構成によれば、タレットの旋回軸を中心に回転する回転継手を介して、クーラント供給源から供給されたクーラントを、位置決めブロックに供給できる。そして、上述のノズル体のシャンクと嵌合する主軸穴を有する主軸と、回り止めを挿入される位置決めブロックがタレットに設けられているため、ノズル体を主軸に装着できる。この主軸穴には、刃具を固定した工具ホルダーをも取り付けできるため、工具とノズル体との取り付け位置を容易に交換できる。タレット周りが簡易に構成されているため、設計自由度およびメンテナンス性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、切削工具との入れ替えが容易であり、振れの小さなノズル体を提供できる。また、上記ノズル体を装着でき、構成が簡易なタレット台を備える工作機械を提供できる。本発明のノズル体を装着した工作機械は、洗浄機として機能させることができるため、一台で加工と洗浄の両工程を実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
図1に従って、本実施形態の工作機械10について説明する。
図1は、工作機械10の一部を、タレット14の旋回軸13を通過する垂直面で切断した断面によって示す、模式図である。工作機械10は、タレット式の工作機械である。工作機械10としては、マシニングセンタ、回転工具を装着できるタレット型複合加工機などを使用できる。タレット14は、ベッド(不図示)に配置された移動装置(不図示)に、旋回軸13を中心に旋回自在に装架される。タレット14には、複数の主軸15が配置される。主軸15には、主軸穴15Aが設けられている。工具ホルダー23に装着された回転刃物24、後述のノズル体30が主軸穴15Aに装着される。
【0019】
工作機械10は、タレット14を旋回して回転刃物24を割り出す。工作機械10は、回転刃物24を用いてワークWを切削加工する。切削加工終了後、タレット14を旋回し、ノズル体30を割り出す。クーラント供給源11から供給されるクーラントをノズル体30から噴出して、ワークWにクーラントを吹き付けることにより、ワークWを洗浄する。このときに、工作機械10は、例えば、ワークWに加工した穴Hへノズル体30を回転しながら挿入し、穴Hの内面に付着した切屑等を除去する。
【0020】
回転継手18は、タレット14の先端側(
図1の左側)に設けられている。回転継手18は、回転部であり、中空円筒状のハウジング18Aと、ハウジング18Aの内部に軸支された固定部である軸体18Bとで構成されている。
【0021】
軸体18Bは、略円筒状をなしており、先端に設けられた大径のフランジ18B3と、胴部18B4とを有している。軸体18Bは、旋回軸13を中心として、ベアリング18Eによって、回転可能なハウジング18Aに支持されている。フランジ18B3は、タレット14の基端部であり、回転しない部分に取り付けられたブラケット44によって、その回転が固定されている。胴部18B4の外筒面は、滑らかに仕上げられ、ハウジング18Aの内筒面18A3に回転接触するように構成されている。胴部18B4の外周に環状の通路18Cの壁面を構成する流体通路溝18B5が複数設けられている。流体通路溝18B5とハウジング18Aの内筒面18A3とで形成された環状の空間が、環状の通路18Cを形成する。それぞれの流体通路溝18B5の間、及び最も外側の流体通路溝18B5の外側には、流体通路溝18B5と離間するように更に円周上にパッキン溝18B6が設けられている。パッキン溝18B6には、円環状のパッキン18Dがそれぞれ設けられている。フランジ18B3には、通路18Cと同数の流体入口18B1が設けられている。軸体18Bには、一つの流体入口18B1と一つの通路18Cとをそれぞれ連通するように、流体入口18B1と同数のコの字状の通路18B2が設けられている。
【0022】
ハウジング18Aは、旋回軸13を中心に回転するようにタレット14に固定されている。ハウジング18Aは、滑らかに仕上げられた内筒面18A3を備えている。ベアリング18Eは、内筒面18A3の両端側に設けられる。ベアリング18Eは、軸体18Bのフランジ18B3と胴部18B4の先端部を支持する。通路18A2は、回転継手が組立てられたときに、軸体18Bの円周溝18B3に対向するように、ハウジング18Aの外周面から内筒面18A3に向けて貫通するように設けられている。通路18A2の外側開口が流体出口18A1(第2の流体出口)となる。即ち、通路18A2は、一つの通路18Cと一つの流体出口18A1とをそれぞれ連通する。
【0023】
それぞれの流体入口18B1(第2の流体入口)は、通路18Cを介して、1つの流体出口18A1と連通している。クーラントである流体は、軸体18Bに設けられた流体入口18B1に流入する。流入したクーラントは、通路18B2、通路18C、通路18A2を通って、ハウジング18Aの外周面に設けられた流体出口18A1から流出する。軸体18Bは、ブラケット44で固定されているため、流体入口18B1は回転しない。このため、流体入口18B1は、クーラント供給源11とゴムホース、金属配管その他の配管(第1の配管)26に容易に固定できる。また、流体出口18A1は、タレット14に対して固定されている。このため、配管20は固定配管を利用できる。
【0024】
なお、通路18Cを形成する流体通路溝18B5、パッキン溝18B6及びパッキン18Dは軸体18Bに設けたが、これに替えてこれらをハウジング18Aに設けても良い。
【0025】
位置決めブロック17は、タレット14に、主軸穴15Aに隣り合うように設けられている。位置決めブロック17には、ノズル体30の回り止め34(
図2参照)が挿入される挿入穴17Cが設けられている。挿入穴17Cは、主軸穴15Aと平行に設けられている。挿入穴17Cの底面に設けられた流体出口17B(第1の流体出口)と、位置決めブロック17の外面に設けられた流体入口17A(第1の流体入口)とを連通する通路17Dが設けられている。挿入穴17Cには、挿入される回り止め34とのすき間を封止するシール17E(
図2参照)が設けられている。
【0026】
配管(第2の配管)20は、回転継手18の流体出口18A1と、位置決めブロック17の流体入口17Aとを接続する。配管20は、その両端をアダプタ19で固定されている。配管20は、タレット14と一体となって回転するため、金属配管などの強固な固定配管を利用できる。
【0027】
なお、配管20を設けたが、配管20に替えて、回転継手18とタレット14の内部を通る通路を設けても良い。
【0028】
工作機械10は、更にクーラント供給源11と、電磁開閉弁、流路切替弁その他のバルブ12を備えている。クーラント供給源11は、クーラントタンク(不図示)と、クーラントポンプ(不図示)とからなる。クーラントタンクは、加工領域から回収された切りくずと、クーラント液とを分離する分離装置(不図示)を備えている。クーラントポンプは、洗浄に適した圧力のクーラントを回転継手18の流体入口18B1に供給する。バルブ12は、クーラントを供給される位置決めブロック17の数と同数設けられる。クーラント供給源11とバルブ12との間、及びバルブ12と流体入口18B1との間は、それぞれゴムホース、金属配管その他の配管(第1の配管)26で接続されている。バルブ12は、クーラント供給源11から供給されるクーラントを、どの位置決めブロック17に供給するかを切り換える。
【0029】
なお、複数の開閉弁であるバルブ12をクーラントが供給される位置決めブロック17の数だけ設けることに替えて、1台の方向切換弁を設け、クーラントの供給先となる位置決めブロック17を切り換えできるように構成できる。
【0030】
図2に従って、ノズル体30について説明する。ノズル体30は、工作機械10に装着されるように構成されている。クーラント供給源11から供給されたクーラントを、噴口33Dから噴出して、ワークW(
図1参照)を洗浄する。ノズル体30は、回転する軸体33を備えており、噴口33Dの向きを割り出したり、回転したりできる。ノズル体30は、タレット式の工作機械10のみならず、自動工具交換式の工作機械にも装着できる。
【0031】
シャンク31は、主軸穴15Aに装着できるテーパシャンク31Aと、フランジ部31Bと、を備えている。フランジ部31Bには、シャンク31を主軸穴15Aに装着するときに、シャンク31の位相を合わせるためのキー溝31Cが設けられている。
【0032】
ボディ32は、軸体33を取り囲む筐体であり、工作機械10に設けられた位置決めブロック17の挿入穴17Cに嵌挿される回り止め34を備えている。ボディ32には、軸体33が挿入される円筒状の貫通穴が設けられている。貫通穴の中央部には、滑らかに仕上げられた円筒面32Bが設けられている。円筒面32Bには、流体通路溝32Cが設けられている。円筒面32Bの両端にベアリング35が設けられている。回り止め34は、中空円筒状をなしている。ノズル体が主軸穴15Aに装着されたときに、回り止め34の外周面が、挿入穴17Cに嵌り合い、挿入されるように構成されている。回り止め34の端面から、ボディ32の内部を通り、流体通路溝32Cに連通するようにL字状に通路36(第2の通路)が設けられている。
【0033】
軸体33は、略円筒状をなしている。軸体33は、シャンク31に突設し、ボディ32を貫通してシャンク31の反対側に長く突き出るように設けられている。軸体33は、ボディ32に、ベアリング35を介して回転可能に支持されている。軸体33は、ボディ32の下端付近で2体に分割されており、締結体であるボルト33Cによって、結合されている。軸体33のボディ側部分は、軸体基部33Aである。軸体33の先端側(図の下側)は、噴口33Dを備える洗浄ノズル33Bである。
【0034】
軸体基部33Aは、シャンク31と一体となって形成されている。軸体基部33Aの先端側端面の中心には、回転軸43と同軸に受容部33A1が設けられている。受容部33A1には、キー溝41が形成されている。軸体基部33Aの支持部の胴部33A2は、円筒面32Bと接触するように滑らかに形成されている。胴部33A2の外面と円周溝32Cとで形成された空間が環状通路37となっている。つまり、胴部33A2の外周には、円周上を一周するように環状通路37が設けられている。
図2に示すように、軸体基部33Aの胴部には、ボディ32の流体通路溝32Cと面するように円周溝が設けられても良い。この場合には、ボディ32に設けられた流体通路溝32Cと軸体基部33Aに設けられた2つの円周溝が区画する円環状の空間が環状通路37を形成する。逆L字状の通路39(第1の通路)は、環状通路37から半径方向に延び、回転軸43に沿って、主軸15の軸方向に軸体33の先端付近まで伸びるように設けられている。受容部33A1は、この通路39を取り囲むように設けられている。
【0035】
なお、環状通路37は、軸体33の外周部に設けられれば良く、環状通路37を構成する溝面がボディ32と軸体33のいずれに設けられていても構わない。また、通路39の半径方向に延びる部位は、胴部33A2を貫通して、胴部33A2の両側で環状通路37に開口するように設けられ、通路39がT字状をなしても良い。
【0036】
円筒面32Bの環状通路37の両側には、環状通路37と離間するように、環状のパッキン溝32Aが設けられている。このパッキン溝32Aには、円環状のパッキン38がそれぞれ設けられている。パッキン38は、クーラントが漏出し、ベアリング35の油分を流し出してベアリング35が破損することを防止する。パッキン38は、クーラントの温度、圧力及び化学的性質によってその構造、種類を選択される。
【0037】
なお、パッキン溝32Aをボディ32に設けることに替えて、パッキン溝32Aを軸体33に設けても良い。
【0038】
望ましくは、ボディ32の外周部における、ボディ32と、軸体33との間には、スクレーパ42又はパッキンが設けられる。スクレーパ42とパッキンの両方を取り付ける場合には、ボディ32の外側にスクレーパ42を、内側寄りにパッキンを設ける。
【0039】
洗浄ノズル33Bは、フランジ33B2と、フランジ33B2から回転軸43に沿って延びるように設けられている軸部33B3と、から構成されている。フランジ33B2には、挿入部33B1が突設されている。挿入部33B1は、軸体基部33Aの受容部33A1に嵌め合うように構成されている。挿入部33B1には、キー溝41が設けられている。フランジ33B2には、ボルト33Cが挿入される段付き穴33B4が設けられている。通路39は、挿入部33B1から、洗浄ノズル33Bの先端部まで、洗浄ノズル33の中央に沿って設けられている。洗浄ノズル33Bの先端部には、噴口33Dが設けられている。噴口33Dは、通路39と連通している。
【0040】
洗浄ノズル33Bは、キー溝41にキー40を挿入して、その挿入部33B1が軸体基部33Aの受容部33A1に挿入されて、位置決めされる。そして、フランジ33B2側から、ボルト33Cによって、軸体基部33Aに固定されている。
【0041】
洗浄ノズル33Bは、キー40によりその方向が、フランジ33B2によってその取り付け高さが、それぞれ位置決めされて軸体基部33Aに固定されている。このため、噴口33Dが指向性をもつ場合であっても、洗浄ノズル33Bの交換によって噴口33Dの位置がずれることなく精密に固定される。シャンク31のフランジ31Bもキー溝31Cを備えているため、ノズル体30が主軸15に装着されるときに、その位置をキー溝31Cによって制限すれば、主軸15と噴口33Dの位置が正確に割り出される。これらの作用により、指向性をもつノズル体30を用いる場合であっても、正確にその取り付け角度及び位置が保たれる。
【0042】
また、フランジ33B2と軸体基部33Aの取り付け面によって、洗浄ノズル33Bの傾きが規制される。そして、シャンク31と軸体基部33Aは一体として形成されている。このため、本実施形態のノズル体30は、回転振れが非常に小さく、噴口33Dの高さが、シャンク31に対して高い精度で組み立てられる。
【0043】
好ましくは、洗浄ノズル33Bと軸体基部33Aとの間に、Oリングその他のパッキンが設けられる。また、洗浄ノズル33に指向性がない場合、又は洗浄ノズル33がいわゆるスプレーランスであり、回転して挿入される場合には、キー溝41及びキー40を設けることを要しない。
【0044】
(作用効果)
本実施形態のノズル体30は、主軸穴15Aと、位置決めブロック17を備えているあらゆる工作機械に装着できる。位置決めブロック17に加工に用いるクーラントを供給すれば、直ちに洗浄機能を備える工作機械として利用できる。
【0045】
ノズル体30は、軸体33がシャンク31と一体として回転するため、その振れや位置精度が高い。また、ワークは、工作機械10に高い精度で固定されており、ノズル体30は、工作機械10に直接装着するため、ノズル体30の洗浄ノズル33BをワークWの穴Hに挿入するときに、非常に小さなクリアランスしかない部位であっても、ワークWと洗浄ノズル33Bとが干渉することなく、挿入できる。
【0046】
洗浄ノズル33Bに設けられた噴口33Dは、噴口33Dから噴出する流体によって摩耗する。洗浄ノズル33Bは消耗品であるところ、洗浄ノズル33Bを、非消耗部である軸体基部から脱着可能に構成されているため、ノズル体30は、メンテナンスしやすい。
【0047】
工作機械10は、ノズル体30に、位置決めブロック17を介してクーラントを供給し、ノズル体30は、主軸穴15Aに直接装着できる。このため、ノズル体30の装着箇所を変更するだけで、洗浄ノズルの取り付け位置と、回転刃物24の取付け位置とを変更できる。
【0048】
工作機械10は、加工に用いるクーラントをそのまま洗浄に利用するため、クーラントを貯留し、供給するクーラント供給源11は、一つだけで良い。勿論、クーラントタンク(不図示)も一つで良い。洗浄機及び加工機を単一の機械に統合できるため、本実施形態のノズル体および工作機械を用いれば、加工ラインを短く構成できる。クーラントタンク等の付属設備が減るため、加工ラインの設置面積を減縮できる。
【0049】
クーラントの供給先は、タレット14と離間したバルブ12によって切り替える。バルブ12は、タレットと離間しているため、加工領域と隔離した位置、例えば工作機械10のスプラッシュカバーの外部に設けることができる。電気接点等を備えているバルブ12を加工領域と隔離して設けることにより、バルブ12が飛散するクーラント、クーラント中に含まれる油分、切屑等によって損傷することを防止できる。バルブ12は消耗品であるため、その交換も容易になる。
【0050】
クーラントの通路が、配管26、回転継手18、配管20及び位置決めブロック17のみで構成され、いずれもタレット14の外部に配置されているため、通路の耐圧設計および有効断面積を自由に設計できる。そのため、求められる洗浄能力に応じて、適切にクーラントの流量及び圧力を選択できる。
【0051】
(実施形態2)
図3に従って、本発明の実施形態2のノズル体50について説明する。前述の実施形態1のノズル体30と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
ノズル体50の軸体53は、軸体基部53A、洗浄ノズル53B、及び締結体であるコレット締結体53Cから構成されている。
【0053】
洗浄ノズル53Bは、略パイプ状をなし、その中央に通路39が設けられている。洗浄ノズル53Bの先端部には、通路39と連通する噴口53Dが円周上を2分するように同じ高さに設けられている。洗浄ノズル53Bは、回転しながら穴Hへ挿入される、いわゆる洗浄ランスである。洗浄ノズル53Bは、指向性をもたない。
【0054】
軸体基部53Aの先端部分(図の下方)には、洗浄ノズル53Bが挿入される受容部53A1が設けられている。受容部53A1は、洗浄ノズル53Bが回転軸43を中心として嵌り合うように設けられている。受容部53A1の開口部には、テーパ面53C2(第2のテーパ面)が設けられている。軸体基部53Aの先端部分の外周には、雄ねじ部53C3が設けられている。
【0055】
コレット53C4は、テーパ面53C2と当接するテーパ面(第1のテーパ面)53C5を備えている。コレット53C4は、その内外周に半径方向の溝(不図示)が設けられている。コレット53C4は、ナット53C6によって、雄ねじ部53C3に先端側から締め付けられる。このとき、ナット53C6の締め付けによって、コレット53C4のテーパ面53C5が軸体基部53Aのテーパ面53C2に沿って縮径し、コレット53C4の内径が縮小する。ナット53C6の締め付け力によって、コレット53C4の内面が洗浄ノズル53Bに付勢することで、洗浄ノズル53Bが軸体基部53Aに固定される。
【0056】
噴口33Dの高さは、フランジ31Bからの高さを計測して挿入し、ナット53C6を締め付けることで調整できる。また、このときに噴口33Dの向きも、キー溝31Cに合わせて調整してナット53C6を締め付けて固定できる。勿論、
図3に示すように、洗浄ノズル53Bを受容部53A1の端面に突き当てることによって、噴口33Dの高さが一定高さになるように固定しても良い。
【0057】
なお、本実施形態においても、軸体基部53Aと洗浄ノズル53Bとの間に、キーを設けてもよい。この場合、キーによって洗浄ノズル53Bの回転方向が軸体基部53Aに位置決めされる。