特開2017-74665(P2017-74665A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017074665-ナット回し工具 図000003
  • 特開2017074665-ナット回し工具 図000004
  • 特開2017074665-ナット回し工具 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-74665(P2017-74665A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】ナット回し工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20170331BHJP
【FI】
   B25B21/00 H
   B25B21/00 540D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-217070(P2015-217070)
(22)【出願日】2015年10月16日
(71)【出願人】
【識別番号】515305979
【氏名又は名称】株式会社エムワイティープロダクツ
(72)【発明者】
【氏名】阿部 政徳
(57)【要約】
【課題】 長尺のボルトの所要の位置に、ナットを迅速に取り付けることが可能な工具を提供する。
【解決手段】 電動回転工具を接続することにより回転するように、筺体1の外部に一部が突出する位置に駆動軸7を取り付け、筺体1の内部には、歯車の組み合わせにより回転する回転体を設ける。この回転体の中心に、長尺のボルトを挿通させるため貫通孔が設けられ、さらにこの貫通孔には、ボルトに螺着したナットを嵌合し得る構造のナット収納部を設ける。これによってナットの螺着と締め付けを迅速に行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の外部に一部が突出した駆動軸と、
前記筐体内に配され、前記駆動軸と一体に取り付けられてなる第一の回転伝達手段と、
前記筐体内に配され、前記第一の回転伝達手段の回転方向を、直交する方向に変換する第二の回転伝達手段と、
前記の第二の回転伝達手段により回転する第三の回転伝達手段と、
前記第三の回転伝達手段に、一体に設けられてなる回転体と、
前記第三の回転伝達手段と前記回転体に、連通した状態で設けられてなる、ボルトを挿通するための貫通孔と、
前記貫通孔に設けられてなる、前記ボルトに螺着されたナットを嵌合するナット収納部を有し、
前記駆動軸を電動回転工具により回転させることにより、前記ナットを回転させることを特徴とする、ナット回し工具。
【請求項2】
前記ナット収納部は、前記貫通孔に着脱可能な構造を有し、交換可能であることを特徴とする、請求項1に記載のナット回し工具。
【請求項3】
前記第一の回転伝達手段、前記第二の回転伝達手段、前記第三の回転伝達手段は、傘歯車またはフェースギヤであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のナット回し工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の天井裏などに配される吊りボルトに螺着したナットを、電動回転工具により回転することで、所要の位置に配置する作業に用いる工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの建築物の天井板の裏側には、各種のケーブルなどが配設されている。そして、これを支持するためのブラケット・ラック類が、天井を構成する梁などから、一定の間隔で配される長尺の吊りボルトとナットを用いて、所要の位置に固定されている。
【0003】
また、各種の装置類のおいても、そのコンパクト化を目的に、筺体内部に、前述のような固定方法で部品を取り付けることが行われている。通常のボルト・ナットの使用方法においては、締め付けの距離、つまり、ボルトの先端に螺着されたナットを、回転して移動させる距離は、ナットの高さ少し超える程度で、ナット1箇あたりの作業時間は、作業効率の観点からは、あまり問題となることはない。
しかし、前述のような作業の場合は、ナットを移動させる距離が大きく、多数箇のナットを取り付ける必要がある。しかも、締め付けるナットの位置などの制約から、既存の電動回転工具を用いることが困難である。
【0004】
このような問題に対処する技術として、例えば特許文献1には、ネジの回転を速めることが可能なトルクレンチが開示されている。しかしながら、ここに記載されている図面などからは、前述のような用途に使用するには、なお改善の余地があると考えられる。
【0005】
また、特許文献2には、グリップを有するケース内にボルト・ナットをまわす駆動ピースと、駆動ピースを電動回転工具を回転させるためのギヤを備えた締め付け工具が開示されている。しかし。この工具は、接続して用いる回転電動工具と駆動ピースの回転軸が平行であるため、作業の場所や作業環境によっては、十分に活用できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2005−014193号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3152449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述のような課題に対処することを考慮したのもので、長尺のボルトの所要の位置に、ナットを迅速に取り付けることが可能な工具を提供することを目的とするものである
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来の同様の工具の、ギヤの構成と、ナットを嵌合させる部分の構造を再検討した結果なされたものである。
【0008】
即ち、本発明は、筐体と、前記筐体の外部に一部が突出した駆動軸と、前記筐体内に配され、前記駆動軸と一体に取り付けられてなる第一の回転伝達手段と、前記筐体内に配され、前記第一の回転伝達手段の回転方向を、直交する方向に変換する第二の回転伝達手段と、前記の第二の回転伝達手段により回転する第三の回転伝達手段と、前記第三の回転伝達手段に、一体に設けられてなる回転体と、前記第三の回転伝達手段と前記回転体に、連通した状態で設けられてなる、ボルトを挿通するための貫通孔と、前記貫通孔に設けられてなる、前記ボルトに螺着されたナットを嵌合するナット収納部を有し、前記駆動軸を電動回転工具により回転させることにより、前記ナットを回転させることを特徴とする、ナット回し工具である。
【0009】
また、本発明は、前記ナット収納部が、前記貫通孔に着脱可能な構造を有し、交換可能であることを特徴とする、前記のナット回し工具である。
【0010】
また、本発明は、前記第一の回転伝達手段、前記第二の回転伝達手段、前記第三の回転伝達手段が、傘歯車またはフェースギヤであることを特徴とする、前記のナット回し工具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるナット回し工具は、ボルトに螺着したナットを、電動回転工具により回すことが可能なので、ナットの移動や締め付けを迅速に行うことができる。また、ナットの回転軸と電動回転工具の回転軸を直交させた構造なので、使用場所の制約をより小さくでき、着脱可能なナット収納部を有するので、作業の対象となるボルト・ナットの径が異なる場合にも対応できる。
【0012】
さらに筺体の外部に突出した駆動軸に、自在継手もしくはユニバーサルジョイントと称される、二つ回転軸の接合角度を、一定範囲で変えることができる継手を用いることで作業性を一層向上することが可能である。また、前記の回転伝達手段としては、回転方向を直交させることが必要な部位では、傘歯車や、フェースギヤを適宜使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 本発明に係るナット回し工具の一例を示す図、図1(a)は正面図、図1(b)は側面の断面図。
図2】 本発明に係るナット収納部の一例を示す図、図2(a)は正面図、図2(b)は側面の一部断面図。
図3】 長尺のボルトにナットが螺着した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に具体的な図に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、 本発明に係るナット回し工具の一例を示す図で、図1(a)は正面図、図1(b)は側面の断面図を示す。図1において、1は筺体、2は回転体、3はナット収納部、4は第三の回転伝達手段、5は第二の回転伝達手段、6は第一の回転伝達手段、7は駆動軸、8はベアリング、9はナット収納部固定手段、10は筺体の貫通孔、11はボルト、12はナット、13はナット収納部固定手段の回動軸である。
【0016】
ここに示した例は、回転伝達手段のそれぞれに、傘歯車を用いていて、特に第二の回転伝達手段5には、傘歯車を二つ重ねた状態のものを用いている。ただし、各回転伝達手段の取り回しの変更、例えば駆動軸7を、図1における第二の回転伝達手段の下側に配することにより、第二の回転伝達手段5を通常の傘歯車とすることや、フェースギヤとすることができる。
【0017】
図2は、本発明に係るナット収納部の一例を示す図で、図2(a)は正面図、図2(b)は側面の一部断面図である。図2において、14はナット嵌合部、15はナット収納部の貫通孔、16は回り止めのキーである。ナット収納部3は、図1に示したナット収納部固定手段により着脱可能に固定される。そして、ナット収納部における図2に示したAの寸法が異なるものを揃えておくことにより、様々に寸法のナットに対応可能なのは前述のとおりである。
【0018】
図3は、長尺のボルトにナットが螺着した状態を示す図である。ボルト11を、筺体の貫通孔10と、ナット収納部の貫通孔15に挿通し、ナット12をナット嵌合部14に嵌合し、図示していない電動回転工具を駆動軸7に接合して作動させることにより、ナット12をボルト11の所要の位置に迅速に移動し、締め付けることができる。
【0019】
以上に示したように、本発明によれば、長尺のボルトにナットを螺着する作業を、迅速、確実の行える工具を提供できる。また、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・筺体 2・・・回転体 3・・・ナット収納部
4・・・第三の回転伝達手段 5・・・第二の回転伝達手段
6・・・第一の回転伝達手段 7・・・駆動軸 8・・・ベアリング
9・・・ナット収納部固定手段 10・・・筺体の貫通孔 11・・・ボルト
12・・・ナット 13・・・ナット収納部固定手段回動軸
14・・・ナット嵌合部 15・・・ナット収納部の貫通孔 16・・・キー
図1
図2
図3