(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-74956(P2017-74956A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】フィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング、フィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材およびフィルム巻取用リールの梱包用具、
(51)【国際特許分類】
B65D 63/10 20060101AFI20170331BHJP
B65D 85/672 20060101ALI20170331BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20170331BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
B65D63/10 C
B65D63/10 J
B65D85/672
F16B2/08 S
F16B2/22 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-202254(P2015-202254)
(22)【出願日】2015年10月13日
(71)【出願人】
【識別番号】591081398
【氏名又は名称】双葉ボビン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104466
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 信義
(72)【発明者】
【氏名】松下 貞利
(72)【発明者】
【氏名】臼井 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】草次 俊介
【テーマコード(参考)】
3E037
3E085
3J022
【Fターム(参考)】
3E037AA04
3E037BA03
3E037BB09
3E085BA22
3E085BA23
3E085BB02
3E085BD08
3E085BG01
3J022DA11
3J022DA17
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA05
3J022HB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スペーサーの製造コスト及び保管コストを低減することのできるフィルム巻取用リールの梱包用具を提供することにある。また、紙屑の発生を抑制しフィルムの品質低下などの悪影響を回避することのできるフィルム巻取り済みのフィルム巻取用リールの梱包用具を提供すること。
【解決手段】フィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材に挿通されて筒状部材に挿通されるフィルム巻取用リールを位置決め固定するフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング40aにおいて、固定用リング40aは合成樹脂製とされ、内部に挿通される筒状部材に対して固定可能な互いに係止可能な第一締付固定部41及び第二締付固定部44を備え、固定用リング40aの内周面に、筒状部材の外周面に形成された複数の係止溝と係止可能な突条52を設けた。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材に挿通されて前記筒状部材に挿通されるフィルム巻取用リールを位置決め固定するフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リングであって、
前記固定用リングは合成樹脂製とされ、
前記固定用リングは、内部に挿通される前記筒状部材に対して固定可能な固定手段を備え、
前記固定用リングの内周面に、前記筒状部材の外周面に形成された複数の係止溝と係止可能な突条が形成されたことを特徴とするフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【請求項2】
前記固定用リングは切欠きを有するC字状に形成され、
前記固定手段は、記固定用リングの両端部が互いに、締付方向においてスライド可能に、かつ締付方向とは逆方向にはスライド不能に傾斜された多数の係止突起をその軸心方向に沿って平行にそれぞれ形成された締付固定部を備えた請求項1に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【請求項3】
前記突条は、前記固定用リングの軸心を挟んで前記切欠きと反対側の前記リングの前記内周面に形成された請求項2に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【請求項4】
前記突条は、前記固定用リングの軸心を挟んで前記切欠きと対向する部位の両側にそれぞれ形成された請求項3に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【請求項5】
前記固定用リングの本体部には、その軸心方向において凹設された凹部が形成された請求項1から請求項4のいずれかに記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【請求項6】
前記固定用リングの前記本体部に複数の前記凹部が形成された請求項5に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【請求項7】
フィルム巻取用リールが挿通されるフィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材であって、
前記筒状部材は合成樹脂製とされ、
前記筒状部材の外周面の軸心方向の一端側には、前記一端より所定距離を置いて前記筒状部材の本体部の外周面に突設される係止用リブが備えられ、前記筒状部材の外周面の軸心方向の他端から所定距離までには、前記フィルム巻取用リールを位置決め固定する前記梱包用具の前記固定用リングの内周面に形成される突条と係止可能な複数の係止溝が備えられたことを特徴とするフィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材。
【請求項8】
請求項1から請求項6に記載のいずれかの前記固定用リングと、請求項7に記載の前記筒状部材とを備えたことを特徴とするフィルム巻取用リールの梱包用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム巻取用リールの梱包用具、梱包用具の筒状部材および梱包用具の固定用リングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外輪と内輪とを備えるとともに外輪と内輪とをスポークで連結したいわゆる「二重管構造」に形成された円筒状のフィルム巻取用リールが知られている。巻取用リールは、周知のサーフェイスドライブ式フィルム巻取機やセンタードライブ式フィルム巻取機に取り付けられ、巻取用リールの胴部の表面にフィルムが巻き取られ、運搬・保管の差異には、利便性の点から、通常、フィルムは巻芯に巻き取られた状態、すなわち巻取ロールとして取引され、フィルムを消費した後にはリール自体が回収されてリサイクル・リユース利用されている。
フィルムが巻き付けられたリールを運搬する際には、所定寸法の段ボール箱などの容器に複数の巻取り済みのリールを収納する。リールを複数収納した容器は、さらにコンテナ内に多数収納されて運搬される。よって、定型的なコンテナ内に所定個数の容器を収納できるようにするために、容器の各部の寸法は予め決められている。
【0003】
容器内に収納されるフィルム巻取り済みのリールは、運搬の際に容器内壁等に接触してフィルムが損傷するなどのおそれを低減するために、容器内において以下のように固定されている。フィルムを巻き付けたリールの内輪に、容器内の横方向の長さとほぼ同じ長さの筒状部材を挿通し、容器内において、この筒状部材をその軸心を水平方向に向けて固定することにより、リールをその軸心を横向きにして筒状部材に吊り下げる。通常、一つの筒状部材に対して複数のリールが挿通されて吊り下げられる。またさらに、容器内部の側面視形状とほぼ同形状の板状部材が併用される。この板状部材には、筒状部材が挿嵌可能な挿通孔が開口されている。縦向に容器内に嵌合固定される板状部材の挿通孔に筒状部材が挿通されて、筒状部材は板状部材を介して容器内に保持固定される。そしてさらに、板状部材を取り付けた筒状部材の両端部に、それぞれ所定のスペーサーを挿通し、筒状部材に挿通されたリールが筒状部材の軸心方向に移動しないように固定することとしている。このようにして、容器内において、運搬中にリールが容器内壁に接触することを防止している。そしてまた、従来、これらの筒状部材、スペーサーは厚紙等の紙製であることが多かった(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−159376号公報
【特許文献2】特許4679053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のフィルム巻取用リールの梱包用具では、以下のような問題があった。筒状部材に固定されるリールの軸方向の長さには種々のものがあり、これらを筒状部材に挿通し板状部材を取り付けた状態では、挿通されたリール(場合によっては複数のリール)の両端において筒状部材の両端までに残される余剰部分の長さも区々となる。したがって、前述したスペーサーを何種類も用意しておく必要があり、必要なスペーサーの製造コスト、多数のスペーサーを保管しておく必要がある保管コストが嵩む。また、現実的には、いくつかのスペーサーからもっとも適当なスペーサーを選択して取り付けるだけであるので、場合によってはリール・スペーサー・容器内壁との間に若干の隙間が生じてしまうことは避けられない。このため、リールが容器内壁に接触すること自体はこの種のスペーサーによっても防止できるが、場合によっては生ずる隙間により、運搬時にリールががたつくことによる巻きずれなどのフィルムへの悪影響が問題となり得る。また、筒状部材・スペーサーが紙製であるため、細かい紙屑が生ずるおそれがあり、特に運搬時の振動により紙屑がより一層発生するおそれがある。この紙屑によるフィルムの品質低下などの悪影響も懸念される。
【0006】
本発明が解決しようとする目的は、前述の従来技術の問題点を解決するものであり、スペーサーの製造コスト及び保管コストを低減することのできるフィルム巻取用リールの梱包用具を提供することにある。また、紙屑の発生を抑制しフィルムの品質低下などの悪影響を回避することのできるフィルム巻取り済みのフィルム巻取用リールの梱包用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものは以下のものである。
(1)フィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材に挿通されて前記筒状部材に挿通されるフィルム巻取用リールを位置決め固定するフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リングであって、
前記固定用リングは合成樹脂製とされ、
前記固定用リングは、内部に挿通される前記筒状部材に対して固定可能な固定手段を備え、
前記固定用リングの内周面に、前記筒状部材の外周面に形成された複数の係止溝と係止可能な突条が形成されたことを特徴とするフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【0008】
本発明では、前述したような合成樹脂製の固定用リングとし、筒状部材の外周面に形成されたいずれかの係止溝と係止可能な突条を固定用リングに設けたので、多数のスペーサーを用意しなくても、所望の係止溝に固定用リングを固定するだけで、筒状部材への固定用リングの位置決め固定を調整して行える。また、合成樹脂製としたので、紙製のスペーサーを用いる場合と比較すると紙屑などが発生するおそれは無い。
【0009】
(2)前記固定用リングは切欠きを有するC字状に形成され、
前記固定手段は、記固定用リングの両端部が互いに、締付方向においてスライド可能に、かつ締付方向とは逆方向にはスライド不能に傾斜された多数の係止突起をその軸心方向に沿って平行にそれぞれ形成された締付固定部を備えた(1)に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【0010】
(3)前記突条は、前記固定用リングの軸心を挟んで前記切欠きと反対側の前記リングの前記内周面に形成された(2)に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
(4)前記突条は、前記固定用リングの軸心を挟んで前記切欠きと対向する部位の両側にそれぞれ形成された(3)に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
(5)前記固定用リングの本体部には、その軸心方向において凹設された凹部が形成された(1)から(4)のいずれかに記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
(6)前記固定用リングの前記本体部に複数の前記凹部が形成された(5)に記載のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リング。
【0011】
(7)フィルム巻取用リールが挿通されるフィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材であって、
前記筒状部材は合成樹脂製とされ、
前記筒状部材の外周面の軸心方向の一端側には、前記一端より所定距離を置いて前記筒状部材の本体部の外周面に突設される係止用リブが備えられ、前記筒状部材の外周面の軸心方向の他端から所定距離までには、前記フィルム巻取用リールを位置決め固定する前記梱包用具の前記固定用リングの内周面に形成される突条と係止可能な複数の係止溝が備えられたことを特徴とするフィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材。
【0012】
(8)(1)から(6)に記載のいずれかの前記固定用リングと、(7)に記載の前記筒状部材とを備えたことを特徴とするフィルム巻取用リールの梱包用具。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具、梱包用具の筒状部材および梱包用具の固定用リングは、前述の構成とされ、多数のスペーサーを用意しなくても、所望の係止溝に固定用リングを固定するだけで、筒状部材への固定用リングの位置決め固定を調整して行うことができ、紙製のスペーサーを用いる場合と比較すると紙屑などが発生するおそれは無いので、スペーサーの製造コスト及び保管コストを低減し、製造コストを低減することができ、また巻き取ったフィルムへの悪影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具の使用状態を示す図である。
【
図2】
図2は、フィルム巻取用リールの正面図である。
【
図3】
図3は、本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具の筒状部材の側面図である。
【
図5】
図5は、
図3の筒状部材の係止溝部分の拡大断面図である。
【
図6】
図6は、本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具の板状部材の正面図である。
【
図7】
図7は、本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具の固定用リングの斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の固定用リングの右側面視縦断面図である。
【
図11】
図11は、本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具の別の固定用リングの斜視図である。
【
図13】
図13は、梱包用具を用いてフィルムを固定した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具について、図面を参照して詳細に説明する。本発明のフィルム巻取用リールの梱包用具10は、
図1に示すように、予めフィルムFを巻き付けたフィルム巻取用リールFR1を梱包容器2内に収容して梱包するためのものである。フィルムFが梱包容器2の内壁に接触したり、フィルム巻取用リールFR1ごと動いて複数のフィルム巻取用リールFR1同士がぶつかり合ったりすると、フィルムFの巻ずれが生じたり、皺が寄ったり、破損するおそれがあるため、この梱包用具10によりこれらを防止しようとするものである。
【0016】
本例においては、梱包用具10は、フィルム巻取用リールFR1が挿通される筒状部材20、筒状部材20に取付固定されてフィルム巻取用リールFR1を固定する固定用リング40を備えている。
【0017】
フィルム巻取用リールFR1は、
図1に示すように、正面視における外形が真円形状の円筒状に形成された「二重管構造」とされるものである。このフィルム巻取用リールFR1は、その外周面にフィルムFを多層に渡って巻き取り、フィルム巻取用リールFR1ごとフィルムFを取引・流通させるために用いられる。フィルムFの材質としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとの混合物などのポリエステル類、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル系樹脂やスチレン系樹脂などを挙げることができる。又、これらの混合物などを用いることができる。しかしながら、これらに限定されるものではない。また、フィルムF以外の平坦な長尺物を巻き取ることにも用いることができる。
【0018】
フィルム巻取用リールFR1は、中心からみて外側の外輪OWと、内側の内輪IWとを備えた二重管構造に形成されている。外輪OWの外径は、巻き取られるフィルムFの種類やフィルム巻取用リールFR1が取り付けられる巻取機の種類等によって、必要に応じて適宜変更可能であり、例えば、6インチ、8インチ、9インチなどとすることもできる。また、また、外輪OWの軸心方向の長さについても同様に、巻き付けられるフィルムFの種類やフィルム巻取用リールFR1が取り付けられる巻取機の種類等によって必要に応じて適宜変更可能である。
一方、内輪IWの内径は、巻取機の巻取中心軸の外径によって必要に応じて適宜変更可能であり、例えば、3インチなどとすることもできる。また、内輪IWの厚み、内輪IWの軸心方向の長さについても、巻取機の種類等によって必要に応じて適宜変更可能である。そして、これらの外輪OWと内輪IWとが、その軸心を揃えて正面視において二重となる二重管構造に構成されている。
【0019】
外輪OWと内輪IWとは、複数枚のスポーク板SBによって連設されている。スポーク板SBは、本例では、フィルム巻取用リールFR1の軸心回りに、等角度で放射状に、8つ設けられているが、これらの数に限定されるものではない。また、スポーク板SBの厚みは5mmされているが、これに限られず他の厚みに変更することは可能である。このように形成されたフィルム巻取用リールFR1は全体が一体に成形されており、その材質は本例ではABS樹脂とされているが、これに限られず用途に応じて他の樹脂とすることができ、例えば、PS樹脂、PP樹脂、PVC樹脂、その他強化ガラスナイロン樹脂等としても良い。
【0020】
筒状部材20は、
図3および
図4に示すように、長めの本体部22と、本体部22の軸心方向の一端23寄りの外周面に突設された係止用リブ25を備えている。本体部22は、本例では405mmの長さに設けられた円筒形状をなしており、外径は75mm、内径は65mmに設けられている。筒状部材20は、収納される梱包容器2の幅とほぼ同じか僅かに長く設けられており、梱包容器2内に横向きに収納した場合には、その両端が梱包容器2の内壁面に当接または圧着可能に構成されている。本体部22の外周面には、その他端24から本体部22の軸心方向のおおよそ3分の2程度にまで、多数の係止溝26が形成されている。後述するように、この係止溝26には、固定用リング40の突条52が係止可能に構成されている。本例では係止溝26は他端24からおおよそ3分の2程度(他端24から約420mmの部位)にまで形成されているが、必要に応じて適宜変更することが可能である。また、係止溝26は、約2〜4mmの間隔で形成することが望ましい。
【0021】
この係止溝26は、
図5にその拡大図を示すように、本体部22の他端24寄りに、本体部22の軸心方向にほぼ垂直な垂直面27と、本体部22の一端23寄り(すなわち係止用リブ25寄り)に、一端23側に傾斜した傾斜面28とを備えている。他端24側の垂直面27により、固定用リング40の突条52が本体部22の他端24側には係止溝26を乗り越え難くするとともに、本体部22の一端23側には突条52が係止溝26を乗り越え易くしている。このようにして、後述するように、固定用リング40が、本体部22の他端24側から係止用リブ25側に向けて容易に挿通可能にするとともに、係止用リブ25側から本体部22の他端24側には移動困難とするように構成されている。
【0022】
筒状部材20の本体部22の係止用リブ25は、本体部22の外周面に周設されている。本例では、一端23から30mm離れた部位に、係止用リブ25の他端24側の端面が位置するように形成されている。また、係止用リブ25は、本体部22の外周面から6.5mmの高さに形成されている。係止用リブ25は、後述するように、本体部22の他端24側から挿通されるフィルム巻取用リールFR1の内輪IWが係止されて、フィルム巻取用リールFR1がそれ以上一端23側に移動しないようにするために形成されるものである。筒状部材20の材質は、本例ではABS樹脂とされているが、これに限られず用途に応じて他の樹脂とすることができ、例えば、PS樹脂、PP樹脂、PVC樹脂、その他強化ガラスナイロン樹脂等としても良い。
【0023】
次いで板状部材30について説明する。
図6に示すように、板状部材30は、その正面視が矩形状に形成されている。板状部材30の外形は、収容される梱包容器2の側面視における内部形状と同様または僅かに大きく形成されており、筒状部材20に挿通固定された状態において、梱包容器2の内部に、縦方向に嵌合固定可能とされている。板状部材30のほぼ中央には、筒状部材20の外径とほぼ同じか、または僅かに小径の挿通孔32が開口されている。筒状部材20は、この挿通孔32内に挿通される。板状部材30の外形は、使用される梱包容器2の内部形状に合せて適宜変更することが可能であり、寸法のほかに形状自体も変更することができる。
【0024】
図7から
図9に示すように、固定用リング40は、一部に切欠きを有する「C」字状に全体が形成されている。この固定用リング40の本体部50のそれぞれの端部には、本発明の「固定手段」の一例である、互いに係止可能な第一締付固定部41及び第二締付固定部44が備えられている。本体部50にはその下端の背面側に、正面側に向かって凹設された凹部53が形成されている。この凹部53が設けられることにより、筒状部材20に固定用リング40を締め付け、所定位置まで固定用リング40を移動する際に、後述する突条52が筒状部材20の係止溝26を乗り越え易く調整することができる。
【0025】
第一締付固定部41は、正面視において逆「コ」字状に形成されている。逆「コ」字状に形成された第一締付固定部41の逆「コ」字状の壁部42のうち、下部の下部壁部42bの内側には第一締付固定部41の奥側に向けて傾斜して突設された複数の係止突起43が形成されている。上部壁部42aの内側には係止突起は形成されておらず、平滑面として形成されている。一方、第二締付固定部44は、正面視において「コ」字状に形成されている。「コ」字状に形成された第二締付固定部44の壁部45のうち、上部の上部壁部45aの内側には第二締付固定部44の奥側に向けて傾斜して突設された複数の係止突起43が形成されている。下部壁部45bの内側には係止突起は形成されておらず、平滑面として形成されている。
【0026】
このようにして、第一締付固定部41と第二締付固定部44とは、その開口部位を向き合わせるようにして形成されている。そして、第一締付固定部41の下部壁部42bは、向き合って開口する第二締付固定部44の下部壁部45bの厚みよりも厚く形成されており、下部壁部42bが第二締付固定部44の開口部位に位置するように形成され、下部壁部42bが第二締付固定部44内に容易に差し込まれるように構成され、また上部壁部45aが第一締め付け固定部41の開口部位に位置するように形成されている。このようにして、第一締付固定部41の下部壁部42bの係止突起43と、第二締付固定部44の上部壁部45aの係止突起が係止可能に構成されている。また、第一締付固定部41の上部壁部42aの外側および第二締付固定部44の上部壁部45aの外側には、それぞれ、第一締付固定部41と第二締付固定部44とを差し込むようにして固定用リング40を締め付ける際に指を引っ掛ける摘み部46a,46bがそれぞれ上方に向けて突設されている。第一摘み部46aは、第一締付固定部41の背面側であって、かつ第一締付固定部41の基端寄り付近に突設されている。そして、第一摘み部46aは、固定用リング40の軸心方向には薄い舌片状に形成されている。このような形状とすることにより、固定用リング40を取り外す際に板状部材30との間の隙間に、指を入れて引き易くすることができる。第二摘み部46bは、第二締付固定部44の基端寄り付近に突設されている。第二摘み部46bは、固定用リング40の径方向に薄く、第二締付固定部44の軸心方向における幅と同じ幅の舌片状に形成されている。このような形状として幅広とすることにより、固定用リング40を取り付ける際に固定用リング40を締め付け易くすることができる。
【0027】
固定用リング40の本体部50の内周面には、2つの突条52が形成されている。突条52は、固定用リング40の軸心を挟んで、切欠きと対向する部位の両側にそれぞれ形成されている。突条を切欠きの近く、すなわち第一締付固定部41および第二締付固定部44とは反対側の位置に形成し、第一締付固定部41および第二締付固定部44の近くには形成しないことにより、固定用リング40の締め付けを解除する場合に、係止状態にある第一締付固定部41と第二締付固定部44とを互いに前後方向にスライドして係止を解く妨げとならないようにするためである。一方で、これらの2つの突条52を設けることにより、固定用リング40の筒状部材20への固定は確実に行う。
【0028】
また、
図10に示すように、突条52は固定用リング40の背面側において本体部50の内周面からほぼ垂直に立ち上がる垂直部54と、この垂直部54の先端から固定用リング40の正面側に傾斜する傾斜部56とを備えている。固定用リング40は、筒状部材20に固定される場合には、その正面側を筒状部材20の一端23側にして取り付けられる。この際に、筒状部材20外周面の係止溝26に突条52が係止可能とされるが、垂直部54と係止溝26の垂直面27とが向き合うように係止されるので、締め付けられた状態の固定用リング40が、筒状部材20の他端24方向には容易に移動しないように垂直部54と垂直面27とが確実に係止される。一方で、傾斜部56と係止溝26の傾斜面28同士が対向するので、これらの係止度合いは強くなく、筒状部材20に挿通された固定用リング40は、一端23方向(係止用リブ25方向)には比較的容易に移動可能に構成されている。よって、固定用リング40をある程度締め付けた状態であっても、先に挿通しておいてフィルム巻取用リールFR1に近づけるように固定用リング40を容易にスライドさせることができる。
なお、前述した固定用リング40では、凹部53を本体部50の下端に一つだけ設けたが、複数の凹部53を備えるものとしても良い。例えば
図11および
図12に示す固定用リング40aでは、本体部50aに、等間隔で5つの凹部53を備えるものとしている。このように複数の凹部53を備えるものとすることにより、上記した1つの凹部53を備える固定用リング40の作用効果に加えて、さらに本体部50aの柔軟性を持たせて取付・取外しの際の作業性を向上させることができ、また、必要な材料の量を低減して製造コストを下げることができる。
【0029】
以上のように構成された梱包用具10の使用方法を
図1および
図13を参照して説明する。まず最初にフィルムFを巻き付け済みのフィルム巻取用リールFR1を筒状部材20に挿通する。係止用リブ25とは反対側の筒状部材20の他端24側から挿通する。巻き付けられるフィルムの幅にも左右されるが、所定以下の幅であれば複数のフィルム巻取用リールFR1を挿通して良い。所定の数のフィルム巻取用リールFR1を挿通した後に、筒状部材20の他端24から、板状部材30を挿通する。板状部材30をフィルム巻取用リールFR1に圧着するまで押し込んだ後に、さらに固定用リング40を同様に筒状部材20に、その他端24から挿通する。ある程度の位置まで固定用リング40をスライドさせた後に、摘み部46により固定用リング40を仮締めする。仮締めにより、固定用リング40は他端24方向に戻り難く係止される。さらに、板状部材30とともに、固定用リング40をフィルム巻取用リールFR1側にスライドさせる。前述したような係止溝26と突条52の形状・向きにより、仮締め程度であれば、固定用リング40を筒状部材20の一端23側には容易にスライドさせることができる。しかしながら、固定用リング40は他端24側には容易にはスライドできない。そして、所望の位置にスライドさせた後に摘み部26により堅固に固定用リング40を締め付けて、筒状部材20に対する最終的な固定用リング40の位置決め及び固定を行う。固定用リング40が筒状部材20に固定されることにより、
図13に示すように、板状部材30とフィルム巻取用リールFR1は、固定用リング40と筒状部材20の係止用リブ25との間において挟持固定されることになる。
【0030】
このように梱包用具10によりフィルム巻取用リールFR1を固定した状態で、筒状部材20を横向きにして、梱包容器2内に収容する。前述したように、筒状部材20は、その長さが梱包容器2内においてその内壁面に当接または圧着可能な長さに設けられている。また、板状部材30は縦向きにして梱包容器2内に嵌合固定可能である。よって、梱包容器2内に収納された際には、縦方向においては板状部材30によって支持され、左右方向においては筒状部材20が梱包容器2の左右の内壁面に対して支持され、これにより、梱包容器2内に、フィルム巻取用リールFR1を空中に支持するように吊り下げて固定することができる。
【0031】
この梱包用具10からフィルム巻取用リールFR1を取り外す際には、固定用リング40の第一締付固定部41と第二締付固定部44とを、固定用リング40の軸心方向において互いに逆方向に向かうようにスライドさせる。固定用リング40の突条52は、第一締付固定部41および第二締付固定部44とは反対側の本体部50の内周面に設けられているだけなので、第一締付固定部41および第二締付固定部44の近辺の部位においては、前述のように、第一締付固定部41および第二締付固定部44を、固定用リング40の軸心方向においてスライドさせることは容易である。
【0032】
このような使用方法において、本梱包用具10では、筒状部材20に形成された多数の係止溝26のいずかの位置において固定用リング40を固定できるので、多数のスペーサーを用意する必要は無く、1つの固定用リング40で細かい調整位置における位置決め固定を実現することができる。多数のスペーサーを用意する梱包用具の製造コストを低減し、多数のスペーサーの保管コストも必要ない。また、ABS樹脂製とするなどとしているので、従来の紙製のものに比べて紙屑などの発生が少ない。また、ABS樹脂製などとしているので、劣化し難く長期にわたって再利用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明はフィルム巻取用リールの梱包用具、および当該梱包用具の固定用リング並びに筒状部材について広く用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
FR1;フィルム巻取用リール、OW;外輪、IW;内輪、SB;スポーク板、F;フィルム、2;梱包容器、10;梱包用具、20;筒状部材、22;本体部、23;一端、24;他端、25;係止用リブ、26;係止溝、27;垂直面、28;傾斜面、30;板状部材、32;挿通孔、40,40a;固定用リング、41;第一締付固定部、42;壁部、42a;上部壁部、42b;下部壁部、43;係止突起、44;第二締付固定部、45;壁部、45a;上部壁部、45b;下部壁部、46,46a,46b;摘み部、50,50a;本体部、52;突条、53;凹部、54;垂直部、56;傾斜部。