特開2017-74978(P2017-74978A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-74978(P2017-74978A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】穀類包装用紙袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/28 20060101AFI20170331BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
   B65D33/28
   B65D30/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-204081(P2015-204081)
(22)【出願日】2015年10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】599092424
【氏名又は名称】秋山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】秋山 武士
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AC23
3E064BA05
3E064EA09
3E064FA01
3E064HL09
3E064HM01
3E064HN32
(57)【要約】
【課題】 柔らかい結び紐を備えた穀類包装用紙袋を提供すること。
【解決手段】 有底筒状の袋本体10を有し、袋本体10の上端部寄りで該袋本体10の開口部11に沿う外面に結び紐20が添着され、結び紐20は袋本体10の開口部11の幅より長く、その両端が該袋本体10から延出されてなる穀類包装用紙袋1において、前記結び紐20が、テープ状の紙シート21から構成され、該紙シート21をシート短手方向で折り重ねた扁平状紙紐22からなるもの。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の袋本体を有し、
袋本体の上端部寄りで該袋本体の開口部に沿う外面に結び紐が添着され、
結び紐は袋本体の開口部の幅より長く、その両端が該袋本体から延出されてなる穀類包装用紙袋において、
前記結び紐が、テープ状の紙シートから構成され、該紙シートをシート短手方向で折り重ねた扁平状紙紐からなることを特徴とする穀類包装用紙袋。
【請求項2】
前記結び紐が、円網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シートから構成されてなる請求項1に記載の穀類包装用紙袋。
【請求項3】
前記結び紐が、長網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シートから構成されてなる請求項1に記載の穀類包装用紙袋。
【請求項4】
前記結び紐が、紙シートのシート短手方向の一方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ一側折り重ね部と、シート短手方向の他方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ他側折り重ね部とを、向い合せで折り重ねた扁平状紙紐からなる請求項1乃至3のいずれかに記載の穀類包装用紙袋。
【請求項5】
前記結び紐が、エンボス加工されて多数の凹部を備える紙シートから構成されてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の穀類包装用紙袋。
【請求項6】
前記エンボス加工された紙シートが、1インチ四方あたり60個以上140個以下の凹部を備える請求項5に記載の穀類包装用紙袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米、麦等の穀物を充填して収納するための穀類包装用紙袋に関する。
【背景技術】
【0002】
穀類包装用紙袋として、特許文献1に記載の如く、有底筒状の袋本体を有し、袋本体の上端部寄りで該袋本体の開口部に沿う外面に結び紐が添着され、結び紐は袋本体の開口部の幅より長く、その両端が該袋本体から延出されてなるものが提案されている。
【0003】
穀類包装用紙袋は、米、麦等の穀物を袋本体に充填し、袋本体の上端部を開口部が閉じるように巻き込んだ後、結び紐の両端を蝶々結び等で結んで袋本体を閉じることにより、穀物を収納できる。また、穀物が収納された穀類包装用紙袋は、結び紐をほどき、袋本体の開口部を再度開くことにより、穀物を取り出しできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3161476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の穀類包装用紙袋では、結び紐として紙バンドを用いている。紙バンドは、複数本の棒状撚り紐を並べて糊接着し、固化したものであり、硬く、結びにくいし、運搬時に持上用手掛けとして用いるときに手に痛いという不都合がある。
【0006】
本発明の課題は、柔らかい結び紐を備えた穀類包装用紙袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、有底筒状の袋本体を有し、袋本体の上端部寄りで該袋本体の開口部に沿う外面に結び紐が添着され、結び紐は袋本体の開口部の幅より長く、その両端が該袋本体から延出されてなる穀類包装用紙袋において、前記結び紐が、テープ状の紙シートから構成され、該紙シートをシート短手方向で折り重ねた扁平状紙紐からなるようにしたものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記結び紐が、円網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シートから構成されてなるようにしたものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記結び紐が、長網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シートから構成されてなるようにしたものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において更に、前記結び紐が、紙シートのシート短手方向の一方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ一側折り重ね部と、シート短手方向の他方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ他側折り重ね部とを、向い合せで折り重ねた扁平状紙紐からなるようにしたものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る発明において更に、前記結び紐が、エンボス加工されて多数の凹部を備える紙シートから構成されてなるようにしたものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において更に、前記エンボス加工された紙シートが、1インチ四方あたり60個以上140個以下の凹部を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1)
(a)穀類包装用紙袋において、紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐は、柔らかく、結び易いし、運搬時に持上用手掛けとして用いたときに手に優しく、使い勝手が良い。
【0014】
(請求項2)
(b)円網抄紙機によって製造された紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐は、紙シートの材質自体に起因する柔らかさを有し、結び易いし、運搬時に持上用手掛けとして用いたときに手に優しく、使い勝手が良い。
【0015】
(請求項3)
(c)長網抄紙機によって製造された紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐は、紙シートの品種の選択、紙厚の選択によって、柔らかさを有し、かつ必要な強靭さを備えるものとすることができる。
【0016】
(請求項4)
(d)結び紐が、紙シートのシート短手方向の一方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ一側折り重ね部と、シート短手方向の他方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ他側折り重ね部とを、向い合せで折り重ねた扁平状紙紐からなる。これにより、扁平状紙紐からなる結び紐は、紙シートの外縁部を該扁平状紙紐の折り重ね断面内に包み込んで該紙紐の外周に露出させないから、該紙シートの外縁部の切刃状エッジが使用者の手に触れることがなく、その手を痛めるおそれがない。
【0017】
(請求項5、6)
(e)結び紐が、エンボス加工されて多数の凹部を備える紙シートから構成されることにより、結び紐を一層柔らかにすることができる。また、結び紐は、エンボス加工された凹部の存在により、手に滑りにくくなり、一層結び易くなる。
【0018】
尚、扁平状紙紐の折り重ね部で折り重なる紙シート同士を糊接着するとき、該紙シートの凹部が糊を保持して接着の安定確実を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は穀類包装用紙袋を示す模式図である。
図2図2は扁平状紙紐の一例を示す模式図である。
図3図3は扁平状紙紐の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示した穀類包装用紙袋1は、有底筒状の袋本体10を有し、袋本体10の上端部寄りで該袋本体10の開口部11に沿う外面に結び紐20が添着される。結び紐20は袋本体10の開口部11の幅より長く、その両端が袋本体10から外方に延出される。
【0021】
袋本体10は、クラフト紙等からなり、筒状の胴部10Aと、胴部10Aの下端部を閉じる底部10Bとを有する。袋本体10の胴部10Aは、その上端部に開口部11を有し、その上端部寄りで該開口部11に沿う外面に結び紐20を糊接着する等により添着して備え、その結び紐20の下端部寄りで該結び紐20に沿う位置には折りぐせ部12を設けてある。
【0022】
結び紐20は、古紙又はパルプを原料として円網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シート21から構成され、該紙シート21をシート短手方向で折り重ねた扁平状紙紐22からなる。即ち、結び紐20は、図2に示す如く、紙シート21のシート短手方向の一方の外縁部21Aを該紙シート21の裏面(図2の紙面に表われている面)の側で該シート短手方向に1回以上(本実施例では、図2(B)と図2(C)の2回)折り込んだ一側折り重ね部22Aと、紙シート21のシート短手方向の他方の外縁部21Bを該紙シート21の裏面(図2の紙面に表われている面)の側で該シート短手方向に1回以上(本実施例では、図2(B)と図2(C)の2回)折り込んだ他側折り重ね部22Bとを、図2(D)に示す如くに向い合わせで折り重ねた扁平状紙紐22からなる。扁平状紙紐22は、紙シート21の上述の折り重ね過程で、プレス手段により扁平化される。
【0023】
尚、扁平状紙紐22は、各折り重ね部22A、22Bの重なり面、及び折り重ね部22Aと折り重ね部22Bの重なり面で相重なる紙シート21同士を、酢酸ビニル系糊等により糊接着することとしている。但し、扁平状紙紐22の折り重ね状態を上述のプレス手段により扁平化されて固定化される等により、糊接着によることなく安定維持できるときには、上述の糊接着は不要とすることもできる。
【0024】
穀類包装用紙袋1にあっては、米、麦等の穀物を袋本体10に充填し、袋本体10の上端部の折りぐせ部12を巻き込んで開口部11を閉じた後、結び紐20の両端を蝶々結び等で閉じることにより、穀物を収納できる。また、穀物が収納された紙袋1は、結び紐20をほどき、袋本体10の開口部11を再度開くことにより、穀物を取り出しできる。
【0025】
尚、本発明者は、下記i、iiの知見に基づき、柔らかくソフトで、シート長手方向に沿う極端な繊維配向性によって引張強さの大きい、円網抄紙機によって製造された紙シート21を、結び紐20のための紙シートとして初めて採用するに至った。
【0026】
i.円網抄紙機で古紙又はパルプを原料として抄造した紙は、従来、巻きタバコ用紙、家庭用ティッシュ用紙に用いられ、柔らかくソフトな感じの仕上がりを呈する。
【0027】
ii.円網抄紙機については、有限会社中外産業調査会発行の図解製紙百科(昭和60年8月1日発行)の296頁乃至297頁に「円網フォーマー上のシート形成の原理は重力式濃縮機(9.6節参照)と事実上同じである。ワイヤー(またはプラスチック)用具面を持つ横型円筒が希薄紙料液のパッド内で回転する。原料に伴う水は円網を通して切られ、用具の上に繊維の層が沈積する。……シートはまた繊維沈積の方法によっておこる極端な指向性(繊維配向)を持つ。(注意;指向性はマシン流れ方向とマシン幅方向試験片から得た引張り値の比によって測定するのが普通である。バット円網抄造板紙では5.0以上の値が代表的であり、これに対し長網抄造機は2.0以下である。)」の如くに記載の通り、紙シートのシート長手方向に沿う極端な繊維配向性(紙シートの繊維がシート長手方向に長い状態)をもつ。
【0028】
従って、本発明によれば以下の作用効果を奏する。
(a)円網抄紙機によって製造された紙シート21から構成された扁平状紙紐22からなる結び紐20は、柔らかく、結び易いし、運搬時に持上用手掛けとして用いたときに手に優しく、使い勝手が良い。
【0029】
(b)円網抄紙機によって製造された紙シート21から構成された扁平状紙紐22からなる結び紐20は、紙シート21のシート長手方向に沿う極端な繊維配向性(紙シート21の繊維がシート長手方向に長い状態)をもって引張強さが大きく、穀物等の重量物の運搬に際して持上用手掛けとして用いるに必要な強靭さを備える。
【0030】
(c)結び紐20が、紙シート21のシート短手方向の一方の外縁部21Aを該紙シート21の裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ一側折り重ね部22Aと、シート短手方向の他方の外縁部21Bを該紙シート21の裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ他側折り重ね部22Bとを、向い合せで折り重ねた扁平状紙紐22からなる。これにより、扁平状紙紐22からなる結び紐20は、紙シート21の外縁部21A、21Bを該扁平状紙紐22の折り重ね断面内に包み込んで該紙紐の外周に露出させないから、該紙シート21の外縁部の切刃状エッジが使用者の手に触れることがなく、その手を痛めるおそれがない。
【0031】
図1に示した穀類包装用紙袋1は、結び紐20(扁平状紙紐22)を構成する紙シート21として、図3に示したエンボス付きの紙シート31を用いることもできる。紙シート31は、円網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シート(21)にエンボス加工を施し、多数の凹部31Aを備えたものである。紙シート31に備える凹部31Aの個数は、好適には1インチ四方あたり60個以上140個以下であり、本実施例では121個とした。
【0032】
エンボス付きの紙シート31から構成されてなる結び紐20(扁平状紙紐22)は、結び紐20を一層柔らかにすることができる。また、結び紐20は、エンボス加工された凹部31Aの存在により、手に滑りにくくなり、一層結び易くなる。
【0033】
また、扁平状紙紐22の折り重ね部で相重なる紙シート31同士を糊接着するとき、該紙シート31の凹部31Aが糊を保持して接着の安定確実を図ることができる。
【0034】
本発明の穀類包装用紙袋に用いられる結び紐としては、円網抄紙機によって製造された紙シートから構成されるものに限らず、長網抄紙機によって製造された紙シートから構成されるものであっても良い。即ち、結び紐として、長網抄紙機によって製造されたテープ状の紙シートから構成され、該紙シートをシート短手方向で折り重ねた扁平状紙紐からなるものであっても良い。
【0035】
長網抄紙機によって製造された紙シートは、紙シートの品種の選択、紙厚の選択によって、柔らかさを有し、かつ必要な強靭さを備えるものとすることができる。
【0036】
長網抄紙機によって製造された紙シートから構成される結び紐にあっても、紙シートのシート短手方向の一方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ一側折り重ね部と、シート短手方向の他方の外縁部を該紙シートの裏面の側で該シート短手方向に1回以上折り込んだ他側折り重ね部とを、向い合せで折り重ねた扁平状紙紐からなるものとすることができる。
【0037】
また、長網抄紙機によって製造された紙シートから構成する結び紐にあっても、紙シートとしてエンボス加工されて多数の凹部を備えるものを用いることができる。このエンボス加工された紙シートは、好適には1インチ四方あたり60個以上140個以下の凹部を備える。このエンボス加工により、結び紐を一層柔らかにすることができる。また、結び紐は、エンボス加工された凹部の存在により、手に滑りにくくなり、一層結び易くなる。また、扁平状紙紐の折り重ね部で折り重なる紙シート同士を糊接着するとき、該紙シートの凹部が糊を保持して接着の安定確実を図ることができる。
【0038】
表1は、本発明例1の結び紐(円網抄紙機で製造され、エンボス加工無の紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐)、本発明例2の結び紐(円網抄紙機で製造され、エンボス加工有の紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐)、本発明例3の結び紐(長網抄紙機で製造され、エンボス加工無の紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐)、本発明例4の結び紐(長網抄紙機で製造され、エンボス加工有の紙シートから構成された扁平状紙紐からなる結び紐)、従来例1の結び紐(紙バンドからなる結び紐)のそれぞれを用いた各穀類包装用紙袋について、各結び紐の手に対する優しさ、結び易さ、引張強さを官能試験により調査した実験結果である。本発明により、手に優しく、結び易く、強い結び紐を備えた穀類包装用紙袋を得ることができることを認めた。本発明例1乃至4の各紙シートはそれらの坪量を同一とした。
【0039】
【表1】
【0040】
本発明の円網抄紙機と長網抄紙機で製造された紙シートは、原料として古紙とパルプのいずれを用いる場合にも、同一の紙質(柔らかさ、引張強さ)を得ることができる。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、柔らかい結び紐、又は柔らかくかつ強い結び紐を備えた穀類包装用紙袋を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 穀類包装用紙袋
10 袋本体
11 開口部
20 結び紐
21 紙シート
21A、21B 外縁部
22 扁平状紙紐
22A、22B 折り重ね部
31 扁平状紙紐
31A 凹部
図1
図2
図3