(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-75770(P2017-75770A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】無煙石炭ストーブ
(51)【国際特許分類】
F24B 1/02 20060101AFI20170331BHJP
F23B 60/00 20060101ALI20170331BHJP
F23M 9/00 20060101ALI20170331BHJP
F23B 80/00 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
F24B1/02 A
F23B60/00ZAB
F23M9/00 Z
F23B80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-217083(P2015-217083)
(22)【出願日】2015年10月16日
(71)【出願人】
【識別番号】598140928
【氏名又は名称】内田 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】内田 佳宏
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AA01
3K046AA06
3K046AB08
3K046AC06
3K046AD02
3K046BA02
3K046CA10
3K046FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】例えばモンゴル国での使用状況を想定し、殆どの家庭が角形の石炭ストーブを利用している現状なので使い勝手は変えずに継続使用出来ることが望ましく、また高額になる複雑な構造や触媒等の方式を使わずに安価に提供出来ることと、また低品質な石炭を使用しても未燃焼ガス等を完全燃焼して大気汚染を減らすことを目的とする無煙石炭ストーブを提供する事にある。
【解決手段】一次燃焼室1で石炭を燃焼させた燃焼ガス、及び未燃焼ガスを横引き接続路2から強力に吸引し、縦型二次燃焼室3内で再燃焼させることと、本体前面の燃料投入口8に設けられた燃料投入口後方吊り下げ扉9により、初期燃焼時に必要な燃焼空気量が調整され、投入口へ未燃焼ガスが逆流するのを防ぐことと、また横引き接続路側面の燃焼量調節扉は、燃焼そのものを制御して石炭を無駄に燃焼させないことで、完全燃焼と省エネを兼ね備える無煙石炭ストーブである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体前面の燃料投入口に前方扉と後方吊下げ扉の2枚の扉を有し、初期燃焼時の燃焼ガス及び未燃焼ガスの投入口への逆流を防ぐことと、横引き接続路は縦型二次燃焼室の中心より左に偏芯して接続構成することで炎を時計回りに回転させ滞留時間を稼ぎ二次燃焼を促進でき、また二重構造の断熱及び蓄熱材層の予熱でより高い温度で再燃焼が出来ることと、また横引き接続路専用空気流入口を経由して外気が直接前記縦型二次燃焼室へ吸引されるので、石炭の燃焼を抑えながら高温二次燃焼できることを特徴とする無煙石炭ストーブ。
【請求項2】
前記一次燃焼室側である前部と前記縦型二次燃焼室側である後部は分離して制作され、前記横引き接続路の部分で前部と後部は鉄製ボルト及び溶接等で接続する構造からなり、また長期使用時に前部及び後部のいずれかの全交換もでき、また前部の天板と後部の天板は損傷時には交換できる構造であり、また後部のみを利用して、現状で使用中の鋼板製石炭ストーブが少しの改造で燃焼効率の良い無煙石炭ストーブに改良することも可能であり、また暖房以外に高熱部分を利用して調理器具としての利用にも適し、なおかつ長期間使用できることを特徴とする請求項1に記載の無煙石炭ストーブ。
【請求項3】
前記横引き接続路の開口部右側面部に角形で外部から作動できる燃焼ガス流入量調整扉があり、石炭の安定燃焼後に横引き接続路への吸気量を調整し燃焼を抑制して省エネ燃焼することを備え、なおかつ省エネ燃焼時には灰受け室側面の外気流入口から導入した空気を前記一次燃焼室下部で加温し、前記横引き接続路専用流入口から供給することで未燃焼ガスを再燃焼させ不完全燃焼を防止することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無煙石炭ストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在石炭ストーブを使用する国外の寒冷地域である中国北部やモンゴル国等での大気汚染問題を解決するために安価で完全燃焼する装置を製造普及させる目的で、本体外形が前部燃焼室と後部燃焼室とに分離制作したものを接続して組立てるというシンプルな構造の無煙石炭ストーブに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭や薪等を燃焼させた場合、燃焼温度や空気の量が不十分な状態では多量の煙を癸生させてしまうが、現在一般に販売されている二次燃焼構造の薪ストーブは輸入品及から国産品まで多様な種類があるが、多くの構造が燃焼室内の高温加熱板に燃焼ガスを迂回接触させて高温にし、そこへ外部空気を導入して再燃焼させる構造のものと、触媒による二次燃焼を促進させる薪ストーブが多く販売されているが高額であり、また燃焼ガスの排気温度が高く煙突工事も火災予防から二重煙突等の施工が重要でストーブ本体よりも高額な工事費がかかるのが現状であり、安価で二次燃焼する石炭専用のストーブは見当たらない。
【0003】
通称ロケットストーブと呼ばれる薪ストーブはヒートライザーと呼ばれる燃焼筒を断熱した構造で強力な吸気を発生させ燃焼筒の内部で高温二次燃焼し優れた燃焼効率を実現させることと、少ない薪の量でも充分な熱量を発生させることができるが、縦型の燃料投入口に細い薪を入れる構造であり、燃焼筒の大きさに比例して燃焼投入口の面積が決まり燃料投入口を規定寸法以上に大きく出来ず燃料の投入量が限られ、長時間連続燃焼するためには頻繁に燃料補給をしなくてはならない。非特許文献1
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ロケットストーブ〜ロケットストーブ日本実例集付き〜イアント・エヴァンス+レスリー・ジャクソン共著 服部淳子 訳 日本ロケットストーブ普及協会編集30頁 構造図参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無煙石炭ストーブに関して解決しようとする問題点は、従来の薪ストーブの多くが完全燃焼させるために大量の空気を入れ高温燃焼させ煙突効果で無駄に燃焼ガスを外部排出してしまうことと、また複雑な構造の二次燃焼や触媒を使用した薪ストーブは製造コストが高く、また排気温度も同様に高いため、高額な二重煙突及び工事費が必要であり、このような薪ストーブでは今回の目的である大気汚染解決のためには購買出来ないほどの価格であり、また常時使用する石炭は薪よりも燃焼火力が強く薪ストーブの構造では耐久性に問題があり、そこで通称ロケットストーブと呼ばれる薪ストーブの燃焼効率の良い燃焼システムを参考にし、本来の燃焼物は薪等が主であるが石炭用の構造に変更し、本発明の目的である寒冷地の小規模住宅での使用を想定し必要最小寸法まで縮小し、なおかつ複雑な装置を使わずに低コストで完全燃焼と省エネの両方を達成できる無煙石炭ストーブを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる無煙石炭ストーブの一形態によれば、前部の一次燃焼室と後部の横引き接続路及び縦型二次燃焼室が接続された横長の構造で、焚き付け用薪及び石炭を正面の燃料投入口より入れる燃料投入口前方扉と、初期燃焼時に必要な空気量を調整する後ろ方向にのみ作動する燃料投入口後方吊り下げ扉があり、つぎに前記一次燃焼室で燃焼した燃焼ガス及び未燃焼ガスは前記横引き接続路から前記縦型二次燃焼室内で再燃焼し天板に向かって燃焼しその後下部の煙突接続部に向かって行き燃焼熱回収室内の蓄熱層へ熱交換され、つぎに煙突接続部から排気されるが、煙突に手を触れることが出来るほどの温度に低下するので高価な二重煙突は必要とせず、また前記横引き接続路の前方右側面に省エネのために燃焼量の調整をする燃焼量調整吊り下げ扉を有し、また安定燃焼後の燃料投入扉の全閉後は灰箱側面の外気導入口から前記横引き接続路前面下に設置してある横引き接続路専用空気流入口からの空気を供給することで、無駄に石炭を燃やさずに燃焼ガスのみを二次燃焼できることを特徴とする。
【0007】
初期の燃焼時に一次燃焼室内での燃焼ガス及び未燃焼ガスは、二枚の扉で構成される燃料投入口後方吊り下げ扉の空気量調整効果により、燃焼ガス等が燃料投入口に逆流することなく横引き接続路に強力に吸い込まれて縦型二次燃焼室に向かうことを特徴とすることができる。
【0008】
横引き接続路と後部の縦型二次燃焼室は中心より左に偏芯して前記縦型二次燃焼室と接続構成することで炎を時計回りに回転させ滞留時間を稼ぎ再燃焼を促進し、より高温の燃焼温度を得ることを特徴とすることができる。
【0009】
従来の石炭ストーブの使用法では安定燃焼後は省エネのため流入空気を絞って熾きと共にゆっくり燃焼させるが、この時から石炭の品質によっては不完全燃焼が始まり未燃焼ガスが発生し始めるが、本発明の無煙石炭ストーブは投入口を閉鎖して空気を絞っても計算上の必要最小限の空気は横引き接続路前部の横引き接続路専用空気流入口から供給され、石炭の消費を押えながら燃焼ガス及び未燃焼ガスを再燃焼させることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる無煙石炭ストーブによれば、複雑な装置を用いずに空気の流れを適切に調整して燃焼効率をさらに向上させて、石炭投入前の点火用の焚き付け材も材質を選ばずに燃焼でき、安定燃焼後は煙のでやすい建築廃材や乾燥の足りない木材等の使用でも二次燃焼室の高温で再燃焼させ、本来の目的である石炭の燃焼による大気汚染の防止とその他の各種資源を有効活用する目的も達成することができる有利な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面の
図1から
図6を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0013】
主として
図1に示すように、一次燃焼室1、横引き接続路2、縦型二次燃焼室3、断熱及び蓄熱材層4、燃焼熱回収室5、煙突接続口6及び排気煙突16により構成された自然吸気による石炭燃焼装置である。
【0014】
本装置は燃焼させる石炭及び薪等を投入する投入口8があり、扉が二枚ある構造で前面は手前に開く燃料投入口前方扉7と燃料投入口後方吊り下げ扉9は奥に向かって開く構造であり燃料の投入がし易く、また初期燃焼時の必要空気量の流入と燃焼ガス等の逆流を防ぐ断面積を備えている。
【0015】
図1に示すように燃料投入口8から燃料を投入でき一次燃焼室1と仕切り板を貫通した横引き接続路2を縦型二次燃焼室3の中心より左に偏芯して接続構成されることと、また前記横引き接続路2と前記縦型二次燃焼室3の上部までを鋼板で二重構造にし断熱及び蓄熱材層4を形成している構成である。
【0016】
また縦型二次燃焼室3の上部及び側面の空間は高温燃焼した排気熱を下がりながら熱交換する燃焼熱回収室5であり熱回収後に低温になった排気は煙突接続口6を通過して排気煙突16に排気される構成である。
【0017】
また高温燃焼した燃焼ガスの温度を燃焼熱回収室5で断熱及び蓄熱材層4及び外部鋼板とに熱交換するが、実験の結果から燃焼ガスは100度以下の温度になるので市販されている単板構造の煙突が安全に使用できる構成である。
【0018】
また石炭の安定燃焼後に燃料節約のために正面の燃料投入口前方扉7を全閉すると酸素不足による未燃焼ガスの発生が起きるが、未燃焼ガスの再燃焼に必要な空気は外部空気流入口13より横引き接続路専用空気流入口14を経由して横引き接続路2に吸引され、縦型二次燃焼室3で二次燃焼されるので燃料を無駄に消費しない構成である。
【0019】
さらに燃焼を制御するために燃焼量調整吊り下げ扉19を燃焼量調整吊り下げ扉可動棒で適量に調節し、燃焼ガスの通過量そのものを制御して燃焼を抑制できるので石炭を無駄に燃焼させない構成である。
【0020】
以上、本発明の種々な形態例を挙げて説明しましたが、本発明はこの形態例に限定されるものでなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得る事ができるものとする。
【符号の説明】
【0021】
1 一次燃焼室
2 横引き接続路
3 縦型二次燃焼室
4 断熱及び蓄熱材層
5 燃焼熱回収室
6 煙突接続口
7 燃料投入口前方扉
8 燃料投入口
9 燃料投入口後方吊り下げ扉
10 ロストル
11 灰受け箱
12 灰受け室
13 外部空気流入口
14 横引き接続口専用空気流入口
15 ストーブ脚
16 排気煙突
17 接続用ボルト穴
18 接続用フランジ部分
19 燃焼量調整吊り下げ扉
20 燃焼量調整吊り下げ扉可動棒
21 一次燃焼室天板
22 縦型二次燃焼室天板