【解決手段】参照面から戻った光の波面の点像位置と被検物体から戻った光の波面の点像位置とを、光軸に対して互いに反対方向に表示させ、また、被検物体から戻った光の波面の点像と光軸とを結ぶ直線の延長線上に、参照面から戻った光の波面の点像を表示させるように、参照面と被検物体との傾きを制御する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のフィゾー干渉計300を示す図である。
【0003】
従来のフィゾー干渉計300は、レーザー10と、発散レンズ11と、ハーフミラーHM1と、コリメーターレンズ20と、参照面30と、被検物体40と、ハーフミラーHM2と、点像モニターカメラCM1と、干渉縞モニターカメラCM2とを有する。
【0004】
レーザー10は、単一の波長を有するレーザー光を射出する。発散レンズ11は、平行光を受けて屈折させ、発散する。ハーフミラーHM1は、レーザー10からのレーザー光を半分透過し、また、参照面30で反射し戻った光の波面Wrと被検物体40で反射し戻った光の波面Wsとを、それぞれ半分反射する。コリメーターレンズ20は、レーザー10が発生したレーザー光を平行光化する。参照面30は、射入した光の一部を透過し、残りを反射する。参照面30によって反射された光と、参照面30を透過した後に被検物体40を透過し、図示しない反射基準凹面鏡によって反射した光との干渉縞を得ることができる。被検物体40は、レンズ等の被検査物体である。
【0005】
ハーフミラーHM2は、参照面30から戻った光の波面Wrと、被検物体40で反射し参照面30を透過した光の波面Wsとを、点像モニターカメラCM1と干渉縞モニターカメラCM2とに振り分けるミラーである。
【0006】
従来のフィゾー干渉計300において、参照面30から戻った光の波面Wrと被検物体40から戻った光の波面Wsとを互いに同じ方向で干渉させ、つまり、参照面30、被検物体40が射入光を同じ方向で反射し、干渉縞モニターカメラCM2に同じ方向で射入して干渉させている。
【0007】
干渉縞モニターカメラCM2で撮影される干渉縞Wは、次の式(1)に示すように、参照面30から戻った光の波面Wrと被検物体40から戻った光の波面Wsとの引き算によって求められる。
【0008】
W(h)=Ws(h)−Wr(h)……(1)
上記hは、瞳内の座標であり、光線射入高さ(レンズ中心からの高さ)である。なお、上記瞳は、レンズにおいて、光が通過する部分である。また、瞳内の座標hは、実際は2次元であるが、簡略化するために、1次元で示す。
【0009】
被検物体40から戻った光の波面Wsは、次の式(2)に示すように、被検物体40そのものの要因による波面Ws0と、途中の光学系による波面Wslとの和で示される。なお、被検物体40そのものの要因による波面Ws0が、フィゾー干渉計300で測定しようとする収差である。また、途中の光学系による波面Wslがノイズに相当する収差である。
【0010】
波面Ws=Ws0+Wsl……(2)
上記と同様に、参照面30から戻った光の波面Wrは、次の式(3)に示すように、参照面30そのものの要因による波面Wr0と、途中の光学系による波面Wrlとの和で示される。
【0011】
なお、途中の光学系は、具体的には、発散レンズ11、ハーフミラーHM1、HM2、コリメーターレンズ20である。
【0012】
Wr=Wr0+Wrl……(3)
つまり、干渉縞Wを、次の式(4)で示すことができる。
【0013】
干渉縞W=Ws−Wr=Ws0−Wr0+Wsl−Wrl……(4)
ここで、参照面30は、収差がゼロになるように厳密に作られているので、Wr0=0であると考えることができる。そして、上記式(4)にWr0=0を代入すると、式(4)は、次の式(5)に示すようになる。
【0014】
干渉縞W=Ws0−Wr0+Wsl−Wrl=Ws0−0+Wsl−Wrl=Ws0+Wsl−Wrl……(5)
なお、Ws0は、被検物体40自体の波面収差である。
【0015】
途中の光学系を起因とする波面Wlは、光線と光軸のなす角をθとすると、次の式(6)で示すことができる。
【0016】
Wl=Sa3+Cm3θ+As3θ
2+高次収差……(6)
なお、上記Sa3は、途中の光学系の球面収差成分であり、上記Cm3は、途中の光学系のコマ収差成分であり、上記As3は、途中の光学系の非点収差成分である。
【0017】
また、途中の光学系に起因する収差(ノイズに相当)Wslを、次の式(7)で示すことができ、途中の光学系に起因する波面Wrlを、次の式(8)で示すことができる。
【0018】
途中の光学系に起因する収差Wsl=Sa3+Cm3θs+As3θ
2s+高次収差……(7)
途中の光学系に起因する波面Wrl=Sa3+Cm3θr+As3θ
2r+高次収差……(8)
図4に示す従来のフィゾー干渉計300は、デジタル処理をしない干渉計であり、目で見て観察するタイプの干渉計である。従来のフィゾー干渉計300では、参照面30を傾けていないので、被検物体40から戻った光の波面Wsと参照面30から戻った光の波面Wrとが同一の光路を通過するので、光学系から全く同じ作用を受ける。よって、次の式(9)に示すように、
途中の光学系に起因する収差Wsl=途中の光学系に起因する波面Wrl……(9)
であると考えることができる。
【0019】
また、上記式(5)における全体の干渉縞Wは、フィゾー干渉計300で観察される波面Wfizであると考えることができので、次の式(10)のように表現することができる。
【0020】
フィゾー干渉計で観察される波面Wfiz=Ws0+Wsl−Wrl……(10)
なお、収差は被検物体40の不良によって生じる現象であり、収差が0であれば、干渉縞が出ない。また、干渉縞を観察することによって、波面を計算する。
【0021】
さらに、上記式(10)に、上記式(9)を代入すると、
フィゾー干渉計で観察される波面Wfiz=Ws0+Wsl−Wrl=Ws0+Wrl−Wrl=Ws0……(10’)
である。
【0022】
つまり、干渉縞Wfizは、被検物体40で反射して戻った光そのものであり、被検物体40そのものの要因による波面Ws0と同じである。すなわち、途中の余計な成分が無くなる。
【0023】
図5は、従来のフィゾー干渉計300の点像モニターカメラCM1における画面53を示す図である。
【0024】
従来のフィゾー干渉計300の点像モニターカメラCM1における画面53には、参照面30から戻った光の波面の点像位置533と、被検物体40から戻った光の波面の点像位置534とが表示されている。光軸位置531は、実際には表示されていない。また、画面53の背景は黒である。
【0025】
従来のフィゾー干渉計300では、
図5に示すように、被検物体40から戻った光の波面の点像位置534と、参照面30から戻った光の波面の点像位置533とが、光軸位置531に重なっている。
【0026】
フィゾー干渉計300で観察される波面Wfizを観測することによって、被検物体40自体の特性を測定したことになり、被検物体40だけの収差を測定したことになる。
【0027】
しかし、フィゾー干渉計300は、コンピュータに取り込むことができるデジタルデータを出力できないという問題がある。
【0028】
図6は、従来のキャリア法干渉計400を示す図である。
【0029】
従来のキャリア法干渉計400(例えば、特許文献1参照)は、
図6に示すように、被検物体40から戻った光の波面Wsと参照面31から戻った光の波面Wrとの光線角度差δをつける干渉計である。なお、被検物体40から戻った光の波面Ws、参照面31から戻った光の波面Wrのそれぞれと光軸とのなす角度を、それぞれθs、θrとすると、光線角度差δは、次の式(11)で示される。
【0030】
θs−θr=δ……(11)
キャリア法を適用して観察される波面(干渉縞)Wcarは、上記式(5)、式(6)から、
Wcar=Ws0+Wsl−Wrl
=Ws0+(Sa3+Cm3θs+As3θ
2s+高次収差s)−(Sa3+Cm3θr+As3θ
2r+高次収差l)……(12)
である。高次収差s、高次収差lは、ともに、一般的に小さいので、どちらも0であると考えると、式(12)を、次の式(13)に変形することができる。
【0031】
Wcar=Ws0+Cm3(θs−θr)+As3(θ
2s−θ
2r)
=Ws0+Cm3δ+As3(θ
2s−θ
2r) …… (13)
=Ws0+Cm3δ+As3(θs−θr)(θs+θr)
=Ws0+Cm3δ+As3δ(θs+θr) …… (13’)
キャリア法を適用して観察される収差は、フィゾー干渉計300に比べて、
Cm3δ+As3(θ
2s−θ
2r) …… (14)
の収差が、干渉縞に加わる。
【0032】
つまり、キャリア法を適用して観察される収差は、フィゾー干渉計300に比べて、
Cm3δ+As3δ(θs+θr) …… (14’)
の収差が、干渉縞に加わる。
【0033】
角度差δ=サンプルの傾きθs−参照面の傾きθr ……(15)
に関しては、参照面31を傾けるキャリア法を適用する場合、角度差δをゼロにしないので、本来、コマ収差が出るが、このコマ収差を、光学設計によってゼロにすることができる。
【0034】
なお、本来、光軸に沿って光が進むように設計されているので、光軸を傾けると、収差が発生する。θ
2まで収差対策すると、多くの場合、問題が無くなる。また、θ
0は球面収差であり、θ
1はコマ収差であり、θ
2は非点収差(アス)である。
【0035】
ここで、式(13)のAs3(θ
2s−θ
2r)の項、すなわち、式(14’)のAs3δ(θs+θr)の項、つまり、非点収差(アス)を示す項について考える。
【0036】
被検物体40から戻った光の波面Wsと光軸とのなす角度θsとして、通常、0を採用することが多い。この理由は、上記式(7)の第2項以降がゼロになるからである。
【0037】
高次収差を除けば、次の式(16)に示すように、サンプルから戻る光に乗ってくるノイズ成分Wslは、
Wsl=3次の球面収差Sa3 ……(16)
であるからである。この場合、必然的に、
θr=−δ……(17)
であり、また、サンプルの傾きθsが0に調整されているので、θs=0であり、これを式(15)に代入すると、
角度差δ=−参照面の傾きθr
となる。
【0038】
一方、式(8)において、高次収差を無視し、0であると考えると、式(8)は、次の式(18)に示すようになる。
【0039】
Wrl=Sa3+Cm3δ+As3δ
2……(18)
であり、したがって、キャリア法を適用して観察される波面(干渉縞)Wcarは、次の式(19)に示すように、
Wcar=Ws0+Cm3δ+As3δ
2……(19)
で表現される。つまり、従来のキャリア法を適用して観察される波面(干渉縞)Wcarには、コマ収差(Cm3δ)と非点収差(As3δ
2)とが含まれる。
【0040】
図7は、従来のキャリア法干渉計400の点像モニターカメラCM1における画面54を示す図である。
【0041】
従来のキャリア法干渉計400の点像モニターカメラCM1における画面54には、参照面31から戻った光の波面の点像位置543と、被検物体40から戻った光の波面の点像位置544とが表示されている。光軸位置541は、実際には表示されていない。また、画面54の背景は黒である。
【0042】
従来のキャリア法干渉計400では、
図7に示すように、光軸位置541に、被検物体40から戻った光の波面の点像位置544が重なるが、参照面31から戻った光の波面の点像位置543は、光軸位置541の横にシフトする。
【0043】
すなわち、キャリア法干渉計400で測定した結果には、サンプルが有する収差以外に、測定光学系のコマ収差と非点収差とが含まれる。この場合、測定光学系において、コマ収差を消すだけではなく、非点収差も同時に消すように設計しなければならない。しかし、コマ収差と非点収差とを同時に発生しないようにする光学設計は、コマ収差だけ発生しないようにする光学設計に比べて、格段に難しいという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0050】
発明を実施するための形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0051】
図1は、本発明の実施例1であるキャリア法干渉計100を示す図である。
【0052】
キャリア法干渉計100は、従来のキャリア法干渉計400と、ハード的には同様である。ただし、キャリア法干渉計100は、従来のキャリア法干渉計400において、被検物体41をも傾ける点が異なる。
【0053】
つまり、キャリア法干渉計100は、レーザー10と、発散レンズ11と、ハーフミラーHM1と、コリメーターレンズ20と、参照面31と、被検物体41と、ハーフミラーHM2と、点像モニターカメラCM1と、干渉縞モニターカメラCM2とを有する。点像モニタカメラCM1は、参照面31から戻った光の波面Wrの点像位置と被検物体41から戻った光の波面Wsの点像位置とを表示する表示手段である。
【0054】
参照面31、被検物体41は、ともに、所定角度傾斜させることができる。
【0055】
ここで、式(14’)のAs3δ(θs+θr)の項、つまり、非点収差(アス)を示す項が小さくなる条件を考える。
【0056】
As3の値は、光学設計で決まる。また、δは、キャリア角であるので、キャリア法を選択する限り、一定量である。θsとθrとの関係は、式(11)に示すように、θs−θr=δである。この条件下で、θs+θrが小さくなれば、非点収差を示す項であるAs3δ(θs+θr)の項が小さくなる。ところで、θsとθrとが互いに同符号であれば、足しあわされ、大きくなる。しかし、θsとθrとが互いに異なる符号であれば、θs+θrは、減算され、その値が小さくなり、この結果、非点収差を示す項であるAs3δ(θs+θr)の項が小さくなる。θsとθrとが互いに異なる符号であるということは、物体光の光線の傾きθsと参照光の光線の傾きθrとが、光軸に対して、互いに反対方向に傾いているということである。
【0057】
つまり、参照面31から戻った光の波面の点像位置513と被検物体41から戻った光の波面の点像位置514とを、光軸位置511に対して互いに反対方向に表示させるように、参照面31の傾きと被検物体41の傾きとが制御されている。しかも、光軸と被検物体41から戻った光の波面の点像とを結ぶ直線の延長線上に、参照面31から戻った光の波面の点像を表示させるように、参照面31の傾きと被検物体41の傾きとが制御されている。
【0058】
すなわち、キャリア法を使うためには、角度差を1にする必要があるので、被検物体(サンプル)41の傾きθsと参照面31の傾きθrとの差を1にする。この条件を満足しつつ、被検物体41の傾きθs、参照面31の傾きθrの絶対値を互いに同じにすれば、θs=δ/2、θr=−δ/2になる。
【0059】
つまり、
被検物体41の傾きθs=δ/2……(20)
とすると、
参照面の傾きθr=−δ/2……(21)
になる。
【0060】
ここで、上記式(13)に、上記式(20)、式(21)を代入すると、
Wcar=Ws0+Cm3δ+As3(θ
2s−θ
2r)
=Ws0+Cm3δ+As3((δ/2)
2−(−δ/2)
2)
=Ws0+Cm3δ+As3(δ
2/4−δ
2/4)= Ws0+Cm3δ……(22)
となり、非点収差(アス)の項(As3δ
2)が消える。つまり、被検物体41の傾きθs=δ/2、参照面の傾きθr=−δ/2にすれば、非点収差を消すことができる。
【0061】
この場合、光学系のコマ収差がゼロになるように光学設計すれば、コマ収差が消えることは勿論、非点収差も消え、つまり、コマ収差と非点収差とを同時に消すことができる。
【0062】
一般的には、レンズ2枚でコマ収差を消すことができるが、レンズ2枚で非点収差を消すことは困難である。しかし、上記実施例では、レンズ2枚でコマ収差を消した後に、被検物体41の傾きθsをδ/2とし、参照面31の傾きθrを−δ/2とすれば、コマ収差と非点収差とを同時に消すことができる。
【0063】
換言すれば、キャリア法に基づいて波面をデジタル計測する干渉計において、参照面31から戻った光の波面Wrの点像位置と、被検物体41から戻った光の波面Wsの点像位置とを、光軸に対して、互いに反対方向に設定する。また、光軸と被検物体41から戻った光の波面Wsの点像とを結ぶ直線上に、参照面31から戻った光の波面Wrの点像を表示する。
【0064】
図2は、キャリア法干渉計100の点像モニターカメラCM1における画面51を示す図である。
【0065】
キャリア法干渉計100の点像モニターカメラCM1における画面51には、参照面31から戻った光の波面の点像位置513と、被検物体41から戻った光の波面の点像位置514が表示されている。光軸位置511は、実際には表示されていない。また、画面51の背景は黒である。
【0066】
キャリア法干渉計100では、
図2に示すように、、参照面31から戻った光の波面の点像位置513と、被検物体41から戻った光の波面の点像位置514とは、光軸位置511を挟んで互いに反対側にシフトする。
【0067】
なお、実施例1において、式(20)に示すθs=δ/2と完全に同じに定義しなくても、θsを、次の式(23)の範囲に設定すれば、
(1/4)δ≦ θs ≦(3/4)δ……(23)
θs=0とした場合における非点収差の影響に比べて、非点収差の影響を半分以下に収めることができる。つまり、式(13)の右辺第3項に示す非点収差の影響(As3(θ
2s−θ
2r))に、θs=(3/4)δ、θr=(1/4)δを代入すると、
As3(θ
2s−θ
2r)=As3((3/4)
2−(1/4)
2)δ
2=As3((9/16)−(1/16))δ
2=As3(8/16)δ
2=As3(1/2)δ
2=(1/2)As3δ
2…(24)
であり、非点収差を示す項「As3δ
2」が1/2になり、すなわち、非点収差の影響を半分以下に収めることができる。
【0068】
図3は、本発明の実施例2であるキャリア法干渉計200を示す図である。
【0069】
キャリア法干渉計200は、キャリア法干渉計100において、傾き制御手段60を設けた、点像の位置を自動化した実施例である。
【0070】
傾き制御手段60は、参照面31と被検物体41との傾きを制御する手段である。傾き制御手段60は、参照面31から戻った光の波面Wrの点像位置を示す情報と、被検物体41から戻った光の波面Wsの点像位置を示す情報とを、点像モニタカメラCM1から受信し、参照面31から戻った光の波面Wrの点像位置と被検物体41から戻った光の波面Wsの点像位置とを、光軸に対して互いに反対方向に表示させるように、参照面31と被検物体41との傾きを制御する手段である。また、傾き制御手段60は、被検物体41から戻った光の波面Wsの点像と光軸とを結ぶ直線の延長線上に、参照面31から戻った光の波面Wrの点像を表示させるように、参照面31と被検物体41との傾きを制御する手段である。
【0071】
なお、キャリア法で導入される被検物体41から戻った光の波面Wsと参照面31から戻った光の波面Wrとの角度差を、δとし、被検物体41から戻った光の波面Wsと光学系の光軸との角度を、θsとし、参照面31から戻った光の波面Wrと光学系の光軸との角度を、θrとした場合、角度θsを、次の式(25)で示すように設定してもよい。
【0072】
0.25δ≦ θs ≦0.75δ ……(25)
θr=θs−δ
である。
【0073】
つまり、被検物体41から戻った光の波面Wsと参照面31から戻った光の波面Wrとの距離のほぼ半分の長さを、上記光軸から離して、被検物体41から戻った光の波面Wsの点像、参照面31から戻った光の波面Wrの点像を表示させる。
【0074】
また、上記実施例をプログラムで表現してもよい。すなわち、キャリア法に基づいて収差をデジタル計測する場合、上記実施例であるキャリア法干渉計100、200のそれぞれを構成する各手段としてコンピュータを機能させるプログラムを想定するようにしてもよい。
【0075】
ところで、キャリア法を用いた従来の干渉計400では、被検物体41から戻った光の波面Wsの点像を光軸に表示することが大原則である。上記実施例は、この大原則に反して、被検物体41から戻った光の波面Wsの点像を光軸から離して表示している。
【0076】
なお、キャリア法を用いた干渉計では、非点収差の量は、光軸から離れた距離の二乗に比例する。
【0077】
上記実施例では、従来のキャリア法の干渉計の特徴である温度、湿度等の環境に影響されないことは勿論、安価なキャリア法の干渉計であっても、非点収差が出ない高精度の干渉計を得ることができる。