(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-75950(P2017-75950A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】電極汚染報知機能を有する電気伝導度を用いた測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20170331BHJP
【FI】
G01N27/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-202775(P2016-202775)
(22)【出願日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0143440
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516309958
【氏名又は名称】エイチエム デジタル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ユン−ホ
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA20
2G060AE08
2G060AE40
2G060AF08
2G060AG11
2G060HC02
2G060HC10
2G060HC18
2G060HD03
(57)【要約】
【課題】電気伝導度を用いて塩分濃度などを測定するにあたり、測定対象物による電極の汚染の有無を感知して測定値の正確度を向上させることができる測定装置を提供する。
【解決手段】(1)表面に表示部が配置され、内部に制御モジュールが装着される本体部と、(2)本体部の一方の側に備えられ、測定対象物の電気的特性を測定する電極として少なくとも第1センサ電極及び第2センサ電極を含み、また、第1センサ電極との距離、及び第2センサ電極との距離が互いに同一であるように配置される基準電極をさらに有するセンサ部とを備え、(3)制御モジュールは、基準電極を基準にして測定される、第1センサ電極との電気的特性、及び第2センサ電極との電気的特性の相互の差が、許容された基準値以内の場合に測定がなされるようにセンサ部を制御し、前記相互の差が、許容された基準値を超える場合、各センサ電極についての洗浄の情報を表示するように表示部を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に浸漬させて測定対象物の電気的特性を測定する、電気伝導度を用いた測定装置において、
表面には表示部が配置され、内部には、測定装置の動作を制御する制御モジュールが装着される本体部と、
前記本体部の一方の側に備えられて前記制御モジュールの制御により駆動され、測定対象物の電気的特性を測定する電極として少なくとも第1センサ電極及び第2センサ電極を含み、また、前記第1センサ電極との距離、及び前記第2センサ電極との距離が互いに同一となるように配置される基準電極をさらに有し、測定対象物に浸漬されて電気的特性を測定するセンサ部とを備え、
前記制御モジュールは、
前記基準電極を基準にして測定される、第1センサ電極との電気的特性、及び第2センサ電極との電気的特性の相互の差が、許容された基準値以内に含まれる場合、測定がなされるように前記センサ部を制御し、前記相互の差が、許容された基準値を超える場合、前記各センサ電極についての洗浄の情報を、前記表示部を通じて表示するように、前記表示部を制御することを特徴とする電極汚染報知機能を有する電気伝導度を用いた測定装置。
【請求項2】
前記制御モジュールは、
前記基準電極に対する第1センサ電極及び第2センサ電極の電気的特性が、相異なるか、または予め設定された基準値を超えることが連続的に繰り返される場合、センサ電極の交換の情報を、前記表示部を通じて表示するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電極汚染報知機能を有する電気伝導度を用いた測定装置。
【請求項3】
前記制御モジュールは、
前記基準電極を基準にして測定される、第1センサ電極との電気的特性、及び第2センサ電極との電気的特性についての平均値に基づいて測定がなされるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電極汚染報知機能を有する電気伝導度を用いた測定装置。
【請求項4】
前記制御モジュールは、
第1センサ電極と第2センサ電極との間の電気的特性を測定し、これに基づいて測定がなされるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電極汚染報知機能を有する電気伝導度を用いた測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導度を用いた測定装置に関し、さらに詳細には、測定対象物に浸漬させ、電気伝導度を用いて塩分濃度、TDS(Total Dissolved Solids;総溶解固形分)などの特性を測定するにあたり、測定対象物による電極の汚染の有無について感知し、ユーザに知らせて洗浄するようにすることにより、測定値の正確度を向上させることができる、電極汚染報知機能を有する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、水資源の管理と利用の重要性に対する認識が順次向上するにつれて、水資源の汚染防止と効率的な利用のための多様な管理システムが開発及び適用されており、このような水資源は、産業現場だけでなく、家庭での飲料水または生活用水など、多様な用途に利用されることができるように管理される。
【0003】
特に、最近になってウェルビーイング(well-being)と健康に対する一般人の関心が増加すると共に、塩辛い食物が高血圧発生の主な要因の一つとして明らかになるに伴い、食物に含まれた塩分を測定する塩分濃度計に対する関心が増加している。一般に、塩分濃度計は、食物に溶けている塩化ナトリウム(NaCl)のイオン濃度に応じて電気伝導度が変化する性質を利用したものであり、一対の電極を測定水と接触するようにした後に、電圧を印加して、通電される電流の量を測定することによって、該当測定水の塩度を求めるようになる。
【0004】
このように測定対象物の特性を測定するために、家庭用、産業用として多様に使用できる携帯用測定装置が広く普及している。携帯用測定装置は、対象物の電気伝導度を用いて各種の特性を測定するのであり、電気伝導度(EC:Electric Conductivity)以外にも、その用途により、塩度、TDS(Total Dissolved Solids;総溶解固形分)などの特性を精密に測定できる。
【0005】
図1は、従来の技術にかかる携帯用塩分濃度計を示した斜視図で、
図2は、
図1の主要部であるセンサ部を示した正面図である。
【0006】
まず、
図1に示すように、携帯用塩分濃度計は、所定の長さを有するバー状の本体11と、本体11の一方の端部に設けられるセンサ部14とから構成される。本体11には、測定結果を含む各種情報を表示するためのディスプレイパネル12と、測定装置を操作するための操作部13が備えられ、センサ部14は、測定対象物に浸漬されて塩度を測定するための一対の塩度センサ電極15と、測定対象物の温度を測定するための温度センサ電極16とが備えられる。
【0007】
図2に示すように、塩度センサ電極15は、所定の間隔に離隔されており、センサ部14が測定水に十分に浸漬された状態で、両センサ電極14に電圧を印加して、測定される抵抗値に応じて塩分を測定するようになる。このとき、測定される塩分は、温度センサ電極16によって測定される測定水の温度を、常温状態に補正した状態での塩度値として表示される。
【0008】
前記のような従来の技術にかかる塩分濃度計は、一対の塩度センサ電極の間で測定される電気的特性、すなわち抵抗値を利用して塩度を自動的に測定することによって、測定水の塩度を簡単でかつ迅速に測定できる長所を示す。しかしながら、このように一対のセンサ電極間の電気的特性を利用して塩度を測定する方式の塩分濃度計は、一対の塩度センサ電極に異質物が付着した場合、両センサ電極間の電気的特性が大きく変化して、それに応じて測定される塩分も大きな誤差を有するようになるという問題点がある。
【0009】
一般に、塩分濃度計は、センサ電極の清潔を維持した状態で測定がなされなければならないので、電極を毎度洗浄しなければならないという面倒さがある。特に、汁物またはチゲなどのように食物を測定対象物にする場合、食物に含まれた物質がセンサ電極に容易に付着し得るのであり、微細な異質物は、視覚的に認識されない場合が多く、このような異質物によるセンサ電極の汚染により、塩度測定のエラーが頻繁に発生しているのが現状である。このような測定のエラーは、長期間の使用に伴うセンサ電極の老朽化(電極の表面が酸化されてサビが発生する場合など)により、電気的特性が変更される場合にも発生される。
【0010】
そのため、従来の技術にかかる塩分濃度計は、このようなセンサ電極の汚染などによる電気的特性の変化に応じて、周期的に標準溶液を利用してセンサ電極を較正しているのであり、このためのセンサ較正装置も特許文献1に提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許10−1519356号(2015.05.06登録)、センサの較正装置
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するために提案されたものであって、センサ電極に、異質物の付着などによる汚染が発生しているかどうかを確認し、汚染が発生した場合に、ユーザに知らせて洗浄がなされるようにすることによって、便利に使用でき、測定値の正確度を向上させることができる、電極汚染報知機能を有する電気伝導度を用いた測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成すべく、本発明は、測定対象物に浸漬させて測定対象物の電気的特性を測定する、電気伝導度を用いた測定装置において、(1)表面には表示部が配置され、内部には、測定装置の動作を制御する制御モジュールが装着される本体部と、(2)前記本体部の一方の側に備えられて前記制御モジュールの制御により駆動され、測定対象物の電気的特性を測定する電極として少なくとも第1センサ電極及び第2センサ電極を含み、また、前記第1センサ電極との距離、及び前記第2センサ電極との距離が互いに同一となるように配置される基準電極をさらに有し、測定対象物に浸漬されて電気的特性を測定するセンサ部とを備え、(3)前記制御モジュールは、前記基準電極を基準にして測定される、第1センサ電極との電気的特性、及び第2センサ電極との電気的特性の相互の差が、許容された基準値以内に含まれる場合、測定がなされるように前記センサ部を制御し、前記相互の差が、許容された基準値を超える場合、前記各センサ電極についての洗浄の情報を、前記表示部を通じて表示するように、前記表示部を制御することを特徴とする。
【0014】
ここで、前記制御モジュールは、前記基準電極に対する第1センサ電極及び第2センサ電極の電気的特性が相異なるか、または予め設定された基準値を超えるということが連続的に繰り返される場合、センサ電極の交換の情報を、前記表示部を通して表示するよう構成されることを特徴とする。
【0015】
また、前記制御モジュールは、前記基準電極を基準として測定される第1センサ電極との電気的特性、及び、第2センサ電極との電気的特性についての平均値に基づいて測定がなされるように構成されるか、または第1センサ電極と第2センサ電極との間の電気的特性を測定し、これに基づいて水質測定がなされるように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、一対のセンサ電極の他に基準電極がさらに備えられ、基準電極と、一対をなす各センサ電極との間における電気的特性が互いに同一であるか、または基準値範囲内での差のみがある場合に測定がなされるようにすることによって、正確な値を測定できる。
【0017】
また、本発明は、センサ電極が汚染または損傷された場合、これをユーザに知らせることによって、ユーザは、センサ電極の洗浄または交換の時期などを認知して適切な措置を取ることができるので、便利に使用できるという効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来の技術にかかる携帯用塩分濃度計を示した斜視図である。
【
図2】
図1の主要部であるセンサ部を示した正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる塩度測定装置を示した斜視図である。
【
図4】
図3の主要部であるセンサ部を示した正面図である。
【
図5】本発明の実施の形態にかかる塩度測定装置の内部構成を示したブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる塩度測定装置の塩度測定過程を示したフローチャートである。
【
図7a】本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置のセンサ部を概略的に示した概念図(1)である。
【
図7b】本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置のセンサ部を概略的に示した概念図(2)である。
【
図8a】本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置を示した斜視図(1)である。
【
図8b】本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置を示した斜視図(2)である。
【
図9】本発明のさらに他の実施の形態にかかる塩度測定装置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明と本発明の実施により達成される技術的課題は、以下で説明する好ましい実施の形態により明確になるはずである。以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を詳細に述べる。
【0020】
図3は、本発明の一実施の形態にかかる塩度測定装置を示した斜視図で、
図4は、
図3の主要部であるセンサ部を示した正面図である。
【0021】
図示のように、塩度測定装置は、ハウジング100、及びハウジング100の一方の端部に設けられるセンサ部200からなり、ハウジング100の内部には、センサ部200の測定と表示部300のディスプレイを制御する制御モジュール(
図5の100’を参照)が内蔵される。また、ハウジング100の外周面には、各種情報を表示するための表示部300と、ユーザの命令を受け取るための操作部400とが備えられる。
【0022】
ここで、ハウジング100は、塩度測定装置の本体をなす構成であり、絶縁性の合成樹脂を利用した射出成形で製造できる。このようなハウジング100は、ユーザが容易に把持できるように所定の長さでバー形状をなし、一側の表面には、表示部300と操作部400とが形成される。
【0023】
センサ部200は、ハウジング100の一方の先端に設けられて測定水の塩度を測定する構成であり、測定水の抵抗を測定するための一対のセンサ電極(sensor electrode)210と、測定水の温度を測定するための温度電極230とを具備する。特に、本発明の塩度測定装置は、一対の前記センサ電極210との抵抗を測定するための基準電極(reference electrode)220をさらに具備する。すなわち、
図4に示すように、センサ部200の先端部には、測定水の抵抗(すなわち、電気的特性)を測定するための電極として、一対のセンサ電極210−1、210−2と共に、基準電極220が外部に露出するように備えられ、各電極は、所定間隔で離隔されて配置される。このようなセンサ電極210と基準電極220とは、電気導電性に優れた金属材質の棒状の電極から構成される。
【0024】
ここで、一対のセンサ電極210は、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2とから構成され、測定水に浸漬された状態で、センサ電極210に印加される電圧でもって、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2との間の抵抗を測定するようになる。
【0025】
基準電極220は、各センサ電極210と離隔して配置され、第1センサ電極210−1または第2センサ電極210−2との抵抗を測定して、第1センサ電極210−1または第2センサ電極210−2の汚染の有無を確認する。基準電極220が第1センサ電極210−1及び第2センサ電極210−1のいずれとも、同じ間隔だけ離隔されており、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2が汚染されない条件であると、基準電極220と第1センサ電極210−1との間に測定される抵抗と、基準電極220と第2センサ電極210−2との間に測定される抵抗とは、同じ値を有するようになる。しかしながら、いずれか一方のセンサ電極に異質物が付着した場合、基準電極220と、異質物が付着したセンサ電極との間の抵抗は、基準電極と、異質物が付着していないセンサ電極との間の抵抗より、大きな値として測定される。
【0026】
したがって、本発明のセンサ部200は、基準電極220と第1センサ電極210−1との間、及び、基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗値R1、R2が互いに同じであるか、または少なくともその差が、許容された基準値の範囲内に含まれるかどうかによって、あるセンサ電極の汚染の有無または汚染の程度が分かるようになるように構成される。また、基準電極220と第1センサ電極210−1との間、及び、基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗値が互いに同一であるか、またはその差が許容された基準値の範囲内に含まれる場合、あるセンサ電極も汚染されないか、または汚染されても測定結果に影響を及ぼさない程度であるから、塩度測定がなされるように構成される。反面、基準電極220と第1センサ電極210−1との間、及び、基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗値差が許容された基準値の範囲から外れる場合、いずれか一方または両方のセンサ電極が、測定結果に影響を及ぼす程度に汚染されたことであるから、塩度測定はなされないで、このことを、表示部300を通じて知らせる。これによって、ユーザは、センサ部200を洗浄して再度使用するようになる。
【0027】
このとき、塩度の測定は、基準電極220との間で測定される第1センサ電極210−1及び第2センサ電極210−2までの抵抗値R1、R2についての平均値(R1+R2/2)に基づいて塩度が算出されるようにするか、または第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2との間の抵抗値R12を測定して、これに基づいて塩度が算出されるように構成することができる。このために、制御モジュールは、平均値算出モジュールを具備できる。基準電極220に対する第1センサ電極210−1及び第2センサ電極210−2の平均抵抗値(R1+R2/2)に基づいて塩度を測定する場合、いずれかのセンサ電極に微細な汚染があっても、より正確な塩度を測定できるという長所があるのであり、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2との間で測定される抵抗値R12に基づいて塩度を測定する場合、基準電極220の汚染の有無に関わらず正確な塩度値を測定できるという長所がある。
【0028】
また、本発明の塩度測定装置は、基準電極220との間で測定される、第1センサ電極210−1までの抵抗値と、第2センサ電極210−2までの抵抗値との差によって、センサ電極の交換時期を知らせることもできる。すなわち、基準電極220と第1センサ電極210−1との間の抵抗値、及び、基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗値が、互いに異なることから、洗浄情報を、表示部300を通じて知らせるのであるが、ユーザが洗浄後に再度測定を試みても連続して繰り返し前記抵抗値が異なるように測定される場合には、酸化などによってセンサ電極自体が損傷されたことであるから、交換の情報を、表示部300を通じて知らせることによって、ユーザがセンサ電極の交換時期について分かるようにする。
【0029】
温度電極230は、測定水の実際の温度を測定するための電極であり、塩度は、測定水の温度に応じて異なるように測定されるので、所定温度の測定水で測定された塩度を常温(例えば25℃)の状態の塩度に補正するために測定水の実際の温度を測定することが必要である。また、温度電極230は、センサ部200が高温の測定水に浸漬された瞬間から、温度を所定時間単位のリアルタイムで測定することによって、温度変化量を利用してセンサ電極210が測定水と同じ温度の熱平衡状態に到達したかどうかを判断するデータとして活用するようになる。
【0030】
表示部300は、測定水に対する測定モード、温度、測定値、単位、電源などの多様な情報を表示する構成であり、LCDモジュールから構成されることができる。このような表示部300は、ハウジング100の一側にて表示パネルが外部に露出するようにハウジング100に装着される。
【0031】
操作部400は、測定装置に対するユーザ操作のための構成であり、測定装置のオン/オフボタンなど、必要に応じた多様な機能の操作ボタンが備えられることができる。
【0032】
前記のような構成の塩度測定装置は、ユーザが、本体を構成するハウジング100を把持し、各電極が測定水に十分に浸るようにセンサ部200を測定水に浸漬させた状態で、測定水に対する塩度測定がなされる。また、前記のような測定装置は、センサ電極の種類に応じて測定水に対する多様な特性を測定できるようになり、塩度の他にEC(電気伝導度)、TDS(総溶解固形分)などを測定する測定装置として構成されることができる。
【0033】
図5は、本発明の実施の形態にかかる塩度測定装置の内部構成を示したブロック図であり、
図6は、本発明の実施の形態にかかる塩度測定装置の塩度測定過程を示したフローチャートである。
【0034】
まず、
図5を参照すると、本発明の塩度測定装置は、ハウジング100の内部に設置される制御モジュール100’の制御によって測定が行われ、制御モジュール100’は、メインCPU110、ADコンバーター120、メモリ130及び電源部140を備えることができ、これらは、単一のマイコンMCU(microcontroller)の形態により具現化されることができる。センサ部200の各電極で感知される電流または温度などのアナログ値は、ADコンバーター120を介してCPU110に送信され、CPU110では、送信された値に応じて算出される塩度値または警告信号を、ディスプレイパネル310または警告部320の表示部300を介して、ユーザに提供する。このとき、ディスプレイパネル310は、測定水の塩度、温度などを含む多様な情報を表示し、警告部320は、センサ電極210の汚染の有無または交換の要否について表示する。ここで警告部320は、点滅するLEDランプなどを利用してディスプレイパネル310と別に構成することができ、また、ディスプレイパネル310の内部に構成することもできる。
【0035】
そして、
図6を参照して、前記のような構成の塩度測定装置を利用した塩度測定過程を述べると、次のとおりである。測定装置のセンサ部200が測定水に浸漬されると、測定が自動的に始まり(S11)、温度電極230で測定される温度とその変化量に応じて、測定水と各電極210、220が熱平衡状態をなしているかどうか(すなわち、センサ電極の温度が測定水の温度に到達したかどうか)を確認する(S12)。各電極と測定水が熱平衡状態をなす場合、まず、基準電極220と各センサ電極210との間の抵抗R1、R2が測定される。すなわち、基準電極220と第1センサ電極210−1との間の抵抗、及び、基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗R1、R2が測定され(S13、S13’)、測定された各抵抗R1、R2を比較する(S14)。比較の結果、基準電極220に対する第1センサ電極210−1及び第2センサ電極210−2の抵抗が同一であるか、またはその差が基準値以下であると、測定水に対する塩度測定がなされる。このとき、測定水に対する塩度の測定は、基準電極220と、第1センサ電極210−1及び第2センサ電極210−2のそれぞれとの間の抵抗R1、R2についての平均値を算出し(S16)、これに基づいて塩度を測定することで行うことができるのであり(S17)、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2との間で測定される抵抗値に基づいて塩度を測定することもできる。
【0036】
そして、測定された塩度は、所定温度の測定水に対する塩度であるから、最終的にこれを室温(例えば25℃)の状態の塩度値に補正して、その結果を、表示部300を通して表示するようになる(S18、S19)。
【0037】
一方、前記ステップS12及びS12’にて測定された、基準電極220との間の抵抗を、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2との間で比較した結果、その差が基準値から外れる場合、少なくとも何れか一つのセンサ電極210は、異質物によって汚染されたことであるから、表示部300を通して、洗浄などを要求する情報を、ユーザに提供し(S15)、ユーザによってセンサ部200の洗浄がなされた場合、再度同じ過程で測定を行うようにする。
【0038】
また、センサ部200の洗浄後にも基準電極220と第1センサ電極210−1との間の抵抗、及び、基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗を比較した結果、繰り返し、連続して異なるように現れる場合、少なくとも何れか一つのセンサ電極210が、酸化などによって損傷されたと見なすことができるから、表示部300を介して、センサ電極の交換を要求する情報を提供するように構成されることもできる。
【0039】
また、基準電極220と第1センサ電極210−1との間の抵抗、及び基準電極220と第2センサ電極210−2との間の抵抗を比較するにおいて、両抵抗値が完全に同一でなくても所定の基準値以下において差がある場合にも、センサ電極が汚染されない定常状態と判断して、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2との間で抵抗を測定して塩度を算出するように構成されることもできる。
【0040】
図7は、本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置のセンサ部を概略的に示した概念図である。本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置は、センサ部200に一つの基準電極220と共に多数のセンサ電極210が備えられる。
【0041】
まず、
図7aに示すセンサ部200は、一つの基準電極220に対して3個のセンサ電極210−1、210−2、210−3が備えられ、基準電極220は、各センサ電極と同じ間隔をなすように配置され、3個のセンサ電極210−1、210−2、210−3も互いに同じ間隔に配置される。この場合、基準電極220から、第1センサ電極210−1、第2センサ電極210−2及び第3センサ電極210−3までの抵抗をそれぞれ測定した上で、同じ抵抗値を有するか、またはその差が基準値範囲内の小さいものである一対のセンサ電極間で測定された抵抗値に基づいて、測定水に対する塩度測定がなされるように構成される。一例として、基準電極220から第2センサ電極210−2及び第3センサ電極210−3までの間の抵抗値は、互いに同一であり、基準電極220と第1センサ電極210−1との間の抵抗値が大きく異なる場合、第1センサ電極210−1が汚染されたものであるから、基準電極220から第2センサ電極210−2及び第3センサ電極210−3までの間の抵抗値についての平均値、または第2センサ電極210−2と第3センサ電極210−3との間で測定される抵抗値に基づいて塩度を測定するようになる。
【0042】
そして、
図7bに示すように、一つの基準電極220に対して同じ間隔に配置された6個のセンサ電極210−1ないし210−6が備えられ、次のようにして塩度を測定するよう構成されることができる。すなわち、基準電極220との間で同じ抵抗値を有するか、その差が基準値範囲内の抵抗値を有する少なくとも二つ以上のセンサ電極にて測定される抵抗値についての平均値に基づいて、塩度を測定するよう構成されることができる。このように、基準電極220に対して、平均値を算出するためのセンサ電極が多いほど、正確な塩度を測定できるようになる。
【0043】
このようにセンサ電極が少なくとも3個以上配置される場合、一部のセンサ電極が汚染されても汚染されない一対のセンサ電極において測定がなされるので、汚染されたセンサ電極に対する洗浄なしで直ちに測定がなされることができるという長所を有する。このとき、すべてのセンサ電極が基準電極に対して相異なる抵抗値を有する場合、洗浄情報または交換情報を表示してユーザに知らせるように構成されるはずである。
【0044】
図8a、
図8b及び
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置を示した斜視図である。本発明の他の実施の形態にかかる塩度測定装置は、センサ部の電極構造が異なる。
【0045】
まず、
図8a及び
図8bを参考にすると、センサ部200は、絶縁材質の射出物240の表面に沿って電極がストライプ構造に形成される。すなわち、
図8a及び
図8bの実施の形態では、基準電極220とセンサ電極210が、いずれも、円柱状のセンサ部200の外周面に沿って周方向に延びるリング状のストライプ電極(stripe electrode)から構成されている。そして、3個のストライプ電極のうち、中央に位置する電極が基準電極220として構成され、基準電極220の両側(根元側及び先端側)に第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2とが配置される。このとき、第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2とは、基準電極220に対して同じ間隔に離隔配置される。ここで、温度電極230は、
図8aのように射出物240の先端部から外部に突き出して露出するように形成されるか、
図8bのように射出物240の内部に内蔵されることができる。
【0046】
そして、
図9を参考すると、センサ部200は、絶縁材質の射出物240の表面においてスポット構造から形成される。すなわち、
図9の実施の形態では、基準電極220とセンサ電極210とが、いずれも、スポット電極(spot electrode)から構成されており、中央に位置する電極が基準電極220として構成され、基準電極220の両側に第1センサ電極210−1と第2センサ電極210−2とが配置される。また、温度電極も射出物240の先端部から外部に突き出して露出するように形成されるか、または射出物240の内部に内蔵されることができる。
【0047】
また、センサ部200の電極は、ストライプ電極とスポット電極とが混合される構造も可能であるはずである。
【0048】
そして、本発明の実施の形態においてセンサ部200は、測定水に浸漬されて測定するバー状をなすと説明したが、収容凹部の内部に一定量の測定水を収容して測定がなされるスプーンの形状をなすことも可能である。
【0049】
以上、本発明において実施の形態を参考して説明されたが、本技術分野における通常の知識を有した者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施の形態が可能であるという点を理解すべきである。特に、本発明の携帯用水質測定装置に対する説明において塩度測定装置を例としたが、前記のような構成は、塩度の他にも測定対象物のpH、ECまたはTDCなど多様な特性を測定するための携帯用水質測定装置に適用されることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 ハウジング
200 センサ部
210 センサ電極
220 基準電極
230 温度電極
300 表示部
400 操作部