特開2017-76021(P2017-76021A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東光学株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017076021-レンズ装置 図000003
  • 特開2017076021-レンズ装置 図000004
  • 特開2017076021-レンズ装置 図000005
  • 特開2017076021-レンズ装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-76021(P2017-76021A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】レンズ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20170331BHJP
   G03B 17/14 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
   G02B7/02 E
   G02B7/02 Z
   G03B17/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-202650(P2015-202650)
(22)【出願日】2015年10月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 淳一
【テーマコード(参考)】
2H044
2H101
【Fターム(参考)】
2H044AE01
2H044AE06
2H044AJ01
2H044AJ06
2H101EE08
2H101EE13
(57)【要約】
【課題】レンズ装置の組立後であっても、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを容易に変えることが可能なレンズ装置を提供する。
【解決手段】レンズ装置1は、レンズ鏡筒2と、レンズ鏡筒2に取り付けられる制御ユニットと、制御ユニットに一端が接続されるケーブル5とを備えている。このレンズ装置1には、レンズ鏡筒2の径方向の外側からケーブル5の一部が巻かれて収容されるケーブル収容溝3aが、レンズ鏡筒2の周方向に沿って、かつ、露出するように形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒に取り付けられる制御ユニットと、前記制御ユニットに一端が接続されるケーブルとを備えるとともに、
前記レンズ鏡筒の径方向の外側から前記ケーブルの一部が巻かれて収容されるケーブル収容溝が、前記レンズ鏡筒の周方向に沿って、かつ、露出するように形成されていることを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記レンズ鏡筒の光軸方向の一方側から前記ケーブル収容溝に通じるとともに前記ケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記レンズ鏡筒の光軸方向における前記レンズ鏡筒の一端側に固定される環状のリング部材を備え、
前記ケーブル収容溝は、前記リング部材の外周側に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記リング部材には、前記光軸方向の一方側から前記ケーブル収容溝に通じるとともに前記ケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成され、
前記ケーブル引込溝は、前記リング部材の外周面から前記径方向の内側に向かって窪むように形成されていることを特徴とする請求項3記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記周方向における前記ケーブル収容溝の一部を前記径方向の外側から覆う覆部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記レンズ鏡筒の光軸方向の一方側から前記ケーブル収容溝に通じるとともに前記ケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成され、
前記覆部と前記ケーブル引込溝とは、前記周方向において隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項5記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記レンズ鏡筒を外周側から覆う飾り筒を備え、
前記覆部は、前記レンズ鏡筒の光軸方向における前記飾り筒の一端に形成されていることを特徴とする請求項5または6記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記光軸方向の一方を第1方向とすると、前記レンズ鏡筒の前記第1方向端側に固定される環状のリング部材を備え、
前記ケーブル収容溝は、前記リング部材の外周側に形成され、
前記リング部材は、前記ケーブル収容溝の前記第1方向側の側面を構成する環状の壁部を備え、
前記壁部の外周側の、前記覆部の周辺部分には、前記径方向の内側に向かって切り欠かれた切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記レンズ装置は、撮像装置に取付可能となっており、
前記レンズ装置が前記撮像装置に取り付けられた状態では、前記レンズ鏡筒と前記撮像装置との間に前記リング部材が配置されていることを特徴とする請求項3、4または8記載のレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に取り付けられて使用されるレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラに取り付けられて使用される監視カメラ用のレンズ装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ装置は、レンズ鏡筒とリング部材とマウント部材とを備えている。レンズ鏡筒には、レンズ装置の絞りを制御するためのアイリスメータが取り付けられており、アイリスメータには、ケーブル(アイリスケーブル)の一端が接続されている。リング部材は、レンズ鏡筒の光軸方向におけるレンズ鏡筒の一端に固定されている。マウント部材は、レンズ鏡筒の光軸方向においてレンズ鏡筒との間にリング部材を挟んだ状態でリング部材に固定されている。
【0003】
特許文献1に記載のレンズ装置では、リング部材に、径の異なる内壁リングと外壁リングとが形成されており、径方向における内壁リングと外壁リングとの間の部分は、ケーブルの一部が収容されるケーブル収容部となっている。外壁リングの2箇所には、切欠きが形成され、マウント部材には、ケーブル押え用の2個の突起が外壁リングの切欠きに対応する位置に形成されている。マウント部材は、ケーブル収容部を覆うように取り付けられている。マウント部材が取り付けられた状態では、外壁リングの切欠きとマウント部材の突起とによって、ケーブル収容部に向かってケーブルが引き込まれる開口とケーブル収容部からケーブルが引き出される開口とが形成されている。
【0004】
特許文献1に記載のレンズ装置では、一方の開口から引き込まれたケーブルを内壁リングと外壁リングとの間のケーブル収容部に巻いた後に他方の開口から引き出すと、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さが短くなる。また、このレンズ装置では、一方の開口から引き込まれたケーブルをケーブル収容部に巻かずに他方の開口から引き出すと、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さが長くなる。このように、特許文献1に記載のレンズ装置では、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを調整することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5706049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のレンズ装置では、上述のように、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを調整することが可能となっている。しかしながら、このレンズ装置では、マウント部材によってケーブル収容部が覆われているため、マウント部材を取り外さないと、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを調整することができない。したがって、このレンズ装置では、レンズ装置の組立後に、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを変える際の作業が煩雑になる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、レンズ装置の組立後であっても、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを容易に変えることが可能なレンズ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ装置は、レンズ鏡筒と、レンズ鏡筒に取り付けられる制御ユニットと、制御ユニットに一端が接続されるケーブルとを備えるとともに、レンズ装置には、レンズ鏡筒の径方向の外側からケーブルの一部が巻かれて収容されるケーブル収容溝が、レンズ鏡筒の周方向に沿って、かつ、露出するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のレンズ装置では、レンズ鏡筒の径方向の外側からケーブルの一部が巻かれて収容されるケーブル収容溝が、レンズ鏡筒の周方向に沿って、かつ、露出するように形成されている。そのため、本発明では、レンズ装置を組み立てた後でも、露出しているケーブル収容溝にケーブルを巻いてケーブルの引出し長さを短くしたり、露出しているケーブル収容溝に巻かれているケーブルをケーブル収容溝から外してケーブルの引出し長さを長くしたりすることが可能になる。したがって、本発明では、レンズ装置の組立後であっても、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを容易に変えることが可能になる。
【0010】
本発明において、レンズ装置には、レンズ鏡筒の光軸方向の一方側からケーブル収容溝に通じるとともにケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成されていることが好ましい。このように構成すると、ケーブル引込溝を利用して光軸方向の一方側からケーブル収容溝にケーブルを引き込むことが可能になる。したがって、径方向の外側からケーブル収容溝にケーブルが引き込まれている場合と比較して、径方向でレンズ装置を小型化することが可能になる。また、径方向の外側からケーブル収容溝にケーブルが引き込まれている場合と比較して、レンズ装置の外観をすっきりさせることが可能になる。
【0011】
本発明において、レンズ装置は、レンズ鏡筒の光軸方向におけるレンズ鏡筒の一端側に固定される環状のリング部材を備え、ケーブル収容溝は、リング部材の外周側に形成されていることが好ましい。このように構成すると、複雑な形状となりやすいレンズ鏡筒にケーブル収容溝が形成されている場合と比較して、ケーブル収容溝を容易に形成することが可能になる。
【0012】
本発明において、リング部材には、光軸方向の一方側からケーブル収容溝に通じるとともにケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成され、ケーブル引込溝は、リング部材の外周面から径方向の内側に向かって窪むように形成されていることが好ましい。このように構成すると、ケーブル引込溝を利用して光軸方向の一方側からケーブル収容溝にケーブルを引き込むことが可能になるため、径方向の外側からケーブル収容溝にケーブルが引き込まれている場合と比較して、径方向でレンズ装置を小型化することが可能になるとともに、レンズ装置の外観をすっきりさせることが可能になる。
【0013】
本発明において、レンズ装置は、周方向におけるケーブル収容溝の一部を径方向の外側から覆う覆部を備えることが好ましい。このように構成すると、ケーブルの一部を覆部に押し当てた状態で、ケーブル収容溝からケーブルを引き出すことが可能になる。したがって、ケーブル収容溝からのケーブルの引出し位置を安定させることが可能になる。
【0014】
本発明において、レンズ装置には、レンズ鏡筒の光軸方向の一方側からケーブル収容溝に通じるとともにケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成され、覆部とケーブル引込溝とは、周方向において隣り合うように配置されていることが好ましい。このように構成すると、光軸方向の一方側からケーブル収容溝に通じるとともにケーブルの一部が配置されるケーブル引込溝が形成されているため、ケーブル引込溝を利用して光軸方向の一方側からケーブル収容溝にケーブルを引き込むことが可能になる。また、覆部とケーブル引込溝とが周方向において隣り合うように配置されているため、ケーブルの、ケーブル収容溝から引き出される部分を、ケーブルの、ケーブル引込溝から引き込まれた部分と覆部との間に挟んだ状態で、ケーブル収容溝からケーブルを引き出すことが可能になる。したがって、ケーブル収容溝からのケーブルの引出し位置をより安定させることが可能になる。また、このように構成すると、ケーブル引込溝を利用して光軸方向の一方側からケーブル収容溝にケーブルを引き込むことが可能になるため、径方向の外側からケーブル収容溝にケーブルが引き込まれている場合と比較して、径方向でレンズ装置を小型化することが可能になるとともに、レンズ装置の外観をすっきりさせることが可能になる。
【0015】
本発明において、レンズ装置は、たとえば、レンズ鏡筒を外周側から覆う飾り筒を備え、覆部は、レンズ鏡筒の光軸方向における飾り筒の一端に形成されている。この場合には、たとえば、覆部がレンズ鏡筒に形成されている場合と比較して、覆部を比較的容易に形成することが可能になる。
【0016】
本発明において、光軸方向の一方を第1方向とすると、レンズ装置は、レンズ鏡筒の第1方向端側に固定される環状のリング部材を備え、ケーブル収容溝は、リング部材の外周側に形成され、リング部材は、ケーブル収容溝の第1方向側の側面を構成する環状の壁部を備え、壁部の外周側の、覆部の周辺部分には、径方向の内側に向かって切り欠かれた切欠き部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、周方向におけるケーブル収容溝の一部が径方向の外側から覆部に覆われていても、切欠き部を利用して、容易に、ケーブル収容溝にケーブルを巻いたり、ケーブル収容溝に巻かれているケーブルをケーブル収容溝から外したりすることが可能になる。たとえば、覆部が形成される飾り筒がレンズ鏡筒およびリング部材に取り付けられた状態でも、切欠き部を利用して、容易に、ケーブル収容溝にケーブルを巻いたり、ケーブル収容溝に巻かれているケーブルをケーブル収容溝から外したりすることが可能になる。
【0017】
本発明において、レンズ装置は、撮像装置に取付可能となっており、レンズ装置が撮像装置に取り付けられた状態では、レンズ鏡筒と撮像装置との間にリング部材が配置されていることが好ましい。このように構成すると、レンズ装置が撮像装置に取り付けられたときに、リング部材のケーブル収容溝から引き出されるケーブルが目立ちにくくなる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のレンズ装置では、レンズ装置の組立後であっても、レンズ装置から引き出されるケーブルの引出し長さを容易に変えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかるレンズ装置の斜視図である。
図2図1に示すレンズ装置の、ケーブル収容溝からケーブルを取り外した状態の斜視図である。
図3図1に示すレンズ装置の分解斜視図である。
図4図1に示すレンズ装置の分解斜視図を図3と異なる方向から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(レンズ装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ装置1の斜視図である。図2は、図1に示すレンズ装置1の、ケーブル収容溝3aからケーブル5を取り外した状態の斜視図である。図3は、図1に示すレンズ装置1の分解斜視図である。図4は、図1に示すレンズ装置1の分解斜視図を図3と異なる方向から示す図である。なお、以下の説明では、図1等のZ1方向側を被写体側となる「前」側とし、Z2方向側を結像側となる「後(後ろ)」側とする。
【0022】
本形態のレンズ装置1は、撮像装置(図示省略)に取り付けられて使用される。すなわち、レンズ装置1は、撮像装置に取付可能となっている。撮像装置は、たとえば、監視カメラである。レンズ装置1は、レンズ鏡筒2と、レンズ鏡筒2の後端側に固定される環状のリング部材3と、レンズ鏡筒2を外周側から覆う筒状の飾り筒4とを備えている。また、レンズ装置1は、レンズ装置1の絞りを自動で調整する機能(オートアイリス機能)を備えており、レンズ装置1の絞り調整を行うための制御ユニット(アイリス制御ユニット、図示省略)と、この制御ユニットに一端が接続されるケーブル(アイリスケーブル)5とを備えている。なお、撮像装置には、レンズ装置1の後端側が取り付けられており、レンズ装置1が撮像装置に取り付けられた状態では、レンズ鏡筒2と撮像装置との間にリング部材3が配置されている。
【0023】
レンズ鏡筒2の内部には、複数のレンズが配置されている。また、レンズ鏡筒2の内部には、上述の制御ユニット(アイリス制御ユニット)が取り付けられている。また、レンズ鏡筒2には、レンズ装置1の焦点調整を行うための制御ユニットやレンズ装置1の倍率調整を行うための制御ユニットが取り付けられている。本形態の前後方向は、レンズ鏡筒2の光軸方向であり、後ろ方向(Z2方向)は、レンズ鏡筒2の光軸方向の一方である第1方向となっている。以下の説明では、レンズ鏡筒2の光軸の周方向(円周方向)を「周方向」とし、レンズ鏡筒2の光軸と直交する方向を「径方向」とする。
【0024】
飾り筒4は、略円筒状に形成されている。具体的には、飾り筒4は、段付の略円筒状に形成されており、大径部4aと、大径部4aよりも外径および内径が小さい小径部4bとから構成されている。小径部4bは、大径部4aの前端側に繋がっており、飾り筒4の前端側部分を構成している。飾り筒4は、飾り筒4の光軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。飾り筒4の後端には、後ろ側に向かって突出する小片状の1個の突出部4cが形成されている。すなわち、大径部4aの後端には、突出部4cが形成されている。突出部4cは、周方向における大径部4aの後端の一部から後ろ側に向かって突出している。また、突出部4cは、円弧状をなす曲板状に形成されている。径方向における突出部4cの内側面の曲率半径は大径部4aの内周面の曲率半径と等しくなっており、径方向における突出部4cの外側面の曲率半径は大径部4aの外周面の曲率半径と等しくなっている。
【0025】
リング部材3は、レンズ鏡筒2と別体で形成されている。このリング部材3は、上述のように、環状に形成されている。具体的には、リング部材3は、円環状に形成されている。リング部材3の内周側には、レンズ鏡筒2の後端側部分が配置されている。リング部材3の後端側部分の外周側には、径方向の外側からケーブル5の一部が巻かれて収容されるケーブル収容溝3aが形成されている。ケーブル収容溝3aは、周方向に沿って形成されるとともにリング部材3の全周に亘って形成されており、ケーブル収容溝3aにはケーブル5が周方向に沿って収容可能となっている。また、ケーブル収容溝3aは、リング部材3の後端側部分の外周面から径方向の内側に向かって窪む四角溝状に形成されている。
【0026】
リング部材3は、ケーブル収容溝3aの前側の側面を構成する環状の壁部3bと、ケーブル収容部3aの後ろ側の側面を構成する環状の壁部3cとを備えている。壁部3b、3cは、円環状に形成されている。壁部3bの外径は、壁部3cの外径よりも大きくなっている。また、リング部材3は、壁部3bよりも前側に配置される円環状の前端部3dを備えている。前端部3dの外径は、壁部3bの外径よりも小さくなっている。また、前端部3dは、壁部3bの前面に繋がるように形成されている。周方向における前端部3dの一部には、前端部3dの前端面から後ろ側に向かって窪む凹部3eが形成されている。
【0027】
また、リング部材3には、前側からケーブル収容溝3aに通じるとともに、ケーブル5の一部が配置されるケーブル引込溝3fが形成されている。ケーブル引込溝3fは、ケーブル引込溝3fの長さ方向と前後方向とが一致するように形成されており、前側からケーブル収容溝3aに繋がっている。また、ケーブル引込溝3fは、リング部材3の外周面から径方向の内側に向かって窪むように形成されている。具体的には、ケーブル引込溝3fは、壁部3bの外周面および前端部3dの外周面から内側に向かって窪むように形成されている。ケーブル引込溝3fは、前後方向における前端部3dの全域および壁部3bの全域に形成されている。また、ケーブル引込溝3fは、前後方向から見たときの形状が略U形状(底部が円弧となり側面が平面となる形状)となるように形成されている。前後方向から見たときに、径方向におけるケーブル引込溝3fの内側端は、径方向におけるケーブル収容溝3aの内側の側面と重なっている。すなわち、ケーブル引込溝3fの底部の最深部とケーブル収容溝3aの底部の最深部とが互いに同一面上に配置されている。そのため、ケーブル引込溝3とケーブル収容溝3afとに収容されたケーブル5を、ケーブル引込溝3とケーブル収容溝3afとの接続部分においても各溝の底部に接触させることが可能となっている。したがって、各溝の底部の接触部分におけるケーブル5の径方向の湾曲を抑えることができ、ケーブル5の曲げ負荷を軽減することが可能になる。
【0028】
壁部3bには、飾り筒4の突出部4cの前端側の一部が係合する切欠き部3gが形成されている(図4参照)。切欠き部3gは、壁部3bの外周面から径方向の内側に向かって切り欠かれるように形成されている。また、切欠き部3gは、周方向において、ケーブル引込溝3fと隣り合うように形成されている。すなわち、切欠き部3gに係合する突出部4cとケーブル引込溝3fとは、周方向において隣り合うように配置されている。本形態では、切欠き部3gは、周方向において、わずかな隙間をあけた状態で、ケーブル引込溝3fと隣り合うように形成されている。
【0029】
飾り筒4は、飾り筒4の後端と壁部3bの前面とが当接した状態で、かつ、切欠き部3gに突出部4cの前端側の一部が係合した状態でリング部材3に固定されている。リング部材3および飾り筒4がレンズ鏡筒2に取り付けられた状態では、ケーブル収容溝3aは、飾り筒4よりも後ろ側に配置されており、レンズ装置1の外部に露出している。すなわち、ケーブル収容溝3aは、外部に露出するように形成されている。また、飾り筒4がリング部材3に固定された状態では、突出部4cの後端側部分は、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部を径方向の外側から覆っている。本形態の突出部4cは、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部を径方向の外側から覆う覆部である。
【0030】
壁部3cの外周側には、径方向の内側に向かって切り欠かれた切欠き部3hが形成されている。切欠き部3hは、壁部3cの、ケーブル引込溝3fおよび切欠き部3gの後ろ側の部分に形成されている。すなわち、切欠き部3hは、壁部3cの、ケーブル引込溝3fおよび突出部4cの周辺部分に形成されている。また、切欠き部3hは、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部が突出部4cによって径方向の外側から覆われた状態であっても、ケーブル収容溝3aにケーブル5を巻いたり、ケーブル収容溝3aに巻かれたケーブル5をケーブル収容溝3aから外したりすることが可能となるように、周方向および径方向において所定の範囲に形成されている。つまり、壁部3cの外周側と突出部4cとの間にケーブル5を通すことが可能な間隔が形成されるように切欠き部3hが形成されている。切欠き部3hによって、壁部3cの外周側と突出部4cとの間に間隔が形成されることで、この間隔を利用してケーブル5をケーブル収容溝3aに入れたりケーブル収容溝3aから取り出したりすることが可能となっている。
【0031】
上述のように、ケーブル5の一端(基端)は、制御ユニットに接続されており、飾り筒4の内部に配置されている。ケーブル5の他端(先端)には、コネクタ6が取り付けられている。コネクタ6は、レンズ装置1が取り付けられる撮像装置に接続される。ケーブル5は、飾り筒4の内部からケーブル引込溝3fを介してケーブル収容溝3aに引き込まれている。すなわち、ケーブル5は、飾り筒4よりも径方向の外側へ引き出されることなくケーブル収容溝3aに引き込まれている。また、ケーブル収容溝3aに引き込まれたケーブル5は、径方向の外側からケーブル収容溝3aに1周分巻かれた後に、突出部4cに押し当てられた状態で(より具体的には、周方向における突出部4cの、ケーブル引込溝3f側の側面に押し当てられた状態で)折り曲げられて、径方向の外側に引き出されている。あるいは、ケーブル収容溝3aに引き込まれたケーブル5は、そのまま(すなわち、ケーブル収容溝3aに巻かれることなく)折り曲げられて径方向の外側に引き出されている。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、径方向の外側からケーブル5の一部が巻かれて収容されるケーブル収容溝3aがリング部材3に形成されており、このケーブル収容溝3aは、レンズ装置1の外部に露出している。そのため、本形態では、レンズ装置1を組み立てた後でも、ケーブル収容溝3aにケーブル5を巻いてケーブル5の引出し長さを短くしたり、ケーブル収容溝3aに巻かれているケーブル5をケーブル収容溝3aから外してケーブル5の引出し長さを長くしたりすることが可能になる。したがって、本形態では、レンズ装置1の組立後であっても、レンズ装置1から引き出されるケーブル5の引出し長さを容易に変えることが可能になる。また、本形態では、ケーブル収容溝3は、径方向の外側に溝の開口部を向けた状態で露出しているため、ケーブル5を、ケーブル収容溝3aに収容する際やケーブル収容溝3aから外す際に、ケーブル5を周方向に回せば良い。したがって、たとえば、溝の開口部が後方を向くようにケーブル収容溝3が形成されるとともに、後方からケーブル収容溝3にケーブル5を入れたり出したりする場合と比較して、ケーブル5のケーブル収容溝3aへの収容および取り外しが容易になる。
【0033】
本形態では、前側からケーブル収容溝3aに通じるケーブル引込溝3fがリング部材3に形成されており、ケーブル5は、飾り筒4の内部からケーブル引込溝3fを介してケーブル収容溝3aに引き込まれている。そのため、本形態では、径方向の外側からケーブル収容溝3aにケーブル5が引き込まれている場合と比較して、径方向でレンズ装置1を小型化することが可能になるとともに、レンズ装置1の外観をすっきりさせることが可能になる。
【0034】
本形態では、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部が突出部4cによって径方向の外側から覆われている。そのため、本形態では、ケーブル収容溝3aに巻かれたケーブル5の一部を突出部4cに押し当てた状態で、ケーブル収容溝3aからケーブル5を引き出すことが可能になる。したがって、本形態では、ケーブル収容溝3aからのケーブル5の引出し位置を安定させることが可能になる。特に本形態では、突出部4cとケーブル引込溝3fとが周方向において隣り合うように配置されているため、図1に示すように、ケーブル5の、ケーブル収容溝3aから引き出される部分を、ケーブル5の、ケーブル引込溝3fから引き込まれた部分と突出部4cとの間に挟んだ状態で、ケーブル収容溝3aからケーブル5を引き出すことが可能になる。したがって、本形態では、ケーブル収容溝3aからのケーブル5の引出し位置をより安定させることが可能になる。
【0035】
本形態では、リング部材3の壁部3cに切欠き部3hが形成されている。また、切欠き部3hは、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部が突出部4cによって径方向の外側から覆われた状態であっても、ケーブル収容溝3aにケーブル5を巻いたり、ケーブル収容溝3aに巻かれたケーブル5をケーブル収容溝3aから外したりすることが可能となるように、周方向および径方向において所定の範囲に形成されている。そのため、本形態では、レンズ鏡筒2およびリング部材3に飾り筒4が取り付けられた状態でも、切欠き部3hを利用して、容易に、ケーブル収容溝3aにケーブル5を巻いたり、ケーブル収容溝3aに巻かれているケーブル5をケーブル収容溝3aから外したりすることが可能になる。
【0036】
本形態では、ケーブル収容溝3aは、リング部材3の外周側に形成されている。そのため、本形態では、複雑な形状となりやすいレンズ鏡筒2にケーブル収容溝3aが形成されている場合と比較して、ケーブル収容溝3aを容易に形成することが可能になる。また、本形態では、ケーブル収容溝3aの一部を径方向の外側から覆う突出部4cが飾り筒4に形成されているため、レンズ鏡筒2やリング部材3に突出部4cが形成されている場合と比較して、突出部4cを比較的容易に形成することが可能になる。また、本形態では、レンズ装置1が撮像装置に取り付けられたときに、レンズ鏡筒2と撮像装置との間にリング部材3が配置されているため、リング部材3のケーブル収容溝3aから引き出されるケーブル5が目立ちにくくなる。
【0037】
(他の実施の形態)
上述した形態では、レンズ装置1の絞り調整を行うための制御ユニットにケーブル5の一端が接続されているが、レンズ装置1の焦点調整を行うための制御ユニットやレンズ装置1の倍率調整を行うための制御ユニットにケーブル5の一端が接続されていても良い。なお、レンズ鏡筒2には、焦点調整を行うための制御ユニットや倍率調整を行うための制御ユニットが取り付けられていなくても良い。
【0038】
上述した形態では、レンズ装置1は、リング部材3を備えているが、レンズ装置1は、リング部材3を備えていなくても良い。この場合には、レンズ鏡筒2にケーブル収容溝3aが形成される。また、この場合には、たとえば、レンズ鏡筒2にケーブル引込溝3fが形成される。なお、この場合において、レンズ鏡筒2にケーブル引込溝3fが形成されていなくても良い。また、上述した形態において、リング部材3にケーブル引込溝3fが形成されていなくても良い。レンズ装置1にケーブル引込溝3fが形成されていない場合には、径方向の外側へケーブル5を引き出すための引出し孔または引出し溝を飾り筒4に形成するとともに、飾り筒4から径方向の外側に引き出されたケーブル5を径方向の外側からケーブル収容溝3aに引き込めば良い。
【0039】
上述した形態では、突出部4cは、周方向においてケーブル引込溝3fと隣り合うように配置されているが、突出部4cは、周方向においてケーブル引込溝3fと隣り合っていなくても良い。また、上述した形態では、飾り筒4に1個の突出部4cが形成されているが、飾り筒4に複数個の突出部4cが形成されても良い。さらに、上述した形態では、壁部3cに切欠き部3hが形成されているが、壁部3cに切欠き部3hが形成されていなくても良い。
【0040】
上述した形態では、飾り筒4に突出部4cが形成されているが、飾り筒4に突出部4cが形成されていなくても良い。この場合には、たとえば、壁部3bあるいはレンズ鏡筒2に突出部4cが形成されても良い。また、上述した形態では、レンズ装置1は、飾り筒4を備えているが、レンズ装置1は、飾り筒4を備えていなくても良い。この場合には、たとえば、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部を径方向の外側から覆う覆部がレンズ鏡筒2またはリング部材3の壁部3bに形成される。あるいは、この場合には、レンズ鏡筒2、リング部材3および飾り筒4と別体で形成される覆部が飾り筒4等に固定される。なお、周方向におけるケーブル収容溝3aの一部を径方向の外側から覆う覆部がレンズ鏡筒2、リング部材3および飾り筒4に形成されていなくても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 レンズ装置
2 レンズ鏡筒
3 リング部材
3a ケーブル収容溝
3c 壁部
3f ケーブル引込溝
3h 切欠き部
4 飾り筒
4c 突出部(覆部)
5 ケーブル
Z2 第1方向
図1
図2
図3
図4