【実施例1】
【0013】
以下、本発明に係る二端子定電流制御装置1を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、電子機器や動力や照明機器等でなる負荷の一例として、直列接続された複数のLED(2a〜2n)を具備したLED直列回路2へ、所定の入力電圧を定電流電力を供給する回路で成る本発明の二端子定電流制御装置1を接続した構成を示したものである。
前記二端子定電流制御装置1は、入力端子30に整流回路5を接続し、一方、出力端子31にLED直列回路2を接続している。前記LED直列回路2は、2a〜2nまでのn(nは任意の数)個のLEDを複数直列接続したものである。なお、V
1は、整流回路5から二端子定電流制御装置1へ入力される入力電圧である。V
oは、二端子定電流制御装置1から出力されLED直流回路2へ印加される出力電圧である。I
oは、二端子定電流制御装置1から出力されLED直列回路2を流れる出力電流(負荷電流)である。Vfは、LED2a等の順方向電圧となる負荷構成要素の単体電圧である。
【0014】
次に、前記二端子定電流制御装置1の内部回路について
図2に基づいて説明する。
二端子定電流制御装置1は、入力端子30と出力端子31間に直列に接続されたコンデンサ32と、前記コンデンサ32と並列に接続されたダイオード33と、前記コンデンサ32と出力端子間に直列に接続され、電気を転流させるコイル34と、前記コンデンサ32の一端側の経路と他端側の経路を、負荷2に流れる電流I
0を電流計35で検出して、その値に応じて、それぞれ入力端子30側又は出力端子31側に切り替えて、負荷2に流れる電流I
0を制御する。
前記コンデンサ32とダイオード33は、前記コンデンサ32の陽極側が前記ダイオード33のカソード側と接続され、前記コンデンサ32の陰極側が前記ダイオード33のアノード側とが接続されている。
なお、前記コイル34と出力端子間31には、電流計35が直列接続されており、負荷2に流れる電流I
0を検出する。また、前記コンデンサ32には、電圧計36が並列接続されており、コンデンサ32の両端間及びダイオード33のアノード・カソード間の電圧を検出する。
【0015】
前記電流制御回路3は、前記ダイオード33のカソード側と接続されたコンデンサ32の一端側の経路を、入力端子30側又は出力端子31側に切り替える第1スイッチ素子S
1と、前記ダイオード33のアノード側と接続されたコンデンサ32の他端側の経路を、入力端子30側又は出力端子31側に切り替える第2スイッチ素子S
2と、前記第2スイッチ素子S
2と入力端子30間に設けられた第3スイッチ素子S
3と、電流計35に流れる電流の数値に応じて、前記の各スイッチ素子(S
1〜S
3)の切り替えを行う制御手段4(
図1を参照)と、を備えている。
【0016】
次に、上記のように構成された二端子定電流制御装置1の動作を
図3〜
図6に基づいて説明する。
本実施例では、負荷2に流れる電流I
0と設定した場合、I
oがI
1〜I
hの範囲内(I
h>I
1)となるように制御する。ここで、I
1はI
oの−以下の適切な値であり、I
hは、I
oの+以上の適切な値である。
【0017】
先ず、
図3は、前記二端子定電流制御装置1の動作のステップ1を示している。前記二端子定電流制御装置1に電源を入れると、第1スイッチ素子S
1及び第2スイッチ素子S
2は、NO側に接続され、第3スイッチ素子S
3は、オン(接続状態)となる。つまり、ダイオード33のアノード側が入力端子30側に接続され、同ダイオード33のカソード側が出力端子31側に接続されるため、前記二端子定電流制御装置1に流れる電流は、太線で示した矢印の方向に流れる。このとき、負荷2に流れる電流I
0は、
図6(B)に示すように、コイル34によって電気を転流させて最終的にI
hまで到達する。負荷2に印加される電圧V
oは、
図6(A)に示すように、逆電流バイパスダイオード33の働きで電圧V
1となる。なお、コンデンサ32には電流が流れないため、
図6(C)に示すように、電圧は常に正である。
【0018】
次に、
図4は、前記二端子定電流制御装置1の動作のステップ2を示している。
前記二端子定電流制御装置1は、前記ステップ1において、負荷2に流れる電流I
0が上昇してI
hに到達すると、前記コントローラ(制御手段)4が電流計35からの信号を受信し、第1スイッチ素子S
1と第2スイッチ素子S
2とをNC側に接続する信号を送ると共に、前記第3スイッチ素子S
3をオフ(非接続状態)にする信号を送り、
図4に示すステップ2の状態になるように、前記各スイッチ素子(S
1〜S
3)を切り替える。
ステップ2では、ダイオード33のアノード側が出力端子31側に接続され、同ダイオード33のカソード側が入力端子30側に接続されるため、前記二端子定電流制御装置1に流れる電流は、太線で示した矢印の方向に流れる。つまり、前記ダイオード33には電流が流れず、前記コンデンサ32に電流が流れるため、同コンデンサ32は蓄電される。
ステップ2における負荷2に流れる電流I
0は、
図6(B)に示すように、二端子定電流制御装置1に流れる電流がコンデンサ32に蓄電されるため、徐々に減少する。電圧V
oは、
図6(A)に示すように、徐々に電流が流れなくため降圧される。このとき、コンデンサ32は蓄電され、
図6(C)に示すように電圧はV
cとなる。
【0019】
次に、
図5は、前記二端子定電流制御装置1の動作のステップ3を示している。
前記二端子定電流制御装置1は、前記ステップ2において、負荷2に流れる電流I
0が減少してI
1に到達すると、前記コントローラ(制御手段)4が電流計35からの信号を受信し、第1スイッチ素子S
1と第2スイッチ素子S
2とをNO側に接続する信号を送ると共に、前記第3スイッチ素子S
3をオン(接続状態)にする信号を送り、
図5に示すステップ3の状態になるように、前記各スイッチ素子(S
1〜S
3)を切り替える。
ステップ3では、ダイオード33のアノード側が入力端子30側に接続され、同ダイオード33のカソード側が出力端子31側に接続されるため、前記二端子定電流制御装置1に流れる電流は、太線で示した矢印の方向に流れる。また、上記ステップ2においてコンデンサ32に溜まった電荷が放出される。
よって、前記二端子定電流制御装置1がステップ3に切り替わった直後の負荷2に印加する電圧V
oは、
図6(A)に示すように、V
c+V
1となる。そして、負荷2に印加する電圧V
oは、前記コンデンサ32の電荷が減少するにつれて降圧され、最終的にV
1になる。負荷2に流れる電流I
0は、
図6(B)に示すように、コイル34によって電気を転流させて最終的にI
hまで到達する。なお、このときコンデンサ32の電圧は、
図6(C)に示すように、蓄電された電荷が放電されるので0Vになる。
【0020】
前記二端子定電流制御装置1は、ステップ3において負荷2に流れる電流I
0が上昇してI
hに到達すると、再び、前記コントローラ(制御手段)4が電流計35からの信号を受信し、前記第1スイッチ素子S
1と第2スイッチ素子S
2とをNC側に接続する信号を送ると共に、前記第3スイッチ素子S
3をオフ(非接続状態)にする信号を送り、
図4に示すステップ2の状態になるように、前記各スイッチ素子(S
1〜S
3)を切り替える。その後、前記二端子定電流制御装置1は、
図6(A)〜(C)に示すように、ステップ3とステップ2の切り替えを交互に繰り返して、負荷2に流れる電流I
0を、I
1〜I
hの範囲内となるように制御する。
【0021】
本発明の二端子定電流装置1は、三端子構造を使用せず、所定の入力電圧を負荷2へ電力を供給する構成なので、負荷2への電力供給が低損失であり、負荷2へ電力供給を好適に行うことができる。更に、本発明の二端子定電流制御装置1は、上記構成なので制御回路を二端子構造とすることができ、回路構成を簡素化させることができる。
【0022】
なお、本実施例では、負荷2の一例としてLED直列回路の定電流化について説明したが、例えばDC蛍光灯、DCハロゲンランプ、DCモータ、スパッタ用プラズマ等の負荷を定電流化させる構成、或いはソレノイドの定電流化による高速応答等でも同様に実施することができる。つまり、本発明の二端子定電流制御装置1は、電子機器や動力や照明機器等の様々な半導体製品を定電流化させることができることを念のため付言する。
【実施例2】
【0023】
次に、実施例2の二端子定電流制御装置10を
図7及び
図8に基づいて説明する。なお、実施例1で説明した二端子定電流制御装置1と重複する内容については、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
実施例2の二端子定電流制御装置10は、実施例1で説明した二端子定電流制御装置1を構成する前記電流制御回路3において、前記制御手段4に指令を送る外部装置と通信可能な通信手段6を備えた構成を特徴としている。前記制御手段4は、前記外部装置の指令に基づいて制御される。
【0024】
前記通信手段6は、
図7に示したように、電気的書換可能な論理回路を組み込んだマイクロコンピュータ4(制御手段)に、例えばRS232C規格、USB変換又はLAN等の補助端子60を接続して通信可能とした構成である。なお、前記補助端子61は、マイクロコンピュータ4に設けたコネクタに接続される。
前記外部装置は、詳細に図示することは省略したが、例えばPC端末や携帯端末等である。該外部装置を操作してマイクロコンピュータ4に指令を送ることで、前記マイクロコンピュータ4(制御手段)のプログラムを負荷2の変化に対応させるように書き換えたり、或いは
図6(B)に示した負荷2に流れる制御電流値の大きさや、スイッチ素子(S
1〜S
3)の切り替え速度(動作時間)等の変数の設定を変更させることができる。
つまり、前記制御手段4を外部装置の指令に基づいて制御させることで、LED直列回路、DC蛍光灯、DCハロゲンランプ、DCモータ、スパッタ用プラズマ等の負荷に対応させて使用することができる。
【0025】
図8は、
図7とは異なる通信手段6を備えた二端子定電流制御装置11の構成を示している。前記二端子定電流制御装置11は、整流回路5と入力端子30との間に通信手段6として電源線通信用コントローラを備えている。前記電源線通信用コントローラ6に接続された外部装置(例えばPC端末や携帯端末等)を操作することで、
図6(B)に示した負荷2に流れる電流の大きさや、スイッチ素子(S
1〜S
3)の切り替え速度等の変数の設定を変更させることができる。
【0026】
なお、前記通信手段6は、上記
図7及び
図8に示した実施形態に限定されない。つまり、通信手段6は、制御手段4に指令を送る外部装置と通信可能とさせることができ、且つ前記制御手段4を外部装置の指令に基づいて制御できる構成であれば、他の実施形態であっても同様に実施できる。
【0027】
以上に図面に示した実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではない。その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。