特開2017-76831(P2017-76831A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000003
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000004
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000005
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000006
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000007
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000008
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000009
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000010
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000011
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000012
  • 特開2017076831-中継装置及び中継通信システム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-76831(P2017-76831A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】中継装置及び中継通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20170331BHJP
【FI】
   H04L12/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-201778(P2015-201778)
(22)【出願日】2015年10月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 傑
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA05
5K033BA02
5K033DA05
5K033DB19
5K033DB20
5K033EA03
5K033EA07
5K033EC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保守側中継装置から複数の保守対象側中継装置に接続する際、各保守対象側中継装置のLANのアドレスが重複していることを、オペレータに報知する。
【解決手段】第1の保守対象側中継装置20から受信し、アドレフィルタ情報記憶部に記憶されている第1のアドレスフィルタ情報と、第2の保守対象側中継装置30から受信したアドレスフィルタ情報を比較し、両者の間で保守対象機器21、22、23にアドレスの重複がある場合には、第1の保守対象中継装置20は保守側LANに接続されたクライアント端末11にアドレスの重複があることを通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と保守側LANを介して通信するための保守側ネットワークインタフェースと、
保守対象側中継装置から保守対象機器のアドレスフィルタ情報を受信するアドレスフィルタ情報受信部と、
保守側中継装置と前記保守対象側中継装置との間でルーティングセッションを確立するルーティングセッション確立部と、
前記ルーティングセッションを利用して保守対象機器と前記クライアント端末との間の通信パケットをルーティングするルーティング制御部を備えた保守側中継装置としての中継装置において、
前記アドレスフィルタ情報受信部が第1の保守対象側中継装置から受信した第1のアドレスフィルタ情報を記憶するアドレスフィルタ情報記憶部と、
第2の保守対象側中継装置から受信した第2のアドレスフィルタ情報と、前記アドレスフィルタ情報記憶に記憶されている第1のアドレスフィルタ情報とを比較しアドレスの重複を判定するアドレス重複判定部と、
前記アドレス重複判定部でアドレスの少なくとも一部が重複すると判定された場合には、前記クライアント端末にアドレスの重複を通知するアドレス重複通知部を備えたことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記アドレス重複通知部は、アドレスが重複していること、及び、重複しているアドレスをクライアント端末に通知する、請求項1記載の中継装置。
【請求項3】
クライアント端末と、
保守側中継装置と、
前記クライアント端末と保守側の中継装置を接続する保守側LANと、
第1保守対象機器と、
第1保守対象側中継装置と、
第1保守対象機器と第1保守対象側中継装置を接続する第1の保守対象側LANと、
第2保守対象機器と、
第2保守対象側中継装置と、
第2保守対象機器と第2保守対象側中継装置を接続する第2の保守対象側LANを備えた中継通信システムにおいて、
前記第1の保守対象側中継装置及び第2の保守対象側中継装置は、
保守対象側LANに接続する保守側ネットワークインタフェースと、
前記保守側中継装置に、保守対象機器のアドレスを含むアドレスフィルタ情報を送信するアドレスフィルタ情報送信部と、
前記保守側中継装置との間でルーティングセッションを確立する第2のルーティングセッション確立部、及び、
前記ルーティングセッションを利用して保守対象機器と前記クライアント端末との間の通信パケットをルーティングする第2のルーティング制御部を備え、
前記保守側中継装置は、
保守側LANに接続する保守側ネットワークインフェースと、
保守対象側中継装置から前記アドレスフィルタ情報を受信するアドレスフィルタ情報受信部と、
保守側中継装置と前記保守対象側中継装置との間でルーティンセッションを確立する第1のル―ティングセッション確立部と、
前記ルーティングセッションを利用して前記保守対象機器と前記クライアント端末との間の通信パケットをルーティングする第1のルーティング制御部と、
前記アドレスフィルタ情報受信部が第1保守対象側中継装置から受信した第1のアドレスフィルタ情報を記憶するアドレスフィルタ情報記憶部と、
第2の保守対象側中継装置から受信した第2のアドレスフィルタ情報と、前記アドレスフィルタ情報記憶にすでに記憶されている第1のアドレスフィルタ情報を比較しアドレスの重複を判定するアドレス重複判定部、及び、
前記アドレス重複判定部でアドレスの少なくとも一部が重複すると判定された場合には、前記クライアント端末にアドレスの重複を通知するアドレス重複通知部、
を備えたことを特徴とする中継通信システム。
&#8195;
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して互いに接続された中継装置を介して、保守対象機器とクライアント端末がアクセスできるようにし、離れたところから保守対象機器の保守を可能とする中継装置及び中継通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや家庭におかれる電子機器の監視及び保守を、遠隔地から行う中継通信システムが知られている(特許文献1参照)。この従来の中継通信システムは、生産施設や物流施設(以下、産業施設という)におかれた製造機器や搬送機器などの産業機器の遠隔保守・管理にも適用できる。産業機器の遠隔・保守管理に従来の中継通信システムを適用した例を、図10を用いて以下に説明する。
【0003】
産業施設では、遠隔保守の対象となる産業機器(以下、保守対象機器という。なお、図10では、「機器」略記する)121、122、123は、当該施設に敷設されたLAN(Local Area Network)124に接続されている。LAN124には、保守対象側の中継サーバTD120が接続され、中継サーバ120を介して、インターネットなどのWANと通信を行うことが可能である。
【0004】
一方、保守を行う拠点(以下、保守センターという)では、保守を行うクライアント端末111、112,113が設置される。クライアント端末111、112,113は、保守センターに敷設されたLAN114に接続される。LAN114には保守側の中継サーバAD110が接続され、WANと通信を行うことが可能である。なお、クライアント端末は、図10中では「端末」と略記する。
【0005】
符号100は、コールセンターに設置されたサーバCM(以下センターサーバという)であり、保守作業についてのジョブが登録されている。センターサーバCM100は、WAN(Wide Area Network)102に接続されており、保守対象側中継サーバTDと保守側中継サーバADと通信することが可能である。
【0006】
図10に示した中継通信システムの通信の流れについて以下に説明する。保守センターのオペレータ1は、クライアント端末111を操作して、オペレータIDとパスワードを入力する。入力されたIDとパスワードは、保守側中継サーバAD110に一旦送信され、保守側中継サーバAD110からセンターサーバCM100にWAN102を介して転送される。オペレータIDとパスワードが正しければ、オペレータ1がセンターサーバCM100にログインできる。
【0007】
センターサーバCM100は、ログインに成功したことをクライアント端末111に通知する。オペレータ1は、自身が処理できるジョブのリストをセンターサーバCM100に要求する。センターサーバCM100は、登録されているジョブの内からオペレータ1が処理できるジョブのリスト抽出し、クライアント端末111に送信する。ジョブには、保守対象となる機器を識別する情報が含まれている。
【0008】
オペレータ1は、クライアント端末111のディスプレイに表示されたジョブリストから実行するジョブを選択する。ジョブの選択は、クライアント端末111からセンターサーバCM100に送信される。ここでは、保守対象機器121に対するジョブが選択されたものとする。センターサーバCM100は、クライアント端末111に確認信号を送信するとともに、保守対象側中継サーバTD120にクライアント端末111からの接続があることを通知する。
【0009】
保守対象側中継サーバTD120はセンターサーバCM100からの通知を受けると、クライアント端末111からのアクセスを許可する状態となる。保守側中継サーバAD110と保守対象側中継サーバ120とは、VPN(Virtual Private Network)によるカプセル化したパケットを通信するセッション103を確立する。以下、このセッションのことをルーティングセッションと呼ぶ。
【0010】
ルーティングセッション確立の際には、LAN112における保守対象機器121のプライベートIPアドレスが、保守側中継サーバAD110に送信される。このように送信されるIPアドレス情報のことを、以下アドレスフィルタ情報と呼ぶ。また、単にIPアドレスというときには、プライベートIPアドレスを指すものとする。
【0011】
保守側中継サーバAD110は、保守対象側中継サーバTD120とのルーティングセッションの確立に成功すると、センターサーバCM100に、ルーティングセッション103の確立に成功したことを通知する。クライアント端末111から保守対象機器121に対するパケットを受信すると、保守側中継サーバAD110はパケットをカプセル化し、ルーティングセッション103を介して保守対象側中継サーバTD120に送信する。
【0012】
保守対象側中継サーバTD120は、受信したカプセル化されたパケットから元のパケットを抽出し、宛先のIPアドレスを有する保守対象機器121にパケットを送信する。保守対象機器121からクライアント端末111にパケットを送信する際には、逆の手順により通信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第5760493号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来の中継システムにおいて、一つの保守センターで、複数の産業施設の機器の保守・管理を行うことができる。図11は、もう一つの保守対象側中継サーバTD130が加わった場合を説明している。保守対象側中継サーバTD130は、LAN134を介して保守対象機器131、132に接続されている。保守側中継サーバAD110は、保守対象側中継サーバTD120と同じように保守対象側中継サーバTD130との間でルーティングセッション104を確立し、このルーティングセッションを介してクライアント端末111、112,113は、保守対象機器131、132にアクセスすることができる。
【0015】
図11では、さらに保守対象機器を示す矩形の左側に、保守対象機器のIPアドレスを示している。例えば、保守対象機器121のLAN124におけるIPアドレスは、(1.1.1.1)である。
【0016】
現在、保守側中継サーバAD110と保守対象側中継サーバTDとの間にルーティングセッションが確立され、クライアント端末111と保守対象機器121が通信を行っているものとする。さらに、クライアント端末112が保守対象機器131にアクセスすると想定する。保守側中継サーバADと保守対象側中継サーバTD130との間にルーティングセッション104が確立される。クライアント端末112は、保守対象機器131のIPアドレスを宛先としたパケットを送信しようとする。しかし、保守対象機器131のIPアドレス(1.1.1.1)は、保守対象機器121のIPアドレスと同じであり、保守側中継サーバAD110は、どちらのルーティングセッションへパケットを送出するか判断がつかなくなり、通信ができなくなるという問題があった。
【0017】
本発明の課題は、接続先のネットワークが重複している場合に、保守センターのオペレータが適切に対処できるよう支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の中継サーバは、クライアント端末と保守側のLANを介して通信するための保守側ネットワークインタフェースと、保守対象側中継装置から保守対象機器のアドレスフィルタ情報を受信するアドレスフィルタ情報受信部と、保守側中継装置と前記保守対象側中継装置との間でルーティングセッションを確立するルーティングセッション確立部と、前記ルーティングセッションを利用して前記保守対象機器と前記クライアント端末との間の通信パケットをルーティングするルーティング制御部を備えた前記保守側中継装置としての中継装置において、前記アドレスフィルタ情報受信部が第1の保守対象側中継装置から受信した第1のアドレスフィルタ情報を記憶するアドレスフィルタ情報記憶部と、第2の保守対象側中継装置から受信した第2のアドレスフィルタ情報と、前記アドレスフィルタ情報記憶に記憶されている第1のアドレスフィルタ情報とを比較しアドレスの重複を判定するアドレス重複判定部と、前記アドレス重複判定部でアドレスフィルタ情報の少なくとも一部が重複すると判定された場合には、前記クライアント端末にアドレスの重複を通知するアドレス重複通知部を備えている。
【0019】
保守側中継装置は、すでに通信が行われている第1の保守対象機器のアドレスを含む第1のアドレスフィルタ情報をアドレス情報記憶部に記憶している。さらに、異なる保守対象機器とルーティングセッションを確立しようとして、前記異なる保守対象機器が接続されている保守対象側中継装置から第2のアドレスフィルタ情報を受信すると、アドレス情報記憶部に記憶している第1のアドレスフィルタ情報と比較し、保守対象機器間でアドレスの重複があるかどうか判定できる。アドレスの重複があると判定した場合には、保守側中継装置はクライアント端末にアドレスの重複があることを通知する。クライアント端末はアドレスの重複があることを表示などでオペレータに知らせるので、保守センターのオペレータは、アドレスの重複を回避するための適切な処置をとることができる。
【0020】
また、前記アドレス重複通知部は、アドレスフィルタ情報が重複していること、及び、重複しているアドレスをクライアント端末に通知するので、オペレータが適切な処置を取りやすくなっている。なお、重複しているアドレスは、個々のアドレスのみならず、アドレスの範囲も含むものとする。
【0021】
さらに、本発明の中継通信システムは、クライアント端末と、保守側中継装置と、前記クライアント端末と前記保守側中継装置を接続する保守側LANと、第1の保守対象機器と、第1保守対象側中継装置と、第1保守対象機器と第1保守対象側中継装置を接続する第1の保守対象側LANと、第2の保守対象機器と、第2保守対象側中継装置と、第2保守対象機器と第2保守対象側中継装置を接続する第2の保守対象側LANとを備えている。
【0022】
前記第1の保守対象側中継装置及び第2の保守対象側中継装置は、保守対象側LANに接続するネットワークインタフェースと、前記保守側中継装置に、保守対象機器のアドレスを含むアドレスフィルタ情報を送信するアドレスフィルタ情報送信部と、前記保守側中継装置との間でルーティングセッションを確立する第2のルーティングセッション確立部、及び、前記ルーティングセッションを利用して保守対象機器と前記クライアント端末との間の通信パケットをルーティングする第2のルーティング制御部を備えている。
【0023】
前記保守側中継装置は、保守側LANに接続する保守側ネットワークインフェースと、前記保守対象側中継装置から前記アドレスフィルタ情報を受信するアドレスフィルタ情報受信部と、前記保守側中継装置と前記保守対象側中継装置との間でルーティンセッションを確立する第1のル―ティングセッション確立部と、前記ルーティングセッションを利用して前記保守対象機器と前記クライアント端末との間の通信パケットをルーティングする第1のルーティング制御部と、前記アドレスフィルタ情報受信部が第1の保守対象側中継装置から受信した第1のアドレスフィルタ情報を記憶するアドレスフィルタ情報記憶部と、第2の保守対象側中継装置から受信した第2のアドレスフィルタ情報と、前記アドレスフィルタ情報記憶にすでに記憶されている第1のアドレスフィルタ情報を比較しアドレスの重複を判定するアドレス重複判定部、及び、前記アドレス重複判定部でアドレスの少なくとも一部が重複すると判定された場合には、前記クライアント端末にアドレスの重複を通知するアドレス重複通知部を備えている。このため、保守対象機器間でアドレスの重複があった場合、前記クライアント端末にアドレスの重複を通知し、オペレータが適切な処置をとることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る中継通信システムの基本構成を示す図。
図2】センターサーバの構成を示すブロック図。
図3】保守側中継サーバの構成を示すブロック図。
図4】保守対象側中継サーバの構成を示すブロック図。
図5】アドレスフィルタ情報を示す図。
図6】中継通信システムの動作を説明するフロー図。
図7】中継通信システムの動作を説明するフロー図
図8】クライアント端末に表示されるウィンドウを示す図。
図9】IPアドレスの重複パターンを示す図。
図10】従来の中継通信システムの構成を示す図。
図11】従来の中継通信システムの問題を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図1図9を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る中継通信システムを説明する図である。この中継通信システムは、コールセンターCと、保守センターM、第1の産業施設F1、第2の産業施設F2 をインターネットなどのWAN2で接続する。
【0026】
コールセンターCには、センターサーバCM5が設置され、センター員によりジョブの作成、ジョブの監視等が行われる。保守センターMには、保守側中継サーバAD10、クライアント端末11,12,13、保守側LAN14、ゲートウェイ15が設置される。さらにクライアント端末を操作するオペレータ1,2,3が配置される。クライント端末には、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、タブレット等が適用される。
【0027】
第1の産業施設F1には、第1の保守対象側中継サーバTD20、保守対象機21,22、23、第1の保守対象側LAN24、ゲートウェイ25が設置される。第2の産業施設F2には、第2の保守対象側中継サーバTD30、保守対象機器31,32、第2の保守対象側LAN34、ゲートウェイ35が配置される。この実施の形態では、2か所の産業施設を例に挙げて説明しているが、3以上の産業施設が存在するような場合にも、各施設に、保守対象側中継サーバTD等を配置することにより、一つの保守センターで3以上の産業施設の保守・管理を行うことも可能である。
【0028】
図2に示すように、センターサーバCM5は制御部52、データベース格納部51、ネットワークインタフェース53を備えている。制御部52は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含むコンピュータであり、メモリに保存されたプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。制御部52は、ログイン認証52a、接続ジョブ作成部52b、接続判断部52c、接続ジョブリスト管理部52d、接続ジョブリスト送信部52e、許可情報送信部52fを含んでいる。
【0029】
データベース格納部51は、オペレータリスト格納部51a、保守側サーバリスト格納部51b、保守対象側サーバリスト格納部51c及び接続ジョブリスト格納部51dを備えている。ネットワークインタフェース53は、直接又は図示しないLANを介してWAN2に接続される。なお、センターサーバCM5については、前記特許文献1(特許第5760493号)のものと同じであるので詳細な説明は省略する。
【0030】
次に、図3を用いて保守側中継サーバAD10の構成を説明する。保守側サーバAD10は、データベース格納部16、制御部17、保守側のネットワークインタフェース18から構成される。データベース格納部16には、センターサーバ情報記憶部16aとアドレスフィルタ情報格納部16bが含まれている。センターサーバ情報記憶部16aには、センターサーバCMを識別するための情報(U−Name)が記憶されている。アドレスフィルタ情報格納部16bは、保守対象側中継サーバTD20、30から受信したアドレスフィルタ情報が記憶される。
【0031】
制御部17は、CPU、RAM、ROMを含むコンピュータであり、メモリに保存されたプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。制御部17は、アドレスフィルタ情報受信部17a、ルーティングセッション確立部17b、ルーティング制御部17c、アドレス重複判定部17d、アドレス重複通知部17e,ログイン情報送信部17f及びジョブ選択送信部17gを含んでいる。これらの要素17a〜17gは、制御部17が、ハードウェア上でプログラムを実行することにより構築される。
【0032】
ルーティングセッション確立部17bは、保守対象側中継サーバTD20,30との間でルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部17cはルーティングセッションを介して、LAN24、34との間でパケットのルーティングを制御する。ログイン情報送信部17fはセンターサーバCM5に対しログイン情報を送信する。ジョブ選択送信部17gは、オペレータが選択したジョブの情報をセンターサーバCM5に送信する。
【0033】
アドレスフィルタ情報受信部17aは、保守対象側中継サーバTD20,30からアドレスフィルタ情報を受信する。受信したアドレスフィルタ情報は、アドレスフィルタ情報記憶部16bに記憶される。アドレス重複判定部17dは、保守対象側中継サーバTD20から受信したアドレスフィルタ情報と保守対象側中継サーバTD30から受信したアドレスフィルタ情報を比較し、アドレスの重複があるかどうかを判定する。アドレス重複通知部17dは、アドレスの重複があった場合、アドレスの重複があった旨、及び重複しているアドレスをクライアント端末に送信する。
【0034】
ネットワークインタフェース18は、保守側LAN14に接続され、ゲートウェイ15を介してWAN2に接続される。また、ネットワークインタフェース18は、保守側LAN14上に配置されたクライント端末11,12,13と通信を行うことができる。なお、この実施の形態では、保守側中継サーバAD10はゲートウェイ(ファイヤーウォールやルータであってもよい)を介してWAN2に接続しているが、ゲートウェイの機能を保守側中継サーバに組み込んで一体とすることもできる。この点については、保守対象側中継サーバTD20、30についても同様である。
【0035】
次に、保守対象側中継サーバTD20、30を図4用いて説明する。保守対象側中継サーバTD20と保守対象側中継サーバTD30は同じ構成であるので、保守対象側中継サーバTD20について説明する。保守対象側中継サーバTD20は、データベース格納部26、制御部27及びネットワークインタフェース28から構成される。データベース格納部26は、センターサーバ情報記憶部26a及びアドレスフィルタ情報記憶26bを含んでいる。
【0036】
センターサーバ情報記憶部26aはセンターサーバCMを識別するための情報が記憶されている。アドレスフィルタ情報格納部26bには、第1の保守対象側LAN24に接続された保守対象機器の識別情報とそのIPアドレスとが対応づけて記憶される。例えば、図5の(A)に示すように、保守対象機器とIPアドレスを対応づけたアドレスフィルタ情報AF20が、アドレスフィルタ情報格納部26bに記憶される。アドレスフィルタ情報AF20は図1に示した例に対応しており、保守対象機器21にはIPアドレス(1.1.1.1)が割り当てられている。保守対象機器22,23についてもそれぞれ(1.1.1.2)、(1.1.1.4)が割り当てられている。
【0037】
アドレスフィルタ情報は、予め保守対象中継サーバTD20に記憶させておくと良い。また、LAN24にDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)が適用されている場合には、IPアドレスが割り当てられる毎に、アドレスフィルタ情報AF20を更新するよう構成する。
【0038】
制御部27は、CPU、RAM、ROMを含むコンピュータであり、メモリに保存されたプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。制御部27は、アドレスフィルタ情報送信部27a、ルーティングセッション確立部27b、ルーティング制御部27cを含んでいる。これらの要素27a〜27cは、制御部27がハードウェア上でプログラムを実行することにより構築される要素である。
【0039】
アドレスフィルタ情報送信部27aは、アドレスフィルタ情報格納部26bに格納されているアドレスフィルタ情報AF20を読み出し、保守側中継サーバAD10に送信する。
ルーティング制御部27bは、保守側中継サーバAD10との間でルーティングセッションを確立する。ルーティング制御部27cは、ルーティングセッションを介して、保守側LAN14との間でパケットのルーティングを制御する。
【0040】
ネットワークインタフェース28は、第1の保守対象側LAN24に接続され、ゲートウェイ35を介してWAN2に接続される。また、ネットワークインタフェース28は、第1の保守対象側LAN24上に配置された保守対象機器端末21,22,23と通信を行うことができる。
【0041】
保守対象側中継サーバTD30は、保守対象側中継サーバTD20同様であるので、詳細は省力する。保守対象側中継サーバTD30のアドレスフィルタ情報記憶部36bには、図5(B)に示すようなアドレスフィルタ情報AF30が記憶される。
【0042】
次に、実施の形態にかかる中継通信システムの動作を図6及び図7を用いて説明する。オペレータのログインやジョブリストの取得については、上述の特許文献1に開示されているので説明は省略する。まず、オペレータ1がクライアント端末11からセンターサーバCM5にログインしており、すでにジョブリストを取得しているものとする。また、オペレータ1は、保守対象機器11の保守をこれから行うものとし、この段階で他に実行されているジョブはないものとする。
【0043】
保守側中継サーバAD10は、クライアント端末11からジョブの選択を受信したかどうか判定する(S1)。クライアント端末11からジョブの選択を受信すると、保守側中継サーバAD10はジョブの選択をセンターサーバCM5に通知する。ジョブの選択を受信しない場合には、保守側中継サーバAD10はS1で待機する。
【0044】
センターサーバCM5は、保守側中継サーバAD10からジョブの選択通知を受信すると、当該ジョブをオペレータ1に許可するかどうかを判定する。当該ジョブが他のオペレータにより既に実行されている場合には、オペレータ1はジョブを実行できないので、センターサーバCM5はジョブの取得を許可しない。センターサーバCM5は、当該ジョブが実行されていない場合には、オペレータ1のジョブ取得を許可する。この許可の可否は、センターサーバCM5から保守側中継サーバAD10に通知される。
【0045】
保守側中継サーバAD10は、センターサーバCM5からの通知を受信するとジョブの取得が許可されたかどうか判定する(S3)。ジョブ取得に失敗した場合には、保守側中継サーバAD10はクライアント端末11にジョブの取得の失敗を通知する(S4)。クライアント端末11は、ジョブの取得に失敗したことをディスプレイに表示するなどして、オペレータ1にジョブの取得の失敗を報知する。
【0046】
保守側中継サーバAD10は、ジョブの取得が許可された場合にはその旨クライアント端末11に通知する。クライアント端末11は、ジョブの取得が許可されたことをディスプレイに表示するなどして、オペレータ1に報知する。オペレータ1がジョブの実行をクライアント端末11に指示すると、クライアント端末11はジョブの実行を保守側中継サーバAD10に通知する。
【0047】
保守側中継サーバAD10は、保守対象側中継サーバTD20との間への接続を開始する(S5)。その際、保守対象側中継サーバTD20はアドレスフィルタ情報AF20を送信し、保守側中継サーバAD10はアドレスフィルタ情報AF20を受信する。保守側中継サーバAD10は、他の保守対象側中継サーバに接続している実行中のジョブがあるかどうか判定する(S7)。この判定がNOの場合には、保守側中継サーバAD10にS11分岐する。この例では、他のジョブが実行されていないので、S11に分岐する。
【0048】
保守側中継サーバAD10は、保守対象側中継サーバTD20から受信したアドレスフィルタ情報AF20がアドレスフィルタ情報格納部16bに格納される(S11)。さらに、保守側中継サーバAD10は保守対象側中継サーバTD20との間で接続処理を続行する(S12)。保守中継サーバAD10は、保守対象側中継サーバTD20との間でルーティングセッション3が確立できたかどうか判断する(S13)。ルーティングセッションの確立に失敗した場合には、保守側中継サーバAD10はクライアント端末11に接続の失敗を通知する(S14)。クライアント端末11は、この通知を受けるとディスプレイに表示するなどして、オペレータ1に接続の失敗を報知する。
【0049】
保守側中継サーバAD10は、保守対象側中継サーバTD20との間でのルーティングセッション3の確立に成功した場合には、S13からS15に分岐し、センターサーバCM5に接続の成功を通知する。この後、クライアント端末11はルーティングセッション3を介して保守対象機器11にアクセスし、オペレータ1は保守対象機器11の保守作業を行う。
【0050】
保守側中継サーバAD10は、保守作業が完了したかどうか判定する(S16)。クライアント端末11から作業の完了の通紙を受けると、保守側中継サーバAD10は、保守対象側中継サーバTD20との接続を切断する(S17)。保守側中継サーバAD10は、アドレスフィルタ情報格納部16bに格納されているアドレスフィルタ情報AF20を削除する(S18)。さらに、保守側中継サーバAD10は、センターサーバCM5にジョブの完了を通知する(S19)。
【0051】
S16の判定がNOの場合には、保守側中継サーバAD10は接続が異常終了したかどうか判定する(S20)。異常終了した場合には、センターサーバ保守側中継サーバAD10はCM5にエラーを通知する。エラーなく、作業が実行されている場合には、S16とS20の判定を繰り返す。
【0052】
オペレータ1が保守対象機器11の保守を実行している場合に、オペレータ2が、保守対象機器31の保守を行うため、クライアント端末12でジョブを取得したとする(S3,YSE)。保守側中継サーバAD10は保守対象側中継サーバTD30と接続を開始し(S5)、保守対象側中継サーバTD30からアドレスフィルタ情報30を受信する(S6)。
【0053】
現在、オペレータ1が保守対象機器11のジョブを実行しているので、S7の判定はYESとなり、保守側中継サーバAD10は、受信したアドレスフィルタ情報30とアドレスフィルタ情報格納部16bに格納されているアドレスフィルタ情報AF20と比較する。図5(A)(B)に示した例では、IPアドレス(1.1.1.1)が重複しているので、S8の判定はYESとなる。
【0054】
S8の判定がYESとなった場合、保守側中継サーバAD10はクライアント端末12にアドレスが重複していることを通知する。クライアント端末12はディプレイに、図8に示すようなウィンドウWを表示し、オペレータ2にアドレスが重複していること、及び重複しているアドレスを通知する。なお、この通知は、他のクライアント端末11,13やセンターサーバCM5に行ってもよい。
【0055】
このような通知を受けたオペレータ2は、下記のような対処をとることができる。
(1)保守側中継サーバAD10の仮想アドレス機能を有効にする。例えば、保守対象機器31に仮想アドレス(2.2.2.1)を割り当てる。
(2)産業施設F2のLAN34のIPアドレスを変更する。
(3)オペレータ1のジョブが終了するのを待つ。ジョブが終了し接続が切断されると、アドレスフィルタ情報格納部16bに格納されたアドレスフィルタ情報AF20が消去されるので(S18)、オペレータ2がジョブを開始してもIPアドレスが重複することがなくなる。
このような対処の仕方を、ウィンドウWに表示するようにすれば、なおオペレータの利便を図ることができる。
【0056】
アドレスが重複しない場合には、上記S8の判定がNOとなる。例えば、保守対象側中継サーバTD30のアドレスフィルタ情報が図5(C)に示すような場合である。S8の判定がNOとなれば、保守側中継サーバAD10はS11の処理に進む。S8では、保守側中継サーバAD10はアドレスフィルタ情報AF31をアドレスフィルタ情報格納部16bに格納する。この場合には、アドレスフィルタ情報格納部16bにはアドレスフィルタ情報AF20とAF31とが格納される。
【0057】
保守側中継サーバAD10は接続処理を続行し(S12)、保守側中継サーバAD10と保守対象側中継サーバTD30との間にルーティングセッション4が確立される(図1参照)。この場合には、ルーティングセッション3及び4が併存することとなり、オペレータ1が保守対象機器21を保守できると同時に、オペレータ2が保守対象機器31を保守できることとなる。
【0058】
上記説明では、一つのIPアドレスが重複する場合について説明した。アドレスの重複の他のパターンを図9に示す。IPアドレスについては、個々のIPアドレスだけではなく、IPアドレスの範囲でも指定可能である。例えば、パターン1の(1.1.1.2−10)やパターン3の(3.3.3.0/25)ように指定できる。
【0059】
以上、産業施設内の保守対象機器の遠隔保守に、本発明を適用した実施形態を説明した。なお、オフィスや家庭に設置された電子機器、家電製品の遠隔保守にもこの発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ネットワークを介して接続される中継装置を用いて、保守対象機器とクライアント端末をVPNで接続し、保守対象機器を遠隔から保守できる中継通信システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1:中継通信システム
2:WAN
3,4:ルーティングセッション
5:センターサーバ
10:保守側中継サーバ(保守側中継装置)
11、12、13:クライアント端末
14:保守側LAN
16:データベース格納部
16a:センターサーバ情報記憶部
16b:アドレスフィルタ情報記憶部
17:制御部
17a:アドレスフィルタ情報受信部
17b:ルーティングセッション確立部(第1のルーティングセッション確立部)
17c:ルーティング制御部(第1のルーティング制御部)
17d:アドレス重複判定部
17e:アドレス重複通知部
18:ネットワークインタフェース(保守側ネットワークインタフェース)
20:第1の保守対象側中継サーバ(第1の保守対象側中継装置)
21、22、23:保守対象機器
24:第1の保守対象側LAN
26:データベース格納部
26b:アドレスフィルタ情報記憶部
27:制御部
27a:アドレスフィルタ情報送信部
27b:ルーティングセッション確立部(第2のルーティングセッション確立部)
27c:ルーティング制御部(第2のルーティング制御部)
28:ネットワークインフェース(保守対象側ネットワークインタフェース)
30:第2の保守対象側中継サーバ(第2の保守対象側中継装置)
31、32:保守対象機器
34:第2の保守対象側LAN
36:データベース格納部
36b:アドレスフィルタ情報記憶部
37:制御部
37a:アドレスフィルタ情報送信部
37b:ルーティングセッション確立部(第2のルーティングセッション確立部)
37c:ルーティング制御部(第2のルーティング制御部)
38:ネットワークインフェース(保守対象側ネットワークインタフェース)
AF20:アドレスフィルタ情報(第1のアドレスフィルタ情報)
AF30:アドレスフィルタ情報(第2のアドレスフィルタ情報)
&#8195;
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11