特開2017-76842(P2017-76842A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-76842無線通信端末、及び、無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-76842(P2017-76842A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】無線通信端末、及び、無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/24 20090101AFI20170331BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20170331BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20170331BHJP
【FI】
   H04W40/24
   H04W52/02
   H04W4/04 113
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-202294(P2015-202294)
(22)【出願日】2015年10月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】谷本 好史
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE25
5K067HH22
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】マルチホップ通信を行う無線通信端末を移動体に搭載し、移動体が省電力モードに移行して停止している場合に、無線通信端末の消費電力を低減する。
【解決手段】無線通信端末11は、他の無線通信端末との通信経路を探索する経路探索部11bと、探索された通信経路を記憶する経路記憶部11cを有し、前記移動体10が省電力モードに移行した場合には、前記経路探索部11bが経路の探索を一度だけ行い、探索した経路を前記経路記憶部11cが記憶し、前記経路記憶部11cに記憶した経路を使用して、省電力モードではマルチホップ通信を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されマルチホップ通信を行う無線通信端末であって、
前記無線通信端末は、
他の無線通信端末との間の通信経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部が探索した通信経路を記憶する経路記憶部を有し、
前記移動体が省電力モードに移行した場合には、前記経路探索部が通信経路の探索を行い、探索した通信経路を前記経路記憶部が記憶し、前記経路記憶部に記憶されている通信経路を使用して、省電力モードではマルチホップ通信を行うことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記無線通信端末は、省電力モード中には、前記経路記憶部に記憶された通信経路に基づき所定時間間隔で通信する請求項1記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記無線通信端末は、搭載された移動体の電池から電力を受ける請求項1又は2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
マルチホップ通信を行う無線通信端末がそれぞれ搭載された移動体を複数備えた無線通信システムであって、
前記無線通信端末は、
他の無線通信端末との通信経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部が探索して通信経路を記憶する経路記憶部を有し、前記無線通信端末装置の内の一つの無線通信端末と他の無線通信端末との間でマルチホップ通信を行い、
前記移動体が省電力モードに移行した場合、前記移動体のそれぞれに搭載された無線通信端末は、前記経路探索部が通信経路の探索を行い、探索した通信経路を前記経路記憶部が記憶し、前記経路記憶部に記憶されている通信経路を使用して、省電力モードではマルチホップ通信を行うことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップネットワークで使用される無線通信端末及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
端末による通信を中継する中継機能を有する無線通信端末(以降、単に端末ともいう)により構成されるマルチホップネットワークが知られている。マルチホップネットワークを構成する端末は、他の端末による中継を利用することで自装置の通信可能範囲(電波到達範囲)外の端末と通信することができる。上記端末は、通信宛先の端末に至る通信経路上の端末を知るために経路探索処理を行う。端末は、移動しながら通信を行うこともある。
【0003】
特許文献1は、端末が自身の位置情報を取得し、当該端末の移動距離、及び、当該端末と他の端末との相対距離を算出し、いずれかが所定値を越えた場合に経路探索を行う技術を開示する。これにより、電力消費を軽減するとともにデータ転送の即時性を向上する。
【0004】
特許文献2は、端末が探索した通信経路情報を移動速度に応じた有効期間保持し、有効期間中は通信経路情報を用いて通信する技術を開示する。これにより、通信量の削減が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−180177号公報
【特許文献2】特開2008−022178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチホップネットワークを構成する端末は、通信宛先の端末までの通信経路を示す通信経路情報を維持するために定期的に、又は通信の必要が生じたときに経路探索を行う。前者はプロアクティブ型の経路探索、後者はリアクティブ型の経路探索と呼ばれる。いずれの型の経路探索でも、計算処理の他、無線によるパケット送受信などの処理が含まれる。経路探索では送信無線信号の出力を最大とするため、端末の消費電力が大きくなってしまう。
【0007】
車両などの移動体間で通信を行う場合において、移動体が稼働中は上述のように経路探索を行う必要がある。しかし、移動体が稼働していない状態、例えば、省電力モードに移行し、各移動体が駐機位置で停止している状態に移行することがある。省電力モードにおいても、電池充電状態などの各移動体の状態情報を通信する必要があるが、そのために、省電力モード中に経路探索を行っていると、無線通信端末の消費電力が大きくなってしまう問題点がある。特に、移動体が電池で駆動される場合この問題は顕著なものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、移動体に搭載されマルチホップ通信を行う無線通信端末であって、前記無線通信端末は、他の無線通信端末との間の通信経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部が探索した通信経路を記憶する経路記憶部を有し、前記移動体が省電力モードに移行した場合には、前記経路探索部が通信経路の探索を行い、探索した通信経路を前記経路記憶部が記憶し、前記経路記憶部に記憶されている通信経路を使用して、省電力モードではマルチホップ通信を行うことを特徴としている。
【0009】
また、前記無線通信端末は、省電力モード中には、前記経路記憶部に記憶された通信経路に基づき所定時間間隔で通信する。さらに、前記無線通信端末は、搭載された移動体の電池から電力の供給を受ける。
【0010】
本発明の通信システムは、マルチホップ通信を行う無線通信端末がそれぞれ搭載された移動体を複数備えた無線通信システムであって、前記無線通信端末は、他の無線通信端末との通信経路を探索する経路探索部と、前記経路探索部が探索して通信経路を記憶する経路記憶部を有し、前記無線通信端末装置の内の一つの無線通信端末と他の無線通信端末との間でマルチホップ通信を行い、前記移動体が省電力モードに移行した場合、前記移動体のそれぞれに搭載された無線通信端末は、前記経路探索部が通信経路の探索を行い、探索した通信経路を前記経路記憶部が記憶し、前記経路記憶部に記憶されている通信経路を使用して、省電力モードではマルチホップ通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、省電力モードで移動体が停止し、その間、搭載された各無線通信端末の位置関係が変化しないことに着目している。省電力モードにおいては、無線通信端末は一度経路探索を行って探索した通信経路を記憶し、それ以降は経路探索を行うことなく、前記経路記憶部に記憶されている通信経路を用いてマルチホップ通信を行うので、省電力モード中の通信端末の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの稼働状態を説明するシステム構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの省電力状態を説明するシステム構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る無線通信端末の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施の形態を、図1〜4を参照しながら以下に説明する。この実施の形態では、移動体として工場で物品を搬送する地上走行車を例にあげて説明する。なお、移動体には、地上走行車(有軌道、無軌道を問わない、以下単に走行車という)や天井走行車が含まれ、用途としても工場の他に倉庫なども含まれる。
【0014】
工場Kにおいて、無線端末を搭載した複数の走行車10が物品を搬送するために用いられる。工場Kが稼働中は、これらの車両10は工場K内をそれぞれ移動する(図1)。その際、走行車10に搭載された無線通信端末11は、周期的に経路を探索するプロアクティブ型の経路探索又は通信の必要が生じた際に通信経路を探索するリアクティブ型の経路探索を実行し、互いに無線通信しあう。なお、符号1は、固定された無線通信端末であり、商用電源からの電力で動作する。各走行車10及び搭載された無線通信端末11は、後述する電池の電力により動作する。
【0015】
工場Kが稼働していない場合には、走行車10は駐機位置P1、P2、P3に停止し、バッテリーの放電を少なくするため省電力モードに移行する。図2には、三つの駐機位置P1、P2、P3に2両ずつ走行車10が停車する例を示しているが、一つの駐機位置に停止する車両の数、駐機位置の数、配置等はこれに限定されるものではない。駐機位置P1、P2,P3に停車した走行車10は、モータなどの駆動系の電源の供給は停止し省電力モードに入るが、電池の充電量などを監視するため、無線通信端末11は一定時間間隔で無線通信を行う。この通信では図2の破線のような経路でマルチホップ通信が行われる。走行車10は駐機位置P1、P2、P3に停止しているため、この間通信経路が変動することは無い。
【0016】
図3は、走行車10の構成を説明するブロック図である。走行車10は、無線通信端末11、制御部12、駆動機構部13、電源回路14、二次電池15から構成される。無線通信端末11は、IEEE802.11に準拠して無線通信を行い、稼働中はプロアクティブ型の経路探索又はリアクティブ型の経路探索を行うよう構成されている。無線通信端末11には、電力モード中の通信の時間間隔を計時するタイマ11a,無線通信経路を探索する経路探索部11b及び探査した通信経路を記憶する経路記憶部11cを備えている。
【0017】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory),CPUのワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、I/O等から構成され、無線通信端末11、駆動機構部13、電源回路14を制御する。駆動機構部13は、図示しないモータ等のアクチュエータと、アクチュエータの動作を監視するためのセンサを備えている。
【0018】
電源回路14は、二次電池15からの電力を所定の電圧に変換して、無線通信端末11、制御部12、駆動機構部13に電力を供給する。電源回路14は、制御部12からの指令に基づき、駆動機構部13への電源の供給をオン/オフし、二次電池15の充電量に関するデータを制御部12に出力する。
【0019】
制御部12は省電力制御部12aを備え、この省電力制御部12aは車両10が駐機位置に停止したのち、電源回路14に指令を与え駆動機構部13への電源供給をオフにする。また、省電力制御部12aは、省電力制御部12aは、無線通信端末11に対して省力モードに移行することを通知する。
【0020】
次に、省電力モード中の無線通信端末11及び制御部12の動作について図4を参照しながら説明する。制御部12の省電力制御部12aより省電力モードに移行の指令をうけたかどうか判定する(S1)。各車両10が駐機位置P1、P2,P3に停止すると、省電力制御部12aは電源回路14へ指令を出力し、電源回路14は駆動機構部13への電力の供給を遮断するとともに、無線通信端末11に省電力モードへの移行を通知する。省電力制御部12aから省電力モードへ移行の通知を受けた場合には、無線通信端末11の経路探索部11bは経路探索を行う(S2)。その結果得られた通信経路を経路記憶部11cに記憶する(S3)。次に無線通信端末11は、タイマ11aを起動する(S4)。
【0021】
無線通信端末11は、省電力制御部12aより省電力モードの解除の通知を受けたかどうか判定する(S5)。この判定がYESの場合には、無線通信端末11は省電力モードから稼働モードへ復帰する(S6)。一方、S5の判定がNOの場合には、無線通信端末11はタイマ11aが所定時間を計時したかどうか判定する(S7)。この判定がNOの場合には、無線通信端末11はS5の判定の処理に戻る。
【0022】
S7の判定がYESの場合には、無線通信端末11は、他の走行車10に搭載された無線端末11、固定された通信端末1と無線通信を行う(S8)。このとき、無線通信端末11は、経路記憶部11cに記憶されている経路に基づいて通信を行う。なお、この通信では、無線通信端末11は二次電池15の充電量などの情報を通信する。通信が終了すると、無線通信端末11はS4の処理に戻る。
【0023】
このように無線通信端末11は省電力モードに移行した後、1回だけ経路探査を行って、探索した経路を記憶し、その後は記憶されている通信経路に基づいて所定時間ごとに通信を行う。省電力モード中には、無線通信端末11はプロアクティブ型の経路探索もリアクティブ型の経路探索も行わないので消費する電力を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、移動体に搭載される無線通信端末、及び、この無線通信端末により構成される無線通信システムに適用できる。
【符号の説明】
【0025】
10 走行車(移動体)
11 無線通信端末
11a タイマ
11b 経路探索部
11c 経路記憶部
12 制御部
12a 省電力制御部
13 駆動機構部
14 電源回路
15 二次電池
K 工場
P1、P2、P3 駐機位置
図1
図2
図3
図4