特開2017-76869(P2017-76869A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-76869(P2017-76869A)
(43)【公開日】2017年4月20日
(54)【発明の名称】カラー動画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/132 20140101AFI20170331BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20170331BHJP
   H04N 19/137 20140101ALI20170331BHJP
   H04N 19/172 20140101ALI20170331BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20170331BHJP
【FI】
   H04N19/132
   H04N19/186
   H04N19/137
   H04N19/172
   H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-202957(P2015-202957)
(22)【出願日】2015年10月14日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】永見 睦
【テーマコード(参考)】
5C054
5C159
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EG10
5C054HA19
5C159LB07
5C159PP04
5C159PP16
5C159TA07
5C159TB04
5C159TC02
5C159TC24
5C159TD05
5C159TD06
5C159TD12
5C159UA02
(57)【要約】
【課題】 簡単な処理によりカラー動画像のデータ量を高い効率で低減する。
【解決手段】画像処理装置8には、カメラ(図示せず)からのRGB動画像データが入力される。RGB/HSV変換部82aは、RGB動画像データをHSV動画像データに変換する。色彩データ削減部82bは、HSV動画像データの成分のうち、V(明度データ)については全てのフレームを出力し、H(色相データ)およびS(彩度データ)については、所定のキーフレームのみを出力する。このように、色彩データ(H,S)について、キーフレーム以外のフレームを間引くことにより、出力するカラー動画像データのデータ量を削減することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原色のカラー動画像データを明度データおよび色彩データに変換するカラー動画像データ変換手段と、
前記明度データについては全フレームを出力し、前記色彩データについては所定数のフレーム毎に出力する色彩データ削減手段と、
を有するカラー動画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたカラー動画像処理装置において、
前記明度データの1フレーム間の変化量を検出する変化量検出手段と、
前記変化量検出手段の検出結果に基づいて、前記所定数を変化させる第1の色彩データ出力間隔変更手段と、
を有するカラー動画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたカラー動画像処理装置において、
前記明度データの複数フレーム間の累積変化量を検出する累積変化量検出手段と、
前記累積変化量検出手段の検出結果に基づいて、前記所定数を変化させる第2の色彩データ出力間隔変更手段と、
を有するカラー動画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー動画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視エリアをカメラで撮像して生成した動画像データをネットワーク経由で監視装置へ伝送するシステムが知られている。すなわち、例えば特許文献1には、駅のホームに沿って複数台のカメラを設置し、各カメラからの動画像データをLAN(Local Area Network)経由で監視室などに配置された監視装置(制御装置、操作パネル、モニタ)へ伝送する監視システムが記載されている。また、特許文献2には、コンビニエンスストアなどに設置された複数台のカメラからの動画像データを本部および店舗のオーナー宅へインターネット経由で伝送する監視システムが記載されている。
【0003】
このような動画像データをネットワーク経由で伝送するシステムでは、通常、伝送する動画像データに対してデータ圧縮処理を施しており、例えば特許文献2に記載された監視システムでは、伝送する動画像データに対してモーションJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)やMPEG(Moving Picture Coding Experts Group)などの動画像圧縮符号化を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−11989号公報
【特許文献2】特開2006−186506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モーションJPEGには、処理は比較的簡単ではあるが、データ圧縮率が低いという問題がある。また、MPEGには、データ圧縮率は高いが、両方向予測符号化処理を伴うため、処理が複雑であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な処理によりカラー動画像のデータ量を高い効率で圧縮(低減)することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカラー動画像処理装置は、原色のカラー動画像データを明度データおよび色彩データに変換するカラー動画像データ変換手段と、前記明度データについては全フレームを出力し、前記色彩データについては所定数のフレーム毎に出力する色彩データ削減手段と、を有するカラー動画像処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な処理によりカラー動画像のデータ量を高い効率で圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るカラー動画像処理装置を含む監視システムの構成を示す図である。
図2図1における画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図2における画像処理装置から出力されるHSV動画像データのフレームのタイミングの一例を示す図である。
図4図2におけるキーフレーム設定部および画像変化量算出部の処理の第1の例を示すフローチャートである。
図5図2におけるキーフレーム設定部および画像変化量算出部の処理の第2の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈カラー動画像処理装置を含む監視システム〉
図1は、本発明の実施形態に係るカラー動画像処理装置を含む監視システムの構成を示す図である。この監視システムは鉄道車両の駅のホームを監視するシステムである。
【0011】
この監視システム1は、LANなどのネットワーク2に接続された複数台の撮像システム3,3・・・、および監視サーバ4により構成されている。監視サーバ4には、操作パネル5およびモニタ装置6が接続されている。また、撮像システム3は、カメラ7および画像処理装置8からなる。
【0012】
撮像システム3は、駅のホームの上方の所定の位置に設置されており、カメラ7がホームを撮像して生成したカラー動画像データに対して、画像処理装置8により所定のカラー動画像処理(詳細については後述)を施し、ネットワーク2を介して監視サーバ4へ送信する。
【0013】
監視サーバ4は、駅の車掌室などに設置されており、撮像システム3から送信されたカラー動画像データに基づいて、カラー動画像をモニタ装置6に表示する。操作パネル5により、モニタ装置6の画像表示モード(複数台のカメラの同時表示、切り換え表示等)を設定することができる。
【0014】
カメラ7は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のイメージセンサと、そのイメージセンサで生成されたアナログRGB信号に対して、ノイズ除去やゲイン調整を行った後にデジタル化してRGB画像データとするアナログフロントエンドと、そのRGB画像データに対して、ガンマ補正や輪郭補正などのカメラ信号処理を施すDSP(Digital Signal Processor)と、カメラ信号処理を受けたRGB画像データを画像処理装置8へ出力する出力I/F(インタフェース)部とを備えた周知の構成のカメラである。画像処理装置8の構成については後述する。
【0015】
監視サーバ4は、制御部(CPU)、主記憶部(RAM、ROM)、補助記憶部(ハードディスク装置)、ネットワークI/F部などを有する周知のコンピュータにより構成されている。
【0016】
〈画像処理装置の構成〉
図2は、画像処理装置8の概略構成を示すブロック図である。図示のように、画像処理装置8は、入力I/F部81、制御部82、記憶部83、操作表示部84、およびネットワークI/F部85を備えている。
【0017】
入力I/F部81は、カメラ7から出力されるRGB画像データが入力される入力手段であり、例えばUSB(Universal Serial Bus:登録商標)コントローラである。制御部82は、画像処理装置8全体の制御やデータの演算、加工を行うCPUである。
【0018】
記憶部83は、RAM、ROMなどの主記憶部と、ハードディスク装置などの補助記憶部からなる。操作表示部84は、画像処理装置8を操作するための各種スイッチやボタンなどからなる操作部と、操作部から入力された設定情報などを表示する表示部とからなる。ネットワークI/F部85は、画像処理装置8をネットワーク2に接続するための通信制御手段である。
【0019】
制御部82は、ハードディスク装置やROMに記憶されているプログラムおよびデータをRAMに展開して処理することにより実現される機能ブロックとして、RGB/HSV変換部82a、色彩データ削減部82b、キーフレーム設定部82c、および画像変化量算出部82dを備えている。これらの機能ブロックが本発明に係るカラー動画像処理装置に対応する。
【0020】
RGB/HSV変換部82aは、入力I/F部81から出力された原色系のカラー動画像データであるRGB動画像データを顕色系と呼ばれる、色相(H:Hue)、彩度(S:Saturation)、明度(V:Value)からなるHSV動画像データに変換する。
【0021】
色彩データ削減部82bは、RGB/HSV変換部82aにより変換されたHSV動画像データの成分のうち、明度データについては全てのフレームを出力し、色彩データ(色相データ、彩度データ)については、所定のキーフレームのみを出力する。このように、色彩データについて、キーフレーム以外のフレームを間引くことにより、出力するカラー動画像データのデータ量を削減することができる。
【0022】
キーフレーム設定部82cは、色彩データ削減部82bにより出力されるキーフレームを設定する。キーフレームの設定方法としては、キーフレームの間隔を一定(例えば15フレーム)に固定する方法(以下、固定モード)と、キーフレームの間隔を明度データの変化量に応じて変化させる方法(以下、可変モード)とがある。
【0023】
また、可変モードには、フレーム間差分値、すなわち現在のフレームの明度データと直前のフレームの明度データとの差分値に応じて、キーフレーム間隔を変化させる第1の可変モードと、過去の複数のフレーム間差分値の累積値に応じてキーフレーム間隔を変化させる第2の可変モードとがある。これらの可変モードの詳細については後述する。
【0024】
画像変化量算出部82dは、キーフレーム設定部82cが可変モードに設定されているとき、明度データのフレーム間の変化量を算出する。より詳しくは、第1の可変モードに設定されているときはフレーム間差分値を算出し、第2の可変モードに設定されているときは複数のフレーム間差分値の累積値を算出する。算出結果はキーフレーム設定部82cに送られる。
【0025】
〈HSV動画像データフレーム〉
図3は、画像処理装置8から出力されるHSV動画像データのフレームのタイミングの一例を示す図である。この図において、横軸(時間軸t)の1目盛は1フレーム期間を表している。
【0026】
この図は、キーフレーム設定部82cにおいて、キーフレーム間隔が5フレームの固定モードに設定された場合のタイミングを示している。図示のように、V(明度データ)については全てのフレームであるV1〜V12が出力される。一方、H(色相データ)とS(彩度データ)については、5フレーム毎のキーフレームであるH1,H6,H11と、S1,S6,S11が出力され、キーフレーム以外のフレームは間引かれている。
【0027】
〈キーフレーム設定部の処理の第1の例〉
図4は、キーフレーム設定部82cおよび画像変化量算出部82dの処理の第1の例を示すフローチャートである。この処理は第1の可変モードに設定されている時の処理である。
【0028】
まず、キーフレーム設定部82cは、キーフレーム間隔を初期値に設定する(ステップS1)。ここで、初期値は、予め操作表示部84から監視者により入力され、記憶部83に格納されている。
【0029】
次に、画像変化量算出部82dは、色彩データ削減部82bに入力される明度データのフレーム間差分値を算出する(ステップS2)。このフレーム間差分値の算出に使用する明度データは所定の閾値により2値化された明度データを用いることが好適である。このとき、画像変化量算出部82dは変化量検出手段として機能する。
【0030】
次に、キーフレーム設定部82cは、画像変化量算出部82dによる算出結果と閾値とを比較し、その大小関係に応じて、キーフレーム間隔を変化させる。すなわち、フレーム間差分値が第1の閾値Th1より大きいときは(ステップS3:Yes)、キーフレーム間隔を短縮する(ステップS4)。また、フレーム間差分値が第2の閾値Th2(<Th1)より小さいときは(ステップS5:Yes)、キーフレーム間隔を延長する(ステップS6)。また、第2の閾値Th2以上であり、かつ第1の閾値Th1以下であるときは(ステップS5:No)、キーフレーム間隔を変化させない。このとき、キーフレーム設定部82cは、第1の色彩データ出力間隔変更手段として機能する。
【0031】
〈キーフレーム設定部の処理の第2の例〉
図5は、キーフレーム設定部82cおよび画像変化量算出部82dの処理の第2の例を示すフローチャートである。この処理は第2の可変モードに設定されている時の処理である。
【0032】
キーフレーム設定部82cは、まず第1の例のステップS1と同様にキーフレーム間隔を初期値に設定し(ステップS11)、次にフレーム間差分値の累積値を初期値(=0)に設定する(ステップS12)。
【0033】
次いで画像変化量算出部82dは、色彩データ削減部82bに入力される明度データのフレーム間差分値を算出し(ステップS13)、その算出値を累積値に加算して、累積値を更新する(ステップS14)。このとき、画像変化量算出部82dは累積変化量検出手段として機能する。
【0034】
次に、キーフレーム設定部82cは、更新された累積値と閾値とを比較し、その大小関係に応じて、キーフレーム間隔を変化させる。すなわち、累積値が第3の閾値Th3より大きいときは(ステップS15:Yes)、キーフレーム間隔を短縮する(ステップS16)。また、累積値が第4の閾値Th4(<Th3)より小さいときは(ステップS17:Yes)、キーフレーム間隔を延長する(ステップS18)。また、第4の閾値Th4以上であり、かつ第3の閾値Th3以下であるときは(ステップS17:No)、キーフレーム間隔を変化させない。このとき、キーフレーム設定部82cは、第2の色彩データ出力間隔変更手段として機能する。
【0035】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態に係る撮像システムは下記(1)〜(2)の特徴を備えている。
(1)色彩データについて、キーフレーム以外のフレームを間引くという簡単な処理により、カラー動画像データのデータ量を削減することができる。
(2)明度データについては間引かずに送信するので、監視サーバ4のモニタ装置6の観察者に対して、変幻灯と同様、静止画でも動画のように見せることができる。このため、駅のホームにおける落下検知には十分に活用することができる。
【0036】
なお、以上説明した実施形態に対して下記(1)〜(6)のような変形が可能である。
(1)カメラ7および画像処理装置8の機能を兼備したカメラを構成する。この構成の場合、カメラ内でRGB/HSV変換および色彩データの間引き処理を行う。
(2)RGB/HSV変換部82a、色彩データ削減部82b、キーフレーム設定部82c、および画像変化量算出部82dをハードウェアにより構成する。
(3)HSV動画像データの代わりにHSL(H:Hue,S:Saturation,L:Lightness)動画像データを用いる。この場合、Lが明度データである。
(4)HSV動画像データの代わりにYUV動画像データを用いる。この場合、Yが明度(輝度)データである。
(5)複数台のカメラに対して1台の画像処理装置を設ける。
(6)コンピュータの記憶装置などに保存しておいたRGB動画像データを画像処理装置8に入力する。
【符号の説明】
【0037】
82a…RGB/HSV変換部、82b…色彩データ削減部、82c…キーフレーム設定部、82d…画像変化量算出部。
図1
図2
図3
図4
図5