【解決手段】廃電気機器を倒立させた状態で第一次洗浄槽に向けて移動させつつ自然流下によって廃電気機器内の廃油を抜き取り、第一次洗浄槽に正立状態で収容して洗浄液を連続的に供給し廃電気機器内に残存している廃油を廃電気機器から分離し第一次洗浄槽内における洗浄液の表面側に浮かび上がらせ第一次洗浄槽の周壁上端側から浮上した廃油を含む洗浄液をオーバーフローによって排出させて第一次洗浄し、第一次洗浄後の廃電気機器を複数の解体部材に解体し、解体後の廃電気機器の複数の解体部材を第二次洗浄槽に収容して第二次洗浄し、第二次洗浄を終えた廃電気機器の複数の解体部材を乾燥する。
【背景技術】
【0002】
トランス、コンデンサ、安定器など、内部に多量の油が使用されている電気機器を廃棄処理する場合、当該油を抜き取り、洗浄、解体、等の廃棄処理を行うことは容易ではない。
【0003】
このような廃電気機器の処理にあたっては、内部に使用されている多量の油を抜き取り、その上で洗浄、解体、等を、行う必要がある。
【0004】
また、廃電気機器の内部に使用されている多量の油の中にポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という)が含まれていて、当該油がPCB汚染油になっていることがあるので、この場合には、廃電気機器の処理はますます困難であった。
【0005】
本願出願人は、これについて、既に、いくつかの提案を行っている。
【0006】
特許文献1(PCB汚染電気機器の処理システム及び装置)では、電気機器からPCB油を抜く抜油工程と、抜油した廃電気機器を一次洗浄槽に収容し、光触媒洗浄液により洗浄する一次洗浄工程と、一次洗浄を終了した廃電気機器を解体する解体工程と、解体した廃電気機器を洗浄する二次洗浄工程と、二次洗浄を終えた前記解体した廃電気機器を乾燥する乾燥工程とを組み合わせたPCB汚染廃電気機器の処理システムを提案した。
【0007】
特許文献2では、抜油したトランス等を逆転して長時間保持することにより、トランス等の内部の残留油を自然流下させ、残留油を可及的多く排出する、廃電気機器の抜油方法及び抜油装置を提案した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トランス、コンデンサ、安定器など、内部に多量の油が使用されている電気機器を廃棄処理する廃電気機器の処理システム及び処理方法であって、より効率よく、効果的に廃棄処理を行うことのできる廃電気機器の処理システム及び処理方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
廃電気機器を倒立させた状態で第一次洗浄槽に向けて搬送する第一の搬送装置と、
前記第一の搬送装置で搬送されてきた倒立状態の前記廃電気機器を正立状態にして前記第一次洗浄槽に収容する第二の搬送装置と、
前記第一次洗浄槽内に連続的に洗浄液を供給して前記第一次洗浄槽を形成している前記第一次洗浄槽の周壁上端側から前記洗浄液の表面側をオーバーフローさせる洗浄液供給装置と、
前記第一次洗浄槽内の前記廃電気機器を取り出して解体装置まで運ぶ第三の搬送装置と、
前記廃電気機器を解体する前記解体装置と、
前記解体装置で解体された後の前記廃電気機器の複数の解体部材を第二次洗浄槽に搬送する第四の搬送装置と、
前記第二次洗浄槽から前記複数の解体部材を乾燥装置へ搬送する第五の搬送装置と、
前記複数の解体部材を乾燥する前記乾燥装置と
を備えている廃電気機器の処理システムである。
【0011】
廃電気機器を倒立させた状態で第一次洗浄槽に向けて移動させつつ自然流下によって前記廃電気機器内の廃油を抜き取る自動抜油を行う抜油工程と、
前記抜油工程を経た前記廃電気機器を、前記第一次洗浄槽に正立状態で収容し、当該第一次洗浄槽内に洗浄液を連続的に供給して、前記廃電気機器内に残存している前記廃油を前記廃電気機器から分離し、当該第一次洗浄槽内における前記洗浄液の表面側に浮かび上がらせ、当該第一次洗浄槽を形成している第一次洗浄槽の周壁上端側から前記浮上した廃油を含む前記洗浄液をオーバーフローによって排出させる第一次洗浄工程と、
前記第一次洗浄工程を終了した前記廃電気機器を解体する解体工程と、
前記解体工程で解体した後の前記廃電気機器の複数の解体部材を第二次洗浄槽に収容して洗浄する第二次洗浄工程と、
前記第二次洗浄工程を終えた前記廃電気機器の前記複数の解体部材を乾燥する乾燥工程と
を備えている廃電気機器の処理方法である。
【発明の効果】
【0012】
トランス、コンデンサ、安定器など、内部に多量の油が使用されている電気機器を廃棄処理する廃電気機器の処理システム及び処理方法であって、より効率よく、効果的に廃棄処理を行うことのできる廃電気機器の処理システム及び処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この実施形態の廃電気機器の処理システムは、第一の搬送装置と、第一次洗浄槽と、第二の搬送装置と、洗浄液供給装置と、第三の搬送装置と、解体装置と、第四の搬送装置と、第二次洗浄槽と、第五の搬送装置と、乾燥装置とを備えている。
【0015】
第一の搬送装置は、廃電気機器を倒立させた状態で第一次洗浄槽に向けて搬送する。
【0016】
これによって、廃電気機器を倒立させた状態で第一次洗浄槽に向けて移動させつつ自然流下によって前記廃電気機器内の廃油を抜き取る自動抜油を行う抜油工程が実施される。
【0017】
第一の搬送装置としては、例えば、低速移動する長大なコンベアを採用することができる。
【0018】
前記コンベアを低速移動するコンベアとし、抜油する廃電気機器を倒立させた状態で、第一次洗浄工程が実施される第一次洗浄槽まで送るのに24時間又は48時間かけて廃電気機器に残存している廃油を自然流下させる。例えば、事前に、廃電気機器内から吸引抜油することにより、廃電気機器内に5リットルの廃油が残っていたとしても、倒立させた状態で24時間かけて第一次洗浄槽まで搬送することにより廃電気機器内に残存する廃油を1リットル以下にすることができる。
【0019】
前記コンベアとしては、例えばコロコンベアを採用できる。この場合、倒立した廃電気機器(例えば、トランス、等)を前進させつつ抜油するが、コロの回転によって廃電気機器を絶えず微振動させることになり、廃電気機器内の残油の自然流下を促進させることができる。
【0020】
前記コンベアに廃電気機器を搭載する際に、コンベア上に並列載置したオイルパン(油皿)上へ廃電気機器を倒立載置する。この場合に、廃電気機器が不安定になるおそれがある場合には、オイルパン内へ補助具を配置し、移動中の廃電気機器を安定保持するように支持する。
【0021】
前記コンベアは、廃電気機器を倒立して安定保持したまま移動できれば目的を達成できるので、その具体的構造に限定はない。
【0022】
廃電気機器の移動は、コロコンベア、ベルトコンベア又は金網コンベアなどの何れも使用することができる。前記各コンベアによれば、廃電気機器等は移動中に微振動を付与されるので、廃電気機器等の内壁に付着した油を効率よく流下させることができる。
【0023】
前記流出油の溜まったオイルパンの油は適宜オイルタンクなどの収容施設へ移す。
【0024】
廃電気機器の内部に使用されている油の中にPCBが含まれていて、当該油がPCB汚染油になっている場合には所定のドラム缶などに充填する。PCB油が充填されたドラム缶はPCB廃棄物として保管又は処分所に運ぶ。
【0025】
第二の搬送装置は、前記第一の搬送装置で搬送されてきた倒立状態の前記廃電気機器を成立状態にして前記第一次洗浄槽に収容する。
【0026】
洗浄液供給装置は、前記第一次洗浄槽内に連続的に洗浄液を供給して、前記第一次洗浄槽を形成している前記第一次洗浄槽の周壁上端から前記洗浄液の表面側をオーバーフローさせる。
【0027】
洗浄液供給装置が第一次洗浄槽に前述したように洗浄液を供給することによって行われる洗浄が第一次洗浄である。
【0028】
これによって、上述した抜油工程を経た前記廃電気機器を、前記第一次洗浄槽に正立状態で収容し、当該第一次洗浄槽内に洗浄液を連続的に供給して、前記廃電気機器内に残存している前記廃油を前記廃電気機器から分離し、当該第一次洗浄槽内における前記洗浄液の表面側に浮かび上がらせ、当該第一次洗浄槽を形成している第一次洗浄槽の周壁上端から前記浮上した廃油を含む前記洗浄液をオーバーフローによって分離する第一次洗浄工程が行われる。
【0029】
廃電気機器の内部に使用されている油の中にPCBが含まれていて、当該油がPCB汚染油になっている場合には、連続的なオーバーフローによって第一次洗浄槽の周壁上端から流出する洗浄液にPCB汚染油が含まれているので、比重分離方式、等の分離手段によって、PCB汚染油と洗浄液とを分離する。
【0030】
分離したPCB汚染油は、所定のドラム缶などに充填する。PCB油が充填されたドラム缶はPCB廃棄物として保管又は処分所に運ぶ。
【0031】
第一次洗浄工程において、高圧バブリング装置を第一次洗浄槽に付設しておき、高圧バブリング洗浄法により高圧水を廃電気機器内に吹き付けて循環洗浄し、機器内に付着している廃油の除去を効率よく行うようにすることもできる。
【0032】
第三の搬送装置は、前記第一次洗浄槽内の前記廃電気機器を取り出して解体装置まで運ぶ。
【0033】
解体装置は、前記廃電気機器を解体する。これによって、前述した第一次洗浄工程を終了した前記廃電気機器を解体する解体工程を実施する。
【0034】
解体工程では、第一次洗浄工程終了後の前記廃電気機器からコア部材を取り出し、解体する。例えば、ケーシング、蓋、金属板類、コイル、配線、碍子、紙、木、布、フィルム類、等に分別する。
【0035】
この解体工程で使用する解体装置としては、例えば、解体した廃電気機器の移動路の上方へ、前記廃電気機器の移動方向と直角にバンドソーを水平移動し、かつバンドソーの支持枠を昇降自在に設置した切断装置を使用することができる。
【0036】
処理している廃電気機器が内部にPCB汚染油を含んでいたものである場合には、前記紙、木、布、フィルム類はPCB廃棄物として適正に保管し、又は処分する。
【0037】
第四の搬送装置は、前記解体装置で解体された後の前記廃電気機器の解体部材を第二次洗浄槽に搬送する。
【0038】
この第二次洗浄槽において、前述した解体工程で解体した後の前記廃電気機器の解体部材を第二次洗浄槽に収容して洗浄する第二次洗浄工程を実施する。
【0039】
第二次洗浄工程は、前述した解体工程で解体した後の前記廃電気機器の解体部材である、ケーシング、蓋、金属板類、コイル、配線、碍子などを2〜6時間かけて洗浄するものである。この二次洗浄の方法は、例えば、前記ケーシング、蓋、金属板類、コイル、配線、碍子を網筒に収容した状態で、洗浄液が収容されている第二次洗浄槽内で回転させる、等によって洗浄することができる。
【0040】
第五の搬送装置は、前記第二次洗浄槽から前記解体部材を乾燥装置へ搬送する。
【0041】
乾燥装置は、前記解体部材を乾燥する。この乾燥装置により、前述した第二次洗浄工程を終えた前記廃電気機器の前記解体部材を乾燥する乾燥工程を実施する。
【0042】
この乾燥工程で使用する乾燥装置としては、平面視方形の乾燥室の底部に被乾燥物を水平移動させる移動装置を敷設し、前記移動装置の前後に乾燥気体の吹出管を上下複数設け、前記吹出管は乾燥気体生成装置の吐出側に連結すると共に、前記乾燥室の上部へ排気管を敷設し、前記移動装置の入口側と出口側の両開口部へ閉鎖部材を設置した乾燥装置を用いることができる。
【0043】
前記閉鎖部材としては、織布、合成樹脂シート、フィルムを用いることができる。
【0044】
前記乾燥装置には、排気管に活性炭付排気装置を付設して有害物が外界へ排気されないようにすることができる。
【0045】
処理している廃電気機器が内部にPCB汚染油を含んでいたものである場合には、第二次洗浄工程終了後、あるいは、乾燥工程終了後、各部について残留PCBの有無を検査し、PCB付着量が0.01mg/kg以下であることを確認した後、金属はスクラップとして搬出する。
【0046】
紙その他は一般廃棄物として処分するか所定の廃棄物処分所へ届ける。
【0047】
前記のように、第一次洗浄後の廃電気機器を解体して第二次洗浄することによって第二次洗浄が容易確実になり処理の信頼度を飛躍的に向上させることができる。
【0048】
処理対象の廃電気機器が内部にPCB汚染油を収容している廃電気機器廃であっても、前記各工程を経て完全に無害化処理することができる。
【0049】
第一次洗浄装置に向けた移送工程で行う抜油工程とほとんどの廃油を除去し、その後、更に、第一次洗浄によって残存廃油を除去するので、廃油がPCB汚染油であっても、第二次洗浄の際、取扱い上PCB汚染油の危険性を大幅に排除することができる。
【0050】
処理対象の廃電気機器が内部にPCB汚染油を収容している廃電気機器廃であっても、抜油工程と第一次洗浄によって残存廃油を除去した後に、解体し、第二次洗浄するので、廃電気機器に付着したPCB汚染油によって生じる作業上の制約及び危険性を排除することができる。
【0051】
このような抜油工程と第一次洗浄及び、その後の解体工程、第二次洗浄工程の組み合わせにより、廃電気機器が内部にPCB汚染油を収容している廃電気機器廃であっても、比較的短時間で廃棄処理を行うことができる。
【0052】
また、第一次洗浄工程を終えた廃電気機器についてPCB付着有無の洗浄度試験設備を組み合わることにより一層安全、確実な廃棄処理を行うことができる。
【0053】
この発明によれば、廃電気機器が内部にPCB汚染油を収容している廃電気機器廃であっても、微量なPCB汚染油まで確実に除去し、廃電気機器を自動的かつ確実に無害化処理できる効果がある。
【0054】
また、廃電気機器が内部にPCB汚染油を収容している廃電気機器廃であっても、抜油工程と第一次洗浄を行った後に、解体、第二次洗浄を行うので、PCB汚染油の残留がなくなり、第二次洗浄後の廃電気機器を通常の廃棄物と同様に取り扱うことができる。
【実施例】
【0055】
この実施例では、処理対象の廃電気機器が内部にPCB汚染油を収容している廃トランス1である場合について説明する。
【0056】
廃トランス1の上蓋を取り外して抜油する。
【0057】
抜油したPCB汚染油は所定の廃油槽に集め、ドラム缶などに充填する。PCB汚染油が充填されたドラム缶はPCB廃棄物として保管又は処分所に運ぶ。
【0058】
次に、廃トランス1を転倒させた状態で、コンベアのローラ6、6上に搭載されているオイルパン3の上に置く。
【0059】
コンベアには多数のローラ6、6が水平に架設されており、それぞれのローラ6、6にスプロケットホイール7、7がそれぞれ架設され、当該スプロケットホイール7にチェーン8が架設され、チェーン8に動力を伝達して全ローラ6、6が強制回転させられる。
【0060】
廃トランス1から転倒状態で行う抜油時間は24時間以上が好ましいので、オイルパン3の移動速度を決めればコンベアの長さも自動的に定まる。移動速度を定め、処理時間を定めることによりコロコンベアの長さを定めることもできる。
【0061】
オイルパン3上に収容したPCB汚染油も、上述したように所定の廃油槽に集め、ドラム缶などに充填する。PCB汚染油が充填されたドラム缶はPCB廃棄物として保管又は処分所に運ぶ。
【0062】
前記のようにして抜油した廃トランス1を第一次洗浄槽43に収容して洗浄する。
【0063】
この際、不図示の第二の搬送装置、例えば、クレーン式の吊り上げ反転装置により、コンベアで搬送されてきた倒立状態の廃トランス1を正立状態にして第一次洗浄槽43に収容する。
【0064】
第一次洗浄槽43内には、洗浄液供給装置を構成する洗浄液受けタンク69からポンプ等の移送手段によって連続的に洗浄液が供給される。一方、第一次洗浄槽43の周壁上端には開口57形成されており、第一次洗浄槽43内の洗浄液の表面側は、開口57を介してオーバーフローし、第一次洗浄槽43外に排出される。
【0065】
オーバーフローによって排出された洗浄液と廃油(PCB汚染油)との混合液は、第一次受けタンク58、第二次受けタンク59に収容され、油水分分離装置97によってPCB汚染油と洗浄液とが比重分離され、分離された洗浄液は、再生後洗浄液受けタンク99に収容され、再度、第一次洗浄槽43内に供給される。
【0066】
分離されたPCB汚染油は上述したように、所定の廃油槽に集め、ドラム缶などに充填する。PCB汚染油が充填されたドラム缶はPCB廃棄物として保管又は処分所に運ぶ。
【0067】
第一次洗浄槽43は蓋43aを備えており、第一次洗浄処理工程の間は蓋43aを閉じて密閉した状態で洗浄を行うことができる。
【0068】
なお、第一次洗浄槽43に活性炭付排気装置13を配備しておき、必要な排気を行うことができる。
【0069】
第一次洗浄工程を終えた廃トランス1は、不図示の第3の搬送装置(例えば、クレーン式の吊り上げ装置)により、解体装置125に移送され、ここで解体処理を受ける。
【0070】
廃トランス1を解体する際に使用する解体装置125の例を
図3に基づいて説明する。
【0071】
コロコンベア100の両側に、所定間隔をおいて案内柱101、101、102、102を植設し、各案内柱の対向面には、それぞれ案内溝103、104を設ける。一方、枠体105へ所定間隔をおいて回転軸106、107を水平かつ平行に架設し、回転軸106、107へスプロケットホイール108、109を架設する。このスプロケットホイール108、109へチェーン刃110を装着してチェーンソー111を構成し、このチェーンソー111を、天井へ垂直に固定した油圧シリンダー120、121のピストンロッド122、123に固定して解体装置125を構成した。
【0072】
コロコンベア100上に第一次洗浄工程終了後の廃トランス116を載置し、ピストンロッド122、123を矢示119のように下降させつつ、チェーンソー111を矢示112の方向へ駆動すれば、第一次洗浄工程終了後の廃トランス116を任意の場所で切断できる。図中124はモータである。
【0073】
このようにして、第一次洗浄が終了した廃トランスを、ケーシング、蓋、コア、等に解体し、このケーシング、蓋、コア、等を不図示の第四の搬送装置(例えば、クレーン式の吊り上げ装置)によって第二次洗浄槽に搬送する。
【0074】
例えば、前記のようにして一次洗浄を終了した廃トランスを解体して、解体物を
図4に示す網篭42に収容した後、第二次洗浄槽98内に設置し、
図5中矢示44のように回転しつつ、洗浄液を矢示126、126のように吹出し流動させて、解体した廃トランス1のケーシング、蓋、コア、等を洗浄する。
図4中45は網篭42の開閉蓋、
図5中46は網篭を支持する案内ローラ、47は洗浄液を循環させるポンプ、48、48aは洗浄液パイプである。
【0075】
網篭42は
図4および
図5に示すように、円筒状網42aと、両側円板42b、42bにより構成され、両側円板42b、42bの中心部に支軸38を挿通固定してあり、支軸38は動力軸39と接続してある。網篭42は支軸38をつけたまま移動して洗浄操作を行うようになっている。
【0076】
そこで、モータ(図示していない)の軸に固定してある歯車(図示していない)と、動力軸39の歯車113とを連動させて動力軸39を回転し、カプリング114を介して支軸38と動力軸39とを連動させて、網篭42を毎分10〜30回転させる。
【0077】
また、ポンプ47により洗浄液パイプ48、48aから洗浄液を矢示126、126のように吹出し、ポンプ47、洗浄液パイプ48、48aとにより洗浄液を循環流動させる(
図5)。
【0078】
このようにして網篭42内に収容したケーシング、蓋、コア等、解体した廃トランスを洗浄する。
【0079】
前記二次洗浄を経たケーシング、蓋、コア等27は、第五の搬送装置(例えば、クレーンなどの吊り上げ手段)によって乾燥装置70に搬送され、乾燥装置70で乾燥される。
【0080】
乾燥装置70を
図6に基づいて説明する。この乾燥装置70は、二次洗浄を終了した解体洗浄物(ケーシング、蓋、コア、等)を乾燥する装置であって、最終処理に使用する。
【0081】
乾燥室71の底部にコロコンベア72を水平に敷設し、各コロコンベア72の軸のスプロケットホイールにチェーン73を装着する。チェーン73は駆動軸のスプロケットホイール74のチェーン77を介し、モータ75のスプロケットホイール76と連動させ、コロコンベア72によって解体洗浄物を移動させる。
【0082】
乾燥室71の上部には、電熱温風器79が設置してあり、電熱により開口78から取り入れた外気を加温し、送風器80により送気管81に送り、送気管81に連結した分岐管82、82のノズルから加温空気として吹き出して前記解体洗浄物などの被乾燥物を乾燥する。
【0083】
分岐管82、82は、上下3本宛左右(例えば6本)に敷設され、解体洗浄物の上側部に加温空気を吹き付ける。あるいは、網篭に入れて乾燥する。
【0084】
前記乾燥室の排気は矢示84、85のように排気管86を経て外界へ排気される。排気量はダンパー87、87により調節される。図中83、83は被乾燥物の出入口を塞ぐカーテンである。
【0085】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態、実施例を説明したが本発明は係る実施形態、実施例に限られることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。