(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-77650(P2017-77650A)
(43)【公開日】2017年4月27日
(54)【発明の名称】化粧板の製造方法
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20170407BHJP
B27D 5/00 20060101ALI20170407BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20170407BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20170407BHJP
【FI】
B27M3/00 P
B27D5/00
E04F13/00 C
E04F13/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-205929(P2015-205929)
(22)【出願日】2015年10月19日
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】高山 正史
【テーマコード(参考)】
2B002
2B250
2E110
【Fターム(参考)】
2B002AA05
2B002AA06
2B002AB03
2B002BA08
2B002BB07
2B002BB08
2B002DA04
2B002DA06
2B250AA06
2B250BA03
2B250EA13
2B250FA09
2B250FA23
2B250FA28
2B250GA03
2E110AB04
2E110AB23
2E110AB50
2E110BA02
2E110BB03
2E110BD02
2E110BD26
2E110EA09
2E110GA29Z
2E110GA32W
2E110GA33X
(57)【要約】
【課題】一側面に面取りが施された化粧板を見栄え良く効率的に製造することができる新規な方法を提供する。
【解決手段】基材10の表面11および長手側面13,13の全面を覆うように一枚の化粧シート6を貼着する。次いで、短手側面12,12の少なくとも一方の端部近くに、裏面14側から、表面に貼着した化粧シートを残しつつ、長手側面に貼着した化粧シートごと基材の略全厚を短手方向に沿って切削して、角度αのV溝15と角度βのV溝16を形成する。そして、これらV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することにより、V溝15の頂点P1とV溝16の頂点P2との間に表面に対して角度αで傾斜する傾斜面2と、V溝16の頂点P2と端部P3との間に傾斜面に対してさらに角度βで傾斜する端面とを形成する。化粧板の長手側面4に現れる化粧シートの継目7,8に隙間や重なりが生じない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)表裏面と第一の方向に延長する一対の第一側面と第一の方向に略直交する第二の方向に延長する他の一対の第二側面とを有する板状の基材の表面および一対の第二側面の全面を連続して覆うように一枚の化粧シートを貼着し、(2)第一側面の少なくとも一方の端部近くに、裏面側から、表面に貼着した化粧シートを残しつつ、第二側面に貼着した化粧シートごと基材の略全厚を第一の方向に沿って切削して、内側に角度α(α<90度)の第一のV溝と、該端部寄りに角度β(β<90度)の第二のV溝を形成し、(3)これら第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することにより、第一のV溝の頂点と第二のV溝の頂点との間に表面に対して角度αで傾斜する傾斜面と、第二のV溝の頂点と端部との間に傾斜面に対してさらに角度βで傾斜する端面とを形成することを特徴とする、化粧板の製造方法。
【請求項2】
前記(2)の工程において、α+β=90度となるように第一および第二のV溝を形成することを特徴とする、請求項1記載の化粧板の製造方法。
【請求項3】
前記(3)の工程において、第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合したときに得られる化粧板の裏面が面一に連続するように、前記(2)の工程において、第一のV溝および第二のV溝を形成するとともに、基材の裏面側を部分的に切除することを特徴とする、請求項1または2記載の化粧板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に化粧シートが貼着されてなる化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に化粧シートが貼着されてなる化粧板は家屋の内装材や家具材などに広く使用されており、その用途などにより、
図5に示すような形状の製品とすることが求められる場合がある。すなわち、この製品は、概して矩形状の断面形状を有するが、表面1と短手方向に延長する側面3との間に傾斜面2が形成され、表面1、傾斜面2、短手側面3および長手側面4に化粧シート6(表面1を覆う部分を6a、傾斜面2を覆う部分を6b、短手側面3を覆う部分を6c、長手側面4を覆う部分を6dとする)が貼着されている。場合によっては裏面5の一部または全面にも化粧シートが貼着される。また、傾斜面2は長手方向の両端に形成される場合と、一端のみに形成される場合とがある。このような製品は、家屋の壁材やカウンター材などに用いられる。
【0003】
図5に示すような形状の化粧板9を製造しようとする場合、通常は、最終製品と同様の形状に成形した基材に対して化粧シートを貼着する手法が採用される。具体的には、短手方向の長さと略同一寸法の幅を有する化粧シート6を表面1から傾斜面2を経て短手側面3にかけて(あるいは場合によっては裏面5まで)貼着した後、長手側面4の形状に合わせてカットした別の化粧シート6’を長手側面4に貼着するか、または、両方の長手側面4をもカバーする幅寸法を有する化粧シート6を表面1から傾斜面2を経て短手側面3にかけて(あるいは場合によっては裏面5まで)貼着した後、短手側面3または長手側面4に沿って折り曲げた部分を適宜にカットして貼着する。
【0004】
しかしながら、前者の手法によると、表面1、傾斜面2および短手側面3を覆う化粧シート6とは別に、長手側面4を覆う化粧シート6’を用意して、別工程で貼着しなければならず、製造効率の低下およびコスト増を招く。また、体の一部や物が当たりやすい表面側の端縁(表面1と長手側面4とがなす角部)に沿って化粧シート6,6’の継目が表われることになるため、経年によって該化粧シートの継目で化粧シート6,6’に捲れや剥がれが生じて基材が露出し、外観を損なうことがあった。
【0005】
後者の手法によればこのような欠点は回避されるが、長手側面4に化粧シート5を貼着しながら余剰部分をカットして正確な継目を形成する作業が困難であり、過剰にカットすると継目部分で基材が露出し、カットし足りないとカット後の化粧シート端部同士が重なり合うためその部分だけ肉厚になり、いずれにしても外観が損なわれる。
【0006】
特許文献1,2には、四側面が表裏面に垂直である基材(芯材)の表面および少なくとも一側面にかけて化粧シートを貼着した後に、裏面側からV溝を形成し、該V溝を閉じるようにして基材を折り曲げてV溝側面同士を接合させることにより、表面から該一側面にかけて連続して化粧シートが貼着されてなる化粧板を製造することが記載されているが、いずれも、
図5に示すような形状の化粧板を製造することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−006753号公報
【特許文献2】特開2013−146868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、
図5に示すような形状の化粧板を見栄え良く効率的に製造することができる新規な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、(1)表裏面と第一の方向に延長する一対の第一側面と第一の方向に略直交する第二の方向に延長する他の一対の第二側面とを有する板状の基材の表面および一対の第二側面の全面を連続して覆うように一枚の化粧シートを貼着し、(2)第一側面の少なくとも一方の端部近くに、裏面側から、表面に貼着した化粧シートを残しつつ、第二側面に貼着した化粧シートごと基材の略全厚を第一の方向に沿って切削して、内側に角度α(α<90度)の第一のV溝と、該端部寄りに角度β(β<90度)の第二のV溝を形成し、(3)これら第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することにより、第一のV溝の頂点と第二のV溝の頂点との間に表面に対して角度αで傾斜する傾斜面と、第二のV溝の頂点と端部との間に傾斜面に対してさらに角度βで傾斜する端面とを形成することを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載の化粧板の製造方法において、前記(2)の工程において、α+β=90度となるように第一および第二のV溝を形成することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の化粧板の製造方法において、前記(3)の工程において、第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合したときに得られる化粧板の裏面が面一に連続するように、前記(2)の工程において、第一のV溝および第二のV溝を形成するとともに、基材の裏面側を部分的に切除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によれば、板状の基材の表面および一対の第二側面を覆うように一枚の化粧シートをコの字状に配置して各面に貼着すれば良いので、化粧シート貼着作業を容易に行うことができる。基材の表面に貼着した化粧シートは、第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することによって傾斜面および端面を形成して最終製品としたときに、表面から傾斜面を経て端面を被覆する化粧シートとしてそのまま残される。さらに、裏面側からのV溝形成作業も容易であり、これによって、基材とともに、第二側面に貼着された化粧シートの不要部分も同時に切除されるので、第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合したときに、切除後の化粧シート同士の継目が第二側面において隙間なく且つ重なり合うこともなくぴったり一致して現れることになり、美観を損なうことがない。また、このようにして、
図5に示すような形状の化粧板を見栄え良く且つ効率的に製造することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明によれば、第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合したときに得られる端面を表面に対して垂直に形成することができ、且つ、α+β=90度においてαを適宜に選択することにより、傾斜面の傾斜角度を自在に設定することができる。
【0014】
請求項3に係る本発明によれば、第一のV溝および第二のV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合したときに得られる化粧板の裏面を面一に連続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による化粧板の斜視図である。
【
図2】この化粧板の製造方法を工程順に示す図であり、
図2(a1)は板状基材の表面および両長手側面に化粧シートを貼着した状態の長手方向端面図、
図2(a2)は同状態の短手方向端面図、
図2(b)はこの化粧シート貼り基材の裏面側から切削して2つのV溝を形成した状態を示す長手方向端面図、
図2(c)はこれら2つのV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することにより
図1の化粧板とした状態を示す長手方向端面図である。
【
図3】他の実施形態による化粧板の製造方法を工程順に示す図であり、
図3(a)は板状基材の表面および両長手側面に化粧シートを貼着した状態の長手方向端面図、
図3(b)はこの化粧シート貼り基材の裏面側から切削して2つのV溝を形成した状態を示す長手方向端面図、
図3(c)はこれら2つのV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することにより化粧板とした状態を示す長手方向端面図である。
【
図4】さらに他の実施形態による化粧板の製造方法を工程順に示す図であり、
図4(a)は板状基材の表面および両長手側面に化粧シートを貼着した状態の長手方向端面図、
図4(b)はこの化粧シート貼り基材の裏面側から切削して2つのV溝を形成した状態を示す長手方向端面図、
図4(c)はこれら2つのV溝を閉じて切削後の基材部分同士を接合することにより化粧板とした状態を示す長手方向端面図である。
【
図5】
図1に示す化粧板の従来技術による製造方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明について実施例を挙げて以下に詳述する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明により製造される化粧板9の一例を示す。この化粧板9は、従来技術に関連して説明した
図5の化粧板と略同様の形状および構成を有するものであり、表面1と、裏面5と、短手方向に延長する側面(短手側面)3と、長手方向に延長する側面(長手側面4)と、表面1と短手側面3との間に面取り形成される傾斜面2とを有する芯材(符号なし)の裏面5を除くすべての面に化粧シート6(表面1を覆う部分を6a、傾斜面2を覆う部分を6b、短手側面3を覆う部分を6c、長手側面4を覆う部分を6dとする)が貼着されている。長手側面4には、後述するようにしてV溝で切断された化粧シート6の継目7,8が表われている。この化粧板9は壁材として使用することが想定されており、裏面5は壁下地に接して露出しないので、裏面5には化粧シートが貼着されていないが、カウンターに用いられる場合など裏面5にも化粧を施す必要がある場合は、裏面5の一部または全面にも同じ化粧シート6または別の化粧シートが貼着されるものであっても良い。また、この実施例では、傾斜面2は化粧板9の長手方向の一端のみに形成されているが、両端に傾斜面2が形成されたものであっても良い。
【0018】
この化粧板9の製造方法について
図2を参照して説明する。まず、
図2(a1)および
図2(a2)に示すように、表面11、一対の短手側面12、一対の長手側面13および裏面14を有する板状の基材10を用意し、その表面11および一対の長手側面13の全面をコ字状に覆うように化粧シート6を接着剤などで貼着する。この実施例では、上述したように、化粧板9の裏面5に化粧シート6を貼着する必要がないので、基材10の裏面14にまで化粧シート6を回り込ませて貼着する必要はなく、したがって、基材10の短手方向の長さ(幅)に両長手側面13,13の幅(高さ)を加えた寸法の幅と、基材10の長手方向の長さに相当する長さを有する化粧シート6を用いて、基材10の表面11および長手側面13,13に貼着する。この化粧シート貼着作業は、基材10の表面11および両長手側面13,13にコ字状に貼着すれば良く、短手側面12,12には貼着しないので、容易に行うことができる。短手側面12と長手側面13との角部で化粧シート6が重なり合うこともない。
【0019】
次に、
図2(b)に示すように、化粧板10の傾斜面2が形成される一方端部の近くにおいて、基材裏面14側から、表面11に貼着した化粧シート6を残しつつ、長手側面13,13に貼着した化粧シート6ごと基材10の略全厚を短手方向に沿って切削して、内側に角度α(α<90度)の第一のV溝15と、該端部寄りに角度β(β<90度)の第二のV溝16を形成する。この実施例では、α=20度、β=70度であり、α+β=90度である。
【0020】
なお、これらV溝15,16を形成するに際して、基材10の裏面側不要部分を切除しておくと良い。すなわち、後述するようにしてV溝15,16を閉じて切削後の基材10部分同士を接合したときに得られる化粧板(
図1)の裏面5が面一に連続するように、あらかじめ基材10の裏面側不要部分を切除した後に、V溝15,16を形成することが好ましい。
【0021】
次に、
図2(c)に示すように、V溝15,16を閉じて切削後の基材10部分同士を接着剤などで接合することにより、
図1の化粧板9が得られる。V溝15の頂点P1とV溝16の頂点P2との間の領域が、化粧板9の表面1に対して角度αで傾斜する傾斜面2となり、V溝16の頂点P2と端部(基板表面11と短手側面12との角部)P3との間の領域が、傾斜面2に対してさらに角度βで傾斜する短手側面(端面)3となる。したがって、基材10の表面11にあらかじめ貼着された化粧シート6の反対側端部からP1までの領域がそのまま化粧板9の表面1を覆う化粧シート6aとなり、P1〜P2間の領域がそのまま化粧板9の傾斜面2を覆う化粧シート6bとなり、P2〜P3間の領域がそのまま化粧板9の短手側面3を覆う化粧シート6cとなる。化粧板9の長手側面4においては、基材10の長手側面13にあらかじめ貼着された化粧シート6が、V溝15,16の切削形成によって2箇所で分断されて化粧シート6の継目7,8が表われることになるが、V溝15,16の形成と同時に、これらV溝15,16の溝側面に沿って、基材長手側面13に貼着した化粧シート6も切断されるので、継目7.8に隙間や重なりが生じることがなく、化粧板長手側面4の全面に亘って見栄え良く化粧シート6が貼られたものとなる。なお、
図2から明らかなように、基材10の短手側面12は、V溝15,16で順次に裏面側に折り返される結果として、最終的に得られる化粧板9においては短手側面3とはならず、元々の基材裏面14および基材裏面側不要部分切除後に残される裏面17と共に、面一に連続する化粧板9の裏面5を構成する。
【0022】
既述したように、この実施例ではV溝15,16の角度α,βの和(α+β)が90度とされているので、最終的得られる化粧板9の短手側面3は表裏面1,5に対して直角をなしている。傾斜面2の傾斜角度は、V溝15の角度αを適宜設定することにより自在に変化させることができる。また、化粧板9の短手側面3を表裏面1,5に対して直角以外の角度で傾斜させるべき場合は、その傾斜角度に応じて角度α,βの和(α+β)を設定すれば良い。
【実施例2】
【0023】
図3は、他の実施形態による化粧板の製造方法を工程順に示す図である。この製造方法により製造される化粧板9は
図3(c)に示す通りであり、実施例1で製造される化粧板9に対して基材10の厚さを2倍にしたものであり、これに伴ってV溝15,16およびこれらV溝15,16で閉じられる基材端部の部分の形状が異なっているが、製造方法としては実質的に同様であるので、実施例1と同様の符号を付して、説明を省略する。この実施例においても、V溝15の角度α=20度、V溝16の角度β=70度であり、最終的に得られる化粧板9の短手側面3が表裏面1,5に対して直角をなしている。なお、
図3においては、実施例1についての
図2(a2)に相当する図(基材10の表面11および両長手側面13,13に化粧シート6を貼着した状態の短手方向端面図)は省略されている。
【実施例3】
【0024】
図4は、さらに他の実施形態による化粧板の製造方法を工程順に示す図である。
図4(a1)および
図4(a2)に示すように、実施例1と同様にして化粧シート6が表面11および長手側面13,13に貼着された化粧シート貼り基材10を得た後、
図4(b)に示すように、化粧板10の傾斜面2が形成される一方端部の近くにおいて、基材裏面14側から、表面11に貼着した化粧シート6を残しつつ、長手側面13,13に貼着した化粧シート6ごと基材10の略全厚を短手方向に沿って切削して、内側に角度α(α<90度)の第一のV溝15と、該端部寄りに角度β(β<90度)の第二のV溝16を隣接させて形成する。既述したように、V溝15,16を閉じて切削後の基材10部分同士を接合したときに得られる化粧板(
図4(c))の裏面5が面一に連続するように、あらかじめ基材10の裏面側不要部分を切除した後に、V溝15,16を形成することが好ましい。この実施例では、α=β=45度であり、上記裏面側不要部分の切除およびV溝15,16の形成後には、V溝15の頂点P1とV溝16の頂点P2間に断面二等辺三角形状の基材部分18が残されると共に、V溝16の頂点P2の端部側には断面長方形状の基材部分19が残されることになる。また、上記裏面側不要部分の切除は、後述するようにして基材部分18,19をV溝15,16で順次に折り返したときに、基材部分19を収容するための切欠き20の形成を含むものとして行われる。
【0025】
次に、V溝15を閉じるようにして基材部分18をV溝15,16切削形成後の基材主部22に接着剤などで接合し、次いで、V溝16を閉じるようにして基材部分19を基材主部22および上記接合後の基材部分18に接着剤などで接合することにより、
図4(c)に示すような化粧板21が得られる。この化粧板21においても、V溝15の頂点P1とV溝16の頂点P2との間の領域が、表面1に対して角度αで傾斜する傾斜面2となり、V溝16の頂点P2と端部P3との間の領域が、傾斜面2に対してさらに角度βで傾斜する短手側面(端面)3となる。
【0026】
このようにして得られる化粧板21は、実施例1,2と同様に、一枚の化粧シート6で表面1、傾斜面2、短手側面3および長手側面4が見栄えよく覆われたものとなる。また、この実施例では、V溝15,16を閉じたときに形成される化粧シート6(基材10の長手側面13に貼着された化粧シート6)同士の継目7,8に加えて、端部に残された基材部分19を折り返してその下方部分を切欠き20に収容することによって形成される化粧シート6同士の継目23が、化粧板21の長手側面4に現れることになる。また、この実施例では、基材10の裏面14と短手側面12の2つの面で化粧板21の裏面5を構成することになるので、面一に連続させることが容易であり、且つ、基材部分19が切欠き20に一部嵌合された状態で強固に接合固定されるので、強度に優れた化粧板21が得られる利点がある。なお、
図4においては、実施例1についての
図2(a2)に相当する図(基材10の表面11および両長手側面13,13に化粧シート6を貼着した状態の短手方向端面図)は省略されている。
【符号の説明】
【0027】
1 化粧板の表面
2 化粧板の傾斜面(面取り)
3 化粧板の短手側面(端面)
4 化粧板の長手側面
5 化粧板の裏面
6 化粧シート
7,8 化粧板の長手側面に現れる化粧シートの継目
9 化粧板
10 基材
11 基材の表面
12 基材の短手側面(第一側面)
13 基材の長手側面(第二側面)
14 基材の裏面
15 第一のV溝
16 第二のV溝
17 基材裏面側不要部分除去後に残される裏面
18 V溝間に残される基材部分
19 V溝の端部側に残される基材部分
20 切欠き
21 化粧板
22 V溝形成後の基材主部
23 化粧板21の長手側面に現れる化粧シートの継目
P1 V溝15の頂点
P2 V溝16の頂点
P3 基材表面と短手側面との角部