【解決手段】糸巻取装置2は、糸20を供給可能な給糸部6と、給糸部6から糸20を引き出して貯留する糸貯留部18と、糸貯留部18に貯留されている糸20を巻き取って、パッケージ30を形成する巻取部8と、を備えている。糸貯留部18は、回転軸C回りに回転することにより、給糸部6から引き出した糸20を外周面32aに巻き付けて貯留する糸貯留ローラ32と、糸貯留ローラ32の外周面32aに巻き付けられ、巻取部8によって糸貯留ローラ32から引き出される糸20に接触し、当該糸20に抵抗を付与するリング部材46と、を有する。糸貯留ローラ32の外周面32aにおいて、リング部材46の取付位置を回転軸Rに沿う方向に跨ぐ領域には、凹部38が設けられている。
前記凹部内において前記リング部材の前記取付位置に対応する位置には、前記糸貯留ローラの前記外周面に沿う表面を形成し、かつ当該表面が前記凹部内に入り込むように没入可能な出没部材が設けられている、請求項1又は2記載の糸巻取装置。
前記凹部内において前記リング部材の前記取付位置に対応する位置には、前記糸貯留ローラの前記外周面に沿う表面を形成し、かつ当該表面が前記凹部内に入り込むように没入可能な出没部材が設けられ、
前記糸通し部は、前記空気を前記凹部に吹き入れる際に前記出没部材を押圧して前記凹部内に没入させる押圧部を有している、請求項6記載の糸巻取装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸の走行方向における上流及び下流をそれぞれ意味する。
【0020】
図1に示されるように、自動ワインダ1は、並べて配置された複数のワインダユニット(糸巻取装置)2と、機台制御装置3と、給糸ボビン供給装置4と、玉揚装置5と、図略のブロアボックスと、を備えている。
【0021】
機台制御装置3は、各ワインダユニット2と通信可能に構成されている。自動ワインダ1のオペレータは、機台制御装置3を適宜操作することにより、複数のワインダユニット2を集中的に管理することができる。機台制御装置3は、給糸ボビン供給装置4及び玉揚装置5の動作を制御する。
【0022】
給糸ボビン供給装置4は、給糸ボビン21を1本ずつ搬送トレイ26上にセットする。給糸ボビン供給装置4は、搬送トレイ26上にセットした給糸ボビン21を、複数のワインダユニット2のそれぞれに供給する。
【0023】
玉揚装置5は、ワインダユニット2においてパッケージ30が満巻(規定量の糸20が巻き取られた状態)となった場合に、当該ワインダユニット2の位置まで走行し、満巻のパッケージ30を取り外す。玉揚装置5は、パッケージ30を取り外した当該ワインダユニット2に対して空の巻取ボビン22をセットする。
【0024】
次に、ワインダユニット2の構成について説明する。
図2に示されるように、ワインダユニット2は、給糸部6と、糸貯留部18と、巻取部8と、を備えている。ワインダユニット2では、給糸部6の給糸ボビン21の糸20を解舒し、解舒した糸20を糸貯留部18で一旦貯留した後、巻取ボビン22に巻き取ってパッケージ30を形成する。
【0025】
給糸部6は、糸20を供給可能に構成されている。給糸部6は、搬送トレイ26にセットされた給糸ボビン21を所定の位置で支持している。給糸部6は、給糸ボビン21から糸20を解舒できるように構成されている。給糸部6は、給糸ボビン21から全ての糸20が解舒されると、空になった給糸ボビン21を排出して、給糸ボビン供給装置4から新しい給糸ボビン21の供給を受ける。
【0026】
糸貯留部18は、給糸部6と巻取部8との間に配置されている。糸貯留部18は、給糸部6から糸20を引き出し、引き出した糸20を一時的に貯留した上で巻取部8に供給する。糸貯留部18は、糸20を巻き付けることが可能な糸貯留ローラ32と、糸貯留ローラ32を回転駆動するローラ駆動モータ(ローラ駆動部)33と、を備える。ローラ駆動モータ33は、給糸部6からの糸20を巻き取る方向に糸貯留ローラ32を回転(正回転)させる。また、ローラ駆動モータ33は、当該巻き取る方向とは反対の方向に糸貯留ローラ32を回転(逆回転)させる。
【0027】
巻取部8は、巻取ボビン22を装着可能に構成されたクレードル23と、糸20を綾振りさせながら巻取ボビン22を駆動する綾振ドラム24と、を備える。クレードル23は、巻取ボビン22(又はパッケージ30)を回転可能に支持する。クレードル23は、支持しているパッケージ30の外周面を綾振ドラム24の外周面に対して接触可能に構成されている。
【0028】
綾振ドラム24は、図略の駆動源(電動モータ等)によって回転駆動され、巻取ボビン22又はパッケージ30の外周面に接触した状態で回転することで、巻取ボビン22を従動回転させる。これにより、糸貯留部18に貯留された糸20を解舒して引き出し、巻取ボビン22に巻き取ることができる。綾振ドラム24の外周面には図略の綾振溝が形成されており、この綾振溝によって糸20を所定の幅で綾振り(トラバース)することが可能になっている。以上の構成で、糸20を綾振りさせながら巻取ボビン22に巻き取って、所定長で所定形状のパッケージ30を形成することができる。
【0029】
ワインダユニット2は、給糸部6から糸貯留部18を経由して巻取部8に至る糸走行経路中に、各種の装置を備えている。具体的には、糸20の糸道(糸走行経路)には、上流の給糸部6側から下流の糸貯留部18側へ向かって順に、解舒補助装置10と、第1吹送り部11と、第2捕捉部12と、糸継装置13と、第1捕捉部14と、テンション付与部15と、カッタ16と、糸監視装置(クリアラ)17と、第2吹送り部41(糸送り部)と、が配置されている。
【0030】
解舒補助装置10は、給糸ボビン21から解舒される糸20が振り回されて給糸ボビン21の上部に形成されるバルーンに対し、可動部材27を接触させ、当該バルーンの大きさを適切に制御することによって糸20の解舒を補助する。
【0031】
第1吹送り部11は、解舒補助装置10の下流側における解舒補助装置10に近接する位置に配置されたエアサッカー装置である。第1吹送り部11は、圧縮空気を噴出することにより、糸20を第1捕捉部14まで吹き送る空気流を形成する。したがって、例えば糸切れが生じた場合には、第1吹送り部11が動作することで、給糸ボビン21側の糸端を糸継装置13側に向かって吹き送ることができる。
【0032】
なお、給糸部6に新しい給糸ボビン21が供給された直後の場合には、給糸ボビン21から糸20が十分に引き出されていないため、第1吹送り部11によっては糸端を糸継装置13側に吹き送ることが困難になる場合がある。これを考慮して、ワインダユニット2の給糸部6には、補助吹送り部28が設けられている。
【0033】
補助吹送り部28は、中空状に形成された搬送トレイ26及び給糸ボビン21の内部に圧縮空気を噴出することにより、給糸ボビン21の先端部に、当該給糸ボビン21の糸20を第1吹送り部11側へ吹き送る空気流を形成する。新しく供給された給糸ボビン21が給糸部6に支持された場合には、補助吹送り部28及び第1吹送り部11が連動して動作することにより、当該給糸ボビン21側の糸端を糸継装置13側に向かって確実に送ることができる。
【0034】
第2捕捉部12は、糸継装置13の上流側における糸継装置13に近接する位置に配置されている。第2捕捉部12は図略の負圧源に接続されており、糸継時に吸引空気流を発生させて、糸貯留部18側の糸20を吸引して捕捉する。
【0035】
糸継装置13は、分断された糸20の糸継ぎを行う。糸継装置13は、糸監視装置17が糸欠陥を検出してカッタ16で糸20を切断する糸切断時、給糸ボビン21から解舒中の糸20が切れる糸切れ時、又は、給糸ボビン21の交換時等のように、給糸ボビン21と糸貯留部18との間の糸20が分断された状態となったときに、給糸ボビン21側の糸20と、糸貯留部18側の糸20と、を糸継ぎする。糸継装置13は、糸道から若干退避した位置に配置されている。糸継装置13は、導入された糸端同士を繋いで、糸20を連続状態とすることができる。糸継装置13としては、圧縮空気等の流体を用いる装置や、機械式の装置を使用できる。
【0036】
第1捕捉部14は、糸継装置13の下流側における糸継装置13に近接する位置に配置されている。第1捕捉部14は、図略の負圧源に接続されるとともに先端部に開口が形成された筒状の部材として構成されている。第1捕捉部14は、進退駆動部29を備えている。進退駆動部29は、第1捕捉部14を糸道に対して進退させる。
【0037】
第1捕捉部14は、糸道に接近している状態において、その先端側に吸引空気流を発生させることにより、第1吹送り部11によって吹き送られてくる給糸ボビン21からの糸端を吸引して捕捉する。第1捕捉部14は、カッタ16で糸20を切断した際に、切断した糸20の給糸ボビン21側の糸端を吸引して捕捉する。更に、第1捕捉部14は、その先端側に吸引空気流を発生させることにより、走行する糸20に付着している風綿等を吸引して除去するように構成してもよい。なお、第1捕捉部14は、給糸ボビン21の糸端を捕捉した状態で糸道から退避することにより、当該糸端を糸継装置13に導入することができる。
【0038】
テンション付与部15は、走行する糸20に所定のテンションを付与する。テンション付与部15は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置してなるゲート式に構成されており、櫛歯の間に糸20を走行させることで所定の抵抗を付与する。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛合せ状態又は解放状態になるように、例えばソレノイドにより移動可能に構成されている。これにより、テンション付与部15は、糸20に付与するテンションを調整することができる。なお、テンション付与部15の構成は特に限定されず、例えばディスク式のテンション付与部であってもよい。
【0039】
糸監視装置17は、糸20の太さ等を適宜のセンサで監視することにより、スラブや異物混入等の糸欠陥を検出する。糸監視装置17の上流側における当該糸監視装置17に近接する位置には、カッタ16が配置されている。カッタ16は、糸監視装置17が糸欠陥を検出した場合直ちに、糸20を切断する。
【0040】
カッタ16及び糸監視装置17は、共通のハウジング19に収容されている。糸監視装置17を収容するハウジング19は、テンション付与部15の下流側における当該テンション付与部15に近接する位置に配置されている。この構成により、走行する糸20がテンション付与部15によって保持(案内)されている部分の近くを糸監視装置17で監視することになるため、監視部分の糸20がブレにくくなり、糸監視装置17が糸20の欠陥を検出する精度を一層高めることができる。
【0041】
第2吹送り部41は、糸貯留部18の上流側における糸貯留部18に近接する位置に配置されたエアサッカー装置である。第2吹送り部41は、圧縮空気を噴出することにより、糸貯留部18側の糸端を吹き飛ばして第2捕捉部12まで送る空気流を形成する。具体的には、第2吹送り部41は、内部に糸20を通過させることが可能な細い筒状のガイド部材42と、湾曲した筒状の部材である糸案内部材43と、を備えている。ガイド部材42の一端には、糸20の吹出口が形成されている。糸案内部材43は、第2吹送り部41の吹出口に近接するように設けられている。糸案内部材43の長手方向両端には、それぞれ開口が形成されている。
【0042】
糸案内部材43は、その一端側の開口を第2吹送り部41の吹出口に対向させ、且つ、その他端側の開口を第2捕捉部12に対向させた状態で配置されている。糸案内部材43の内部には、案内経路が形成されている。案内経路は、糸監視装置17、テンション付与部15、及び糸継装置13等を迂回するように、糸案内部材43の両端の開口同士を繋いでいる。第2吹送り部41と糸案内部材43と第2捕捉部12とにより、貯留側糸端捕捉装置44が構成されている。
【0043】
第2吹送り部41は、給糸ボビン21と糸貯留部18との間で糸20が分断状態となった場合、糸貯留部18側の糸20を捕捉して糸案内部材43の案内経路へ吹き飛ばし、糸20を当該案内経路に沿って引き出して、第2捕捉部12に捕捉させる。なお、糸案内部材43には図略のスリットが全長にわたって形成されているため、糸20を第2捕捉部12に捕捉させた状態で、当該糸20を糸案内部材43の内部からスリットを通して引っ張り出すことができる。以上により、第2吹送り部41によって糸貯留部18側の糸20を吹き送って、糸継装置13側に向かって案内することができる。
【0044】
各ワインダユニット2は、制御部(第1制御部、第2制御部)25を備えている。制御部25は、図略のCPU、ROM、RAM等のハードウェアを備えている。RAMには、制御プログラム等のソフトウェアが記憶されている。制御部25は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、ワインダユニット2の各構成を制御する。制御部25は、機台制御装置3と通信可能に構成されている。これにより、自動ワインダ1が備える複数のワインダユニット2の動作を、機台制御装置3において集中的に管理することができる。制御部25で実行される具体的な処理については、後述の巻取開始時の処理フローにおいて詳述する。
【0045】
また、ワインダユニット2は、糸通し部60を更に備えている。糸通し部60は、糸貯留部18に近接する位置に配置されている。糸通し部60は、後述する糸貯留ローラ32への糸20の巻付開始時に用いられる。
【0046】
図3〜
図6を参照して、糸貯留部18、糸通し部60、及び第2吹送り部41について更に説明する。前述したように、糸貯留部18は、糸貯留ローラ32と、ローラ駆動モータ33と、を備えている。
【0047】
糸貯留ローラ32は、例えば金属により略円筒状に形成されている。糸貯留ローラ32は、円筒部34と、円筒部34の軸方向両端に連続して設けられ、端部側に向かうにつれて拡径する拡径部35と、を有している。糸貯留ローラ32の外周面32aは、円筒部34の外周面34aと、拡径部35の外周面35aとにより構成されている。
【0048】
図4に示されるように、糸貯留ローラ32は、ベース部材33aに支持されている、ベース部材33aは、糸貯留ローラ32を回転可能に支持し、ローラ駆動モータ33を収納している。糸貯留ローラ32は、ローラ駆動モータ33の駆動力によって回転軸R回りに回転することにより、給糸部6から引き出した糸20を外周面34aに巻き付けて貯留する。以下では、糸貯留ローラ32において、ローラ駆動モータ33に近い側を基端側、その反対側を先端側という場合がある。
【0049】
図4に示されるように、糸貯留ローラ32における基端側には、マグネット36aが埋設されている。ベース部材33aの内部には、磁気センサ36bが設けられている。磁気センサ36bは、制御部25と電気的に接続されている。これにより、制御部25は、マグネット36aを検出することで、糸貯留ローラ32が所定の回転位置(回転軸R回りにおける角度位置)に位置しているか否かを検出する。
【0050】
糸貯留ローラ32は、糸20が巻き付けられた状態で正回転することで、糸貯留部18よりも上流側(給糸ボビン21側)の糸20に対してテンションを付与する。これにより、給糸ボビン21から糸20が解舒され、当該糸20が糸貯留ローラ32の外周面32aに巻き付けられる。糸20は、糸貯留ローラ32の基端側に第2吹送り部41のガイド部材42によって案内され、糸貯留ローラ32の基端側から、先端側の糸20の層を押し退けるようにしながら外周面32aに順次巻き付いていく。その結果、糸貯留ローラ32に巻き付けられている糸20は、新しく巻き付けられた糸20によって先端側に押され、先端側へ順次送られる。このようにして、糸20は、糸貯留ローラ32の外周面32aにおいて、螺旋状に整列して基端部側から規則正しく巻き付いていくこととなる。
【0051】
図3に示されるように、糸貯留ローラ32に巻き付けられた糸20は、糸貯留ローラ32の中心軸(回転軸R)の延長線上に配置された引出ガイド37を介して下流側へ引き出される。糸貯留部18が設けられていることにより、給糸ボビン21から解舒された糸20のテンションの変動が巻取部8側に伝播することが抑制される。これにより、巻取部8に供給される糸20のテンションの変動を抑制し、品質の良好なパッケージ30を形成することができる。
【0052】
糸貯留ローラ32の外周面32aには、リング部材46が巻き付けられている(取り付けられている)。リング部材46は、例えばゴムにより円環状に形成されている。リング部材46は、円筒部34の外周面34aと、先端側の拡径部35の外周面35aとの境界部分に取り付けられている。リング部材46は、巻取部8によって糸貯留ローラ32から引き出される糸20を囲み、当該糸20に接触して抵抗を付与するテンションリングである。リング部材46は、その径方向内側に締め付ける弾性力により外周面32aに取り付けられている。リング部材46は、糸貯留ローラ32から引き出される糸20に対して当該弾性力によって抵抗を付与する。リング部材46により、糸貯留ローラ32から引き出される糸20に適度な張力が与えられ、糸貯留ローラ32からの糸20の解舒が安定化される。
【0053】
糸貯留ローラ32の外周面32aにおいて、リング部材46の取付位置を回転軸Rに沿う方向に跨ぐ領域には、凹部38が設けられている。つまり、糸貯留ローラ32の径方向外側から見て、凹部38は、リング部材46の取付位置を通るように設けられて当該取付位置と交差しており、凹部38の一部は当該取付位置と重なっている。ここでの凹部38は、糸貯留ローラ32の一端から他端まで回転軸Rに沿う方向に延びる溝部を構成している。凹部38は、円筒部34の外周面34aに形成された第1部分38aと、拡径部35の外周面35aに形成された第2部分38bとにより構成されている。溝部としての凹部38は、例えば、その長手方向において同一の断面形状を有し、断面略矩形状に形成されている。
【0054】
すなわち、糸貯留ローラ32の外周面32aは、糸20が巻き付けられて貯留される貯留領域R1と、リング部材46が巻き付けられる解舒領域R2と、を有している(
図5)。ここでの解舒領域R2は、円筒部34の外周面34aと、先端側の拡径部35の外周面35aとの境界部分であり、貯留領域R1は、円筒部34の外周面34aにおける解舒領域R2以外の部分である。凹部38は、貯留領域R1と解舒領域R2とにわたって設けられている。また、リング部材46は、弾性を有して拡径可能に構成されている。拡径されていない状態におけるリング部材46の周長は、解舒領域R2の周長よりも小さくなっている。リング部材46は、拡径された状態で糸貯留ローラに巻き付けられている。
【0055】
凹部38内には、出没部材48が設けられている。出没部材48は、凹部38内においてリング部材46の取付位置に対応する位置(リング部材46の径方向内側の位置)に配置されている。つまり、糸貯留ローラ32の径方向外側から見て、出没部材48の一部はリング部材46の取付位置と重なっている。
図5及び
図6に示されるように、ここでの出没部材48は、バネ部材49を介して凹部38の底面39に固定されている。バネ部材49は、例えばコイルスプリングである。
【0056】
図5に示されるように、出没部材48は、バネ部材49以外からの外力が作用していない通常状態においては、糸貯留ローラ32の外周面32aに沿う表面51を形成している。表面51は、円筒部34の外周面34aに対応する表面51aと、拡径部35の外周面35aに対応する表面51bとにより構成されている。すなわち、表面51aは、外周面34aに沿って配置された場合に外周面34aと同一周面上に位置するように、外周面34aと同一の曲率を有する周面とされている。同様に、表面51bは、外周面35aに沿って配置された場合に外周面35aと同一周面上に位置するように、外周面35aと同一の曲率を有する周面とされている。また、
図6に示されるように、出没部材48は、底面39側に押圧されてバネ部材49が縮むことにより、表面51が凹部38内に入り込むように没入することが可能となっている。
【0057】
糸通し部60は、筒状のノズル61を有している。
図3〜
図6に示されるように、ノズル61には、その長手方向に沿ってスリット61sが設けられている。ノズル61の一端部61aは、その一部が長手方向に突出した段差(段付き)形状を形成する。換言すれば、一端部61aは、周方向における一部が切り欠かれたような形状をなしている。切り欠き部分は、スリット61sと連続するように設けられている。ここでの一端部61aにおいては、長手方向に垂直な断面形状が半円弧状をなしている。
【0058】
ノズル61は、一端部61aが糸貯留ローラ32の先端側の外周面35aと対向するように配置されている。
図6に示されるように、ノズル61は、凹部38内における巻取部8側(先端側)から給糸部6側(基端側)に圧縮空気を吹き入れる。これにより、ノズル61は、他端部61bに導入された糸20の糸端を一端部61aから吹き飛ばし、凹部38の第2部分38bに吹き入れる。具体的には、ノズル61は、パッケージ30に巻き取られた糸20の糸端である第1糸端を、凹部38内における巻取部8側から給糸部6側に通るように、凹部38の第2部分38bに吹き入れる。
【0059】
図3に示されるように、ノズル61は、配管を介して圧縮空気源53と接続されており、ノズル61と圧縮空気源53との間には電磁弁54が設けられている。電磁弁54は、制御部25と電気的に接続されている。電磁弁54が開口されると、圧縮空気源53から供給された圧縮空気により、ノズル61内に他端部61bから一端部61aに向かう空気流が形成される。
【0060】
ワインダユニット2は、
図4中に矢印Aで示される方向にノズル61を移動させ、糸貯留ローラ32に対して進退させる糸通し部駆動部62を更に備えている。糸通し部駆動部62は、例えばエアシリンダ又はモータ等のアクチュエータを用いたスライド機構等により構成されている。糸通し部駆動部62は、制御部25と電気的に接続されている。
【0061】
糸通し部駆動部62によって駆動されることにより、ノズル61は、一端部61aが外周面35aから離間する第1の位置(
図5に示される位置)と、一端部61aが外周面35aよりも糸貯留ローラ32の回転軸R側に入り込む第2の位置(
図6に示される位置)との間で移動する。
図5及び
図6に示されるように、糸貯留ローラ32が所定の回転位置(出没部材48と一端部61aとが対向する位置)に位置する状態においてノズル61が第1の位置から第2の位置に移動することにより、一端部61aが出没部材48を底面39側に押圧して凹部38内に没入させる。つまり、一端部61aは、出没部材48を押圧して凹部38内に没入させる押圧部としても機能する。
【0062】
第2吹送り部41は、ガイド部材42の吸込口42aが糸貯留ローラ32の外周面32aと対向するように配置されている。
図6に示されるように、第2吹送り部41は、糸通し部60により凹部38に吹き入れられた第1糸端を吸込口42aから吸い込むことによって捕捉し、捕捉した第1糸端を吹出口から糸案内部材43に向けて吹き飛ばすことによって糸継装置13側へ吹き送る。
【0063】
図3に示されるように、ガイド部材42は、配管を介して圧縮空気源53と接続されており、ガイド部材42と圧縮空気源52との間には、電磁弁55が設けられている。電磁弁55は、制御部25と電気的に接続されている。電磁弁55が開口されると、圧縮空気源53から供給された圧縮空気により、ガイド部材42内に吸込口42aから吹出口に向かう空気流が形成される。
【0064】
図4に示されるように、糸通し部60及び第2吹送り部41の近傍には、照明部65が設けられている。照明部65は、例えばLEDであり、点灯時には少なくとも糸貯留ローラ32及び糸通し部60の周辺を照らす。照明部65は、制御部25と電気的に接続されている。
【0065】
次に、
図7を参照して、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の処理フローを説明する。本実施形態のワインダユニット2では、糸継装置13が給糸部6と糸貯留部18との間に設けられ、糸貯留部18と巻取部8との間には設けられていない。そのような構成において、例えば糸巻取作業中に糸貯留部18と巻取部8との間で糸20が切れてしまった場合(上糸切れ時)等には、糸貯留ローラ32から糸20を取り除いた後、パッケージ30から引き出された糸20と給糸部6側の糸20とを糸継装置13により糸継ぎさせ、次いで、糸貯留ローラ32に巻き付けることが求められる。以下では、そのような糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業(糸掛け作業)について説明する。
【0066】
糸巻取作業中に糸貯留部18と巻取部8との間で糸20が切れてしまった場合、例えば、糸貯留部18と巻取部8との間に設けられた図略の糸監視センサ(例えば、糸20のトラバースを監視するトラバースセンサ)により異常が検出される。糸監視センサにより異常が検出された場合、制御部25は、ワインダユニット2による糸20の巻取を停止させる。続いて、カッタ16により糸20を切断させると共に、第1捕捉部14により、カッタ16が切断した糸20の給糸ボビン21側の糸端(第2糸端)を吸引して捕捉させる(ステップS1)。
【0067】
続いて、作業者が、糸貯留ローラ32に巻き付けられた糸20を凹部38に沿って切断し、糸貯留ローラ32から糸20を取り除く(ステップS2)。本実施形態では、糸貯留ローラ32の外周面32aに凹部38が設けられているため、例えばハサミ等を凹部38内に進入させるようにして糸20を切断することができる。したがって、糸貯留ローラ32からの糸20の除去が容易化されると共に、刃によって糸貯留ローラ32の外周面32aを傷つけてしまうことが抑制されている。
【0068】
なお、ステップS2においては、糸貯留ローラ32に巻き付けられた糸20を切断するための切断装置をワインダユニット2が更に備える場合、作業者が糸20を切断することに代えて、制御部25が当該切断装置を制御することにより、糸貯留ローラ32に巻き付けられた糸20が自動的に切断されて糸貯留ローラ32から取り除かれてもよい。この場合、ステップS2に続いて以下のステップS3の処理を自動的に実行してもよい。
【0069】
続いて、作業者が図略のスイッチを操作する。当該スイッチの操作を受け付けると、制御部25は、糸通し部60が第1糸端を凹部38に吹き入れ可能となる所定の回転位置まで、ローラ駆動モータ33により糸貯留ローラ32を回転させる(ステップS3)。より具体的には、磁気センサ36bがマグネット36aを検出する回転位置まで糸貯留ローラ32を回転させる。これにより、
図4〜
図6に示されるように、ノズル61の一端部61aが出没部材48の表面51bと対向し、かつガイド部材42の吸込口42aが凹部38と対向した状態となる。
【0070】
続いて、制御部25は、糸通し部駆動部62により、糸通し部60のノズル61を第1位置から第2位置まで前進させて糸貯留ローラ32に接近させ、一端部61aにより出没部材48を押圧させて凹部38内に没入させる(ステップS4)。続いて、制御部25は、電磁弁54を開かせることにより、糸通し部60のノズル61内に他端部61bから一端部61aに向かう空気流を形成させる(ステップS5)。続いて、制御部25は、電磁弁55を開かせることにより、第2吹送り部41のガイド部材42内に吸込口42aから吹出口に向かう空気流を形成させる(ステップS6)。
【0071】
続いて、制御部25は、照明部65を点灯させる(ステップS7)。これにより、凹部38及びノズル61の周辺が照らされる。なお、ステップS4〜S7の順序は適宜変更されてよく、ステップS4〜S7の少なくとも一部が同時に行われてもよい。
【0072】
続いて、作業者が、パッケージ30から糸20を引き出し、引き出した糸20の糸端である第1糸端をノズル61の他端部61bに導入する(ステップS8)。本実施形態では、照明部65によって凹部38及びノズル61の周辺が照らされているため、第1糸端を他端部61bに導入する作業が容易化されている。
【0073】
ステップS8で他端部61bに第1糸端が導入されると、ノズル61の一端部61aから第1糸端が凹部38に吹き入れられる(ステップS9)。これにより、第1糸端が凹部38内における巻取部8側から給糸部6側に通る。ステップS9で給糸部6側に通った第1糸端は、第2吹送り部41により吸込口42aに吸い込まれて捕捉される(ステップS10)。
【0074】
このとき、凹部38内には巻取部8側から給糸部6側に向かう空気流が形成されており、当該空気流により糸20に力が作用し、
図6に破線で示されるように、糸20がノズル61のスリット61sから抜け出ることとなる。ここで、本実施形態では、ノズル61の一端部61aが段差形状を形成しており、糸20の逃げとなる部分が一端部61aに存在するため、一端部61aが出没部材48に接触した状態でも糸20がスリット61sから抜け出し易くなっている。これにより、糸20がスリット61s内でばたついてリング部材46に絡まってしまうことを抑制できる。
【0075】
なお、ステップS8においては、第1糸端を他端部61bに導入するための導入装置をワインダユニット2が更に備える場合、作業者が第1糸端を導入することに代えて、制御部25が当該導入装置を制御することにより、第1糸端が他端部61bに自動的に導入されてもよい。
【0076】
続いて、作業者が、第1糸端が第2吹送り部41によって捕捉されていることを目視で確認し、第1糸端が第2吹送り部41によって捕捉されている場合、図略のスイッチを再度操作する。当該スイッチの操作を受け付けると、制御部25は、綾振ドラム24を糸巻取時とは逆回転させて糸20をパッケージ30から引き出しつつ、第2吹送り部41により、第1糸端を糸継装置13側へ吹き送らせる(ステップS11)。なお、作業者による目視での確認及びスイッチ操作は省略されてもよく、ステップS10に続いてステップS11の処理が自動的に実行されてもよい。
【0077】
続いて、制御部25は、糸継装置13により、第1糸端と第2糸端とを糸継ぎさせる(ステップS12)。なお、ステップS12の処理を実行する前に、制御部25は、電磁弁54を閉口させ、ノズル61への圧縮空気の供給を遮断させると共に、電磁弁55を閉口させ、ガイド部材42への圧縮空気の供給を遮断させておく。
【0078】
その後、制御部25は、糸通し部駆動部62によりノズル61を第2位置から第1位置まで後退させて糸貯留ローラ32から離間させると共に、糸貯留ローラ32を正回転させて糸貯留ローラ32への糸20の貯留を開始させる。そして、ワインダユニット2による糸20の巻取を再開させる。
【0079】
以上の通り、ワインダユニット2では、糸貯留ローラ32の外周面32aにおいて、リング部材46の取付位置を回転軸Rに沿う方向に跨ぐ領域には、凹部38が設けられている。このため、凹部38内における回転軸Rに沿う方向の一方側(先端側)から他方側(基端側)に糸端を通すことで、リング部材46の径方向内側に糸端を容易に通すことができる。したがって、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業を簡易化することが可能となる。
【0080】
ワインダユニット2では、凹部38が回転軸Rに沿う方向に延びる溝部を構成していることから、リング部材46の径方向内側に糸端を通し易く、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業を更に簡易化することが可能となっている。
【0081】
ワインダユニット2では、凹部38内においてリング部材46の取付位置に対応する位置には、糸貯留ローラ32の外周面32aに沿う表面51を形成し、かつ表面51が凹部38内に入り込むように没入可能な出没部材48が設けられている。このため、糸巻取時には、出没部材48により糸貯留ローラ32の外周面32aに沿う表面51が形成されるため、糸貯留ローラ32から引き出される糸20に対してリング部材46により付加される張力を周方向において均一化できる。また、出没部材48は当該表面51が凹部38内に入り込むように没入可能となっていることから、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時には、出没部材48を没入させておくことで、凹部38を介してリング部材46の径方向内側に糸端を容易に通すことができる。
【0082】
ワインダユニット2では、糸貯留ローラ32の外周面32aは、糸20が巻き付けられて貯留される貯留領域R1と、リング部材46が巻き付けられる解舒領域R2と、を有し、凹部38は、貯留領域R1と解舒領域R2とにわたって設けられている。このため、凹部38内に糸端を通すことで、糸端を糸貯留ローラ32の上流側にまで案内することができる。これにより、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業を一層簡易化することができる。
【0083】
ワインダユニット2では、リング部材46は、弾性を有して拡径可能に構成されており、拡径されていない状態におけるリング部材46の周長は、解舒領域R2の周長よりも小さくなっている。そして、リング部材46は、拡径された状態で糸貯留ローラ32に巻き付けられている。これにより、解舒される糸20に所定のテンションを付与することができる。
【0084】
ワインダユニット2は、凹部38内における巻取部8側から給糸部6側に空気を吹き入れる糸通し部60を更に備えている。このため、糸通し部60によって凹部38に空気を吹き入れることで凹部38に糸端を吹き入れ、リング部材46の径方向内側に糸端を通すことができる。これにより、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業を一層簡易化することができる。
【0085】
ワインダユニット2では、糸通し部60は、空気を凹部38に吹き入れる際に出没部材48を押圧して凹部38内に没入させる押圧部として、ノズル61の一端部61aを有している。このため、例えば作業者が手で押圧して出没部材48を凹部38内に没入させる必要がなく、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業をより一層簡易化することができる。
【0086】
ワインダユニット2では、制御部25は、糸通し部60が空気を凹部38に吹き入れ可能となる回転位置まで、ローラ駆動モータ33により糸貯留ローラ32を回転させ(ステップS3)、糸通し部駆動部62により糸通し部60を糸貯留ローラ32に接近させ、ノズル61の一端部61aにより出没部材48を押圧させて凹部38内に没入させ(ステップS4)、糸通し部60により空気を凹部38に吹き入れさせる(ステップS9)。このように、糸通し部60、ローラ駆動モータ(ローラ駆動部)33、及び糸通し部駆動部62を協働させて、リング部材46の径方向内側に第1糸端を通す作業を自動化できる。したがって、糸貯留ローラ32に対する糸の巻付開始時の作業をより一層簡易化することができる。
【0087】
ワインダユニット2では、制御部25は、糸通し部60が第1糸端を凹部38に吹き入れた場合に、第2吹送り部41により第1糸端を捕捉させて送らせ(ステップS10,S11)、糸継装置13により、第1糸端と給糸部6側の糸20の糸端である第2糸端とを糸継させる(ステップS12)。このように、糸継装置13及び第2吹送り部41を協働させて、吹き入れられた第1糸端と第2糸端とを糸継ぎする作業を自動化できる。したがって、糸貯留ローラ32に対する糸20の巻付開始時の作業をより一層簡易化することができる。
【0088】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。
【0089】
上記実施形態では、糸巻取作業中に糸貯留部18と巻取部8との間で糸20が切れてしまった場合を例に挙げて説明したが、糸20の種類を変更するとき(仕掛け替え時)にも適用できる。すなわち、仕掛け替え時には、パッケージ30に糸20は全く巻き取られておらず、糸貯留ローラ32にも糸20が全く巻き付けられていない状態となっている。この状態から、作業者が、例えば給糸ボビン21からの糸20をパッケージ30に数周ほど直接巻き付けた後、パッケージ30と給糸ボビン21との間で糸20を切断する。次いで上記ステップS3〜S12の処理を行うことで、糸継装置13により、パッケージ30側の糸20の糸端である第1糸端と、給糸部6側の糸20の糸端である第2糸端とを糸継ぎさせることができる。なお、この場合、第2糸端は、補助吹送り部28、第1吹送り部11、及び第1捕捉部14等が連動して動作することにより、上記ステップS3〜S12の処理と並行して、又はそれらの処理よりも前に、第1捕捉部14によって捕捉される。
【0090】
上記実施形態では、第2吹送り部41の代わりに、第1糸端をニップした(挟んだ)状態で第2捕捉部12まで移動することで送る移動式の糸送り部を備えてもよい。
【0091】
上記実施形態では、給糸部6をトレイ搬送式とする構成に限らず、マガジン式のボビン供給装置から新しい給糸ボビン21の供給を受けるように構成してもよい。この構成において、ボビン供給装置が給糸部6に新しい給糸ボビン21を供給するときに、当該ボビン供給装置が当該給糸ボビン21から糸端を引き出して上流糸吹き送り部11に受け渡すようにしてもよい。この場合、補助吹き送り部28を省略することができる。
【0092】
上記実施形態では、巻取部8の一例として、綾振ドラム24による糸20のトラバースを示したが、これには限定されない。糸20のトラバース方法として、アーム式やベルト式のトラバース機構を採用してもよい。上記実施形態では、チーズ形状のパッケージ30を巻き取ってもよいし、コーン形状のパッケージ30を巻き取ってもよい。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【0093】
上記実施形態では、凹部38は、糸貯留ローラ32の一端から他端まで回転軸Rに沿う方向に延びる溝部を構成していたが、回転軸Rと交差する方向に延びていてもよく、糸貯留ローラ32の中間部に設けられていてもよい。また、凹部38は、糸貯留ローラ32の外周面32aにおける円形状等の領域に設けられていてもよい。要は、リング部材46の取付位置を回転軸Rに沿う方向に跨ぐ領域に設けられていればよい。
【0094】
上記実施形態では、出没部材48は、バネ部材49を介して凹部38の底面39に固定されることで、表面51が凹部38内に入り込むように没入可能となっていたが、他の構成により、表面51が凹部38内に入り込むように没入可能となっていてもよい。例えば、出没部材48が弾性を有する材料により形成してもよい。
【0095】
上記実施形態では、ノズル61の一端部61aによって出没部材48を押圧して凹部38内に没入させたが、例えば、出没部材48を押圧して凹部38内に没入させるための他の構成を備えていてもよいし、作業者が手で押圧することによって出没部材48を凹部38内に没入させてもよい。
【0096】
上記実施形態では、糸通し部60を備えていなくてもよく、この場合、例えば、作業者が手作業で凹部38内に第1糸端を通すことにより、リング部材46の径方向内側に第1糸端を通せばよい。この場合であっても、凹部38が設けられているため、従来の構成と比較して、リング部材46の径方向内側に第1糸端を容易に通すことができる。また、出没部材48が設けられていなくてもよい。
【0097】
上記実施形態では、糸端を糸貯留ローラ32の先端側から基端側に通す場合を例に挙げて説明したが、ワインダユニット2の構成によっては、糸端を糸貯留ローラ32の基端側から先端側に通すことが求められる場合もある。本発明によれば、そのような場合にも、凹部38内における糸貯留ローラ32の基端側から先端側に通すことで、リング部材46の径方向内側に糸端を容易に通すことができる。