【解決手段】下記式で表される少なくとも2種類の異なる単位から成るコポリアミドであって、以下の特性を有する、コポリアミド。A/X.T〔Aはアミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位又は式(C
ジアミン中のCの数;xは9〜36の整数〕−アミンから成る分子鎖端の含有量が、20μeq/g以上、−酸から成る分子鎖端の含有量が、100μeq/g以下、−非反応性の分子鎖端の含有量が、20μeq/g以上。
アミンから成る分子鎖端の含有量が、25から100μeq/gの間にあり、好ましくは30から58μeq/gの間にあることを特徴とする請求項1に記載のコポリアミド。
酸から成る分子鎖端の含有量が、2から80μeq/gの間にあり、好ましくは15から50μeq/gの間にあることを特徴とする請求項1または2に記載のコポリアミド。
非反応性の分子鎖端の含有量が、30μeq/g以上であり、好ましくは35から200μeq/gの間にあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコポリアミド。
単位Aが、10−アミノウンデカン酸(11と略記)、11−アミノウンデカン酸(11と略記)、12−アミノデカン酸(12と略記)およびラウリルラクタム(L12と略記)から選ばれるモノマーから得られる単位を表すことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコポリアミド。
式11/10.T、12/10.T、11/10.T/12、11/10.T/6、12/10.T/6、11/10.T/10.I、11/10.T/10.6、12/10.T/10.I、および12/10.T/10.6で表されるものであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のコポリアミド。
請求項1から9のいずれかに記載のコポリマーを製造する方法であって、請求項1に記載されている単位AおよびXを生じるモノマーならびに随時的に請求項5に記載の単位Zを生じるモノマーから成るコモノマーと少なくとも1種類の連鎖停止剤との重縮合工程を含むことを特徴とする方法。
充填剤、ガラス繊維、染料、安定剤(特にUV安定剤)、可塑剤(軟化剤)、耐衝撃性改良剤、表面活性剤、顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤、天然ワックス、ポリオレフィンおよびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種類の添加物を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の組成物。
請求項1から9のいずれかに記載のコポリアミドまたは請求項11から13のいずれかに記載の組成物の使用であって、粉状物、粒状物、単層構造、または多層構造の少なくとも1つの層、を形成することによる使用。
粉状物、粒状物、単層構造、または多層構造が、繊維の形状、フィルムの形状、パイプの形状、フィラメントの形状、成形品の形状、放射溶融または放射焼結による粉体の集塊技術によって得られる三次元物品の形状、中空品の形状または射出成形品の形状で供されることを特徴とする請求項14に記載の使用。
塗料;コーティング;耐食性組成物;放射溶融または放射焼結により粉体を集塊して物品を製造する技術;製紙;電気泳動ゲル;多層コンポジット材料;または、包装、玩具、繊維、自動車、エレクトロニクス、化粧品、薬品および香水の産業分野における添加物および/または充填剤としての請求項14または15に記載の使用。
流体の輸送、自動車、ボンネットの下方、諸産業分野および/またはエンジン部位における金属部品の熱的抵抗を向上させる被覆の添加物としての請求項16に記載の使用。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の他の特徴、態様および効果は、以下の説明および実施例から、さらに明らかになるであろう。
本発明は、第一の態様として、下記の一般式で表される少なくとも2種類の異なる単位(ユニット:反復単位)から成るコポリアミドであって、
A/X.T
〔上記式中、Aは、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位、および式(C
aジアミン)・(C
b二塩基酸)で表される単位から選ばれ、ここで、aはジアミン中の炭素原子の数を表し、bは二塩基酸中の炭素原子の数を表し、aおよびbは、各々、4から36の間にあり、好ましくは9から18の間にあり、
X.Tは、C
xジアミンとテレフタール酸の重縮合から得られる単位を表し、ここで、xはC
xジアミン中の炭素原子の数を表し、xは、9から36の間にあり、好ましくは、10から18の間にある。〕以下の特性、すなわち、
−アミンから成る分子鎖端の含有量が、20μeq/g以上であり、
−酸から成る分子鎖端の含有量が、100μeq/g以下であり、
−非反応性の分子鎖端の含有量が、20μeq/g以上であること、
を特徴とするコポリアミドに関する。
【0017】
前述の説明および後述の説明において「〜の間」とは、上限および下限の値を含むものとする。
本発明者の見出した驚くべき事実によれば、反応性官能基の量と非反応性官能基の量を正確に制御することが必要である。
【0018】
アミン官能基、酸官能基および非反応性官能基のそれぞれから成る分子鎖端の量は、当該技術分野の当業者に知られた手法に従いNMR(核磁気共鳴)により測定される。
アミンから成る分子鎖端の含有量は、好ましくは、25から100μeq/gの間にあり、特に好ましくは30から58μeq/gの間にある。
酸から成る分子鎖端の含有量は、好ましくは2から80μeq/gの間にあり、特に好ましくは15から50μeq/gの間にある。
非反応性の分子鎖端の含有量は、好ましくは30μeq/g以上であり、特に好ましくは35から200μeq/gの間にある。
【0019】
Aがアミノ酸を表す場合、当該アミノ酸は、9−アミノノナン酸(A=9)、10−アミノウンデカン酸(A=11)、アミノ−11−ウンデカン酸(A=11)、12−アミノドデカン酸(A=12)および11−アミノウンデカン酸(A=11)、ならびにそれらの誘導体、特にN−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸から選ぶことができる。
【0020】
単一種類のアミノ酸の代わりに、2種類、3種類またはそれ以上のアミノ酸の組合せも可能であるが、その場合は、コポリアミドは、それぞれ、3種類、4種類またはそれ以上の単位から成ることになる。
【0021】
Aがラクタムを表す場合、当該ラクタムは、ピロリジノン、2−ピペリジノン、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウリルラクタム(A=12)から選ぶことができる。
【0022】
好ましくは、Aは、10−アミノデカン酸(10と略記する)、11−アミノウンデカン酸(11と略記)、12−アミノドデカン酸(12と略記)およびラウリルラクタム(L12と略記)から選ばれるモノマーから得られる単位を示す。
【0023】
単位Aが式(C
aジアミン)・(C
b・二塩基酸)で表される単位である場合、当該(C
aジアミン)単位は、線状または分枝状の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選ばれる。
【0024】
ジアミンが脂肪族で線状であり、式H
2N−(CH
2)
a−NH
2で表される場合、当該(C
aジアミン)モノマーとして好ましいのは、ブタンジアミン(a=4)、ペンタンジアミン(a=5)、ヘキサンジアミン(a=6)、ヘプタンジアミン(a=7)、オクタンジアミン(a=8)、ノナンジアミン(a=9)、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)、トリデカンジアミン(a=13)、テトラデカンジアミン(a=14)、ヘキサデカンジアミン(a=16)、オクタデカンジアミン(a=18)、オクタデセンジアミン(a=18)、エイコサンジアミン(a=20)、ドコサンジアミン(a=22)および脂肪酸由来のジアミンから選ばれるものである。
【0025】
ジアミンが脂肪族で分枝状の場合、当該ジアミンは、その主鎖状に1ヶまたはそれ以上のメチルまたはエチル置換基を有していてもよい。例えば、好ましい(C
aジアミン)モノマーとして、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、または2−メチル−1,8−オクタジアミンが挙げられる。
【0026】
(C
aジアミン)モノマーが、脂環式の場合、当該モノマーは、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACAまたはMACM)、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選ばれる。さらに、当該ジアミンは、次のような炭素含有主鎖(バックボーン)を有することができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。このような脂環式ジアミンは、刊行物「Cycloaliphatic Amines (Encyclopaedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Edition (1992), pp. 386-405)」に記載されているが、それらに限定されるものではない。
【0027】
(C
aジアミン)モノマーがアルキル芳香族の場合、当該モノマーは、1,3−キシレンジアミンおよび1,4−キシレンジアミンから選ばれる。
(C
b二塩基酸)単位は、線状または分枝状の脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸および芳香族二塩基酸から選ばれる。
(C
b二塩基酸)モノマーが脂肪族で線状の場合、当該モノマーは、コハク酸(b=4)、ペンタンジオール酸(b=5)、アジピン酸(b=6)、ヘプタン二酸(b=7)、オクタン二酸(b=8)、アゼライン酸(b=9)、セバチン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b=11)、ドデカン二酸(b=12)、ブラシル酸(b=13)、テトラデカン二酸(b=14)、ヘキサデカン二酸(b=16)、オクタデカン二酸(b=18)、オクタデセン二酸(b=18)、エイコサン二酸(b=20)、ドコサン二酸(b=22)、および36ヶの炭素原子を有する脂肪酸ダイマーから選ばれる。
【0028】
上記の脂肪酸ダイマーは、長い炭化水素鎖を有する不飽和一塩基酸(例えば、リノール酸やオレイン酸など)をオリゴマー化または重合することにより得られる二量化脂肪酸であり、特にEP0471566に記載されているようなものである。
【0029】
二塩基酸が脂環式である場合、当該二塩基酸は以下のような炭素含有主鎖を有するものである:すなわち、ノルボニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0030】
二塩基酸が芳香族である場合、当該二塩基酸は、テレフタール酸(Tと略記)、イソフタール酸(Iと略記)およびナフタレン二塩基酸から選ばれる。
単位Aが、式(C
aジアミン)・(C
b二塩基酸)で表される場合、C
b二塩基酸は、線状または分枝状脂肪族二塩基酸または脂環式二塩基酸であることが好ましい。
【0031】
単位Xは、所定の数の炭素原子(xで表す)、すなわち、9から36の間、好ましくは、10から18の間、特に好ましくは10ヶの炭素原子を有するジアミンから得られる単位を表す。
【0032】
このジアミンは、線状または分枝状の脂肪族、脂環式またはアルキル芳香族ジアミンである。
ジアミンが脂肪族で分枝状の場合、当該ジアミンは、主鎖に1ヶまたはそれ以上のメチルまたはエチル置換基を有していてもよい。例えば、好ましいものとして、当該ジアミンは、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ばれる。
【0033】
ジアミンが脂肪族で線状であり、式H
2N−(CH
2)
x−NH
2で表される場合、好ましいものとして、ノナンジアミン(x=9)、デカンジアミン(x=10)、ウンデカンジアミン(x=11)、ドデカンジアミン(x=12)、トリデカンジアミン(x=13)、テトラデカンジアミン(x=14)、ヘキサデカンジアミン(x=16)、オクタデカンジアミン(x=18)、オクタデセンジアミン(x=18)、エイコサンジアミン(x=20)、ドコサンジアミン(x=22)、および脂肪酸由来のジアミンから選ばれる。
単位Xは、1,10−デカンジアミン(x=10)から選ばれる単位が好ましい。
【0034】
各種の組合せの中で、次のコポリアミドが特に優れている:すなわち、11/10.T、12/10.T、6.12/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.Tおよび12.12/10.Tから選ばれる式のいずれかで表されるコポリアミドである。
Xで表されるジアミンとTで表されるテレフタール酸のモル比は、化学量論比とすることが好ましい。
単位X.Tに対する単位Aのモル比は、0.05から0.5の間にすることが好ましく、特に0.1から0.4の間にすることが好ましい。
【0035】
本発明の第二の態様に従えば、コポリアミドは、2種類の異なる単位のみから成る、すなわち、単位Aと単位X.Tのみから成る、好ましくは単位10.Tから成るコポリマーである。
【0036】
本発明の第三の態様に従えば、コポリアミドは、下記の一般式で表される少なくとも3種類の異なる単位(ユニット:反復単位)から成る:
A/X.T/Z
上記式中、AおよびX.Tは上記で定義したものと同じものを意味する。
Zは、アミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位、または、式(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)で表される単位から選ばれ、ここで、dはジアミン中の炭素原子の数を表し、eは二塩基酸中の炭素原子の数を表し、dおよびeは、各々、4から36の間にあり、好ましくは9から18の間にある。
【0037】
Zがアミノ酸から得られる単位を表す場合、当該アミノ酸は、9−アミノノナン酸(z=9)、10−アミノデカン酸(z=10)、10−アミノウンデカン酸(11と略記)、12−アミノドデカン酸(z=12)、および11−アミノウンデカン酸(z=11)、ならびに、それらの誘導体、特にN−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸から選ぶことができる。
【0038】
単一種類のアミノ酸の代わりに、2種類、3種類またはそれ以上のアミノ酸の組合せも可能であり、その場合は、コポリアミドは、それぞれ、4種類、5種類またはそれ以上の単位から成ることになる。
【0039】
Zがラクタムから得られる単位を表す場合、当該ラクタムは、ピロリジノン、2−ピペリジノン、カプロラクタム(z=6)、エナントラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウリルラクタム(z=12)から選ぶことができる。
【0040】
単一種類のラクタムの代わりに、2種類、3種類もしくはそれ以上のラクタムの組合せ、または、1種類もしくはそれ以上のラクタムの組合せ、または、1種類もしくはそれ以上のアミノ酸と1種類もしくはそれ以上のラクタムの組合せも可能であり、その場合は、得られるコポリアミドは、それぞれ、4種類、5種類またはそれ以上の単位から成る。
【0041】
可能な各種の組合せの中で、次のコポリアミドが特に優れている:すなわち、11/10.T/12、11/10.T/6および12/10.T/6から選ばれる式のいずれかで表されるコポリアミドである。
【0042】
単位Zがラクタムまたはアミノ酸から得られる単位であり単位Aと全く同じである特別な場合は除外されることは勿論である。この特別な場合、当該ポリアミドは、本発明の第一の態様において既に考察されていたものであるからである。
【0043】
単位Zが、式(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)で表される単位である場合、当該(C
dジアミン)単位は、線状または分枝状の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選ばれる。
【0044】
ジアミンが脂肪族で線状であり、式H
2N−(CH
2)
a−HN
2で表される場合、当該(C
dジアミン)モノマーは、ブタンジアミン(d=4)、ペンタンジアミン(d=5)、ヘキサンジアミン(d=6)、ヘプタンジアミン(d=7)、オクタンジアミン(d=8)、ノナンジアミン(d=9)、デカンジアミン(d=10)、ウンデカンジアミン(d=11)、ドデカンジアミン(d=12)、トリデカンジアミン(d=13)、テトラデカンジアミン(d=14)、ヘキサデカンジアミン(d=16)、オクタデカンジアミン(d=18)、オクタデセンジアミン(d=18)、エイコサンジアミン(d=20)、ドコサンジアミン(d=22)、および脂肪酸から得られるジアミンから選ばれる。
【0045】
ジアミンが脂肪族で分枝状である場合、当該ジアミンは、その主鎖に1ヶまたはそれ以上の置換基を有することができる。例えば、当該(C
dジアミン)モノマーは、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選ぶのが好ましい。
【0046】
(C
dジアミン)モノマーが、脂環式の場合、当該モノマーは、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACAまたはMACM)、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選ばれる。さらに、当該ジアミンは、次のような炭素含有主鎖(バックボーン)を有することができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。このような脂環式ジアミンは、刊行物「Cycloaliphatic Amines (Encyclopaedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Editon (1992), pp.386-405)」に記載されているが、それらに限定されるものではない。
【0047】
(C
dジアミン)モノマーがアルキル芳香族の場合、当該モノマーは、1,3−キシレンジアミンおよび1,4−キシレンジアミンから選ばれる。
(C
e二塩基酸)単位は、線状または分枝状の脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸および芳香族二塩基酸から選ばれる。
【0048】
(C
e二塩基酸)モノマーが脂肪族で線状の場合、当該モノマーは、コハク酸(e=4)、ペンタン二酸(e=5)、アジピン酸(e=6)、ヘプタン二酸(e=7)、オクタン二酸(e=8)、アゼライン酸(e=9)、セバチン酸(e=10)、ウンデカン二酸e=11)、ドデカン二酸(e=12)、ブラシル酸(e=13)、テトラデカン二酸(e=14)、ヘキサデカン二酸(e=16)、オクタデカン二酸(e=18)、オクタデセン二酸(e=18)、エイコサン二酸(e=20)、ドコサン二酸(e=22)、および36ヶの炭素原子を有する脂肪酸ダイマーから選ばれる。
【0049】
上記の脂肪酸ダイマーは、長い炭化水素鎖を有する不飽和一塩基酸(例えば、リノール酸やオレイン酸など)をオリゴマー化または重合することにより得られる二量化脂肪酸であり、特にEP0471566に記載されているようなものである。
【0050】
二塩基酸が脂環式である場合、当該二塩基酸は以下のような炭素含有主鎖を有するものである:すなわち、ノボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0051】
二塩基酸が芳香族である場合、当該二塩基酸は、テレフタール酸(Tと略記)、イソフタール酸(Iと略記)およびナフタレン二塩基酸から選ばれる。
Aが(C
aジアミン)・(C
d二塩基酸)であることを意味し、(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)単位が単位10.Tまたは単位Aと全く同じである特別な場合、当該ポリイミドは、本発明の第二の態様において既に考察されていたものであるからである。
【0052】
A/10.T/Zコポリアミド〔Zは(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)単位である〕として可能なあらゆる組合せのうち、11・10.T/10.I、12・10.T/10.I、10.10/10.T/10.I、10.6/10.T/10.Iおよび10.14/10.T/10.Iから選ばれる式で表されるコポリアミドが特に好ましい。
【0053】
Zが(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)単位を表す場合、当該(C
e二塩基酸)モノマーは、脂肪族で線状のものが好ましい。特に、11/10.T/10.6および12/10.T/10.6から選ばれる式で表されるコポリアミドが好ましい。
【0054】
本発明の好ましい例として、ターポリマー中の単位10.Tに対する単位AとZの合計の比(すなわち、(A+Z)/10.T)は0.1から1の間にあり、特に0.2から0.7の間にあるのが好ましい。
【0055】
単一種類の(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)の代わりに、2種類、3種類もしくはそれ以上の(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)の組合せ、または、1種類もしくはそれ以上のアミノ酸および/もしくは1種類もしくはそれ以上のラクタムと1種類もしくはそれ以上(C
dジアミン)・(C
e二塩基酸)単位との組合せも可能であり、その場合は、得られるコポリアミドは、それぞれ、4種類、5種類またはそれ以上の単位から成る。
【0056】
本発明に従うコポリアミドは、再生可能な原料に由来するモノマー、すなわち、バイオマスに由来しADTM D6866に規定されている有機炭素から成るものとすることができる。このような再生可能な原料に由来するものとしては、1,10−デカンジアミン、または、入手できれば、11−アミノウンデカン酸、ならびに既述したような脂肪族で線状のジアミンおよび二塩基酸が挙げられる。
【0057】
N−ヘプチル−11−アミノ−ウンデカン酸、脂肪酸ジアミンおよび脂環式ジアミンは別として、本発明で用いられるコポリマーまたは原料は、現実には線状であるが、全体的または部分的に分枝状であったり(例えば、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン)、あるいは部分的に不飽和であってもよい。
C
18ジカルボン酸としては、オクタデカンジオール酸(これは飽和の酸である)、またはオクタデセンジオール酸(1ヶ所不飽和である)のいずれでもよい。
【0058】
本発明において、連鎖停止剤とは、ポリアミド中のアミンおよび/またはカルボン酸から成る末端官能基と反応することにより、高分子の末端の反応性、特に重縮合を停止することのできる化合物である。
停止反応は次のように表すことができる。
ポリアミド−CO
2H+R−NH
2 → ポリアミド−CO−NH−R+H
2O
ポリアミド−NH
2+R−CO
2H → ポリアミド−NH−CO−R+H
2O
【0059】
かくして、アミンから成る末端官能基と反応するのに適した連鎖停止剤としては、モノカルボン酸、酸無水物(例えば、無水フタール酸)、モノハロゲン化酸、モノエステルまたはモノイソシアネートを用いることができる。
【0060】
好ましくは、モノカルボン酸を用いる。当該モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸(バレリアン酸)、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバル酸、およびイソ酪酸のような脂肪族モノカルボン酸;トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、およびフェニル酢酸のような芳香族モノカルボン酸;ならびにそれらの組合せを使用することができる。好ましい化合物は、脂肪族の酸であり、特に、酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸(バレリアン酸)、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸である。
【0061】
酸から成る末端官能基と反応する連鎖停止剤の好適なものとして、モノアミン、モノアルコールまたはモノイソシアネートが挙げられる。
好ましくは、モノアミンが用いられる。当該アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリンアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンジプロピルアミン、およびジブチルアミンのような脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミンおよびジシクロヘキシルアミンのような脂環式アミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミンおよびナフチルアミンのような芳香族;ならびに、それらの組合せから選ぶことができる。
【0062】
その中でも好ましい化合物は、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミンおよびアニリンである。
【0063】
さらに、酸から成る末端およびアミンから成る末端を、次の反応式に従い、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム)のような無機塩基および無機酸(例えば、HCl、HNO
3およびH
2SO
4)とそれぞれ、反応させることもできる。
ポリアミド−CO
2H+KOH → ポリアミド−COO
-K
++H
2O
ポリアミド−NH
2+HCl → ポリアミド−NH
3+Cl
-
【0064】
本発明は、さらに、上述したようなコポリアミドを製造する方法を提供する。この方法は、連鎖停止剤の存在下に、上述したようなコポリマーを重縮合する工程を含み、この工程は、所定の量を用いて所望の特定のコポリアミドが得られるように行われる。
【0065】
以下、本発明に従うコポリアミドA/X.T(Aは、例えば、上述したようなアミノ酸である)を製造する方法について説明する。
このような態様は、Aがラクタムまたは(C
aジアミン)・(C
b脂肪族二塩基酸)である場合についても該当する。
【0066】
本発明に従う方法の第一の態様においては、当該方法は、次亜リン酸ナトリウムおよび少なくとも1種類の連鎖停止剤の存在下ならびに水および随時的に用いる他の添加物の存在下に、アミノ酸Aと化学量論量のジアミンXおよびテレフタール酸の組合せとを反応させる単一の工程を含む。
【0067】
この第一の態様においては、当該単一の工程は、200から380℃の間の範囲内の温度において実施される。
当該工程は、0.01から50バールの間の圧力範囲内で不活性雰囲気下において実施される。
そして、この工程は、幾つかのサブ工程(サブステージ)から構成される。第一のサブ工程中は、10から50バールの間のスチームによる自発圧力下に第一の定常温度レベルに反応器を維持する。第二のサブ工程中は、圧力を徐々に大気圧にまで戻し温度を上昇させて第二の定常温度レベルにする。反応時間は、一般に、30分から10時間であるが、温度に依存する。反応温度が高い程、反応時間が短くなる。全ての場合において、反応時間を充分にして、反応が定量的に進むようにしなければならない。
【0068】
上述の定常温度レベルとは、200から380℃の間にある。
本発明に従う方法の第二の態様は、2つの工程を含む。下記に示すように、第一の工程は、二塩基酸のオリゴマーを調製するものであり、得られた二塩基酸オリゴマーは第二の工程中にジアミンと重縮合する:
−(i)次亜リン酸塩の存在下におけるテレフタール酸とアミノ酸Aとの反応から成る第一の工程;および
−(ii)上記先行工程で形成された二塩基酸オリゴマーがC
xジアミンと反応する第二の工程。
連鎖停止剤は、第一の工程および/または第二の工程中に導入される。
【0069】
第一の工程においては、次亜リン酸塩の存在下に、テレフタール酸がアミノ酸と縮合することにより、二塩基酸のオリゴマーが調製される。この反応は、不活性雰囲気下に常圧および/または加圧下に反応器内で行われ、反応物は、好ましくは攪拌しながら、140から350℃、好ましくは200から300℃の間の温度に維持される。反応は、一般的には、1から5時間、大気圧下または最大圧力50バールで行われる。
【0070】
第2の工程においては、先行する工程で形成した二塩基酸オリゴマーに、大気圧下、Cxジアミンを添加して、200から350℃、好ましくは240から300℃の温度下に反応させる。この反応は、一般に、不活性雰囲気下、減圧下および/または大気圧下および/または最大圧力50バールで、1から10時間、行う。
連鎖停止剤は、第一の工程および/または第二の工程中に導入される。
【0071】
Aが(C
aジアミン)・(C
b二塩基酸)である場合、第一の工程(i)において10から100重量%のC
aジアミンを導入し、C
aジアミンが残っているときは、その残りのジアミンを第二の工程においてC
b二塩基酸とともに導入することもできる。
【0072】
本発明に従う方法の第三の態様は、下記の2つの工程を含む:
−(i)次亜リン酸塩の存在下におけるアミノ酸Aと、テレフタール酸および10から90重量%のCxジアミンとの反応から成る第一の工程;ならびに
−(ii)工程(i)で生成したオリゴマーとCxジアミンの残りを1回またはそれ以上の
回数で反応させる第二の工程。
【0073】
いずれの工程においても温度は220から380℃の間、好ましくは280から330℃の間である。当該方法は、不活性雰囲気下、最大圧力50バールまたは大気圧下または減圧下に実施する。反応は一般に1から10時間行われる。
連鎖停止剤は、第一の工程および/または第二の工程中に導入される。
Aが(C
aジアミン)・(C
b二塩基酸)である場合、第一の工程(i)において10から100重量%のC
aジアミンを導入し、C
aジアミンが残っているときはその残りのC
aジアミンを第二の工程においてC
b脂肪族二塩基酸とともに導入することもできる。
【0074】
本発明に従う方法の第四の態様は、下記の2つの工程を含む。
−(i)次亜リン酸塩の存在下におけるアミノ酸Aと、テレフタール酸およびジアミンの全量との反応から成る第一の工程;スチーム圧力下に得られたオリゴマーの全量を反応器から取り出し、該オリゴマーを結晶化する;
−(ii)工程(i)で生成したオリゴマーを大気圧下または減圧下に後重合する第二の工程。
連鎖停止時は第一の工程および/または第二の工程中に導入される。
【0075】
第一の工程においては、温度は、200から300℃の間、好ましくは220から260℃の間とする。当該方法は、不活性雰囲気圧、圧力は最大で50バールで実施する。反応は、一般に、1から10時間行う。反応率が0.4から0.99の間にある「プレポリマー」を反応器から取り出す。
第二の工程においては、温度は、220から380℃の間、好ましくは280から380℃の間とする。当該方法は、不活性ガス雰囲気下、大気圧下または減圧下に実施する。反応は、一般に、重合温度に応じて、数秒から数十時間行われる。
連鎖停止剤は、第一の工程および/または第二の工程中に導入される。
【0076】
プレポリマーは、直接取り出すか、または、固体状態(例えば、粒状または粉状)で中間体として保存した後に、重縮合を完遂させる。この操作は、粘度の上昇を介して観察する。例えば、大気圧下または減圧下に押出し機(エクストルーダ)タイプの反応器を用いて粘度上昇が起る。あるいは、結晶性または半結晶性のコポリアミドの場合は、ガラス転移温度(Tg)と融点の間の温度下に、固相で粘度の上昇を起こすようにしてもよい。従来通りとすると、温度はTgより約100℃高くする。この際、気体もしくは流体(例えば、窒素ガス、スチーム)または液体(例えば、ある種の炭化水素類)を用いて熱を供給することもできる。
【0077】
本発明に従う方法は、従来より重合に用いられていた任意の反応器内で行うことができ、そのような反応器としては、例えば、アンカー状またはリボン状攪拌機を備えるものが挙げられる。しかしながら、上述したような工程(ii)を含む場合は、水平型の反応器、すなわち仕上反応器(フィニッシャ)内で行うこともできる。このフィニッシャは、必要に応じて、減圧下に反応剤(追加のジアミン)を載置したり導入するための装置を備えており、そして、広範囲の温度下に操作することができる。
【0078】
本発明の方法を終了させるに際して、あるいは(当該方法が2つの工程から成る場合は)第二の工程中に、ジアミンの残部に加えて、ポリアミドの添加物として知られたもの、特に、UV安定化剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、表面活性剤、着色剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、天然ワックス、ポリオレフィンおよびそれらの混合物などをコポリアミドに添加することもできる。
【0079】
本発明において使用できる充填剤(フィラー)としては、カオリン、マグネシア、スラグ、およびこれらの類似物、ならびにガラス繊維から成る群より選ばれる無機充填剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。一般的に用いられる充填剤は、ガラス繊維で形成されているものであり、その大きさは0.20から25mmの間にあるのが好ましい。ポリアミドに対する繊維の接着を向上させるための結合剤として、例えば、当業者によく知られたシランやチタン酸塩などを用いることもできる。グラファイトやアラミド繊維のようなアニオン性充填剤を使用することもできる(アラミドは全芳香族ポリアミドである)。
【0080】
本発明に従って製造されるコポリアミドに用いられる添加物は、組成物の重量に対して、最大90重量%まで、好ましくは1から60重量%、特に好ましくは30重量%程度の量で供するのが望まれる。
好ましいのはガラス繊維であり、一般的には組成物の全重量に対して、10から50重量%、特に好ましくは30重量%程度の量とする。
【0081】
本発明は、本発明に従う少なくとも1種類のコポリアミドを含む組成物にも関する。
本発明に従う組成物は、少なくとも1種類の第二のポリマーを追有することもできる。
好ましくは、この第二のポリマーは、半結晶性ポリアミド、アモルファス(無定形)ポリアミド、半結晶性コポリアミド、アモルファスコポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、芳香族ポリアミド、アリールアミドおよびこれらのブレンドから選ばれる。
【0082】
さらに、この第二のポリマーは、デンプン(変性したり他の成分と配合してもよい)、セルロースまたはその誘導体(例えば、酢酸セルロースもしくはセルロースエーテル)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリヒドロキシアルカノエートから選ぶこともできる。
特に、この第二のポリマーとして、一種類またはそれ以上の機能性または非機能性で、架橋または非架橋のポリオレフィンを挙げることができる。
【0083】
特に、この第二のポリマーとして、一種類またはそれ以上の機能性または非機能性で、架橋または非架橋のポリオレフィンを挙げることができる。
架橋ポリオレフィンとしては、(i)互いに反応する官能基を有する2種類のポリオレフィン間の反応、(ii)マレイン酸部位をもつポリオレフィンと、モノマー性、オリゴマー性もしくはポリマー性ジアミノ分子との反応、または(iii)不飽和部位を有し架橋性の(例えば、パーオキシドを介する)1種類(もしくはそれ以上の)不飽和ポリオレフィンの反応に由来するものを挙げることができる。
【0084】
上述した反応経路(i)、(ii)および(iii)のうち、好ましいのは2種類のポリオレフィンの反応(i)であり、架橋構造は、例えば、以下の反応に由来する:
−不飽和エポキシド部位を有するプロダクト(A)の反応、
−不飽和カルボン酸無水部位を有するプロダクト(B)の反応
−随意的に、不飽和カルボン酸部位またはα、ω−アミノカルボン酸部位を有するプロダクト(C)の反応。
【0085】
プロダクト(A)
プロダクト(A)の例として、エチレンと不飽和エポキシドから成るものを挙げることができる。
第一の形態として、(A)は、ポリオレフィンに不飽和エポキシドがグラフトしたもの、または、エチレンと不飽和エポキシドとの固ポリマーである。
ポリオレフィンに不飽和エポキシドがグラフトしたものに関して、「ポリオレフィン」とは、オレフィン単位(例えば、エチレン、プロピレンもしくは1−ブテン単位)またはその他のα−オレフィンから成るものを意味する。その例は、以下のとおりである:
−ポリエチレン(例えばLDPEs、HDPEs、LLDPEsもしくはVLDPEs)、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、EPRs(エチレン/プロピレンゴム)またはメタロセンPEs(単一部位触媒により得られるコポリマー);
−スチレン/エチレン−ブテン/スチレンブロックコポリマー(SEBSs)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー(SBSs)、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマー(SISs)、スチレン/エチレン−プロピレン/スチレンブロックコポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエン(EPDMs);
−エチレンと、不飽和カルボン酸の塩もしくはエステルまたは不飽和カルボン酸のビニルエステルとのコポリマー。
【0086】
好ましくは、当該ポリオレフィンは、LLDPE、VLDPE、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、またはエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーから選ばれる。その密度は0.86から0.965の間にあり、また、その流動指数は0.3から40の間(190℃、2.16kg下にg/10分で表した場合)にあるのが好ましい。
【0087】
エチレンと不飽和エポキシドのコポリマーとしては、例えば、エチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和エポキシドのコポリマー、またはエチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和エポキシドのコポリマーを挙げることができる。例えば、エポキシドの量は、コポリマーの15重量%以下とし、エチレンの量は少なくとも50重量%とする。
【0088】
好ましくは、(A)は、エチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和エポキシドのコポリマーである。
アルキル(メタ)アクリレートは、当該アルキルが2から10の炭素原子を有するものが好ましい。
(A)のMFI(流動指数)は、例えば、0.1から50(190℃、2.16kg下にg/10分で表した場合)とする。
【0089】
使用できるアルキルアクリレートまたはメタアクリレートの例は、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートである。使用できる不飽和エポキシドの例は次のとおりである:
−脂肪族グリシジルエステルまたはエーテル、例えば、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、およびメタクリル酸グリシジル、ならびに−脂環グリシジルエステルまたはエーテル、例えば、2−シクロヘキセン−1−イルギリシジルエーテル、ジグリシジルシクロヘキセン−4,5−ジカルボキシレート、グリシジルシクロヘキセン−4−カルボキシレート、グリシジル2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、およびジグリシジルエンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシレート。
本発明の別の形態に従えば、プロダクト(A)は、2種類の官能基を有する製品、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)である。
【0090】
プロダクトB
製品Bの例として、エチレンと不飽和カルボン酸無水物とから成るものを挙げることができる。
(B)は、エチレンと不飽和カルボン酸無水物とのコポリマー、またはポリオレフィンに不飽和カルボン酸無水物がグラフトしたものである。
当該ポリオレフィンは、不飽和エポキシドによりグラフトされる上述のポリオレフィンから選ぶことができる。
(B)の構成成分として使用できる不飽和ジカルボン酸無水物の例は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸および無水テトラヒドロフタール酸である。
例として、エチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマー、ならびにエチレン、飽和カルボン酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸無水物とのコポリマーが使用される。
例えば、不飽和カルボン酸無水物の量は、コポリマー中15重量%以下とし、エチレンの量は少なくとも50重量%とする。
好ましくは、(B)は、エチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸無水物のコポリマーである。ここで、アルキル(メタ)アクリレートは、当該アルキルが2から10の炭素原子を有するものが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートは、上述したものから選ぶことができる。
(B)のMFIは、例えば、0.1から50(190℃、2.16kg下にg/10分で表した場合)とする。
【0091】
本発明に従う別の形態として、(B)は、脂肪族、脂環式または芳香族のポリカルボン酸およびそれらの部分的または完全な酸無水物から選ぶことができる。
脂肪族の酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセンコハク酸およびブタンテトラカルボン酸を挙げることができる。
【0092】
脂環式の酸の例として、シクロペンタンジカルボン酸、シクロペンタントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、メチルシクロペンタンジカルボン酸、テトラヒドロフタール酸、エンド−メチレンテトラヒドロフタール酸およびメチル−エンド−メチレンテトラヒドロフタール酸を挙げることができる。
【0093】
芳香族の酸の例としては、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、トリメリット酸、トリメシ酸またはピロメリット酸を挙げることができる。
無水物の例としては、上述した酸の部分的または完全な無水物を挙げることができる。
アジピン酸を用いることが好ましい。
コポリマー(B)の一部をエチレン/アクリル酸コポリマーまたはエチレン/無水マレイン酸コポリマー(ここで、無水マレイン酸は完全にまたは部分的に加水分解されている)で置換したものも本発明に包含されるものとする。これらのコポリマーもアルキル(メタ)アクリレートを含むことができ、この場合、当該部分は(B)の30%以下の量で存在する。
【0094】
プロダクト(C)
不飽和カルボン酸を有するプロダクト(C)としては、例えば、完全にまたは部分的に加水分解したプロダクト(B)が挙げられる。(C)は、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸のコポリマーであり、好ましくは、エチレンと(メタ)アクリル酸のコポリマーである。
さらに、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートまたはアクリル酸のコポリマーも例示できる。
これらのコポリマーは、0.1から50MFI(190℃、2.16kg下にg/10分で表した場合)を有する。
酸の量は10重量%以下、好ましくは0.5から5.0重量%とすることができる。(メタ)アクリレートの量は5から40重量%である。
(C)は、α,ω−アミノカルボン酸、例えば、NH
2−(CH
2)
5−COOH、NH
2−(CH
2)
10COOHおよびNH
2−(CH
2)
11−COOHから選ぶこともでき、好ましくは、アミノウンデカン酸である。
【0095】
架橋構造を形成するのに必要な(A)と(B)の比率は、当該技術分野における規則に従い、(A)と(B)中に存在する反応性の官能基の数により決められる。
例えば、α,ω−アミノカルボン酸から選ばれる(C)から成る架橋構造において、(A)がエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和エポキシドのコポリマーであり、そして、(B)がエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和のカルボン酸無水物のコポリマーである場合、エポキシ官能基に対する無水物官能基の比が1に近いようにする。
【0096】
そして、α,ω−アミノカルボン酸の量は、(A)と(B)の0.1から3%とし、好ましくは0.5から1.5%とする。
(C)が不飽和カルボン酸から成る場合、すなわち、(C)が、例えば、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/アクリル酸コポリマーから選ばれる場合は、(C)と(B)の量は、酸官能基と無水物官能基の数が、少なくとも、エポキシド官能基の数と等しくなるように選択し、好ましくは、(C)が(B)の20から80重量%、特に好ましくは20から50重量%になるように(B)と(C)を使用する。
【0097】
触媒を添加することも本発明に包含されるものとする。
当該触媒は、一般に、エポキシドと酸無水物の間の反応に用いられる。
(A)中に存在するエポキシ官能基と(B)中に存在する酸無水物または酸(カルボン酸)官能基との間を促進することのできる化合物としては、特に次のものを挙げることができる:
−第三級アミン、例えば、ジメチルラルリルアミン、ジメチルステアリルアミン、N−ブチルモルホリン、N,N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、ベンジルメチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール、テトラメチルエチルヒドラジンン、N,N−ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、または16から18の炭素原子を有する第三級アミン類混合物でジメチルタローアミンの名で知られているもの;
−1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン(BABCO);
−第三級ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン;
−アルキルジチオカルバミン酸亜鉛。
これらの触媒の量は、(A)+(B)+(C)に対して0.1から3%にするのが好ましく、特に0.5から1%とするのが好ましい。
架橋したポリオレフィンは、組成物の全重量に対して、好ましくは5から50重量%、特に好ましくは30重量%程度の量で組成物中に存在するようにする。
【0098】
非架橋のポリオレフィンとしては、既に述べたようなポリオレフィンであって反応性基によりグラフトされるものが挙げられる。さらに、製品(A)または(B)または(C)であって架橋させないものとしてのみ既述したものも挙げられる。例えば、EPRまたはEPDMエラストマーがあり、これらのエラストマーをグラフト化してコポリアミドと適合性のあるようにすることもできる。さらに、アクリル系エラスマー(例えば、NBR、HNBRまたはX−NBRタイプのもの)も適用できる。
【0099】
本発明に従う組成物は、コポリアミドの製造方法に関連して上述したような少なくとも1種類の添加物を追有することもできる。
勿論、当業者であれば、添加物の化学的特性に応じて連鎖停止剤を選択することにより、添加物と連鎖停止剤との間の反応を防止したり制御することができるであろう。
【0100】
本発明に従うコポリアミド、および、本発明に従う組成物は、粉状または粒状で使用することができる。また、本発明に従うコポリアミド、および本発明に従う組成物は、後の用途に適するような構造とすることもできる。
このような構造として、本発明に従うコポリアミドのみ、または組成物のみから形成される単層構造とすることができる。
【0101】
このような構造として、少なくとも2つの層から成る多層構造であって、その構造を形成する複数の層の少なくとも1つが本発明に従うコポリアミドまたは組成物から成るような構造とすることができる。
当該粉状物、粒状物または構造(単層構造または多層構造のいずれも)は、繊維の形状(例えば、織物または不織布を形成し得るように)、フィルムの形状、パイプの形状、フィラメントの形状、成形品(molded object)の形状(放射溶融や放射焼結による粉体の集塊(アグロメレーション)技術で得られる)、中空品の形状または射出成形部品(injection-molded part)の形状で供することができる。
例えば、エレクトロニクスや装飾の分野で多用されているようなフィルムやシートとして使用することができる。
【0102】
本発明に従うコポリアミドまたは本発明に従う組成物は、電気製品もしくは電子製品(例えば、封入ソレノイド、ポンプ、電話、コンピュータ、もしくはマルチメディアシステム)、自動車部品(例えば、パイプ、パイプコネクタ、もしくはボンネット下方の射出成形部品)、外科用機器、包装もしくはスポーツもしくはレジャー用品(例えば、サドルやペダルなどのバイク用品)の全てまたは一部を製造するのに適している。
【0103】
詳述すれば、パイプおよび/またはコネクタの形態で供される自動車部品は、空気を送り込むための装置として、冷却(例えば、空気や冷却液体等による)や燃料や流体(例えば、油、水など)の移動や輸送に用いることができる。そのような部品は、本発明に従うコポリアミドまたは組成物に適当量の導電性充填剤(例えば、カーボンブラック、カーボン繊維など)を予め添加しておくことにより、帯電防止性または導電性にすることにより、帯電防止性または導電性にすることもできることは明らかであろう。
【0104】
さらに、本発明に従うコポリアミドまたは組成物は、気体、油、またはそれらの化合物を輸送したり移動させるための機器(特にオフショア分野で用いられる場合)の全部または一部を製造するのにも使用することができる。
【0105】
例えば、本発明に従うコポリアミドまたは組成物が粉状の形態である場合、被覆(コーティング)に用いることができ、特に、流体(水、化学品、油、気体など)の輸送用、自動車用(例えば、ボンネットの下方)またはその他の工業分野(特にエンジン部品)で用いられる金属部品をカバーするための熱的抵抗の向上した被覆に用いることができる。本発明に従う粉状物は、さらに、高い焼成温度(すなわち、180℃よりも高温)を要求される塗料の熱的抵抗を向上させる添加物および/または充填剤として使用することもできる。これらの粉状物は、耐食性組成物、耐摩性組成物および/または塗料にも使用できる。さらに、本発明に従う粉状物は、放射によって生じる溶融または焼結、例えば、レーザービームによるもの(レーザー焼結)または赤外線によるもの(IR焼結)などにより粉状を集塊して目的の製品を製造するのにも用いられる。当該粉状物は、さらに、紙の添加剤、電気泳動ゲル、または多層コンポジット用スペーサー(多層材料の層間に用いる)としても使用することができる。当該粉状物は、このように、包装、玩具、繊維、自動車、エレクトロニクス、化粧品、薬品および香水の諸産業分野において使用される。
【0106】
本発明に従うコポリアミドまたは本発明に従う組成物から成る粒状物は、例えば、特に押し出し成形による、フィラメント、パイプ、フィルムおよび/または成形物品の製造に用いられる。
本発明の他の目的や効果は、以下の実施例から明らかになるであろうが、これらは本発明を限定するものではない。