(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-79591(P2017-79591A)
(43)【公開日】2017年4月27日
(54)【発明の名称】放熱効果を有するモータ構造
(51)【国際特許分類】
H02K 9/06 20060101AFI20170407BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20170407BHJP
【FI】
H02K9/06 F
H02K5/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-205672(P2016-205672)
(22)【出願日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】104134294
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501164676
【氏名又は名称】周 文三
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB09
5H605CC02
5H605DD07
5H605DD11
5H609BB06
5H609PP02
5H609PP05
5H609QQ02
5H609QQ12
5H609RR03
5H609RR17
5H609RR24
5H609RR27
5H609RR33
(57)【要約】
【課題】複数の放熱経路によりモータを効果的に放熱する、放熱効果を有するモータ構造を提供する。
【解決手段】放熱効果を有するモータ構造は、ハウジング1、回転軸8、前蓋2及び放熱ファン4を備える。ハウジング1は、複数の排風口12が形成された封止面11を一端に有する。回転軸8は、ハウジング1内に回転可能に取付けられるとともに、封止面11から延びた出力端80が一端に設けられ、連結端89が他端に設けられる。前蓋2は、ディスク状であり、軸孔40を有する中心ハブ20を中央部に有する。回転軸8は、軸孔91に挿通されて軸孔91から突出される。前蓋2は、ハウジング1に結合されて閉塞する。放熱ファン4は、回転軸8の連結端89に嵌着されるとともに、回転軸8と同期で回転する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、回転軸、前蓋及び放熱ファンを備えた、放熱効果を有するモータ構造であって、
前記ハウジングは、複数の排風口が形成された封止面を一端に有し、
前記回転軸は、前記ハウジング内に回転可能に取付けられるとともに、前記封止面から延びた出力端が一端に設けられ、連結端が他端に設けられ、
前記前蓋は、ディスク状であり、軸孔を有する中心ハブを中央部に有し、前記回転軸は、前記軸孔に挿通されて前記軸孔から突出され、前記前蓋は、前記ハウジングに結合されて閉塞し、
前記放熱ファンは、前記回転軸の前記連結端に嵌着されるとともに、前記回転軸と同期で回転し、
前記前蓋の前記中心ハブの外周には、吸気口が貫通して形成され、前記吸気口前側の前記前蓋上には、集風フードが配設され、前記集風フードの中央部には、前記軸孔を有する前記中心ハブが設けられ、前記集風フードの前記中心ハブは、円錐状体であり、前記円錐状体の前記中心ハブの断面直径は、前記集風フードの底端から上方向にかけて小さく形成された断面直径であり、前記中心ハブと前記集風フードとの間には、複数の吸気穴が形成され、前記集風フードの前記吸気穴は、前記前蓋の前記吸気口に対応し、前記吸気穴と前記吸気口とが連通し、前記放熱ファンが回転して発生させた円形状に回る空気流が前記集風フードと前記中心ハブとからなる画成空間を通り、前記吸気穴及び前記吸気口を介して前記ハウジング内へ直接流入することを特徴とする放熱効果を有するモータ構造。
【請求項2】
前記ハウジングの周面には、前記ハウジングの内部と外部とに空気流を流通させる少なくとも1つの対流孔が完全に貫通して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱効果を有するモータ構造。
【請求項3】
前記前蓋は、前記ハウジングに結合されて閉塞するとともに、前記ハウジング内に設置されて外方へ延びたシースと噛合され、前記ハウジング内に設置された導電用途の導電挿入片が前記シースから突出され、
前記集風フードは、互いに対応した2つのU字状体を有し、前記U字状体が前記前蓋の外側面の前記シースに嵌着されると、前記前蓋に前記集風フードが固定されることを特徴とする請求項1に記載の放熱効果を有するモータ構造。
【請求項4】
前記ハウジングの外表面に外嵌されたリング状の磁気透過性スリーブが導磁作用を有する金属材料からなるため、前記モータの運転効率が向上することを特徴とする請求項1に記載の放熱効果を有するモータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱効果を有するモータ構造に関し、特に、複数の放熱経路によりモータを効果的に放熱し、モータのハウジング内に熱が溜まることを防ぎ、モータ運転の最高出力パワーを得て、モータの運転効率を高めるとともに、モータの使用寿命を延ばす、放熱効果を有するモータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の科学技術分野において、モータは広く利用されている動力機器である。しかし高パワーの大型モータ又は低パワーの小型モータであっても、モータがロータを回転させると、モータのハウジング内に熱が溜まり易くなり、モータを運転する際に発生する熱を適時放出させる放熱構造が十分でない場合、モータ内部に溜まった熱により磁石の磁力が低下し、それに伴ってモータの運転効率が次第に低下する上、一定の温度に達すると、電機子中のエナメル線などの絶縁物が損壊したり、エナメル線に短絡が起きてモータ全体が焼損したりするなどの虞があった。このような欠点を改善するために、モータの中心部に設けられた回転軸の一端が有する放熱ファンにより、モータの運転中に上昇する温度を抑制する技術が現在よく利用されているが、このような技術は放熱ファンにより空気流をモータのハウジング外周表面に吹き付けるだけであり、モータのハウジング内へ空気流を直接送りこんでモータ内の熱を適時放出させることはできなかった。そのため、従来技術ではモータのハウジング内に熱が溜まり易いという欠点を改善することはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の第1の目的は、複数の放熱経路によりモータを効果的に放熱する、放熱効果を有するモータ構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、ハウジングを前蓋で閉塞し、前蓋及び放熱ファンがモータの回転軸の軸線方向で互いに対向し、前蓋の中心ハブの外周には、吸気口が形成され、吸気口の前側の前蓋には、集風フードが設けられ、集風フードの中央部には、軸孔を有する中心ハブが設けられ、中心ハブと集風フードとの間には複数の吸気穴が形成され、集風フードの吸気穴は、前蓋の吸気口に対応し、吸気穴と吸気口とが連通し、放熱ファンが回転して発生させた円形状に回る空気流が集風フードと中心ハブとからなる画成空間を通り、吸気穴及び吸気口を介してモータのハウジング内へ直接流入し、モータの運転によりハウジング内に発生する高温の空気流を適時放出して放熱する、放熱効果を有するモータ構造を提供することにある。
本発明の第3の目的は、モータのハウジングの周面には、完全に貫通した少なくとも1つの対流孔が形成され、対流孔を介してモータのハウジングの内部と外部とに空気流を流通させ、モータの運転により内部空間内に発生する高温の空気流をハウジングの対流孔から放出し、モータの内部空間の温度が大幅に下がる、放熱効果を有するモータ構造を提供することにある。
本発明の第4の目的は、高温環境下で放熱モータを運転する場合でも、モータが焼損することを防ぎ、モータを70℃の密閉空間で長時間連続運転するテストでも焼損することがなかった、放熱効果を有するモータ構造を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータの一部の部材を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るモータを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るモータの別の角度からの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るモータの集風フードを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るモータを示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係るモータのハウジング内に空気流を案内して熱を放出する使用状態を示す
図5の線A−Aに沿った断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係るモータを示す正面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係るモータのハウジング内の高温の空気流をハウジングの封止面に形成された排風口を介して放出する使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1〜
図3を参照する。
図1〜
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る放熱効果を有するモータ構造は、少なくとも筒状のハウジング1、前蓋2及び放熱ファン4から構成されてなる。
【0006】
ハウジング1の一端には、封止面11が形成されている。封止面11には、複数の排風口12が間隔をあけて形成されている。ハウジング1の他端の周面には、完全に貫通した少なくとも1つの対流孔10が形成され、この対流孔10を介してモータのハウジング1の内部と外部とに空気流を流通させる。ハウジング1内には、モータ構造に必要な部品(例えば、ロータ5、コイル6及び磁石7)が設置され、ハウジング1の一端の封止面11及び他端の軸線上には回転軸8が配設される。封止面11から延びた回転軸8は、一端に出力端80を有する。出力端80には、伝動部材が接続される。モータが作動すると回転軸8が回転する。前述したモータのハウジング1の外周には、金属からなる磁気透過性スリーブ(magnetically permeable sleeve)19が外嵌され、磁気透過性スリーブ19が導磁作用を有するため、モータが作動するときの運転効率が向上する。
【0007】
前蓋2は、ディスク状であり、軸孔21を有する中心ハブ20を中央部に有する。中心ハブ20の外周には、貫通した吸気口26が形成される。ハウジング1には、前蓋2が結合されて閉塞する。前蓋2は、ハウジング1内に設置されて外方へ延びたシース(sheath)22,23と噛合され、ハウジング1内に設置された導電用途の導電挿入片24,25がシース22,23から突出され、ハウジング1に前蓋2が固定された後、回転軸8の最外端(即ち連結端89)が中心ハブ20の軸孔21から延びて中心ハブ20内で軸受(図示せず)が覆われるため、回転軸8の回転が円滑となる。吸気口26前側の前蓋2上には、集風フード9が配設される(
図4を参照する)。集風フード9は、互いに対応した2つのU字状体94,95を有し、U字状体94,95が前蓋2の外側面のシース22,23に嵌着されると、前蓋2上に集風フード9が固定される。集風フード9の中央部には、軸孔91を有する中心ハブ90が設けられる。中心ハブ90は、円錐状体92である。円錐状体92の中心ハブ90の断面直径は、集風フード9の底端から上方向にかけて小さく形成された断面直径である。中心ハブ90と集風フード9との間には、複数の吸気穴93が形成される。集風フード9の吸気穴93は、前蓋2上の吸気口26に対応し、吸気穴93と吸気口26とが連通する。
【0008】
図1に示すように、放熱ファン4は、軸孔40を有する。放熱ファン4は、軸孔40を介して回転軸8の連結端89に嵌着される。
【0009】
図2及び
図3は、ハウジング1、前蓋2及び放熱ファン4を組み合わせた状態を示す。
図5〜
図8に示すように、モータの回転軸8が動作すると、放熱ファン4が同期で回転して円形状に回る空気流が発生し、放熱ファン4の右側(
図5で示された方向で見て右側)の空気流が吸引されて放熱ファン4の左側へ案内され、複数の放熱経路によりハウジング1内に空気流が流入し、
図6に示すように、モータの運転によりハウジング1内に発生する熱を適時、効率良く放出することができる。本実施形態の複数の放熱経路の構造設計及びその効果を
図6〜
図8に示す。前蓋2及び放熱ファン4に発生する空気流は、前蓋2と放熱ファン4とがモータの回転軸8の軸線方向で互いに対向しているため、集風フード9の円錐状体92の中心ハブ90により、円形状に回る空気流が放熱経路Aで集風フード9及び円錐状体92の中心ハブ90の画成空間を介し、吸気穴93及び吸気口26からモータのハウジング1内へ直接流入される。放熱経路Aは、
図6及び
図7に示すように、モータの運転によりハウジング1内に発生する高温の空気流をハウジング1の対流孔10、封止面11の排風口12から放出し、モータの運転によりハウジング1内に発生する高温の空気流を適時放出する。円形状に回る空気流は、前蓋2上の集風フード9により画成される円形面積範囲の外側部分より大きい部分により放熱経路Bが作られる。また、空気流の放熱経路Bにより、ハウジング1内に流入しない空気流がハウジング1の外表面に吹き付けられ、ハウジング1の外側を同時に放熱する。
図6に示すように、複数の放熱経路を形成すると、高い放熱作用を得ることができる上、放熱経路Bと放熱経路Aとを一緒に使用することにより相乗効果を得て、放熱効果を高めてモータの焼損を防ぐこともできる。
【0010】
上述したことから分かるように、本発明の放熱効果を有するモータ構造は、モータの一側に取り付けた放熱ファン4の運転により発生する空気流が複数の放熱経路を有するため、放熱効果が非常に高い。また、本発明の放熱効果を有するモータ構造のハウジング1は、前蓋2により閉塞される。前蓋2上には、集風フード9が設けられる。集風フード9及び前蓋2には、互いに間隔をあけて形成された複数の吸気穴93及び吸気口26がそれぞれ形成され、吸気穴93と吸気口26とが連通して放熱経路Aが作られる。円形状に回る空気流は、前蓋2上の集風フード9により画成される円形面積範囲の外側部分より大きい部分により放熱経路Bが作られる。また、空気流の放熱経路Bにより、ハウジング1内に流入しない空気流がハウジング1の外表面に吹き付けられ、ハウジング1の外表面が同時に放熱される。このように、複数の放熱経路により高い放熱作用を得て、モータのハウジング1内に熱が溜まることを防ぎ、モータ運転の最高出力パワーを得てモータの運転効率を高めるとともに、モータの使用寿命を延ばす。特に本発明は、高温環境下で放熱モータを運転しても放熱モータが焼損することを防ぐことができるため、実用的で進歩性を有する。
【符号の説明】
【0011】
1 ハウジング
2 前蓋
4 放熱ファン
5 ロータ
6 コイル
7 磁石
8 回転軸
9 集風フード
10 対流孔
11 封止面
12 排風口
19 磁気透過性スリーブ
20 中心ハブ
21 軸孔
22 シース
23 シース
24 導電挿入片
25 導電挿入片
26 吸気口
40 軸孔
80 出力端
89 連結端
90 中心ハブ
91 軸孔
92 円錐状体
93 吸気穴
94 U字状体
95 U字状体