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特開2017-79735NGSライブラリ作製用プライマーセットおよびこれを用いたNGSライブラリ作製法およびキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-79735(P2017-79735A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】NGSライブラリ作製用プライマーセットおよびこれを用いたNGSライブラリ作製法およびキット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20170414BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170414BHJP
   C40B 40/06 20060101ALN20170414BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12N15/00 A
   C40B40/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-212064(P2016-212064)
(22)【出願日】2016年10月28日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0150278
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516325268
【氏名又は名称】大韓民国行政自治部国立科学捜査研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】イ ヤンハン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミニ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウリ
(72)【発明者】
【氏名】イ ミニョン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS14
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS39
(57)【要約】
【課題】本発明は、次世代塩基配列分析(Next Generation Sequencing、NGS)に使用されるライブラリ作製用プライマーセット、これを用いたライブラリ作製法およびキットに関する。
【解決手段】本発明のNGSライブラリ作製法は、既存のライブラリ作製法より簡単に大量の試料を分析することができ、大量の試料の標的DNA配列の分析や、データベースの構築に効果的に使用可能であることから有用である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アダプタ配列、第1インデックス配列、第1シーケンシング配列、および第1標的配列からなる第1プライマーと、第2アダプタ配列、第2インデックス配列、第2シーケンシング配列、および第2標的配列からなる第2プライマーと、を含むNGSライブラリ作製用プライマーセット。
【請求項2】
前記第1アダプタ配列はP5(配列番号1)であり、第2アダプタ配列はP7(配列番号2)であることを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項3】
前記第1インデックス配列は、配列番号3〜10からなる群から選択されるいずれか一つの配列であって、第2インデックス配列は、配列番号11〜22からなる群から選択されるいずれか一つの配列であることを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項4】
前記第1標的配列および第2標的配列は、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域1(Hypervariable region 1、HV1)に結合することを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項5】
前記第1標的配列は配列番号25に表示されることを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項6】
前記第2標的配列は配列番号26に表示することを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項7】
前記第1プライマーは配列番号27〜34の中の一つに表示され、第2プライマーは、配列番号35〜46の中の一つに表示されることを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項8】
請求項1〜7の中の何れか一つのプライマーセットを含み、第1アダプタ配列、第1インデックス配列、第1シーケンシング配列、および第3標的配列からなる第3プライマーと、第2アダプタ配列、第2インデックス配列、第2シーケンシング配列、および第4標的配列からなる第4プライマーと、を含むプライマーセットをさらに含むプライマーセットの組み合わせ。
【請求項9】
前記第3標的配列及び第4標的配列は、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域2(Hypervariable region 2、HV2)に結合することを特徴とする請求項8に記載のプライマーセットの組み合わせ。
【請求項10】
前記第3標的配列は配列番号67に表示されることを特徴とする請求項8に記載のプライマーセットの組み合わせ。
【請求項11】
前記第4標的配列は配列番号68に表示されることを特徴とする請求項8に記載のプライマーセットの組み合わせ。
【請求項12】
前記第3プライマーは配列番号47〜54の中の一つに表示され、第4プライマーは、配列番号55〜66の中の一つに表示されることを特徴とする請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項13】
前記プライマーセットと標的配列のみが相違するプライマーセットを1〜22個さらに含むことを特徴とする請求項8に記載のプライマーセットの組み合わせ。
【請求項14】
次のステップを含むNGSライブラリ作製方法;
(a)請求項8〜13の中の何れか一つに記載のプライマーセットの組み合わせを用いて標的DNAを増幅するステップと、
(b)増幅した生成物を精製して、ライブラリプーリング(library pooling)を行うステップ。
【請求項15】
前記標的DNAは、ミトコンドリアのHV1またはHV2であることを特徴とする請求項14に記載のNGSライブラリ作製方法。
【請求項16】
請求項8〜13の中の何れか一つに記載のプライマーセットの組み合わせを含むNGSライブラリ作製用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次世代塩基配列分析(Next Generation Sequencing、NGS)に使用されるライブラリ作製用プライマーセット、これを用いたライブラリ作製法およびキットに関し、より詳細には、様々なサンプルにおいて標的DNAを効果的に増幅し、NGSに用いられることができるように作製されたプライマーセット、これを用いたライブラリ作製法およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代塩基配列分析の技術は、既存の方法とは異なり、大容量のデータを短時間で生成することができることから、遺伝子解読に必要な時間と費用を画期的に低減した技術である。次世代塩基配列分析の技術は、時間が経つにつれてシーケンシングプラットフォームは発展し、分析コストはますます安くなっており、メンデル性遺伝子疾患と希少疾患、癌などにおいて次世代塩基配列分析法を用いて疾病の原因遺伝子を探し出すことに成功している。現在、最も多く用いられているillumina社の次世代塩基配列分析法は、検体からDNAを抽出してから機械的に断片化(fragmentation)した後、特定のサイズを有するライブラリ(library)を作製しシーケンシングに使用する。大容量シーケンシング装置を使用して一つの塩基単位で4種類の相補的ヌクレオチド(nucleotide)結合および分離反応を繰り返して、初期シーケンシングデータを生成することになり、以降、初期データの加工(Trimming)、マッピング(Mapping)、遺伝子変異の同定および変異情報の解釈(Annotation)など、生物情報学(Bioinformatics)を用いた分析ステップが行われる。
【0003】
かかる次世代塩基配列分析法は、疾病および様々な生物学的表現型(phenotype)に影響を及ぼしたり、可能性の高い遺伝子変異を探し出して革新的な治療剤の開発および産業化による新たな付加価値の創造に寄与している。次世代塩基配列分析法は、DNAだけでなく、RNAおよびメチル化(Methylation)解読にも応用可能であり、タンパク質をコードするエキソーム(Exome)領域のみを捕捉(Capture)してシーケンスする全エキソームシーケンシング(Whole‐exome sequencing、WES)も可能である。
【0004】
一方、NGSにおいてライブラリ作製(Library preparation)は、試料のランダムなDNAまたはcDNA断片で5´から3´方向のアダプタ(adapter)を接合して配列分析に必要なライブラリを準備する過程である。初期NGSライブラリ作製は、DNAまたはRNA試料のランダム切断、3´および5´末端修理(repair)、アダプタ連結(ligation)、PCR増幅および精製過程などの複雑な過程と、一日から二日の長い時間を必要とした。illumina社は、これを改善し、「Nextera XT DNA library Preparation」のようなtagmentation方法を開発した。これは、transposomeにtag(既存のアダプタ)を結合した複合体をサンプルDNAに処理して、切断とアダプタ連結を同時に行ってからPCRで増幅する方法であり、8個のサンプルでライブラリを作製する際にかかる時間を3時間に低減する成果を上げた。
【0005】
しかし、前記方法もまた、大量の試料を分析する場合に以下のような様々なステップがあり、実験者の労動と実験時間がかかる。まず、大量の試料それぞれのDNAを定量してtagmentationを行い、次に、tagmentaionした生成物のサイズを確認し精製する過程を経てこれをPCR増幅し、増幅したPCR生成物を精製する過程が終了した後、同一量でライブラリ平均化(library normalization)を行ってからシーケンシング作業が可能であるという欠点がある。
【0006】
これに対し、本発明者らは、前記問題点を解決し、少数のサンプルから多量の情報を得るNGSの概念を覆して考え、多くのサンプルから所望の情報のみがより簡単且つ効率的な方法で得られる方式を開発するために鋭意研究を重ねた結果、アダプタとインデックス、および標的DNA特異的配列を全て含むプライマーセットを用いる場合、一回のPCRでライブラリ作製を完了することができるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、様々なサンプルにおいて標的DNAの配列を分析することができるNGSライブラリ作製用プライマーセットを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記プライマーセットの組み合わせを用いて、様々なサンプルにおいて標的DNA配列を分析することができるNGSライブラリ作製法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、前記プライマーセットの組み合わせを含むNGSライブラリ作製用キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、第1アダプタ配列、第1インデックス配列、第1シーケンシング配列、および第1標的配列からなる第1プライマーと、第2アダプタ配列、第2インデックス配列、第2シーケンシング配列、および第2標的配列からなる第2プライマーと、を含むNGSライブラリ作製用プライマーセットを提供する。
【0011】
本発明はまた、(a)前記プライマーセットの組み合わせを用いて標的DNAを増幅するステップと、(b)増幅した生成物を精製し、ライブラリプーリング(library pooling)を行うステップと、を含むNGSライブラリ作製法を提供する。
【0012】
本発明はまた、前記プライマーセットの組み合わせを含むNGSライブラリ作製用キットを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプライマーセットを用いたNGSライブラリ作製法は、既存のライブラリ作製法およびillumina社のtagmentation方法より簡単に大量の試料を分析することができ、大量の試料の標的DNA配列分析や、データベースの構築に効果的に使用可能であることから有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るプライマーセットの概念図である。
図2】本発明のプライマーセットを用いたライブラリ作製過程と他の方法とを比較した概念図である。
図3】本発明で使用したNGS用プライマーセットの組み合わせを示す図である。
図4】本発明の一実施例により分析したNGS分析結果と既存のサンガーシーケンシング(sanger sequencing)方法の結果とを比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
他に定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野において熟練した専門家により通常理解されるものと同一の意味を有する。一般的に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野において周知であり、通常使用されるものである。
【0016】
本発明では、標的DNA特異的プライマーとNGSライブラリ作製用プライマーとを結合してNGSライブラリを作製する場合、大量の試料で分析を希望する標的DNAを増幅するだけでなく、NGSを用いた配列分析により標的DNAを分析できるということを確認しようとした。
【0017】
本発明では、標的DNAに特異的に結合するプライマーとNGSライブラリの作製に必須なアダプタプライマー、インデックスプライマーおよびシーケンシングプライマーを全て含む統合プライマーを作製して、NGS用ライブラリ作製を行った。その結果、一回のPCRおよび精製過程によりNGS用ライブラリを作製できるということを確認した。
【0018】
すなわち、本発明の一実施例では、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域1(Hypervariable region 1、HV1)に特異的に結合するプライマーとP5またはP7アダプタプライマー、インデックスプライマーおよびシーケンシングプライマーを全て含む統合プライマーを用いてNGS用ライブラリを作製した結果、既存の方法に比べてはるかに簡単且つ迅速にNGS用ライブラリを作製できるということを確認することができた。
【0019】
したがって、本発明は、一観点から、第1アダプタ配列、第1インデックス配列、第1シーケンシング配列、および第1標的配列からなる第1プライマーと、第2アダプタ配列、第2インデックス配列、第2シーケンシング配列、および第2標的配列からなる第2プライマーと、を含むNGSライブラリ作製用プライマーセットに関するものである。
【0020】
本発明において、前記第1アダプタ配列はP5(配列番号1)であり、第2アダプタ配列はP7(配列番号2)であることを特徴としてもよい。
【0021】
配列番号1:P55´‐AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC‐3´
配列番号2:P75´‐CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT‐3´
【0022】
本発明において、前記第1インデックス配列は、配列番号3〜10からなる群から選択されるいずれか一つの配列であってもよく、第2インデックス配列は、配列番号11〜22からなる群から選択されるいずれか一つの配列であってもよいことを特徴としてもよい。
【0023】
【表1】
【0024】
本発明のシーケンシング配列は、NGS装置において配列分析のために共通して適用される配列であれば制限なく利用可能であるが、好ましくは、第1プライマーまたは第3プライマーのシーケンシング配列は配列番号23であってもよく、第2プライマーまたは第4プライマーのシーケンシング配列は配列番号24であってもよい。
【0025】
配列番号23:5´‐ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT‐3´
配列番号24:5´‐GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT‐3´
【0026】
本発明において、前記第1標的配列および第2標的配列は、標的DNAに特異的に結合可能な配列であれば制限なく利用可能であるが、好ましくは、標的DNAの特定の領域に結合することを特徴としてもよく、より好ましくは、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域1(Hypervariable region 1、HV1)に結合することを特徴としてもよく、最も好ましくは、配列番号25および26であることを特徴としてもよい。
【0027】
配列番号25:5´‐CTCCACCATTAGCACCCAAA‐3´
配列番号26:5´‐GAGGATGGTGGTCAAGGG‐3´
【0028】
本発明において、前記第1プライマーは、配列番号27〜34のいずれか一つであることを特徴としてもよく、第2プライマーは、配列番号35〜46のいずれか一つであることを特徴としてもよい。
【0029】
【表2】
【0030】
本発明の標的DNAは、血液、精液、膣細胞、毛髪、唾液、尿、口腔細胞、胎盤細胞または胎児細胞を含む羊水およびその混合物を含む群から選択される組織から分離したDNAであり、これに限定されない。
【0031】
本発明の標的DNAは、当業界において公知の通常の方法により取得することができる。例えば、前記組織にDNA溶解緩衝液(例えば、tris‐HCl、EDTA、EGTA、SDS、デオキシコール酸塩(deoxycholate)、およびトリトンX(triton X)および/またはNP‐40を含む)を処理してDNAを分離してもよいが、これに限定されない。
【0032】
一方、標的DNAが複数個である場合、プライマーを多様に組み合わせてライブラリを作製することができると予測した。
【0033】
本発明の他の実施例では、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域1(Hypervariable region 1、HV1)または超可変領域2(Hypervariable region 2、HV2)に特異的に結合するプライマーとP5またはP7アダプタプライマー、インデックスプライマーおよびシーケンシングプライマーを全て含む統合プライマーを用いてNGS用ライブラリを作製した結果、迅速にNGS用ライブラリを作製できるということを確認することができた。
【0034】
したがって、本発明は、他の観点から、前記プライマーセットを含み、第1アダプタ配列、第1インデックス配列、第1シーケンシング配列、および第3標的配列からなる第3プライマーと、第2アダプタ配列、第2インデックス配列、第2シーケンシング配列、および第4標的配列からなる第4プライマーと、を含むプライマーセットをさらに含むプライマーセットの組み合わせに関するものである。
【0035】
本発明において、第3標的配列は、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域2(Hypervariable region 2、HV2)であることを特徴としてもよい。
【0036】
本発明において、前記第3標的配列、および第4標的配列は、標的DNAに特異的に結合できる配列であれば制限なく利用可能であるが、好ましくは、標的DNAの特定の領域に結合することを特徴としてもよく、より好ましくは、ヒトミトコンドリアDNAの超可変領域2(Hypervariable region 2、HV2)に結合することを特徴としてもよく、最も好ましくは、配列番号67および68であることを特徴としてもよい。
【0037】
配列番号67:5´‐CACCCTATTAACCACTCACG‐3´
配列番号68:5´‐CTGGTTAGGCTGGTGTTAGG‐3´
【0038】
本発明において、前記第3プライマーは配列番号47〜54のいずれか一つであることを特徴としてもよく、第4プライマーは配列番号55〜66のいずれか一つであることを特徴としてもよい。
【0039】
本発明において、前記プライマーセットの組み合わせは、前記プライマーセットと標的配列のみが相違するプライマーセットを1〜22個さらに含むことを特徴としてもよい。すなわち、本発明のプライマーセットの組み合わせは、1〜48個の標的を同時に検出することができる。
【0040】
本発明はまた、(a)サンプルからDNAを抽出するステップと、(b)前記プライマーセットの組み合わせを用いて標的DNAを増幅するステップと、(c)増幅した生成物を精製して、ライブラリプーリング(library pooling)を行うステップと、を含むNGSライブラリ作製方法に関するものである。
【0041】
本発明において、前記DNAは、標的DNAを含有する核酸であればいずれも利用可能であるが、好ましくは、ミトコンドリアDNAであることを特徴としてもよい。
【0042】
本発明において、前記標的DNAは、ミトコンドリアのHV1またはHV2であることを特徴としてもよい。
【0043】
本発明において、標的DNAは、DNAを含む生物学的試料(biological sample)である。一方、前記標的DNAは、単一ソース(single‐source)試料または2以上ソースの混合試料(mixture)からなることができる。
【0044】
本発明の方法は、生物学的試料から分離されたDNAに適用してもよいが、前記生物学的試料を直接用いて核酸分子が関与する直接PCR(Direct Polymerase Chain Reaction)を実施してもよい(韓国登録特許10‐0746372参照)。
【0045】
本発明における用語「増幅」は、核酸分子を増幅する反応を意味する。様々な増幅反応が当業界において報告されており、これは、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRという)(米国特許第4,683,195、4,683,202、および4,800,159号)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(以下、RT‐PCRと表記する)(Sambrookら、Molecular Cloning.A Laboratory Manual,3rd ed.Cold Spring Harbor Press(2001))、Miller,H.I.(WO89/06700)およびDavey,C.ら(EP329,822)の方法、リガーゼ連鎖反応(ligase chain reaction;LCR)(17,18)、Gap‐LCR(WO90/01069)、復旧連鎖反応(repair chain reaction;EP439,182)、転写‐増幅法(transcription‐mediated amplification;TMA)(19)(WO88/10315)、自家持続配列複製(self sustained sequence replication)(20)(WO90/06995)、標的ポリヌクレオチド塩基配列の選択的増幅(selective amplification of target polynucleotide sequences)(米国特許第6,410,276号)、コンセンサス配列プライムポリメラーゼ連鎖反応(consensus sequence primed polymerase chain reaction;CP‐PCR)(米国特許第4,437,975号)、任意的プライムポリメラーゼ連鎖反応(arbitrarily primed polymerase chain reaction;AP‐PCR)(米国特許第5,413,909号および第5,861,245号)、核酸塩基配列ベース増幅(nucleic acid sequence based amplification;NASBA)(米国特許第5,130,238号、第5,409,818号、第5,554,517号、および第6,063,603号)、鎖置換増幅(strand displacement amplification)およびループ介在等温性増幅(loop‐mediated isothermal amplification;LAMP)を含むが、これに限定されない。
【0046】
使用可能な他の増幅方法は、米国特許第5,242,794、5,494,810、4,988,617号および米国特許第09/854,317号に記述されている。
【0047】
PCRは、最もよく知られている核酸増幅方法であり、その様々な変形と応用が開発されている。例えば、PCRの特異性または敏感性を増進させるために伝統的なPCR手順を変形してタッチダウン(touchdown)PCR、ホットスタート(hot start)PCR、ネステッド(nested)PCRおよびブースター(booster)PCRが開発された。また、マルチプレックス(multiplex)PCR、リアルタイム(real‐time)PCR、ディファレンシャルディスプレイPCR(differential display PCR、D‐PCR)、cDNA末端の迅速増幅(rapid amplification of cDNA ends、RACE)、インバースPCR(inverse polymerase chain reaction:IPCR)、ベクトレット(vectorette)PCR、およびTAIL‐PCR(thermal asymmetric interlaced PCR)が特定の応用のために開発された。
【0048】
PCRに関する詳細な内容は、McPherson,M.J.およびMoller,S.G.PCR.BIOS Scientific Publishers,Springer‐Verlag New York Berlin Heidelberg,N.Y.(2000)に記載されており、その教示事項は、本発明に参照として挿入される。
【0049】
本発明において、前記増幅された生成物を精製する方法は、当業界に知られている一般的な方法であればいずれも利用可能であるが、好ましくは、ゲル濾過、カラムを用いた方法および電磁場を用いた方法からなる群から選択される方法を用いることを特徴としてもよい。
【0050】
本発明はまた、前記プライマーセットの組み合わせを含むNGSライブラリ作製用キットに関するものである。
【0051】
本発明のキットは、DNAを切断する製剤を含有する第一の容器および標的DNAを増幅するための統合プライマー組み合わせを含有する一つ以上の容器を含む。本発明により使用されるプライマーセットの組み合わせは、配列番号27〜66に記載の配列、機能的組み合わせおよびその断片を含む。
【0052】
本発明において、前記キットは、バッファー、DNAポリメラーゼ補因子およびデオキシリボヌクレオチド‐5‐トリホスフェートのような標的増幅PCR反応(例えば、PCR反応)を実施するために必要な試薬を選択的に含むことができ、様々なポリヌクレオチド分子、逆転写酵素、様々なバッファーおよび試薬、およびDNAポリメラーゼ活性を抑制する抗体を含むことも可能である。
【0053】
本発明のキットを用いると、共通のPCR条件をもって本発明で作製した2種以上のプライマーセットを全て同時に用いたマルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(multiplex PCR)を実施して1回PCRを行うことにより、NGS用ライブラリを作製することが可能である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものと解釈されないことは、当業界において通常の知識を有する者にとって自明なことである。
【0055】
≪実施例1:大量の試料において特定の部位の増幅のためのNGSライブラリ作製用統合プライマーの作製≫
1.1 試料の準備
計91名の血縁関係のない韓国人から口腔細胞を採取し、QIAGEN Microkit(QIAGEN、Hilden、Germany)を用いてDNAを抽出した。抽出したDNAは、4℃で保管した。
【0056】
1.2 Primer design and PCR
ミトコンドリアDNAの高度可変部位1(Hypervariable region 1;以下、HV1)と高度可変部位2(Hypervariable region 2;以下、HV2)領域に対するNGS方式を適用して設計されたadapter(P7またはP5領域とindex、sequencing primer)と既知のHV1とHV2領域のprimerを5´から3´の方向に構成された統合primerを作製した(図1)。
【0057】
このように作製したHV1とHV2統合プライマーセット(primer set)は、illumina社が提供するそれぞれ異なるインデックス(index)を有しており、一回の実行で計96個の試料分析が可能で、且つ各試料別にHV1とHV2を一回に増幅することができる。PCR増幅の条件は、96℃で15分間denaturationさせた後、94℃で15秒間denaturation、56℃で30秒間annealing、72℃で1分間extensionを35回反応させた後、72℃で7分間extensionした。このように増幅されたPCR増幅生成物4μlを同量の2X loading dyeを混合して2%アガロースゲル(agarose gel)に110Vで10分間電気泳動してUVトランスイルミネータ(transilluminator)を用いてgel bandを確認した。このように増幅されたPCR生成物(HV1およびHV2)を全て集めてQIAquick(登録商標) PCR Purification kit(QIAGEN、Hilden、Germany)を用いて精製した。精製されたPCR生成物の濃度を定量し、illumina社が提供する方法によりMiSeq装置で実験を行った(図3)。
【0058】
1.3 NGS data analysis
塩基配列の結果は、マッピングプログラムであるBWA(Burrows‐Wheeler Aligner)とGATK(Genome Analysis ToolKit)に基づいて作られたMiSeq Reporter(MSR;illumina,Inc.,San Diego,CA;v2.5.1)を用いて分析した。
【0059】
その結果、既存のサンガーシーケンシング(sanger sequencing)分析法と本研究の結果とを比較した時に、HV1領域計30690 base pair(bp)のうち30666bpが一致しており、HV2領域計17280bpのうち17275bpが一致していることを確認し、その正確度が高いことが分かった(図4)。
【0060】
以上、本発明における内容の特定の部分について詳細に記述しており、当業界における通常の知識を有する者にとってかかる具体的技術は、単に好ましい実施様態であって、これにより本発明の範囲が制限されないことは明白であろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物により定義されると言える。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]