特開2017-79964(P2017-79964A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-79964(P2017-79964A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】歩行支援機能付き車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/02 20060101AFI20170414BHJP
【FI】
   A61G5/02 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-210370(P2015-210370)
(22)【出願日】2015年10月27日
(71)【出願人】
【識別番号】393011038
【氏名又は名称】リョーエイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 昌司
(72)【発明者】
【氏名】平野 卓哉
(57)【要約】
【課題】車椅子と歩行器の両機能を備え、洋式便座に容易に進入することができ、収納性にも優れた歩行支援機能付き車椅子を提供すること。
【解決手段】歩行支援機能付き車椅子は、大径の主車輪51、52を備えたサイドフレーム10、20と、サイドフレーム10、20を連結するバックフレーム30と、バックフレーム30から垂下するブラケット31、32先端のヒンジ33、34を介して回動可能に取り付けられる座部40とを備える。左右のサイドフレーム10、20間の空間のうち、垂直位置の座部40の前方および下方の空間には連結部材が一切無く、開放している。これにより、車椅子の使用者は、車椅子に向かって後ろ向きに立ち、歩行器としても使用することができる。また、車椅子状態では、水平位置の座部40の前フレーム43の両端部が左右のサイドフレーム10、20に係合し、これにより剛性が高められた四角フレーム構造により、車椅子の走行安定性および安全性が確保される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径の主車輪を備えた左右のサイドフレームと、前記サイドフレームの垂直柱フレーム間を連結するバックフレームと、前記バックフレームから垂下するブラケットに設けられるヒンジを介して回動可能に取り付けられる座部とを備え、
前記左右のサイドフレーム間の空間のうち、前記座部が水平位置のとき当該座部の下方が全て開放していることを特徴とする、歩行支援機能付き車椅子。
【請求項2】
前記左右のサイドフレーム間の空間のうち、前記座部が垂直位置のとき当該座部の前方が全て開放していることを特徴とする、請求項1に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項3】
前記バックフレームの下端が、前記主車輪の最大高さよりも高い位置にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項4】
前記座部の前部には水平な前フレームが設けられ、前記座部が水平位置で前記前フレームの両端部が、前記左右のサイドフレームにそれぞれ係合することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項5】
前記バックフレームから垂下する前記ブラケットが、前記サイドフレームよりも中央側に一定の距離だけ離間して形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項6】
前記ブラケットが前記サイドフレームから離間する前記一定の距離は、前記主車輪の幅方向外側から前記サイドフレームの内側までの寸法距離よりも大きいことを特徴とする、請求項5に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項7】
前記左右のサイドフレームが前記バックフレームで連結される基端部に、肘掛用フレームが回動可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項8】
前記肘掛用フレームが前記垂直柱フレームに沿って上下に位置調整可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項7に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【請求項9】
前記バックフレームよりも上方位置で左右の前記垂直柱フレーム間が歩行用ハンドルバーにより連結されていることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の歩行支援機能付き車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自力歩行が困難な年配者や身体障害者等が利用できる歩行支援機能付き車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自力歩行が困難な年配者や身体障害者等の移動手段としては車椅子が一般的である。また、歩行困難者が立って歩行する際の歩行支援手段としては手押し型の歩行器がある。本来、車椅子と歩行器とは全く別々の支援機能を有するものではあるが、双方の機能を備えた走行アシストロボットが、出願人により公知化されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】第4回次世代ものづくり基盤産業展招待券、リョーエイ株式会社、2014年10月22日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記した車椅子と歩行器の両機能を備え、従来よりも多機能で利便性にも優れた歩行支援機能付き車椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の歩行支援機能付き車椅子は、大径の主車輪を備えた左右のサイドフレームと、前記サイドフレームの垂直柱フレーム間を連結するバックフレームと、前記バックフレームから垂下するブラケットに設けられるヒンジを介して回動可能に取り付けられる座部とを備え、前記左右のサイドフレーム間の空間のうち、前記座部が水平位置のとき当該座部の下方が全て開放していることを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記左右のサイドフレーム間の空間のうち、前記座部が垂直位置のとき当該座部の前方が全て開放していることが好ましい。
【0007】
また、上記構成において、前記バックフレームの下端が、前記主車輪の最大高さよりも高い位置にあることが好ましい。
【0008】
また、上記構成において、前記座部の前部には水平な前フレームが設けられ、前記座部が水平位置で前記前フレームの両端部が、前記左右のサイドフレームにそれぞれ係合することが好ましい。
【0009】
また、上記構成において、前記バックフレームから垂下する前記ブラケットが、前記サイドフレームよりも中央側に一定の距離だけ離間して形成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記ブラケットが前記サイドフレームから離間する前記一定の距離は、前記主車輪の幅方向外側から前記サイドフレームの内側までの寸法距離よりも大きいことが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記左右のサイドフレームが前記バックフレームで連結される基端部に、肘掛用フレームが回動可能に取り付けられていることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記肘掛用フレームが前記垂直柱フレームに沿って上下に位置調整可能に取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記バックフレームよりも上方位置で左右の前記垂直柱フレーム間が歩行用ハンドルバーにより連結されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の歩行支援機能付き車椅子によれば、車椅子と歩行器の両方の機能を有するとともに、洋式便座の真上まで使用者が容易にアクセスでき、更には前後に複数の車椅子を重ねてコンパクトに収納できるなど、従来のものよりも多機能かつ利便性を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】歩行支援付き車椅子の車椅子状態(座部が水平位置)を示す外観斜視図である。
図2】歩行支援付き車椅子の歩行器状態(座部が垂直位置)を示す外観斜視図である。
図3】歩行支援付き車椅子のフレーム構造を示す外観斜視図である。
図4】座部のヒンジ部分を拡大して示す斜視図である。
図5】座部の前フレームとサイドフレームとの係合状態を拡大して示す斜視図である。
図6】歩行支援付き車椅子の背面図である。
図7】肘掛用フレームの取り付け構造を示す斜視図である。
図8】車椅子および歩行器として使用する状態をそれぞれ示す側面図である。
図9】歩行支援付き車椅子で様式便座にアクセスする状態をそれぞれ示す側面図である。
図10】歩行支援付き車椅子を複数収納する状態を示す平面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る歩行支援機能付き車椅子の好適な実施形態を説明する。なお、本実施形態による歩行支援機能付き車椅子は、車椅子と歩行器の両方の機能を有しており、本明細書で「前」、「後」、「左」、「右」というときには、車椅子として使用する使用者から見た方向を指し示す意味で用いている。
【0017】
本実施形態による歩行支援機能付き車椅子は、車椅子と歩行器の両方の機能を有するとともに、洋式便座の真上まで使用者が容易にアクセスでき、更には前後に複数の車椅子を重ねコンパクトな状態で収納できるなど、多機能かつ利便性を格段に向上させたものである。そのために、歩行支援機能付き車椅子は、図1〜3に示すように、大径の主車輪51、52および小径の前輪61、62を備えた左右のサイドフレーム10、20を有し、左右のサイドフレーム10、20の垂直柱フレーム11、21間がバックフレーム30で連結され、バックフレーム30から垂下する2個所のヒンジ33、34を介して、座部40が回動可能に取り付けられるという基本構造を備えている。
【0018】
左右のサイドフレーム10、20は、複数の金属製のパイプ部材、バー部材、プレート部材等が、溶接、嵌合、ネジ止め等の適宜の接合法で接合されて製造される。特に図3に詳細に示されるように、左右のサイドフレーム10、20の垂直柱フレーム11、21間は、バックフレーム30、上部フレーム35および歩行用ハンドルバー36で連結されている。
【0019】
左のサイドフレーム10の下部は、主車輪51の前方で斜め下がりの前トラス12と、主車輪51の後方で斜め下がりの後トラス13と、前トラス12および後トラス13とを連結する水平バー14とを有し、これらにより安定したトラス構造が形成されている。前トラス12および後トラス13が接合する接合部から水平バー14にかけては、垂直バー16が連結されている。そして、水平バー14と垂直バー16とが接合する三角プレートに、主車輪51の車軸を回動自在に軸支するためのベアリング53が固定されている。
右のサイドフレーム20の下部も、左のサイドフレーム10と同様に、前トラス22、後トラス23、水平バー24および垂直バー26からなるトラス構造が形成され、水平バー24と垂直バー26とが接合する個所に設けたベアリング54に、右の主車輪52が回動自在に軸支されている。
【0020】
主車輪51、52は、車椅子として使用可能な程度に大きな直径を有する車輪である。主車輪51、52の外側には、使用者が自分の上腕力で主車輪51、52を駆動するためのハンドホイール55、56が設けられている。前トラス12、22の先端部に設けられる前輪61、62は、車椅子の方向変換が可能となるよう小型のキャスタ車輪が用いられている。後トラス13、23に設けられる後部補助輪63、64は、床面よりも若干上方位置にあり、後方に転倒しそうになった場合に床面に接触して、転倒を防止するための車輪である。
【0021】
また、各前トラス12、22の先端部には、フットサポート65、66がそれぞれ設けられている。フットサポート65、66は、使用者が車椅子として使用するときには、互いに中央に向かう略水平の位置にあるが、本車椅子を歩行器として使用するときや、多数重ねて収納するときには、邪魔にならないように水平位置から垂直の跳ね上げ位置に回動可能である。
【0022】
座部40は、後部が折り曲げ加工された2本の平行なL字フレーム41、42と、L字フレーム41、42の前端部分に接合された前フレーム43とからなる支持フレーム構造体の上部に、クッション性を有する着座シート44が固定されて構成される。
【0023】
特に図4に示すように、バックフレーム30の下部2個所には、それぞれ下方に延びるブラケット31、32が接合されている。そして、座部40の後部、すなわち2本のL字フレーム41、42の上方に折り曲げられた先端部が、各ブラケット31、32のヒンジ33、34に軸支されている。これにより、座部40は、車椅子として使用される水平位置から、歩行器としての使用または収納時の跳ね上げ位置(水平位置に対しては100°程度、後方に傾けた略垂直の位置)まで回動可能となっている。
【0024】
車椅子として使用するため座部40を水平位置に回動させたとき(これを「車椅子状態」という。)、座部40の下方の空間には、左右のサイドフレーム10、20間を連結する部材は一切無く、全て開放している。これにより、車椅子の使用者は、着座シート44に着座したまま洋式便座の真上まで容易に進入することができ、そして退出することもできる。
【0025】
また、本実施形態の車椅子を歩行器として使用するため、座部40を垂直位置に跳ね上げたとき(これを「歩行器状態」という。)には、左右のサイドフレーム10、20間の空間のうち、当該垂直に立てた座部40よりも前方の空間と、当該座部40を支承するブラケット31、32よりも下方の空間が全て開放している。すなわち、歩行器として使用するため、使用者は、垂直に立てた座部40近くで後ろ向きに立つことができ、かつ、使用者の足に当たる部材が無いので、歩行動作が妨げられることもない。
【0026】
更に本実施形態では、特に図5に示すように、車椅子状態にするため座部40を水平位置に回動すると、前フレーム43の両端部の凹部と、左右のサイドフレーム10、20の前トラス12、22に形成した凹部とが組み合うようにして、それぞれが係合するように構成されている。前フレーム43と前トラス12、22の凹部同士が、前後左右に動かないように、しっかりと結合することにより、車椅子のフレーム構造全体の剛性が高められている。
【0027】
本車椅子は、歩行器としての使用を可能にするため、背面の左右連結部材(バックフレーム30および上部フレーム35)以外は、サイドフレーム10、20間を連結する連結部材は一切使用していない。それ故に、フレームの構造上、サイドフレーム10、20がバックフレーム30を起点に捩じられる力に対しては本来脆弱性を有している。しかし、本実施形態の車椅子は、このような四角フレーム構造となることで、着座シート44に座る使用者の体重が、左右のサイドフレーム10、20の前後左右にバランスよく分散され、下方向の重量を十分支えることができる。したがって、各サイドフレーム10、20が開く方向に変形したり、望まない過剰な応力が発生するのを抑えることができ、車椅子を安定的にかつ安全に走行させることを可能としている。
【0028】
本実施形態の車椅子では、特に図6に示すように、バックフレーム30から垂下する左側のブラケット31が、サイドフレーム10よりも中央(右)側に一定の距離WSだけ離間して設けられる。同様に、右側のブラケット32が、サイドフレーム20よりも中央(左)側に一定の距離WSだけ離間して設けられている。ブラケット31、32がサイドフレーム10、20から離間する前記一定の距離WSは、例えば50〜100mmであり、主車輪51、52の幅方向外側(つまり、ハンドホイール55、56)からサイドフレーム20、30の内側までの寸法距離WHよりも大きい。更にバックフレーム30の下端は、主車輪51、52の最大高さよりも高い位置にある。
【0029】
このようにブラケット31、32とサイドフレーム10、20との間に空間を設けたのは、複数の車椅子を重ねて収納する際に、後の車椅子の主車輪51、52およびサイドフレーム10、20が、前の車椅子のサイドフレーム10、20の空間に入り込むことができるようにするためである。これにより、複数の車椅子を重ねて収納でき、収納スペースのコンパクト化が図られる。
【0030】
本実施形態では、サイドフレーム10、20の垂直柱フレーム11、21とバックフレーム30とが連結する左右の基端部に、肘掛用フレーム71、72が、水平位置(0°)から垂直位置(90°)の間で回動可能に取り付けられている。肘掛用フレーム71、72にはアームレスト73、74が取り付けられる。
【0031】
車椅子の肘掛としてアームレスト74を用いる水平位置では、特に図7に示すように、肘掛用フレーム72の基端部上面がヒンジブラケット76のストッパ76aに当接し、その水平位置から下方への回動が規制される。図示しない左側の肘掛用フレーム71も同様の構成である。
また、垂直柱フレーム21にバックフレーム30が接合する接合部25には、アームレスト74の高さ調整ができるようにするための上下位置調整機構が設けられている。すなわち、上下位置調整機構は、半円筒状部材27にヒンジブラケット76が接合され、垂直柱フレーム21に沿う上下数段階の任意適宜の位置で、半円筒状部材27が垂直柱フレーム21にネジ止めが可能である。図示しない左側のアームレスト73も、同様の構成の上下位置調整機構により高さ位置が調整可能である。これにより、使用者の体型に合わせて、最も適切な高さにアームレスト73、74の位置を調整することができる。
【0032】
また、本実施形態の車椅子では、左右の垂直柱フレーム11、21の上端が後方に屈曲されて、介助者が車椅子を後方から操作するためのアシスト用ハンドル37、38が設けられている。また、左右の垂直柱フレーム11、21の各上部間には、使用者がこの車椅子を歩行器として利用する際に、手で把持することができる歩行用ハンドルバー36が連結して設けられている。使用者は、後ろ向きでこの歩行用ハンドルバー36を持って押しながら、歩行器として安全な利用が可能である。
【0033】
本実施形態の歩行支援機能付き車椅子によれば、下記の主な特徴があるとともに、こうした特徴的な構造により従来の車椅子からは得られない有利な効果を奏する。
【0034】
(1)車椅子の左右のサイドフレーム10、20の間を連結するバックフレーム30から垂下する2個所のヒンジ33、34を介して、座部40が回動可能に取り付けられている。
これにより、使用者は、座部40を垂直位置に跳ね上げ、後ろ向きに中央に立って歩行器としての利用が可能であるとともに(図8(a)参照)、座部40を水平位置にして、本来の車椅子としての利用も可能である(図8(b)参照)。
【0035】
(2)また、左右のサイドフレーム10、20の間を連結する部材は、車椅子として使用する使用者の背中部分のみであり、座部40よりも下方には、一切連結部材を構成していない。つまり、左右のサイドフレーム10、20間の空間のうち、座部40が水平位置のとき当該座部40の下方が全て開放している。
これにより、使用者は、座部40に着座した状態で前進もしくは後進しながら、または立ち姿勢で歩行器を押しながら、洋式便座の真上まで容易に進入し、そして退出することができる(図9(a)、(b)、(c)参照)。また、例えば、車椅子状態で洋式便座の真上に進入し、後ろ向きに立って歩行器状態で退出することもできる。また、蓋がない洋式便座の場合には、車椅子状態のまま様式便座を跨いで通過することも可能である。
【0036】
(3)また、座部40を回動可能に支承するブラケット31、32が、サイドフレーム10、20よりも中央側に一定の距離WSだけ離間して形成されている。
このようにブラケット31、32とサイドフレーム10、20との間に空間を設けることで、後の車椅子の主車輪51、52およびサイドフレーム10、20を、前の車椅子のサイドフレーム10、20の空間に入り込ませることができる(図10(a)、(b)参照)。これにより、複数の車椅子を左右どちらかにずらして重ねることができ、スペースを取らずに多くの車椅子の収納が可能となる。
【0037】
(4)また、座部40を水平にした車椅子状態では、座部40の前フレーム43の両端部が、左右のサイドフレーム10、20に係合する。すなわち、座部40に座る使用者の体重を、座部40後部のヒンジ33、34と、座部40前部の左右の前トラス12、22で支えることができる構造としたので、車椅子に着座する使用者の体重を前後左右に分散でき、フレームの変形を防止して、安定した着座姿勢および安全な走行を可能にしている。
【符号の説明】
【0038】
10 サイドフレーム
11 垂直柱フレーム
12 前トラス
20 サイドフレーム
21 垂直柱フレーム
22 前トラス
25 接合部
26 垂直バー
27 半円筒状部材
30 バックフレーム
31、32 ブラケット
33、34 ヒンジ
35 上部フレーム
36 歩行用ハンドルバー
37、38 介助者用ハンドル
40 座部
41、42 L字フレーム
43 前フレーム
44 着座シート
51、52 主車輪
65、66 フットサポート
71、72 肘掛用フレーム
73、74 アームレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10