【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例に係る多目的カバーについて図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施例に係る多目的カバー1は、
図1乃至
図3に示すように、平面視四角形状又はほぼ四角形状のカバー本体2を具備し、このカバー本体2を断熱性・保温性を有するシート状に形成するとともに、中央部13からの二つ折り重ね合わせ形態と、展開形態とに変更可能に構成したものである。
【0021】
前記カバー本体2は、二つ折りで折り重ねるとき外側となる合成樹脂製シート3と、この合成樹脂製シート3の内面側に添着状態となるように例えば縫製等で固着した断熱性・保温性シート4との重合構造としている。
この実施例では、前記合成樹脂製シート3は、例えば強化繊維入りPVCターポリン製のシートとしている。
【0022】
前記断熱性・保温性シート4は、例えばフリース素材、ウエットスーツ素材、その他の繊維材等から形成した防寒性・クッション性を有したシートの中から選定したシートである。
【0023】
本実施例に係る多目的カバー1は、更に、二つ折り重ね合わせ形態におけるカバー本体2における両側辺部2a、2bを閉塞し、上・下辺部2cのうちのいずれかの一辺部側のみを開口状態とする一対のファスナーである公知の一対の線ファスナー5、5を具備している。
【0024】
前記側辺部2a側の線ファスナー5は、
図1に概略的に示すように、カバー本体2における中央部13において、側辺部2aから少し内方に入った位置に線ファスナー5を構成するスライダー6を配置し、各々エレメントを列設けた一対のテープ7、7を前記スライダー6の位置から分岐配置に前記側辺部2aの両側隅部の領域に至るように前記合成樹脂製シート3に縫製等の手段で取り付けるとともに、前記断熱性・保温性シート4の側辺部2a側の端辺部で覆われ、前記スライダー6がスライド可能な状態で配置され、前記スライダー6の閉操作により二つ折りで折り重ねたカバー本体2の側辺部2aを閉塞するように構成している。なお、
図1にはスライダー6が中央部13において露出する態様で示している。
前記側辺部2b側の線ファスナー5も、上述した場合と同様に構成している。
【0025】
前記線ファスナー5に替えて図示しないが細幅の面ファスナーを用いる構成とすることもしてもよい。
【0026】
次に、
図4乃至
図6を参照して本実施例に係る多目的カバー1の各種の使用形態について説明する。
【0027】
図4は、前記多目的カバー1のカバー本体2を二つ折り重ね合わせ形態とし、例えば寒冷期における自然災害発生時等において、避難者Mの防寒用具である敷物として使用する形態を示すものである。
【0028】
この場合、二つ折りで折り重ねたカバー本体2の側辺部2a、2bは、各々線ファスナー5により閉塞する場合の他、単に前記カバー本体2を二つ折り重ね合わせ形態とし線ファスナー5により閉塞しない状態でも防寒用具である敷物として機能させることができる。
【0029】
また、避難者Mが多数人存在する場合には、カバー本体2を二つ折りにしないで
図1に示す展開状態のままこれら多数人の避難者Mが座ったり寝たりする防寒用具として機能させることができる。
なお、図示する実施例ではファスナー部分を具備した例を示しているが、本発明においては、前記カバー本体2を展開状態としないで使用する状態もあり得ることから、必ずしも当該ファスナー部分を必要とするものではない。
すなわち、二つ折り重ね合わせ形態で、四角形状又はほぼ四角形状の断熱性・保温性を有するとともに、両側辺部を閉塞し、かつ、上・下辺部2cのうちのいずれかの一辺部側を閉塞し、上・下辺部2cのうちのいずれかの一辺部側のみを開口状態として袋状としたシート状のカバー本体2として構成しても良い。
【0030】
図5は、前記多目的カバー1のカバー本体2を例えば長さ200cm、二つ折りの幅寸法100cmを有するように形成し、このカバー本体2を例えば寝袋形態として避難者Mの終身用又は休息用の防寒用具として使用する形態を示すものである。
【0031】
この場合には、二つ折りで折り重ねたカバー本体2の側辺部2a、2bを前記線ファスナー5により各々閉塞するか、片側の側辺部2aのみを前記線ファスナー5により閉塞するか、更には、単に二つ折りで折り重ねたままとするかは、避難者Mが任意に選定し得ることは言うまでもない。
更に、前記線ファスナー5は、
図1において側辺部2a、側辺部2bに夫々独立して配置されているが、
図8の他例で示すように、図中に中央部13と示す位置を含め、側辺部2a、側辺部2b、中央部13の3辺に連続してなる線ファスナー5を配置することにより、自然災害発生時等においてカバー本体2Aを夫々分離して一枚ずつ個別に使用できるように構成しても良い。
なお、
図8(a)は本実施例に係る多目的カバーにおけるカバー本体の更なる他例を示す概略斜視図であり2枚の各カバー本体2を連結した状態を示すものである。
図8(b)は2枚の各カバー本体2を分離した状態を示すものである。
図8の実施例の場合、自然災害発生時等において例えばプライバシーの問題等から、相互に面識、認識の無い避難者と近接して利用することを倦厭する避難者に対し、カバー本体2Aを夫々分離して分離した夫々の一枚を各避難者1名分として有効に利用することができる。
なお、
図8の実施例の場合において、図示するように、線ファスナー5を用いて構成する場合は、スライダー6を2個具備するように構成すると、カバー本体2Aを前記展開状態として利用することも勿論可能である。
【0032】
図6は、前記多目的カバー1を、例えば体育館に設置され卓球競技等の際に卓球台周辺の仕切りとして定常的に使用される卓球競技用フェンス11として使用する形態を示すものである。
【0033】
この場合には、前記カバー本体2を二つ折り重ね合わせ形態とし、かつ、両側辺部2a、2bを前記線ファスナー5により各々閉塞して、卓球競技用フェンス11として用いるように形成されている衝立状の骨格部分12に簡単に被せて、卓球競技の際における卓球の飛散防止機能を発揮させるものである。
【0034】
以上説明した本実施例に係る多目的カバー1によれば、例えば多数の卓球台を備えた体育館等の施設において、卓球競技の際に卓球台周辺に配置する卓球競技用フェンス11として使用することができ。
【0035】
また、例えば、寒冷期における自然災害発生時等における避難者Mの例えば訪寒対策として、前記多目的カバー1を、展開形態又は二つ折り重ね合わせ形態として体育館等の床面に敷くことにより、当該避難者Mの防寒具として有効活用することができる。
【0036】
これにより、当該体育館等の施設においては、防寒専用の防寒シート等を倉庫内に保管し管理しておく必要はなくなり、大きな経済効果を発揮させることが可能となる。
【0037】
前記多目的カバー1の防寒具としての機能について更に付言すると、この多目的カバー1を敷物として利用する場合には、避難者M等にとって床面からの寒さを防ぐばかりでなく、長時間体育館の床などに座る際におきる疲労(痛さ)の軽減を図れるという利点がある。
【0038】
また、カバー本体の両側辺部2a、2bに設けた線ファスナー5の開閉によって、カバー本体2を二つ折りに重ね合わせた形態としたり、多くの避難者Mが存在する場合の使用態様である展開状態とする切替操作が簡略容易であり、操作性の点でも優れた機能を発揮するものである。
【0039】
更に、前記多目的カバー1は、既述した寝袋態様で使用する場合の他、着袋態様や、使用者の足だけを二つ折り重ね合わせ形態のカバー本体2内に入れて暖をとる足入防寒具として利用することが可能である。
【0040】
図7は、本実施例に係る多目的カバー1を構成するカバー本体2の他例であるカバー本体2Aを概略的に示すものである。
【0041】
このカバー本体2Aは、線ファスナー5を備える点で前記カバー本体2と基本的構成はほぼ同様であるが、前記カバー本体2と異なり、前記合成樹脂製シート3を用いず既述したような断熱性・保温性シート4のみの単一素材シートにより形成したことが特徴である。なお、断熱性・保温性シート4の詳細形態は図示省略する。
【0042】
このようなカバー本体2Aを採用した多目的カバー1によっても、既述した多目的カバー1の場合と同様な効果を発揮させることができる。