【課題】移動可能な風状態計測装置に頼らずに任意の地点での風の状態をリアルタイムに電子機器の表示画面上に表示することができる風情報表示方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】本発明の風情報表示方法は、基準点RPにおける風情報と複数の定点FP1、FP2における風情報とを関連づけた風情報データを作成する風情報データ作成ステップ、基準点RPでの所定時刻における風情報を計測する基準点風情報計測ステップ、基準点風情報計測ステップで得られる基準点RPでの所定時刻における風情報に基づいて、風情報データから少なくとも1つの定点FP1、FP2での風情報を抽出する定点風情報抽
出ステップ、及び、定点風情報抽出ステップで得られた少なくとも1つの定点FP1、FP2の風情報を放送画面上に表示するためのテロップを生成するテロップ生成ステップ、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の方法及びシステムでは上述した利点があるものの、移動可能と
した風状態計測装置を、風の状態を得たい地点に設置しなければならないという制約があ
り、また競技によっては、このような風状態計測装置の設置が難しい地点もある。このた
め、汎用性をより高める点で改善の余地が残されている。
【0005】
本発明はこのような点を解決することを課題とするものであり、移動可能な風状態計測
装置に頼らずに任意の地点での風の状態をリアルタイムに電子機器の表示画面上に表示す
ることができる風情報表示方法、及びそのシステムを提案することを目的とする。更に、
固定的に設けていた風向、風速センサーのような従来の風状態計測装置の設置が難しい環
境であっても、風の状態を表示することができる方法及びシステムを提案することを目的
とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基準点における風情報と複数の定点における風情報とを関連づけた風情報デ
ータを作成する風情報データ作成ステップ、前記基準点での所定時刻における風情報を計
測する基準点風情報計測ステップ、前記基準点風情報計測ステップで得られる前記基準点
での所定時刻における風情報に基づいて、前記風情報データから少なくとも1つの定点で
の風情報を抽出する定点風情報抽出ステップ、及び、前記定点風情報抽出ステップで得ら
れた少なくとも1つの定点の風情報を放送画面上に表示するためのテロップを生成するテ
ロップ生成ステップ、を含むことを特徴とする風情報表示方法である。
【0007】
本発明の風情報表示方法において、前記基準点風情報計測ステップは、前記基準点に存
在する、風によって変化する対象物の前記所定時刻における画像を取得する所定時刻画像
取得ステップ、前記対象物を変化させる風の風情報と当該対象物に対応する挙動を示す関
連物の画像とを関連づけた風情報記録画像を作成する風情報記録画像作成ステップ、及び
、前記所定時刻における画像と前記風情報記録画像とを照合し、当該所定時刻における画
像に最も近似する風情報記録画像から前記基準点での所定時刻における風情報を算出する
基準点風情報算出ステップ、を含むことが好ましい。
【0008】
本発明の風情報表示方法において、前記基準点風情報抽出ステップは、前記所定時刻で
の画像における前記対象物の特徴点を抽出する第一特徴点抽出ステップ、前記風情報記録
画像における前記関連物の特徴点を抽出する第二特徴点抽出ステップ、前記第一特徴点抽
出ステップで得られる特徴点から第二特徴点抽出ステップで得られる特徴点に至る距離を
全て算出し、当該距離が最も小さい当該風情報記録画像における特徴点が当該所定時刻で
の画像における特徴点に対応すると判断するとともに、当該距離が所定値以下であればそ
れらの特徴点同士が一致していると判断し、一致している特徴点が最も多い風情報記録画
像を、前記所定時刻における画像に最も近似する風情報記録画像として選択する近似風情
報記録画像選択ステップ、を含むことが好ましい。
【0009】
また本発明は、基準点における風情報と複数の定点における風情報とを関連づけた風情
報データを格納する風情報データベース、前記基準点での所定時刻における風情報を計測
する基準点風情報計測手段、前記基準点風情報計測手段で得られる前記所定時刻での前記
基準点の風情報に基づいて、前記風情報データベースから少なくとも1つの定点での風情
報を抽出する定点風情報抽出手段、及び、前記定点風情報抽出手段で得られた少なくとも
1つの定点の風情報を放送画面上に表示するためのテロップを生成するテロップ生成手段
、を含むことを特徴とする風情報表示システムである。
【0010】
本発明の風情報表示システムにおいて、前記基準点風情報計測手段は、前記基準点に存
在する、風によって変化する対象物の前記所定時刻における画像を取得する所定時刻画像
取得手段、前記対象物を変化させる風の風情報と当該対象物に対応する挙動を示す関連物
の画像とを関連づけた風情報記録画像を格納する風情報記録画像データベース、及び、前
記所定時刻における画像と前記風情報記録画像とを照合し、当該所定時刻における画像に
最も近似する風情報記録画像から前記基準点での所定時刻における風情報を算出する基準
点風情報算出手段、を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の風情報表示システムにおいて、前記基準点風情報算出手段は、前記所定時刻で
の画像における前記対象物の特徴点を抽出する第一特徴点抽出手段、前記風情報記録画像
における前記関連物の特徴点を抽出する第二特徴点抽出手段、前記第一特徴点抽出手段で
得られる特徴点から第二特徴点抽出手段で得られる特徴点に至る距離を全て算出し、当該
距離が最も小さい当該風情報記録画像における特徴点が当該所定時刻での画像における特
徴点に対応すると判断するとともに、当該距離が所定値以下であればそれらの特徴点同士
が一致していると判断し、一致している特徴点が最も多い風情報記録画像を、前記所定時
刻における画像に最も近似する風情報記録画像として選択する近似風情報記録画像選択手
段、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の風情報表示方法及びそのシステムにあっては、計測した基準点での所定時刻に
おける風情報に基づいて、基準点における風情報と複数の定点における風情報とを関連づ
けた風情報データから少なくとも1つの定点での風情報を抽出することができる。すなわ
ち、従来のように風の情報を得たい地点に風状態計測装置を設置する必要がなくなるので
、汎用性をより高めることができる。
【0013】
そして、基準点での所定時刻における風情報を計測するにあたっては、基準点に存在す
る、風によって変化する対象物の所定時刻における画像を取得し、対象物を変化させる風
の風情報と当該対象物に対応する挙動を示す関連物の画像とを関連づけた風情報記録画像
を作成し、所定時刻における画像と風情報記録画像とを照合することによって、当該所定
時刻における画像に最も近似する当該風情報記録画像から、基準点での所定時刻における
風情報を算出するようにしている。すなわち、固定的に設けていた風状態計測装置を設置
する必要が無くなるので、汎用性を更に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う風情報表示方法、及びそのシステムの一実施例
について説明する。
【0016】
図1は、本発明に従う風情報表示システムの一実施例として、野球のテレビ実況放送に
適用した場合の全体構成を例示する構成図である。この実施例は、1つの基準点(基準点
RP)と2つの定点(第一定点FP1、第二定点FP2)を設ける場合を例示している。
ここで基準点RPは、野球場のスコアボードの上方であり、ここには風によって変化する
対象物として旗F(白色)を設置している。また、第一定点FP1はレフト側のポールP
1の上端であり、第二定点FP2はライト側のポールP2の上端に位置する。
【0017】
本実施例の風情報表示システムは、基準点RPに設けている旗F及びその背景になる空
を撮像する第一撮像装置1と、野球場での試合の状況を撮像する第二撮像装置2とを備え
ている。
【0018】
第一撮像装置1は、動画を取得するものでも静止画を取得するものでもよいが、本実施
例では静止画を取得するカメラを用いている。また本実施例の第一撮像装置1はカラー画
像を取得するものであるが、モノクロ画像を取得するものであってもよい。
【0019】
第一撮像装置1は、第一ネットワーク3を介して、データセンターに設置されたサーバ
ー4に接続されている。第一ネットワーク3としては、次の例に限定されるものではない
が、公衆通信回線や特定通信回線、インターネット、イントラネット、LAN(loca
l area network)、WAN(wide area network)など
を挙げることができる。
【0020】
第二撮像装置2はエンコード送信機5に接続されており、エンコード送信機5は、ライ
ブ中継網6を介して、放送センターに設置されたデコード受信機7にむけて野球場のライ
ブ映像を送信する。なお、ライブ映像を送信する過程は従来技術と同様であるので、詳細
な説明は省略する。
【0021】
上述したサーバー4には、風情報データベース8と風情報記録画像データベース9が接
続されている。
【0022】
風情報データベース8には、基準点RPにおける風情報と第一定点FP1の風情報、及
び基準点RPにおける風情報と第二定点FP2の風情報を関連づけた風情報データが格納
されている。なお、本発明において基準点(又は定点)における風情報とは、基準点(又
は定点)における風に関し、その風向及び風速の少なくとも1つを含む情報を意味してい
るが、本実施例の風情報は、風向と風速の2つからなる。また本実施例における風情報デ
ータは、基準点RPにおける風向、風速をX軸に定め、第一定点FP1と第二定点FP2
における風向、風速をY軸に定めて方程式として関連づけたものである。なお風情報デー
タとしては、基準点RPにおける風向、風速を横軸に定め、第一定点FP1における風向
、風速を縦軸に定めてこれらをマトリックス状に関連づけたテーブル形式のもの(第二定
点FP2でも同様にして基準点RPと関連づけられるため、風情報データとして2つのテ
ーブルを格納する)など、種々のものが適用されうる。
【0023】
風情報記録画像データベース9には、風が吹いた際に旗Fの動きに対応する挙動を示す
小旗fに関し、風によってなびく小旗fの画像とその際の風向及び風速とを関連づけた風
情報記録画像が格納されている。
【0024】
ここで小旗fは、旗Fの寸法、材質、質量などを考慮して相似的に縮尺したものであっ
て、ある風向、及び風速の風が吹いた際の旗Fのなびきに対し、この風に対応する風によ
って旗Fと同様のなびきになるように設定している。また、模様や色(濃淡)も旗Fと同
様になるように設定している。
【0025】
ここで本実施例の風情報記録画像は、小旗fを用いて風洞実験によって取得している。
具体的には、小旗fを風洞実験室に設置するとともに、上述した第一撮像装置1による旗
Fの画像を考慮したアングルで撮像装置を設置する。そして、風洞実験室の風によってな
びく小旗f及びその背景の画像を撮像するとともにその際の風向及び風速を取得して、こ
れらを関連づけた風情報記録画像を得るようにしている。この際、風を変化させることに
よって、様々な風向、風速での風情報記録画像を取得している。なお、小旗fを含む画像
は動画でも静止画でもよいが、本実施例では動画を用いている。ここで風洞実験は、野球
場に設置される旗Fに対するレイノルズ数に一致するように行われるため、風洞実験室に
おける風と、野球場における基準点RPの風とを関連づけることができる。すなわち本実
施例の風情報記録画像は、基準点RPにおける風向、風速にも関連づけられている。なお
、風情報記録画像を取得するには、小旗fが風によってなびく状態を画像で再現すること
ができる、コンピュータシミュレーション(流体解析ソフト)を用いてもよい。
【0026】
そしてサーバー4は、第一撮像装置1から得られる所定時刻の画像から旗Fの特徴点を
抽出し、また、風情報記録画像データベース9に格納された風情報記録画像から小旗fの
特徴点を抽出するものであり、更に、それらの特徴点に基づいて旗Fの画像に最も近似す
る小旗fの風情報記録画像を選定して、当該風情報記録画像に関連づく基準点RPでの所
定時刻における風向、風速を抽出するものである。加えて、基準点RPでの所定時刻にお
ける風向、風速に基づいて、風情報データベース8から第一定点FP1及び第二定点FP
2の少なくとも一方の風向及び風速を抽出するものである。本実施例では、後述する放送
センター内に設置されたコンピュータ装置11からの要求に基づいて、第一定点FP1で
の風向及び風速を抽出するものとする。なお、上述したサーバー4の詳細な動作について
は後述する。
【0027】
更にサーバー4は、第二ネットワーク10を介して、放送センター内に設置されたコン
ピュータ装置11に接続されている。なお、第二ネットワーク10は、第一ネットワーク
3の如き公衆通信回線やインターネットなどであるが、サーバー4とコンピュータ装置1
1とが双方向で情報伝達できるものである。
【0028】
ここでコンピュータ装置11は、コンピュータソフトウエア又はASICなどで構成さ
れる、制御手段12、テロップ生成手段13の他、制御手段12に対して操作者が指令を
送るための操作手段14を含むものである。そして操作者が、風向及び風速を得たい定点
として操作手段14を通して第一定点FP1を選択すると、制御手段12は、第二ネット
ワーク10を介してサーバー4に対して第一定点FP1での風向及び風速を送出するよう
に要求する。これによりサーバー4は、風情報データベース8及び風情報記録画像データ
ベース9との連係に基づいて第一定点FP1の風向及び風速を抽出し、第二ネットワーク
10を介してコンピュータ装置11へ伝達する。そして制御手段12での制御の下、テロ
ップ生成手段13は、第一定点FP1の風向及び風速を放送画面上にテロップとして表示
させるための画像に変換する。
【0029】
そして、テロップ生成手段13によって変換された風向及び風速に関する画像は、AS
ICなどで構成される画像合成装置15に送出されるように構成されており、デコード受
信機7で受信した野球場のライブ映像と合成(スーパーインポーズ)されて、テレビ放送
用の送信機16に送出される。
【0030】
次に、このように構成される風情報表示システムを用いて、第一定点FP1での風向及
び風速を放送画面上にテロップとして表示させる風情報表示方法について、主に
図2を参
照しながら説明する。
【0031】
まず、基準点RPにおける風向及び風速と第一定点FP1における風向及び風速、並び
に基準点RPにおける風向及び風速と第二定点FP2における風向及び風速を関連づけた
風情報データを作成し(風情報データ作成ステップS1)、これを風情報データベース8
に格納する。
【0032】
また、小旗fを用いて風洞実験を行い、風洞実験室の風によってなびく小旗f及びその
背景の画像(動画)を撮像するとともにその際の風向及び風速を取得し、これらを関連づ
けた風情報記録画像を作成する(風情報記録画像作成ステップS2)。本実施例では、風
向が同一であって風速の異なる風(風速「大」、風速「中」、風速「小」)によってなび
く小旗fを撮像しており(
図3(b)〜(d)参照)、これら3種類の風情報記録画像を
風情報記録画像データベース9に格納する。
【0033】
そして、第一撮像装置1によって、所定時刻における基準点RPに設けている旗F及び
その背景になる空を撮像し(所定時刻画像取得ステップS3)、第一ネットワーク3を介
してサーバー4に送信する。
【0034】
次にサーバー4は、所定時刻画像取得ステップS3で得られた所定時刻における旗Fの
画像と、風情報記録画像作成ステップS2で得られた小旗fの風情報記録画像とを照合し
て、所定時刻における旗Fの画像に最も近似する小旗fの風情報記録画像を選択し、当該
風情報記録画像から基準点RPでの所定時刻における風情報を算出する基準点風情報算出
ステップS4を実行する。
【0035】
基準点風情報算出ステップS4において、所定時刻における旗Fの画像に最も近似する
小旗fの風情報記録画像を選択するに当たっては、それらの画像の色や、旗Fと小旗fの
形状に着目するなど、種々の方法があるが、本実施例では、旗Fと小旗fの特徴点を利用
する。
【0036】
ここで、所定時刻画像取得ステップS3で得られた画像から旗Fの特徴点を抽出する(
第一特徴点抽出ステップS5)にあたり、まずサーバー4は、第一撮像装置1から得られ
るカラーの静止画を、二値化やグレースケール化することによってモノクロの画像に変換
する。これにより、より少ない情報量で旗Fの画像を取り扱うことができる。本実施例で
は、
図3(a)に示すように、旗Fは白に近く、背景の空(図中ハッチングを付して示す
)は黒に近い階調に変換している。なお、旗Fと背景の空の色彩によっては、モノクロよ
りもカラーの方が両者の違いが明確になる場合もあるため、カラーの静止画を採用するこ
ともあり得る。
【0037】
そしてサーバー4は、モノクロの静止画中、例えば明暗の差が顕著な部分や角になって
いる部分などを旗Fの特徴点として抽出する。本実施例では、旗Fの特徴点として3つ(
特徴点A〜C)を抽出するものとする。
【0038】
更にサーバー4は、風情報記録画像データベース9に格納された風速の異なる3種類の
動画をキャプチャーして、その風速に応じた小旗fの静止画を作成する。ここで、
図3(
b)は風速「中」での静止画(静止画SI1)を示し、
図3(c)は風速「大」での静止
画(静止画SI2)を示し、
図3(d)は風速「小」での静止画(静止画SI3)を示し
ている。なお本実施例では、1つの風向及び風速の動画から1つの静止画を作成するもの
として説明するが、例えば数秒毎にキャプチャーして複数の静止画を作成してもよい。そ
して、静止画SI1〜SI3についてもモノクロ画像に変換し、小旗fの特徴点を抽出す
る(第二特徴点抽出ステップS6)。本実施例では静止画SI1から特徴点1a〜1c、
静止画SI2から特徴点2a〜2c、静止画SI3から特徴点3a〜3cを抽出している
。
【0039】
その後、サーバー4は、第一特徴点抽出ステップS5で得られる特徴点から第二特徴点
抽出ステップS6で得られる特徴点に至る距離を全て算出し、当該距離が最も小さい風情
報記録画像における特徴点が所定時刻での画像における特徴点に対応すると判断するとと
もに、当該距離が所定値以下であればそれらの特徴点同士が一致していると判断し、一致
している特徴点が最も多い風情報記録画像を、所定時刻における画像に最も近似する風情
報記録画像として選択する近似風情報記録画像選択ステップS7を実行する。
【0040】
この点につき、
図3、
図4を参照しながらより具体的に説明する。旗Fの各特徴点の座
標は、
図4の表1に示すように、特徴点A(3、19)、特徴点B(21、16)、特徴
点C(22、7)であるとする。また静止画SI1における小旗fの座標は、同図の表2
に示すように、特徴点1a(3、18)、特徴点1b(21、14)、特徴点1c(22
、6)であるとし、静止画SI2における小旗fの座標は、同図の表3に示すように、特
徴点2a(3、17)、特徴点2b(20、23)、特徴点2c(21、16)であると
し、静止画SI3における小旗fの座標は、同図の表4に示すように、特徴点3a(4、
23)、特徴点3b(15、10)、特徴点3c(17、2)であるとする。
【0041】
そしてサーバー4は、静止画SI1について、表5において距離が一番小さい特徴点1
aが特徴点Aに、表6において距離が一番小さい特徴点1bが特徴点Bに、表7において
距離が一番小さい特徴点1cが特徴点Cに対応すると仮設定する。そしてこの場合は、特
徴点1a〜1cが特徴点A〜Cに対して重複せずに一対一に紐付いたので、このままの関
係で全ての特徴点同士が対応付けられたと判断する。その後サーバー4は、表8に示すよ
うに、特徴点Aから特徴点1aに至る距離、特徴点Bから特徴点1bに至る距離、特徴点
Cから特徴点1cに至る距離が閾値以下であれば(本実施例では閾値1.5以下であれば
)、特徴点A〜Cと特徴点1a〜1cが一致していると判断する。本実施例においてサー
バー4は、静止画SI1については2つの特徴点が一致していると判断する。
【0042】
またサーバー4は、静止画SI2についても特徴点Aから特徴点2a〜2cに至る距離
(表9)、特徴点Bから特徴点2a〜2cに至る距離(表10)、特徴点Cから特徴点2
a〜2cに至る距離(表11)を算出する。そしてサーバー4は、表9〜11のそれぞれ
において距離が一番小さい特徴点2a〜2cが特徴点A〜Cに対応すると仮設定するもの
の、表10と表11は、どちらも特徴点2cに至る距離が最も小さくなっているので、特
徴点Cとの対応関係が重複することになる。この場合サーバー4は、表9〜表11の関係
を全て参照して、距離が小さいものから順に特徴点2a〜2cと特徴点A〜Cとを対応付
ける。すなわち、表9〜表11において距離が最も小さいものは、表10における特徴点
Bから特徴点2cに至る距離であるので、サーバー4は、まず特徴点Bと特徴点2cとを
対応付ける。次に表9と表11において、既に対応付けられた特徴点2cに関するものを
除いて最も小さな距離は、表9における特徴点Aから特徴点2aに至る距離であるので、
サーバー4は、特徴点Aと特徴点2aとを対応づける。更にサーバー4は、残った特徴点
Cと特徴点2bとを対応付ける。そしてサーバー4は、表12に示すように、特徴点Aか
ら特徴点2aに至る距離、特徴点Bから特徴点2cに至る距離、特徴点Cから特徴点2b
に至る距離が閾値である1.5以下であるか判断する。本実施例においてサーバー4は、
静止画SI2については1つの特徴点が一致していると判断する。
【0043】
なお詳細な説明は省略するが、サーバー4は、静止画SI3についても特徴点Aから特
徴点3a〜3cに至る距離(表13)、特徴点Bから特徴点3a〜3cに至る距離(表1
4)、特徴点Cから特徴点3a〜3cに至る距離(表15)を算出し、更に特徴点3a〜
3cが特徴点A〜Cに対して重複せずに紐付くか判断して、特徴点A〜Cと特徴点3a〜
3cとの一致の状況を判断する。表16に示すようにサーバー4は、静止画SI3につい
ては一致する特徴点がないと判断する。
【0044】
このように、本実施例において一致する特徴点が最も多いのは静止画SI1であるため
、サーバー4は、旗Fの画像に最も近似する小旗fの風情報記録画像として静止画SI1
を選択し、静止画SI1に対応する風情報記録画像に基づいて、風情報記録画像データベ
ース9から基準点RPでの所定時刻における風向及び風速を抽出する。
【0045】
ここで、放送センター内の操作者が、コンピュータ装置11の操作手段14を通して第
一定点FP1を選択すると、制御手段12は、第二ネットワーク10を介してサーバー4
に対して第一定点FP1での風向及び風速を送出するように要求する。
【0046】
その後サーバー4は、風情報データベース8を参照して、基準点RPでの所定時刻にお
ける風向及び風速から第一定点FP1での風向及び風速を抽出し(定点風情報抽出ステッ
プS8)、第二ネットワーク10を介してコンピュータ装置11へ送信する。
【0047】
そしてテロップ生成手段13は、制御手段12による制御の下、第一定点FP1での風
向及び風速の情報を、放送画面上にテロップとして表示させるための画像に変換する(テ
ロップ生成ステップS9)。
【0048】
テロップ生成手段13によって変換された風向及び風速に関する画像は、画像合成装置
15に送出され、デコード受信機7で受信された野球場のライブ映像と合成(スーパーイ
ンポーズ)されて、テレビ放送用の送信機16に送られる。これによって
図5に示すよう
に、電子機器の表示画面上に、野球場のライブ映像とともに第一定点FP1での風向及び
風速をテロップとして表示することができる。
【0049】
本発明に従う風情報表示方法及び風情報表示システムは、上述した実施例に限定される
ものではなく、特許請求の範囲に従う範囲で種々の適用が可能である。例えば、テロップ
として表示される風情報は、第一定点FP1のみならず、第二定点FP2や基準点RPを
含めてもよい。また、第一定点FP1や第二定点FP2を選択するに当たっては、操作者
の操作によらずに、例えば予め準備された打者の特性(レフト側へのホームランが多いな
ど)に応じたデータに基づいて行うようにしてもよい。
【0050】
また所定時刻における旗Fの画像に最も近似する小旗fの風情報記録画像を選択するに
当たっては、上述した旗Fと小旗fの特徴点を利用する方法の他、旗Fの輪郭(外形)を
縁取ってその形状を抽出するとともに、風情報記録画像データベース9に格納された風速
の異なる小旗fの輪郭(外形)を縁取ってその形状を抽出し、例えば輪郭線の方向や長さ
、内側部分の面積、形状の特徴部分などに着目して、旗Fとの一致度が最も高い小旗fを
選択するようにしてもよい。
【0051】
また本実施例において、風情報記録画像データベース9には旗Fを縮小した小旗fの風
情報記録画像が格納されているが、旗Fと同じサイズになる旗で風洞実験を行って、この
旗の風情報記録画像を格納してもよい。さらに、風洞実験だけでなく、風通しの良い広い
場所に設置し、同じ場所に設置した風速計の観測値と関連づける方法を用いることもでき
る。
【0052】
また、本実施例においては、基準点RPに存在する、風によって変化する対象物として
旗Fを選択したが、対象物としては他にも、木の枝や水面の波など、種々のものが選択可
能である。この場合、対象物の所定時刻における画像と関連物の風情報記録画像とを比較
して、最も近似する風情報記録画像を選択するに当たっては、それらの画像における対象
物及び関連物の形状、外形線の長さ及び方向、色や濃淡など、種々の観点から比較するこ
とができる。
【0053】
更に、本実施例では、風情報記録画像作成ステップS2〜近似風情報記録画像選択ステ
ップS7として説明した基準点RPでの風情報の計測(基準点風情報計測ステップS10
)は、このような対象物を利用した手段に限られず、例えば基準点RPに風向風速計によ
って得られる風向、風速を利用してもよい。
【0054】
更に本発明は、野球だけでなく、ゴルフなどの各種球技の他、マラソン競技やボート、
ケイリン、スキージャンプ、水上競技などの各種スポーツ競技にも適用することが可能で
ある。またスポーツ競技以外でも、建築、道路、ビル風などの強風、暴風対策ひいては防
災分野にも適用できる。