(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-80644(P2017-80644A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】気体浄化装置及び該気体浄化装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
B01D 47/02 20060101AFI20170414BHJP
【FI】
B01D47/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-208439(P2015-208439)
(22)【出願日】2015年10月22日
(71)【出願人】
【識別番号】502265541
【氏名又は名称】有限会社ファミーユ
(71)【出願人】
【識別番号】515269040
【氏名又は名称】合同会社クスノキ
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】楠 信行
(72)【発明者】
【氏名】楠 直美
【テーマコード(参考)】
4D032
【Fターム(参考)】
4D032AA22
4D032BA03
4D032BA06
4D032BB05
4D032CA01
4D032DA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、オーバーフロー管からの外部空気や水の逆流を防止することで、汚染された気体を効率よく浄化することができる気体浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、オーバーフロー管に開閉弁を設ける一方で浄化部内の液位がオーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方にあることを検知する検知手段を備え、排風部の稼働時には、排風部による排風作用により、吸気口から浄化部に気体を吸引導入し、気体を液体中に導入することで不純物を分離し、不純物を分離した後の気体を排気口から吸引排気する一方、給液部材からはオーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を浄化部に連続的に供給し、検知手段による液位の検知に基づいて開閉弁を開放することで、浄化部内の液位をオーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ浄化部で気体から分離した不純物を含む液体をオーバーフロー管から排出することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を液体中に導入することで該気体から油分等の不純物を分離する浄化部を有し、前記浄化部には気体を吸気する吸気口及び不純物を分離した後の気体を排気する排気口が形成されてなる気体浄化装置であって、
前記浄化部に液体を供給する給液部材及び気体から分離した不純物を含む液体を前記浄化部から排出するオーバーフロー管が配設されるとともに、前記排気口に排風部が接続されてなる気体浄化装置において、
前記オーバーフロー管に開閉弁を設ける一方で、前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方にあることを検知する検知手段を備え、
前記排風部の稼働時には、該排風部による排風作用により、前記吸気口から前記浄化部に気体を吸引導入し、該気体を液体中に導入することで不純物を分離し、前記不純物を分離した後の気体を前記排気口から吸引排気する一方、前記給液部材からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を前記浄化部に連続的に供給し、前記検知手段による液位の検知に基づいて前記開閉弁を開放することで、前記浄化部内の液位を前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ前記浄化部で気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管から排出することを特徴とする気体浄化装置。
【請求項2】
前記浄化部は、前記気体を吸気する吸気口が形成される吸気室、前記吸気した気体を液体中に導入することで該気体から油分等の不純物を分離する浄化室、前記不純物を分離した後の気体を排気する排気口が形成される排気室を有し、
前記吸気室には前記給液部材、前記排気室には前記オーバーフロー管が配設されてなり、
前記浄化室には多数の小孔を有する板状部材であって当該浄化室の水平断面と略同一寸法のバブリング部材が略水平な状態で配設される一方で、前記排風部の稼働時に前記液体中に導入される気体が該液体中において前記バブリング部材の小孔を上方へ通過するよう液体が貯留されてなり、
前記浄化室は、前記バブリング部材よりも下部に形成される第1連通口を介して前記吸気室と連通し、前記バブリング部材よりも上部に形成されて気体が通過する第2連通口及び前記バブリング部材よりも下部に形成される第3連通口を介して前記排気室と連通する請求項1記載の気体浄化装置。
【請求項3】
前記検知手段はタイマーであって、該タイマーに設定された時間経過に基づいて、前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方にあることを検知する請求項1又は2記載の気体浄化装置。
【請求項4】
気体を液体中に導入することで該気体から油分等の不純物を分離する浄化部を有し、前記浄化部には気体を吸気する吸気口及び不純物を分離した後の気体を排気する排気口が形成されてなる気体浄化装置であって、
前記浄化部に液体を供給する給液部材及び気体から分離した不純物を含む液体を前記浄化部から排出するオーバーフロー管が配設されるとともに、前記排気口に排風部が接続されてなる気体浄化装置の運転方法において、
前記排風部の稼働時には、該排風部による排風作用により、前記吸気口から前記浄化部に気体を吸引導入し、該気体を液体中に導入することで不純物を分離し、前記不純物を分離した後の気体を前記排気口から吸引排気する一方、前記給液部材からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を前記浄化部に連続的に供給し、前記オーバーフロー管が開口から一定長さ前記液体により満たされて前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方になった後に前記オーバーフロー管から前記液体の排出を開始し、前記浄化部内の液位を前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ前記浄化部で気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管から排出する気体浄化装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油分等の不純物を含む気体を清浄化する気体浄化装置及び該気体浄化装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油分等の不純物を含む排煙、例えばフライ食品調理器(フライヤー)等の厨房設備から発生する油煙等を捕集して屋外に排出する装置が知られている。
【0003】
当該装置は、排煙中に含まれる気化した油分や塵埃等の不純物がフードや排気ダクト内等に大量に付着し、不衛生であるとともに火災時の延焼を引き起こす原因となる問題がある。また、当該装置は、排煙を直接屋外に排出するため臭気が拡散し、周囲の環境を汚染する問題がある。
【0004】
そこで、本発明者らは、排煙中に含まれる油分等の不純物を除去し得る空気浄化装置を提案した(特許文献1参照。)。
【0005】
図2は、特許文献1に記載された空気浄化装置の一例の断面図を示す。
図2に記載された空気浄化装置1は、汚染空気が導入される吸気室5、該吸気室5と下方に形成される第1連通口14を介して連通し、前記第1連通口14よりも高い位置に多数の小孔を有するバブリング板部材16,17,18が配設されるバブル室6、該バブル室6と下方に形成される第2連通口19及び上方に形成される第3連通口20を介して連通する汚水貯留室7、を有する3槽構造の浄化槽3を備える。
また、
図2に記載された空気浄化装置1は、前記汚水貯留室7に設けられる排気口26に接続される排気部材4を備える。
【0006】
図2に記載された空気浄化装置1の場合、前記浄化槽3に貯水した状態で前記排気部材4を運転すると、該排気部材4の吸引作用により前記吸気室5に設けられる吸気口10から前記浄化槽3内に汚染空気が吸引される。前記汚染空気は、前記吸気室5内で水中に導入されて前記第1連通口14から前記バルブ室6へ移動し、前記バブリング板部材16,17,18を通過して浄化された後に前記第3連通口20から前記汚水貯留室7を通過し前記排気口26から排出される。
【0007】
ところで、
図2に記載された空気浄化装置1の場合、前記バブル室6において、前記汚染空気から分離した不純物が混入しエマルジョン状となった汚水は、前記排気部材4の吸引作用により前記第2連通口19から汚水貯留室7に流入する。そして、前記汚水貯留室7に流入した前記汚水は、前記排気部材4の運転中、該汚水貯留室7に設けられるオーバーフロー管23から排水される。
【0008】
ところが、
図2に記載された空気浄化装置1は、前記汚水貯留室7内が前記排気部材4の吸引作用により負圧状態となっており、前記オーバーフロー管23を通して外部空気と水が逆流して前記汚水を円滑に排水できないため、汚染空気を効率よく浄化できない問題がある。
【0009】
図3は、特許文献1に記載された空気浄化装置の他の例の断面図を示す。
図3に記載された空気浄化装置は、
図2に記載された空気浄化装置において汚水貯留室7を省略した2槽構造の浄化槽3を備える。
また、
図3に記載された空気浄化装置は、バブル室6に設けられる排気口36に接続される図示しない排気部材4を備える。
【0010】
図3に記載された空気浄化装置の場合、前記浄化槽3に貯水した状態で前記排気部材4を運転すると、前記排気部材4の吸引作用により前記吸気室5に設けられる吸気口10から前記浄化槽3内に汚染空気が吸引されて水中に導入される。前記汚染空気は、前記連通口14から前記バルブ室6へ移動し、前記バブリング板部材16,17,18を通過して浄化された後に前記排気口36から排出される。
【0011】
ところで、
図3に記載された空気浄化装置の場合、前記バブル室6において、前記汚染空気から分離した不純物が混入しエマルジョン状となった汚水は、当該バブル室6に設けられる図示しないオーバーフロー管から排水される。
【0012】
ところが、
図3に記載された空気浄化装置の場合も、前記バブル室6内が前記排気部材4の吸引作用により負圧状態となっており、前記オーバーフロー管を通して外部空気と水が逆流して前記汚水を円滑に排水できないため、汚染空気を効率よく浄化できない問題がある。
【0013】
特許文献1には、前記オーバーフロー管にトラップを設け、空気の逆流を阻止することが記載されているが、前記オーバーフロー管にトラップを設ける場合でも、前記排気部材4の強力な吸引作用のために前記空気の逆流を完全に阻止することはできず、汚染空気の浄化効率を向上させるには、さらなる改善の余地がある。
【0014】
他方、特許文献1には、
図2に示す空気浄化装置1において、前記汚水貯留室7に汚水水位を検知する電極センサを設け、前記電極センサのオン作動に伴う電磁弁の開閉制御により、前記汚水貯留室7の底部に設けられる配水管24から前記汚水を排水することが記載されている。
しかしながら、電極センサを設ける場合には、汚水に含まれる油分が該電極センサに付着することにより前記電磁弁が誤動作する虞があり、必ずしも空気を効率よく浄化できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第4336890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、オーバーフロー管からの外部空気や水の逆流を防止することで、汚染された気体を効率よく浄化することができる気体浄化装置及び該気体浄化装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は、
気体を液体中に導入することで該気体から油分等の不純物を分離する浄化部を有し、前記浄化部には気体を吸気する吸気口及び不純物を分離した後の気体を排気する排気口が形成されてなる気体浄化装置であって、
前記浄化部に液体を供給する給液部材及び気体から分離した不純物を含む液体を前記浄化部から排出するオーバーフロー管が配設されるとともに、前記排気口に排風部が接続されてなる気体浄化装置において、
前記オーバーフロー管に開閉弁を設ける一方で、前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方にあることを検知する検知手段を備え、
前記排風部の稼働時には、該排風部による排風作用により、前記吸気口から前記浄化部に気体を吸引導入し、該気体を液体中に導入することで不純物を分離し、前記不純物を分離した後の気体を前記排気口から吸引排気する一方、前記給液部材からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を前記浄化部に連続的に供給し、前記検知手段による液位の検知に基づいて前記開閉弁を開放することで、前記浄化部内の液位を前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ前記浄化部で気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管から排出することを特徴とする。
ここで、本発明において、前記検知手段が検知する液位は、前記浄化部内において前記オーバーフロー管が開口から前記開閉弁の位置まで前記液体により満たされた後に到達する液面の高さである。
【0018】
本発明は、
前記浄化部が、前記気体を吸気する吸気口が形成される吸気室、前記吸気した気体を液体中に導入することで該気体から油分等の不純物を分離する浄化室、前記不純物を分離した後の気体を排気する排気口が形成される排気室を有し、
前記吸気室には前記給液部材、前記排気室には前記オーバーフロー管が配設されてなり、
前記浄化室には多数の小孔を有する板状部材であって当該浄化室の水平断面と略同一寸法のバブリング部材が略水平な状態で配設される一方で、前記排風部の稼働時に前記液体中に導入される気体が該液体中において前記バブリング部材の小孔を上方へ通過するよう液体が貯留されてなり、
前記浄化室は、前記バブリング部材よりも下部に形成される第1連通口を介して前記吸気室と連通し、前記バブリング部材よりも上部に形成されて気体が通過する第2連通口及び前記バブリング部材よりも下部に形成される第3連通口を介して前記排気室と連通することが好ましい。
【0019】
本発明は、
前記検知手段はタイマーであって、該タイマーに設定された時間経過に基づいて、前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方にあることを検知することが好ましい。
【0020】
また、上記目的を達成するため、本発明は、
気体を液体中に導入することで該気体から油分等の不純物を分離する浄化部を有し、前記浄化部には気体を吸気する吸気口及び不純物を分離した後の気体を排気する排気口が形成されてなる気体浄化装置であって、
前記浄化部に液体を供給する給液部材及び気体から分離した不純物を含む液体を前記浄化部から排出するオーバーフロー管が配設されるとともに、前記排気口に排風部が接続されてなる気体浄化装置の運転方法において、
前記排風部の稼働時には、該排風部による排風作用により、前記吸気口から前記浄化部に気体を吸引導入し、該気体を液体中に導入することで不純物を分離し、前記不純物を分離した後の気体を前記排気口から吸引排気する一方、前記給液部材からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を前記浄化部に連続的に供給し、前記オーバーフロー管が開口から一定長さ前記液体により満たされて前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方になった後に前記オーバーフロー管から前記液体の排出を開始し、前記浄化部内の液位を前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ前記浄化部で気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管から排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の気体浄化装置は、前記オーバーフロー管に開閉弁を設ける一方で、前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方にあることを検知する検知手段を備え、前記排風部の稼働時には、該排風部による排風作用により、前記吸気口から前記浄化部に気体を吸引導入し、該気体を液体中に導入することで不純物を分離し、前記不純物を分離した後の気体を前記排気口から吸引排気する一方、前記給液部材からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を前記浄化部に連続的に供給し、前記検知手段による液位の検知に基づいて前記開閉弁を開放することで、前記浄化部内の液位を前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ前記浄化部で気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管に満たされたものから順次排出する。
したがって、本発明の気体浄化装置によれば、前記オーバーフロー管から外部空気や水が逆流することを防止できるため、汚染された気体を効率よく浄化することができる。
【0022】
また、本発明の気体浄化装置の運転方法は、前記排風部の稼働時には、該排風部による排風作用により、前記吸気口から前記浄化部に気体を吸引導入し、該気体を液体中に導入することで不純物を分離し、前記不純物を分離した後の気体を前記排気口から吸引排気する一方、前記給液部材からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体を前記浄化部に連続的に供給し、前記オーバーフロー管が開口から一定長さ前記液体により満たされて前記浄化部内の液位が前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方になった後に前記オーバーフロー管から前記液体の排出を開始し、前記浄化部内の液位を前記オーバーフロー管の開口よりも所定高さ上方に維持しつつ前記浄化部で気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管から排出する。
したがって、本発明の気体浄化装置の運転方法によれば、前記オーバーフロー管から外部空気や水が逆流することを防止できるため、汚染された気体を効率よく浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態における気体浄化装置の断面図。
【
図2】特許文献1に記載された気体浄化装置の断面図。
【
図3】特許文献1に記載された他の気体浄化装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における気体浄化装置の断面図を示す。
本発明の実施の形態における気体浄化装置101は、浄化部110と排風部150を備える。また、本発明の実施の形態における気体浄化装置101は、後述する排気室140内の液位がオーバーフロー管145の開口よりも所定高さ上方にあることを検知するタイマーを備える。
【0025】
前記浄化部110は、該浄化部110に気体を吸気する吸気室120、前記吸気した気体から油分等の不純物を分離する浄化室130、前記不純物を分離した後の気体を該浄化部110から排気する排気室140を有する。
【0026】
前記吸気室120は、下部に形成される第1連通口131を介して前記浄化室130と連通する。また、前記浄化室130は、上部に形成される第2連通口141及び下部に形成される第3連通口142を介して前記排気室140と連通する。
【0027】
前記吸気室120には、吸気口121が形成されるとともに該吸気室120内に給液する給液管122が配設されている。また、前記排気室140には、排気口144が形成されるとともに電磁弁等からなる開閉弁147が設けられてなるオーバーフロー管145が底面から上方へ向けて伸びるように配設されている。
ここで、前記オーバーフロー管145の開口は、後述するように、前記浄化室130内において気体から油分等の不純物の分離除去が効果的に行われる状態を保てる高さに設定する。
【0028】
前記浄化室130の底面には電磁弁等からなる開閉弁148が設けられてなる配水管146が配設されている。
ここで、前記浄化室130の底面が前記吸気室120及び前記排気室140の底面に対し低くなるよう形成されており、前記配水管146の開口が前記底面の低い位置に設けられていれば、前記浄化部110内の液体を排水する上で好ましい。
【0029】
前記浄化室130には、前記第1連通口131の上縁に水平方向に突出する気体誘導板132が形成されている。また、前記気体誘導板132の上方には、多数の小孔を有する板状部材であって当該浄化室130の水平断面と略同一寸法を有する3枚のバブリング部材133,134,135が略水平な状態で配設されている。
【0030】
前記浄化室130内には、前記バブリング部材の上方に第1液体飛散防止板136、前記第1液体飛散防止板136の上方であって前記第2連通口141の下方に第2液体飛散防止板137が形成されている。また、前記第2連通口141には気体整流板138が配設されている。
【0031】
ここで、前記浄化室130には、3層のバブリング部材133,134,135が配設される構造としたが、1層又は2層配設される構造としてもよく、また4層以上配設される構造としてもよい。
【0032】
前記排風部150はファン等の排風機151を有する。前記排風機151の吸込口152は前記浄化部110の前記排気室140に形成される排気口144に接続されている。
【0033】
本発明の実施の形態における気体浄化装置101は、前記排風機151の稼働に先立ち、前記給液管122から前記吸気室120内に液体を供給し、前記第1連通口131を介して前記浄化室130に配設されるバブリング部材133,134,135が全て液体中に水没する液位h0となるよう前記浄化部110内に液体を貯留する。その際、前記オーバーフロー管145の開閉弁147及び前記配水管146の開閉弁148はともに閉じておく。
【0034】
前記浄化部110内の液位がh0に達したことをフロートセンサ等で検知した後、前記排風機151を稼働させ、当該排風機151の排風作用、即ち排風機151の吸引力により前記吸気口121から前記吸気室120に気体を吸引導入する。
【0035】
また、前記排風機151の稼働と同時に、前記給液管122からは前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体の供給を開始する。当該給液管122からの液体の供給は、前記排風機151の稼働中は連続して行われる。
【0036】
さらに、前記排風機151の稼働と同時に前記タイマーを作動させる。当該タイマーは、前記排風機151を稼働させる時点から、排気室140内が前記オーバーフロー管145の開口よりも所定高さ上方の液位hxとなるまでの時間を、予め試験運転等により求めて事前に設定しておくことで、前記排気室140内の前記液位hxの検知手段としての機能をもつ。
ここで、本発明の実施の形態において、前記液位hxは、前記排気室140内において前記オーバーフロー管145が開口から前記開閉弁147まで前記液体により満たされた後に到達する液面の高さとする。
【0037】
前記排風機151の吸引力によって前記吸気室120に吸引導入された気体は、該吸気室120の底部に貯留される液体中に導入され、前記第1連通口131から前記浄化室130内へ移動する。そして、前記浄化室130に移動した前記気体は、前記気体誘導板132により該浄化室130の中央側へ誘導された後に上昇し、液体中において前記バブリング部材133,134,135の多数の小孔を上方へ通過する。
【0038】
このとき、図示するように、前記バブリング部材133,134,135の全面から小径の気泡が大量に発生するとともに、微細化された液体が霧状に飛散する。そのため、前記気体と液体が接触を密にする(接触面積を大にする)ことができ、前記気体から油分等の不純物が効果的に分離除去される。
【0039】
その後、前記不純物を分離して浄化された気体は、前記排風機151の吸引力によって、前記第2連通口141から前記排気室140へと移動し、前記排気口144から吸引排気される。その際、前記浄化室130で飛散した液体は、前記第1液体飛散防止板136及び第2液体飛散防止板137により前記第2連通口141側への飛散が防止される。また、前記不純物を分離して浄化された気体は、前記第2連通口141に配設される前記気体整流板138により整流されて前記排気室140へ移動する。
【0040】
他方、前記気体から分離した不純物を含む液体は、前記排風機151の吸引力によって前記第3連通口142から前記排気室140へと移動する。そして、前記タイマーによる前記排気室140内の前記液位hxの検知に基づいて前記オーバーフロー管145の開閉弁147を開放制御することで、前記気体から分離した不純物を含む液体は、前記オーバーフロー管145に満たされたものから順次排出される。
【0041】
その際、前記排風機151の稼働中は、前記給液管122から前記オーバーフロー管の単位時間当たりの排出量と同量の液体が連続して供給されるため、前記排気室140内の液位を前記オーバーフロー管145の開口よりも所定高さ上方の液位hxに維持しつつ前記気体から分離した不純物を含む液体を前記オーバーフロー管145から連続して排出することができる。
【0042】
したがって、本発明の実施の形態における気体浄化装置によれば、前記オーバーフロー管145から外部空気や水が逆流することを防止できるため、汚染された気体を効率よく浄化することができる。
【0043】
上記本発明の実施の形態では、前記排気室140内の液位hxを検知する手段としてタイマーを用いたが、フロートセンサ等、その他の検知手段を用いることもできる。また、前記オーバーフロー管は、排気室140の底面からでなく側面から前記排気室140内へ伸びるように配設することもできる。
【0044】
本発明において、浄化部110は
図1に示す構造に限るものでなく、汚染された気体を前記液体中に導入することで、該気体から油分等の不純物を分離できるものであれば他の構造でも構わない。例えば
図1に示す気体浄化装置101において、排気室140を省略して浄化室130にオーバーフロー管を配設することもできる。その場合、前記浄化室130に排気口144を形成し、該排気口144に排風機151の吸込口152を接続すればよい。また、吸気室120を併せて省略してもよい。
【0045】
本発明の気体浄化装置は、厨房から発生する油煙等の汚染された空気に限らず、例えば工場からの排気ガスなど、あらゆる気体を浄化する上で有効である。
【0046】
本発明の気体浄化装置は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の気体浄化装置及び該気体浄化装置の運転方法によれば、オーバーフロー管からの外部空気や水の逆流を防止できるため、極めて実用的価値が高い。
【符号の説明】
【0048】
101 気体浄化装置
110 浄化部
120 吸気室
121 吸気口
122 給液管
130 浄化室
131 第1連通口
132 気体誘導板
133 バブリング部材
134 バブリング部材
135 バブリング部材
136 第1液体飛散防止板
137 第2液体飛散防止板
138 気体整流板
140 排気室
141 第2連通口
142 第3連通口
144 排気口
145 オーバーフロー管
146 配水管
147 開閉弁
148 開閉弁
150 排風部
151 排風機
152 吸込口
h0 排風機稼働開始液位
hx オーバーフロー開始液位