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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-80757(P2017-80757A)
(43)【公開日】2017年5月18日
(54)【発明の名称】フラックス、及び、はんだ組成物
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20170414BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20170414BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20170414BHJP
【FI】
   B23K35/363 D
   B23K35/363 E
   B23K35/26 310A
   C22C13/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-209954(P2015-209954)
(22)【出願日】2015年10月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000143215
【氏名又は名称】株式会社弘輝
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 基秀
(72)【発明者】
【氏名】矢作 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】内田 令芳
(57)【要約】
【課題】はんだ組成物がリフロー時に良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフローによって活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができるはんだ組成物用のフラックスを提供すると共に、斯かるフラックスを用いたはんだ組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミン化合物、又は、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミン化合物、又は、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するフラックス。
【請求項2】
前記アミン化合物は、N−アセチルイミダゾール、N−アセチルフタルイミド、又は、テトラアセチルエチレンジアミンから選択される少なくとも一つである請求項1に記載のフラックス。
【請求項3】
前記アミノ酸化合物は、N−アセチルグリシン、N−アセチルロイシン、又は、N−アセチルフェニルグリシンから選択される少なくとも一つである請求項1又は2に記載のフラックス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフラックスとはんだ合金とを備えるはんだ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックス、及び、該フラックスを用いたはんだ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、はんだ粉とフラックスとから構成されるはんだ組成物(具体的には、ソルダペースト)を用いて基板への電子部品の接合等が行われている。ソルダペースト用のフラックスは、樹脂成分(ロジン等)、溶剤、チキソ剤、活性剤、その他の添加剤(還元剤等)を加熱溶解しつつ混合することで形成される。
【0003】
前記活性剤は、はんだ表面や部品電極や基板パッドの酸化膜を除去するために用いられるものである。活性剤の成分としては、例えば、アミン化合物やアミノ酸化合物が用いられる場合がある(特許文献1,2参照)。アミン化合物は、高い活性力を示すことが知られており、アミノ酸化合物は、活性力とソルダペースト中での貯蔵安定性の双方に優れることが知られている。活性剤として用いられるアミン化合物としては、一般的に、エチレンジアミン、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。また、活性剤とし用いられるアミノ酸化合物としては、一般的に、バリン、フェニルグリシン等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、アミン化合物やアミノ酸化合物を活性剤として含有したフラックスを用いてソルダペーストを形成した場合、リフローによって活性剤が酸化して焦げ付くため、活性剤の残渣の色合いが濃くなって(残渣色の濃化が生じ)、色合いを基準に行う品質検査で誤判定が生じる虞がある。また、アミン化合物を活性剤として用いた場合、アミン化合物が金属と高い反応性を有するため、ソルダペーストの貯蔵中に、アミン化合物がはんだ粉と反応してソルダペーストを増粘させる虞がある。
【0005】
これらの問題を解決する方法としては、フラックス中の活性剤の含有量を制限することが考えられるが、活性剤の効果が低下してしまう。また、アミン化合物を活性剤として用いた場合に生じる問題を解決する方法としては、フラックスにキレート剤を添加して活性剤とはんだ粉との反応を抑える方法が考えられるが、キレート剤によってはんだ粉同士の合一が阻害され、リフロー時にソルダペーストの濡れ性が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−110392号公報
【特許文献2】特開平09−052195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願発明は、はんだ組成物がリフロー時に良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフローによって活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができるはんだ組成物用のフラックスを提供すると共に、斯かるフラックスを用いたはんだ組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフラックスは、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミン化合物、又は、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有する。
【0009】
斯かる構成によれば、アミノ基のアセチル化によってアミノ基の極性が低下するため、上記のようなアミン化合物又はアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するフラックスとはんだ合金とを備えるはんだ組成物は、活性剤とはんだ合金との反応が抑制される。これにより、リフロー時に、活性剤の影響によってはんだの濡れ性が低下してしまうのが抑制されるため、良好な濡れ性を示すはんだ組成物を形成することができる。
【0010】
また、アミノ基のアセチル化によって活性剤の耐熱性が向上するため、はんだ組成物のリフロー時に活性剤が焦げ付いて活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができる。
【0011】
つまり、上記のようなアミン化合物又はアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するフラックスを用いることで、はんだ組成物がリフロー時に良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフローによって活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができる。
【0012】
また、前記アミン化合物は、N−アセチルイミダゾール、N−アセチルフタルイミド、又は、テトラアセチルエチレンジアミンから選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0013】
斯かる構成によれば、前記アミン化合物は、N−アセチルイミダゾール、N−アセチルフタルイミド、又は、テトラアセチルエチレンジアミンから選択される少なくとも一つであることで、はんだ組成物がリフロー時により良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフロー時に活性剤の残渣色の濃化をより抑制することができる。
【0014】
また、前記アミノ酸化合物は、N−アセチルグリシン、N−アセチルロイシン、又は、N−アセチルフェニルグリシンから選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0015】
斯かる構成によれば、前記アミノ酸化合物は、N−アセチルグリシン、N−アセチルロイシン、又は、N−アセチルフェニルグリシンから選択される少なくとも一つであることで、はんだ組成物がリフロー時により良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフロー時に活性剤の残渣色の濃化をより抑制することができる。
【0016】
本発明に係るはんだ組成物は、上記何れかに記載のフラックスとはんだ合金とを備える。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、はんだ組成物がリフロー時に良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフローによって活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
本発明に係るフラックスは、はんだ合金と混合して用いられるはんだ組成物(具体的には、ソルダペースト、又は、やに入りはんだ等)や、液状、固形フラックス等(具体的には、フローはんだ付け用ポストフラックス、タックフラックス等)にも適用可能なものである。該フラックスは、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミン化合物、又は、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するものである。言い換えれば、前記フラックスは、アミン化合物又はアミノ酸化合物におけるアミノ基の窒素原子をアセチル基で保護した構造を有するアミン化合物又はアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するものである。前記アミン化合物及びアミノ酸化合物は、脂肪族化合物であることが好ましい。
【0020】
前記アミン化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン(N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン)、N−アセチルイミダゾール、N−アセチルフタルイミド、アセトアミド安息香酸(3−アセトアミド安息香酸、4−アセトアミド安息香酸)、N−アセチルアントラニル酸、アセトアミドニトロ安息香酸(2−アセトアミド−6−ニトロ安息香酸、3−アセトアミド−4−ニトロ安息香酸、3−アセトアミド−2−ニトロ安息香酸、5−アセトアミド−2−ニトロ安息香酸)から選択される少なくとも一つを用いることができる。
【0021】
前記アミノ酸化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、N−アセチルフェニルアラニン(N−アセチル−L−フェニルアラニン、N−アセチル−DL−フェニルアラニン、N−アセチル−D−フェニルアラニン)、N−アセチルグルタミン酸(N−アセチル−L−グルタミン酸)、N−アセチルグリシン、N−アセチルロイシン(N−アセチル−L−ロイシン、N−アセチル−DL−ロイシン、N−アセチル−D−ロイシン)、又は、N−アセチルフェニルグリシン(N−アセチル−N−フェニルグリシン、N−アセチル−L−フェニルグリシン、N−アセチル−DL−フェニルグリシン)から選択される少なくとも一つを用いることができる。
【0022】
フラックス中の活性剤の含有量としては、特に限定されるものではなく、例えば、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5%質量以上15質量%以下であることがより好ましい。また、前記活性剤のはんだ組成物中の含有量としては、特に限定されるものではなく、例えば、0.1質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上0.15質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
前記フラックスに含有される他の成分としては、特に限定されるものではなく、一般的なフラックスを構成する成分が挙げられる。例えば、溶剤、樹脂成分、チキソ剤、還元剤等が挙げられる。
【0024】
前記溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(ジブチルジグリコール)、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(2エチルヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)などのグリコールエーテル類;n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族系化合物;酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、オクタンジオールなどのアルコール類等が挙げられる。前記溶剤は、単独で用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。ソルダペースト用のフラックスでは、前記溶剤の中でも、沸点200℃〜300℃の範囲をもつジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等の前記グリコールエーテル類を用いることが最適な連続印刷性を確保できる観点から好ましい。また、溶剤の使用量としては、特に限定されるものではなく、例えば、チキソ剤との合計質量に対して、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
【0025】
樹脂成分としては、特に限定されるものではなく、ロジン系樹脂を用いることができる。具体的には、ロジン、ロジンの誘導体(例えば、水素添加ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、アクリル酸変性ロジン等)からなる群から選択される少なくとも一種のロジン系樹脂を用いることができる。特に、冷熱サイクル性の観点から水素添加ロジンを用いることが好ましい。樹脂成分の使用量としては、特に限定されるものではなく、例えば、混合材の質量に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
前記チキソ剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アマイド系チキソ剤、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0027】
以上のようなフラックスは、はんだ合金と混合されてはんだ組成物を形成する。はんだ合金としては、特に限定されるものではなく、一般的なはんだ粉を用いることができる。例えば、鉛フリーはんだとして用いられているSn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Cu−Bi系はんだ、Sn−Ag−In−Bi系はんだ、Sn−Cu系はんだ、Sn−Zn系はんだ、Sn−Bi系はんだ等の鉛フリーはんだ合金の粉末を用いることができる。はんだ組成物は、前記フラックスを5質量%以上20質量%以下含むことが好ましく、8質量%以上15質量%以下含むことがより好ましい。また、はんだ組成物は、前記はんだ合金(粉末)を80質量%以上95質量%以下含むことが好ましく、85質量%以上92質量%以下含むことがより好ましい。
【0028】
以上のように、本発明に係るフラックス及びはんだ組成物によれば、はんだ組成物がリフロー時に良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフローによって活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができる。
【0029】
即ち、アミノ基のアセチル化によってアミノ基の極性が低下するため、上記のようなアミン化合物又はアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するフラックスとはんだ合金(粉末)とを備えるはんだ組成物は、活性剤とはんだ合金(粉末)との反応が抑制される。これにより、リフロー時に、活性剤の影響によってはんだの濡れ性が低下してしまうのが抑制されるため、良好な濡れ性を示すはんだ組成物を形成することができる。これにより、錫、ニッケル、真ちゅう、銅など様々な劣化金属に対する濡れ性に優れたはんだ組成物を得ることができる。
【0030】
また、アミノ基のアセチル化によって活性剤の耐熱性が向上するため、はんだ組成物のリフロー時に活性剤が焦げ付いて活性剤の残渣の色が濃くなるのを(残渣色の濃化を)抑制することができる。
【0031】
つまり、上記のようなアミン化合物又はアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するフラックスを用いることで、良好な濡れ性を示すと共に、リフローによって生じる活性剤の残渣色の濃化が抑制されたはんだ組成物を得ることができる。
【0032】
更に、アミノ基のアセチル化によってアミノ基の極性が低下するため、フラックス中での活性剤の分離、及び、当該フラックスを用いて形成されるはんだ組成物中での活性剤の分離を抑制することができる。
【0033】
また、アミノ基のアセチル化によって活性剤の耐熱性が向上するため、はんだ組成物のリフロー時の温度においても活性剤の活性力を持続することができる。また、アミノ基のアセチル化によって活性剤の耐熱性が向上するため、はんだ組成物のリフロー時に活性剤が突沸してはんだ組成物が飛散するのを防止することができる。また、アミノ基のアセチル化によって活性剤の耐熱性が向上するため、活性剤の分解によって発生したガスによってボイドが生じるのを抑制することができる。
【0034】
また、はんだ組成物のリフロー時に、はんだ溶融温度付近で、活性剤のアセチル基が脱離して酢酸が形成されるため、斯かる酢酸とアミンまたはアミノ酸の効果によって高い活性力が発揮される。これにより、厚い金属酸化膜でも強力に除去することが可能となる。
【0035】
また、前記アミン化合物は、N−アセチルイミダゾール、N−アセチルフタルイミド、又は、テトラアセチルエチレンジアミンから選択される少なくとも一つであることで、はんだ組成物がリフロー時により良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフロー時に活性剤の残渣色の濃化をより抑制することができる。
【0036】
また、前記アミノ酸化合物は、N−アセチルグリシン、N−アセチルロイシン、又は、N−アセチルフェニルグリシンから選択される少なくとも一つであることで、はんだ組成物がリフロー時により良好な濡れ性を示すと共に、はんだ組成物のリフロー時に活性剤の残渣色の濃化をより抑制することができる。
【0037】
なお、本発明に係るフラックスは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよい(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよい)ことは勿論である。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
<使用材料>
1.樹脂成分
アクリル酸変性ロジン(荒川化学工業株式会社製 品名:KE−604)
2.溶剤
グリコール系溶剤(日本乳化剤株式会社製 品名:ヘキシルジグリコール)
3.活性剤(脂肪族化合物)
・トランス−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール(DBBD)(東京化成工業株式会社製 品名:trans−2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール)
・レブリン酸(東京化成工業株式会社製 品名:レブリン酸)
4.活性剤(アミノ酸化合物)
・グリシン(東京化成工業株式会社製 品名:グリシン)
・N−アセチルグリシン(東京化成工業株式会社製 品名:N−アセチルグリシン)
・N−Bocグリシン(東京化成工業株式会社製 品名:N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン)
・L−バリン(東京化成工業株式会社製 品名:L−バリン)
・N−アセチルロイシン(東京化成工業株式会社製 品名:N−アセチル−DL−ロイシン)
・N−アセチルフェニルグリシン(東京化成工業株式会社製 品名:N−アセチル−DL−2−フェニルグリシン)
・フェニルグリシン(東京化成工業株式会社製 品名:DL−2−フェニルグリシン)
5.活性剤(アミン化合物)
・N−Ac−イミダゾール(東京化成工業株式会社製 品名:N−アセチルイミダゾール)
・N−Ac−フタルイミド(東京化成工業株式会社製 品名:N−アセチルイミダゾール)
・テトラアセチルエチレンジアミン(東京化成工業株式会社製 品名:N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン)
・エチレンジアミン(東京化成工業株式会社製 品名:エチレンジアミン)
6.はんだ合金
・はんだ粉(合金組成:SAC305「Sn−3Ag−0.5Cu」 粒径20−38μm)
【0040】
<フラックスの作製>
上記の各活性剤のそれぞれを用いて、下記表1の配合でフラックスを作製した。
【0041】
【表1】
【0042】
<はんだ組成物の作製>
上記表1の各配合のフラックスと上記のはんだ粉とを用いて、下記表2の配合ではんだ組成物(ソルダペースト)を作製した。
【0043】
【表2】
【0044】
<濡れ性の評価>
ガラスエポキシ基材に下記表3に記載の各金属メッキを施した疑似基板を用い、上記のはんだ組成物(ソルダペースト)を、0.2mmの厚み(メタルマスク厚)で、直径6.5mmの円形となるように印刷した。
ソルダペーストが印刷された疑似基板を、所定のリフロー条件で加熱した後、ディウェッティングの評価を行った。リフロー条件としては、150℃〜180℃で75秒間予熱し、220℃以上で40秒間本加熱を行った。ピーク温度は235℃とした。リフロー装置は株式会社弘輝テック社製APSR−257−VIIを用いた。
なお、ディウェッティング(DW)の評価結果(濡れ性の評価結果)は、疑似基板への濡れ広がりを実際にぬれ広がった面積を印刷面積で割った比率で確認し(DWの画像からパソコンソフトを用いて二値化し、面積比率を算出し)、疑似基板への濡れ広がりが30%未満の場合を「1」、30%以上50%未満である場合を「2」、50%以上70%未満である場合を「3」、70%以上90%未満である場合を「4」、90%以上である場合を「5」として下記表3に示す。
【0045】
<残渣色の評価>
上記の濡れ性の評価を行うと共に、リフロー後のはんだ色を目視にて確認し、焦げ付き(活性剤の焦げ付き)による色づき(残渣色)の程度を「◎」「○」「×」で評価した。評価結果は、下記表3に示す。なお、「◎」が色づきが最も薄く、「○」「×」の順に色づきが濃くなることを示す。
【0046】
【表3】
【0047】
<まとめ>
上記表3を見ると、各比較例では、良好な濡れ性と残渣色の濃化の抑制とを両立することができないのに対し、各実施例では、良好な濡れ性を示し、且つ、残渣色の濃化が抑制されることが認められる。つまり、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミン化合物、又は、アセチル化されたアミノ基を少なくとも一つ備えるアミノ酸化合物の少なくとも一方を活性剤として含有するフラックスを用いることで、アセチル化されたアミノ基を有しないアミン化合物やアミノ酸化合物、又は、脂肪族化合物を活性剤として用いる場合よりも、濡れ性に優れ、且つ、リフロー後の残渣色の濃化を抑制したソルダペーストを形成することができる。